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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C10J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C10J
管理番号 1088079
異議申立番号 異議2000-73115  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-01-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-11 
確定日 2003-11-10 
異議申立件数
事件の表示 特許第3009541号「廃棄物のガス化方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3009541号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3009541号の請求項1ないし3に係る発明についての出願は、平成4年5月15日に出願され、平成11年12月3日に特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人中村孝子より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年3月21日に特許異議意見書が提出されたものである。

2.特許異議申立てについて

(1)本件発明
特許第3009541号の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件発明1ないし3」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】有機物を主体とする廃棄物のガス化において、原料の廃棄物の一部を酸素で部分酸化してガス化に必要な800〜1,000℃の熱量を供給する酸化反応と、800〜1,000℃に加熱された大半の廃棄物を水蒸気によりガス化するガス化反応とを併起させてH2とCO濃度が高いガスを製造することを特徴とする廃棄物のガス化方法。
【請求項2】請求項1でガス化したガスをガス精製した後に、ガスタービン用燃料として使用することを特徴とする廃棄物のガス化方法。
【請求項3】請求項1でガス化したガスをガス精製した後、COシフト反応装置でH2 とCOガスの組成を調製した後、メタノール合成反応装置でメタノールを合成することを特徴とする廃棄物のガス化方法。」

(2)異議申立ての理由の概要
異議申立人中村孝子は、本件発明1ないし3についての特許に対して、証拠として、甲第1号証(HARALD FUNK et al., "Gasification of Solid Waste in Accordance with the SFW-FUNK Process", THERMAL CONVERSION OF SOLID WASTES AND BIOMASS, ACS SIMPOSIUM SERIES 130, 1980, p.485-489)、及び、甲第2号証(RAINER REIMERT et al., "Methanol from Wood via Lurgi Circulating Fluidized bed Gasification", BIOENERGY 84 VOLUME III, 1985, p.102-109)を提出して、本件発明1ないし2は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、本件発明1ないし2に係る特許は取り消されるべきものである旨主張し、さらに、本件発明3は、甲第1号証及び甲第2号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである旨主張している。

(3)取消しの理由の概要
当審で通知した取消し理由の概要は、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、本件発明1に係る特許は取り消されるべきものであり、本件発明2ないし3は、甲第1号証及び甲第2号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明2ないし3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものであるというものである。

(4)甲第1号証、甲第2号証に記載の事項
甲第1号証は、「SFW-FUNKプロセスによる固体廃棄物のガス化」に関する論文であり、「ガス化ユニットは、基本的に回転床を有する軸炉の形状の単純な設計である。固形廃棄物は上部からロック部を経て」送り込まれる旨(第486頁、第2行〜第4行)、「プロセスは、段階的に実施される。a)原材料準備 b)ガス化 c)凝縮 d)ガス精製」である旨(第486頁、第19行〜第23行)、「次に固形廃棄物は、ロック部を通って反応塔へ充填される。材料が各種区域を通って滑り落ちる間、乾燥、揮発成分除去すなわち炭化、還元、反応すなわち部分酸化が行われる。」旨(第486頁、第29行〜第36行)、「反応装置の上部から放出されたガスは・・・精製部に充填される。」(第486頁、第37行〜第40行)旨、「それは、加熱用に、動力発生用に、または冶金学的プロセス用の還元ガスとして、またはメタノールガスを製造する合成ガスとして使用される。次に製造されるメタノールはクリーンなガスであり、動力発生のためガスタービンに充填することが可能である」旨(第488頁、第10行〜第14行)、「全ての種類の原料がこの反応装置に充填された。例えば、家庭用廃棄物と混ざったゴム、プラスチック、木材、使用済み潤滑油である。」旨(第488頁、第29行〜第32行)、「概して、約10%の酸素が充填物に加えられ、固形廃棄物lkg当たり0.25から0.40kgの水蒸気が加えられ、反応温度を1100Kと1200Kの間のレベルに維持している。」旨(第488頁、第39行〜第42行)、「合理的なガス組成、すなわちH2が30体積%、COが20体積%、CO2が36体積%、O2が2体積%、さらにCH4、及び窒素を伴うCの数がより高いいくつかの炭化水素、を任意の時間長さ維持することができた。」旨(第488頁、第32行〜第38行)記載されている。

甲第2号証は、「ガス化による木材のからのメタノール」に関する論文であり、「メタノール合成の要求に応じてガスの組成を調製するためにいくつかの手段が可能である。すなわち、COシフト変換、・・・である。一つのプロセス開発において、流動床反応装置内でガス化、COシフト、・・・を組み合わすことが試みられた」旨(第104頁、第1行〜第5行)記載され、「木材の削出、乾燥、ガス化、COシフト、・・メタノール合成」の順序で実施されるプロセスフロー(第108頁、第6図)が記載され、ガス化の際に酸素と水蒸気との混合体を用いること(第105頁1行目〜2行目)、760-840℃の温度でガス化が行われ(第105頁、第3表)、得られたガスは、H2が32.3体積%、COが32.4体積%である(第108頁、第5図)旨記載されている。

(5)対比・判断

ア.本件発明1について

本件発明1と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、後者における、「家庭用廃棄物と混ざったゴム、プラスティック、木材、使用済み潤滑油」は、前者の「有機物を主体とする廃棄物」に相当し、後者における、「反応温度を1100Kと1200Kの間のレベルに維持」する点は、前者の反応における「800〜1,000℃」に相当することから、両者は、「有機物を主体とする廃棄物のガス化において、原料の廃棄物を酸素で部分酸化して800〜1,000℃の熱量を供給する酸化反応と、800〜1,000℃に加熱された廃棄物を水蒸気によりガス化するガス化反応とによりガスを製造することを特徴とする廃棄物のガス化方法。」である点で一致しているが、前者においては、酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを「併起」させているのに対して、後者においては、その点が不明である点(以下、「相違点1」という。)、前者においては、酸素で部分酸化されるのが廃棄物の「一部」であり、水蒸気によりガス化されるのは、廃棄物の「大半」であるが、後者においては、その点が不明である点(以下、「相違点2」という。)、及び、前者においては、「H2とCO濃度が高いガス」を製造しているのに対して、後者においては、その点が具体的に記載されていない点(以下、「相違点3」という。)で相違している。

そこで、以下、上記相違点について検討する。
まず、相違点1については、甲第1号証において、「概して、約10%の酸素が充填物に加えられ、固形廃棄物lkg当たり0.25から0.40kgの水蒸気が加えられ、反応温度を1100Kと1200Kの間のレベルに維持している。」と記載されているが、該記載は、酸化反応と水蒸気によるガス化反応の両方を行うことを示すにとどまり、両反応を「併起」させるものか否かについては明らかではない。
また、甲第1号証の図1(第487頁)には、廃棄物のガス化のプロセスが示されているが、図1からでは、酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを「併起」させているか否かは不明であり、さらに、甲第1号証における他の記載を参酌しても、酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを併起させることについて具体的に記載されておらず、甲第1号証に記載の発明において、酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを「併起」させていると断定することはできない。
してみると、相違点2、3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明と同一であるとは認められず、特許法第29条第1項第3号に該当しない。

イ.本件発明2について

(a)特許法第29条第1項第3号について
本件発明2は、本件発明1に限定を付したものであるから、本件発明1における判断(上記ア.)と同様の理由により、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明と同一であるとは認められない。

(b)特許法第29条第2項について
本件発明2は、本件発明1でガス化したガスを精製した後に、ガスタービン用燃料として使用するものであるから、本件発明2と甲第1号証に記載された発明と対比すると、両者は上記「ア.」において挙げた相違点1の点で少なくとも相違している。
すなわち、本件発明2は、「酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを「併起させる」ものであるのに対して、甲第1号証に記載された発明においては、その点が不明である点において相違するものである。そこで、甲第2号証の記載から、上記「酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを併起させる」という構成が導き出せるかどうか以下に検討する。
甲第2号証には、廃棄物のガス化に関する発明が記載され、酸素と水蒸気の混合体を用いてガス化反応を行うことが記載されているが、「酸化反応」については具体的に記載されておらず、酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを併起させているか否かについては不明であり、また、発熱反応である酸化反応と吸熱反応であるガス化反応を併起させて穏やかな反応を行うという本件発明2における課題については何ら記載されていない。
また、本件発明2が属する分野において、廃棄物をガス化する際に、酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを併起させることが周知技術であったとも認められない。
してみると、甲第2号証の記載を勘案しても、甲第1号証に記載のプロセスにおいて、酸化反応と水蒸気によるガス化反応とを「併起」させることは、当業者が容易に想到し得ることとは認められない。
そして、本件発明2は、有機物を主体とする廃棄物から高品質のエネルギーを回収することが可能となり、回収ガスを有効利用することができるという、明細書記載の効果を奏するものである。
したがって、本件発明2は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ.本件発明3について

本件発明3は、本件発明1でガス化したガスをメタノールの合成に使用するものであるが、上記イ.(b)で述べたように、本件発明1に相当するガス化方法が甲第1号証及び甲第2号証から容易に発明することができたものではないので、本件発明3は、本件発明2における判断(上記イ.(b))と同様の理由により、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(6)むすび
以上のとおりであるから、当審での取消しの理由、異議申立ての理由及び証拠によって、本件発明1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明1ないし3についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してなされたものとは認められない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-10-16 
出願番号 特願平4-123379
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C10J)
P 1 651・ 113- Y (C10J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大畑 通隆  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 加藤 浩
後藤 圭次
登録日 1999-12-03 
登録番号 特許第3009541号(P3009541)
権利者 三菱重工業株式会社
発明の名称 廃棄物のガス化方法  
代理人 安西 篤夫  
代理人 飯田 房雄  
代理人 内田 明  
代理人 萩原 亮一  
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