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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  E04F
管理番号 1086514
異議申立番号 異議2003-70989  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-01-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-04-21 
確定日 2003-11-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第3336293号「階段の改修構造」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3336293号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件特許第3336293号(平成11年6月25日出願、平成14年8月2日設定登録。)の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件発明1ないし3」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、それぞれその特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 既存の階段に新規の階段部材を取付けるに際して、蹴込み板から突出している踏板の突出長さに相当する幅の当木を蹴込み板の下端部で下位の踏板上に固定し、当木の外側面と踏板の先端面にわたって新規蹴込み板を取付け、断面L字状の新規踏板を既存の踏板上に取付けて新規踏板にて新規蹴込み板の上端部を覆って成ることを特徴とする階段の改修構造。
【請求項2】 既存の階段の下又は上もしくは両方に新規床材を敷設し、新規床材と新規踏板の厚さを同じにして成ることを特徴とする請求項1記載の階段の改修構造。
【請求項3】 新規踏板、新規蹴込み板の側桁への当接箇所に幅木を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の階段の改修構造。」

2.特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人 笠下 隆史は、本件発明1及び2は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づき、本件発明3は、甲第1号証、甲第2号証、及び甲第4号証に記載された発明に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるか、あるいは、本件発明1ないし3は、甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、本件発明1ないし3の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、当該特許は取り消されるべきものである旨主張している。

3.甲第1〜3号証記載の発明
本件特許の出願前に頒布された刊行物である、甲第1号証(実用新案登録第2551544号公報)には、次の記載がある。
「本考案は、既設の踏板の上に新しい踏面を形成して改修した階段に関する。」(2欄1〜2行)
「既設のけこみ板の上面に新しいけこみ化粧板を貼り付けた後、既設の踏板の先端面の外面に先端面被覆固定片を固定し、踏板の上面先端部に踏板固定片を固定して階段貼り替え用金具を既設の階段に取り付け、踏面化粧板嵌合溝に新しい踏面化粧板の先端部を嵌入し、既設の踏板の上面に新しい踏面化粧板を張設する。先端面被覆固定片の前面に嵌合された付木が・・・既存の踏板の先端面を隠蔽する。」(3欄43行〜4欄1行)
「本考案によれば、既設の踏板やけこみ板を剥がすことなく、新しい踏面化粧板とけこみ化粧板を貼ることができるので、階段の貼り替え工事を手間をかけずに、短期間で簡単に施工することが可能」(5欄12〜15行)
よって、これらの記載及び図3によれば、甲第1号証には、
「既設の階段に新規の階段部材を取付けるに際して、既設のけこみ板の上面に新しいけこみ化粧板を貼り付け、階段貼り替え用金具を既設の踏板に取り付け、階段貼り替え用金具の踏面化粧板嵌合溝に新しい平板状の踏面化粧板の先端部を嵌入し、既設の踏板の上面に新しい踏面化粧板を張設し、階段貼り替え用金具の先端面被覆固定片の前面に嵌合された付木にて既存の踏板の先端面を隠蔽する、階段の改修構造」
の発明が開示されていると認められる。

また、甲第2号証(実願昭60-99795号(実開昭62-7534号)のマイクロフィルム)には、次の記載がある。
「この考案は、金属製階段の持つ施工性の良さと、木製階段の持つ感触の良さを合わせ持つもので、すなわち、複数段からなる金属製階段素材のけこみ部に木製けこみ板が取付けられ、踏板部に前面に垂下部を有する木製踏板が取付けられ、この木製踏板の前面垂下部によって木製けこみ板の上部を覆い隠してなる階段装置に関するものである。」(2頁10〜17行)
「1は複数段からなる金属製階段素材2で、けこみ部2と踏板部3とから構成されている。けこみ部2は下方に行くにしたがって階段内側に傾斜しており、第2図に示すような木製けこみ板4が取付けられている。木製けこみ板4は、・・・必要であるならば図面に示すように表面板13の下部裏面に桟木7を取付けて木製けこみ板を構成してもよい。桟木7の厚みにより、木製けこみ板4の角度が決定されるが、通常は木製けこみ板の表面側がほぼ垂直になるように取付けられる。」(2頁20行〜3頁11行)
「木製踏板8を取付ける際、上記垂下部11によって木製けこみ板4の上部を覆い隠すように、かつ垂下部の裏面が木製けこみ板4の表面上部に当接するようにする。」(3頁19行〜4頁2行)

さらに、甲第3号証(実願昭61-132908号(実開昭63-40422号)のマイクロフィルム)には、次の記載がある。
「踏板2と段鼻3との下面には補強を兼ねた下地合板5が・・・配設されており、また階段幅方向の・・・内部側には側桁7および斜め胴縁8が各々配設されている。
また、中間部の蹴込み板4の下部裏面には胴縁9が、さらに、最下段の蹴込み板4の裏面には蹴込み板止め10が各々取付けられている。」(3頁2〜10行)

4.対比
そこで、本件発明1と甲第1号証に記載の発明とを比較すると、甲第1号証に記載された発明の「既設のけこみ板」、「既設の踏板」、「新しいけこみ板」、及び「新しい踏面化粧板」は、本件発明1の「蹴込み板」、「踏板」、「新規蹴込み板」、及び「新規踏板」に、それぞれ相当するから、両者は、
「既存の階段に新規の階段部材を取付けるに際して、新規蹴込み板を取付け、新規踏板を既存の踏板上に取付けて成る、階段の改修構造。」の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1] 本件発明1が、蹴込み板から突出している踏板の突出長さに相当する幅の当木を蹴込み板の下端部で下位の踏板上に固定し、当木の外側面と踏板の先端面にわたって新規蹴込み板を取付けているのに対し、甲第1号証に記載の発明では、当木に相当する部材がなく、新規蹴込み板が既設のけこみ板の前面に直接貼り付けられている点。
[相違点2] 新規踏板が、本件発明1では、断面L字状であるのに対し、甲第1号証記載の発明では、平板状である点。
5.判断
[相違点1について]
甲第2号証には、金属製階段素材のけこみ部の下端部に位置する桟木の外側面と、金属製階段素材の踏板部の先端面にわたって木製けこみ板を取付けた階段構造が記載されている。
しかし、甲第2号証に記載された発明は異質の2部材からなる新設の階段に関するものであって、本件発明1のような階段の改修構造に関するものではないし、また、甲第2号証記載の桟木は、予め木製けこみ板と一体化されており、本件発明1における当木のように、単独で「蹴込み板の下端部で下位の踏板上に固定される」ものではない。さらに、甲第2号証の桟木が取付けられる対象は金属製階段素材の傾斜したけこみ部であって、桟木はけこみ部の形状に合わせてその高さ方向において幅が変化しているものであるから、本件発明1のような、「(既存の)蹴込み板から突出している踏板の突出長さに相当する幅」を有するものとはいえない。
また、甲第3号証には、側桁7から突出している下地合板5の突出長さに相当する幅の胴縁9を下位の踏板2上に固定し、胴縁9の外側面と下地合板5の先端面にわたって蹴込み板4を取付けて成る、階段構造が記載されている。
しかし、甲第3号証に記載された発明も、甲第2号証記載の発明と同様に新設の階段に関するものであって、階段の改修に関する記載も示唆もなく、本件発明1における(既存の)蹴込み板に対応する部材が存在しない。また、本件発明1における当木が、蹴込み板の下端部で下位の踏板上に固定されているのに対し、甲第3号証記載の発明における胴縁9は、第1図より、側桁7の前端で下位の踏板2(本件発明1における新規踏板に対応)上に固定されているものと認められる。

結局、甲第1〜3号証には、相違点1として摘記した、本件発明1を特定するために必要な事項の内、「階段の改修構造において、蹴込み板から突出している踏板の突出長さに相当する幅の当木を蹴込み板の下端部で下位の踏板上に固定する点。」について記載も示唆もない。
そして、本件発明1は上記の点によって、「新規蹴込み板は既存の蹴込み板と略平行になるのであり・・・改修した階段に違和感を生じさせることがなく、階段の改修を容易、迅速にかつ外観を高めて行うことができる」(6欄37〜42行)という明細書記載の効果を奏するものである。

したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1〜3号証記載の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。

本件発明2,3は、本件発明1を引用するものであるから、同様である。

6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1ないし3に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-10-20 
出願番号 特願平11-180213
審決分類 P 1 652・ 121- Y (E04F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 南澤 弘明  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 新井夕起子
田中 弘満
登録日 2002-08-02 
登録番号 特許第3336293号(P3336293)
権利者 松下電工株式会社
発明の名称 階段の改修構造  

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