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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  F16L
管理番号 1088106
異議申立番号 異議2003-71923  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-01-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-07-28 
確定日 2003-11-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第3371243号「断熱ホース」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3371243号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3371243号の請求項1〜5に係る発明は、平成10年7月10日に出願され、平成14年11月22日にその特許の設定登録がなされ、その後、平成15年7月28日に特許異議申立人ユーシー産業株式会社により、請求項1〜4に係る発明の特許に対して特許異議の申立てがなされたものである。

2.本件発明
本件特許の請求項1〜4に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明4」という。)は特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】 合成樹脂製の無継ぎ目の曲げ変形可能な内管(1)と、該内管(1)の外周面を覆う筒状の発泡合成樹脂製の断熱層(2)とからなり、前記内管(1)は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされた環状突条(11)…が、当該環状突条(11)の軸方向における幅よりも広い間隔を隔てて多数形成されており、かつ、その長手方向両端部に口金部(12),(13)を一体形成状態で備えているものとしてあり、前記断熱層(2)は、帯状に裁断された発泡合成樹脂シートが長手方向に沿って側縁部どうしが接当されて筒状に繋ぎ合わされた継ぎ目(25)を有する構造とされ、その内径(IS)が前記内管(1)の環状突条(11)の最大直径(OD)よりも小さく設定され、この断熱層(2)を内管(1)に外嵌させて、環状突条(11)の頂部が断熱層(2)に喰い込んだ状態で断熱層(2)との相対移動を阻止させた状態として保持させ、個々の環状突条(11)間に独立した断熱空間が得られる状態で内管(1)に覆わせてある断熱ホース。
【請求項2】 合成樹脂製の無継ぎ目の曲げ変形可能な内管(1)と、該内管(1)の外周面を覆う筒状の発泡合成樹脂製の断熱層(2)とからなり、前記内管(1)は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が交わる角度(θ)が10乃至30度の鋭角をなし、頂部が弧状とされた多数の環状突条(11)…が、該突条(11)の管軸方向の突出間隔をPとし突出基部の管軸方向における幅をWとしたとき、P-W/W≧1.2の値を満たし、かつ、その長手方向両端部に口金部(12),(13)を一体形成状態で備えているものとしてあり、前記断熱層(2)は、帯状に裁断された発泡合成樹脂シートが長手方向に沿って側縁部どうしが接当されて筒状に繋ぎ合わされた継ぎ目(25)を有する構造とされ、その内径(IS)が前記内管(1)の環状突条(11)の最大直径(OD)よりも小さく設定され、この断熱層(2)を内管(1)に外嵌させて、環状突条(11)の頂部が断熱層(2)に喰い込んだ状態で断熱層(2)との相対移動を阻止させた状態として保持させ、個々の環状突条(11)間に独立した断熱空間が得られる状態で内管(1)に覆わせてある断熱ホース。
【請求項3】 前記断熱層(2)の発泡合成樹脂が独立気泡発泡樹脂である請求項1または2に記載の断熱ホース。
【請求項4】 前記断熱層(2)が、全面に凹凸面(22)加工が施されている請求項1または2に記載の断熱ホース。」

3.特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人ユーシー産業株式会社は、証拠として、以下の甲第1〜5号証を提出し、本件発明1〜4は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により取り消すべきものである旨主張している。

甲第1号証:実公平3-31554号公報
甲第2号証:実公昭58-29381号公報
甲第3号証:実公平5-15678号公報
甲第4号証:実願平4-55341号(実開平6-16797号)のCD-ROM
甲第5号証:実願昭54-115476号(実開昭56-32194号)のマイクロフィルム

4.甲各号証記載の発明
特許異議申立人が提出した甲第1号証(実公平3-31554号公報)には、図面とともに以下のような記載がある。

「可撓性を有する軟質筒体が、下記の性状を有する熱収縮性ポリオレフイン系発泡材の熱収縮被覆層により被覆されていることを特徴とする被覆軟質筒体。」(第1頁第1欄2〜5行)

「第1図は、この考案の一実施例を示す断面図であり、被覆軟質筒体は、ポリエチレン等の軟質合成樹脂からなる可撓性、屈曲性を有するべローズ形状の軟質筒体1が、上記性状を示す熱収縮性ポリオレフイン系発泡材2で密着被覆されていると共に、軟質筒体1の伸縮等に対応して伸縮等する上記熱収縮性ポリオレフイン系発泡材2の断熱性、緩衝性および耐熱性に基き保護されている。」(第2頁第4欄33〜40行)

そして、第1図には、軸方向断面において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされた突条が多数形成された軟質筒体が示されている。

上記記載及び図面を参照すると、甲第1号証には、以下の発明が記載されている。

合成樹脂製の無継ぎ目の曲げ変形可能な軟質筒体と、該軟質筒体の外周面を覆う筒状の発泡合成樹脂製の断熱性を有する熱収縮性ポリオレフイン系発泡材とからなり、前記軟質筒体は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされた突条が、多数形成されており、前記熱収縮性ポリオレフイン系発泡材は、その内径が前記軟質筒体の突条の最大直径よりも小さく設定され、この熱収縮性ポリオレフイン系発泡材を軟質筒体に外嵌させて、突条の頂部が熱収縮性ポリオレフイン系発泡材に喰い込んだ状態で熱収縮性ポリオレフイン系発泡材との相対移動を阻止させた状態として保持させ、軟質筒体に覆わせてある被覆軟質筒体。

同じく、甲第2号証(実公昭58-29381号公報)には、図面とともに以下の記載がある。

「ところで、前記断熱構造のドレンホースとして、蛇腹状をなすホース本体の外周に断熱カバーを被覆したものがあるが・・・・」(第1頁第2欄9〜11行)

「図中Hはドレンホースを示し、ホース本体1と断熱カバー2とから形成する。
前記ホース本体1は、断面波形状をなす蛇腹部1aの一側に差込口1bを一体に形成しており、この差込口1bをセパレート形冷房機の室内ユニットに内装するドレン受けDの排水口dに差込んで接続すべくなす。
また、前記カバー2はスポンジなどの断熱材にて筒状に形成し、この外周壁に断面四角形状をなす多数の凹凸条2aを、また内周壁に断面波形状をなす多数の凹凸条2bを形成している。この凹凸条2bの各凹凸部は、前記外周壁に設ける凹凸条2aの各凹凸部と対向位置すべく形成している。」(第2頁第3欄4〜17行)

「前記本体1の蛇腹部1a及び差込口1bは、その凹凸条を円周方向或いは螺旋方向に形成してもよく、この凹凸条と同形状に前記カバー2の内側面凹凸条2bを形成する。
そして前記カバー2を前記本体1の外周部にその内面側凹凸条2bを本体1の蛇腹部1a及び差込口1bに係合させて挿嵌支持する。」(第2頁第3欄23〜29行)

そして、図面には、軸方向断面において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされた凹凸条が多数形成されたホース本体が示されている。

上記記載及び図面を参照すると、甲第2号証には、以下の発明が記載されている。

曲げ変形可能なホース本体と、該ホース本体の外周面を覆う筒状のスポンジ製のカバーとからなり、前記ホース本体は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされた環状凸条が、多数形成されており、かつ、その長手方向端部に差込口を一体形成状態で備えているものとしてあり、前記カバーは、外周壁に多数の凹凸条が形成されるとともに、その内径が前記ホース本体の環状凸条の最大直径よりも小さく設定され、このカバーをホース本体に外嵌させて、環状凸条の頂部がカバー内周壁に形成した凹条に入り込んだ状態でカバーとの相対移動を阻止させた状態として保持させ、個々の環状凸条間に独立した断熱空間が得られる状態でホース本体に覆わせてあるドレンホース。

同じく、甲第3号証(実公平5-15678号公報)には、図面とともに以下の記載がある。

「従来から、管壁を長さ方向に山部と谷部とが連続する波形状に形成して可撓性を付与したコルゲート管が知られており、このコルゲート管に断熱パイプを被覆した構造の断熱ホースが広く使用されている。」(第1頁第1欄13〜17行)

「本考案の実施例を図面について説明すると、1は適宜長さ間隔毎に小径の口元部2,2……2を設けている長さ数十メートル以上の合成樹脂製の長尺コルゲート管で、その管壁は長さ方向に山部と谷部が頁次連続して断面波形状に形成され、可撓性を付与してなるものである。
3はこの長尺コルゲート管1を全長に亘って被覆した柔軟性と可撓性を有する合成樹脂製の断熱パイプで、全長に亘って同一径に形成されていると共にその内周面を長尺コルゲート管1の山部外周面に密着させて一体化しているものである。」(第2頁第3欄3〜13行)

上記記載及び図面を参照すると、甲第3号証には、コルゲート管と該コルゲート管の外周面を覆う断熱パイプとからなる断熱ホースにおいて、コルゲート管に口元部を一体形成状態で備えたものが記載されている。

同じく、甲第4号証(実願平4-55341号(実開平6-16797号)のCD-ROM)には、図面とともに以下の記載がある。

「本考案は、電線等の保護管、熱交換器用管、水等の液体の給排用管、各種気体の給排用管、さらに各種冷媒等の配管その他に好適に使用されるリブ付可撓管に関するものである。」(明細書第4頁4〜6行)

「本考案は、上記に鑑みて、張出し加工によるリブを有する一体ものの可撓管として、手や治工具による巻け加工が可能で、しかも耐圧強度に優れ、余分な補強材を要することなく使用状態での伸びや撓みを防止でき、また気体や液体等の流送圧の損失が小さく、しかも気体の流通音を抑制できるリブ付可撓管を提供しようとするものである。」(明細書第5頁11〜15行)

「図1および図2は第1の考案の可撓管の実施例を示している。この実施例では、パイプ長手方向に所定ピッチで、張出し加工により単に外側に張出した周方向に連続するリング状のリブ(1)を形成して、パイプ内周における各リブ(1)(1)間を、該リブ(1)内周の僅かな間隙(S)を介して断続するストレート面(2)に形成している。」(明細書第6頁18〜22行)

「上記のパイプ素材としては、ステンレス鋼、銅、亜鉛メッキ鋼、チタン等の合金その他の各種の金属製のパイプ、さらに合成樹脂製のパイプにおいても上記同様に実施でき、その径および肉厚等は用途に応じて適宜決定できる。例えば径の小は5.0mm程度から大きいものは数百mmのものまで考えられる。
【0024】
また上記各実施例のリブ(1)のピッチ、張出し寸法、ストレート面(2)の長手方向寸法(L)および間隙(S)の幅等は、その用途およびパイプ径や肉厚等によって適宜設定できるが、上記の流体送圧力の抵抗損失の減少および通過音抑制の効果の点からは、前記ストレート面(2)の長手方向寸法(L)は少なくとも1mm以上、前記間隙(S)はできるだけ小さく数mm以下で、前記長手方向寸法(L)が間隙(S)の2倍以上となるように設定しておくのが好ましい。」(明細書第8頁8〜18行)

上記記載及び図面を参照すると、甲第4号証には、合成樹脂製の可撓管において、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされたリング状リブが、当該リング状リブの軸方向における幅よりも広い間隔を隔てて多数形成すること、または、L/S≧2の値を満たすこと、すなわち、前記リング状リブが該リブの管軸方向の突出間隔をPとし突出基部の管軸方向における幅をWとしたとき、P-W/W≧2の値を満たすのが好ましいことが記載されている。

同じく、甲第5号証(実願昭54-115476号(実開昭56-32194号)のマイクロフィルム)には、図面とともに以下の記載がある。

「この考案は、コルゲートホースその他可撓性ホースに挿嵌させて使用するホースカバーに関する。
本考案の第1の目的は、コルゲートホースなどに勝手に抜出たりすることなく強固に挿嵌支持できるホースカバーを提供することにある。」(明細書第1頁11〜17行)

「図中(1)はホースカバー本体で、シート状をなすスポンジ材を周回させて両端面を接合(2)させることにより円筒状となす。
そして前記本体(1)の外周壁に、断面四角形の凹凸条(3)を多数円周方向に形成する。」(明細書第2頁6〜10行)

「また前記本体(1)は、挿嵌すべきコルゲートホースなどの外径とほぼ同一内径、若しくはやや小径に形成するのであり、これによつてコルゲートホースなどに挿嵌したとき、締付勝手となして、強固に支持すべくなす。
しかして前記ホースカバーは、例えばコルゲートに次のように取付ける。
先ず前記カバー本体(1)の一側部を、内部を閉鎖したコルゲートホースの一端に差込み、この本体(1)の他側方から圧縮空気を吹込むことにより該本体(1)を膨潤させ、この状態で本休(1)を前記ホース上に押込む。そしてコルゲートホース外周の凹凸壁部に、本体(1)の内周に設けた凹凸条(4)を係合させるのである。すると本体(1)は、その凹凸条(4)がコルゲートホースの凹凸壁部に係合することと、本体(1)がスポンジ材で形成され、しかも本体(1)の内径が前記ホース外径とほぼ同一内径或いはこれより小径とされて、前記ホースに対し締付勝手となることから本体(1)はコルゲートホースの外周に強固に挿嵌支持されるのである。」(明細書第3頁2行〜第4頁1行)

「・・・・特にドレンホースの断熱カバーなどとして有益な使用ができるに至ったのである。」(明細書第5頁8〜9行)

5.当審の判断
〔本件発明1について〕
本件発明1と特許異議申立人が提出した甲第1号証の第1図に記載の発明とを対比すると、甲第1号証に記載の「軟質筒体1」は、本件発明1〜4の「内管」に相当し、以下同様に、「熱収縮性ポリオレフイン系発泡材」は「断熱層」に、「被覆軟質筒体」は「断熱ホース」に、それぞれ相当するから、
両者は、
「合成樹脂製の無継ぎ目の曲げ変形可能な内管と、該内管の外周面を覆う筒状の発泡合成樹脂製の断熱層とからなり、前記内管は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされた突条が、多数形成されており、前記断熱層は、その内径が前記内管の突条の最大直径よりも小さく設定され、この断熱層を内管に外嵌させて、突条の頂部が断熱層に喰い込んだ状態で断熱層との相対移動を阻止させた状態として保持させ、内管に覆わせてある断熱ホース。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]本件発明1では、内管と、該内管の外周面を覆う発泡合成樹脂製の断熱層とからなり、前記内管は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされた突条が、当該突条の軸方向における幅よりも広い間隔を隔てて多数形成されているのに対して、甲第1号証の第1図に記載された発明では、多数の突条は、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧上とされているものの、突条の軸方向における幅よりも広い間隔を隔てて形成されてはいない点。

[相違点2]本件発明1では、内管は、その長手方向両端部に口金部を一体形成状態で備えているのに対して、甲第1号証には、口金部については何も記載されていない点。

[相違点3]本件発明1では、断熱層が、帯状に裁断された発泡合成樹脂シートが長手方向に沿って側緑部どうしが接当されて筒状に繋ぎ合わされた継ぎ目を有する構造とされているのに対して、甲第1号証には、断熱層が継ぎ目を有するものであるとは記載されていない点。

[相違点4]本件発明1では、突条を環状の突条とすることにより、断熱層を内管に外嵌させて、個々の環状突条間に独立した断熱空間が得られる状態で内管に覆わせてあるのに対して、甲第1号証に記載された発明では、突条が環状であるのか、螺旋状であるのか不明であり、したがって、隣接する突条間に独立した断熱空間を有するものであるのか否か不明である点。

そこで、上記相違点1について検討すると、相違点1における本件発明1の構成要件については、いずれの証拠にも記載されておらず、また、示唆もされていないし、甲第4号証には、合成樹脂製の曲げ変形可能な管において、環状突条(リング状リブ)を、当該環状突条の軸方向における幅よりも広い間隔を隔てて多数形成することが記載されているとはいえ、同号証記載の技術は、手や治工具による巻け加工が可能で、しかも耐圧強度に優れ、余分な補強材を要することなく使用状態での伸びや撓みを防止でき、また気体や液体等の流送圧の損失が小さく、しかも気体の流通音を抑制できるリブ付き可撓管を提供することを目的とするものであって、管の断熱性を確保するためのものではなく、これを甲第1号証に記載の発明に適用することには動機付けがないから、この適用が当業者にとって容器の範囲であったとすることはできない。
したがって、甲第3号証に示されるように、断熱ホースの内管に口金部(口元部)を一体形成状態で設けたものが既に知られており、甲第5号証に示されるように、ドレンホースの断熱カバーとして使用されるホースカバーにおいて、シート状をなすスポンジ材を周回させて両端面を接合させることにより円筒状となすものが既に知られており、さらに、甲第2号証に示されるように、突条(凸条)を環状の突条とすることにより、断熱層(断熱カバー)を内管(ホース本体)に外嵌させて、個々の環状突条間に独立した断熱空間が得られる状態で内管に覆わせてあるものが既に知られているとしても、相違点1における本件発明1の構成要件、すなわち、内管と、該内管の外周面を覆う発泡合成樹脂製の断熱層とからなり、前記内管は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧上とされた突条が、当該突条の軸方向における幅よりも広い間隔を隔てて多数形成された点については、いずれの証拠にも記載されておらず、また、示唆もされていない。
そして、本件発明1は、上記の事項を構成要件としたことにより、断熱層自体による断熱効果以上に断熱性に優れた断熱ホースを得ることができるという甲各号証に記載された発明には期待できない格別の作用効果を奏するものと認められる。
よって、本件発明1は、甲第1〜5号証に記載された発明と認めることができないばかりでなく、それらから当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

〔本件発明2について〕
本件発明1と特許異議申立人が提出した甲第1号証の第1図に記載の発明とを対比すると、
両者は、
「合成樹脂製の無継ぎ目の曲げ変形可能な内管と、該内管の外周面を覆う筒状の発泡合成樹脂製の断熱層とからなり、前記内管は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が鋭角をなし、頂部が弧状とされた多数の突条があり、前記断熱層は、その内径が前記内管の突条の最大直径よりも小さく設定され、この断熱層を内管に外嵌させて、突条の頂部が断熱層に喰い込んだ状態で断熱層との相対移動を阻止させた状態として保持させ、内管に覆わせてある断熱ホース。」
である点で一致し、本件発明1との相違点である上記相違点2〜4で相違するとともに以下の相違点5で相違する。

[相違点5]本件発明2は、内管と、該内管の外周面を覆う発泡合成樹脂製の断熱層とからなり、前記内管は、軸方向断面形状において、両側の傾斜面が交わる角度が10乃至30度の鋭角をなし、頂部が弧状とされた多数の突条が、該突条の管軸方向の突出間隔をPとし突出基部の管軸方向における幅をWとしたとき、P-W/W≧1.2の値を満たしているのに対して、甲第1号証の第1図に記載された発明は、突条両側の傾斜面が交わる角度が鋭角をなし、頂部が弧上とされているものの、多数の突条が、上記したP-W/W≧1.2の値を満たすような広い間隔を隔てて形成されたものでない点。

そこで、上記相違点について検討すると、相違点5における本件発明2の構成については、本件発明1における相違点1の検討で述べたと同様に、いずれの証拠にも記載されておらず、また、示唆もされていない。
そして、本件発明2は、上記の事項を構成要件としたことにより、断熱層自体による断熱効果以上に断熱性に優れた断熱ホースを得ることができるという格別の作用効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明2は、甲第1〜5号証に記載された発明と認めることができないばかりでなく、それらから当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

〔本件発明3、及び本件発明4について〕
本件発明3は、請求項1または2を引用し、さらに「前記断熱層(2)の発泡合成樹脂が独立気泡発泡樹脂である」なる構成を付加、限定するものであり、本件発明4は、請求項1または2を引用し、さらに「前記断熱層(2)が、全面に凹凸面(22)加工が施されている」なる構成を付加、限定するものであるから、上記と同様な理由により、本件発明3及び4は、甲第1〜5号証に記載された発明と認めることができないばかりでなく、それらから当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明1〜4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-11-05 
出願番号 特願平10-196394
審決分類 P 1 652・ 121- Y (F16L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石田 宏之  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 原 慧
佐野 遵
登録日 2002-11-22 
登録番号 特許第3371243号(P3371243)
権利者 東拓工業株式会社
発明の名称 断熱ホース  
代理人 甲斐 寛人  
代理人 山本 拓也  
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