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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A23L 審判 全部申し立て 2項進歩性 A23L 審判 全部申し立て 5項3号及び6項 請求の範囲の記載形式不備 A23L 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備 A23L |
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管理番号 | 1086385 |
異議申立番号 | 異議2002-71710 |
総通号数 | 48 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-07-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-07-15 |
確定日 | 2003-09-03 |
異議申立件数 | 3 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3246738号「サポニン及びアミノ酸含有組成物」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3246738号の請求項に係る特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第3246738号の請求項1乃至8に係る発明についての出願は、平成2年11月30日を出願日とする出願であって、平成13年11月2日にその特許の設定登録がなされ、その後、その特許について異議申立人山本亜耶、有限会社ツヤチャイルド、不二製油株式会社より特許異議の申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年11月26日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度の取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年7月25日に訂正請求がなされたものである。 II.訂正請求 1.訂正の内容 (1)特許請求の範囲の請求項1に係る記載、 「【請求項1】サポニン及びアミノ酸を含有することを特徴とするサポニン含有飲食品または医薬品組成物。」を、 「【請求項1】原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)及びアミノ酸を含有することを特徴とするサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であり、サポニン100重量部に対してアミノ酸30〜50000重量部含有してなるサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物。」と訂正する。 (2)特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)特許請求の範囲の請求項3に係る記載、 「【請求項3】サポニン及びアミノ酸を含有することを特徴とするサポニンに由来する苦味改善組成物。」を、 「【請求項2】原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)及びアミノ酸を含有することを特徴とするサボニンに由来する苦味改善組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であるサポニンに由来する苦味改善組成物。」と訂正する。 (4)特許請求の範囲の請求項5に係る記載、 「【請求項4】組成物が飲食品または医薬品である請求項(3)記載の組成物」を、 「【請求項3】組成物が飲食品または医薬品である請求項(2)記載の組成物。」と訂正する。 (5)特許請求の範囲の請求項5に係る記載、 「【請求項5】サポニン10 0重量部に対してアミノ酸3 0〜50000重量部配合する求項(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。」を、 「【請求項4】サポニン100重量部に対してアミノ酸30〜50000重量部配合する請求項(2)又は(3)記載の組成物。」と訂正する。 (6)特許請求の範囲の請求項6に係る記載、 「【請求項6】サポニンとして、茶、キラヤ、大豆及びキキョウに含有される抽出したサポニンから選ばれたものを含む請求項(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。」を、 「【請求項5】サポニンとして、茶、キラヤ、大豆及びキキョウに含有される抽出・分離したサポニンから選ばれたものを含む請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。」と訂正する。 (7)特許請求の範囲の請求項7を削除する。 (8)特許請求の範囲の請求項8に係る記載、 「【請求項8】組成物が、飲料、菓子、シロップ、調味料、ドリンク剤、歯磨き、内服薬、トローチ、口中清涼剤、うがい薬、ゼリー、錠剤、口中香剤から選ばれたものである請求項(1)〜(7)のいずれかに記載の旧成物。」を、 「【請求項6】組成物が、飲料、菓子、シロップ、調味料、ドリンク剤、歯磨き、内服薬、トローチ、口中清涼剤、うがい薬、ゼリー、錠剤、口中香剤から選ばれたものである請求項(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。」と訂正する。 (9)特許請求の範囲の請求項9に係る記載、 「【請求項9】組成物が、溶液、懸濁液、粉末、固形成形物から選ばれたものである請求(1)〜(8)のいずれかに記載の組成物。」を、 「【請求項7】組成物が、溶液、懸濁液、粉末、固形成形物から選ばれたもである請求項(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。」と訂正する。 (10)特許請求の範囲の請求項10に係る記載、 「【請求項10】サポニンにアミノ酸を配合することによるサポニン含有飲食品または医薬品組成物におけるサポニンに由来する苦味の改善方法。」を、 「【請求項8】原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)にアミノ酸を配合することによるサボニン含有飲食品組成物または医薬品組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であるサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物におけるサポニンに由来する苦味の改善方法。」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項(1)は、1)訂正前の請求項1に記載の「サポニン」、「アミノ酸」を、夫々「原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)」、「前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)」に限定し、更に、サポニンの含有量を「サポニン100重量部に対してアミノ酸30〜50000重量部含有」に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当し、2)訂正前の請求項1に記載の「サポニン含有飲食品または医薬品組成物」を、「サポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物」に訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。 訂正事項(2)は訂正前の請求項2を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。 訂正事項(3)は、訂正前の請求項3に記載の「サポニン」、「アミノ酸」を、夫々「原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)」、「前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)」に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。 訂正事項(4)(5)は、訂正前の請求項2の削除に伴い、請求項を繰り上げて整理するものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。 訂正事項(6)は、訂正前の請求項6に記載の「抽出した」を「抽出・分離した」に訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。 訂正事項(7)は訂正前の請求項7を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。 訂正事項(8)(9)は、訂正前の請求項2、請求項7の削除に伴い、請求項を繰り上げて整理するものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。 訂正事項(10)は、1)訂正前の請求項8に記載の「サポニン」、「アミノ酸」を、夫々「原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)」、「前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)」に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮に該当し、2)訂正前の請求項8に記載の「サポニン含有飲食品または医薬品組成物」を、「サポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物」に訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。 また、この訂正は新規事項に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。 3.むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法120条の4,第2項及び同条第3項で準用する126条第2項及び第3項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。 III.特許異議申立 1.特許異議申立書の理由の概要 (1)特許異議申立人山本亜耶は、下記の甲第1乃至9号証を提出し、訂正前の本件請求項1乃至10に係る発明は、甲第1乃至6号証刊行物に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に該当し、また、甲第6乃至7号証刊行物に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである、また、本願は、明細書の記載が不備であるから特許法第36条4乃至6項に規定する要件を満たしていないから、取り消すべき旨、 甲第1号証:特公昭54-13498号公報 甲第2号証:特開平2-128669号公報 甲第3号証:特開平3-108450号公報 甲第4号証:日本大衆薬工業協会編「一般用医薬品集〈添付文書要約〉」149,224頁、昭和63年5月15日、株式会社 薬業時報社 甲第5号証:時事通信社編「「機能性食品」全ガイド」200,212,224頁、1990年7月5日、株式会社 時事通信社 甲第6号証:元崎信一編「化学調味料」72〜73,244〜245,248〜249,258〜259,271頁、昭和44年6月25日、株式会社 光琳書院 甲第7号証:特開昭50-121449号公報 甲第8号証:吉積智司ら著「甘味の系譜とその科学」260〜261頁、昭和61年6月20日、株式会社 光琳 甲第9号証:福山忠男編「健康食品便覧」190〜191頁、昭和60年9月15日、株式会社 食品と科学社 (2)特許異議申立人有限会社ツヤチャイルドは、下記の甲第1乃至8号証を提出し、訂正前の本件請求項1乃至10に係る発明は、甲第6号証を参酌すると、甲第1乃至5または7,8号証刊行物に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に 該当し、また、甲第1乃至5または7,8号証刊行物に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである、また、本願は、明細書の記載が不備であるから特許法第36条4乃至6項に規定する要件を満たしていないから、取り消すべき旨、 甲第1号証:特開昭60-37960号公報 甲第2号証:特開昭60-98962号公報 甲第3号証:特開平2-100643号公報 甲第4号証:特開昭61-260862号公報 甲第5号証:茶業研究報告、No.2,52〜61頁、昭和45年1月 甲第6号証:野菜・茶業試験場研究報告B(金谷)2:47〜89頁、1988年 甲第7号証:特開昭61-166390号公報 甲第8号証:岩手県醸造食品試験場報告 19,19〜43頁、1985年 参考資料1:飴山實ら編「酢の科学」183頁、1990年10月5日、株式会社 朝倉書店 (3)特許異議申立人不二製油株式会社は、下記の甲第1乃至4号証を提出し、訂正前の本件請求項1、5乃至9に係る発明は、甲第1号証刊行物に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に 該当し、また、訂正前の本件請求項2乃至10に係る発明は、甲第2乃至4号証刊行物に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから同法第29条第2項の規定により、取り消すべき旨、それぞれ主張している。 甲第1号証:特開昭61-130232号公報 甲第2号証:特開昭48-99317号公報 甲第3号証:日本食品工業学会誌、Vol.35,No.12,866〜874,(1988) 甲第4号証:特開昭56-131341号公報 2.判断 訂正後の本件請求項1乃至8に係る発明(以下、「本件発明1乃至8」という。)は、上記訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)及びアミノ酸を含有することを特徴とするサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であり、サポニン100重量部に対してアミノ酸30〜50000重量部含有してなるサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物。 【請求項2】原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)及びアミノ酸を含有することを特徴とするサボニンに由来する苦味改善組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であるサポニンに由来する苦味改善組成物。 【請求項3】組成物が飲食品または医薬品である請求項(2)記載の組成物。 【請求項4】サポニン100重量部に対してアミノ酸30〜50000重量部配合する請求項(2)又は(3)記載の組成物。 【請求項5】サポニンとして、茶、キラヤ、大豆及びキキョウに含有される抽出・分離したサポニンから選ばれたものを含む請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。 【請求項6】組成物が、飲料、菓子、シロップ、調味料、ドリンク剤、歯磨き、内服薬、トローチ、口中清涼剤、うがい薬、ゼリー、錠剤、口中香剤から選ばれたものである請求項(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。 【請求項7】組成物が、溶液、懸濁液、粉末、固形成形物から選ばれたもである請求項(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。 【請求項8】原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)にアミノ酸を配合することによるサボニン含有飲食品組成物または医薬品組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であるサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物におけるサポニンに由来する苦味の改善方法。」 (1)特許異議申立人山本亜耶による特許異議申立に関する判断 特許異議申立人山本亜耶の提出した甲第1乃至9号証刊行物を検討する。 甲第1号証の第1頁1欄特許請求の範囲及び第3頁実験4には、「グリチルリチンとアミノ酸混合物(実験4では、ゼラチンより調製したアミノ酸混合物)とを共存せしめた甘味組成物」が記載され、第3頁表4には、上記甘味組成物において後味、嫌味が改良されている」ことが、第2頁実験3には「グリチルリチンは不快味、不快感、嫌味などが強い」ことが記載されており、第3頁実験4には、「グリチルリチンの各濃度の水溶液(0.01〜0.09%)に、ゼラチンより調製したアミノ酸混合物0.3%を添加した」こと、第3頁実験5には、「ゼラチンより調製したアミノ酸混合物中にはグリシン14%、アラニン5.5%、グルタミン酸ソーダ5.5%が含有されていた」ことが記載されている。 甲第2号証の第1頁左欄特許請求の範囲及び第3〜4頁実施例1〜3には、「茶及びアミノ酸(実施例1〜3では、ロイシン、イソロイシン等)を含有する食品組成物」が記載されている。 甲第3号証の公開日は平成3年5月8日であり、本件発明の出願日より後に公開されたものである。 甲第4号証の第149頁ハイトスエイトには、「ニンジンエキス、ロイシン、イソロイシン、スレオニン等を含有する医薬品組成物」が記載されている。 甲第5号証の第200頁リノフレッシュ18には、「にんじんエキス、甘草エキス、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、トレオニン、アラニン等を含有する飲食品組成物」 が記載されている。 甲第6号証の第245頁第6〜11行には、「大豆にグルタミン酸ナトリウムを添加した納豆」が記載されており、第245頁第6〜8行には、上記納豆中のグルタミン酸ナトリウムが、納豆特有の苦味を緩和することが、第248頁第15〜18行には、「茶にグルタミン酸ナトリウムを添加したグルタミン酸ナトリウム添加茶」が記載されており第248頁第19〜21行には、「グルタミン酸ナトリウム添加茶は、・・・・苦渋味は減少する」ことが記載されている。 甲第7号証の第1頁左下欄特許請求の範囲及び第2頁左上欄第4行〜右上欄第4行には、「サポニン等に由来する苦味を有する飲食品にぺプチドを添加するサポニン等に由来する苦味を有する飲食品の苦味消失法。」が、第4頁右上欄第6〜10行には、「一方、L-グルタミン酸又はL-アスパラギン酸を添加した場合には、苦味を消失させるに必要な量で添加すると旨味あるいは酸味が極めて強くなり、また旨味あるいは酸味を付与しない程度の量で添加すれば苦味は消失されない。」ことが記載されている。 甲第8号証は周知事実を示す証拠であって、第260頁第13行には、「グリチルリチンが甘草成分であること」が記載されており、第261頁第7〜8行には、「グリチルリチンはトリテルペン系サポニンである」ことが記載されている。 甲第9号証は周知事実を示す証拠であって、第190頁には、「朝鮮人参(別名:高麗人参、ニンジン)には、サポニンが含まれている」ことが記載されている。 しかしながら、上記訂正により、「サポニン」、「アミノ酸」は、夫々「原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)」、「前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)」と限定され、訂正後の本件発明1乃至8に用いる上記特定の「サポニン」と「アミノ酸」との組み合わせは、甲第1乃至9号証刊行物には記載されておらず、又それを示唆する記載もない。 特許異議申立人は、甲第7号証に記載された発明において、サポニン含有食品の苦味消失させるために、ペプチドの代わりにアミノ酸を用いることは容易である旨主張しているが、ペプチド及びアミノ酸による苦味低減の機構は解明されておらず、全く構造が異なる特定のサポニンに対して、訂正後の本件発明1乃至8に用いる上記特定のアミノ酸が苦味低減効果を有するかどうかは、当業者といえども予測しうるところではないし、甲第7号証の第4頁右上欄第6〜10行には、「一方、L-グルタミン酸又はL-アスパラギン酸を添加した場合には、苦味を消失させるに必要な量で添加すると旨味あるいは酸味が極めて強くなり、また旨味あるいは酸味を付与しない程度の量で添加すれば苦味は消失されない。」と阻害要因が記載されているから、特許異議申立人の主張は採用できない。 また、甲第1号証には、比較例として、グリチルリチンと同等のステビオサイドにグリシン、アラニン、グルタミン酸ソーダを添加することが記載されているが、この技術は甘味料としてのグリチルリチンとステビオサイドの呈味改善効果をみているものであり、しかも比較例は効果がないとされている。そして、ペプチド及びアミノ酸による苦味低減の機構は解明されておらず、グリチルリチンと全く構造が異なり、甘味料でもない訂正後の本件発明1乃至8に用いる上記特定のサポニンに対して、訂正後の本件発明1乃至8に用いる上記特定のアミノ酸が苦味低減効果を有するかどうかは、当業者といえども予測しうるところではない。 そして、本件発明1乃至8はこの構成により、サポニンに由来する苦味、えぐ味等の不快味を安全かつ容易な手段により有効に軽減させるという格別の効果を奏するものと認められる。 したがって、本件発明1乃至8は、甲第1乃至6号証刊行物に記載された発明であるものとも、また、甲第6,7号証刊行物に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものともすることはできない。 また、特許異議申立人は、訂正前の本件請求項5に係る発明の構成「サポニン100重量部に対してアミノ酸30〜50000重量部」について、実施例で苦味改善効果が確認されているのは、サポニン20mgに対してアミノ酸2〜4g、すなわち「サポニン100重量部に対してアミノ酸10000〜20000重量部」の範囲についてのみであり、「サポニン100重量部に対してアミノ酸30重量部」において苦味改善効果が発揮されるか否かは確認されていないから、本件明細書の記載が不備である旨主張しているが、アミノ酸の使用量はサポニンの種類、アミノ酸の種類等により当業者が適宜選定しうるものであり、実施例5において大豆サポニン末100mgに対してグリシン30mg即ちサポニン100重量部に対してアミノ酸30重量部を配合したサポニン口中清涼剤が記載されているから、当業者であれば容易に実施可能であり、不備があるとはいえない。 (2)特許異議申立人有限会社ツヤチャイルドによる特許異議申立に関する判断 特許異議申立人有限会社ツヤチャイルドの提出した甲第1乃至8号証刊行物を検討する。 甲1号証には、米醸造酢にサポニン成分を配合してなる健康飲料が記載されており、特に、好適に使用できるものは、米醸造酢モロミであり、米醸造酢モロミは最終食品に含有するアミノ酸が増加することが記載され、また、3頁左下に、最終食品に含有するアミノ酸が存在することが記載されている。 甲第2号証の特許請求の範囲第1項には、米醸造酢モロミの乾燥粉末、粗糖の着色成分、小豆サポニン、タンニン成分の4成分が少なくとも配合されてなる痩身用食品が記載されており、2頁左上に、米醸造酢モロミ中には他種類のアミノ酸が含まれることが記載されている。 甲第3号証には、冷凍寿司は少なくともサポニンと食酢を添加したものであることが記載されており、3頁右下には製造工程において納豆菌由来の各種アミノ酸が濾液中に含まれることが記載され、また、抹茶乾燥粉末中のアミノ酸が記載されており、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、アスバラギン酸、グルタミン酸が記載されている。 甲第4号証には飲料組成物が記載されており、その例5の飲料は、甲第5号証および甲第6号証を参酌すると、茶サポニンを1.1〜7.7mg、遊離アミノ酸を24.7〜96.9mg含み、茶サポニン/遊離アミノ酸比は100/320〜8809となる(茶サポニン100重量部に対して遊離アミノ酸320〜8809重量部に相当する)。 甲第7号証の実施例1乃至4には、各種サポニンを4〜8g、清酒中の遊離アミノ酸を196.2〜287.2mg含み、サポニン/遊離アミノ酸比は100/2.45〜7.18となる(サポニン100重量部に対して遊離アミノ酸2.45〜7.18重量部に相当する)健康アルコール飲料が記載されている。 特許異議申立人は、本件特許明細書の記載によると、訂正前の本件特許の請求項1乃至10に係る発明は、「サポニン及びアミノ酸を含有するサポニン含有飲食品または医薬品組成物」に関するものであるが、サポニンが抽出・分離したものであることが規定されていなし、訂正前の本件特許の請求項6で用いられている「抽出したサポニン」は抽出しただけのサポニンであるから、訂正前の本件特許の請求項1乃至10に係る発明のサポニンとアミノ酸が含まれたサポニン含有食品・飲食品の態様は、その記載をもってしては、甲第1乃至5号証および甲第7号証に記載された出願前に公知のものそのものであり、あるいは相違するとしても徴差であり、それゆえ訂正前の本件特許の請求項1乃至10に係る発明は、新規性・進歩性がない旨主張している。 しかしながら、上記訂正により、「サポニン」、「アミノ酸」を、夫々「原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)」、「前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)」と限定され、訂正後の本件発明1乃至8に用いる特定の「サポニン」と「アミノ酸」との組み合わせは、甲第1乃至8号証刊行物には記載されておらず、又それを示唆する記載もない。 そして、本件発明1乃至8はこの構成により、サポニンに由来する苦味、えぐ味等の不快味を安全かつ容易な手段により有効に軽減させるという格別の効果を奏するものと認められる。 したがって、本件発明1乃至8は、甲第1乃至5または7,8号証刊行物に記載された発明であるものとも、また、甲第1乃至5または7,8号証刊行物に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものともすることはできない。 また、特許異議申立人は、1)訂正前の本件特許の請求項1の記載は、「サポニン及びアミノ酸を含有することを特徴とするサポニン含有飲食品または医薬品組成物」であり、サポニンが抽出・ 分離したものであることが規定されていない。2)「飲食品または医薬品組成物」とは何を指すのかこの記載だけからは不明瞭であるから、本件明細書の記載が不備である旨主張しているが、この点については、上記訂正により、「サポニン」は、「原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)」と訂正され、「サポニン含有飲食品または医薬品組成物」は、「サポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物」と訂正されたから、記載不備は解消した。 (3)特許異議申立人不二製油株式会社による特許異議申立に関する判断 特許異議申立人不二製油株式会社の提出した甲第1乃至4号証刊行物を検討する。 甲第1号証第2頁右下欄第12〜16行には、「本発明の組成物では、上記サポニンに加えて、・・・システイン、アスパラギン酸・・・を配合する・・・」ことが記載されている。 甲第2号証には、「ペニシリンおよび少なくとも1つのアミノ酸・・・から成る経口投与のための薬剤組成物。」(特許請求の範囲)が記載され、第3頁右上欄第1〜4行に「ペニシリンの苦みを除去する・・・ために、アミノ酸を補助剤として用いることができる」ことが、第3頁右上欄第12行〜左下欄第1行に「次のアミノ酸は本発明に従う使用に対し適当である:・・・アラニン、・・・セリン、トレオニン、グルタミン酸・・・;・・・グリシンが特に好適である。」ことが記載されている。 甲第3号証には、「大豆食品の飲食後に口腔内全域、咽喉にわたって弱い渋味に似たいがらっぽさを感じることが多く、・・・ この不快味は、・・・収斂味(Astringent、bitter、苦味、その量的摂取の妨げともなっている。従って、これらの不快味は大豆食品の加工上最も考慮すべき重要な味であるとみなすことができる。」(第1頁左欄第23行〜右欄第7行)ことが記載されている。 甲第4号証には、「豆乳の味(収斂味・渋味)の問題を解決」することを目的とし(第1頁右欄第8〜9行)、「豆乳に、アルギニンもしくはリジン又はそれらの付加塩より選ばれるアミノ酸の1種あるいは2種以上を含有せしめることを特徴とする味の改善された豆乳の製造法。」(特許請求の範囲)が記載されている。 しかしながら、上記訂正により、「サポニン」、「アミノ酸」を、夫々「原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)」、「前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)」と限定され、訂正後の本件発明1乃至8に用いる特定の「サポニン」と「アミノ酸」との組み合わせは、甲第1乃至4号証刊行物には記載されておらず、又それを示唆する記載もない。 特許異議申立人は、甲第3号証において課題として認識された「サポニンの苦味」を解決するために、甲第2号証の「ペニシリンにアミノ酸を添加する」技術と甲第4号証の「豆乳にアミノ酸を添加する」技術を参酌し、苦味除去剤としてアミノ酸を添加することは、当業者であれば容易に推考しうる旨主張しているが、アミノ酸による苦味低減の機構は解明されておらず、全く構造の異なる訂正後の本件発明1乃至8に用いる特定のサポニンに対して、訂正後の本件発明1乃至8に用いる特定のアミノ酸が苦味低減効果を有するかどうかは、当業者といえども予測しうるところではない。 そして、本件発明1乃至8はこの構成により、サポニンに由来する苦味、えぐ味等の不快味を安全かつ容易な手段により有効に軽減させるという格別の効果を奏するものと認められる。 したがって、本件発明1乃至8は、甲第1号証刊行物に記載された発明であるものとも、また、甲第1乃至4号証刊行物に記載された発明に基づき当業者が容易に発明することができたものともすることはできない。 3.まとめ 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。 また他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 サポニン及びアミノ酸含有組成物 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)及びアミノ酸を含有することを特徴とするサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であり、サポニン100重量部に対してアミノ酸30〜50000重量部含有してなるサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物。 【請求項2】 原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)及びアミノ酸を含有することを特徴とするサポニンに由来する苦味改善組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であるサポニンに由来する苦味改善組成物。 【請求項3】 組成物が飲食品または医薬品である請求項(2)記載の組成物。 【請求項4】 サポニン100重量部に対してアミノ酸30〜50000重量部配合する請求項(2)又は(3)記載の組成物。 【請求項5】 サポニンとして、茶、キラヤ、大豆及びキキョウに含有される抽出・分離したサポニンから選ばれたものを含む請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。 【請求項6】 組成物が、飲料、菓子、シロップ、調味料、ドリンク剤、歯磨き、内服薬、トローチ、口中清涼剤、うがい薬、ゼリー、錠剤、口中香剤から選ばれたものである請求項(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。 【請求項7】 組成物が、溶液、懸濁液、粉末、固形成形物から選ばれたものである請求項(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。 【請求項8】 原料植物から抽出・分離したサポニン(甘草サポニンを除く)にアミノ酸を配合することによるサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物であって、前記アミノ酸がグリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンおよびグルタミンからなる群より選ばれた1種または2種以上のアミノ酸からなるもの(蛋白質分解物であるアミノ酸混合物を除く)であるサポニン含有飲食品組成物または医薬品組成物におけるサポニンに由来する苦味の改善方法。 【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、サポニンに由来する苦味をアミノ酸により軽減することを目的とするサポニン及びアミノ酸含有組成物特にサポニンに由来する苦味の改善された飲食用組成物に関する。 〔従来の技術〕 最近、各種サポニンに脂質代謝促進作用、コレステロール低下作用などの生理作用が見いだされ、サポニンを含有した飲食物がいわゆる健康食などとして利用されるようになってきた。しかしながらサポニンは独特の苦味とえぐ味を有しており、食品等の配合に対しては、この官能的問題点の改良が望まれてきた。これを解決する方法として、たとえば特開昭59-224668号では茶サポニンをα-グリコシル転移酵素の作用によりα-グリコシル茶サポニンとしその苦味とえぐ味の軽減を図っている。しかしこの様な化合物は特定のα-グリコシル転移酵素を使用して製造する必要があり、又その安全性や毒性の問題点から食品等へ自由に配合するには問題がある。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明はサポニンを含有組成物、就中飲食用組成物中のサポニン特有の苦味とえぐ味を安全かつ容易な手段により無くして、その摂取を容易にすることを課題とする。 〔問題を解決するための手段〕 本発明者らは、この問題解決のため種々検討した結果、苦味とえぐ味を呈するサポニンにアミノ酸を含有すると苦味とえぐ味に対する官能特性が軽減され、服用しやすくなることを発見した。アミノ酸はタンパク質の構成成分であり本来食品として安全に配合できる物質であり、本目的にふさわしいものと言える。 本発明で使用するサポニンとしては、茶サポニン、キラヤサポニン、大豆サポニン、キキョウサポニンが好適なものとして例示される。茶サポニンは通常、茶(Thea sinesis L.)の葉または種子に含まれており、例えば市販品のティーポニン(居初油化工業製)は種子から抽出したサポニンである。キラヤサポニンは、南米のバラ科植物キラヤ(Quillaia saponaria Molina)の樹皮から製造される。わが国では、キラヤ抽出物として天然食品添加物として登録され、その界面活性作用としての物理化学特性を生かして発泡剤や乳化剤として利用されている。 大豆のサポニンは大豆(Glycine soja Benth)の種子から抽出したサポニンである。キキョウのサポニンはキキョウ科植物(Platycodon grandiflorum A.De Candolle)の根から抽出したサポニンである。 ここで言うサポニンとは、必ずしも単一の物質のみを指すものでなく、原料植物の全体あるいは葉、種子、樹皮等の各部位からサポニンに共通した物性による抽出・分離方法によって得られた適宜の純度のサポニン分画成分でも差し支えない。 例えば、茶サポニンとしては、茶の種子の殻を除いた後粗粉砕した物をn-ヘキサンにより油分を除いた後、アルコールまたはアルコールと水の混液で茶サポニンを抽出し、抽出液にエーテルを加えて放置すれば茶サポニンの沈澱を得ることが出来る。また、より純度の高い茶サポニンを得る方法としては、たとえば多孔性ポリスチレン系樹脂吸着剤、例えばRohm&Haas社製の商品名アンバーライトXAD-1、アンバーライトXA-2、アンバーライトXA-4、アンバーライトXA-7、アンバーライトXA-8などを用いて茶サポニンを吸着させた後不純物を水洗除去後、低級アルコール液、例えばメタノールを用いて茶サポニンを遊離させ精製することができる。 本発明で使用するアミノ酸としては、脂肪族中性アミノ酸が好適であり、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリンが例示される。また脂肪族酸性アミノ酸およびその誘導体も同様の効果を有しており、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミンが例示される。これらのアミノ酸はD、LまたはDL体のいずれでもよい。サポニン成分及びアミノ酸成分はそれぞれ1種または2種以上適宜混和したものを使用してもよい。 サポニンに対する有効なアミノ酸量は使用目的やサポニン、アミノ酸の種類、サポニンの純度、濃度及び飲食品の種類、含有される糖分、甘味料、香料、香辛料、酸味成分等によっても異なるが、目的に応じて適当量を使用することが望ましい。 一般にはサポニン100部(精製品)に対して、アミノ酸30〜50000部(以下いずれも重量部)が使用されるが、好ましくは1000〜20000部がより好適である。 たとえば、単味の精製サポニン水溶液の場合では一般にサポニン100部に対してアミノ酸は5000部で充分効果が認められ、通常は10000〜20000部を使用することが好ましい。そのアミノ酸の使用濃度は一般には2〜4%程度が基準となる。 本発明の組成物は、通常飲食品、さらには医薬品として使用され、かかる製品としては、たとえば飲料、清涼飲料、菓子、氷菓、シロップ、果実加工品、野菜加工品、畜肉製品、罐詰、調味料、ドリンク剤、歯磨き、内服薬、トローチ、口中清涼剤、うがい薬、ゼリー、錠剤、口中香剤などが例示される。即ち、本発明は溶液、懸濁液、粉末、固体成形物など、その形態の如何を問わず摂取時苦味を呈する各種製品に利用できる。 サポニン成分を含有するこれらの飲食品に対して、適当量のアミノ酸をその製品の原料または製造工程中に混和、溶解、散布、注入などの公知手段で添加含有せしめて製品を調製すればよい。 〔実施例〕 次に、実験例及び実施例をもって本発明をさらに具体例によって説明する。 実験例1 下記に示す配合で液状組成物を作成し官能評価を実施した結果を示す。 実施例1.サポニン含有清涼飲料水 組成 茶サポニン 20mg キラヤサポニン 50mg グリシン 2g L-アラニン 1g 白糖 10g クエン酸 500mg 香料 0.1ml 上記成分を水に溶かして全量を100mlとする。 実施例2.サポニン含有医薬品ドリンク 組成 キラヤサポニン 500mg グリシン 1000mg L-アラニン 900mg 白糖 3000mg クエン酸 150mg 香料 0.03ml 上記成分を水に溶かして全量を30mlとし、これを1回服用量とする。 実施例3.サポニン含有アイスクリーム 組成 大豆サポニン 100mg DL-トレオニン 20g 生クリーム 465g 脱脂乳 380g 砂糖 150g ゼラチン 5g 上記成分を加熱しつつ攪拌混合した後、カップ容器に約100gづつ詰めた物を冷凍する。 実施例4.サポニン含有ゼリー 砂糖200g、クエン酸ナトリウム4g、ゼラチン150g、キキョウサポニン200mg、キラヤサポニン400mg、グリシン30gおよび水11を加熱混合し、温度80℃に10分間保った後、これにクエン酸30gを入れ均一に混合し次いで容器に約100mlづつ小分けした物を冷却する。 上記の割合で混合した後打錠する(1錠約912mg)。 上記の割合で混合した後1錠約531mgの重量に打錠する。1回服用量は2錠とする。 〔発明の効果〕 本発明によればサポニン含有物、特に飲食品にアミノ酸を添加、含有させることにより、サポニンに由来する苦味、えぐ味等の不快味を安全かつ容易な手段により有効に軽減させ、サポニン含有物の味、風味を改善する効果があり、サポニン含有飲食品等の摂取が容易となる。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2003-08-15 |
出願番号 | 特願平2-338886 |
審決分類 |
P
1
651・
535-
YA
(A23L)
P 1 651・ 121- YA (A23L) P 1 651・ 113- YA (A23L) P 1 651・ 531- YA (A23L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高堀 栄二 |
特許庁審判長 |
河野 直樹 |
特許庁審判官 |
種村 慈樹 田村 聖子 |
登録日 | 2001-11-02 |
登録番号 | 特許第3246738号(P3246738) |
権利者 | ロート製薬株式会社 |
発明の名称 | サポニン及びアミノ酸含有組成物 |
代理人 | 細田 芳徳 |
代理人 | 細田 芳徳 |
代理人 | 須藤 阿佐子 |