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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08G
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C08G
管理番号 1086549
異議申立番号 異議2002-70399  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-09-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-02-19 
確定日 2003-11-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第3200413号「半導体装置の製法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3200413号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 【1】手続きの経緯及び本件発明

本件特許第3200413号は、平成2年6月15日に出願された特願平2-158045号の一部を特許法第44条第1項の規定により、平成2年6月15日に特許出願したものであって、平成13年6月15日に特許権の設定登録がなされ、その後、加藤巨奈江より特許異議の申立てがなされ、取消理由を通知したところ意見書が提出されたものである。
そして、本件特許の請求項1〜4に係る発明(以下、順次、「本件発明1」〜「本件発明4」という)は、請求項1〜4に記載された、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 下記の(A)〜(D)成分を含有しているエポキシ樹脂組成物を準備する工程と、上記エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止する工程を備えている半導体装置の製法。
(A)下記の一般式(1)で表されるエポキシ樹脂。
【化1】

(B)下記の一般式(2)で表されるフェノールアラルキル樹脂。
【化2】

(C)臭素化エポキシ樹脂。
(D)下記の(d1)成分および(d2)成分の少なくとも一方。
(d1)下記の一般式(3)で表されるハイドロタルサイト類化合物。
【化3】

(d2)ビスマスの水酸化物,ビスマスの酸化物,アルミニウムの水酸化物およびアルミニウムの酸化物からなる群から選択された少なくとも一つの化合物であって塩素イオン,ブロムイオン,硝酸イオン含有量がそれぞれ5ppm以下の化合物。
【請求項2】 (C)成分である臭素化エポキシ樹脂の含用量が、エポキシ樹脂組成物の樹脂成分(A+B+C成分)中、1〜10重量%の範囲に設定されている請求項1記載の半導体装置の製法。
【請求項3】 (d1)成分であるハイドロタルサイト類化合物の平均粒径が5μm以下で、かつその最大粒径が30μm以下である請求項1または2記載の半導体装置の製法。
【請求項4】 (d2)成分であるビスマスの水酸化物,ビスマスの酸化物,アルミニウムの水酸化物およびアルミニウムの酸化物からなる群から選択された少なくとも一つの化合物の平均粒径が0.5〜30μmの範囲内で、かつその最大粒径が74μm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製法。」

【2】特許異議の申立ての理由の概要

特許異議申立人は、甲第1号証(特開昭63-251419号公報)、甲第2号証(特開平2-102217号公報)、甲第3号証(特開平1-206655号公報)、甲第4号証(特開平1-206656号公報)、甲第5号証(特開昭61-19625号公報)、甲第6号証(特開昭64-73748号公報)、甲第7号証(特開昭62-181322号公報)、甲第8号証(特開昭57-212224号公報)、甲第9号証(特開昭62-59626号公報)、甲第10号証(「機能材料 1982年10月号」昭和57年9月5日 株式会社シーエムシー発行 第11〜21頁)、甲第11号証(「日立マイコン技報 Vol.2 NO.1」1988 第16〜19頁)、甲第12号証(「表面実装形LSIパッケージの実装技術とその信頼性向上」 1998年11月16日 応用技術出版株式会社発行 第190〜195頁)、甲第13号証(「日東技報 Vol.27 NO.1」(1989年5月1日 日東電工株式会社発行 第34〜38頁)、及び甲第14号証(特開平2-99551号公報)を提出し、概略、以下のとおり主張している。
主張1:本件発明1は甲第1〜10号証に記載された発明に基づいて、本件発明2は甲第1〜7号証に記載された発明に基づいて、本件発明3は甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて、本件発明4は甲第1号証及び甲第6号証に記載された発明に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1〜4は、特許法第29条第第2項の規定に違反して特許されたものである。
主張2:本件の請求項1〜4に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

【3】取消理由の概要

取消理由の概要は、本件発明1〜4は、その出願前に国内において頒布された甲第1〜10、13、14号証、及び、「「プラスチックス VOL.34 No.2」(1983)p.85〜91」(以下、「刊行物1」という)に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する分野における通常の知識を有する者が、容易に発明をすることができたものであるから、本件の請求項1〜4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるというものである。

【4】判断

1.主張1及び取消理由に対する判断
(1)本件発明1について
本件特許明細書の記載からみて、本件発明1は、特定の構造を有するエポキシ樹脂である(A)成分と特定の構造を有するフェノールアラルキル樹脂である(B)成分を併用する点を構成要件としている。そして、(B)成分は(A)成分の硬化剤として機能しており(本件明細書の段落【0016】参照)、(A)成分と(B)成分の組み合わせにより、封止樹脂自体の低吸湿化を実現し、その結果、半田実装に際してもパッケージクラック等が生ずることがないという効果を奏するものと認められる(段落【0029】参照)。
そこで検討するに、甲第1号証の特許請求の範囲の請求項1には、「エポキシ樹脂と充填材とを主成分とする半導体封止用樹脂組成物において、下記式(I)

(ただし、R1〜R8は水素原子、C1〜C4の低級アルキル基またはハロゲン原子を示す。)で表わされる骨格を有するエポキシ樹脂とゴムとを必須成分として含むことを特徴とする半導体封止用樹脂組成物。」と記載され、該エポキシ樹脂について、「本発明におけるエポキシ樹脂の好ましい具体例としては、・・・、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル、・・・・、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラエチルビフェニル、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラブチルビフェニルなどが挙げられる。」(第2頁右下欄下から第6行〜第3頁左上欄第9行)と記載されているから、甲第1号証には、本件発明1における(A)成分が記載されている。また、該エポキシ樹脂の硬化剤について、甲第1号証には、「本発明の組成物は、通常、硬化剤を含有する。硬化剤としてはエポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば特に限定されない。たとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、下記式(III)で表わされるノボラック樹脂、

(ただし、nは0以上の整数を示す。)・・・・などが挙げられるが、特に限定されるものではない。」(第3頁右上欄第13行〜左下欄第9行)と記載されており、該式(III)で表わされるノボラック樹脂は、本件発明1における(B)成分に相当している。さらに、実施例には、エポキシ樹脂として、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニルを使用した例が記載されており(実施例1等の「エポキシ樹脂A」を参照)、該化合物は、本件発明1における(A)成分に相当している。
以上のとおりであるから、甲第1号証には、エポキシ樹脂の一例として(A)成分が、硬化剤の一例として(B)成分がそれぞれ記載されている。
しかし、甲第1号証には、(A)成分と(B)成分を組み合わせることは記載されていない。
そこで、甲第1号証の記載に基づいて、(A)成分と(B)成分を併用することが容易であるかを検討する。
まず、本件特許明細書における実施例3と同比較例2を対比すると、硬化剤が、前者が(B)成分であるのに対して、後者がフェノールノボラック樹脂である点を除き、両者は成分組成がほぼ一致している。すなわち、共に、エポキシ樹脂として、「エポキシ樹脂A」(エポキシ当量195の4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル)90部と「エポキシ樹脂B」(エポキシ当量195のO-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂」90部を併用使用しており、難燃剤として臭素化エポキシ樹脂20部を用いており、他の成分や配合量もほぼ一致している。そして、85℃/85%飽和吸湿率が、実施例3が0.35%であるのに対して、比較例2は0.47%であり、260℃半田浸漬時のクラック発生限界吸湿時間が、実施例3が72時間以上であるのに対して、比較例2は36時間である。この結果からみて、(A)成分に対する硬化剤として(B)成分を使用したことによる効果は、フェノールノボラック樹脂を使用した場合に比較して格別優れていることが認められる。
一方、甲第1号証では、エポキシ樹脂として、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル(甲第1号証ではエポキシ樹脂Aと記載されている。)とエポキシ当量198のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(甲第1号証ではエポキシ樹脂Bと記載されている。)を併用使用し、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂を使用し、難燃剤として臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した実施例2〜10が記載されているが、この実施例2〜10のエポキシ樹脂と硬化剤の組み合わせは、本件特許明細書の比較例2と同様である。
そうすると、甲第1号証に記載された実施例の硬化剤を(B)成分に変更した場合の効果は、該実施例の効果に比較して格別優れていることが、本件特許明細書の実施例3と比較例2の対比から判断できる。
すなわち、甲第1号証に記載された発明において、特に(A)成分と(B)成分の組み合わせを選択した場合、甲第1号証に記載された実施例の効果に比べ、格別顕著な効果が得られるものと認められ、この効果を参酌すると、甲第1号証に記載された発明において、特に(A)成分と(B)成分の組み合わせを選択することが容易であったとは認められない。
甲第2号証にも、エポキシ樹脂と硬化剤等からなるのエポキシ樹脂組成物の発明が記載され、エポキシ樹脂の例示として本件発明1における(A)成分が、硬化剤の例示として本件発明1における(B)成分がそれぞれ記載されているが、いずれも多数の中の一例であり、甲第2号証には、(A)成分と(B)成分の特定された組み合わせが記載されているとは認められない。また、甲第2号証には、エポキシ樹脂として本件発明1における(A)成分に実質的に相当すると認められるエポキシ樹脂A3と、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂A1を併用使用し、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂を使用した実施例1〜6が記載されているが、この実施例1〜6の硬化剤であるフェノールノボラック樹脂を(B)成分に変更した場合、実施例1〜6の効果に比較して格別優れた効果を奏することが、本件特許明細書の実施例3と比較例2の対比から判断できる。
すなわち、甲第2号証に記載された発明において、特に(A)成分と(B)成分の組み合わせを選択した場合、甲第2号証に記載された実施例の効果に比べ、格別顕著な効果が得られるものと認められ、この効果を参酌すると、甲第2号証に記載された発明において、特に(A)成分と(B)成分の組み合わせを選択することが容易であったとは認められない。
甲第14号証には、エポキシ樹脂と硬化剤等からなる組成物が記載され、エポキシ樹脂の例示として本件発明1における(A)成分が記載されているが、硬化剤として(B)成分は記載されていない。当然ながら、(A)成分と(B)成分の併用についての記載はない。(B)成分については、甲第1、2号証に記載があることは前記のとおりであるが、(A)成分と(B)成分の併用により顕著な効果が得られることを考慮すると、(A)成分と(B)成分の併用が、甲第1、2、14号証の記載に基づいて容易であるとは認められない。
甲第7号証には、エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂を併用してなる封止用エポキシ樹脂組成物が記載され(特許請求の範囲参照)、該エポキシ樹脂として難燃エポキシ樹脂を加えたものが好ましことが記載され(第2頁左下欄第9〜11行)、実施例1(第4頁)には、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点74℃、当量200)100重量部、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂15重量部、フェノールノボラック樹脂36重量部、フェノールアラルキル樹脂(XL-225:三井東圧(株))36重量部、その他を配合してなるエポキシ樹脂組成物が記載されている。そして、フェノールアラルキル樹脂XL-225が本件発明における(B)成分であることは、刊行物1に記載されている。
以上の点からみて、甲第7号証には、エポキシ樹脂と(B)成分を併用することが記載されていると認められる。
しかし、甲第7号証には、エポキシ樹脂として、本件発明1における(A)成分を使用することについての記載はない。しかしながら、(A)成分が半導体封止用エポキシ樹脂の一例であることは、前記したとおり甲第1、2、14号証に記載されているので、甲第7号証に記載された発明において、エポキシ樹脂として(A)成分を使用することの容易性について検討する。
まず、甲第7号証には、上記のとおりの成分組成からなる実施例1が記載されている。
そして、特許権者が提出した実験成績証明書(応対記録参照)には、甲第7号証の実施例1の追試に相当する組成物(以下「甲第7号証の組成物」という。)の260℃半田浸漬時のパッケージクラック発生限界吸湿時間が24時間(本件明細書の段落【0039】に記載の方法に準拠して測定)であり、PCTテスト1000時間後の不良発生数が2個/40個(本件明細書の段落【0039】に記載の方法に準拠して測定)であったのに対して、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を4、4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル(エポキシ当量192)(本件特許明細書記載の実施例で用いたエポキシ樹脂A)に置き換えた以外は、「甲第7号証の組成物」と同一の配合組成からなる組成物は、260℃半田浸漬時のパッケージクラック発生限界吸湿時間が72時間以上であり、PCTテスト1000時間後の不良発生数が0個/40個であったことが示されている。そうすると、甲第7号証に記載された発明におけるエポキシ樹脂として、(A)成分を使用したことによる効果は、甲第7号証の実施例の効果に比較して格別顕著であると認められる。
そして、この効果を参酌すると、甲第7号証に記載された発明において、エポキシ樹脂として、(A)成分を使用することが容易であったものとは認められない。
甲第3、4号証には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ハイドロタルサイト類化合物の併用が記載され、甲第5号証には、ハイドロタルサイト系化合物を配合した半導体封止用エポキシ樹脂組成物が記載され、甲第6号証には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、臭素化エポキシ樹脂、「Biの水酸化物、Biの酸化物、Alの水酸化物およびAlの酸化物からなる群から選択された少なくとも一つの化合物」を併用してなるエポキシ樹脂組成物が記載され、甲第8号証には、「(1)常温常圧下水またはこれと有機溶剤とを用いて検出されるアルカリ金属イオン含量および加水分解性ハロゲンイオン含量が共にそれぞれ10ppm以下である下記の三成分;a)ノボラック型エポキシ樹脂を主成分とする塩素含量が0.1重量%以下のエポキシ樹脂、b)・・・・ノボラック樹脂、c)・・・溶融シリカ粉末および/または結晶性シリカ粉末、を必須成分とし、かつプレツシャークッカー状態(121℃、2気圧、100%R.H)下で抽出される硬化物のアルカリ金属イオン含量が10ppm以下、ハロゲンイオン含量が100ppm以下・・・となるような配合組成とされた半導体封止用エポキシ樹脂組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)が記載され、甲第9号証には、「エポキシ樹脂と、・・・を含有するエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂として有機酸の含有量が100ppm以下、塩素イオンの含有量が2ppm以下、加水分解性塩素の総含有量が500ppm以下で、かつα,β-クロルヒドリン基として存在する加水分解性塩素の含有量が40ppm以下、エポキシ当量が180〜230のクレゾールノボラックエポキシ樹脂を使用し、フェノール樹脂として・・・有機酸の含有量が100ppm以下、遊離のNa、Clが2ppm以下、フリーのフェノールが1%以下のノボラック型フェノール樹脂を使用すると共に、・・・・・することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。」(特許請求の範囲第1項)が記載され、甲第10号証には、イオン性不純物によるAl配線腐食について記載され、甲第13号証には、臭素化エポキシ樹脂から臭化物のガスが発生し、これが半導体デバイスのワイヤーボンド劣化に関係していることが記載され、刊行物1には、甲第7号証に記載されたXL-225の化学構造式が記載されている。しかし、甲第3〜6、8〜10、13号証及び刊行物1には、(A)成分や(B)成分についての記載はなく、当然ながら、(A)成分と(B)成分を組み合わせることについては記載も示唆もされていない。
以上のとおりであるから、(A)成分と(B)成分の併用は、甲第1〜10、13、14号証及び刊行物1の記載を組み合わせても、当業者にとって容易になし得たものとは認められない。
したがって、本件発明1における該併用以外の構成要件について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1〜10、13、14号証及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。
(2)本件発明2〜4について
本件発明2〜4は、本件発明1と同じく、(A)成分と(B)成分の併用を構成要件として具備している。したがって、本件発明1について述べた理由と同様の理由により、本件発明2〜4も、甲第1〜10、13、14号証及び刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。

2.主張2について
特許権者は、甲第11〜14号証に記載された技術常識からみて、半導体封止用樹脂組成物には充填材が必須であり、本件実施例でシリカ粉末が使用されているにもかかわらず、シリカ粉末が必須の構成要件となっていない点で、請求項1〜4は発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものではない旨主張している。
しかし、特許法第36条第4項第2号の「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項」とは、特許出願人自らが、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項と認識する事項のことであり、技術常識や実施例から、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項が定まるのではない。
したがって、この特許異議申立人の主張には理由がない。
また、特許異議申立人は、「本件請求項1には、「(A)〜(D)成分を含有しているエポキシ樹脂組成物を準備する工程」が構成要件となっているが、この「準備する」の意味が不明であること、すなわち、「準備する」が半導体素子を封止するために単にエポキシ樹脂組成物を用意するということを意味するのであれば、これは次の工程の「エポキシ樹脂組成物を用いて・・・」という文言に既に含まれているのであるから「(A)〜(D)成分を含有しているエポキシ樹脂組成物を準備する工程」なる要件は不要であり、したがって、請求項1〜4は発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものではない旨の主張もしている。
しかし、「(A)〜(D)成分を含有しているエポキシ樹脂組成物を準備する工程」とは、文字通り組成物を準備する工程であり、その意味は明らかである。また、それに続く「エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止する工程」は、組成物を準備する工程後の封止工程であり、これら両工程が別々の工程であることは明らかであり、後者の工程が前者の工程を含むものではない。
したがって、この特許異議申立人の主張にも理由がない。

【4】むすび

以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由および取消理由によっては、本件発明1〜4についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1〜4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1〜4についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-10-17 
出願番号 特願平10-333290
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C08G)
P 1 651・ 534- Y (C08G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 均酒井 英夫  
特許庁審判長 谷口 浩行
特許庁審判官 石井 あき子
佐野 整博
登録日 2001-06-15 
登録番号 特許第3200413号(P3200413)
権利者 日東電工株式会社
発明の名称 半導体装置の製法  
代理人 西藤 征彦  

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