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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B62D
管理番号 1087967
異議申立番号 異議2002-72479  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-06-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-07 
確定日 2003-09-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3273421号「履帯ゴムシュ-」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3273421号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 1手続の経緯
本件特許3273421号の発明は、平成6年10月12日
[【優先権主張番号】特願平5―339676
【優先日】平成5年12月5日
【優先権主張国】日本(JP)
【優先権主張番号】特願平6―265995
【優先日】平成6年9月21日
【優先権主張国】日本(JP)]に出願され、特許の設定登録(全5項)がなされ、その後、表記の異議申立人より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、訂正請求がなされたものである。

2訂正の適否の判断
(1) 訂正の内容
(特許請求の範囲)
a 請求項1の「外側全表面及び前後縁面に渡って加硫接着」を「外側全表面及び前後縁面に渡って加硫接着」と訂正し、「履帯ゴムシュ-において、」と「履帯ゴムシュ-がリンクに連結されてなる」の間に「履板は平板状であり、かつ、履板の中央部内側を残してその長手方向の両先端縁面内側にまでゴムパッドが加硫接着されており、又、」を挿入訂正する。
b 請求項2の「h2 -h1 が1〜10mmである」を、「ゴムパッドに機体の荷重が掛かった場合、ゴムパッドの接地面が水平となるようにh1 とh2の高さを設定した」と訂正する。
c 請求項3と5を削除して、請求項4を請求項3に訂正する。
(発明の詳細な説明)及び(図面)
d 明細書段落番号【0006】,【0008】中の記載について、上記aと同じ趣旨の訂正をする。
e 明細書段落番号【0007】中の記載について、上記bと同じ趣旨の訂正をする。
f 明細書段落番号【0011】中「履帯ゴムシューが取り付けられる。」の記載を「履帯ゴムシューの内側中央部40をもって取り付けられる。」に、「縁面に渡って」を「前後縁面46、47に渡って」に、「ゴムパッド6がその内側」を「ゴムパッド6が履板4の中央部40を残してその内側」に、そして、「金属板4及びゴムパッド6」を「金属板4の中央部40及びゴムパッド6」に訂正する。
g 明細書段落番号【0013】中「金属板4の縁面及び先端縁面」を「金属板4の前後縁面46、47及び先端縁面」に訂正する。
h 【図1】ないし【図3】に、上記f及びgの訂正の趣旨に合わせ、符号を加入する。

(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(特許請求の範囲)
上記訂正事項aについては、特許明細書の特許請求の範囲に記載された「履板」の形状と「ゴムパッド」の加硫接着位置をより具体的な構成に限定しようとするものであり、上記訂正事項bについては、ゴムパッドの高さを作用的に限定するものであるから、上記訂正事項a及びbは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(発明の詳細な説明)及び(図面)
上記訂正事項dないしhについては、特許明細書及び図面に記載された「履板」に対するリンクの取り付け位置、ゴムパッドの加硫接着位置及びボルト挿入孔の位置を、訂正された特許請求の範囲との整合を図るために訂正するものであるから、不明瞭な記載の釈明を目的とするものである。

また上記訂正事項aないしhは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内での訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(3) むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号。以下「平成6年改正法」という。)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法126条1項ただし書、2項及び3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3特許異議の申立てについての判断
(1) 本件発明
上記2で示したように上記訂正が認められるから、本件異議申立に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるとおりの次のものである。
「【請求項1】 履板と、この履板の外側全表面及び前後縁面に渡って加硫接着されたゴムパッドからなる履帯ゴムシュ-において、履板は平板状であり、かつ、履板の中央部内側を残してその長手方向の両先端縁面内側にまでゴムパッドが加硫接着されており、又、履帯ゴムシュ-がリンクに連結されてなる履帯の幅方向に向く履板の長手方向の両先端に対応したゴムパッドの表面の背丈h2 を、ゴムパッドのボルト孔を囲む中央部表面の背丈h1 より高くし、更に、幅方向と直角の断面における外側表面が平坦であることを特徴とする履帯ゴムシュ-。
【請求項2】 ゴムパッドに機体の荷重が掛かった場合、ゴムパッドの接地面が水平となるようにh1 とh2の高さを設定した請求項第1項記載の履帯ゴムシュ-。
【請求項3】 h2 は10×(機体重量(TON))0.5 mm以上とした請求項1記載の履帯ゴムシュ-。」

(2) 引用された刊行物等に記載の発明
[刊行物1]実願平2―99422号(実開平4-56593号)のマイクロフィルム〈甲第1号証〉
第1図を見ると、鉄履帯と交換可能なゴム履帯(履帯ゴムシュー)は、その(a),(c)及び(d)の上部断面構造から判断して、ラグ6aを芯金7の「外側全表面及び前後縁面」更に芯金の「先端縁面内側にまで」接着せしめており、且つ、「履板の中央部内側を残して」接着されているのを見ることができる。
また、下から見た平面図(b)を参酌し、その(a)及び(c)の中央部を見ると、芯金7の下部稜線より一段上に示されている実線があり、その位置から判断すると、該部分に「ゴムパッドのボルト孔を囲む中央部表面」が存在すると認められる。

したがって、刊行物1には、「芯金〈本件発明の「履板」に相当している。〉[以下、〈〉内には、本件発明で相当している事項の用語を示す。]と、この芯金〈履板〉の外側全表面及び前後縁面に渡って加硫接着されたゴム履板〈ゴムパッド〉からなるゴム履帯〈履帯ゴムシュ-〉において、芯金〈履板〉の中央部内側を残してその長手方向の両先端縁面内側にまでゴム履板〈ゴムパッド〉が加硫接着されており、又、ゴム履帯〈履帯ゴムシュ-〉がリンクに連結されてなる履帯の幅方向に向く芯金〈履板〉の長手方向の両先端に対応したラグ6a〈ゴムパッド〉の表面の背丈h2 を、ラグ6a〈ゴムパッド〉のボルト孔を囲む中央部表面の背丈h1 より高くしたゴム履帯〈履帯ゴムシュ-〉」が示されている。

[刊行物2]実願平1―139359号(実開平3-77794号)のマイクロフィルム〈甲第2号証〉
「ゴムパットを、前記履板の踏面に加硫接着により一体接合」したものであり(実用新案登録請求の範囲(1)項参照)、第2図(C)に示されるように、ゴムパッド18を履板2の「外側全表面及び緑面」にわたって接着せしめている。
履帯ゴムシューをリンクに連結するためのボルト孔部11a〜l1dを履板2に設けると共に、ゴムパッド18に座グリ部22を形成した構成において、第3図に示されるように、ボルト孔部11a〜l1d及び座グリ部22を囲むゴムパッド18の表面に段底部26を形成した構成を示している。 因みに、この点について、明細書は「ボルト孔部11a〜l1d周辺のゴムパツドが厚いと、このゴムパッドに疲労破壊が起り、欠損するおそれがあることから、本実施例では、ボルト孔部11a〜l1d周辺部のゴムパッドを特に薄くした段底部26が形成している。」(明細書9頁1〜6行)と説明している。
そして段底部の薄さ加減によっては、ゴムパッドに機体の荷重が掛かった場合、ゴムパッドの接地面が水平となることは充分に推測できることであると共に、一般に、ゴムパッドを設ける際、薄い段底部を設け、荷重が掛かった場合その接地面を平らにすることは常套手段でもある。

[刊行物6]特開平5―286464号公報(平成5年11月2日公開)
シュープレート2(履板)の非接地面3及び接地面6側に弾性体7を加硫接着されたクローラに関する発明が記載され、各図面から看て、シュープレート2は平板状であり、その幅方向と直角の断面における外側表面が平坦であることが明白に示されている。

(3) 対比・判断
本件発明と刊行物1に記載された発明とを比較する。
[請求項1] 両者は、「履板と、この履板の外側全表面及び前後縁面に渡って加硫接着されたゴムパッドからなる履帯ゴムシュ-において、履板の中央部内側を残してその長手方向の両先端縁面内側にまでゴムパッドが加硫接着されており、又、履帯ゴムシュ-がリンクに連結されてなる履帯の幅方向に向く履板の長手方向の両先端に対応したゴムパッドの表面の背丈h2 を、ゴムパッドのボルト孔を囲む中央部表面の背丈h1 より高くした履帯ゴムシュ-」である点で一致し、

芯金7(本件発明の履板)の構成に関し、「履板は平板状であり」「幅方向と直角の断面における外側表面が平坦である」点で刊行物1の発明と相違する。
しかしながら、履板が平板状であり、幅方向と直角の断面における外側表面が平坦である点は、刊行物6に示されている技術であるから、該技術を刊行物1の履帯ゴムシューに用いることは、当業者なら容易に為し得る程度のことと認められる。

[請求項2及び3]請求項2及び3に係る発明は、上記請求項1の構成に、それぞれ、A「ゴムパッドに機体の荷重が掛かった場合、ゴムパッドの接地面が水平となるようにh1 とh2の高さを設定した」点及びB「h2 は10×(機体重量(TON))0.5 mm以上とした」点の構成を加えたものであるが、Aの「ゴムパッドに機体の荷重が掛かった場合、ゴムパッドの接地面が水平となるようにh1 とh2の高さを設定することは、刊行物2に見られる技術であると共に、ゴムパッドを設置する際の常套手段でもある、また、Bの「h2 は10×(機体重量(TON))0.5 mm以上とした」数値の限定は、履帯ゴムシューの全体の大きさから相対的に決定されるべき事項であり、単なる設計上の事項と認められる。
したがって、請求項2及び3において追加されたA及びBの構成は、上記の如くそれぞれ常套手段であり、単なる設計上の事項であって、前記請求項1で言及したところの刊行物1の発明に刊行物6の技術を用いることと平行し、当業者が容易に刊行物1へ適用し得る事項と認められる。

(4) むすび
以上のとおり、本件請求項1ないし3に係る発明は、上記刊行物1,2,6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本件請求項1ないし3に係る発明についての特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則14条の規定に基づく特許法の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令205号)4条2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
履帯ゴムシュ-
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 履板と、この履板の外側全表面及び前後縁面に渡って加硫接着されたゴムパッドからなる履帯ゴムシュ-において、履板は平板状であり、かつ、履板の中央部内側を残してその長手方向の両先端縁面内側にまでゴムパッドが加硫接着されており、又、履帯ゴムシュ-がリンクに連結されてなる履帯の幅方向に向く履板の長手方向の両先端に対応したゴムパッドの表面の背丈h2を、ゴムパッドのボルト孔を囲む中央部表面の背丈h1より高くし、更に、幅方向と直角の断面における外側表面が平坦であることを特徴とする履帯ゴムシュ-。
【請求項2】 ゴムパッドに機体の荷重が掛かった場合、ゴムパッドの接地面が水平となるように、h1とh2の高さを設定した請求項1記載の履帯ゴムシュ-。
【請求項3】 h2は10×(機体重量(TON))0.5mm以上とした請求項1記載の履帯ゴムシュ-。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は建設機械や土木作業機械等に用いられる無限軌道履帯の履帯ゴムシュ-に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
無限軌道履帯を備えた建設機械や土木作業機械は、従来は金属製の履帯シュ-が殆どであったが、近年になって都市内での諸工事にもこれらの機械類が広く使用されるようになり、このため、金属製の履帯シュ-を用いた場合には、舗装路面を傷つけるという欠点があった。
【0003】
このため、表面にゴムを加硫接着した履帯ゴムシュ-が好んで用いられるようになってきた。図5はこの履帯ゴムシュ-を用いた一例を示す表面側平面図、図6はその側面図、図7は図5のC-C線での断面図である。即ち、従来の履帯ゴムシュ-は、履帯を構成する連結用リンク11にボルト12及びナット13にて金属履板14が取り付けられ、この金属履板14の接地面側即ち履板14の外表面側に通常はグロ-サ-15が形成され、このグロ-サ-15を覆ってゴムパッド16が加硫接着されされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
さて、前記した従来の履帯ゴムシュ-にあって、ゴムパッド16が金属履板14の外側表面に加硫接着されているが、このゴムパッド16の頂面はほヾ平坦面とされている。この履帯ゴムシュ-を用いた履帯をこれら機械の走行装置として採用した場合、金属履板14とゴムパッド16間の剥離が生じ易く、更には機体の重量を支えるゴムパッド16はその中央部の面圧が端部より極端に高くなり、このためゴムの欠損は中央部の面圧の高い部分に集中することが分かった。
【0005】
更に、履板14の外表面側にグロ-サ-15がその長手方向に形成されているため、ゴムパッド16の接地面に対してゴムの厚さが異なっている。このため、ゴムパッド16の圧縮歪が部分的に異なってしまうためにゴムの耐久性が著しく低下することとなってしまう。本発明は履帯ゴムシュ-におけるゴムパッドの剥離防止と共に、ゴムパッドに掛る面圧をほヾ均等化することによって、ゴムパッドの欠損を低減することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、以下の構成を採用したものである。
即ち、本発明の要旨は、履板と、この履板の外側全表面及び前後縁面に渡って加硫接着されたゴムパッドからなる履帯ゴムシュ-において、履板は平板状であり、かつ、履板の中央部内側を残してその長手方向の両先端縁面内側にまでゴムパッドが加硫接着されており、又、履帯ゴムシュ-がリンクに連結されてなる履帯の幅方向に向く履板の長手方向の両先端に対応したゴムパッドの表面の背丈h2を、ゴムパッドのボルト孔を囲む中央部表面の背丈h1より高くし、更に、幅方向と直角の断面における外側表面が平坦であることを特徴とする履帯ゴムシュ-に係るものである。
【0007】
更に具体的に言えば、ゴムパッドに機体の荷重が掛かった場合、ゴムパッドの接地面が水平となるように、h1とh2の高さを設定したもので、h2は10×(機体重量(TON))0。5mm以上とした履帯ゴムシュ-である。
【0008】
【作用】
本発明にあっては、平板状の履板を用いたこと、ゴムパッドをこの履板の外側全表面及び前後縁面、更には両先端縁面の内側にまで該履板の内側の中央部を残して加硫接着により存在させたために両者間の剥離を防止したものである。かつ平板状の履板の表面に形成したゴムパッドの表面形状を特定のものとしたため、即ち、ゴムパッドの表面端部を中央部よりも背丈を高くすることにより、更に言えば、ゴムパッドに機体の荷重が掛った場合、ゴムパッドの接地面が水平となるように高さを設定することにより、機体荷重のゴムパッドへの集中を分散させ、ゴムパッドの欠損、外傷の集中を防ぎ、ゴムパッド全体の寿命を向上したものである。
【0009】
更に、履帯ゴムシュ-が連結された際の無端方向と平行する履板の断面にあって、その外表面側が平坦となっている。即ち、無端方向の平行な断面に凹凸がないためにゴムパッドに均一に負荷が加わり、ゴムパッドに集中して力が加わる部位がなく、このため、履帯ゴムシュ-の耐久性が向上することとなるのである。尚、本発明にあって、履板は通常は金属製のものが採用されるが、場合によっては例えば繊維補強された樹脂板であってもよい。
【0010】
そして、数多くの実験の結果、ゴムパッドが形成されるh1、h2の高さを特定の範囲に限定することによりゴムパッドに対する損傷が極めて軽微となることが分かったものである。即ち、h1を20mm以上とするのは、これが薄すぎると石等を乗り越える際に石と履板との間にゴムパッドが挟まれて損傷を受けやすくなるためである。一方、h2は10×(機体重量(TON))0.5mm以上とする場合には、ゴムパッドの耐久性は一般にゴムの厚さに関与し、ゴム厚が厚ければそれだけ耐久性はよいこととなるが、ゴムパッドが装着される機体別に実験すると、実験上機体重量の平方根に比例することが判明した。この知見に基づいてh2の範囲を特に限定したものである。尚、h2もh1と同様の理由で20mm以上であるのが望ましい。
【0011】
【実施例】
以下図面をもって本発明を更に詳細に説明する。
図1は本発明の履帯ゴムシュ-の外表面側平面図、図2はその側面図、図3は更にその正面図である。図中、1はリンクであって、このリンク1にボルト2及びナット3にて履帯ゴムシュ-の内側中央部40をもって取り付けられる。さて、全体として平坦な金属履板4の外側全表面、即ち接地面側及び前後縁面46、47に渡ってゴムパッド6が加硫接着されたもので、金属履板4の両先端縁面44、45にあってはゴムパッド6が履板4の中央部40を残してその内側(61)にまで加硫接着したものである。この金属履板4の中央部40及びゴムパッド6にはボルト2を挿入する孔71、72が形成されている。
【0012】
かかる履帯ゴムシュ-にあって、ゴムパッド6は中央部の背丈h1が低く、左右幅方向に分断6a、6bされた状態となっており、ゴムパッド6a、6bは台形状をなしている。又、ゴムパッド6の両縁部は幅端になるにつれて切り欠き度合いの大きい傾斜面6c、6dとなっている。尚、履帯ゴムシュ-が無端状に連結された際の無端方向と平行する面でのゴムパッド6の表面はフラットな面をなしている。
【0013】
このように、ゴムパッド6は平板状の金属履板4の外側全表面に加硫接着されていると共に、金属履板4の前後縁面46、47及び先端縁面の内側にも加硫接着によるゴム材61が達しているため、ゴムパッド6と金属履板4との剥離が阻止される。
【0014】
そして、このゴムパッド6は履帯の幅方向に向く金属履板4の長手方向の両先端44、45に対応したゴムパッド6の表面の背丈h1を中央部の背丈h2よりも高くしたものであり、図例では特にゴムパッドの中央部より傾斜面63を設けて背丈を高くした例である。
【0015】
この形状の履帯ゴムシュ-をもって機体重量と耐久性との関係を実験にて求めると、耐久性はh2に比例し、このゴム高さ(厚さ)h2は機体重量の平方根にほぼ比例して耐久性が向上することが判明した。そして、機体重量4〜6ton程度ではh1が20mm、h2が35mm、機体重量が6〜8ton程度ではh1が22mm、h2が42mm、機体重量が10〜13ton程度では、h1が38mm、h2が58mm、機体重量が18〜20ton程度では、h1が40mm、h2が70mm程度が耐久性及びゴム消費量の面で適当な履帯ゴムシュ-を提供することとなったものである。
【0016】
図4は本発明の履帯ゴムシュ-における耐久性を示すゴムパッドの高さ(厚さ)h2と機体重量との関係を示すグラフであり、図における斜線部は50時間以上の耐久性が得られる範囲である。機体重量16tonの場合、最低40mmのパッド厚さ(h2)があれば50時間の耐久性の基準をクリア-できることを示している。又、機体重量4ton以下の場合は最低20mmのパッド厚さを必要としていることを示す。
【0017】
【発明の効果】
本発明は履帯ゴムシュ-における履板の特定の位置にゴムパッドを加硫接着し、更にゴムパッドの背丈を特定したことによって両者間の剥離を防止し、かつ機体の荷重を均一にゴムパッドに掛かることとしたために、ゴムパッドの寿命を向上させたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は本発明の履帯ゴムシュ-の表面側平面図である。
【図2】
図2は図1の履帯ゴムシュ-の正面図である。
【図3】
図3は図1の履帯ゴムシュ-の側面図である。
【図4】
図4は本発明の履帯ゴムシュ-の耐久性を示すゴムパッド高さと機体重量との関係を示すグラフである。
【図5】
図5は従来の履帯ゴムシュ-の表面側平面図である。
【図6】
図6は図5に示す履帯ゴムシュ-のC-C線での断面図である。
【図7】
図7は図5に示す履帯ゴムシュ-の側面図である。
【符号の説明】
1‥‥リンク、
2‥‥ボルト、
3‥‥ナット、
4‥‥金属履板、
40‥‥金属履板の中央部、
44、45‥‥金属履板の先端縁面、
46、47‥‥金属履板の前後縁面、
6、61‥‥ゴムパッド、
63‥‥ゴムパッド表面の傾斜面、
6a、6b‥‥台形のゴムパッド、
6c、6d‥‥ゴムパッド両縁部傾斜面、
71、72‥‥ボルト孔、
h1‥‥ゴムパッド中央部の背丈、
h2‥‥ゴムパッド端部の背丈。
【図面】



 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-07-25 
出願番号 特願平6-274513
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (B62D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山内 康明  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 鈴木 法明
出口 昌哉
登録日 2002-02-01 
登録番号 特許第3273421号(P3273421)
権利者 株式会社小松製作所 株式会社ブリヂストン
発明の名称 履帯ゴムシュ-  
代理人 鈴木 悦郎  
代理人 鈴木 悦郎  
代理人 中野 収二  
代理人 鈴木 悦郎  

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