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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E21D |
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管理番号 | 1087277 |
審判番号 | 不服2002-13705 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-10-10 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-07-22 |
確定日 | 2003-11-13 |
事件の表示 | 平成11年特許願第 86048号「シールド掘進機および掘削方法」拒絶査定に対する審判事件[平成12年10月10日出願公開、特開2000-282786]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成11年3月29日の出願であって、その請求項1ないし8に係る発明は、平成13年12月5日付け手続補正書で補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項6に記載された発明(以下「本願発明6」という。)は次のとおりである。 「先行掘削溝間の間隔がLとなるように、先行ビットを用いて掘削対象の地山に先行掘削溝を形成し、後行ビットを用いて前記先行掘削溝の間に掘り残された地山凸部を、掘削後の泥水輸送時に泥水輸送設備が閉塞しない大きさであって、かつ、泥水輸送後の1次処理時に固液分離可能な大きさの前記L以下の一定の大きさの固形状態の塊状の掘削土砂として切り出し掘削し、当該掘削土砂を、排泥管を介して固形状態を保持しつつ坑外へ搬出し、当該掘削土砂を固形状態の塊として1次処理で分級する泥水式シールド工法用の掘削方法であって、前記掘削土砂の大きさを調整するために、前記先行ビットを掘進方向に進退可能に駆動制御することを特徴とする掘削方法。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開平10-252381号公報(以下、「引用例」という。)には、泥水式シールド工法用の掘削方法に関して、段落番号【0028】〜【0030】に「先行ビット駆動装置64を伸長動させると、先行ビット支持体61を介して先行ビット48が切羽49へ向けて突出される。このように先行ビット48を切羽49側へ突出させることにより、粗掘りが行われる状態となるので、固形物回収量68を多くすることができる。反対に、先行ビット48の突出量を減少させることにより、細かい掘削が行われるようになるので、固形物回収量68を少なくすることができる。」、【0037】に「排泥管36を用いて、掘削した土砂を泥水と共に地上まで流体移送させ、地上で振動篩41を用いて泥水中の土砂などの固形物42を回収し、振動篩41で土砂などの固形物42を回収した後の泥水中の泥をフィルタープレス装置43を用いてろ過除去する際に、土を意図的に粗く掘削してできるだけ固形物42とした状態で、フィルタープレス装置43前段の振動篩41で分離除去することができるようになり、その分、フィルタープレス装置43を小型化して、地上の掘削基地を小規模化させることが可能となる。」、【0058】に「ティースビット45よりも先端が突出するように取付けらた先行ビット48で切羽49に溝を付け、その後にティースビット45で溝の間を掘らせるようにすることにより、効率良く掘削を行い得るようにしている。」と記載されており、これらの記載を含む明細書全体および図面を参照すると、引用例には、「先行ビットを用いて切羽に溝を形成し、ティースビットを用いて前記溝の間を、固形物とした状態の意図した粗さの掘削土砂として掘削し、当該掘削土砂を、排泥管を介して固形物とした状態で地上へ搬出し、当該掘削土砂を固形物とした状態の意図した粗さとしてフィルタープレス装置前段の振動篩で分離除去する泥水式シールド工法用の掘削方法であって、掘削粗さを調整するために、前記先行ビットを掘進方向に進退可能に駆動制御する掘削方法」が記載されていると認められる。 3.対比・判断 本願発明6と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「溝」、「切羽」、「ティースビット」、「溝の間」、「固形物とした状態の意図した粗さ」、「地上」、「フィルタープレス装置前段の振動篩で分離除去」、「掘削粗さを調整する」は、それぞれ、本願発明6の「先行掘削溝」、「掘削対象の地山」、「後行ビット」、「溝の間に掘り残された地山凸部」、「固形状態の塊(状)」、「坑外」、「1次処理で分級」および「1次処理時に固液分離」、「掘削土砂の大きさを調整する」に相当し、引用例記載の発明の「掘削」も、明記されてはいないが、「固形物とした状態の意図した粗さ」に掘削するのであるから、「切り出し掘削」といえるから、両者は、先行ビットを用いて掘削対象の地山に先行掘削溝を形成し、後行ビットを用いて前記先行掘削溝の間に掘り残された地山凸部を、固形状態の塊状の掘削土砂として切り出し掘削し、当該掘削土砂を、排泥管を介して固形状態を保持しつつ坑外へ搬出し、当該掘削土砂を固形状態の塊として1次処理で分級する泥水式シールド工法用の掘削方法であって、前記掘削土砂の大きさを調整するために、前記先行ビットを掘進方向に進退可能に駆動制御する掘削方法の点で一致し、下記の点で相違している。 相違点:本願発明6では、先行掘削溝間の間隔がLとなるように形成し、掘削後の泥水輸送時に泥水輸送設備が閉塞しない大きさであって、かつ、泥水輸送後の1次処理時に固液分離可能な大きさの前記L以下の一定の大きさの固形状態の塊状の掘削土砂とするのに対し、引用例記載の発明では、先行掘削溝間の間隔および固形状態の塊状の掘削土砂の大きさにそのような限定はされていない点。 上記相違点について検討すると、引用例記載の発明においても、掘削後の泥水輸送時に泥水輸送設備(排泥管等)を使用しており、かつ、泥水輸送後の1次処理時に固液分離しているから、明記されてはいないが、固形状態の塊状の掘削土砂の大きさを、泥水輸送時に泥水輸送設備が閉塞しない大きさとすることは当然考慮される事項にすぎず、かつ、泥水輸送後の1次処理時に固液分離可能な大きさであるといえる。そして、該条件を満たす大きさを、L以下の一定の大きさとすることは、設計的事項にすぎない。また、それにあわせて、先行掘削溝間の間隔がLとなるように形成することも、設計的事項にすぎない。 そして、本願発明6によってもたらされる効果も、引用例記載の発明から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別なものとはいえない。 4.むすび 以上のように、本願発明6は、引用例に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-09-11 |
結審通知日 | 2003-09-16 |
審決日 | 2003-10-01 |
出願番号 | 特願平11-86048 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(E21D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 高橋 三成、柳澤 智也 |
特許庁審判長 |
鈴木 憲子 |
特許庁審判官 |
田中 弘満 長島 和子 |
発明の名称 | シールド掘進機および掘削方法 |
代理人 | 布施 行夫 |
代理人 | 布施 行夫 |
代理人 | 大渕 美千栄 |
代理人 | 布施 行夫 |
代理人 | 井上 一 |
代理人 | 大渕 美千栄 |
代理人 | 井上 一 |
代理人 | 大渕 美千栄 |
代理人 | 井上 一 |