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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1086415
異議申立番号 異議2001-73092  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-01-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-11-14 
確定日 2003-08-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3166490号「BGA型半導体装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3166490号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
特許第3166490号(平成6年7月6日出願、平成13年3月9日設定登録)は、異議申立人足立信幸により特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年12月27日に訂正請求がなされ、さらに取消理由が通知され、その指定期間内である平成15年4月4日に新たな訂正請求がなされるとともに、平成15年7月17日に先の訂正請求を取り下げたものである。

[2]訂正の適否についての判断
(1)訂正事項
(1-1)訂正事項a
願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1の「スルーホールの直下に形成されたボールパッド」を「スルーホールの直下に形成された円状のボールパッド」と訂正するとともに、「このボールパッド上に形成されたボール状バンプとを備える」を「このボールパッド上にボール振り込み法により形成されたボール状バンプを備える」と訂正する。
(1-2)訂正事項b
特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0006】8行の「ボールパッド上に形成されたボール状バンプとを備える」を「ボールパッド上にボール振り込み法により形成されたボール状バンプを備える」と訂正する。
(1-3)訂正事項c
同発明の詳細な説明の段落【0009】6〜7行の「スルーホール直下に形成されたボールパッド」を「スルーホールの直下に形成された円状のボールパッド」と訂正する。
(1-4)訂正事項d
同発明の詳細な説明の段落【0016】11〜12行の「ボール状バンプ24は、半田ペースト印刷法やボール振り込み法等により形成するのが好ましい。」を「ボール状バンプ24は、ボール振り込み法等により形成するのが好ましい。」と訂正する。
(1-5)訂正事項e
同発明の詳細な説明の段落【0017】9〜10行の「ボールパッド16がスルーホール12の直下に形成されているので、」を「ボールパッド16が基板11の他面側のスルーホール12の外周部に形成されているので、」と訂正する。
(1-6)訂正事項f
同発明の詳細な説明の段落【0029】7行の「外部接続端子となるバンプとを」を「外部接続端子となるボール振り込み法により形成されたボール状バンプを」と訂正する。
(1-7)訂正事項g
同発明の詳細な説明の段落【0030】3行の「外部接続端子となるバンプ」を「外部接続端子となるボール振り込み法により形成されたボール状バンプ」と訂正する。

(2)訂正の適否
(2-1)訂正事項aについて
訂正事項aは、特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0016】、段落【0024】に記載されており、特許請求の範囲の減縮に該当する。
(2-2)訂正事項b〜d、f、gについて
訂正事項b〜d、f、gは、特許請求の範囲と発明の詳細な説明との整合をとるための訂正であって、明りょうでない記載の釈明に該当する。
(2-3)訂正事項eについて
「ボールパッド16が基板11の他面側のスルーホール12の外周部に形成されている」ことは、特許明細書の段落【0006】〜段落【0008】、段落【0017】〜段落【0018】、段落【0020】〜段落【0022】のボールパッドに関する記載に基づくものであり、明りょうでない記載の釈明に該当する。

そして、上記訂正事項a〜gについては、いずれも願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[3]異議申立てについて
(1)本件発明
上記のとおり、訂正は認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正明細書の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「複数のスルーホールがアレイ状に開孔された絶縁性を有する基板と、この基板に開孔されたスルーホールの壁面に形成されためっきと、このめっきが形成されたスルーホールの内部に充填された導電性樹脂と、前記基板の片面側の導電性樹脂が充填されたスルーホールの直上に形成された配線パッドと、この配線パッドから延在する配線パターンと、前記基板の他面側の導電性樹脂が充填されたスルーホールの直下に形成された円状のボールパッドと、このボールパッド上にボール振り込み法により形成されたボール状バンプを備えることを特徴とするBGA型半導体装置。」

(2)平成14年10月25日付取消理由通知で引用された刊行物の記載事項
(2-1)刊行物1
刊行物1の実願平1-9933(実開平2-102738号)のマイクロフィルムには、半田バンプを備えたIC装置の実装構造に関する発明が第4、5図とともに記載され、さらに以下の事項が記載されている。
「両面に導電パターンを有する回路基板の上面側にICチップを実装し、上面側の導電パターンと下面側の導電パターンとをスルーホールを介して接続するとともに、下面側の導電パターンに半田ボールを形成して外部接続電極とするIC実装装置に於いて、前記回路基板のスルーホール内には回路基板の下面側に突出した金属ピンを植設し、該金属ピンを包み込む形状に前記半田ボールを形成したことを特徴とするIC実装構造。」(実用新案登録請求の範囲)
「第4図及び第5図に於いて、1はPPGA、2は回路基板としての樹脂基板であり、該樹脂基板2の上面側の導電パターン2aと下面側の導電パターン2bとはスルーホール2cによって接続されるとともに、前記下面側の導電パターン2bには外部接続電極としての半田ボール5が設けられている。」(4頁13〜19行)
「半田ボール5の形成方法としては、多数のスルーホール2Cに金属ピン4を植設した状態に於いて樹脂基板2の下面側を半田槽に浸漬することによって第5図に示すごとく多数の半田ボール5を同時に形成することが出来る。」(5頁10〜14行)

(2-2)刊行物2
刊行物2の特開平4-239194号公報には、回路部品を実装するための配線層を複数有する積層プリント基板の構造に関する発明が図1、2とともに開示され、さらに以下の事項が記載されている。
「図1には、本発明の実施例に係るプリント基板の製造工程が示されており、図示のプリント基板10は・・・有機基材からなる基板12に4層のプリント配線層A、B、C、Dが積層されている。図(a)に示されるように、プリント基板の所定位置にスルーホール14が形成され、このスルーホール14内からその周囲には第1の銅層24が無電解メッキ法により付着される・・・。そして、図(b)に示されるように上記スルーホール14内にはカーボン系又は金属性の導電性粉末を混入した熱硬化性樹脂(導電性ペースト)26を充填して硬化させる。
・・・上記導電性粉末入りの熱硬化性樹脂26が硬化した後には、図(c)に示されるようにスルーホール14を中心とした領域に第2の銅層28a、28bをプリント基板10の表裏に約10μの厚さで形成する。この場合の第2の銅層28a、28bは、スルーホール14内に導電性の熱硬化性樹脂26を充填したので、電解メッキ法により短時間に付着させることができる。そして、最後に図(d)に示されるように、第1の銅層24及び第2の銅層28a、28bの両者の不用な部分をエッチングにより除去し、プリント基板10の表裏のスルーホール14の位置に所定の大きさのスルーホールランド30a、30bを設ける。
・・・図2は、上記図1のようにして製作したプリント基板10に面実装部品を実装した状態が示されており、実施例のプリント基板10の表面では、熱硬化性樹脂26が充填されたスルーホール14上に形成されたスルーホールランド30aと端子32との間に面実装部品34が半田22により実装され、また裏面ではスルーホールランド30bと端子36との間に面実装部品38が半田22により実装される。この実施例によれば、ソルダーレジスト20を用いずに半田付けすることができ、また従来では回路部品を取り付けることができずデッドスペースとなっていたスルーホール部(14)を実装領域として有効に活用でき、部品の実装密度を高めることが可能となる。」(2頁2欄28行〜3頁3欄14行)

(3)対比・判断
本件発明と刊行物1に記載の発明とを対比すると、本件発明における「導電性樹脂」と刊行物1に記載の「金属ピン」とは、導電体として共通しているから、両者は、「複数のスルーホールがアレイ状に開孔された絶縁性を有する基板と、この基板に開孔されたスルーホールの壁面に形成された導体と、この導体が形成されたスルーホールの内部に形成された導電体と、基板の片面側のスルーホールに形成された配線パッドと、配線パッドから延在する配線パターンと、スルーホールの直下に形成されたボールパッドを備える半導体装置」の点で一致するものの、次の点で相違する。
a)スルーホールの導体が、本件発明ではスルーホールの壁面にめっきを形成するとともにスルーホールの内部に導電性樹脂を充填して、このスルーホールの直上に配線パッドを形成するとともにスルーホールの直下に円状のボールパッドを形成したのに対し、刊行物1に記載の発明ではスルーホール内に金属ピンを植設して、このスルーホールの壁面と基板の両面側に導電パターンを形成した点。
b)ボール状バンプについて、本件発明ではボールパッド上にボール振り込み法によりボール状バンプを形成したのに対し、刊行物1に記載の半田ボールの形成方法はそのようなものではない点。
c)発明の対象が、本件発明ではBGA型半導体であるのに対し、刊行物1に記載の発明はPPGA型半導体である点。

そこで上記相違点について検討する。
相違点a)について
刊行物2には、プリント基板のスルーホールの周囲に銅メッキ層を付着してから熱硬化性樹脂を充填することが記載されているものの、刊行物1に記載の発明は、スルーホール内に金属ピンを植設することにより、金属ピンの突出量に応じて任意の高さに半田ボールを形成することができること、加熱溶融時に金属ピンの先端をマザーボード上の導電パターン面に突き当てて間隙を規制すること、さらに溶融した半田が金属ピンに吸収されてパターン外への流出防止ができることなどの作用効果をねらったものであり、この金属ピンに替えて、刊行物2に記載のようにスルーホールの周囲に銅メッキ層を付着してから熱硬化性樹脂を充填する手段を採用することは、刊行物1に記載の発明の課題、金属ピンの作用効果からみて、容易に想到することができないものである。

そして、本件発明は、バンプのピッチを最小にすることができ、基板のサイズを最小にすることができ、また、配線パターン設計の自由度が高く,LSIチップの電極パッドからバンプまでの距離を最短にすることができるとの、明細書に記載の顕著な効果を奏するものである。

したがって、本件発明は、上記相違点b)、c)については検討するまでもなく、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

[4]むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明の特許について拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるとすることはできない。
また、他に本件発明の特許について拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであるとする理由を発見しない。
よって、平成6年法律第116号附則第14条の規定に基づく、平成7年政令第205号第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
BGA型半導体装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスルーホールがアレイ状に開孔された絶縁性を有する基板と、この基板に開孔されたスルーホールの壁面に形成されためっきと、このめっきが形成されたスルーホールの内部に充填された導電性樹脂と、前記基板の片面側の導電性樹脂が充填されたスルーホールの直上に形成された配線パッドと、この配線パッドから延在する配線パターンと、前記基板の他面側の導電性樹脂が充填されたスルーホールの直下に形成された円状のボールパッドと、このボールパッド上にボール振り込み法により形成されたボール状バンプを備えることを特徴とするBGA型半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、BGA(ボール・グリッド・アレイ)型半導体装置に関し、詳しくは、広く産業用または民生用に使用されるコンピュータや電子機器に組み込まれるLSIチップ、VLSIチップに適用されるBGA型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIチップが高集積化されるに伴い、このLSIチップを搭載するパッケージが多ピン化されるとともに、伝送される信号も高速化されている。従来より、このような多端子LSIチップに対応するパッケージとしては、QFPやPGA型パッケージが広く用いられている。
【0003】
しかしながら、上述するQFPに用いられるリードフレームのピン・ピッチは、最小でも0.3mmまでに微細化するのが限界であり、このため実用的なQFPの外形サイズを考慮すれば、300〜400ピン程度が上限であると考えられる。従って、近い将来には400〜700ピン程度のパッケージを対象として検討を開始しなければならないが、上述するようにQFPではこれに対応することは困難な状況である。また、LSIチップは、その処理速度も年々高速化されているので、パッケージのリード部を伝送される信号波形にも歪みのないものが要求されているが、QFPは多ピン化されるに応じて、LSIチップの電極パッドからパッケージの外部接続端子までが長くなるので、どうしても高速化が進むと信号波形の伝送特性が劣化するという問題点があった。
【0004】
一方、PGA型パッケージは、大型コンピュータに組み込まれるパッケージを主体として検討が加えられてきた。このPGA型パッケージは、構造的にはBGA型パッケージとの共通点も多いが、BGA型パッケージと最も違う点は、BGA型パッケージの外部接続端子がはんだボール等であるのに対し、PGA型パッケージの外部接続端子はピンであることである。また、このPGA型パッケージをプリント基板等に実装するには、通常、プリント基板側に用意したソケットにPGA型パッケージのピンを差し込んで電気的接続を行っているが、このため、PGA型パッケージを実装するソケットが非常に微細な構造となり、ソケットの製作限界からPGA型パッケージのピン・ピッチが決定され、QFPと同様にピン・ピッチに制限があるという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく種々の問題点をかえりみて、多ピン化、特に300〜700ピンの多ピン化に対応することができるとともに、LSIチップの高速動作にも対応することができるBGA型半導体装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の参考例としてのBGA型半導体装置は、複数のスルーホールがアレイ状に開孔された絶縁性を有する基板と、この基板に開孔されたスルーホールの内部に充填された導電性樹脂と、前記基板の片面側のスルーホールの外周部に形成された配線パッドと、この配線パッドから延在する配線パターンと、前記基板の他面側のスルーホールの外周部に形成されたボールパッドと、このボールパッド上に形成されたリング状バンプ、あるいは前記スルーホールを含むボールパッド上にボール振り込み法により形成されたボール状バンプを備えるものである。
【0007】
また、本発明の他の参考例としてのBGA型半導体装置は、複数のスルーホールがアレイ状に開孔された絶縁性を有する基板と、この基板に開孔されたスルーホールの壁面に形成されためっきと、前記基板の片面側のスルーホールの外周部に形成された配線パッドと、この配線パッドから延在する配線パターンと、前記基板の他面側のスルーホールの外周部に形成されたボールパッドと、このボールパッド上に形成されたリング状バンプ、あるいは前記スルーホールを含むボールパッド上に形成されたボール状バンプとを備えるものである。
【0008】
また、本発明のもう1つの参考例としてのBGA型半導体装置は、複数のスルーホールがアレイ状に開孔された絶縁性を有する基板と、この基板に開孔されたスルーホールの壁面に形成されためっきと、このめっきが形成されたスルーホールの内部に充填された導電性樹脂と、前記基板の片面側のスルーホールの外周部に形成された配線パッドと、この配線パッドから延在する配線パターンと、前記基板の他面側のスルーホールの外周部に形成されたボールパッドと、このボールパッド上に形成されたリング状バンプ、あるいは前記スルーホールを含むボールパッド上に形成されたボール状バンプとを備えるものである。
【0009】
さらに、本発明の実施例としてのBGA型半導体装置は、複数のスルーホールがアレイ状に開孔された絶縁性を有する基板と、この基板に開孔されたスルーホールの壁面に形成されためっきと、このめっきが形成されたスルーホールの内部に充填された導電性樹脂と、前記基板の片面側の導電性樹脂が充填されたスルーホールの直上に形成された配線パッドと、この配線パッドから延在する配線パターンと、前記基板の他面側の導電性樹脂が充填されたスルーホール直下に形成された円状のボールパッドと、このボールパッド上に形成されたボール状バンプとを備えることを特徴とするBGA型半導体装置を提供するものである。
【0010】
【発明の作用】
本発明のBGA型半導体装置は、LSIチップを搭載するパッケージの外部接続端子、即ち、プリント基板やMCM(マルチ・チップ・モジュール)基板等との接続端子として、BGA(ボール・グリッド・アレイ)を適用したもので、基板の片面には、基板に開孔されたスルーホールの直上に配線パッドと、この配線パッドとLSIチップの電極パッド等とを接続する配線パターンだけを形成し、基板の他面には、基板に開孔されたスルーホールの直下にボールパッドと、このボールパッド上に外部接続端子となるバンプとを形成し、基板に開孔されたスルーホールを介して、基板の片面に形成された配線パッドと、基板の他面に形成されたボールパッドとを、互いに電気的に接続したものである。
【0011】
ここで、本発明の参考例としてのBGA型半導体装置は、基板の片面に形成された配線パッドと、基板の他面に形成されたボールパッドとを、互いに電気的に接続するために、スルーホールの内部に導電性樹脂、例えば、銅粉を混在した銅ペースト等を充填したものである。同様に、本発明の他の参考例としてのBGA型半導体装置では、スルーホールの壁面にめっきを施し、本発明のもう1つの参考例として、及び本発明の実施例としてのBGA型半導体装置では、スルーホールの壁面にめっきを施し、さらにこのめっきが施されたスルーホールに導電性樹脂を充填したものである。また、本発明の実施例としてのBGA型半導体装置においては、上述する配線パッドおよびボールパッドを形成する際に、スルーホールに充填された導電性樹脂にめっきを施し、配線パッドおよびボールパッドの平坦度を向上させたものである。
【0012】
従って、基板に碁盤目状にスルーホールを開孔し、このスルーホールの直下にボールパッドを形成し、このボールパッド上に外部接続端子となるバンプを形成するので、バンプのピッチを最小にすることができ、基板のサイズを最小にすることができる。また、基板の片面には、LSIチップの電極とスルーホールの直上に形成された配線パッドとを接続する配線パターンだけを形成し、基板の他面には、スルーホールの直下にボールパッドが形成され、このボールパッド上にバンプが形成されているので、配線パターン設計の自由度が高く、LSIチップの電極パッドからバンプまでの距離を最短にすることができるので、LSIチップの高速動作に伴う信号の伝送特性を改善することができ、ノイズによる信号の伝送特性の劣化を防止することができる。
【0013】
【実施例】
以下に、添付の図面に示す好適実施例に基づいて、本発明のBGA型半導体装置を詳細に説明する。
【0014】
図1(a)は、本発明のBGA型半導体装置の一参考例の部分断面図である。同図に示すBGA型半導体装置10において、基板11にはスルーホール12が開孔され、この基板11の片面側には配線パッド14と、この配線パッド14から延在する配線パターン(図示せず)とが形成され、同様に、この基板11の他面側にはボールパッド16が形成されている。また、このボールパッド16上にはリング状バンプ20が形成され、基板11の片面側に形成された配線パッド14と、基板11の他面側に形成されたボールパッド16とは、基板11に開孔されたスルーホール12に導電性樹脂18を充填することにより、互いに電気的に接続されている。
【0015】
また、図1(b)は、本発明のBGA型半導体装置の別の参考例の部分断面図である。同図に示すBGA型半導体装置22は、図1(a)に示すBGA型半導体装置10と比較して、リング状バンプ20の代わりにボール状バンプ24を形成した点が異なるだけなので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。即ち、図1(b)に示すBGA型半導体装置22は、導電性樹脂18が充填されたスルーホール12を含むボールパッド16上にボール状バンプ24を形成したものである。
【0016】
ここで、基板11は、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、テープ状に形成されたポリイミドフィルムやガラスエポキシフィルム等を用いて、上述する開孔、パターン形成およびバンプ形成を連続的に行うことができるのが好ましい。また、基板11に開孔されたスルーホール12は、図1(a)には図示していないが、必要最小限度の数量、例えば、搭載するLSIチップの電極パッド数(端子数)に応じた数量を、基板11上の所定位置、例えば、碁盤目状に、パンチングやヒドラジンアルカリによる溶解やエキシマレーザー等によるアブレーション等により開孔するのが好ましい。また、導電性樹脂18は、導電性を有する樹脂であれば、どのようなものでも良いが、例えば、銅粉を混入した銅ペースト等であるのが好ましい。また、ボールパッド16上に形成されるリング状バンプ20またはボール状バンプ24は、ボール振り込み法等により形成するのが好ましい。
【0017】
また、配線パッド14は、基板11の片面側のスルーホール12の外周部にリング状に形成され、この配線パッド14から配線パターンを延在させてLSIの電極パッド等と電気的に接続するものである。同様に、ボールパッド16は、基板11の他面側のスルーホール12の外周部にリング状に形成されている。即ち、基板11の片面側には、LSIチップとの電気的接続のための配線パターンだけを形成し、基板11の他面側には、外部接続端子となるバンプをスルーホール12の直下に形成しているので、基板11の片面側では、LSIチップの電極から配線パッド14までの距離を最短にするように、配線パターンの設計を行うことができ、基板11の他面側では、ボールパッド16が基板11の他面側のスルーホール12の外周部に形成されているので、配線パッド14からバンプまでの距離が最短であることは勿論、基板11のサイズを最小にすることができる。また、これらの配線パッド14、配線パターンおよびボールパッド16は、例えば、基板11の表面にエポキシ系あるいはポリイミド系等の接着剤を介して貼り付けられた銅箔、あるいは基板11の表面に蒸着、スパッタ、めっき等で直接形成された銅箔、あるいは銅箔上に直接ポリイミドをワニスコートして貼り付け、この銅箔をパターン形成するのが好ましい。
【0018】
続いて、図5に示すフローチャートを用いて、上述する本発明のBGA型半導体装置の形成方法の参考例を説明するが、本発明のBGA型半導体装置はこれに限定されず、どのような形成方法を用いて形成しても良い。まず、図5(a)に示すように、絶縁性を有する基板11の両面に銅箔13を貼り付ける。次に、図5(b)に示すように、この両面に銅箔13が貼り付けられた基板11にスルーホール12を開孔する。続いて、図5(c)に示すように、開孔したスルーホール12の内部に導電性樹脂18を充填する。続いて、図5(d)に示すように、基板11の両面に貼り付けられた銅箔13をエッチングして、基板11の片面側のスルーホール12の外周部にリング状の配線パッド14と、この配線パッド14から延在する配線パターンを形成し、同時に、基板11の他面側のスルーホール12の外周部のリング状のボールパッド16を形成する。そして、図5(e)に示すように、このリング状のボールパッド16上にリング状バンプ20を形成する、あるいは図5(f)に示すように、導電性樹脂18が充填されたスルーホール12を含むボールパッド16上にボール状バンプ24を形成する。
【0019】
次に、図2(a)は、本発明のBGA型半導体装置の他の参考例の部分断面図である。同図に示すBGA型半導体装置26は、図1(a)に示すBGA型半導体装置10と比較して、基板11の片面側に形成された配線パッド14と、基板11の他面側に形成されたボールパッド16とを、基板11に開孔されたスルーホール12の壁面にめっき28を施すことにより、互いに電気的に接続したものである。また、図2(b)は、本発明のBGA型半導体装置の別の参考例の部分断面図である。同図に示すBGA型半導体装置30は、図2(a)に示すBGA型半導体装置26と比較して、壁面がめっきされたスルーホール12を除くボールパッド16上にリング状バンプ20を形成する代わりに、壁面がめっきされたスルーホール12を含むボールパッド16上にボール状バンプ24を形成したものである。
【0020】
続いて、図6に示すフローチャートを用いて、上述する本発明のBGA型半導体装置の形成方法の他の参考例を説明する。まず、図6(a)に示すように、絶縁性を有する基板11の両面に銅箔13を貼り付ける。次に、図6(b)に示すように、この両面に銅箔13が貼り付けられた基板11にスルーホール12を開孔する。続いて、図6(c)に示すように、開孔したスルーホール12の壁面にめっき28を施す。続いて、図6(d)に示すように、基板11の両面に貼り付けられた銅箔13をエッチングして、基板11の片面側のスルーホール12の外周部にリング状の配線パッド14と、この配線パッド14から延在する配線パターンを形成し、同時に、基板11の他面側のスルーホール12の外周部にリング状のボールパッド16を形成する。そして、図6(e)に示すように、このリング状のボールパッド16上にリング状バンプ20を形成する、あるいは図6(f)に示すように、導電性樹脂18が充填されたスルーホール12を含むボールパッド16上にボール状バンプ24を形成する。
【0021】
次に、図3(a)は、本発明のBGA型半導体装置のもう一つの参考例の部分断面図である。同図に示すBGA型半導体装置32は、図2(a)に示すBGA型半導体装置26と比較して、基板11の片面側に形成された配線パッド14と、基板11の他面側に形成されたボールパッド16とを、基板11に開孔されたスルーホール12の壁面にめっき28を施して互いに電気的に接続する代わりに、これらの配線パッド14とボールパッド16とを、基板11に開孔されたスルーホール12の壁面にめっき28を施し、さらにこのめっき28が施されたスルーホール12の内部に導電性樹脂18を充填することにより、互いに電気的に接続したものである。また、図3(b)は、本発明のBGA型半導体装置の別の参考例の部分断面図である。同図に示すBGA型半導体装置34は、図3(a)に示すBGA型半導体装置32と比較して、壁面がめっきされ、内部に導電性樹脂18が充填されたスルーホール12を除くボールパッド16上にリング状バンプ20を形成する代わりに、壁面がめっきされ、内部に導電性樹脂18が充填されたスルーホール12を含むボールパッド16上にボール状バンプ24を形成したものである。
【0022】
続いて、図7に示すフローチャートを用いて、上述する本発明のBGA型半導体装置の形成方法のもう一つの参考例を説明する。まず、図7(a)に示すように、絶縁性を有する基板11の両面に銅箔13を貼り付ける。次に、図7(b)に示すように、この両面に銅箔13が貼り付けられた基板11にスルーホール12を開孔する。続いて、図7(c)に示すように、開孔したスルーホール12の壁面にめっき28を施す。続いて、図7(d)に示すように、壁面にめっき28が施されたスルーホール12の内部に導電性樹脂18を充填する。続いて、図7(e)に示すように、基板11の両面に貼り付けられた銅箔13をエッチングして、基板11の片面側のスルーホール12の外周部にリング状の配線パッド14と、この配線パッド14から延在する配線パターンを形成し、同時に、基板11の他面側のスルーホール12の外周部にリング状のボールパッド16を形成する。そして、図7(f)に示すように、このリング状のボールパッド16上にリング状バンプ20を形成する、あるいは図7(g)に示すように、壁面がめっきされ、内部に導電性樹脂18が充填されたスルーホール12を含むボールパッド16上にボール状バンプ24を形成する。
【0023】
次に、図4は、本発明のBGA型半導体装置の一実施例の部分断面図である。同図に示すBGA型半導体装置36は、図3(a)に示すBGA型半導体装置32と比較して、スルーホール12に充填された導電性樹脂18において、基板11の両面のスルーホール12の開孔部から露出する導電性樹脂18の表面に予めめっき38を施しておき、基板11の片面に形成された銅箔から配線パッド14および配線パターンを形成し、基板11の他面に形成された銅箔からボールパッド16を形成したものである。従って、本態様のBGA型半導体装置36においては、基板11の片面のスルーホール12の直上に配線パッド14と、基板11の他面のスルーホール12の直下にボールパッド16とを平坦に形成することができ、ボールパッド16上に形成されるボール状バンプ24の形状およびサイズを正確にすることができる。なお、本態様では、ボールパッド16が平坦に円状に形成されるため、ボールパッド16上にはリング状バンプ20ではなく、必然的にボール状バンプ24が形成される。
【0024】
続いて、図8に示すフローチャートを用いて、上述する本発明のBGA型半導体装置の形成方法の一実施例を説明する。まず、図8(a)に示すように、絶縁性を有する基板11の両面に銅箔13を貼り付ける。次に、図8(b)に示すように、この両面に銅箔13が貼り付けられた基板11にスルーホール12を開孔する。続いて、図8(c)に示すように、開孔したスルーホール12の壁面にめっき28を施す。続いて、図8(d)に示すように、壁面にめっき28が施されたスルーホール12の内部に導電性樹脂18を充填する。続いて、図8(e)に示すように、基板11の両面のスルーホール12の開孔部から露出する導電性樹脂18の表面にめっき38を施す。続いて、図8(f)に示すように、基板11の両面に貼り付けられた銅箔13をエッチングして、基板11の片面側のスルーホール12の直上に円状の配線パッド14と、この配線パッド14から延在する配線パターンを形成し、同時に、基板11の他面側のスルーホール12の直下に円状のボールパッド16を形成する。そして、図8(g)に示すように、平坦に形成された円状のボールパッド16上にボール状バンプ24を形成する。
【0025】
次に、さらに具体的な例を示して、本発明のBGA型半導体装置をさらに具体的に説明する。
【0026】
図9(a)および(b)は、本発明のBGA型半導体装置の一参考例の部分平面図、およびその断面図である。同図(a)および(b)に示すBGA型半導体装置40は、LSIチップの電極パッドから、スルーホール12の直上に形成された配線パッド14までの距離を最短に設計された配線パターン42を有する半導体パッケージの具体例である。図9(a)に示すように、LSIチップの電極パッドから、スルーホール12の直上に形成された配線パッド14までの距離を最短に設計するためには、基板11に開孔されたスルーホール12は、必要最小限の数量、好ましくはLSIチップの電極パッドの個数に制限する。また、基板11に開孔されるスルーホール12の位置は、所定位置、例えば、碁盤目状に配置するのが好ましい。
【0027】
さらに、バンプを形成する側の基板11面には、配線パターン42を形成しないのが好ましく、図9(b)に示すように、ボールパッド16を形成する位置は、即ち、バンプを形成する位置は、スルーホール12の直下にするのが好ましい。なぜなら、スルーホール12とボールパッド16との中心位置がずれると、バンプの配置が難しくなり、バンプのピッチの拡大につながってしまうからである。言い換えれば、スルーホール12とボールパッド16との中心位置がずれるということは、バンプを形成する側の基板11面に配線パターン42を形成することであり、配線パターン42を形成するための面積が必要となって、バンプを形成するためのボールパッド16の形成領域が制限されて、結局ピン数を確保するための制限が生まれてしまうからである。
【0028】
次に、図10は、本発明のBGA型半導体装置をMCM基板44に適用した一参考例の断面図である。同図に示すように、LSIチップを搭載する半導体パッケージ43およびこの半導体パッケージ43を搭載するMCM基板44に本発明のBGA型半導体装置を適用すれば、システム全体のサイズを小型化することができ、さらにLSIチップの電極パッドから外部接続端子までの距離を最短にすることができ、信号の伝送特性も最善な状態にすることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明のBGA型半導体装置は、LSIチップを搭載するパッケージの外部接続端子として、BGAを適用したもので、基板の片面には、基板に開孔されたスルーホールの直上に配線パッドと、この配線パッドとLSIチップの電極パッドとを接続する配線パターンだけを形成し、基板の他面には、基板に開孔したスルーホールの直下にボールパッドと、このボールパッド上に外部接続端子となるボール振り込み法により形成されたボール状バンプを形成し、基板に開孔されたスルーホールを介して、基板の片面に形成された配線パッドと、基板の他面に形成されたボールパッドとを、互いに電気的に接続したものである。
【0030】
従って、本発明のBGA型半導体装置によれば、基板に碁盤目状にスルーホールを開孔し、このスルーホールの直下にボールパッドを形成し、このボールパッド上に外部接続端子となるボール振り込み法により形成されたボール状バンプを形成するので、バンプのピッチを最小にすることができ、基板のサイズを最小にすることができる。また、本発明のBGA型半導体装置によれば、基板の片面には、LSIチップの電極とスルーホールの直上に形成された配線パッドとを接続する配線パターンだけを形成し、基板の他面には、スルーホールの直下にボールパッドが形成され、このボールパッド上にバンプが形成されているので、配線パターン設計の自由度が高く、LSIチップの電極パッドからバンプまでの距離を最短にすることができるので、LSIチップの高速動作に伴う信号の伝送特性を改善することができ、ノイズによる信号の伝送特性の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、それぞれ本発明のBGA型半導体装置の一参考例の部分断面図、および別の実施例の部分断面図である。
【図2】(a)および(b)は、それぞれ本発明のBGA型半導体装置の他の参考例の部分断面図、および別の実施例の部分断面図である。
【図3】(a)および(b)は、それぞれ本発明のBGA型半導体装置のもう一つの参考例の部分断面図、および別の実施例の部分断面図である。
【図4】本発明のBGA型半導体装置の一実施例の部分断面図である。
【図5】本発明の第1態様のBGA型半導体装置の形成方法の一参考例のフローチャートである。
【図6】本発明の第1態様のBGA型半導体装置の形成方法の他の参考例のフローチャートである。
【図7】本発明の第1態様のBGA型半導体装置の形成方法のもう一つの参考例のフローチャートである。
【図8】本発明の第1態様のBGA型半導体装置の形成方法の一実施例のフローチャートである。
【図9】(a)および(b)は、それぞれ本発明のBGA型半導体装置を半導体パッケージに適用した一参考例の部分平面図、およびその断面図である。
【図10】本発明のBGA型半導体装置をMCM基板に適用した一参考例の断面図である。
【符号の説明】
10、22、26、30、32、34、36、40 BGA型半導体装置
11 基板
12 スルーホール
14 配線パッド
16 ボールパッド
18 導電性樹脂
20 リング状バンプ
24 ボール状バンプ
28、38 めっき
42 配線パターン
43 半導体パッケージ
44 MCM基板
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-07-30 
出願番号 特願平6-154511
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 守安 太郎  
特許庁審判長 関根 恒也
特許庁審判官 伊藤 明
市川 裕司
登録日 2001-03-09 
登録番号 特許第3166490号(P3166490)
権利者 日立電線株式会社
発明の名称 BGA型半導体装置  
代理人 川澄 茂  
代理人 川澄 茂  

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