• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A41B
審判 全部申し立て 特39条先願  A41B
審判 全部申し立て 発明同一  A41B
審判 全部申し立て 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  A41B
管理番号 1087977
異議申立番号 異議2001-72475  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-05-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-09-07 
確定日 2003-10-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3145371号「使い捨て吸収性物品及びその製造方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3145371号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.訂正の適否
1-1 訂正の内容
平成15年9月12日付け訂正請求書による訂正の内容は、以下のとおりである。
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に記載された
「液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シートとを備え、上記最外層シートは、不織布からなり、撥水処理されている使い捨て吸収性物品。」を
「液透過性のトップシートと、透湿性のある液不透過性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シートとを備え、上記最外層シートは、不織布からなり、撥水処理されている肌着に近い感触の高可撓性シートであり、上記吸収性本体には、その長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ複数の第1弾性部材が設けられ、上記最外層シートには、その長手方向の両端縁部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第2弾性部材が設けられ、上記第1弾性部材と上記第2弾性部材とは実質的に直角に配置されており、上記吸収性本体の両側から幅方向外方に延びる左右一対のサイドフラップを長手方向の上下相対する位置に有し、該サイドフラップには、その中央部に最外層シートの幅方向に向かって第3弾性部材が設けられている、使い捨て吸収性物品。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2ないし4を削除する。
ウ.訂正事項c
発明の名称の「使い捨て吸収性物品及びその製造方法」を「使い捨て吸収性物品」に訂正する。
エ.訂正事項d
明細書の段落【0001】中の
「本考案は使い捨て吸収性物品及びその製造方法、特に、幼児用、大人等あるいは失禁者用として用いられる使い捨ておむつ等の使い捨て吸収性物品及びその製造方法に関する。」を、
「本考案は使い捨て吸収性物品、特に、幼児用、大人等あるいは失禁者用として用いられる使い捨ておむつ等の使い捨て吸収性物品に関する。」と訂正する。
オ.訂正事項e
明細書の段落【0009】中の
「従って、本発明の目的は、コストが安価であり、フラップの風合いに優れ、且つ通気性の優れた使い捨て吸収性物品及びその製造方法を提供することにある。」を、
「従って、本発明の目的は、コストが安価であり、フラップの風合いに優れ、且つ通気性の優れた使い捨て吸収性物品を提供することにある。」と訂正する。
カ.訂正事項f
明細書の段落【0010】中の
「本発明は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シートとを備え、上記最外層シートは、不織布からなり、撥水処理されている使い捨て吸収性物品を提供することにより上記目的を達成したものである。」を、
「本発明は、液透過性のトップシートと、透湿性のある液不透過性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シートとを備え、上記最外層シートは、不織布からなり、撥水処理されている肌着に近い感触の高可撓性シートであり、上記吸収性本体には、その長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ複数の第1弾性部材が設けられ、上記最外層シートには、その長手方向の両端縁部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第2弾性部材が設けられ、上記第1弾性部材と上記第2弾性部材とは実質的に直角に配置されており、上記吸収性本体の両側から幅方向外方に延びる左右一対のサイドフラップを長手方向の上下相対する位置に有し、該サイドフラップには、その中央部に最外層シートの幅方向に向かって第3弾性部材が設けられている、使い捨て吸収性物品を提供することにより上記目的を達成したものである。」と訂正する。
キ.訂正事項g
明細書の段落【0034】中の
「吸収性本体3は、第3図に示していないが、連続する帯状のバックシート16上に解繊繊維等の吸収体17を順次等間隔に載置し、この上を連続した帯状のトップシート15で覆い、吸収体17間を溶着する。一方、第1弾性部材19は予めバックシート16に長手方向に張設されている。」を、
「吸収性本体3は、第3図に示していないが、連続する帯状のバックシート16上に解繊繊維等の吸収体17を順次等間隔に載置し、この上を連続した帯状のトップシート15で覆い、吸収体17間を溶着する。一方、第1弾性部材19は予めバックシート16に長手方向に張設されて、吸収性物品としたときに長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置に配されるようにされている。」と訂正する。
ク.訂正事項h
明細書の段落【0040】中の
「他方、原反より最外層シート帯42を巻出し、該最外層シートの帯状体42の左右両側縁に隣接した部分に第2弾性部材12を配置し、最外層シート帯44を重合ロール41へと送る。この第2弾性部材12はウエスト開口部分を覆うギャザーを形成するものである。」を、
「他方、原反より最外層シート帯42を巻出し、該最外層シートの帯状体42の左右両側縁に隣接した部分に第2弾性部材12を配置し、吸収性物品としたときに長手方向の両端縁部に沿って互いに相対する位置に配されるようになし、最外層シート帯44を重合ロール41へと送る。この第2弾性部材12はウエスト開口部分を覆うギャザーを形成するものである。」と訂正する。
ケ.訂正事項i
明細書の段落【0011】及び【0013】を削除して、段落【0012】を段落【0011】にすると共に、段落【0014】以降の段落番号を2つずつ繰り上げる。

1-2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、請求項1に係る発明の構成要件として、バックシート及び最外層シートの特性を特定すると共に、第1ないし第3弾性部材が設けられていることを追加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、しかも、上記各シートの特性については、願書に添付された明細書の段落【0022】及び【0024】に記載されており、また、上記各弾性部材については、願書に添付された明細書の段落【0018】ないし【0020】及び第1図に記載されているものである。
上記訂正事項bは、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項cないしjは、上記訂正事項a及びbとの整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記いずれの訂正事項も、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

1-3 むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

2.異議申立てについての判断
2-1 本件発明
上記のとおり、訂正は認められるから、本件特許の発明は、訂正された特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。(上記「1.1-1ア.」の項参照。以下、「本件発明」という。)

2-2 進歩性についての判断
(2-2-1) 平成13年12月27日付け取消理由通知で引用された刊行物1ないし3に記載された発明
[i]刊行物1(特開昭63-243307号公報、異議申立人・市東勇の提出した甲第2号証)には、特許請求の範囲1、第8頁左上欄第2〜15行、第11頁右上欄第11行〜同頁左下欄第8行、第11頁右下欄第10〜13行、第12頁左上欄第10〜14行、第12頁左上欄第19行〜同頁右上欄第1行、第12頁右上欄第16行〜同頁左下欄第7行の記載内容、及び、第1〜5図に示された内容によれば、
「液透過性のトップシート(身体側ライナ)と、液不透過性のバックシート(バリヤ)と、これら両シート間に配置された吸収体(吸収性複合心材)とを有する吸収性本体(吸収性インサート構造体)と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シート(外側カバー)とを備え、上記最外層シートは、通気性を有する(呼吸可能な)シートであり、上記吸収性本体には、その長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第1弾性部材(股部弾性部材)が設けられ、上記最外層シートには、その長手方向の両端縁部(ウエスト縁)に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第2弾性部材(ウエスト弾性部材)が設けられ、上記第1弾性部材と上記第2弾性部材とは実質的に直角に配置されており、上記吸収性本体の両側から幅方向外方に延びる左右一対のサイドフラップを長手方向の上下相対する位置に有し、上記最外層シートの長手方向の両側部の脚開口部に沿ってそれぞれ第3弾性部材(脚弾性部材)が設けられており、該第3弾性部材が、上記サイドフラップの側部にかけて斜めに延設されている、使い捨て吸収性物品(使い捨て用液体吸収ガーメント)」の発明が記載されているものと認められる。

[ii]刊行物2(特開昭60-194947号公報、異議申立人・勝野智子の提出した甲第1号証)には、特許請求の範囲(1)、第2頁右上欄第6行〜同頁左下欄第16行、第2頁右下欄第6〜10行の記載内容、及び、第1〜5図に示された内容によれば、
「液透過性のトップシート(透液性シート13)と、液不透過性のバックシート(不透液性シート11)と、これら両シート間に配置された吸収体(吸液性コア12)とを有する吸収性本体(パッド部材3)と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シート(パンツ部材2)とを備え、上記最外層シートは、通気性及び撥水性を有するシートであり、上記最外層シートには、股下区域の長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第1弾性部材(伸縮弾性帯域9)が設けられ、上記最外層シートには、その長手方向の両端縁部(ウエスト回り)に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第2弾性部材(伸縮弾性帯域10)が設けられ、上記第1弾性部材と上記第2弾性部材とは実質的に直角に配置されており、上記吸収性本体の両側から幅方向外方に延びる左右一対のサイドフラップを長手方向の上下相対する位置に有している、使い捨て吸収性物品(使い捨て失禁処理物品)」の発明が記載されているものと認められる。

[iii]刊行物3(特開昭57-77304号公報、異議申立人・市東勇の提出した甲第4号証、同・木川佳明の提出した甲第4号証)には、第4頁右上欄第11行〜同頁左下欄第10行、第4頁左下欄第15〜16行、第9頁左上欄第14行〜同頁左下欄第14行の記載内容、及び、第6、7図に示された内容によれば、
「吸収性本体(当て布)と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シート(シーツ材)とを備え、上記最外層シートには、その長手方向の両端縁部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第2弾性部材(ゴムひも)が設けられ、上記吸収性本体の両側から幅方向外方に延びる左右一対のサイドフラップを長手方向の上下相対する位置に有し、開口部が設けられ、該サイドフラップの上記開口部の縁となる位置に最外層シートの幅方向に向かって第3弾性部材(開口部用ゴムひも)が設けられている、使い捨て吸収性物品(おしめブリーフ)」の発明が記載されているものと認められる。

(2-2-2) 対比・判断
本件発明と上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、
「液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シートとを備え、上記吸収性本体には、その長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第1弾性部材が設けられ、上記最外層シートには、その長手方向の両端縁部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第2弾性部材が設けられ、上記第1弾性部材と上記第2弾性部材とは実質的に直角に配置されており、上記吸収性本体の両側から幅方向外方に延びる左右一対のサイドフラップを長手方向の上下相対する位置に有し、該サイドフラップには、第3弾性部材が設けられている、使い捨て吸収性物品」、
において一致するが、先ず次の点で両者は相違する。
相違点:
サイドフラップに設けられた第3弾性部材に関し、本件発明では、サイドフラップの「中央部に最外層シートの幅方向に向かって」設けられているのに対し、刊行物1に記載された発明は、最外層シートの脚開口部からサイドフラップの側部にかけて斜めに延設されている点。
上記相違点について検討するに、本件発明においては、上記相違点に係る構成を採用したことにより、「着用時に着用者へのフィット性を高め、ずれ落ち防止が図られ」るのに対し、刊行物1に記載された発明においては、単に脚開口部のギャザー寄せが行えるだけのものであるから、奏される効果に顕著な差異が認められるものである。
そして、上記相違点に係る本件発明の構成は、上記刊行物2に記載された発明には具備されておらず、また、上記刊行物3に記載された発明は、サイドフラップに、最外層シートの幅方向に向かって「第3弾性部材」としての「開口部用ゴムひも」が設けられてはいるものの、この「開口部用ゴムひも」は、サイドフラップの開口部の縁となる位置に設けられているものであり、しかも、開口部における密封性を高めるためのものであるから、本件発明の「第3弾性部材」とは、その構成及び機能が異なるものである。
さらに、上記相違点に係る本件発明の構成が、上記各刊行物に記載の使い捨て吸収性物品において、自明のものであるとも認められない。
したがって、本件発明と刊行物1に記載された発明との他の相違点についての検討、判断を示すまでもなく、本件発明は、前記の各刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2-3 記載要件についての判断
平成13年12月27日付け及び平成15年9月8日付けの各取消理由通知で指摘した記載不備の点については、上記訂正により全て解消されているものと認められる。

2-4 その他の理由についての判断
上記刊行物1ないし3に加え、異議申立人・勝野智子、同・市東勇、同・木川佳明の提出した他の証拠を参酌しても、本件発明の新規性及び進歩性を否定することはできず、また、異議申立人・市東勇の提出した甲第7号証(特開平3-231660号公報)及び甲第8号証(特開平3-176053号公報)をもって、本件発明が特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものとは認められず、さらに、異議申立人・木川佳明の提出した甲第1号証(特許第3145370号公報)をもって、本件発明が特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないものともいえない。

3.結論
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
使い捨て吸収性物品
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 液透過性のトップシートと、透湿性のある液不透過性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シートとを備え、上記最外層シートは、不織布からなり、撥水処理されている肌着に近い感触の高可撓性シートであり、上記吸収性本体には、その長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ複数の第1弾性部材が設けられ、上記最外層シートには、その長手方向の両端縁部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第2弾性部材が設けられ、上記第1弾性部材と上記第2弾性部材とは実質的に直角に配置されており、上記吸収性本体の両側から幅方向外方に延びる左右一対のサイドフラップを長手方向の上下相対する位置に有し、該サイドフラップには、その中央部に最外層シートの幅方向に向かって第3弾性部材が設けられている、使い捨て吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は使い捨て吸収性物品、特に、幼児用、大人等あるいは失禁者用として用いられる使い捨ておむつ等の使い捨て吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の使い捨ておむつにおいては、例えば、特公昭52-40267号公報に開示されているように、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートと、これらの両シート間に位置する吸収体とからおむつ本体を構成し、該おむつ本体に、左右一対のサイドフラップとを一体に形成し、該サイドフラップにおける背側の両側端縁に配設し止着具を腹側で止着するようにしたいわゆるフラット型のものが知られている。
【0003】
また、最近では、特開昭57-77304号公報に開示されているように、左右一対のサイドフラップにおける腹側領域と背側領域を互いに接合固定して左右一対のレッグ開口部及びウエスト開口部をそれぞれ形成した、いわゆるパンツ型の使い捨ておむつが提案されている。該パンツ型の使い捨ておむつは、レッグ開口部及びウエスト開口部がそれぞれ伸縮自在に形成されて体型にフィットするように構成されている。このようなパンツ型の使い捨ておむつは、通常、着用者自らが、立位の状態で着用することができ、幼児の「おむつ離れ」を促進するためのトイレットトレーニング用として、または失禁者等もしくは歩行可能な成人用として有用とされている。
【0004】
また、実開昭58-143809号公報、特開昭61-207605号公報には、フラット型及びパンツ型の使い捨ておむつにおいて、体裁のよい裁縫仕立ての外観を有する、使い捨て衣類の作製を意図し、バックシートを不織繊維で覆った構成が開示されている。
【0005】
一方、使い捨ておむつの製造方法においてもいくつかの提案がなされている。それらは基本的に、特開昭57-77304号公報や特開平1-292102号公報にみられるような吸収体の長尺方向を流れ方向と垂直にした横流しの方法に代表される。
【0006】
一般に、これらのタイプの使い捨ておむつは、著しく生産性が低下され、コストが高くならざるを得ないという問題点がある。即ち、連続ウエブの流れ方向に対して垂直方向に、伸長した弾性部材を挿入する技術は今もって確立されておらず、これによる生産性の低下が生じるのである。
【0007】
その中にあって、サイドシールを必要としないベルト付きパンツ型使い捨ておむつ及びその製造方法が特表昭61-502264号公報に開示されているが、該製品はベルトの伸長率を極めて高く設定しなくてはならなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した実開昭58-143809号公報、特開昭61-207605号公報に記載の使い捨ておむつは、バックシートがフラップ部分を含むおむつ本体を構成しているため、たとえバックシートが肌触りがよい不織布繊維であっても、耐水性に劣るため、バックシート全面にわたって多層積層構造シートもしくはラミネートシートを設けなければならずコスト高と、フラップの風合いの劣化と、通気性の低下とを生じるという問題がある。ここで、上記風合いとは一般に官能的に評価されるものであって、軟らかさ、外観、光沢、肌触り等をいう。
【0009】
従って、本発明の目的は、コストが安価であり、フラップの風合いに優れ、且つ通気性の優れた使い捨て吸収性物品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性のトップシートと、透湿性のある液不透過性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、一部に該吸収性本体が固定され、着用時にウエストを囲んで上記吸収性本体を着用者にあてて保持する最外層シートとを備え、上記最外層シートは、不織布からなり、撥水処理されている肌着に近い感触の高可撓性シートであり、上記吸収性本体には、その長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ複数の第1弾性部材が設けられ、上記最外層シートには、その長手方向の両端縁部に沿って互いに相対する位置にそれぞれ第2弾性部材が設けられ、上記第1弾性部材と上記第2弾性部材とは実質的に直角に配置されており、上記吸収性本体の両側から幅方向外方に延びる左右一対のサイドフラップを長手方向の上下相対する位置に有し、該サイドフラップには、その中央部に最外層シートの幅方向に向かって第3弾性部材が設けられている、使い捨て吸収性物品を提供することにより上記目的を達成したものである。
【0011】
本発明の使い捨て吸収性物品によれば、着用者のウエスト部分を囲撓する最外層シートは、不織布からなり、撥水処理されているから、優れた通気性及び肌着に近い感触の高可撓性を得ることができると共に、尿等の滲みによる漏れを防止することができる。しかも、吸収性本体は、液不透過性のバックシートを設けた構成であるから、吸収性本体に吸収された排泄物を漏らすということがない。また、最外層シートには、多孔が形成されているので、折れ曲り易く、柔らかく、高可撓性であり風合いに優れる。更に、該最外層シートに弾性部材を配置した場合においても、着用者にぴったりと吸収性物品をフィットさせることができる。
【0012】
【実施例】
以下に添付の図面を参照し乍ら本発明の好ましい一実施例を詳細に説明する。尚、以下の実施例では、吸収性物品として幼児用の使い捨ておむつを例に用いて説明する。本発明の実施例による使い捨ておむつ1は、いわゆるパンツ型の使い捨ておむつであり、第1図にその展開した状態を示す如く、最外層シート2と、該最外層シート2の略中央に固定された吸収性本体3とから構成されている。
【0013】
最外層シート2は、吸収性本体3よりも実質的に大きな寸法の略四角形形状に形成され、その長手方向略中央には吸収性本体3が貼着されている。また、吸収性本体3が貼着されている両側部には凹欠部4が形成されており、パンツ型を形成したときに脚開口部を形成するようになっている。凹欠部4の形成されているくびれ部分の上方と下方とには、夫々、吸収性本体3の両側から幅方向外方に左右一対のサイドフラップ5、5と6、6とが延出されている。
【0014】
サイドフラップ5、5と6、6との夫々の端縁には接合部7が設けられており、上下のサイドフラップ5、6を接合部7にて互いに融着してパンツ型を形成するようになっている。
【0015】
また、最外層シート2の長手方向における端縁部には、吸収性本体3の外方へ延出する一対のウエストフラップ8、9が設けられ、パンツ型を形成した際に、ウエストフラップ8、9によりウエスト開口部が形成されるようになっている。
【0016】
ウエストフラップ8、9は折り返し線10から折り返されており、この折り返しにより吸収性本体3の端縁部が挟持され、吸収性本体3を確実に保持している。また、ウエストフラップ8、9には夫々第2弾性部材12が、サイドフラップ5,5、6,6には第3弾性部材13が配設され、着用時に着用者へのフィット性を高め、ずれ落ち防止が図られている。
【0017】
吸収性本体3は、最外層シート2に貼着された際に、最外層シート2の凹欠部4に対応して長手方向の略中央にくびれ14が形成されている。
【0018】
吸収性本体3は、着用者の肌に接する側を形成する液透過性のトップシート15と、トップシート15の対応する液不透過性のバックシート16と、トップシート15とバックシート16との間に介在された吸収体17とから構成されている。また、吸収性本体3には、該吸収体17の両側縁から幅方向外方へ延出する左右一対の本体フラップ18、18と、左右一対の本体フラップ18、18のレッグ部それぞれにギャザーを形成する第1弾性部材19、19とを備える。この第1弾性部材19、19は、吸収性本体3の長手方向に沿って配置されており、ウエストフラップ8、9に配置された第2弾性部材12と略直角をなしている。
【0019】
トップシート15は、排泄物を吸収体17へ透過させる液透過性シートで肌着に近い感触を有したものが好ましく、このような液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等が好ましい。また、トップシート15の周縁部にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を塗布し、周縁を温水で洗浄する方法により撥水処理を施し、周縁部における尿等の滲みによる漏れを防止することができる。
【0020】
バックシート16は、熱可塑性樹脂にフイラーを加えて延伸した透湿性のある液不透過性シートや肌着に近い感触を有したもの、例えば、フィルムと不織布との複合材あるいはフィルムと織布の複合材等が用いられる。
【0021】
吸収体17は、解繊パルプを主材とし、高分子吸水ポリマーを併用したものが好ましく、そのほか、熱可塑性樹脂、セルロース繊維、高分子吸水ポリマーの混合物を熱処理したものなどが好ましい。高分子吸水ポリマーの存在位置は上層、中層、下層のいずれであってもよく、パルプと混合したものであってもよい。該高分子吸水ポリマーは、自重の20倍以上の液体を吸収して保持し得る保持性能を有し、ゲル化する性質を有する粒子状のものが好ましく、このような高分子吸水ポリマーとしては、例えば、デンプン-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン-アクリロニトリル酸(塩)重合体などが好ましい。形状としては、着用者の体型に合わせた砂時計の形状が好ましいが、矩形であってもよい。
【0022】
最外層シート2は、不織布からなり、撥水処理されており、液不透過性で、通気性を有し、肌着に近い感触の高可撓性シートであって、尿等の滲みによる漏れを防止することができる。
【0023】
尚、図示してはいないが、ウイングホールドした吸収性本体3を最外層シート2に一体的に接合した場合の使い捨ておむつにおいては、ギャザリングされたウイング部分の未接合のまま形成すると、股下領域に2重のフラップが形成され、吸収性本体3のウイング部分は立体的形状を呈したギャザーを構成し、漏れ防止効果を発揮する。
【0024】
第1、第2、第3の弾性部材19、12、13は、一般に伸長した状態で吸収性本体3及び最外層シート2に超音波溶着、熱溶着、接着剤などの業界公知の手段を用いて接合される。材質としては、糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプのゴムあるいはテープ状の発泡ポリウレタンなど、業界で公知のものであれば何でも使用することができ、1本あるいは複数本であってもよい。一般に左右のサイドフラップと上下一対のウエストフラップと左右のウエストサイド部分の弾性部材の配置は対称形である。また、150%伸長時の応力が70〜100gであるものが特に好ましい。
【0025】
また、第1図に示すように、第1弾性部材19は曲線的に、凹欠部に沿った形で配置されていてもよい。
【0026】
次に、第2図を参照して本発明の第2の実施例による使い捨ておむつ21について説明する。尚、第2図及び以下の説明においては、第2及び第3弾性部材の図示並びに説明を省略してあるが、第2及び第3弾性部材は、上述の第1の実施例と同様の弾性部材が同様に配置される。この第2実施例の使い捨ておむつ21は、いわゆるフラット型の使い捨ておむつである。この第2の実施例においては、その他の概略的構成は、上述の第1の実施例と同様であるから、第1の実施例と同一部分には、同一の符号を付すことによってその部分の詳細な説明を省略する。
【0027】
最外層シート2は、略砂時計形に形成されており、背側のサイドフラップ22、22にはテープファスナー23が設けられ、腹側の領域に貼着して着用者のウエストに保持するようになっている。
【0028】
吸収性本体3は、長四角形状に延出され、最外層シート2の背側のウエストフラップ8から腹側のウエストフラップ9に亘って延出されている。
【0029】
吸収性本体3の長手方向の両端部分26では、液不透過性のバックシートのエンドフラップ16aが折り返されており、吸収体17に吸収された排出物の漏れが防止されている。更に、吸収性本体3の該両端縁部分は、ウエストフラップ8、9の折り返し部分8a、9aにより最外層シート2に挟持されるようにして覆われて、吸収性本体3の確実な保持と排泄物の漏れが防止されている。
【0030】
吸収性本体3において、本体フラップ18には弾性部材19が張設されており、レッグ部(凹欠部4)にギャザーを形成するようになっている。
【0031】
次に、本発明の吸収性物品を製造するための好適な実施態様について説明する。まず、第3図を参照して本発明の第1の実施態様について説明する。この第1の実施態様では、吸収性本体3は流れ方向に対し、長手方向を平行に配したいわゆる縦流し方法により製造するものである。
【0032】
吸収性本体3は、第3図に示していないが、連続する帯状のバックシート16上に解繊繊維等の吸収体17を順次等間隔に載置し、この上を連続した帯状のトップシート15で覆い、吸収体17間を溶着する。一方、第1弾性部材19は予めバックシート16に長手方向に張設されて、吸収性物品としたときに長手方向の両側部に沿って互いに相対する位置に配されるようにされている。
【0033】
このようにして、吸収性本体3が連続した帯状体30が製造され、第3図に矢印Aで示すように、吸収性本体3を長手方向に連なるようにして反転装置31へ搬送する。
【0034】
反転装置31の手前には、接着剤塗工装置32が設けられており、吸収性本体3のバックシート16側の全面に接着剤を塗布するように、帯状体30の一面に連続的に接着剤を塗布している。
【0035】
接着剤が塗布された吸収性本体3の帯状体30は反転装置31のヘッドに支持されたあと、切断装置33により仮想線34に沿って切断され、個々の吸収性本体3が製造される。個々の吸収性本体3は、反転装置31のヘッドに支持されたまま、該反転装置31上で重合ロール34に到るまでに約90°回転される(反転工程)。
【0036】
反転装置31には軸心廻りに放射状に延びるアームと、各アームの先に支持ヘッドとを備え、支持ヘッドには切断装置33に対応するアンビルと、吸気方式、ピンホールド、メカチャックなどの吸収性本体3の支持手段がそれぞれ設けられている。また、支持ヘッドは切断装置33を経て重合ロール34に達するまでに、吸収性本体3を90°反転させながら移送する機構を備えている。尚、切り離された個々の吸収性本体3は、ヘッドに支持され、吸収性本体3に配置された弾性部材19の収縮応力の影響を受けることなくフラットの形状を維持しつつ、流れ方向に対して90°反転させられて、重合ロール34へと送られることになる。尚、この反転工程の内に、エンドフラップ8a、9aを吸収体17(第1図参照)上面に折り返す工程を組入れることが好ましい。
【0037】
一方、伸長状態の第3の弾性部材13が間欠もしくは連続的に支持シート36に接合された伸縮テープ37を形成し、該伸縮テープ37を間欠移送装置38へ送る。間欠移送装置38の表面において、伸長状態で支持された伸縮テープ37はカッター39において個々の伸縮テープ40に切断され、重合ロール41へと間欠的に送られる。この伸縮テープ40はウエストサイド部分のギャザーを形成するものである。
【0038】
他方、原反より最外層シート帯42を巻出し、該最外層シートの帯状体42の左右両側縁に隣接した部分に第2弾性部材12を配置し、吸収性物品としたときに長手方向の両端縁部に沿って互いに相対する位置に配されるようになし、最外層シート帯44を重合ロール41へと送る。この第2弾性部材12はウエスト開口部分を覆うギャザーを形成するものである。
【0039】
重合ロール41において、上記工程で形成された伸縮テープ40を最外層シート帯42に間欠的に配置し、一体的に接合する。このとき、第3の弾性部材13は支持シート36と最外層シート帯42との間に配置されることになる。その後、巻き上げ工程42において、両側縁部43を巻き上げることによって、ウエスト用弾性部材12を被覆してウエストフラップ8、9を形成する。
【0040】
次に、上記反転装置31において約90°反転した個々の吸収性本体3を、重合ロール34によって最外層シート2に重ね、接着剤にて最外層シート2に一体的に接合する(固定工程)。この時点で、流れ方向に対して平行及び垂直な位置関係にある伸縮可能な第2及び第1の弾性部材12、19の配置が完了し、これを使い捨ておむつウェッブ49とする。
【0041】
その後、ロータリーダイカッター45により、隣り合う吸収性本体3、3の間に凹欠部4としてのレッグホール46を形成する。レッグホール46の形成法には、ロータリーダイカッター方式の他に、ウォータージェットやパンチングなどの方法が挙げられる。次に、二つ折り手段48にて、使い捨ておむつウエブ49を流れ方向と平行な中心線を基準線として二つ折りに畳む。
【0042】
折り畳んだ使い捨ておむつウエブ49を、シール装置51によって、吸収性本体3、3間のほぼ中間の位置において、最外層シート同士を超音波溶着等によって一体的にシールする(サイドシール)。このシールは間欠的に行われる。
【0043】
サイドシールを終えた使い捨ておむつウエブ49はファイナルカッターユニット52によって、個々の使い捨ておむつ1に切断する(切断工程)。切断はサイドシール部分の内において行われ切断部分は接合部7(第1図参照)となる。切断後すぐにシール部分が剥がれてしまわないように、超音波シールは適切なシール強度とシール幅が得られるように行われる。こうして、伸縮自在の完全パンツ型使い捨ておむつ1を得る。この使い捨ておむつ1の接合部分7、7を剥して、伸長化され得る部分を延伸して広げた状態が、ほぼ第1図に示されるおむつに等しい。
【0044】
次に、第4図を参照して、第2の実施態様について説明する。この第2の実施態様は、第2の実施例による使い捨ておむつ21、即ち、フラット型の使い捨ておむつの製造方法の実施態様である。また、第2の実施態様では、吸収性本体3は、その長手方向に対して平行に流す縦流しの方式である。
【0045】
吸収性本体3の帯状体30は、第4図に図示していないが、連続する帯状のバックシート16上に解繊繊維等の吸収体17を順次等間隔に載置し、この上を連続した帯状のトップシート15で覆い、接着して製造されている。一方、第1弾性部材19は予めバックシート16に長手方向に張設される。
【0046】
このようにして、吸収性本体3が連続した帯状体30が製造され、第4図に矢印Bで示すように、吸収性本体3を長手方向に連なるようにして反転装置31へ搬送する。
【0047】
反転装置31の手前には、接着剤塗工装置32が設けられており、吸収性本体3のバックシート16側の全面に、接着剤を塗布するように、帯状体30の一面に連続的に接着剤を塗布している。
【0048】
以上の実施例において、接着剤はバックシート6に全面的に塗工されているが、必要最小限のパターン塗工であっても問題ない、尚、塗工工程としては、ビード、コーター、スプレー、転写、スクリーン、グラビア等がある。
【0049】
そして切断装置33により仮想線34に沿って切断され、個々の吸収性本体3が製造される。切断された吸収性本体3は、反転装置31によって約90°回転した後間欠的に重合ロール34に送られる。
【0050】
一方、最外層シート帯42は原反(図示せず)より巻き出されて重合ロール34に送られ、該重合ロール34において吸収性本体3と最外層シート帯42が物品本体に塗布された接着剤を介して一体的に接合されて使い捨ておむつウェッブ49が形成される。
【0051】
一体化された使い捨ておむつウエブ49に、ロータリーダイカッター45によってレッグホール49を形成し、ファイナルカッターユニット52によって個々の使い捨ておむつ21に切断する。そして、次工程でテープファスナー23をサイドフラップ22に取着する。
【0052】
次に、第5図を参照して第3の実施態様について説明する。第3の実施態様においては、吸収性本体3をその長手方向を流れ方向に対して垂直に流した横流しの方法の例を示したものである。
【0053】
また、この第3の実施態様では、吸収性本体3を間欠的に配置した最外層シート2の上には、更に、原反より巻き出された表面シート55を重合ロール群56により一体的に接合している。その他の製造工程は上述した第2の実施態様と略同一である。この第3の実施態様により得られた使い捨ておむつ58によれば、表面シート55により吸収性本体3をより確実に固定することができる。
【0054】
尚、切断工程33により切り離された個々の吸収性本体3は、間欠移送装置57のヘッドに支持され、予め吸収性本体3に配置された弾性部材19の収縮応力の影響を受けることなくフラットの形状を維持しつつ、重合ロール34へと送られる。この間欠移送工程の内には、エンドフラップ16aを吸収体上面に折り返す工程を組入れることが好ましい。
【0055】
上述した第1、第2、第3の実施態様による方法により得られた使い捨ておむつ1、21、51には、バックシート16は吸収体17の置かれた部分にしか配置されていないので、フラップは高可撓性であり、かつ通気性に富む。
【0056】
このような製造方法を用いれば、テープファスナーを用いて着用者におむつを固定する際にかかる引っ張り応力に対し、充分な強度を持った不織布の供給が可能となる利点が挙げられる。かかる使い捨て吸収性物品に用いられる材料として、例えば、不織布などはコストを考えた場合、薄手のものとなる。その際、原反にまかれた不織布は、長尺方向の強度が短尺方向の強度よりも5〜6倍優れている。本製法においては、その長尺方向をテープファスナーの応力のかかる方向に配置することが可能であり、非常に合理的な商品設計ができる。
【0057】
以上、上述した実施態様による製造方法によれば、弾性部材の配置が容易であり、高速生産性を損なうことなく本発明の吸収性物品の製造を行うことが可能である。
【0058】
尚、これらの本発明及び本発明方法に関する吸収性物品の実施例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更実施可能であることが言うまでもない。例えば、完全パンツ型の使い捨ておむつ1におけるサイドシール部分に隣接して、着用者より容易に剥し得るように、引き裂き案内手段を配置した構成であってもよい。この引き裂き案内手段は、切り込み案内線であったり、シール部分であったり、容易に引き裂くことのできるものであり、一方、着用中に破れたり、裂けたりすることのない強度を有している。
【0059】
また、本発明方法の他の実施態様によれば、吸収性本体3は本体長手方向に対して垂直に流し、その際、ウエスト用の第1弾性体を挿入する。個々の本体3を90°回転しておむつウエッブを縦流しとする。その際、レッグ用第2弾性体を挿入する。
【0060】
【発明の効果】
本発明による使い捨て吸収性物品によれば、コストが安価であり、フラップの風合いに優れ、且つ通気性及び撥水性の優れた使い捨て吸収性物品及びその製造方法を提供することができる。
【0061】
本発明方法の他の効果としては、吸収性本体を最外層シートへ転写するときに反転装置を用いた場合、物品本体の流れ方向に弾性部材を張設すれば、物品本体が90°反転されて最外層シートに転写された際に、流れ方向に対して垂直方向に伸長した弾性部材が配置されることになる。従って、弾性部材の反転を物品本体と一体化して行うことによってその反転配置を容易なものとしている。即ち、弾性部材を流れ方向に対して垂直方向に配置することは従来しばしば吸収性物品の高速生産性を低下させてきたが、これは糸状または帯状の弾性部材単体のハンドリングが技術的に困難であることに起因していたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例による使い捨ておむつを展開した状態の一部切り欠き平面図である。
【図2】 第2の実施例による使い捨ておむつを展開した状態の一部切り欠き平面図である。
【図3】 本発明の第1の実施態様による使い捨ておむつの製造方法を示す斜視図である。
【図4】 第2の実施態様による使い捨ておむつの製造方法を示す斜視図である。
【図5】 第3の実施態様による使い捨ておむつの製造方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、21;使い捨ておむつ
2;最外層シート
3;吸収性本体
12、13、19;弾性部材
15;トップシート
16;バックシート
17;吸収体
31;反転装置(反転工程)
34;重合ロール(固定工程)
52;切断装置(切断工程)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-09-18 
出願番号 特願平11-336819
審決分類 P 1 651・ 4- YA (A41B)
P 1 651・ 532- YA (A41B)
P 1 651・ 161- YA (A41B)
P 1 651・ 121- YA (A41B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 植前 津子  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 石川 好文
千壽 哲郎
登録日 2001-01-05 
登録番号 特許第3145371号(P3145371)
権利者 花王株式会社
発明の名称 使い捨て吸収性物品  
代理人 須藤 阿佐子  
代理人 羽鳥 修  
代理人 羽鳥 修  
代理人 須藤 阿佐子  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ