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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04G
管理番号 1087908
審判番号 不服2002-11358  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-11-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-20 
確定日 2003-12-04 
事件の表示 平成11年特許願第129488号「水上における作業用足場装置及びそれを用いた作業方法」拒絶査定に対する審判事件[平成12年11月21日出願公開、特開2000-320131]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成11年5月11日の出願であって、平成14年4月23日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月22日付で手続補正がなされた。

【2】平成14年7月22日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年7月22日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的として、その請求項2を次のとおりに補正することを含むものである。
「水上に浮かんで移動することが可能な台船と、
前記台船に設けられた複数の昇降装置と、
前記昇降装置によって上下方向に移動可能に支持され、下方向に移動して下端が水底に達したときに前記台船を上方へ持ち上げることが可能な複数のレグと、
前記台船に設けられたパンタグラフ式のリフト装置と、
前記リフト装置の上端に取り付けられることにより前記リフト装置により前記台船の上方で昇降可能に支持された作業台と、
上端部が前記作業台に回動可能に設けられ、前記作業台の昇降位置に応じて傾斜角度が変化して前記台船との間で作業者が往来するための通路となる階段と、
を有してなることを特徴とする水上における作業用足場装置。」
(以下、「補正発明」という。)

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された、特開平10-325126号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の杭により水面上に支持されている、桟橋構造物の下面を対象とした作業を行う際に使用する桟橋構造物下面作業用装置に関する。ここで、桟橋構造物は海上空港等に使用する人工島等のように、複数の杭により水面上に支持されている大規模構造物を指す。」
「【0005】
【課題を解決するための手段】……本発明の桟橋構造物下面作業用装置は、桟橋構造物の下方水面上を移動自在な浮体の上部には作業足場となる床構造が配設されており、該桟橋構造物下面の作業位置において該浮体を該桟橋構造物の支持杭に固定する複数の固定機構を該浮体に配置したことにより構成される。本発明の桟橋構造物下面作業用装置における作業足場となる床構造は、浮体に対して固定的に設置する場合があるが、桟橋構造物下面の水面上の高さによっては、作業の容易性を考慮して、浮体に対して床構造を上下に移動させるため昇降駆動装置を設け、床構造を上下可動に構成する場合がある。本発明において床構造を昇降させる昇降駆動装置は、作業足場となる床構造を貫通する複数の支柱を浮体上に立設し、該支柱に沿って該床構造を上下に移動させる昇降駆動装置を、該支柱と該床構造間に、又は該浮体と該床構造間に連係して設けることができる。床構造は支柱を貫通させ、支柱に沿って上下に移動可能にする開孔を有する。本発明において床構造を昇降させる昇降駆動装置は、複数の支柱を浮体上に立設して作業足場となる床構造を支持する場合は、該支柱に該床構造を押し上げて上下に移動させる昇降駆動装置を設置することができる。……。」
「【0015】
【発明の効果】本発明は、移動自在な浮体の上部に作業足場となる床構造が設置されているので、桟橋構造物下面作業用装置を水上で移動させることが可能であり、棧橋構造物下面の作業個所への進入並びに退去が容易に行える。このため、従来の仮設足場に比べ、作業位置が棧橋構造物の端部から離れていても作業足場の設置並びに撤去を短時間で行える。
また、固定機構により棧橋構造物の支持杭に反力をとり、桟橋構造物下面作業用装置を所定の位置に停止させられるので、従来の仮設足場で必要とされる吊りピースやその他の支持部材を棧橋構造物に設置することなく、安定した作業足場を確保できる。
したがって、従来の仮設足場を使用する場合に比べ、工期の短縮、及び適用範囲の拡大が可能となる。また、作業の安全性が確保される。」
したがって、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。
「水面上を移動自在な浮体の上部には作業足場となる床構造が配設されており、作業の容易性を考慮して浮体に対して床構造を上下に移動させるため、作業足場となる床構造を貫通する複数の支柱を浮体上に立設し、該支柱に沿って該床構造を上下に移動させる昇降駆動装置を設けて床構造を上下可動に構成した、桟橋構造物下面作業用装置。」

同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、特公昭50-14041号公報(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
「船足場1を貫通して昇降自在な脚2に該脚2の長さ方向にそつた凹凸部7を設け、この凹凸部7に対して係脱自在なストツパ8と前記脚2の周面2aに対して押圧開放自在なブレーキ装置9とを前記船足場1に設け、前記脚2に相対昇降自在に外嵌させた枠体13に、前記凹凸部7に対して係脱自在なストツパ14と、前記脚の周面2aに対して押圧開放自在なブレーキ装置18とを設けるとともに、この枠体13と前記船足場1との間に該枠体13の昇降を行なわせるシリンダ装置19を設けたことを特徴とする昇降脚付船足場。」(1欄17〜27行)
「本発明は昇降脚付船足場に関するもので、該船足場の海上(水上)への定着作業および定着解除作業を迅速に行うことのできる昇降脚付船足場を提供するものである。
以下本発明の一実施例を説明すると、第1図における1は船足場で、海上浮遊構成である。2はこの船足場1を貫通して昇降自在な脚で、普通該船足場1の四隅に配設してある。すなわちこの脚2は、第2図に示すように船足場甲板3に固着した上部リング4と船足場船座5に固着した下部リング6とにわたつて貫通し、これらリング4,6の案内により昇降自在である。」(1欄29行〜2欄3行)
「以下、脚2を昇降させて船足場1を海上に定着させる作業を第6図イ〜トに基づいて説明する……。イは船足場1を定着させる位置に曳航した状態を示す。……。そしてロで示すように脚2を上部ブレーキ装置18で支持するとともに下部ストツパ8と下部ブレーキ装置9による支持状態を解除した後、ハで示すように上部ブレーキ装置18を半開放状(半ブレーキ状)にして脚2をその自重で海盤にまで落とす。次いで……ニの状態にした後に……ホで示すように船足場1が浮上させられる半面、脚2が押し下げられてその先端が海盤に押込められる。」(2欄27行〜3欄12行)
したがって、刊行物2には以下の発明が記載されていると認められる。
「定着させる位置に曳航される船足場1であって、該船足場1を貫通して昇降自在な脚2に相対昇降自在に外嵌させた枠体13と、該枠体13の昇降を行なわせるシリンダ装置19を設けた船足場1。」

(3)対比・判断
補正発明と、上記刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「水面上を移動自在な浮体」、「昇降駆動装置」、「作業足場となる床構造」、及び「桟橋構造物下面作業用装置」は、補正発明の「水上に浮かんで移動することが可能な台船」、「リフト装置」、「作業台」、及び「水上における作業用足場装置」にそれぞれ相当するから、両者は、
「水上に浮かんで移動することが可能な台船と、
前記台船に設けられたリフト装置と、
前記リフト装置の上端に取り付けられることにより前記リフト装置により前記台船の上方で昇降可能に支持された作業台と、
を有してなる、水上における作業用足場装置。」
の点で一致し、以下の3点で相違している。

相違点1:補正発明は、台船に設けられた複数の昇降装置によって上下方向に移動可能に支持され、下方向に移動して下端が水底に達したときに台船を上方へ持ち上げることが可能な複数のレグを有しているのに対し、刊行物1記載の発明は、そのような複数のレグおよび該レグを上下方向に移動させる手段を有していない点
相違点2:リフト装置が、補正発明ではパンタグラフ式装置であるのに対し、刊行物1記載の発明では、浮体(台船)上に立設した支柱に沿って床構造(作業台)を上下に移動させる装置である点
相違点3:補正発明は、上端部が作業台に回動可能に設けられ、作業台の昇降位置に応じて傾斜角度が変化して台船との間で作業者が往来するための通路となる階段を有しているのに対し、刊行物1記載の発明は、そのような階段を有していない点

上記各相違点について検討する。

<相違点1について>
刊行物2には、上記のとおり、水上に浮かんで移動することが可能な船足場に、上下移動可能で先端を海底に固定し得る複数の脚(補正発明の「レグ」に相当。)を設けることが記載されており、該技術を、相違点1として摘記した補正発明の事項とする点に格別困難性は認められず、当業者が必要に応じ適宜なし得る設計的事項にすぎない。

<相違点2について>
作業台を昇降自在に支持するリフト装置として「パンタグラフ式」のものは、実願昭56-132982号(実開昭58-39935号)のマイクロフィルム等にみられるとおり従来周知の装置であり、そのような装置を補正発明が採用した点には何らの技術的意義も認められない。

<相違点3について>
地盤面や、補正発明における台船のような、いわゆる基盤面に対して昇降可能に支持された作業台を設けた場合に、作業者が基盤面と作業台間を往来できるようにするための手段を設けることは当業者が当然配慮することにすぎない。そして、該往来のための手段として作業台の昇降位置等に応じて傾斜角度を変化させ得る階段は、例を挙げるまでもなく従来周知であり、そのような階段を補正発明が採用した点には何らの技術的意義も認められない。

そして、補正発明が奏する作用効果も、当業者が予期し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、補正発明は、上記刊行物1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定によりその特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のように、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。

【3】本願発明について
(1)本願発明
本願の各請求項に係る発明は、平成14年7月22日付手続補正が上記のとおり却下されたので、平成13年9月13日付手続補正書により補正された明細書、及び、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりの次のものと認める。
「【請求項1】水上に浮かんで移動することが可能な台船と、
前記台船に設けられた複数の昇降装置と、
前記昇降装置によって上下方向に移動可能に支持され、下方向に移動して下端が水底に達したときに前記台船を上方へ持ち上げることが可能な複数のレグと、
前記台船に設けられたパンタグラフ式のリフト装置と、
前記リフト装置の上端に取り付けられることにより前記リフト装置により前記台船の上方で昇降可能に支持された作業台と、
を有してなることを特徴とする水上における作業用足場装置。
【請求項2】〜【請求項4】(記載を省略)」
(以下、請求項1記載の発明を「本願発明」という。)

(2)引用刊行物
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された各刊行物、及び、その記載事項は、上記【2】(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記【2】で検討した補正発明から、「上端部が前記作業台に回動可能に設けられ、前記作業台の昇降位置に応じて傾斜角度が変化して前記台船との間で作業者が往来するための通路となる階段」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が上記【2】(3)に記載したとおり、刊行物1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
 
審理終結日 2003-09-25 
結審通知日 2003-09-30 
審決日 2003-10-20 
出願番号 特願平11-129488
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古屋野 浩志  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 長島 和子
新井夕起子
発明の名称 水上における作業用足場装置及びそれを用いた作業方法  
代理人 久保 幸雄  
代理人 久保 幸雄  

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