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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1086414
異議申立番号 異議2001-73353  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-05-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-12-18 
確定日 2003-08-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3176542号「半導体装置及びその製造方法」の請求項1、3〜7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3176542号の請求項1、3〜7に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
特許第3176542号(平成7年10月25日出願、平成13年4月6日設定登録)は、異議申立人渡辺紀子により、その請求項1、3〜7に係る発明(以下「本件発明1、3〜7」という。)の特許について特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成15年2月10日に訂正請求がなされたものである。

[2]訂正の適否についての判断
(1)訂正事項
(1-1)訂正事項1
願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の請求項1、3〜7について、以下のとおり訂正する。
「【請求項1】 外側絶縁材層とチップ側絶縁材層とこれら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターンとからなり、配線パターンのチップ側絶縁材層側には配線パターンが露出した内部接続領域が設けられるとともに、配線パターンの外側絶縁材層側には配線パターンと接続したボール状の外部接続端子が設けられた配線板と、
表面に電極を有し裏面が配線板のチップ側絶縁材層に接合された半導体チップと、
半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とを接続するワイヤと、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板上に封止する樹脂封止部とを備え、
前記配線板は半導体チップの周辺部に内部接続領域が形成されるとともに、この内部接続領域の端部が配線板の端部と一致し、この内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンとボール状の外部接続端子とが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 外側絶縁材層とチップ側絶縁材層とこれら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターンとからなり、配線パターンのチップ側絶縁材層側には配線パターンが露出した内部接続領域が設けられるとともに、配線パターンの外側絶縁材層側には配線パターンと接続した外部接続端子が設けられた配線板と、
表面に電極を有し裏面が配線板のチップ側絶縁材層に接合された半導体チップと、
半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とを接続するワイヤと、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板上に封止する樹脂封止部とを備え、
前記配線板は半導体チップの周辺部に内部接続領域が形成されるとともに、その内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンと外部接続端子とが形成されており、
前記配線板のチップ側絶縁材層が熱可塑性樹脂からなり、その熱可塑性樹脂を加熱することにより半導体チップと配線板とが接合された半導体装置。
【請求項3】 配線板のチップ側絶縁材層が絶縁性の接着剤である請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】 配線板のチップ側絶縁材層が内部接続領域の形成時に配線パターン側よりも半導体チップ側が狭い状態で逆くさび状に取り除かれ、それによって樹脂封止の際、アンカー効果により配線板と樹脂との密着性を向上させた請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】 配線板の外側絶縁材層が小ホールを有し、この小ホールにより配線板の接合面での気化膨張の発生を防止する請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】 配線板の配線パターンが外側絶縁材層よりも狭い範囲で形成され、樹脂封止部と外側絶縁材層との間から配線パターンが露出しないようにした請求項2記載の半導体装置。
【請求項7】 外側絶縁材層にスルーホールを形成するとともにその外側絶縁材層に配線パターンを形成し、この配線パターンをチップ側絶縁材層で覆うことによりチップ側絶縁材層と外側絶縁材層との間に配線パターンを形成した配線板を作製し、
配線板の配線パターンをチップ側絶縁材層の周辺部から露出させて内部接続領域を形成し、
表面に電極が形成された半導体チップの裏面を配線板のチップ側絶縁材層の内部接続領域よりも内側領域に接合し、
半導体チップの電極と内部接続領域とをワイヤで接続し、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板のチップ側絶縁材層上に封止し、
配線板の外側絶縁材層からスルーホールによって露出している配線パターンを外部接続端子形成点としこの外部接続端子形成点上にボール状の外部接続端子を形成することからなり、
配線パターン及びボール状の外部接続端子を内部接続領域よりも配線板中央寄りに形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。」

(1-2)訂正事項2
ア)段落0052を以下のとおり訂正する。
「【課題を解決するための手段】
この発明は、外側絶縁材層とチップ側絶縁材層とこれら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターンとからなり、配線パターンのチップ側絶縁材層側には配線パターンが露出した内部接続領域が設けられるとともに、配線パターンの外側絶縁材層側には配線パターンと接続したボール状の外部接続端子が設けられた配線板と、
表面に電極を有し裏面が配線板のチップ側絶縁材層に接合された半導体チップと、
半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とを接続するワイヤと、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板上に封止する樹脂封止部とを備え、
前記配線板は半導体チップの周辺部に内部接続領域が形成されるとともに、この内部接続領域の端部が配線板の端部と一致し、この内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンとボール状の外部接続端子とが形成されていることを特徴とする半導体装置である。」

イ)段落0067を以下のとおり訂正する。
「この発明は、また、外側絶縁材層にスルーホールを形成するとともにその外側絶縁材層に配線パターンを形成し、この配線パターンをチップ側絶縁材層で覆うことによりチップ側絶縁材層と外側絶縁材層との間に配線パターンを形成した配線板を作製し、
配線板の配線パターンをチップ側絶縁材層の周辺部から露出させて内部接続領域を形成し、
表面に電極が形成された半導体チップの裏面を配線板のチップ側絶縁材層の内部接続領域よりも内側領域に接合し、
半導体チップの電極と内部接続領域とをワイヤで接続し、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板のチップ側絶縁材層上に封止し、配線板の外側絶縁材層からスルーホールによって露出している配線パターンを外部接続端子形成点としこの外部接続端子形成点上にボール状の外部接続端子を形成することからなり、
配線パターン及びボール状の外部接続端子を内部接続領域よりも配線板中央寄りに形成することを特徴とする半導体装置の製造方法である。」

(2)訂正の適否
(2-1)訂正事項1について
ア)請求項1の訂正は、外部接続端子をより下位概念である「ボール状の外部接続端子」に限定するとともに、内部接続領域の端部が配線板の端部と一致することを限定したものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。そしてこれらの限定は、特許明細書の段落0054、段落0059及び図13の記載に基づくものである。
イ)請求項2の訂正は、訂正前の請求項1の構成要件を取り込んで、引用形式を独立形式としたものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。
ウ)請求項3〜6の訂正は、「ことを特徴とする」の記載を削除したものであって、明りょうでない記載の釈明に該当するとともに、さらに、請求項6の訂正は、訂正前の請求項1を引用する引用形式から訂正後の請求項2を引用する引用形式に訂正したものであって、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮に該当する。
エ)請求項7の訂正は、外部接続端子をより下位概念である「ボール状の外部接続端子」に限定したものであって、特許請求の範囲の減縮に該当する。そしてこの限定は、特許明細書の段落0054、段落0059の記載に基づくものである。

(2-2)訂正事項2について
段落0052、段落0067の訂正は、特許請求の範囲の訂正に発明の詳細な説明の記載を整合させたものであって、明りょうでない記載の釈明に該当する。

そして、上記訂正事項1、2については、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正事項1、2に係る訂正は、特許法第120条の4第2項、及び第3項において準用する同法第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[3]取消理由で引用された刊行物である引用例1〜8の記載事項
(1)引用例1(甲第1号証)
引用例1の特開平4-43669号公報には、ピングリッドアレイ型半導体装置において高密度実装化を図るための構造に関する発明が図1、2とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。
「半導体チップと、前記半導体チップと電気的に接続された金属配線層と、前記金属配線層が表面に形成された基板と、前記基板の内部にその上部が挿入された金属製リードピンとを含むピングリッドアレイ型半導体装置において、前記基板の内部に挿入された前記リードピンの上方に、前記半導体チップを配置したことを特徴とするピングリッドアレイ型半導体装置。」(特許請求の範囲)
「本発明は、従来のピングリッドアレイ型半導体装置では、金属製リードピンが配置されていなかった基板の半導体チップ搭載部にもリードピンを配置することにより、リードピンのピン径、及びピン間隔を変えることなく、従来装置に比べて、同一本数のリードピンを配置するために必要な基板の寸法、すなわち、装置の外形寸法を小型化できるので、高密度実装に適したピングリッドアレイ型半導体装置を提供することができる。」(3頁左上欄17行〜右上欄5行)
「金属リードピン1が基板2の全域にわたって挿入され、基板2の中央部上方に接着剤層3を介して半導体チップ4を接着し、さらに、半導体チップ4と基板2の表面に形成された金属配線5をボンディングワイヤ6で電気的に接続した後、半導体チップ4、ボンディングワイヤ6、及び、金属配線5等を樹脂で封止して構成される。」(3頁右上欄11〜17行)
「本実施例では、金属製リードピン1のピン径及びピン間隔を変えることなく、基板2の半導体チップ搭載部に金属製リードピン1を配置していなかった従来のプラスチックピングリッドアレイ型半導体装置に比べ、基板の寸法、すなわち、装置の外形寸法を小形化することができる。従って、プラスチックピングリッドアレイ型半導体装置において、高密度実装化を図ることができる。なお、収容する半導体チップの寸法に比べピン数の少ない装置では、金属製リードピン1を、基板の半導体チップ搭載部にのみ挿入してもよい。」(3頁右下欄3〜14行)
第13図について、「本実施例は、基板2の半導体チップ4を搭載する部分の表面に形成された金属配線5が、保護部材層10aを介さず、接着剤層3によって半導体チップ4に接着されている」(6頁左上欄15行〜右上欄1行)

(2)引用例2(甲第2号証)
引用例2の特開平7-135271号公報には、半導体装置用基板において、樹脂封止部の輪郭線より若干内側に相当する位置に他方のICチップ側の面方向へ掛止孔を透設することにより、樹脂封止部を形成する際に進入して固化した樹脂が抜脱するのを防止することが、図1、3とともに記載されている。

(3)引用例3(甲第3号証)
引用例3の特開昭63-169033号公報には、半導体素子を接着樹脂によってダイマウントする基板にスルーホールを設けることにより、接着樹脂から発生するガスを抜くことが、第1図とともに記載されている。

(4)引用例4(甲第4号証)
引用例4の特開昭62-277753号公報には、半導体パッケージに関する発明が図面とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。
「2枚のグリーンシートからなる基板の下面にバンプメッキを形成し、グリーンシート上面にワイヤボンド用の電極を設けるとともに、電極とバンプメッキとの間にスルーホールを形成し、該スルーホール内に配線を行なって電極とバンプメッキを導通させた構造としたことを特徴とする半導体パッケージ」(特許請求の範囲)
「PGA(ピングリッドアレイ)のように端子を格子状に並べた場合には、構造上の問題として下面からピンをアレイ状に並べる構造となって、ピン間隔が大きいため、パッケージ本体が大きくなり、高価となる欠点を有している。・・・そこで本発明者は多ピン化の要望に対応できる小型のパッケージ形態を得るべく検討の結果、この発明に至ったものである。」(1頁右欄4〜16行)
「基板1は通常のグリーンシートと同じくホットプレス後低温焼成すれば得られる。そしてICチップ6を実装後、キャップ7にて気密封止し、さらに下面にバンプメッキ2を形成すればよい。図において8はICチップ6と電極3をつなぐボンディングワイヤである。このような構造の半導体パッケージは(1)パッケージ下面全面を利用でき、また端子の代わりにバンプメッキによって外部電極を取出すから、多ピン化してもパッケージサイズがそれほど大きくならない。(2)基板を構成する2枚のグリーンシートの接合面で配線パターンを引き回せるので基板のワイヤボンド電極部およびバンプメッキ電極部の位置は固定ではなく、ある程度自由度があること。(3)気密封止構造のため、信頼性は樹脂封止パッケージより高い。・・・などの利点を有するのである。」(2頁左上欄18行〜右上欄19行)

(5)引用例5〜8
引用例5の特開平5-144971号公報、引用例6の特開平5-226487号公報、引用例7の実願平3-69680号(実開平5-62040号)のCD-ROMには、いずれも基板に形成したスルーホールにボール状端子を配置したものが記載され、引用例8の実願昭62-70466号(実開昭63-178342号)のマイクロフィルムには、樹脂封止の際に樹脂がダイパッドの逆テーパー状とした凹部に入り込んで樹脂とダイパッドとの密着性を高めることが記載されている。

[4]対比・判断
(1)本件発明1
本件発明1と引用例1に記載の発明とを対比すると、引用例1に記載の「基板」、「保護部材層」、「金属配線が基板の表面に露出している領域」、「金属製リードピン」は本件発明1の「外側絶縁材層」、「チップ側絶縁材層」、「内部接続領域」、「外部接続端子」に相当し、また引用例1には、半導体チップの寸法に比べピン数の少ない装置では、金属製リードピンを、基板の半導体チップ搭載部にのみ挿入してもよいことが記載されているから、引用例1に記載の発明においても、金属配線が基板の表面に露出している領域よりも半導体チップの中央よりに金属配線と金属製リードピンが形成されているものと認められる。
そうすると、両者は、「外側絶縁材層とチップ側絶縁材層とこれら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターンとからなり、配線パターンのチップ側絶縁材層側には配線パターンが露出した内部接続領域が設けられるとともに、配線パターンの外側絶縁材層側には配線パターンと接続した外部接続端子が設けられた配線板と、表面に電極を有し裏面が配線板のチップ側絶縁材層に接合された半導体チップと、半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とを接続するワイヤと、半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板上に封止する樹脂封止部とを備え、前記配線板は半導体チップの周辺部に内部接続領域が形成されるとともに、この内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンと外部接続端子とが形成されていることを特徴とする半導体装置」の点で一致するものの、以下の点で相違する。
(a)外部接続端子について、本件発明1は「ボール状」であるのに対し、引用例1に記載の発明は「リードピン」である点。
(b)内部接続領域について、本件発明1は「内部接続領域の端部が配線板の端部と一致」するものであるのに対し、引用例1に記載の発明はそのようなものではない点。
そこで、上記相違点(b)について以下検討する。
本件発明1は、訂正明細書記載のように、内部接続領域の端部を配線板の端部と一致させることにより、半導体装置のサイズを小型化を可能にしたものであるが、上記引用例2〜8のいずれにも記載されていないし示唆もされていない。また内部接続領域の端部を配線板の端部と一致させることは単なる設計的事項であるとすることもできない。
してみると、相違点(a)については検討するまでもなく、本件発明1は引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件発明3
本件発明3は本件発明1を引用する発明であって、配線板のチップ側絶縁層を絶縁性の接着剤に限定したものであるが、引用例1には、基板の金属配線が接着剤層によって半導体チップに接着されていることが記載されているものの、本件発明1が引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができない以上、本件発明3についても引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件発明4
本件発明4は本件発明1を引用する発明であって、配線板のチップ側絶縁材層を配線パターン側よりも半導体チップ側が狭い状態で逆くさび状に取り除いて、アンカー効果により配線板と樹脂との密着性を向上させたものであるが、引用例2には基板のICチップ側に掛止孔を透設したもの記載され、引用例8にはダイパッドに逆テーパー状とした凹部を設けたものが記載されているにしても、本件発明1が引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができない以上、本件発明4についても引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件発明5
本件発明5は本件発明1を引用する発明であって、配線板の外側絶縁材層が小ホールを有し、この小ホールにより配線板の接合面での気化膨張の発生を防止したものであるが、引用例3には基板にスルーホールを設けて接着樹脂から発生するガスを抜くこと記載されているにしても、本件発明1が引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができない以上、本件発明5についても引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)本件発明6
本件発明6は本件発明2を引用する発明であって、外側絶縁材層とチップ側絶縁材層とこれら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターンとからなり、配線パターンのチップ側絶縁材層側には配線パターンが露出した内部接続領域が設けられるとともに、配線パターンの外側絶縁材層側には配線パターンと接続した外部接続端子が設けられた配線板と、表面に電極を有し裏面が配線板のチップ側絶縁材層に接合された半導体チップと、半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とを接続するワイヤと、半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板上に封止する樹脂封止部とを備えた半導体装置において、配線板には、半導体チップの周辺部に形成した内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンと外部接続端子とが形成され、また、配線板のチップ側絶縁材層が熱可塑性樹脂からなり、その熱可塑性樹脂を加熱することにより半導体チップと配線板とが接合され、さらに、配線板の配線パターンが外側絶縁材層よりも狭い範囲で形成され、樹脂封止部と外側絶縁材層との間から配線パターンが露出しないようにした発明である。
しかしながら、本件発明6のように、配線板のチップ側絶縁材層を熱可塑性樹脂からなるものとして、その熱可塑性樹脂を加熱することにより半導体チップと配線板とを接合したものは、引用例1〜8のいずれにも記載されていないし示唆もされていない。
そして、本件発明6は、接着剤が不要となり、半導体チップの電極から内部接続領域までの高低差を少なくでき、ワイヤの長さを短くできるとの訂正明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明6は、引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)本件発明7
本件発明7と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載の「基板」、「保護部材層」、「金属配線が基板の表面に露出している領域」、「金属製リードピン」は本件発明1の「外側絶縁材層」、「チップ側絶縁材層」、「内部接続領域」、「外部接続端子」に相当し、また引用例1には、半導体チップの寸法に比べピン数の少ない装置では、金属製リードピンを、基板の半導体チップ搭載部にのみ挿入してもよいことが記載されているから、引用例1に記載の発明においても、半導体チップの寸法に比べピン数の少ない場合には、金属配線が基板の表面に露出している領域よりも半導体チップの中央よりに金属配線と金属製リードピンが形成されているものと認められる。
そうすると、両者は、「外側絶縁材層にスルーホールを形成するとともにその外側絶縁材層に配線パターンを形成し、この配線パターンをチップ側絶縁材層で覆うことによりチップ側絶縁材層と外側絶縁材層との間に配線パターンを形成した配線板を作製し、配線板の配線パターンをチップ側絶縁材層の周辺部から露出させて内部接続領域を形成し、表面に電極が形成された半導体チップの裏面を配線板のチップ側絶縁材層の内部接続領域よりも内側領域に接合し、半導体チップの電極と内部接続領域とをワイヤで接続し、半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板のチップ側絶縁材層上に封止し、配線パターン及び外部接続端子を内部接続領域よりも配線板中央寄りに形成するする半導体装置の製造方法」の点で一致するものの、以下の点で相違する。
本件発明7が「半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板のチップ側絶縁材層上に封止し、配線板の外側絶縁材層からスルーホールによって露出している配線パターンを外部接続端子形成点としこの外部接続端子形成点上にボール状の外部接続端子を形成する」のに対し、引用例1に記載の発明はこのようなものではない点。
そこで上記相違点について検討すると、引用例4には、ピングリッドアレイのように基板の下面からピンをアレイ状に並べると、パッケージ本体が大きくなるので、スルーホールを有する基板下面にバンプメッキを形成することによりパッケージ本体を小さくすることが記載されているから、引用例1に記載のリードピンに替えて引用例4に記載のようなバンプメッキを形成することにより半導体装置の小型化を図ることは容易になし得るとしても、引用例1に記載のリードピンは、半導体チップを搭載する前に基板に配置するものであって、引用例4のように、ICチップの実装後にキャップにて気密封止し、さらに下面にバンプメッキを形成するものとは配置の順序が相違する。
しかも、引用例4に記載の発明は、基板の下面にバンプメッキを形成するとともに、ワイヤボンド用の電極とバンプメッキとの間に形成したスルーホールに配線を施しており、本件発明7のように、基板下面からスルーホールによって露出している配線をバンプメッキ形成点としたものではない。その上、この基板下面からスルーホールによって露出している配線バンプ形成点上にボール状のバンプを形成することは記載も示唆もされていないから、本件発明7の上記相違点については引用例4に記載のものから容易に想到することはできない。また上記相違点については上記引用例2〜8のいずれにも記載されていないし示唆もされていない。
したがって、本件発明7は引用例1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることはできない。

[5]まとめ
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由および証拠によっては、本件発明1、3〜7の特許が拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるとすることができない。
また、他に本件発明1、3〜7の特許が拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるとする理由を発見しない。
よって、平成6年法律第116号附則第14条の規定に基づく平成7年政令第205号第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
半導体装置及びその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 外側絶縁材層とチップ側絶縁材層とこれら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターンとからなり、配線パターンのチップ側絶縁材層側には配線パターンが露出した内部接続領域が設けられるとともに、配線パターンの外側絶縁材層側には配線パターンと接続したボール状の外部接続端子が設けられた配線板と、
表面に電極を有し裏面が配線板のチップ側絶縁材層に接合された半導体チップと、
半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とを接続するワイヤと、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板上に封止する樹脂封止部とを備え、
前記配線板は半導体チップの周辺部に内部接続領域が形成されるとともに、この内部接続領域の端部が配線板の端部と一致し、この内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンとボール状の外部接続端子とが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 外側絶縁材層とチップ側絶縁材層とこれら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターンとからなり、配線パターンのチップ側絶縁材層側には配線パターンが露出した内部接続領域が設けられるとともに、配線パターンの外側絶縁材層側には配線パターンと接続した外部接続端子が設けられた配線板と、
表面に電極を有し裏面が配線板のチップ側絶縁材層に接合された半導体チップと、
半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とを接続するワイヤと、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板上に封止する樹脂封止部とを備え、
前記配線板は半導体チップの周辺部に内部接続領域が形成されるとともに、その内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンと外部接続端子とが形成されており、
前記配線板のチップ側絶縁材層が熱可塑性樹脂からなり、その熱可塑性樹脂を加熱することにより半導体チップと配線板とが接合された半導体装置。
【請求項3】 配線板のチップ側絶縁材層が絶縁性の接着剤である請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】 配線板のチップ側絶縁材層が内部接続領域の形成時に配線パターン側よりも半導体チップ側が狭い状態で逆くさび状に取り除かれ、それによって樹脂封止の際、アンカー効果により配線板と樹脂との密着性を向上させた請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】 配線板の外側絶縁材層が小ホールを有し、この小ホールにより配線板の接合面での気化膨張の発生を防止する請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】 配線板の配線パターンが外側絶縁材層よりも狭い範囲で形成され、樹脂封止部と外側絶縁材層との間から配線パターンが露出しないようにした請求項2記載の半導体装置。
【請求項7】 外側絶縁材層にスルーホールを形成するとともにその外側絶縁材層に配線パターンを形成し、この配線パターンをチップ側絶縁材層で覆うことによりチップ側絶縁材層と外側絶縁材層との間に配線パターンを形成した配線板を作製し、
配線板の配線パターンをチップ側絶縁材層の周辺部から露出させて内部接続領域を形成し、
表面に電極が形成された半導体チップの裏面を配線板のチップ側絶縁材層の内部接続領域よりも内側領域に接合し、
半導体チップの電極と内部接続領域とをワイヤで接続し、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板のチップ側絶縁材層上に封止し、配線板の外側絶縁材層からスルーホールによって露出している配線パターンを外部接続端子形成点とし、この外部接続端子形成点上にボール状の外部接続端子を形成することからなり、
配線パターン及びボール状の外部接続端子を内部接続領域よりも配線板中央寄りに形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】 チップ側絶縁材層の周辺部に窓明け部を形成するとともにそのチップ側絶縁材層に配線パターンを形成し、この配線パターンの外部接続端子形成点を除いた部分を外側絶縁材層で覆うことによりチップ側絶縁材層と外側絶縁材層との間に配線パターンを形成した配線板を作製し、
配線板の配線パターンがチップ側絶縁材層の窓明け部から露出された部分を内部接続領域とし、
表面に電極が形成された半導体チップの裏面を配線板のチップ側絶縁材層の窓明け部よりも内側領域に接合し、
半導体チップの電極と内部接続領域とをワイヤで接続し、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板のチップ側絶縁材層上に封止し、配線板の外側絶縁材層から露出している外部接続端子形成点上に外部接続端子を形成することからなり、
配線パターン及び外部接続端子を内部接続領域よりも配線板中央寄りに形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】 半導体チップとワイヤとを樹脂により封止する工程において、樹脂で封止するための金型に配線板をセットする際、金型のパーティング面が内部接続領域の部分にかからないようにしたことを特徴とする請求項7又は8記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、小型化を図った半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント回路基板への半導体装置の高密度実装化に伴い、半導体装置の小型化が進んでいる。
【0003】
図21は従来の最も一般的な構造の半導体装置を示す説明図である。図22は図21の平面図である。これらの図に示すように、従来の最も一般的な構造の半導体装置は、電極31を有する半導体チップ32と、外部接続端子となるリード33と、半導体チップ32の電極31とリード33とを接続するワイヤ34と、樹脂封止部35とから主として構成されている。
【0004】
半導体チップ32の電極31は、半導体チップ32の回路(図示しない)が形成された面である表面に配置されている。樹脂封止部35は、半導体チップ32、ワイヤ34、及びワイヤ34とリード33との接続部付近の一連の回路を外部環境から保護するためのものである。ダイパット36は、半導体装置を組み立てる製造工程において半導体チップ32を固定するためのものである。
【0005】
リード33は、例えば鉄ニッケル合金あるいは銅等の金属材料から構成されている。ワイヤ34は、電気的な伝導性の良い金、銀、銅等の金属材料から構成されており、外径30μm程度である。樹脂封止部35に用いられる樹脂としては、通常はエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が多く用いられる。
【0006】
この半導体装置の製造方法は、ダイパット36上に熱硬化性樹脂等の接合剤を介して半導体チップ32を固定し、半導体チップの電極31とリード33とをワイヤ34で接続後、金型を用いて封止樹脂により樹脂封止し、樹脂封止部35から出ているリード33を所定の形にして、外部接続端子を形成し、完成する。
【0007】
この最も一般的な構造の半導体装置では、図22に示すように、複数のリード33の半導体チップ32側の端部が、半導体チップ32を包囲するように、半導体チップ32周辺で同一平面上に配置され、その各々のリード33の延長部の樹脂封止部35から外側の部分は、樹脂封止部35の2方向あるいは4方向の側面に一列で等間隔に配置されている。
【0008】
このように、最も一般的な半導体装置では、半導体チップ側面の外側からワイヤ34をリード33へ接続する距離、及び樹脂封止部35の外部にリード33の外部接続端子を形成する距離を有している。
【0009】
このような最も一般的な構造の半導体装置に対して、近年では、ほぼ半導体チップのサイズにまで小型化された半導体装置が開発されている。この小型化された半導体装置は、CSP(Chip・Size・Package)と呼ばれ、大きくわけて3つのタイプに分けることができる。
【0010】
図23は従来の小型化された半導体装置の第1のタイプの構成を示す説明図である。この半導体装置の構造については、“EIAJ第2回表面実装技術フォーラム’94資料”の中に記載されている。
【0011】
この半導体装置は、図に示すように、回路面側に配置された電極41を有する半導体チップ42、リード43、電極41とリード43とを接続するワイヤ44、及び樹脂封止部45から主として構成されている。リード43と半導体チップ42とは絶縁テープ46によって固定されている。また、樹脂封止部45から露出したリード43は外部接続端子47として形成されている。
【0012】
この半導体装置の製造方法は、リード43上に絶縁テープ46を介して半導体チップ42を固定し、半導体チップの電極41とリード43とをワイヤ44で接続後、金型により樹脂封止し、封止樹脂部45から出ているリード43の部分を切断して、完成する。
【0013】
この半導体装置では、先述した最も一般的な構造の半導体装置と同様に、外部接続端子としてリードを使用していることが大きな特徴である。この第1のタイプの半導体装置は、半導体チップ42の回路面側の表面上に、絶縁テープ46を介して、距離をおいてリード43の先端部を配置しており、平面的に上からみた場合に、半導体チップ42とリード43とが、オーバーラップした状態となっている。
【0014】
このような構造にすることにより、半導体チップの電極41とリード43とのワイヤ44による接続を、半導体チップ42の表面上で行うことができるので、最も一般的な構造の半導体装置でワイヤの接続に用いていた半導体チップ側面外側の面積が縮小され、半導体装置全体を小さくすることができる。
【0015】
また、樹脂封止部45から出たリード43を樹脂封止部45の表面で切断し、その断面部分に外部接続端子47を形成しているので、最も一般的な構造の半導体装置で外部接続端子として形成されていた、樹脂封止部の外部のリード部分を無くすことができる。その結果、半導体チップ42とほぼ同じサイズの半導体装置とすることができ、半導体装置の小型化が可能となる。
【0016】
図24は従来の小型化された半導体装置の第2のタイプの構成を示す説明図である。これについては、公開特許公報“平5-82586号”にこのタイプの構造がみられる。
【0017】
この半導体装置は、図に示すように、スルーホール51が設けられた基板からなる配線部品52、回路面側に配置された電極53を有する半導体チップ54、及び樹脂封止部55から主として構成されている。
【0018】
配線部品52の上側面には、金属の配線パターン56が形成され、この配線パターン56には、半導体チップ54の電極53と接続するための内部接続領域57が設けられている。配線部品52の下側面には、スルーホール51を介して配線パターン56と接続された外部接続領域58が設けられ、この外部接続領域58には、実装用の外部接続端子59が形成されている。半導体チップ54の電極53には、電極53と内部接続領域57とを接続するためのバンプ電極60が形成されている。
【0019】
この半導体装置の構造は、配線部品52の上側面に半導体チップ54の回路面側を接合し、半導体チップ54を樹脂封止部55で樹脂封止し、配線部品52の下側面に外部接続端子59を形成した構造となっている。
【0020】
配線部品52は、セラミック基板やポリイミドフィルム等の絶縁基板から構成されている。配線部品52は、その上側面、つまり半導体チップ54を接合する側の面には、金属箔からなる配線パターン56と内部接続領域57とが形成されている。また、その下側面、つまり半導体チップ54を接合する側とは反対側の面には、外部接続領域58が形成され、スルーホール51を介して、配線パターン56と外部接続領域58とが電気的に接続されている。
【0021】
この半導体装置では、内部接続領域57の配置は、接合する半導体チップ54の電極53の配置と一致する。半導体チップ54の電極53と、配線部品52の内部接続領域57との接続は、錫等のバンプ電極60を介して行われる。外部接続端子59は、配線部品52の外部接続領域58に、はんだバンプ等で形成される。
【0022】
この半導体装置は、半導体チップ54の電極53から内部接続領域57と配線パターン56と外部接続領域58とを介して外部接続端子59に至る、一連の電気回路が形成された半導体装置となる。配線部品52上の半導体チップ54の周辺は、この電気回路を外部環境から保護するために樹脂封止部55で樹脂封止されている。
【0023】
この半導体装置の構造では、半導体チップ54の側面の外側には部品を配置しないので、半導体チップ54の側面を樹脂封止部55の厚みのみとすることができ、小型化が可能である。
【0024】
また、半導体チップ54の電極53と外部接続端子59との間に配線パターン56を設けることにより、外部接続端子59を自由な位置に配置することができ、外部接続端子59の配置の標準化が可能である。この外部接続端子59の配置の標準化により、外部接続端子59をエリアアレイ状態に配置することができるので、端子数の多い半導体チップに対して有利である。
【0025】
図25は従来の小型化された半導体装置の第3のタイプの構成を示す説明図である。これについては、公表特許公報“平6-504408号”にこのタイプの構造が見られる。
【0026】
この半導体装置は、図に示すように、回路面側に配置された電極61を有する半導体チップ62、基板からなる配線部品63、半導体チップ62の電極61と配線部品63とを接続するワイヤ64、及び樹脂封止部65から主として構成されている。
【0027】
配線部品63の下側面には、金属の配線パターン66が形成され、この配線パターン66には、内部接続領域67が設けられている。半導体チップ62の電極61は、ワイヤ64により、この内部接続領域67に接続されている。配線部品63の下側面には、さらに外部接続領域68が設けられ、この外部接続領域68には、樹脂封止部65を介して実装用の外部接続端子69が形成されている。
【0028】
この半導体装置の構造は、半導体チップ62の回路面側、つまり電極61を有する面側の、電極61の部分を除いたところに、配線部品63を接合しており、半導体チップ62の電極61と、配線部品63の内部接続領域67とをワイヤ64で接続した構造となっている。
【0029】
配線部品63は、セラミック基板やポリイミドフィルム等の絶縁基板から構成される。この配線部品63は、その上側面には、半導体チップ62が接合され、その下側面には、内部接続領域67、配線パターン66、及び外部接続端子69を接続するための外部接続領域68が形成されている。配線パターン66の一端は内部接続領域67に接続され、他端は外部接続領域68に接続されている。
【0030】
この半導体装置の製造方法は、半導体チップ62に配線部品63を接合後、半導体チップ62の電極61と配線部品63の内部接続領域67とをワイヤ64で接続し、配線部品63とワイヤ64とを樹脂封止部65で樹脂封止する。
【0031】
次に、樹脂封止部65の外部接続領域68の部分のみの樹脂を取り除き、外部接続領域68を露出させる。露出した外部接続領域68にはんだ等を充填して、樹脂封止部65から突出するようにバンプを作り、外部接続端子69を形成する。
【0032】
この半導体装置は、半導体チップ62の電極61からワイヤ64と内部接続領域67と配線パターン66と外部接続領域68とを介して外部接続端子69に至る、一連の電気回路が形成された半導体装置となる。外部接続端子69はエリアアレイ状態に配置されている。
【0033】
この半導体装置の構造では、半導体チップ62の側面の外側には部品を配置しないので、小型化が可能である。また、半導体チップ62の電極61と外部接続端子69との間に配線パターン66を設けることにより、外部接続端子69を自由な位置に配置することができ、外部接続端子69の配置の標準化が可能である。この外部接続端子69の配置の標準化により、外部接続端子69をエリアアレイ状態に配置することができるので、端子数の多い半導体チップに対して有利である。さらに、半導体チップ62の電極61と内部接続端子67との接続をワイヤ64により行うので、電極61の配置の異なる半導体チップ62に対しても適応可能である。
【0034】
一方、外部接続端子に突起状電極を用いた半導体装置の構成例を図26及び図27に示す。これについては、公開特許公報“特開平6-112354号”にこのタイプの構造が見られる。これらの構造は、BGA(Bowl・Grid・Array)と呼ばれる構造である。
【0035】
図26に示した半導体装置は、配線パターンが2層のものであり、この半導体装置は、電極71を有する半導体チップ72と、スルーホール73が設けられた樹脂基板をベースにした配線部品74と、半導体チップ72の電極71と配線部品74とを接続するワイヤ75と、樹脂封止部76から主として構成されている。
【0036】
配線部品74の上側面、つまり配線部品74の半導体チップ側の面には、上側配線パターン77が形成され、この上側配線パターン77には、内部接続領域78が設けられている。配線部品74の下側面、つまり配線部品74の半導体チップの反対側の面には、下側配線パターン79が形成され、この下側配線パターン79には、外部接続領域80が設けられ、この外部接続領域80に実装用の外部接続端子81が形成されている。
【0037】
上側配線パターン77は、配線部品74の半導体チップ72を接合するエリアを除く外周部に形成されている。下側配線パターン79は、配線部品74の下側面全体に形成されている。
【0038】
ワイヤ75は、一方が半導体チップ72の電極71に接続され、他方が上側配線パターン77の内部接続領域78に接続されている。スルーホール73は、配線部品74の最外周部に形成されており、上側配線パターン77と下側配線パターン79との2層の配線パターンは、このスルーホール73を介して電気的に接続されている。
【0039】
この半導体装置の構造は、配線パターン77,79が2層なので、外部接続端子81の配置を、配線部品74の半導体チップ直下のエリアを含め、自由な位置にすることができる。したがって、この半導体装置では、外部接続端子81は、配線部品74のほぼ全面にエリアアレイ状に配置されている。
【0040】
このBGAは、同じ外部接続端子数を有する、先述の最も一般的な構造の半導体装置に比較して、半導体装置のサイズを大きくすることなく、外部接続端子のピッチを大きくすることができ、実装精度をラフにできるというメリットをもつ。
【0041】
このようなBGAでは、外部接続端子のピッチが1.27〜1.5mm、径が0.76mmφのものが主流であり、外部接続端子数が313ピンで、半導体チップのサイズが約10mm×10mmの例をみると、半導体装置のサイズは35mm×35mm程度となる。また、ワイヤ長は3.5mm程度、半導体チップ側面から半導体装置外周部までの距離は12.5mm程度である。
【0042】
図27に示した半導体装置は、配線パターンが1層のものである。この図において、図26と同じ構成要素には同じ参照番号を付してその説明を省略する。
この半導体装置は、配線部品74の表面に形成された配線パターン77が1層である。配線パターン77は、配線部品74の半導体チップを接合する面の半導体チップ72を接合するエリアを除く外周部に形成され、その配線パターン77の直下のエリアに外部接続端子81が配置されている構造である。
【0043】
この半導体装置は、図26で示した2層の半導体装置と同様の構造であるが、配線部品74の半導体チップ直下のエリアには、外部接続端子81を形成していない構造となる。一般的に、図26及び図27のBGAは、いずれも配線部品74のワイヤ接続点(内部接続領域78)の外側のエリアに外部接続端子81を有する構造となっている。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の半導体装置には次のような問題がある。すなわち、図23に示した従来の小型化された第1のタイプの半導体装置では、外部接続端子47に至る回路の引き出しにリード43を使用しており、リード43が樹脂封止部45の外周部に一列に配列されている。リード43の配列は2列平行か、4列で包囲状で行われる。
【0045】
このようなリード配置の場合、最も一般的な構造の半導体装置と同様に、樹脂封止部45の外周長とリード43のピッチで、配置できる外部接続端子47の端子数が決まり、この外部接続端子47を線状に配置するため、端子数が多い場合、半導体装置のサイズが大きくなるという問題がある。
【0046】
図24に示した従来の小型化された第2のタイプの半導体装置では、配線部品52表面の内部接続領域57と半導体チップ54の電極53を錫バンプ等の接続端子を介して接続する。このような接続を行うためには、配線部品52の内部接続領域57の位置を、半導体チップ54を搭載した際の電極53の位置に一致させなければならない。
【0047】
したがって、半導体チップ54の電極53の配置が異なる場合は、同じ配線部品52を使用できない。よって複数種の半導体チップにおいて配線部品52の共用化が全くできないので、コストが高いものとなる。
【0048】
図25に示した従来の小型化された第3のタイプの半導体装置では、半導体チップ62の電極61を有する表面上に配線部品63を接合し、半導体チップ62の電極61と配線部品63の内部接続領域67とをワイヤ64で接続する構造である。
【0049】
このように、半導体チップ62の電極61を有する表面上に配線部品63を配置する場合、後でワイヤ64の接続を行うために、半導体チップ62の電極61上に空間が必要である。したがって、電極61上には配線部品63を形成できない。また、この半導体装置の外部接続端子69は配線部品63表面の外部接続領域68上に形成される。したがって、この構造の半導体装置では、半導体チップ62の電極61の直上には外部接続端子69を形成できないという配置上の制限がある。さらに、内部接続領域67と外部接続領域68とは配線部品63の同一面上に形成されるため、内部接続領域67上に外部接続端子69を形成することができない。このような配置上の制限がある。
【0050】
また、図26及び図27で示したタイプの半導体装置では、配線部品74の半導体チップ72側に配線パターン77を形成している。つまり、半導体チップ72の側面の外側に配線パターン77を配置しているので、半導体チップ72の大きさよりも、配線部品74の大きさのほうが、配線パターン77の分だけ必然的に大きくなり、それに伴い、樹脂封止部76が半導体チップ72よりも大きくなる。したがって、樹脂封止部76の大きさが、ほぼ半導体チップ72の大きさと等しくなるようなCSPとすることが難しい。
【0051】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、配線部品のほぼ半導体チップエリア内に外部接続端子を形成した構造とすることにより、小型化を可能にした半導体装置を提供するものである。
【0052】
【課題を解決するための手段】
この発明は、外側絶縁材層とチップ側絶縁材層とこれら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターンとからなり、配線パターンのチップ側絶縁材層側には配線パターンが露出した内部接続領域が設けられるとともに、配線パターンの外側絶縁材層側には配線パターンと接続したボール状の外部接続端子が設けられた配線板と、
表面に電極を有し裏面が配線板のチップ側絶縁材層に接合された半導体チップと、
半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とを接続するワイヤと、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板上に封止する樹脂封止部とを備え、
前記配線板は半導体チップの周辺部に内部接続領域が形成されるとともに、この内部接続領域の端部が配線板の端部と一致し、この内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンとボール状の外部接続端子とが形成されていることを特徴とする半導体装置である。
【0053】
すなわち、この発明の半導体装置は、配線板のチップ側絶縁材層の面に半導体チップの電極等がない面側を接合し、半導体チップの電極と配線板の内部接続領域とをワイヤにより接続し、半導体チップとワイヤとを樹脂封止し、配線板の外側絶縁材層の面のほぼ半導体チップエリア内に外部接続端子を形成した構造としている。
【0054】
すなわち、本発明の半導体装置は、従来のBGA構造の半導体装置を次のようにして小型化したものである。
配線パターンは半導体チップエリアよりも内側の領域に配置する。薄型化及びコスト低減のため、配線パターンは1層とし、配線板は、その1層の配線パターンをチップ側絶縁材層と外側絶縁材層との間に挟持したサンドイッチ構造とする。配線板の半導体チップ周辺部には、チップ側絶縁材層から配線パターンを露出させた内部接続領域(ワイヤ接続点)を形成する。
【0055】
外部接続端子のピッチ及びサイズを小さくし、外部接続端子を、配線板の内部接続領域の内側あるいは半導体チップ側面から1mm大きいエリア内に、エリアアレイ状に配置する。配線パターンは内部接続領域から内側にのみ伸びて、外部接続端子形成点に至る。このようにして、小型化された半導体装置を得る。
【0056】
この発明において、外側絶縁材層としては、絶縁性の基板を用いることが望ましい。この絶縁性の基板としては、耐熱性、絶縁性、強度、寸法安定性に優れたものであればどのようなものを用いてもよい。このような性質を有する材料としては、ポリイミド、ポリアミド、BT(ビスマレイド・トリアジン)レジン、エポキシ、ポリエステル、ガラスエポキシ、ガラスポリイミド、セラミック等が挙げられるが、コスト面及び加工の容易性からは、ポリイミドを用いることが好ましい。ポリイミドの絶縁抵抗は、5×1013Ω程度である。
【0057】
配線パターンとしては、導電性及び耐熱性のあるものが用いられる。このような性質を有する材料としては、金属材料が一般に使用されるが、コストの面からは、銅(Cu)を用いることが好ましい。
【0058】
樹脂封止部としては、保存性、成型性、耐湿性、耐熱性等を有する樹脂であれば、どのような樹脂を用いてもく、エポキシ、シリコーン、フェノール等の樹脂をベースとした混合物が一般に使用されるが、信頼性の面からは、エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0059】
外部接続端子は、好ましくは、はんだバンプとして形成される。このはんだバンプとしては、全体がはんだからなるボール状のもの、あるいは銅ボールの表面にはんだメッキを施したものを用いることができるが、コストの面からは全体がはんだからなるボール状のものを用いることが好ましい。
【0060】
ワイヤとしては、電気的な伝導性の良好なものであれば、各種の材料を用いることが可能であり、例えば、金、銀、銅等を用いることができるが、電気的な伝導性の面からは、金あるいは銀を用いることが好ましい。
【0061】
さらに、本発明の半導体装置は、小型化のため、次のような構造とすることが好ましい。半導体チップ外周部に形成されるワイヤを短くするため、半導体チップを薄くして、ワイヤ長を1mm以下にする。また、これにより、半導体チップ側面から半導体装置外周部までの距離を1mm以下にする。
【0062】
上記構成においては、配線板のチップ側絶縁材層として熱可塑性樹脂を用い、その熱可塑性樹脂を加熱することにより半導体チップと配線板とを接合するようにすることが望ましい。
【0063】
この熱可塑性樹脂としては、耐熱性、接着性、絶縁性を有するものであれば、どのような熱可塑性樹脂を用いてもよい。用いる材料としては、大きく分けてエポキシ樹脂とポリイミド樹脂に大別されるが、耐熱性の面からは、ポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
配線板のチップ側絶縁材層としては、絶縁性の接着剤を用いてもよい。
【0064】
また、内部接続領域の形成時に、配線板のチップ側絶縁材層を配線パターン側よりも半導体チップ側が狭い状態で逆くさび状に取り除くようにし、それによって樹脂封止の際、アンカー効果により配線板と樹脂との密着性を向上させるようにすることが望ましい。
【0065】
さらに、配線板の外側絶縁材層に小ホールを設けるようにすることが望ましく、この小ホールにより配線板の接合面での気化膨張の発生を防止する。
また、配線板の配線パターンを外側絶縁材層よりも狭い範囲で形成し、樹脂封止部と外側絶縁材層との間から配線パターンが露出しないようにすることが望ましい。
【0066】
そして、半導体チップ上の樹脂封止部の線膨張率と配線板の線膨張率とが近いものになるように材質の選択を行い、これら樹脂封止部と配線板の厚みも同じ程度にすることが好ましい。
【0067】
この発明は、また、外側絶縁材層にスルーホールを形成するとともにその外側絶縁材層に配線パターンを形成し、この配線パターンをチップ側絶縁材層で覆うことによりチップ側絶縁材層と外側絶縁材層との間に配線パターンを形成した配線板を作製し、
配線板の配線パターンをチップ側絶縁材層の周辺部から露出させて内部接続領域を形成し、
表面に電極が形成された半導体チップの裏面を配線板のチップ側絶縁材層の内部接続領域よりも内側領域に接合し、
半導体チップの電極と内部接続領域とをワイヤで接続し、
半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板のチップ側絶縁材層上に封止し、配線板の外側絶縁材層からスルーホールによって露出している配線パターンを外部接続端子形成点とし、この外部接続端子形成点上にボール状の外部接続端子を形成することからなり、
配線パターン及びボール状の外部接続端子を内部接続領域よりも配線板中央寄りに形成することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0068】
さらに、別の観点によれば、この発明は、チップ側絶縁材層の周辺部に窓明け部を形成するとともにそのチップ側絶縁材層に配線パターンを形成し、この配線パターンの外部接続端子形成点を除いた部分を外側絶縁材層で覆うことによりチップ側絶縁材層と外側絶縁材層との間に配線パターンを形成した配線板を作製し、配線板の配線パターンがチップ側絶縁材層の窓明け部から露出された部分を内部接続領域とし、表面に電極が形成された半導体チップの裏面を配線板のチップ側絶縁材層の窓明け部よりも内側領域に接合し、半導体チップの電極と内部接続領域とをワイヤで接続し、半導体チップとワイヤとを樹脂により配線板のチップ側絶縁材層上に封止し、配線板の外側絶縁材層から露出している外部接続端子形成点上に外部接続端子を形成することからなり、配線パターン及び外部接続端子を内部接続領域よりも配線板中央寄りに形成することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【0069】
この発明の半導体装置の製造方法に関しては、次のようにすることが好ましい。すなわち、半導体チップとワイヤとを樹脂により封止する工程において、樹脂で封止するための金型に配線板をセットする際、金型のパーティング面が内部接続領域の部分にかからないようにする。
【0070】
この発明によれば、配線板は、半導体チップの周辺部に内部接続領域が形成されるとともに、その内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに配線パターンと外部接続端子とが形成されているので、配線パターンと外部接続端子とは半導体チップの下に配置されることになり、これにより半導体チップの大きさと配線板の大きさをほぼ同じ大きさとすることができ、樹脂封止部の大きさがほぼ半導体チップの大きさと等しくなるような、CSP(Chip・Size・Package)とすることができる。また配線パターンが1層であるため、薄型化及びコストの低減が可能となる。
【0071】
すなわち、この発明の半導体装置によれば、配線パターンを半導体チップの下方に形成し、外部接続端子のピッチとサイズを小さくして、外部接続端子を配線板の内部接続領域の内側あるいは半導体チップ側面から1mm大きいエリア内に形成することにより、半導体チップの外周にはワイヤを形成するエリアのみが存在するような構造とすることができる。
【0072】
また、半導体チップの厚みを極力薄くしてワイヤ長を極力短くすることにより、半導体チップ周辺に形成されるワイヤのエリアを最小におさえることができる。さらに、本発明の半導体装置は半導体チップの電極と配線板の内部接続領域との接続をワイヤで行うので、外部接続端子を任意の位置に配置することができ、これにより外部接続端子をエリアアレイ状に配置することができる。したがって、配線板の外部接続端子形成エリア内は、外部接続端子を形成できないところがないという理想的な構造とすることができる。
【0073】
チップ側絶縁材層に熱可塑性樹脂を用い、半導体チップと配線板の接合をこの熱可塑性樹脂で行った場合には、従来半導体チップと配線板との接合に使用されていた熱硬化性樹脂を不要とすることができ、熱硬化性樹脂等の接合に要する厚みが縮小される。
【0074】
配線板のチップ側絶縁材層に内部接続領域を形成する際、チップ側絶縁材層を取り除いた部分の側面に傾斜を設けてその断面を楔形にした場合には、アンカー効果により配線板と樹脂との密着性を向上させることができる。
【0075】
配線板の外側絶縁材層に小ホールを設けた場合には、配線板の接合面において気化膨張の発生を防止することができる。
【0076】
配線板の配線パターンを外側絶縁材層よりも狭い範囲で形成した場合には、樹脂封止部と外側絶縁材層との間から配線パターンが露出せず、樹脂封止部側面で配線パターンと樹脂封止部との境界が存在しないので、樹脂封止部による密閉性を向上させることができる。
【0077】
半導体チップ上の樹脂封止部の線膨張率と配線板の線膨張率とが近いものになるように材質の選択を行い、樹脂封止部と配線板の厚みも同じ程度にした場合には、半導体装置の反りを低減することができる。
【0078】
また、本発明の半導体装置の製造方法に関しては、パーティング面下にチップ側絶縁材層を存在させる場合は、半導体チップとワイヤとを樹脂により封止する工程において、樹脂で封止するための金型に配線板をセットする際、金型のパーティング面が内部接続領域の部分にかからないようにすれば、金型のパーティング面の下にすきまができることがなくなる。その結果、ゴミとなる樹脂カスを発生させることなく半導体装置の製造ができる。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
【0080】
実施例1
図1は本発明による半導体装置の実施例1の構成を示す説明図である。図2は図1の半導体装置を下側から見た一部破断平面図である。
【0081】
これらの図に示すように、この実施例の半導体装置は、配線板としての配線部品1と、この配線部品1に接合された半導体チップ2と、半導体チップ2と配線部品1とを接続するワイヤ3と、半導体チップ2とワイヤ3とを樹脂により封止する樹脂封止部4から構成されている。
【0082】
配線部品1は、外側絶縁材層としての絶縁性の基板6と、チップ側絶縁材層としての絶縁材8と、これら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターン7から形成されている。
すなわち、配線部品1は、スルーホール5の設けられた絶縁性の基板6の上面に金属の配線パターン7を形成し、その配線パターン7上に絶縁材8を接合したものであり、基本的には、配線パターン7を絶縁性の基板6と絶縁材8とで挟持したサンドイッチ構造となっている。
【0083】
基板6の下面には外部接続端子9が形成されており、配線パターン7には、スルーホール5を介して配線パターン7と外部接続端子9とを接続するための外部接続端子形成点である外部接続領域10が設けられている。
外部接続端子9は、外部接続領域10にはんだバンプを接合して形成する。このはんだバンプは、全体がはんだからなるボール状のものである。したがって、はんだバンプを接合する前は、配線パターン7の一端の外部接続領域10がスルーホール5から露出した状態となっている。
【0084】
半導体チップ2は、表側の面に電極11が設けられている。そして、半導体チップ2の裏側の面は、配線部品1の絶縁材8に接合されている。絶縁材8の半導体チップ2の周囲には窓明け部12が形成されている。
【0085】
この窓明け部12は、絶縁材8が取り除かれたものであり、この窓明け部12から露出した配線パターン7は内部接続領域13となり、この配線パターン7の内部接続領域13と半導体チップ2の電極11とがワイヤ3により接続されている。
配線部品1の内部接続領域13の表面には、ワイヤ3との接合を良くするために厚さ0.数μm程度のAuメッキが形成されており、Auと配線パターン7表面(Cu)の間には、AuとCuの合金化を抑制するために厚さ5μm程度のNi,Pdを介在させる。このようなメッキ層は配線部品1の外部接続領域10にも形成されることがある。
【0086】
メッキの方法は、無電解メッキ法でも電解メッキ法でも使用可能であるが、電解メッキ法の場合、メッキのための配線が必要となるので、無電解メッキ法の方が好ましい。
基板6のスルーホール5及び配線パターン7は、基板6の周辺部に形成された内部接続領域13よりも基板6の中央寄りに形成されている。
【0087】
ワイヤ3としては、電気的な伝導性の良好な金、銀、銅等の金属から構成された、直径数十μmのフレキシブルな細線を用いている。絶縁材8としては、厚さ70μm程度のポリイミドフィルムを用いている。配線パターン7は、Cu(銅)からなる厚さ20μm程度の金属箔であり、この配線パターン7上には、絶縁材8を接合するために接着剤(図示しない)が厚さ10μm程度に塗布されている。
【0088】
したがって、配線パターン7とこの接着剤の層とで、合計30μm程度の厚みとなっている。基板6は、厚さ25μm程度のポリイミドからなる絶縁基板である。このポリイミドの絶縁抵抗は5×1013Ω程度である。樹脂封止部4としては、信頼性に優れるエポキシ樹脂を用いている。
【0089】
図3は図1の部分詳細説明図である。なお、以下の図において同じ構成要素には同じ参照番号を付してその説明を省略する。
この図に示すように、配線部品1は、基板6に配線パターン7を形成し、その上に接着剤層7aを介して絶縁材8を接着したものである。配線部品1と半導体チップ2とはダイボンディング接着剤8aで接着されている。
【0090】
この実施例では、配線部品1の基板6と、絶縁材8とは、同じポリイミド樹脂を用いたが、異なる樹脂を用いてもよく、またポリイミド樹脂以外の樹脂を用いてもよい。
【0091】
また、基板6の上に配線パターン7を直接形成するようにしているが、接着剤を介して配線パターン7を形成してもよい。あるいは、後ほど詳述するが、絶縁材8側に配線パターン7を形成し、接着剤層を介して基板6と接合し、接着剤層と基板6を通して外部接続端子9用の開口部(スルーホール)を形成するようにしてもよい。
【0092】
このように、本発明の半導体装置は、1層の配線パターン7の両面、つまり、1層の配線パターン7の上側と下側の両面に絶縁層を有する配線部品1を使用している。そして、半導体チップ2の電極11が形成されていない面を配線部品1に接合し、ワイヤ3により、半導体チップ2の電極11と配線部品1の内部接続領域13とを接合し、半導体チップ2とワイヤ3とを樹脂により封止し、配線部品1の反対側には、はんだバンプをエリアアレイ状に配置した構造となっている。
【0093】
このような構造にすることにより、配線部品1の内部接続領域を形成した面と同一面に外部接続領域を存在させる必要がないので、はんだバンプ、つまり外部接続端子9の配置に制約がなくなる。
【0094】
また、ワイヤ3により、半導体チップ2の電極11と配線部品1の内部接続領域13とを接合しているので、ある程度電極位置の異なる半導体チップにも対応できる。さらに、外部接続端子9をエリアアレイ状に配置できるので、端子数の多い半導体チップに対しても半導体装置のサイズを大きくすることなく対応でき、理想的な構造となる。
【0095】
さらに本発明の半導体装置は、配線部品1の配線パターン7が半導体チップ2の下方に形成されており、外部接続端子9は全て配線部品1の内部接続領域13の内側のエリアに形成されている。これにより、半導体装置のサイズを半導体チップのサイズとほぼ同じサイズとすることができ、半導体装置の小型化が可能となる。
【0096】
この実施例で示したものは、半導体チップ2のチップサイズ10×12mm、外部接続端子9の端子数64本、外部接続端子9のピッチ1.27mm、外部接続端子9のサイズ0.6mmφの例であり、外部接続端子9をすべて配線部品1の半導体チップ2接着エリア内に配置したものである。本発明の半導体装置はさらなる小型化のために、半導体チップを極力薄くして、ワイヤ長を短くしたという特徴を有する。
【0097】
この実施例のワイヤ接続部付近の詳細説明を図4に示す。
この図に示すように、ワイヤ3のワイヤ長bは、上から見たときのワイヤ3の投影距離のことであり、ワイヤ3を張る2点間の高低差、つまり半導体チップ2の厚みaに大きく依存し、半導体チップ2の厚みaが薄い程、ワイヤ3の長さを短くすることができる。
【0098】
この実施例では、半導体チップ厚を0.2mm、ワイヤ長を0.5mm程度としている。この実施例のような半導体チップ厚とワイヤ長であれば、半導体チップ2の側面から樹脂封止部4の外周部までの距離cを1.0mm以下とすることができる。
【0099】
図4のワイヤ接続部付近の、樹脂封止部4が絶縁材8や内部接続領域13と接合している部分は、信頼性を確保する上で良好な密着性の必要とされるところである。そこで、密着性をより向上させるために、次に述べる2つの方法の内のいずれか一方、あるいは両方の方法を用いる。
【0100】
第1の方法は、樹脂封止部4と接合する絶縁材8と内部接続領域13の表面を、樹脂封止前に活性化させて、樹脂封止部4との密着性を向上させる方法である。この表面を活性化させる方法としては、UV照射等を用いることができる。
【0101】
第2の方法は、配線部品1の窓明け部12を、図5に示すような楔形として、アンカー効果により密着性を向上させる方法である。
【0102】
配線部品1は、配線パターン7を、基板6と絶縁材8との2層の絶縁層の間に挟み、これらを接着剤で接合した構造である。したがって、絶縁層の接合面の密着性が悪いと、内部に水分等が溜まりやすく、リフロー時等に気化膨張して、接合面の剥離等の不具合が発生する可能性がある。
【0103】
そこで、接合面の剥離等の不具合を防止するために、次のことを行うようにする。すなわち、図6に示すように、はんだバンプ接合側、つまり外部接続端子9を形成した側の基板6に小ホール14を設ける。これにより、絶縁層の接合面内部の水蒸気等を外部へ放出することが可能となり、水分等が溜まることを防止できる。
【0104】
次に、本発明の半導体装置の製造方法を説明する。図7に製造工程の一例を示す。
本発明の半導体装置を製造するには、まず、配線部品1の所定の位置に半導体チップ2を接合するダイボンディングを行う(図7の(a)参照)。この例では、複数の配線部品1が一体のフレーム状態であるが、個別の配線部品1の場合もある。
【0105】
配線部品1に半導体チップ2を接合した状態の平面図を図8に示す。この図に示すように、この状態においては、絶縁材8の窓明け部12からは、配線パターン7の内部接続領域13が露出している。
【0106】
配線部品1には、貫通孔15が設けられており、この貫通孔15は、製造工程において製品の搬送に使用したり、位置決めを行うのに使用される。配線部品1と半導体チップ2は、熱硬化性樹脂からなるダイボンディング接着剤8aを介して接合する。
【0107】
この熱硬化性樹脂は、従来から使用されているエポキシ樹脂等である。接合方法も従来から行われている方法と同様で、配線部品1と半導体チップ2を熱硬化性樹脂を介して接着し、加熱(リフロー)により熱硬化性樹脂を硬化させて接合を完了する。
【0108】
次に、半導体チップ2の電極11と配線部品1の内部接続領域13とをワイヤ3により接続する(図7の(b)参照)。このワイヤ3は、金、銀、銅等の金属からなり、直径数十μmのフレキシブルな細線である。このワイヤ3は従来から使用されている一般的なものである。このワイヤ3による接合は、ワイヤボインディングといわれる従来から行われている方法で行うことができる。
【0109】
すなわち、ワイヤボインディング装置を用いて、電気スパーク等により、ワイヤ3の先端を溶融したボール状にして、それを半導体チップ2の電極11上に圧着接合し、ツールによりワイヤ3を配線部品1の内部接続領域13まで張り延ばし、内部接続領域13上で圧着接合および切断する。このワイヤ3の接合方式としては、熱圧着、超音波圧着、熱超音波圧着等を用いることができる。
【0110】
次に、樹脂による封止を行って樹脂封止部4を形成する(図7の(c)参照)。この例では、金型を使用した樹脂封止方法を用いたが、金型を使用しない樹脂封止方法を用いてもよい。使用する封止樹脂は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。
【0111】
この樹脂封止部4による樹脂封止は、金型に製品をセットし、溶融した樹脂を金型内に注入して、加熱加圧状態を保ち樹脂を硬化させる。図7の(c)で示したものは、樹脂封止後の製品である。
【0112】
本発明の半導体装置は樹脂封止工程で次のような特徴がある。金型に製品をセットした状態を図9に示す。図において、21は上金型、22は下金型、23は上金型21の製品を押え付ける面で、パーティング面といわれる面である。
【0113】
本発明の半導体装置では、図9に示すように、パーティング面23の下には、絶縁材8が配置されることもある。図10はこのような場合においてパーティング面23の下に絶縁材8のない部分がある場合の説明図である。この図に示すように、パーティング面23の下に絶縁材8のない部分があると、すきま部分24ができる。これができた場合、このすきま部分24に樹脂が注入されると、この部分の樹脂が樹脂封止後の製品の外周部にバリとして残る。このバリの部分は、余分な配線部品1と一緒に後でカットされるが、カットされたバリは装置上でゴミとして残る可能性があり、装置を動かす上で好ましくない。したがって、上金型21のパーティング面23の下には、必ず絶縁材8が配置されるようにしている。
【0114】
次に、配線部品1の余分なところをカットする(図7の(d)参照)。図7の(d)で示したものは、単品状態の製品である。カットは樹脂封止部4の外周部に沿って行われる。
【0115】
次に、はんだバンプを接合して外部接続端子9を形成する(図7の(e)参照)。配線部品1の外部接続端子9を形成するところは、基板6のスルーホール5が開けられているところであり、このスルーホール5からは外部接続領域10が露出している。この外部接続領域10にフラックスを塗布後、はんだボールを付け、リフロー炉により加熱してはんだバンプを接合し、外部接続端子9を形成する。
【0116】
外部接続端子9の他の形成方法として、外部接続領域10上にペースト状あるいはシート状のはんだを置き、リフロー炉により加熱溶融させてバンプの形状に形成し、接合することにより、外部接続端子9を形成するようにしてもよい。
【0117】
樹脂封止部4での樹脂封止後の製造工程は、図11に示すように、配線部品1が一体のフレーム状態のままで、外部接続端子9を形成し(図11の(f)参照)、その後、配線部品の余分な所をカットするようにしてもよい(図11の(g)参照)。
【0118】
半導体チップ2をダイボンディングする時や、半導体チップ2の電極11と配線パターン7の内部接続領域13とをワイヤボンディングする時、あるいは樹脂封止時には、加圧や加熱が行われるため、配線部品1の基板6に対するはんだバンプの形成は、このような加圧や加熱の工程終了後に行われる。これは、このような加圧や加熱の工程においては、基板6側を固定するため、バンプが存在すると固定が困難であるという理由からである。また、これによりバンプが溶融したり変形したりすることも防止することができる。
【0119】
完成した半導体装置の反りは、実装を困難にするため、極力小さくする必要がある。そこで、次のような方法で反り対策を行う。反りを低減させるために、半導体チップ2上の樹脂と配線部品1の素材の線膨張率を近いものとし、さらに半導体チップ2上の樹脂の厚みと配線部品1の厚みをほぼ同じにする。これにより、半導体装置の反りを極力小さくすることができる。
【0120】
実施例2
図12は本発明による半導体装置の実施例2の構成を示す部分詳細説明図である。
【0121】
先述した実施例1では、配線部品1に半導体チップ2を接合する際、ダイボンディング接着剤8aを用いて、配線部品1と半導体チップ2とを接着するようにしていたが、この例では、図12に示すように、ダイボンディング接着剤8aを用いず、絶縁材8そのものを接着剤として用いた構成となっている。
【0122】
すなわち、半導体チップ2と配線部品1の接合を、配線部品1側に設けた絶縁材8により行う。絶縁材8としては、熱可塑性のポリイミドを用いる。したがって、この実施例2では、配線部品1は、絶縁材8の少なくとも半導体チップ2を接合するエリアを熱可塑性のポリイミドで構成している。このポリイミドは、半導体チップ2を接合する際の作業性が良く、また完成した半導体装置のリフロー実装時の信頼性の高いものが好ましい。
【0123】
この配線部品1を使用した場合の製造工程は、熱可塑性のポリイミドからなる絶縁材8を加熱して、半導体チップ2を配線部品1に接合する。したがって、実施例1とは、製造工程の中で、配線部品1に半導体チップ2を接合する工程が異なるのみである。
【0124】
このように、絶縁材8で配線部品1と半導体チップ2とを接合することにより、接着剤が不要となる。その結果、半導体チップ2の電極11から、配線部品1の内部接続領域13までの高低差を少なくでき、ワイヤ3の長さを短くする上で有利である。
【0125】
実施例3
図13は本発明による半導体装置の実施例3の構成を示す部分詳細説明図である。
【0126】
先述した実施例1では、配線パターン7を形成した基板6に接着剤層7aを介して絶縁材8を接着し、その上から半導体チップ2をダイボンディング接着剤8aで接着するようにしていたが、この例では、図13に示すように、接着剤層7a、絶縁材8、及びダイボンディング接着剤8aを用いず、これらのかわりに、接着性と絶縁性の2つの機能を備えた絶縁性樹脂7bだけを用いた構成となっている。
【0127】
したがって、この例では、配線部品1としては、基板6上に配線パターン7を形成した状態のもので、配線パターン7が露出した状態のものを使用する。この配線部品1は、実施例1で使用した配線部品1の、半導体チップ2接合側の絶縁材8と絶縁材8を接着するための接着剤層7aのない配線部品1である。
【0128】
この例では、実施例1のような配線パターン7の内部接続領域13を露出させるための窓明け部12は設ける必要はなく、この窓明け部12は、半導体チップ2の周辺ですでに露出した状態となっている。
【0129】
絶縁性樹脂7bとしては、シート状、あるいはペースト状の熱硬化性ポリイミド樹脂接着剤を用いる。また、基板6としてはポリイミド樹脂を用いるが、ポリイミド樹脂以外の樹脂を用いてもよい。配線部品1は、図では、基板6上に配線パターン7を直接形成するようにしているが、接着剤を介して形成する場合もある。
【0130】
この実施例の製造方法について説明する。
配線部品1は、基板6の表面に複数の金属の配線パターン7を形成したものである。配線パターン7は、実施例1と同様に、一端は内部接続領域13に至り、他の一端は外部接続領域10に至るように形成する。
【0131】
基板6としては、厚さ25μm程度のポリイミドを用い、配線パターン7としては、Cu(銅)からなる厚さ20μm程度の金属箔を用いる。基板6にはスルーホール5を設け、スルーホール5の位置には、配線パターン7の外部接続領域10を形成している。図13に示した配線部品1は、基板6上に配線パターン7を直接形成したものであるが、基板6上に接着剤を介して配線パターン7を形成する場合もある。このような配線部品1を準備する。
【0132】
次に、この配線部品1の配線パターン7上に半導体チップ2を搭載し、絶縁性樹脂7bにより半導体チップ2のダイボンディングを行う。絶縁性樹脂7bとしては、前述したように、シート状、あるいはペースト状の熱硬化性ポリイミド樹脂接着剤を使用する。
【0133】
この実施例の場合、実施例1の場合とは異なり、露出した配線パターン7上に半導体チップ2を搭載するため、接触等により、半導体チップ2側の接合面と配線パターン7とが導電しないようにする必要がある。このため、ペースト状の熱硬化性ポリイミド樹脂接着剤は、接着面全体に濡れ広がらなかった場合、配線パターン7と半導体チップ2との接触等の危険性があるので、シート状の熱硬化性ポリイミド樹脂接着剤を用いることが好ましい。また、当然のことながら、絶縁性樹脂7bとして、導電性の接着剤は使用できない。
【0134】
ダイボンディングは、配線部品1上に、絶縁性樹脂7bである厚さ25μm程度のシート状の熱硬化性ポリイミド樹脂接着剤を介して半導体チップ2を配置し、加熱して、シート状の熱硬化性ポリイミド樹脂接着剤を溶融、硬化させて接着を完了する。この後は実施例1と同様、半導体チップ2の電極11と配線パターン7の内部接続領域13とをワイヤ3で接続し、半導体チップ2とワイヤ3の周辺を樹脂封止部4により封止し、切断した後、外部接続端子9としてのはんだバンプを形成して完成する。
【0135】
この実施例3では、実施例1とは配線部品1の構成が異なっている。すなわち、実施例1では、配線パターン7を形成した基板1上に接着剤層7aを介して絶縁材8を形成した構成となっているのに対し、この実施例3では、接着剤層7aと絶縁材8がない構成である。
【0136】
したがって、実施例1の場合、半導体チップ2の接合面が平らな絶縁材8の表面であるので、ダイボンディングの平坦性が良く、また、ペースト状の接着剤でも濡れ広がりがよい。さらに、配線パターン7上に絶縁材8が存在するので、ダイボンディング接着剤8aは、導電性のものでも非導電性のものでもかまわず、接着剤を選ばない、というメリットがある。しかしながら、この実施例1の配線部品1を使用した場合、製品を加熱した際に、絶縁材8を接着する接着剤層7aのところで気化膨張による膨れが発生する場合がある。そのため、接着剤層7aとして用いる接着剤の選定、あるいは製品の取り扱いには注意を要する。
【0137】
これに対し、実施例3の場合、ダイボンディングの際、つまり配線部品1に半導体チップ2を接合する際、配線パターン7が半導体チップ2に接触しないようする必要はあるものの、実施例1のような、配線部品1の接着剤層7aでの膨れが発生しない。また、接着剤層7aと絶縁材8とがない分、配線部品1のコストを低下させることができる。
【0138】
実施例4
図14は本発明による半導体装置の実施例4の構成を示す部分詳細説明図である。
【0139】
図14は実施例1の図3に対応したものである。実施例1の図3と異なるところは、配線パターン7、接着剤層7a、及び絶縁材8の終端が、全て樹脂封止部4の中に納まっていることである。このような構成であれば、図7の(d)に示したように、樹脂封止部4の外周部に沿って配線部品1の余分なところをカットして、単品状態の製品とした場合に、カットした面から配線パターン7、接着剤層7a、及び絶縁材8の切断面が見えない。
これにより、配線パターン7の外部への接触を防止すること、及び水分のパッケージ内への進入を抑制することができる。
【0140】
実施例5
図15は本発明による半導体装置の実施例4の構成を示す部分詳細説明図であり、図14と同様の例で、パッケージ端に接着剤層7aと絶縁材8がある場合である。
【0141】
すなわち、この実施例5では配線パターン7の終端だけが樹脂封止部4の中に納まっている。このような構成でも、樹脂封止部4の外周部に沿って配線部品1の余分なところをカットして、単品状態の製品とした場合に、カットした面から配線パターン7の切断面が見えないので、配線パターン7の外部への接触を防止すること、及び水分のパッケージ内への進入を抑制することができる。
【0142】
実施例6
図16は本発明による半導体装置の実施例6の構成を示す部分詳細説明図である。
【0143】
図16は実施例3の図13に対応したものである。実施例3の図13と異なるところは、配線パターン7の終端が、樹脂封止部4の中に納まっていることである。このような構成であれば、上述の実施例4及び実施例5と同様に、樹脂封止部4の外周部に沿って配線部品1の余分なところをカットして、単品状態の製品とした場合に、カットした面から配線パターン7の切断面が見えず、実施例4及び実施例5と同じ効果を得ることができる。
【0144】
実施例7
図17は本発明による半導体装置の実施例7の構成を示す部分詳細説明図である。
【0145】
この実施例においては、配線部品1は、チップ側絶縁材層としての絶縁材8と、外側絶縁材層としての外側絶縁材25と、これら2つの絶縁材層の間に形成された配線パターン7から主として構成されている。
【0146】
この実施例では、配線部品1は、実施例1の場合とは逆の順序で形成している。すなわち、絶縁材8の下面にパターン接着剤層7cを介して配線パターン7を形成し、配線パターン7の外部接続領域10以外の所に外側絶縁材25を形成後、外部接続領域10の位置に外部接続端子9を形成して、配線部品1を作製しており、基本的には、実施例1と同様に、配線パターン7を絶縁材8と外側絶縁材25とで挟持したサンドイッチ構造となっている。
【0147】
この構造は、半導体チップ2と配線パターン7との間に、絶縁材8を配置した構造である。しかしながら、図13に示した実施例3の半導体装置のように、配線パターン7の上に、絶縁性樹脂7bを介して半導体チップ2を直接接合するようにした場合、半導体チップ2を接着する際、配線部品1上に半導体チップ2を押し付けて接着するため、配線パターンの外側絶縁材25の形成されていない部分(外部接続端子を形成するための外部接続領域10の部分)に対するダメージが大きく、亀裂の発生等の不具合が発生する場合がある。
【0148】
しかし、この実施例7の構成では、配線パターン7上に絶縁材8があることにより、配線パターン7へのダメージがなくなり、不具合の発生を防止することができる。
【0149】
さらに、実施例3とは異なり、配線パターン7の外部接続端子9を形成するランド部(外部接続端子を形成するための外部接続領域10の部分及びその周辺領域)が、絶縁材8に固定された安定した構造なので、ランド部表面上の外部接続端子9を形成する側の外側絶縁材25(図13では基板6がこれに相当する)と重なる領域(周辺領域)の面積を小さくでき、その結果、配線パターン7のランド部の面積が小さくなり、配線パターン7を引き回す上で有利である。
【0150】
図18は実施例7の半導体装置の配線部品の製造方法を示す説明図である。
この実施例においては、配線部品1は、まず、ポリイミド等からなる絶縁材8の下面にポリイミド等からなるパターン接着剤層7cを形成し、打ち抜き加工等により、窓明け部12を形成する(図18の(a)参照)。
【0151】
次に、絶縁材8の下面にパターン接着剤層7cを介して全面に金属箔をはりつけ、パターニングを行い、金属の配線パターン7を形成する(図18の(b)参照)。そして、配線パターン7の外部接続端子形成点上を除いて、ポリイミド等からなる絶縁材層を全面に形成し、これにより外側絶縁材層としての外側絶縁材25を形成する(図18の(c)参照)。
【0152】
このようにして、絶縁材8の窓開け部12には配線パターン7の内部接続領域13が露出し、絶縁材8の開口部には、配線パターン7の外部接続領域10が露出した形状の配線部品1を作製する。このようにして作製した配線部品1を使用する半導体装置は、他の本発明の半導体装置と同様に、図7及び図11で示した製造方法により製造することができる。
【0153】
実施例8
図19は本発明による半導体装置の実施例8の構成を示す部分詳細説明図であり、パッケージ端に配線パターン7が形成されていない場合の例である。
【0154】
図19は実施例7の図17に対応したものである。実施例7の図17と異なるところは、配線パターン7、パターン接着剤層7c、及び絶縁材8の終端が、全て樹脂封止部4の中に納まっていることである。このような構成であれば、樹脂封止部4の外周部に沿って配線部品1の余分なところをカットして、単品状態の製品とした場合に、カットした面から配線パターン7、パターン接着剤層7c、及び絶縁材8の切断面が見えない。
これにより、配線パターン7の外部への接触を防止すること、及び水分のパッケージ内への進入を抑制することができる。
【0155】
実施例9
図20は本発明による半導体装置の実施例9の構成を示す部分詳細説明図であり、図19と同様の例で、パッケージ端に配線パターン7が形成されておらず、パターン接着剤層7cと絶縁材8とがパッケージ端にある場合である。
【0156】
すなわち、この実施例9では配線パターン7の終端だけが樹脂封止部4の中に納まっている。このような構成でも、樹脂封止部4の外周部に沿って配線部品1の余分なところをカットして、単品状態の製品とした場合に、カットした面から配線パターン7の切断面が見えないので、配線パターン7の外部への接触を防止すること、及び水分のパッケージ内への進入を抑制することができる。
【0157】
このように、本発明の半導体装置は、半導体チップの電極と配線部品の接続をワイヤで行い、半導体チップの電極を有する面の反対側に配線部品及び外部接続端子を配置し、外部接続端子はエリアアレイ状態で配列した構造で、外部接続端子を配線部品のワイヤ接続点の内側あるいは半導体チップから1mm大きいエリア内に形成し、半導体チップの厚みを薄くしてワイヤ長を最短にするという従来にない構造上の特徴を有する。
【0158】
このような構造にすることにより、ほぼ半導体チップと同じサイズの小型化された半導体装置とすることができる。また、ワイヤを使用しているので、電極位置の異なる半導体チップにも対応でき、また外部接続端子がエリアアレイ状に配置されているので、端子数の多いものにも対応できる。このように従来の利点を確保している。
【0159】
さらに、半導体チップエリア内において、外部接続端子の配置位置に制約がないという利点を有している。以上のように、本発明の半導体装置は、従来のような欠点がなく、また信頼性の高いすぐれた小型化された半導体装置である。また本発明の半導体装置では、樹脂封止後の製品に樹脂カスができることがない。したがって、発生するゴミが少なく、また樹脂カスが原因による装置トラブル発生の心配がない。
【0160】
また、半導体チップと配線部品の接合を配線部品のフィルムで行う場合、従来のような熱硬化性樹脂の接合剤が必要なく、接合剤の厚みの分だけ薄くなり、またコストダウンも可能となる。
【0161】
さらに、封止樹脂と配線部品の密着性が良いので、封止樹脂のクラックの発生がなく、配線部品が小ホールを有することにより、配線部品の絶縁基板と接着剤等の接合面において、リフロー時等に気化膨張が発生することがなく、また、半導体チップ上の封止樹脂と配線部品の線膨張率と厚みを近いものにすることにより、製品の反り量を低減することができ、実装をより容易なものとすることができる。
【0162】
【発明の効果】
この発明によれば、配線板の内部接続領域よりも半導体チップの中央寄りに、配線パターンと外部接続端子とを形成するようにしたので、配線パターンと外部接続端子とを、半導体チップの領域内に配置することができ、これにより、半導体チップの大きさと配線板の大きさがほぼ同じ大きさとなり、半導体装置の小型化が可能となる。また、配線パターンが1層であるため、薄型化及びコストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による半導体装置の実施例1の構成を示す説明図である。
【図2】
図1の半導体装置を下側から見た一部破断平面図である。
【図3】
図1の部分詳細説明図である。
【図4】
実施例1のワイヤ接続部付近の詳細を示す説明図である。
【図5】
実施例1の配線部品の窓明け部の詳細を示す説明図である。
【図6】
実施例1の外部接続端子の詳細を示す説明図である。
【図7】
本発明の半導体装置の製造方法を示す説明図である。
【図8】
本発明の半導体装置の製造方法において配線部品に半導体チップを接合した状態の平面図である。
【図9】
本発明の半導体装置の製造方法の樹脂封止工程において金型に製品をセットした状態を示す説明図である。
【図10】
本発明の半導体装置の製造方法の樹脂封止工程においてパーティング面の下に絶縁材のない部分がある場合の説明図である。
【図11】
本発明の半導体装置の製造方法における樹脂封止後の製造工程を示す説明図である。
【図12】
本発明による半導体装置の実施例2の構成を示す部分詳細説明図である。
【図13】
本発明による半導体装置の実施例3の構成を示す部分詳細説明図である。
【図14】
本発明による半導体装置の実施例4の構成を示す部分詳細説明図である。
【図15】
本発明による半導体装置の実施例5の構成を示す部分詳細説明図である。
【図16】
本発明による半導体装置の実施例6の構成を示す部分詳細説明図である。
【図17】
本発明による半導体装置の実施例7の構成を示す部分詳細説明図である。
【図18】
実施例7の半導体装置の配線部品の製造方法を示す説明図である。
【図19】
本発明による半導体装置の実施例8の構成を示す部分詳細説明図である。
【図20】
本発明による半導体装置の実施例9の構成を示す部分詳細説明図である。
【図21】
従来の最も一般的な構造の半導体装置を示す説明図である。
【図22】
図18の平面図である。
【図23】
従来の小型化された半導体装置の第1のタイプの構成を示す説明図である。
【図24】
従来の小型化された半導体装置の第2のタイプの構成を示す説明図である。
【図25】
従来の小型化された半導体装置の第3のタイプの構成を示す説明図である。
【図26】
従来の小型化された半導体装置の他の構成例を示す説明図である。
【図27】
従来の小型化された半導体装置の他の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 配線部品
2 半導体チップ
3 ワイヤ
4 樹脂封止部
5 スルーホール
6 基板
7 配線パターン
7a 接着剤層
7b 絶縁性樹脂
7c パターン接着剤層
8 絶縁材
8a ダイボンディング接着剤
9 外部接続端子
10 外部接続領域
11 電極
12 窓明け部
13 内部接続領域
14 小ホール
15 貫通孔
21 上金型
22 下金型
23 パーティング面
24 すきま部分
25 外側絶縁材
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-07-28 
出願番号 特願平7-277929
審決分類 P 1 652・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 坂本 薫昭  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 川真田 秀男
伊藤 明
登録日 2001-04-06 
登録番号 特許第3176542号(P3176542)
権利者 シャープ株式会社
発明の名称 半導体装置及びその製造方法  
代理人 野河 信太郎  
代理人 野河 信太郎  

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