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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E06B
管理番号 1086408
異議申立番号 異議2002-72008  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-10-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-08-12 
確定日 2003-09-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3255694号「組付け網戸装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3255694号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件第3255694号発明についての出願は、平成4年3月12日に特許出願され、平成13年11月30日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、古橋由季子より、その請求項1〜3に係る発明についての特許に対し特許異議の申立てがなされ、平成15年1月7日付けで取消理由が通知され、その指定期間内の平成15年3月24日付けで訂正請求がされるとともに意見書が提出され、再度、平成15年5月9日付けで取消理由が通知され、平成15年7月22日付けで訂正請求がされるとともに意見書が提出された。
なお、平成15年3月24日付けの訂正請求は、取り下げられた。

〔2〕訂正請求について
1 訂正請求の内容
本件訂正請求の趣旨は、特許第3255694号の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであり、訂正事項は以下のとおりである。
訂正事項a
明細書の特許請求の範囲の記載
「【請求項1】建物の窓部等の開口枠に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材を備え、これら第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けた組付け網戸装置であって、
前記第1及び第2の可動部材の少なくともいずれか一方に、前記第1及び第2の可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にしたことを特徴とする組付け網戸装置。
【請求項2】第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の組付け網戸装置。
【請求項3】ワイヤーテンション機構は、第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して掛け渡される少なくとも1本本のワイヤーからなることを特徴とする請求項2記載の組付け網戸装置。」

「【請求項1】建物の窓部等の開口枠にそれぞれ固定される第1及び第2の固定部材と、
前記開口枠に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材を備え、
これら第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けた組付け網戸装置であって、
前記第1及び第2の可動部材の対向させた収納空間の少なくともいずれか一方に、前記第1及び第2の可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にし、
前記第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設け、
該ワイヤーテンション機構は、第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して掛け渡される少なくとも1本のワイヤーからなることを特徴とする組付け網戸装置。」
と訂正する。
訂正事項b
明細書の発明の詳細な説明の段落【0007】の記載を、
「【課題を解決するための手段】 上記した課題を解決するために、この発明は、建物の窓部等の開口枠にそれぞれ固定される第1及び第2の固定部材と、前記開口枠に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材を備え、これら第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けた組付け網戸装置であって、前記第1及び第2の可動部材の対向させた収納空間の少なくともいずれか一方に、前記第1及び第2の可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にし、前記第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設け、該ワイヤーテンション機構は、第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して掛け渡される少なくとも1本のワイヤーからなることを特徴とする組付け網戸装置にしたものである。」
と訂正する。
訂正事項c
明細書の発明の詳細な説明の段落【0032】の記載を、
「また、第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設けてなるために、可動部材の開閉移動操作を円滑に行なえるとともに、可動部材を任意の位置で停止させることができる。」
と訂正する。

2 訂正の適否
訂正事項aは、訂正前の特許請求の範囲の請求項1において、「開口枠にそれぞれ固定される第1及び第2の固定部材」の構成及び「対向させた収納空間」の構成を加え、訂正前の請求項2及び3に記載されていた構成を加えるとともに、訂正前の請求項2及び3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項b及びcは、特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項a〜cは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、上記訂正事項a〜cの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法120条の4第3項において準用する平成6年法律116号による改正前の特許法126条1項ただし書及び2項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

〔3〕特許異議の申立てについて
1 異議申立ての理由の概要
異議申立人は、請求項1〜3に係る発明についての特許に対し、甲第1号証〜甲第5号証を提出して、請求項1〜3に係る発明は、甲第1号証〜甲第5号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、それらの特許は取り消されるべきである旨主張する。
甲第1号証:実公昭64-2959号公報
甲第2号証:実願昭58-27333号(実開昭59-132895号) のマイクロフィルム
甲第3号証:特開昭62-164988号公報
甲第4号証:実願昭58-143715号(実開昭60-51286号) のマイクロフィルム
甲第5号証:特開昭62-148791号公報

2 本件発明
上記のとおり明細書の訂正が認められたので、本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】建物の窓部等の開口枠にそれぞれ固定される第1及び第2の固定部材と、
前記開口枠に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材を備え、
これら第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けた組付け網戸装置であって、
前記第1及び第2の可動部材の対向させた収納空間の少なくともいずれか一方に、前記第1及び第2の可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にし、
前記第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設け、
該ワイヤーテンション機構は、第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して掛け渡される少なくとも1本のワイヤーからなることを特徴とする組付け網戸装置。」

3 甲各号証の記載事項
甲第1号証(取消理由に引用した、引用例1)には、実用新案登録請求の範囲、2欄24行〜3欄2行、4欄15〜43行の記載及び第3図〜第5図によれば、甲第1号証には、
「建物の窓枠に固定される左右の網戸竪枠17、18の間に左右横方向に開閉移動可能な可動部材22を備え、一方の網戸竪枠17と可動部材22の間に、可動部材22の開閉移動に追従してV字状に折畳み伸縮自在な網25を設け、可動部材22の溝形部22aに、可動部材22の閉時における網25を折畳み状態で収納可能にした網戸」
が記載されていると認められる。

甲第2号証(同、引用例2)には、実用新案登録請求の範囲、明細書1頁10行〜2頁4行、同2頁6〜9行、同4頁10〜17行、同5頁11行〜6頁9行の記載及び第1図〜第3図によれば、
「建物の窓部等の戸開口枠2に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な二つの外の支柱5、6を備え、一方の外の支柱5はダボ21により戸枠14に取付けられ、他方の外の支柱6は磁石テープ22により戸開口枠2に取付けられ、これら二つの外の支柱間に、二つの外の支柱の開閉移動に追従して、内の支柱と補助柱に取付けられた個所で折り畳まれる折り畳み伸縮自在な網体10を設けた網戸」
が記載されていると認められる。

甲第3号証には、8頁左上欄9〜15行、15頁左上欄12行〜右上欄14行の記載によれば、
「建物の窓部等に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な2つの安定化ロッド115を備え、これらの2つの安定化ロッド115の間に、2つの安定化ロッド115の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の布110を設けた垂直ドレープシステム105」
が記載されていると認められる。

甲第4号証には、実用新案登録請求の範囲の記載及び第1図〜第3図によれば、
「建物の開口枠に組み付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材を備え、第1及び第2の可動部材間に、第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折り畳み伸縮自在なプリーツ状のカーテンを設けたアコーデオンカーテン」
が記載されていると認められる。

甲第5号証(同、引用例3)には、2頁右上欄3行〜左下欄9行、3頁右上欄14〜18行の記載及び第1図〜第3図、第13図、第14図によれば、「棒状部材と固定部材3との間に開閉部材4を間に存して、機を介した棒状部材と固定部材3に掛け渡され、稼働部材に、移動方向の振動を防止する、少なくとも1本の紐を使用したテンション機構を設けた手動式プリテツドシエード1」
が記載されていると認められる。

4 対比・判断
本件発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、甲第1号証記載の発明の「窓枠」、「左右の網戸竪枠17、18」、「網25」、「網戸」及び「可動部材の溝形部22a」は、それぞれ本件発明の「窓部等の開口枠」、「第1及び第2の固定部材」、「網目部材」、「網戸装置」及び「可動部材の収納部」に相当し、甲第1号証記載の発明の「網25」は、V字状に折畳み伸縮自在、つまりプリーツ状に折畳み伸縮自在であるから、両者は、
「建物の窓部等の開口枠に固定される第1及び第2の固定部材と、開口枠に組付けられる左右横方向に開閉移動可能な可動部材を備え、可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けた組付け網戸装置であって、可動部材の収納部に、可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にした組付け網戸装置」
である点で一致するものの、以下の点で相違する。
相違点
本件発明は、第1及び第2の可動部材を備え、これら第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設け、第1及び第2の可動部材の対向させた収納空間の少なくともいずれか一方に、網目部材を折畳み状態で収納可能にし、第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設け、該ワイヤーテンション機構は、第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して掛け渡される少なくとも1本のワイヤーからなるのに対し、甲第1号証記載の発明は、一つの可動部材を備え、一方の固定部材と可動部材との間に、可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けており、ワイヤーテンション機構を設けていない。

そこで、上記相違点について検討すると、甲第2号証には、網戸において、外の支柱5、6(本件発明の「可動部材」に相当する。)間に、二つの外の支柱の開閉移動に追従して、内の支柱と補助柱に取付けられた個所で折り畳まれる折り畳み伸縮自在な網体10(同「網目部材」に相当する。)を設けることが記載されているが、本件発明のように、「第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して」「第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設け」ることは、記載されていない。
また、甲第3号証には、垂直ドレープシステム105において、2つの安定化ロッド115の間に、2つの安定化ロッド115の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の布を設けることが記載され、甲第4号証には、アコーデオンカーテンにおいて、第1及び第2の可動部材間に、第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折り畳み伸縮自在なプリーツ状のカーテンを設けることが記載され、甲第5号証には、手動式プリテツドシエード1において、棒状部材(同「第1の固定部材」に相当する。)と固定部材3(同「第2の固定部材」に相当する。)との間に開閉部材4(同「可動部材」に相当する。)を間に存して、機を介した棒状部材と固定部材3に掛け渡され、稼働部材に、移動方向の振動を防止する、少なくとも1本の紐を使用したテンション機構が記載されているが、いずれも、相違点における本件発明の構成の一部が示唆されているにすぎない。
このように、甲第2号証〜甲第5号証のいずれにも、相違点における本件発明の構成のうち、少なくとも、上記「第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して」「第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設け」るという構成については、記載されていないし、示唆もされていない。
そして、本件発明は、上記の構成を有することにより、訂正明細書に記載の「また、第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して網目部材を中開き状に横引き可能にしてなるために、……引違い戸の開閉幅に応じた開閉調整ができる。」(段落【0030】)いう特有の効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明は、甲第1号証〜甲第5号証記載のものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

〔4〕むすび
以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
組付け網戸装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓部等の開口枠にそれぞれ固定される第1及び第2の固定部材と、
前記開口枠に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材を備え、
これら第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けた組付け網戸装置であって、
前記第1及び第2の可動部材の対向させた収納空間の少なくともいずれか一方に、前記第1及び第2の可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にし、
前記第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設け、
該ワイヤーテンション機構は、第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して掛け渡される少なくとも1本のワイヤーからなることを特徴とする組付け網戸装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば一般住宅あるいはオフィスビルなどの建物の窓部等の開口枠に組付けられる組付け網戸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の網戸においては、例えば建物の窓部等の開口枠を形成するサッシ枠に、単体枠の全面に網目部材が張られた戸本体を、例えば引違い戸と共にスライド自在に組付けてなる構成を有するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来構造の網戸にあっては、使用期間が夏時期などに限られて短く、しかも、戸本体が全面に網目部材を張った単体枠からなるために、保管に際して、雨戸収納用の戸袋が付設されたサッシ枠では、戸袋を保管場所として利用しているものであるが、戸袋が無いものでは、サッシ枠から戸本体を取外して物置に収納したり、テラスやベランダなどに放置したり、あるいは、そのままサッシ枠に組付けた状態で放置しているのが現状である。
【0004】
このため、従来では、網戸の保管収納場所に困り、特に、網戸をサッシ枠に組付けた状態で放置してなる場合には、網目部材の網目に塵や埃等が付着して汚れが目立ち易く、これによって、室内外の美観性を損なうばかりでなく、例えばテラスやベランダなどに通じるサッシ枠に組付けてなるものでは、出入りの邪魔になるとともに、網目によって室内への採光量が規制されてしまう。
【0005】
また、網戸の使用に際して、戸本体の幅寸法が引違い戸の幅寸法に応じて固定されていることから、網戸自体による開閉調整が不可能であり、引違い戸の開閉幅に応じた網目幅しか使用することができず、これによって、引違い戸の全開状態では、対接する互いの枠間の密封性を保つことができるが、引違い戸の半開状態では、互いの枠間のずれによる隙間が生じ、この隙間から蚊や虫等が室内に侵入するという問題があった。
【0006】
【発明の目的】
この発明の目的は、建物の窓部等の開口枠への組付けが容易にかつ簡便に行なえ、しかも、別途に保管場所を必要とすることなく保管収納することができるようにするとともに、出入りの邪魔になったり、室内への採光量を規制することがないようにした組付け網戸装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、この発明は、建物の窓部等の開口枠にそれぞれ固定される第1及び第2の固定部材と、前記開口枠に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材を備え、これら第1及び第2の可動部材間に、前記第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けた組付け網戸装置であって、前記第1及び第2の可動部材の対向させた収納空間の少なくともいずれか一方に、前記第1及び第2の可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にし、前記第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設け、該ワイヤーテンション機構は、第1の固定部材と第2の固定部材との間に第1及び第2の可動部材を間に存して掛け渡される少なくとも1本のワイヤーからなることを特徴とする組付け網戸装置にしたものである。
【0008】
【作用】
すなわち、この発明は、上記の構成を採用することにより、建物の窓部等の開口枠に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材間に、これら可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けてなるために、建物の窓部等の開口枠に固定部材を固定して組付け、かつ、可動部材を開閉移動自在に組付けるだけで、網戸として利用可能になり、しかも、開口枠への組付けが容易にかつ簡便に行なえる。
【0009】
また、第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して網目部材を中開き状に横引き可能にしてなるために、上下縦方向の開閉操作と比較して、子供等のような背丈の低い者でも容易に開閉操作が行なえるとともに、引違い戸の開閉幅に応じた開閉調整が可能になる。
【0010】
さらに、第1及び第2の可動部材の少なくともいずれか一方に、可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にしてなるために、保管場所を別途に設ける必要がない。
【0011】
さらにまた、第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設けてなるために、各々の可動部材の開閉移動操作が円滑に行なえる。
【0012】
【実施例】
以下、この発明を図示の実施例を参照しながら詳細に説明すると、図2はこの発明に係る組付け網戸装置が組付けられた建物の窓部を示し、図中1は窓部の開口枠を形成するサッシ枠本体である。
【0013】
このサッシ枠本体1は、図3及び図4に示すように、互いに対向する左右一対の縦枠2,3と上下横枠4,5とからなる枠組み構成を有するとともに、第1及び第2の戸枠部6,7と後述する組付け網戸装置本体10が両開き状に組み込まれる第3の網戸組付け枠部8とが室内側から室外側に向け順に一体形成されている。
【0014】
そして、前記サッシ枠本体1の第1及び第2の戸枠6,7の上下ガイドレール6A,6B及び7A,7Bには、左右横方向Xに向け横引き開閉自在な左右一対の引違い戸100,200が組み込まれている。
【0015】
すなわち、上記の組付け網戸装置本体10は、図1に示すように、第1及び第2の固定部材11,12と第1及び第2の可動部材13,14を備え、これらの第1及び第2の可動部材13,14間には、両端部15a,15bを前記1及び第2の可動部材13,14側にそれぞれ固着したポリエステル樹脂等の糸で編成してなるプリーツ状の網目部材15が設けられている。
【0016】
この網目部材15は、前記第1及び第2の可動部材13,14の左右横方向の開閉移動(図1、図2及び図4に示す実線矢印X方向)に追従して折畳み伸縮自在に中開き状に横引き可能になっているとともに、前記第1及び第2の可動部材13,14の閉状態において、前記第1及び第2の可動部材13,14に対向させた収納空間13A,14Aの少なくともいずれか一方に折畳み収納可能になっているものである。
【0017】
また、前記組付け網戸装置本体10を構成する第1及び第2の可動部材13,14には、ワイヤーテンション機構20が設けられ、このワイヤーテンション機構20は、図5に示すような構成となっている。
【0018】
すなわち、一端21aが第1の固定部材11の上端部に固定Aされた1本のワイヤー21を、第1の固定部材11と第1の可動部材13との間に平行に、かつ、第1の固定部材11と第1の可動部材13との間の網目部材15の折り目間に交互に通す。
【0019】
この第1の網目部材15の折り目間に交互に通された平行な第1の平行ワイヤー21Aは、第1の可動部材13の上端部に挿入されて下部に向け折り返され、この第2の折返しワイヤー21Bは、第1の可動部材13の下部から第2の可動部材14の下部に向け平行に延出されるとともに、この第3の平行な延出ワイヤー21Cを第2の可動部材14内の下部から挿入し、これら第1,第2及び第3のワイヤー21A,21B,21CとでZ型を呈するように掛け渡す。
【0020】
このように、Z型を呈するように掛け渡されて第2の可動部材14内の下部から挿入された第3の延出ワイヤー21Cは、上方に向け折り返されるとともに、この第4の折返しワイヤー21Dは、前記第2の可動部材14の上端部から第2の固定部材12の上端部に向け平行に延出され、この第5のワイヤー21Eと前記第3及び第4のワイヤー21C,21DとでZ型を呈するように掛け渡す。
【0021】
前記第5の平行な延出ワイヤー21Eは、第2の固定部材12の上端部に挿入されて下方に向け折り返され、この第6の折返しワイヤー21Fは、前記第2の固定部材12の下端部から第2の可動部材14の下端部に向けて平行に延出される。
【0022】
この第7の平行な延出ワイヤー21Gは、前記第2の可動部材14の下端部に再び挿入されて上方に向け折り返され、この第8の折返しワイヤー21Hを前記第2の可動部材14の上部から第1の可動部材13の上部に向けて平行に延出させる。
【0023】
さらに、この第9の平行な延出ワイヤー21Iは、前記第1の可動部材13の上部から挿入されて下方に向け折り返され、この第10の折返しワイヤー21Jを前記第1の可動部材13の下端部から第1の固定部材11の下端部に向け平行に延出させ、この第11の平行な延出ワイヤー21Kと前記第9のワイヤー21I及び第10のワイヤー21JとでZ型を呈するように掛け渡す。
【0024】
そして、前記第11の平行な延出ワイヤー21Kの延出端、すなわち、ワイヤー21の他端21bは、調整装置22に保持され、この調整装置22にてワイヤー21の張力が第1及び第2の可動部材13,14の上下部に均等に作用するように調整した後、前記第2の固定部材12内に挿入された第6の折返しワイヤー21Fの途上を固定具23にて固定Bしてなるものである。
【0025】
このように、1本のワイヤー21を組付け網戸装置本体10の上下に交差させて掛け渡すことにより、組付け網戸装置本体10のサッシ枠本体1への組付け状態において、第1及び第2の可動部材13,14の開閉移動時に、第1及び第2の可動部材13,14の上下部に作用する張力の差を相殺して、その移動方向の揺動を防止し、これによって、第1及び第2の可動部材13,14の移動を円滑にし、かつ、任意の位置での停止を可能にしている。
【0026】
ところで、この発明に係る組付け網戸装置本体10を前記サッシ枠本体1に組付けるには、図1、図3及び図4に示すように、前記網戸10を構成する第1及び第2の固定部材11,12の裏面11a,12aと、前記サッシ枠本体1を構成する左右縦枠2,3の網戸組付け枠部8を形成する内面2a,3aとの双方に、ファスナ(商品名:マジックテープ)31,32をそれぞれ取付けておき、このファスナ31,32を介して前記第1及び第2の固定部材11,12を着脱可能に組付け得るようになっているものである。
【0027】
このようなファスナ31,32による取付けによって、前記組付け網戸装置本体10のサッシ枠本体1への組付けを容易にかつ簡便にするとともに、組付け網戸装置本体10の補修・交換に対する便宜性を図っている。
【0028】
なお、上記の実施例においては、建物の開口枠として、引違い戸用サッシ枠を例にして説明したが、例えば建物の勝手口などの扉用サッシ枠やサッシ枠に組み込まれる額縁などにも応用することが可能であることは云うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、建物の窓部等の開口枠に組付けられる左右横方向にそれぞれ開閉移動可能な第1及び第2の可動部材間に、これら可動部材の開閉移動に追従して折畳み伸縮自在なプリーツ状の網目部材を設けてなる構成としてなることから、窓等の開口枠に固定部材を固定して組付け、かつ、可動部材を開閉移動自在に組付けるだけで、網戸として利用することができ、しかも、開口枠への組付けを容易にかつ簡便に行なうことができる。
【0030】
また、第1及び第2の可動部材の開閉移動に追従して網目部材を中開き状に横引き可能にしてなるために、上下縦方向の開閉操作と比較して、子供等のような背丈の低い者でも容易に開閉操作を行なうことができるとともに、引違い戸の開閉幅に応じた開閉調整ができる。
【0031】
さらに、第1及び第2の可動部材の少なくともいずれか一方に、可動部材の閉時における網目部材を折畳み状態で収納可能にしてなるために、保管場所を別途に設ける必要がなく、しかも、従前のような出入りの邪魔になったり、室内への採光量を規制することがない。
【0032】
また、第1及び第2の可動部材に、移動方向の揺動を防止するワイヤーテンション機構を設けてなるために、可動部材の開閉移動操作を円滑に行なえるとともに、可動部材を任意の位置で停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明に係る組付け網戸装置の一実施例を示す斜視図。
【図2】
同じく建物の窓部等の開口枠への組付け網戸装置本体の組付け状態を示す説明図。
【図3】
図2のイ-イ線における縦断面図。
【図4】
図2のロ-ロ線における横断面図。
【図5】
同じく組付け網戸装置本体のワイヤーテンション機構を概略的に示す説明図。
【符号の説明】
1・・・開口枠(サッシ枠本体)、
10・・・組付け網戸装置本体、
11・・・第1の固定部材、
12・・・第2の固定部材、
13・・・第1の可動部材、
14・・・第2の可動部材、
15・・・網目部材、
20・・・ワイヤーテンション機構、
21・・・ワイヤー、
X・・・開閉方向。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-08-25 
出願番号 特願平4-87526
審決分類 P 1 651・ 121- YA (E06B)
最終処分 維持  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 公子
長島 和子
登録日 2001-11-30 
登録番号 特許第3255694号(P3255694)
権利者 不二サッシ株式会社 株式会社メタコ
発明の名称 組付け網戸装置  
代理人 水谷 安男  
代理人 水谷 安男  
代理人 島田 義勝  
代理人 島田 義勝  
代理人 水谷 安男  
代理人 島田 義勝  

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