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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  A61B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61B
管理番号 1086547
異議申立番号 異議2003-70748  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-02-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-24 
確定日 2003-10-20 
異議申立件数
事件の表示 特許第3328472号「アングル操作部のロック装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3328472号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 本件特許第3328472号の請求項1に係る発明は、特許査定時の明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
これに対して、平成15年6月4日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もない。
前記取消理由は次のものである。
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理 由
第1理由(特許法第29条第2項)
1.本件発明
特許第3328472号の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりである。

2.刊行物
刊行物1:特公平4-21487号公報
刊行物2:特開平5-228100号公報

2-1.刊行物1について
刊行物1には次の事項が記載されている。
「本発明は、内視鏡の先端湾曲部を手許操作部で湾曲操作するための湾曲操作装置に関する」(第1頁左欄第19,20行)、
「上下湾曲操作ノブ15を回動操作して一対の操作ワイヤ29の一方を引き、他方を繰り出すことにより湾曲部26が上下方向に湾曲し」(第2頁左欄第25-28行)、
「ブレーキパッド環77は、……回動方向には固定、軸方向移動可能となっており、このブレーキパッド環77に下方を向いたブレーキパッド78を固着している。……、このブレーキ板79がブレーキパッド78と対向している」(第4頁左欄10行-17行)、
「上記ロック機構は、上下湾曲ロックレバー16を回動させると…………、このためブレーキパッド78がブレーキ板79に対して接離する。ブレーキパッド78がブレーキ板79に強く接触すると、ブレーキ板79の回動、つまり上下用回動筒37……の回動が規制されてロック状態となり、ブレーキ板79からブレーキパッド78が離間すれば、上下用回動筒37……の回動が自由となって、湾曲部26の上下方向の湾曲操作ができる」(第4頁左欄第22-35行)

2-2.刊行物2について
刊行物2には次の事項が記載されている。
「この発明は挿入部の先端に設けられた湾曲機構を湾曲操作する湾曲操作部およびそのブレーキ機構を備えた内視鏡に関する」(段落0001)、
「環状体37には摩擦板27の下面に突設された突起27cが嵌合される嵌合孔が形成されており、環状体37と摩擦板27との間は摩擦板27の下面に突設された突起27cによって回転規制されている」(段落0020)、
「また、回動部材45が図6の位置から反時計回り方向に回動操作され、…………この操作アーム44eの先端の爪部44fが第1の操作ノブ40側の係合部37aに係合される。この状態では第1の固定円板43側に……摩擦板27が結合され、この摩擦板27の回転が阻止される。したがって、この状態で第1の操作ノブ40を回転させる場合には、摩擦板27と外スリーブ16の鍔16aとの間の摩擦力が回転抵抗となる。」(段落0030)

3.対比・判断
本件発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1における「上下湾曲操作ノブ15」、「上下湾曲ロックレバー16」、「ブレーキパッド78」がそれぞれ、本件発明の「回動操作部材」、「ロック部材」、「回動操作部材を係止状態にする摩擦板」に相当し、また、摩擦板(刊行物1ではブレーキパッド78が相当)が当接する相手に関しては、刊行物1の「ブレーキ板79」、「ブレーキパッド環77」がそれぞれ、本件発明の「回動操作部材側の当接部」、「ロック部材側の当接部」に相当するから、本件発明と刊行物1に記載の発明は、
「先端部の曲げ角度を操作するために回動する回動操作部材と、この回動操作部材の操作位置をロックするために配置されたロック部材と、このロック部材の操作時に摩擦作用により上記回動操作部材を係止状態にする摩擦板と、を備えたアングル操作部において、上記ロック部材側の当接部に対し、上記摩擦板を固定してその回転を規制し、この摩擦板の一面と上記回動操作部材側の当接部との間での摩擦作用のみを利用することを特徴とするアングル操作部のロック装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
摩擦板をロック部材側の当接部に固定する手段に関して、本件発明は、ロック部材側の当接部に対し摩擦板を凹凸の嵌合により固定するというものであるのに対し、刊行物1に記載の発明は、ブレーキパッド環77(ロック部材側の当接部に相当)に対しブレーキパッド78(摩擦板に相当)を固着するというものである点。
(相違点についての検討)
内視鏡の先端湾曲部を手元操作部で湾曲操作するための湾曲操作装置の技術分野において、摩擦板を該摩擦板を支持する部材に対して相対回転しないように固定するのに、両者の凹凸の嵌合を用いて固定することが従来周知(刊行物2を参照。刊行物2はその段落0020で、内視鏡の湾曲操作装置の操作部材に対するブレーキに用いられる摩擦板に関して「環状体37には摩擦板27の下面に突設された突起27cが嵌合される嵌合孔が形成されており、環状体37と摩擦板27との間は摩擦板27の下面に突設された突起27cによって回転規制されている」と記載がある。すなわち刊行物2に記載のものは、嵌合孔と突起27cの嵌合により、環状体37に対して摩擦板27が相対回転しないようにと規制するものと認められる)であるから、刊行物1に記載の発明において、ブレーキパッド環77に対しブレーキパッド78を固着するのに際して、ブレーキパッドに突起を設け、ブレーキパッド環77にそれに合う嵌合孔を設けて、両者を凹凸により嵌合固着することは、当業者が容易に想到できたものと認められる。

4.むすび
以上のとおり、本件発明は上記刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

第2理由(特許法第29条の2)
本件発明は、前記第1理由の「1.本件発明」の段落で述べたとおりの発明である。
一方、特願平5-354158号(特開平7-194519号公報参照)の願書に最初に添付された明細書又は図面には、特許異議申立書第4頁第6-27行に記載の発明が記載されている(以下これを「異議引用発明」という)。
そして、本件発明は、特許異議申立書第5頁第1行-第6頁第8行に記載の理由により、前記異議引用発明と実質的に同一と認められる。
また、本件特許に係る発明者が、前記異議引用発明の発明者と同一であるとも、本件特許出願時において、本件特許に係る特許出願人が、前記異議引用発明に係る特許出願人と同一であるとも認められない。
したがって、本件発明すなわち請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。
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そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件の請求項1に係る特許は、この取消理由によって取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-09-08 
出願番号 特願平7-214149
審決分類 P 1 651・ 16- Z (A61B)
P 1 651・ 121- Z (A61B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 居島 一仁居島 一仁安田 明央  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 菊井 広行
河原 正
登録日 2002-07-12 
登録番号 特許第3328472号(P3328472)
権利者 富士写真光機株式会社
発明の名称 アングル操作部のロック装置  

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