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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1088053
異議申立番号 異議2002-72653  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-03-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-10-30 
確定日 2003-09-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3279402号「光ファイバセンサ」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3279402号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3279402号発明についての出願は、平成5年8月27日に出願され、平成12年2月22日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、上野昭史及び加藤修一より特許異議の申立がなされ、取消しの理由の通知がなされ、その指定期間内である平成15年7月1日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否
2-1.訂正の内容
2-1-1.訂正事項a-1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

2-1-2.訂正事項a-2
特許請求の範囲の請求項2、
「【請求項2】 前記受光側ファイバヘッドは、第3の面方向を有する複数の面と第4の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とレンズとを有し、前記受光側ファイバヘッドが有する前記反射部材は、前記第3の面方向を有する複数の面が前記拡大されたビームを間引いて反射するとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に縮小されたビームを形成し、前記受光側ファイバヘッドが有するレンズは、前記縮小された光を受光側の光ファイバに集光することにより、前記拡大されたビームを受光側の光ファイバに集光して受光しうることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。」
を、
「【請求項1】 投光側の光ファイバと、
前記投光側の光ファイバから出射する光を平行光とするレンズと、
第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とを有する投光側ファイバヘッドと、
受光側の光ファイバと、
第3の面方向を有する複数の面と第4の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とレンズとを有する受光側ファイバヘッドとを具備し、
前記投光側ファイバヘッドが有する反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記平行光を反射して隙間の開いた複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームを投光し、
前記受光側ファイバヘッドは、前記投光側ファイバヘッドと対向して設置されたときに、
前記受光側ファイバヘッドが有する反射部材が.前記第3の両方向を有する複数の面が前記拡大されたビームを間引いて反射するとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に縮小されたビームを形成し、
前記受光側ファイバヘッドが有するレンズが、前記縮小された光を前記受光側の光ファイバに集光することにより、前記拡大されたビームを前記受光側の光ファイバに集光して受光しうる
ことを特徴とする光ファイバセンサ。」と訂正する。

2-1-3.訂正事項a-3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

2-1-4.訂正事項a-4
特許請求の範囲の請求項4、
「【請求項4】 前記反射部材は、前記第1の両方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなし、前記第2の面方向を有する複数の面が前記光軸方向に対して平行となることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバセンサ。」を、
「【請求項2】 前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなし、前記第2の面方向を有する複数の面が光軸方向に対して平行となることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。」と訂正する。

2-1-5.訂正事項a-5
特許請求の範囲の請求項5、
「【請求項5】 前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバセンサ。」を、
「【請求項3】 前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓としたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。」と訂正する。

2-1-6.訂正事項a-6
特許請求の範囲の請求項6、
「【請求項6】 前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とするとともに、前記レンズを前記投光側のファイバヘッドと一体に構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバセンサ。」を、
「【請求項4】 前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とするとともに、前記レンズを前記投光側のファイバヘッドと一体に構成したことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。」と訂正する。

2-1-7.訂正事項a-7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

2-1-8.訂正事項b
明細書の段落番号【0009】に、
「【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、投光側の光ファイバと、投光側の光ファイバから出射する光を平行光とするレンズと、第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とを有する投光側ファイバヘッドと、受光側の光ファイバを有する受光側ファイバヘッドとを具備し、記反射部材は、第1の面方向を有する複数の面が平行光を反射して隙間の開いた複数個のビームを形成することにより複数個のビームの配列方向に拡大されたビームを投光し、受光側ファイバヘッドは、投光側ファイバヘッドと対向して設置されたときに拡大されたビームを受光側の光ファイバに集光して受光しうることを特徴とする。」とあるのを、
「【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、投光側の光ファイバと、投光側の光ファイバから出射する光を平行光とするレンズと、第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とを有する投光側ファイバヘッドと、受光側の光ファイバと、第3の面方向を有する複数の面と第4の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とレンズとを有する受光側ファイバヘッドとを具備し、投光側ファイバヘッドが有する反射部材は、第1の面方向を有する複数の面が平行光を反射して隙間の開いた複数個のビームを形成することにより複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームを投光し、受光側ファイバヘッドは、投光側ファイバヘッドと対向して設置されたときに、受光側ファイバヘッドが有する反射部材が、第3の面方向を有する複数の面が拡大されたビームを間引いて反射するとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームを形成することにより複数個のビームの配列方向に縮小されたビームを形成し、受光側ファイバヘッドが有するレンズが、縮小された光を受光側の光ファイバに集光することにより、拡大されたビームを受光側の光ファイバに集光して受光しうることを特徴とする。」と訂正する。

2-1-9.訂正事項c
明細書の段落番号【0010】と【0011】を削除する。

2-1-10.訂正事項d
明細書の段落番号【0012】に、「請求項4に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなし、前記第2の面方向を有する複数の面が前記光軸方向に対して平行となることを特徴とする。」とあるのを、
「請求項2に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなし、前記第2の面方向を有する複数の面が前記光軸方向に対して平行となることを特徴とする。」と訂正する。

2-1-11.訂正事項e
明細書の段落番号【0013】に、「請求項5に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓としたことを特徴とする。」とあるのを、
「請求項3に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓としたことを特徴とする。」と訂正する。

2-1-12.訂正事項f
明細書の段落番号【0014】に、「請求項6に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とするとともに、前記レンズを前記投光側のファイバヘッドと一体に構成したことを特徴とする。」とあるのを、
「請求項4に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とするとともに、前記レンズを前記投光側のファイバヘッドと一体に構成したことを特徴とする。」と訂正する。

2-1-13.訂正事項g
明細書の段落番号【0015】を削除する。

2-1-14.訂正事項h
明細書の段落番号【0022】に、「【作用】 請求項1に記載の光ファイバセンサにおいては、投光側ファイバヘッドでは、投光側の光ファイバから出射される光が平行光とされ、反射部材の第1の面方向を有する複数の面により、平行光が反射されて隙間の開いた複数個のビームが形成されることにより複数個のビームの配列方向に拡大されたビームが投光され、受光側ファイバヘッドでは、拡大されたビームが受光側の光ファイバに集光して受光されることにより、被検出物体101の検出範囲を拡大することができる。」とあるのを、
「【作用】
請求項1に記載の光ファイバセンサにおいては、投光側ファイバヘッドでは、投光側の光ファイバから出射される光が平行光とされ、反射部材の第1の面方向を有する複数の面により、平行光が反射されて複数個のビームが形成されることにより複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームが投光され、受光側ファイバヘッドでは、反射部材の前記第3の面方向を有する複数の面により、拡大されたビームが間引いて反射されるとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームが形成されることにより複数個のビームの配列方向に縮小されたビームが形成され、ビームが受光側の光ファイバに集光して受光されることにより、被検出物体101の検出範囲を拡大することができる。」と訂正する。

2-1-15.訂正事項i
明細書の段落番号【0023】および【0024】を削除する。

2-1-16.訂正事項j
明細書の段落番号【0025】に、「請求項4に記載の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなすようにされ、前記第2の面方向を有する複数の面は前記光軸方向に対して平行となされる。」とあるのを、
「請求項2に記載の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなすようにされ、前記第2の面方向を有する複数の面は前記光軸方向に対して平行となされる。」と訂正する。

2-1-17.訂正事項k
明細書の段落番号【0026】に、「請求項5に記載の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材はプリズム形状とされ、前記反射部材の出射面は前記投光側ファイバヘッドの出射窓とされるので、構造を簡単とし、小型化することができる。」とあるのを、
「請求項3に記載の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材はプリズム形状とされ、前記反射部材の出射面は前記投光側ファイバヘッドの出射窓とされるので、構造を簡単とし、小型化することができる。」と訂正する。

2-1-18.訂正事項l
明細書の段落番号【0027】に、「請求項6に記截の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材はプリズム形状とされ、前記反射部材の出射面は前記投光側ファイバヘッドの出射窓とされるとともに、前記レンズは前記投光側のファイバヘッドと一体に構成されるので、構造を簡単とし、小型化することができる。」とあるのを、
「請求項4に記載の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材はプリズム形状とされ、前記反射部材の出射面は前記投光側ファイバヘッドの出射窓とされるとともに、前記レンズは前記投光側のファイバヘッドと一体に構成されるので、構造を簡単とし、小型化することができる。」と訂正する。

2-1-19.訂正事項m
明細書の段落番号【0028】を削除する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
2-2-1.訂正事項a-1
訂正事項a-1は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。

2-2-2.訂正事項a-2
訂正事項a-2は、訂正前の請求項1の削除に伴い、実質的に訂正前の請求項1に訂正前の請求項2を追加し、それに加えて、訂正前の請求項1の「前記複数個のビームの配列方向に拡大されたビームを投光し」の記載に更に限定を加え「前記複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームを投光し」とするものであって、それぞれ、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正および特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。また、上記「前記複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームを投光し」と限定する訂正は、明細書の段落番号【0034】の記載に基づくものであるので、訂正事項a-2の訂正は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。

2-2-3.訂正事項a-3
訂正事項a-3は、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。

2-2-4.訂正事項a-4
訂正事項a-4は、請求項1及び3を削除し、請求項2を請求項1に繰り上げるのに伴い、請求項4を請求項2に繰り上げ、「前記光軸方向に対して平行となることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバセンサ。」とあるのを、「光軸方向に対して平行となることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。

2-2-5.訂正事項a-5
訂正事項a-5は、請求項1及び3を削除し、請求項2を請求項1に、請求項4を請求項2に繰り上げるのに伴い、請求項5を請求項3に繰り上げ、「請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバセンサ。」とあるのを、「請求項1に記載の光ファイバセンサ。」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。

2-2-6.訂正事項a-6
訂正事項a-6は、請求項1及び3を削除し、請求項2を請求項1に、請求項4を請求項2に、請求項5を請求項3にそれぞれ繰り上げるのに伴い、請求項6を請求項4に繰り上げ、「請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバセンサ。」とあるのを、「請求項1に記載の光ファイバセンサ。」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。

2-2-7.訂正事項a-7
訂正事項a-7は、請求項7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。

2-2-8.訂正事項b乃至訂正事項m
訂正事項b乃至訂正事項mは、訂正前の請求項1及び3が削除され、また、訂正前の請求項2、4、5、6が新たな請求項1乃至4となったことにともない、発明の詳細な説明の記載を整理するものであって、明りょうでない記載の釈明に該当するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立についての判断
3-1.本件発明
上記のとおり訂正が認められるから、本件特許第3279402号の請求項1乃至4に係る発明(以下、「本件発明1」乃至「本件発明4」という。)は、訂正特許明細書および図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至請求項4に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】 投光側の光ファイバと、
前記投光側の光ファイバから出射する光を平行光とするレンズと、
第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とを有する投光側ファイバヘッドと、
受光側の光ファイバと、
第3の面方向を有する複数の面と第4の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とレンズとを有する受光側ファイバヘッドとを具備し、
前記投光側ファイバヘッドが有する反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記平行光を反射して隙間の開いた複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームを投光し、
前記受光側ファイバヘッドは、前記投光側ファイバヘッドと対向して設置されたときに、 前記受光側ファイバヘッドが有する反射部材が.前記第3の面方向を有する複数の面が前記拡大されたビームを間引いて反射するとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に縮小されたビームを形成し、
前記受光側ファイバヘッドが有するレンズが、前記縮小された光を前記受光側の光ファイバに集光することにより、前記拡大されたビームを前記受光側の光ファイバに集光して受光しうることを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】 前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなし、前記第2の面方向を有する複数の面が光軸方向に対して平行となることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】 前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓としたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】 前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とするとともに、前記レンズを前記投光側のファイバヘッドと一体に構成したことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。」

3-2.刊行物に記載の発明
当審が平成15年5月2日付けで通知した取消しの理由において引用した刊行物1乃至7は、
刊行物1:実願昭55-134077号(実開昭57-57308号)のマイクロフィルム(異議申立人上野昭史提出の甲第1号証)
刊行物2: 特開平1-261606号公報(異議申立人上野昭史提出の甲第2号証、異議申立人加藤修一提出の甲第6号証)
刊行物3:特開平2-238393号公報(異議申立人上野昭史提出の甲第4号証)
刊行物4:特開平5-80272号公報(異議申立人上野昭史提出の甲第3号証)
刊行物5:特開昭62-23022号公報(異議申立人加藤修一提出の甲第3号証)
刊行物6:特開昭61-36723号公報(異議申立人加藤修一提出の甲第5号証)
刊行物7:特開昭51-107845号公報
であるところ、上記刊行物1乃至2にはそれぞれ次のとおりの発明が記載されている。
刊行物1には
「第2図において、投光用光ファイバ21と受光用光ファイバ31のそれぞれの先端に、投光方向変換器22ととが取り付けられている。そしてこれら変換器22、32は略同一の構成を有しており、プラスチック等の光導体を棒状に一体成形したものからなり、一端に光ファイバの先端が嵌合するような凹所23、33が設けられ、この凹所23、33内に凸レンズをなす突部24、34が設けられている。そして他端には、プリズムをなすような反射面26、36が傾斜して設けられた凹所25、35が設けられている。各変換器22、32は、光ファイバ21、31の先端を凹所23、33に挿入して嵌合することにより着脱自在に取り付けられる。 投光用光ファイバ21からの光は端部から放射して拡散しても凸レンズにより収束されるので平行光となり、変換器22の光導体中を進み、反射面26で反射して方向変換し投射される。 従って投射光は略平行光線となっており、光りが拡散することはなく、また、総ての光が反射面26で反射するため、ロスも少ない。こうして投射された光は受光方向変換器32に入射し、反射面36で反射して凸レンズにより集束されて、受光用光ファイバ31の先端より入射する。この受光方向変換器32についても投光方向変換器22と同様に光の方向を損失少なく変換できるとともに、受光方向が拡がるのを防ぐことができる。 このように投光側と受光側に変換器22、32を取り付けることにより、第2図に示したように、壁41、42に挟まれた狭い空間内で光による検出を行うことも容易にできる。」(第3頁5行〜第4頁15行)、
と記載され、第2図に左右略同一の光学系により構成され対向配置された、光ファイバ式光電スイッチの光学系が記載されている。
したがって、刊行物1には、
「投光用光ファイバ21と、投光用光ファイバ21から出射する光を収束して平行光とする凸レンズと、反射面26とからなる投光方向変換器22と、該投光方向変換器22と略同一の構成であって、受光用光ファイバ31と、反射面36と、凸レンズとを有する受光方向変換器32とを具備し、
前記投光方向変換器22が有する反射面は、前記平行光を反射して方向変換し、略平行光線の投射光を投射し、前記受光方向変換器32は、前記投光方向変換器22と対向して設置されたときに、前記受光方向変換器32が有する反射面が、前記平行光を反射して方向変換し、前記受光方向変換器32が有する凸レンズが、前記方向変換された光を受光用光ファイバ31に集束して、受光用光ファイバ31の先端より入射して受光しうることを特徴とする光ファイバ式光電スイッチ」
が記載されている。

刊行物2には、図1ないし4とともに、
「第4図に示される従来例の光軸変換装置は、発光部2から図で真上に向けて発する光の第1の光軸上に沿って第1の光ファイバ8(コンデンサレンズでもよい。)と第1の全反射ミラー10とをこの記載順に配置し、…(中略)…第1の全反射ミラー10と対向してもう1つの第2の全反射ミラー12を配置し、さらに第2の全反射ミラー12と受光部4との間の第3の光軸上にもう1つの第2の光ファイバ14(コンデンサレンズでもよい。)を配置して構成されている。」(第1頁右下欄19行〜第2頁左上欄10行)
「本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、少なくとも発光部と受光部との対向方向における配設サイズを大型化することなく検知物体の検知領域を大きくすることができる光軸変換装置を提供することを目的としている。」(第2頁左下欄5行〜8行)
「従来例に係る第4図に示した符号と同一の符号は、本実施例においても、その符号が示す部品、部分と同様のものを指す。したがって、本実施例のおいて従来例と同一の符号の部分については同様の構成を有している。すなわち、第1図および第2図において、2は発光部、4は受光部、8は第1の光ファイバ、14は第2の光ファイバである。」(第3頁右上欄15行〜同左下欄2行)
「すなわち、本実施例の光軸変換装置においては、発光部2からの発光6の光軸(第1の光軸)上においてその発光部2に近い側に複数個の、実施例では2個の、反射次数が共に1/2の第1の部分反射ミラー20、22を、また、遠い側に第1の全反射ミラー24をそれぞれの反射面の傾斜角度(45度)を同一方向に一致させた状態で配設しているとともに、受光部4で受光される光の光軸(第3の光軸)上においてその受光部4から遠い側に第2の全反射ミラー26を、また近い側に反射次数が共に1/2でかつ前記第1の部分反射ミラー20、22と同数の第2の部分反射ミラー28,30をそれぞれ反射面の傾斜角度(45度)を同一方向に一致させた状態で配設して構成されている。」(第3頁左下欄5行〜18行)
と記載されている。

3-3.対比・判断
3-3-1.本件発明1について
・対比
刊行物1に記載の発明と本件発明1を対比すると、刊行物1記載の発明における「投光用光ファイバ21」、「投光用光ファイバ21から出射する光を収束して平行光とする凸レンズ」、「反射面26」、「投光方向変換器22」、「受光用光ファイバ31」、「反射面36」、受光側の「凸レンズ」、「受光方向変換器32」、及び「略平行光線の投射光」が、それぞれ本件発明1の「投光側の光ファイバ」、「投光側の光ファイバから出射する光を平行光とするレンズ」、「投光側ファイバヘッドが有する反射部材」、「投光側ファイバヘッド」、「受光側の光ファイバ」「受光側ファイバヘッドが有する反射部材」「受光側ファイバヘッドが有するレンズ」及び投光される「ビーム」に相当することは明らかである。また、刊行物1の「受光方向変換器32」は、「投光方向変換器22」と「略同一の構成を有して」おり、図2から、前記「投光方向変換器22」に対向して設置されていることが見てとれ、そして「投光方向変換器22」から「投射された光」が「受光方向変換器32に入射し、反射面36で反射して凸レンズにより集束されて、受光用光ファイバ31の先端より入射する」ように構成されるものであるから、該「受光方向変換器32」は、本件発明1の「投光側ファイバヘッドと対向して設置されビームを前記受光側の光ファイバに集光して受光」するものである。
したがって両者は、
「投光側の光ファイバと、前記投光側の光ファイバから出射する光を平行光とするレンズと、反射部材とを有する投光側ファイバヘッドと、受光側の光ファイバと、反射部材とレンズとを有する受光側ファイバヘッドとを具備し、
前記投光側ファイバヘッドが有する反射部材は、前記平行光を反射してビームを投光し、前記受光側ファイバヘッドは、前記投光側ファイバヘッドと対向して設置されたときに、前記受光側ファイバヘッドが有する反射部材が.ビームを反射するとともに、前記受光側ファイバヘッドが有するレンズが、前記縮小された光を前記受光側の光ファイバに集光することにより、前記ビームを前記受光側の光ファイバに集光して受光しうることを特徴とする光ファイバセンサ。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1:
投光側ファイバヘッドの反射部材が第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなり、これにより、前記第1の面方向を有する複数の面が前記平行光を反射して隙間の開いた複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームを投光するようにしたのに対し、刊行物1記載の発明では、そのようなビームを配列方向に拡大して投射する構成が記載されていない点。

相違点2:
、受光側ファイバヘッドの反射部材が第3の面方向を有する複数の面と第4の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなり、これにより、前記第3の面方向を有する複数の面が前記拡大されたビームを間引いて反射するとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に縮小されたビームを形成するようにしたのに対し、刊行物1記載の発明では、そのような配列方向に拡大されて投射されたビームを、受光側で縮小する構成が採用されていない点。

・判断
相違点について検討する。
相違点1について
光センサにおいて、被検出物体の検出範囲を拡大するために光源から出射するビームをレンズにより平行光としてそれを反射鏡にて投射する際に、反射鏡によりビームを拡大して投射するようになすことは、刊行物2に記載されているから、刊行物1記載の発明において、被検出物体の検出範囲を拡大するために反射鏡によりビームを拡大して投射する構成を採用することは、当業者ならば容易に想到しうることと認められる。
また、ビームを拡大して投射する反射鏡として、「第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる」反射面を有する反射鏡を用いてビームを分割して拡大するものは周知(必要であれば、刊行物4乃至7参照)であるから、ビームを分割、拡大して投射するための反射鏡として該構成を有する反射面を有するものを採用することは当業者が適宜なし得る単なる設計事項にすぎず、格別なる困難性は認められないし、その効果も当業者が当然予測しうるものにすぎない。
光強度の分布をほぼ均一にする点に関しては、照明において、均一光を当てることは、ごく一般的な課題であり、物体検知のための照明であっても、略均一光を照射すること自体に特に阻害要因があるわけではないから、単に作用的に、光強度が略均一に成るようになす事は、当業者ならば容易に想到しうることと認められる。
特許権者は、意見書において、「投光側ファイバヘッドと組み合わせた場合に、出射される光ビームが分離された複数のビームのままではなく、投光ビームの光強度の強度分布をほぼ均一とすることによって、投光側ファイバヘッドの第1の面方向を有する複数の面と受光側ファイバの第3の面方向を有する複数の面とを、厳密に対向する位置に合わせなくとも安定して検出することが可能となるのである。」と主張しているが、
照明技術分野において、照明むらをなくすために、照明光の光強度分布を均一にすることは、ごく一般的に認識されている技術課題であるから、例えば刊行物4や刊行物5に示された周知の照明技術を刊行物1に記載された発明に施すにあたり、照明むらをなくすべく、複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布が「ほぼ均一なビームを投光する」構成を採用することは、当業者が当然に考慮するはずの技術事項と認められる。
そして、上記構成により、「投光側ファイバヘッドの第1の面方向を有する複数の面と受光側ファイバの第3の面方向を有する複数の面とを、厳密に対向する位置に合わせなくとも安定して検出することが可能となる」ことも、光強度の強度分布がほぼ均一なビームが得られることから容易に予想しうる効果にすぎない。

相違点2について
刊行物1において、投光側光学系と受光側光学系とは、略同一の構成とされている。また、刊行物2、刊行物3あるいは刊行物7に記載のように、光センサにおいて、反射鏡でビームを拡大した範囲に投光するものであっても、投光側の反射鏡とほぼ同一の構成の反射鏡を用いて当該投光されたビームを縮小するようになす事は普通に行われていることであるから、「第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる」反射面を有する反射鏡を用いてビームを拡大した範囲に投光する際の構成とほぼ同一の構成となる「第3の面方向を有する複数の面と第4の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる」反射面を有する反射部材を用いるようになすことに、格別なる困難性は認められないし、その効果も当業者が当然予測しうるものにすぎない。

3-3-2.本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の反射部材を、「前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなし、前記第2の面方向を有する複数の面が光軸方向に対して平行となる」と限定したものであるのでこの点(相違点3とする)について検討する。

相違点3について
反射面を45度にすることは、例えば刊行物2にも記載されているように、平行光を直角方向(垂直方向)へ反射させる際に普通に行われることにすぎない。また、反射面でない面は、反射に寄与しないわけであるから、これを光軸方向に対して平行とすることは、単なる設計事項にすぎず、そのことによる格別なる効果も認められない。

3-3-3.本件発明3について
本件発明3は、本件発明1の反射部材を「プリズム形状」とし(相違点4とする)、前記「反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とする」(相違点5とする)ように限定したものであるのでこれらの点について検討する。

相違点4について
刊行物1記載の発明でもの反射部材はプリズムとなっているように、反射部材をプリズム形状としすること自体は慣用技術にすぎない

相違点5について
出射窓を設けることは、刊行物2、3の図から見てとれるように当業者が適宜に行い得る単なる設計事項にすぎず、その場合、通常反射部材の出射面が出射窓となる。

3-3-4.本件発明4について
本件発明4は、実質的に本件発明1に「前記レンズを前記投光側のファイバヘッドと一体に構成」(相違点6とする)する限定を加えたものであるのでこの点について検討する。
刊行物1記載の発明においても投光側ヘッドのレンズは、ファイバヘッドと一体に構成されているように、光学装置において、光学部品を一体の構成することは慣用技術にすぎない。

3-4.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1乃至4は、刊行物1記載の発明に、刊行物2に記載の技術および周知技術を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件請求項1乃至4に係る発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光ファイバセンサ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 投光側の光ファイバと、
前記投光側の光ファイバから出射する光を平行光とするレンズと、
第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とを有する投光側ファイバヘッドと、
受光側の光ファイバと、
第3の面方向を有する複数の面と第4の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部分とレンズとを有する受光側ファイバヘッドとを具備し、
前記投光側ファイバヘッドが有する反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記平行光を反射して隙間の開いた複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームを投光し、
前記受光側ファイバヘッドは、前記投光側ファイバヘッドと対向して設置されたときに、
前記受光側ファイバヘッドが有する反射部材が、前記第3の面方向を有する複数の面が前記拡大されたビームを間引いて反射するとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームを形成することにより前記複数個のビームの配列方向に縮小されたビームを形成し、
前記受光側ファイバヘッドが有するレンズが、前記縮小された光を前記受光側の光ファイバに集光することにより、前記拡大されたビームを前記受光側の光ファイバに集光して受光しうる
ことを特徴とする光ファイバセンサ。
【請求項2】 前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなし、前記第2の面方向を有する複数の面が光軸方向に対して平行となる
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【請求項3】 前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とした
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【請求項4】 前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とするとともに、前記レンズを前記投光側のファイバヘッドと一体に構成した
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバセンサ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、検出エリアの広い光ファイバセンサに係り、特に構造を小型化することのできる光ファイバセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
投光側の光ファイバから出射した光を被検出物体を透過させ、前記投光側の光ファイバに平行に配置された受光側の光ファイバに入射させるため、出射した光を直角方向に反射させる1対の反射部材を設けている。このような光ファイバを用いた従来の光ファイバセンサの構成例を図13及び図14に示す。
【0003】
図13(a)に示す従来例は、投光側の光ファイバ1の出射側の凸レンズ2と反射部材としての平面ミラー3を光ファイバ1の光軸4上に設けたものである。この場合光ファイバ1の開口部1aは凸レンズ2の焦点位置にあり、光ファイバ1からの出射光は凸レンズ2により平行光となる。また平面ミラー3は光軸4に対して45度の角度に配置されており、前記平行光は平面ミラー3により光軸4に対して直角の方向に反射される。
【0004】
図14(a)に示す従来例は凸レンズ2及び平面ミラー3の代りに凹面ミラー5を設けたものである。この場合凹面ミラー5の反射面の形状は、投光側の光ファイバ1から放射状に出射した光が、すべて光軸4に対して直角の方向に反射する形状となっている。
【0005】
なお、受光側のファイバヘッドの構成も上記のように構成された投光側のファイバヘッドと対称の位置で同様に構成されており、両ファイバヘッド間に配置された被検出物体を光が透過するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図13、14に示す従来の光ファイバセンサにより、投光側の光ファイバセンサ1から発するビーム径を拡大することができ、被検出物体の広い範囲を検出することができる。しかしながら図13(a)に示すように凸レンズ2によりビーム径を拡大する場合には、拡大倍率が凸レンズ2の大きさによって決まる。このため広いビーム径が必要な場合大きな凸レンズ2が必要となり、光ファイバヘッドの外形が大きくなるという問題があった。この場合は光ビームの強度は図13(b)に示すように均一である。
【0007】
また、図14(a)に示すように凹面ミラー5によりビーム径を拡大する場合には、図14(b)に示すように光ビームの強度が位置により不均一となる。この結果、同じ大きさの被検出物体であっても、検出範囲内の位置によって検出できたり、できなかったりして、不安定な検出しかできないという問題があった。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、小型の構成でビーム径を拡大して被検出物体を安定して検出することのできる光ファイバセンサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、投光側の光ファイバと、投光側の光ファイバから出射する光を平行光とするレンズと、第1の面方向を有する複数の面と第2の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とを有する投光側ファイバヘッドと、受光側の光ファイバと、第3の面方向を有する複数の面と第4の面方向を有する複数の面とが交互に連続して配置されてなる反射部材とレンズとを有する受光側ファイバヘッドとを具備し、投光側ファイバヘッドが有する反射部材は、第1の面方向を有する複数の面が平行光を反射して隙間の開いた複数個のビームを形成することにより複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームを投光し、受光側ファイバヘッドは、投光側ファイバヘッドと対向して設置されたときに、受光側ファイバヘッドが有する反射部材が、第3の面方向を有する複数の面が拡大されたビームを間引いて反射するとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームを形成することにより複数個のビームの配列方向に縮小されたビームを形成し、受光側ファイバヘッドが有するレンズが、縮小された光を受光側の光ファイバに集光することにより、拡大されたビームを受光側の光ファイバに集光して受光しうることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなし、前記第2の面方向を有する複数の面が前記光軸方向に対して平行となることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓としたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の光ファイバセンサは、前記反射部材をプリズム形状とし、前記反射部材の出射面を前記投光側ファイバヘッドの出射窓とするとともに、前記レンズを前記投光側のファイバヘッドと一体に構成したことを特徴とする。
【0022】
【作用】
請求項1に記載の光ファイバセンサにおいては、投光側ファイバヘッドでは、投光側の光ファイバから出射される光が平行光とされ、反射部材の第1の面方向を有する複数の面により、平行光が反射されて複数個のビームが形成されることにより複数個のビームの配列方向に拡大された光強度の強度分布がほぼ均一なビームが投光され、受光側ファイバヘッドでは、反射部材の前記第3の面方向を有する複数の面により、拡大されたビームが間引いて反射されるとともに、それによって生じる隙間を圧縮した複数個のビームが形成されることにより複数個のビームの配列方向に縮小されたビームが形成され、ビームが受光側の光ファイバに集光して受光されることにより、被検出物体101の検出範囲を拡大することができる。
【0025】
請求項2に記載の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材は、前記第1の面方向を有する複数の面が前記投光側の光ファイバの光軸方向に対して45度の角度をなすようにされ、前記第2の面方向を有する複数の面は前記光軸方向に対して平行となされる。
【0026】
請求項3に記載の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材はプリズム形状とされ、前記反射部材の出射面は前記投光側ファイバヘッドの出射窓とされるので、構造を簡単とし、小型化することができる。
【0027】
請求項4に記載の光ファイバセンサにおいては、前記反射部材はプリズム形状とされ、前記反射部材の出射面は前記投光側ファイバヘッドの出射窓とされるとともに、前記レンズは前記投光側のファイバヘッドと一体に構成されるので、構造を簡単とし、小型化することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の光ファイバセンサの実施例を図面を参照して説明する。なお、図1乃至図12に示す各実施例において、図13及び図14に示す従来例の部分と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0032】
図1(a)に示す第1の実施例は、投光側の光ファイバ11の光軸4上には凸レンズ21と反射部材31とが設けられており、反射部材31の反射面31aは鋸歯状に形成されており、反射面31aにはアルミニウムなどの反射率の高い金属が蒸着されている。また鋸歯状の各反射面31aの凸レンズ21に対向する側の各面は光軸4に対して45度の角度となっており、凸レンズ21により平行光となって各反射面31aに入射した光は、光軸4に対して直角の方向に反射する。このとき光ファイバ11の開口部11aに開口絞り41を設けることにより、点光源とすることができる。
【0033】
上記構造によれば、反射部材31の凸レンズ21に対向する反射面31aによって、図1(b)に示すように隙間の開いた複数個のビームが形成され、見掛け上のビーム径が拡大される。このとき各反射面31aが光軸4に対して45度の角度となっており、反射部材31は光軸4に対して鋭角となり長さを長くすることができる。この結果凸レンズ21を大きくすることなく、被検出物体の検出範囲を一方向に拡大することができる。そして反射面31aのピッチ以上の大きさを持つ被検出物体であれば、前記物体の位置に関係なく均一な受光量の変化が得られ、安定した検出を行うことができる。
【0034】
図2に示す第2の実施例では、開口絞り41の開口径が大きく、点光源と見なせない場合の反射光の光強度の分布を示す。図2(b)に示すように、反射部材31から距離が離れた位置では光強度の強度分布がほぼ均一となり、図1に示す場合と同様に被検出物体の大きさが反射面31aのピッチ以上の大きさであれば、前記物体の位置に関係なく均一な受光量の変化が得られ、安定した検出を行うことができる。
【0035】
図3に示す第3の実施例は、反射部材31の隣接する反射面31a、31bのうち、一方の反射面31aを光軸4に対して45度の角度とし、他方の反射面31bを光軸4に対してほぼ平行としたものである。このようにすることにより、隣接する反射面31a、31bのなす角度αを大きくすることができ、作製を容易としコストを低減することができる。
【0036】
図4に各実施例に用いられるレンズの形状例を示す。(a)は両面が球面状に突出した凸レンズ21aであり、(b)は外周が円筒状に形成された小径の凸レンズ21bである。また(c)は光軸4に対して直角な平面と外周が外側に向って突出する円弧状の断面を有するレンズ21cであり、(d)は光軸4に対して一方の面が直角方向の平面で他方の面が球面状となった凸レンズ21dである。いずれのレンズ21を用いても反射物体31に対して均一な強度の光を入射することができる。
【0037】
図5に示す第4の実施例は反射部材51を断面が三角形のプリズム状とし、反射部材51の反射面51aをブレーズ化グレーティング面としたものである。反射面51aは図5(c)に(a)のA部を拡大して示すように、グレーティングの周期Pを数μmとし、斜面の長さを1μm程度とした。このように構成することにより、回折現象により隙間のないほぼ均一の光強度の反射光が得られる。この場合、グレーティングの周期が小さいため、図1に示す第1の実施例の場合よりも、さらに小さい被検出物体を安定して検出することができる。
【0038】
図6に示す第5の実施例は、投光側の光ファイバ11、凸レンズ21及び反射部材31からなる投光側ファイバヘッド61に対向して、対称の位置にそれぞれ受光側の光ファイバ12、凸レンズ22及び反射部材32が配置されてなる受光側ファイバヘッド62を設け、投光側の光ファイバ11の開口径より受光側の光ファイバ12の開口径を大きくしたものである。このように構成することにより、反射部材31、32の取り付け角度の傾きの変化による受光量の変化を少くすることができ、ファイバヘッド61、62の取り付けが簡単となる。
【0039】
図7に示す第6の実施例は、図6に示す受光側の多数の反射面を持つ反射部材32の代りに凹面ミラー71を用いたものである。凹面ミラー71の反射面71aの形状は、入射する平行光を受光側の光ファイバ12の開口部に集光できる形状となっている。このように構成することにより、反射部材31、71の取付けの傾きや、前後方向の対称位置のずれによる入射光量への影響を少くすることができ、ファイバヘッド61、62の取付けの調整が容易となる。
【0040】
図8に示す第7の実施例は、反射部材31の反射面に多数の反射面81aを有するプリズム形状となっている部材81を金属蒸着により固定して出射窓を構成し、この出射窓に凸レンズ21を一体に構成したものである。この構造により反射部材31の反射面の汚れの発生を防止することができる。
【0041】
図9に示す第8の実施例は投光側のファイバヘッド61と受光側のファイバヘッド62とを一体に形成したものである。
【0042】
図10に示す第9の実施例は凸レンズ21、22の焦点位置にそれぞれ反射部材としてのミラー91、92を光軸に対して45度の角度に設け、光ファイバ11、12を凸レンズ21、22の光軸に対して直角の方向に近接して設けたものである。
【0043】
図9及び図10に示す実施例によると、光ファイバセンサの構成を簡単とし小型化することができる。
【0044】
上記各実施例では、投光側光ファイバ11から出射した光が被検出物体を透過して受光側光ファイバ12に入射する透過型光ファイバセンサについて説明したが、図11及び図12に示すように被検出物体101に投光側光ファイバ11から光を入射し、被検出物体101から反射する光を受光側光ファイバ12に入射させる反射型光ファイバセンサ102に応用することもできる。この場合の反射部材として上記各実施例で示したものを用い、それぞれの反射面を被検出物体101側に対向させる。なお符号103は検出範囲である。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバセンサによれば、多数の反射面を有する反射部材を用いたので、ビームを拡大して広い範囲で被検出物体を検出することができ、しかも均一の光強度で安定した検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の光ファイバセンサの第1の実施例の構成を示す説明図である。
【図2】
本発明の第2の実施例の構成及び作用を示す説明図である。
【図3】
本発明の第3の実施例の構成を示す説明図である。
【図4】
本発明の各実施例に用いられるレンズの形状例を示す側面図である。
【図5】
本発明の第4の実施例の構成を示す説明図である。
【図6】
本発明の第5の実施例の構成を示す断面図である。
【図7】
本発明の第6の実施例の構成を示す断面図である。
【図8】
本発明の第7の実施例の構成を示す説明図である。
【図9】
本発明の第8の実施例の構成を示す断面図である。
【図10】
本発明の第9の実施例の構成を示す断面図である。
【図11】
本発明の一実施例による反射型光ファイバセンサの構成を示す正面側斜視図である。
【図12】
図11の側面側斜視図である。
【図13】
従来の光ファイバセンサの一例の構成を示す説明図である。
【図14】
従来の光ファイバセンサの他の一例の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
4 光軸
11、12 光ファイバ
11a 開口部
21、22 凸レンズ(レンズ)
31、32、51、71 反射部材
31a、31b、32a、71a 反射面
41 開口絞り
51a ブレーズ化グレーティング面
61、62 ファイバヘッド
101 被検出物体
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-08-05 
出願番号 特願平5-212581
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (G02B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 大和田 有軌岡田 卓弥  
特許庁審判長 西川 一
特許庁審判官 服部 和男
山川 雅也
登録日 2002-02-22 
登録番号 特許第3279402号(P3279402)
権利者 オムロン株式会社
発明の名称 光ファイバセンサ  
代理人 稲本 義雄  
代理人 稲本 義雄  

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