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審決分類 |
審判 訂正 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 訂正する G09G 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G09G 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G09G 審判 訂正 2項進歩性 訂正する G09G 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する G09G |
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管理番号 | 1088871 |
審判番号 | 訂正2003-39175 |
総通号数 | 50 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1991-05-24 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2003-08-25 |
確定日 | 2003-10-30 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3216810号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3216810号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第3216810号(以下「本件特許」という。)は、平成1年10月5日に特許出願(特願平1-261600号)され、平成13年8月3日に特許権の設定登録がされたものである。 大木茂は、平成14年4月9日に本件特許について特許異議の申立て(異議2002-70913号)をし、本件特許の請求項1ないし3に係る発明は当業者が特開昭62-57057号公報(甲第1号証)、特開昭59-135680号公報(甲第2号証)及び特開昭64-18189号公報(甲第3号証)に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、本件特許の請求項1ないし3の記載は不明瞭であり、特許法36条に規定する要件を満足していないと主張した。 この異議事件につき、取消理由が通知され、特許権者は訂正請求書及び特許異議意見書を提出したが、平成15年5月7日付けで「訂正を認める。特許第3216810号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との結論の異議の決定がされた。 特許権者は、この異議の決定の取消しを求めて、平成15年6月20日に東京高等裁判所に訴えを提起した。 そして、特許権者は、本件特許の明細書の訂正を求めて、平成15年8月25日に本件審判を請求した。 第2 請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、本件特許の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおりに、すなわち、下記のとおりに訂正することを求めるものである。 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1において、「前記第1乃至第3の映像データ選択手段により選択された映像データ」を「前記第1乃至第3の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データ」と訂正する。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1ないし3において、「所定の順序で並べられた映像データを記憶する記憶手段」を「所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段」と訂正する。 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1において、「前記記憶手段に記憶された映像データの中から映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段」を「前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段」と訂正する。 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項2において、「前記第1の映像データ選択手段または前記第2の映像データ選択手段により選択された映像データ」を「前記第1の映像データ選択手段または前記第2の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データ」と訂正する。 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項2において、「前記記憶手段に記憶された映像データの中から映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段」を「前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段」と訂正する。 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項3において、「前記映像データ選択手段により選択された映像データ」を「前記映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データ」と訂正する。 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項3において、「この選択された映像データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データを連続的に選択する映像データ選択手段」を「この選択された映像データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する映像データ選択手段」と訂正する。 訂正事項8 明細書5頁8行ないし6頁18行の「本発明の・・・特徴とする。」を以下のとおり訂正する。 「本発明の映像データ表示システムは、所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から前記第1の映像データ選択手段により選択された映像データの直前または直後の映像データを選択する第3の映像データ選択手段と、前記第1乃至第3の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。 また、本発明の映像データ表示システムは、所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段と、前記第1の映像データ選択手段または前記第2の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。 また、本発明の映像データ表示システムは、所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択し、この選択された映像データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する映像データ選択手段と、前記映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。」 第3 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否について 1 訂正事項1、4及び6について 訂正事項1、4及び6は、請求項1ないし3の映像データ選択手段により選択された「映像データ」について「一画面分の」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 明細書11頁11行ないし14行(特許掲載公報6欄5行ないし7行)には「映像データ記録手段2の映像データメモリバンク22から読み出された1画面分の画像データを表示するビデオ表示ウィンドウ53」との記載がされているから、訂正事項1、4及び6は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 そして、訂正事項1、4及び6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 2 訂正事項2について 訂正事項2は、請求項1ないし3の記憶手段に記憶する「映像データ」について「動画像の」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 明細書16頁11行ないし12行(特許掲載公報7欄40行ないし41行)には「これにより、一連の動画像から任意のシーンを必要に応じて簡単な操作で取り出すことができ」との記載がされているから、訂正事項2は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 そして、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3 訂正事項3、5及び7について 訂正事項3、5及び7は、連続的に選択する「映像データ」について「マウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 明細書16頁1行ないし5行(特許掲載公報7欄31行ないし35行)には「マウス5の中ボタン5Cを押したまま、マウスカーソル55をスクロールバー56上でずらすことにより、マウス5で指示された画像データのフィールド番号Fが変化しながら連続的に前記画像計数器30にロードされる」との記載がされているから、訂正事項3、5及び7は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 そして、訂正事項3、5及び7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 4 訂正事項8について 訂正事項8は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためのものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項8は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 第4 独立特許要件の適否について 1 本件訂正後の請求項に係る発明 本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明(以下「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明3」という。)は、本件訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された以下のとおりのものである。 「1.所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から前記第1の映像データ選択手段により選択された映像データの直前または直後の映像データを選択する第3の映像データ選択手段と、前記第1乃至第3の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする映像データ表示システム。 2.所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段と、前記第1の映像データ選択手段または前記第2の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする映像データ表示システム。 3.所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択し、この選択された映像データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する映像データ選択手段と、前記映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする映像データ表示システム。」 2 特許法29条2項について (1)本件特許について特許異議申立人大木茂より提出された甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証には次の事項が記載されている。 ア 甲第1号証には、図面とともに、「本発明は電子化文書に対する電子ページめくり装置に関する。」(1頁右下欄3行ないし4行)、「本発明の第1の目的は、・・・視覚に訴えて直接的、連続的に操作できる電子ページめくり装置を提供することにある。」(2ページ左上欄7行ないし12行)、「第1図は本発明の第1の実施例を示すブロック図である。本実施例のポインティングデバイス1は、例えば、マウスや、トラックボールのような装置であり、表示画面上において任意に移動させることが可能であり、しかもその時の位置(座標)を検出できるものである。電子化文書格納手段2は、ワードプロセッサにより出力されたコードデータや図形データあるいはイメージデータなど、一般に電子化された文書を格納する手段であり、また大量のデータの中から検索システムにより該当文書を取り出した後格納している手段であるとみなすこともでき、例えば光ディスク装置は磁気ディスク装置などで構成される。また、線形ページ位置表示作成手段3は、電子化文書格納手段2のページ数に比例した大きさで、例えば、第3図(a)に示すような図を作成する手段である。この図では、表示画面20上に7頁分の文書を横棒グラフに表示した場合を示している。すなわち、7頁分の枠を棒グラフ上に用意し、この現在のページ(5)と、その前ページ、次ページとを色分けして表示する。また、この棒グラフの左側に現ページ(5)を、また棒グラフの上側に先頭ページ数(1)と末尾ページ数(7)とマウスカーソル上のページ数(3)とをそれぞれ表示している。さらに、制御手段4は、線形ページ位置表示作成手段3により得られたページ位置表示を表示し、このページ位置表示内にポインティングデバイス1のカーソルが入ると、その位置から直ちに対応するページ番号を計算し、電子化文書格納手段2から該当ページを取り出し、表示させるものである。これを実際に表示する手段が表示手段5であり、通常のCRTディスプレイなどで構成される。」(2頁左下欄13行ないし3頁左上欄5行)との記載がされている。 イ 甲第2号証には、図面とともに、「本発明は、例えばビデオテープを編集する際に、モニタ上に時系列的にほぼ連続する複数個のフレームのテレビ信号を同時に再生するようにしたビデオ編集用ビュワーに関するものである。」(1頁右下欄8行ないし11行)、「上述の目的を達成するための本発明の要旨は、複数個のフレームのテレビ信号を記憶し得るメモリと、ビデオ信号源から供給されるテレビ信号を前記メモリに書き込む書込制御回路と、前記メモリに記憶された複数フレームのテレビ信号を読み出す読出制御回路と、前記書込制御回路及び読出制御回路による前記メモリに対する書き込み・読み出し方向、書き込み・読み出し速度を制御する再生モード制御手段と、前記メモリから読み出された複数個のフレームのテレビ信号を画面上一連にして再生する1個のモニタと、該モニタ上の任意のフレームを編集点として指示する手段とを具備したことを特徴とするビデオ編集用ビュワーである。以下に図面を参照して本発明を詳細に説明する。第1図はビデオ編集用ビュワー外観図であり、本実施例においてはブラウン管モニタ1のスクリーン上にビデオ信号の時系列的に連続する複数個のフレームが、縦方向に一列に並んで再生されるようになっている。モニタ1の前部に設けられている操作パネル2には、編集点を示すモニタ画面上のマーカーMを上下方向に移動させるためのレバー4と、マーカーMによって指示されたフレームを編集点として登録するためのキューボタン5と、モニタ1上に映出されるフレーム画列を順方向の下方向、逆方向の上方向に任意の所望の速度で移動させたり、この移動を停止させたりするための再生モード制御用回転ノブ6とが設けられている。回転ノブ6の表面には矢印と中央マークとが設けられており、回転ノブ6を反時計方向に廻すとモニタ1上のフレーム画列は上から下に移動し、その速度は回転ノブ6の反時計方向への回転角に比例する。この状態から回転ノブ6を時計方向に廻してゆくと下方向への移動は徐々に遅くなり、中央マークが矢印7の位置に一致するとフレーム画列の動きは停止する。更に、回転ノブ6を時計方向に廻すと、フレーム画列は上方へ次第に移動するようになり、回転ノブ6を大きく廻すことにより上方への移動速度は速くなる。編集者は回転ノブ6を操作して、モニタ1上に映出されるフレーム画列を移動させながらモニタ1を観察し、編集点近傍に達すると移動速度を遅くし、前後のフレーム画列を比較観察しながら編集点を探索する。最後に回転ノブ6を中央に戻してフレーム画列の移動を停止し、レバー4を操作してモニタ1上のマーカーMを移動させ、マーカーMを編集点とするフレームの横に位置させる。次にキューボタン5を押しマーカーMが示すフレームの番号を読み出し、これをビデオ編集装置に供給することにより、順次の編集点の情報をビデオ編集装置に伝達することができる。本実施例のビデオ編集用ビュワーによれば、目的とするフレームの前後のフレームの画像も一目で判断できるので、編集点の探索は確実でしかも容易となり、あたかもフィルムを目視している場合と同様の効果が得られる。」(2頁左上欄17行ないし右下欄13行)、「第3図は、第1図に示した実施例の変形例を示すものであり、この場合は操作パネル2上にノーマル←→拡大の切換スイッチを設け、この切換スイッチをノーマル側に倒したときには第3図(a)に示すようにモニタ1上に10数個のフレームの画像が表示されるが、拡大側に倒すと第3図(b)に示すようにモニタ1上に例えば4フレームの画像が拡大して表示されるようになる。このような構成によれば、大まかな編集点サーチはノーマルのフレーム数の多い表示により行い、より精度の高い確認は拡大再生により行うことで、正確な編集点の決定を効率よく行うことができる。第4図は本発明に係るビデオ編集用ビュワーの基本的な構成を示すブロック回路図である。ビデオテーブレコーダ等のビデオ信号源であるVTR21からのビデオ信号を入力端子22に供給する。このビデオ信号をA/D変換回路23によりデジタル信号に変換した後に、書込セレクタ24を介してメモリ25の14個のフレームメモリ25a〜25nの1つに供給しここに格納する。このフレームメモリ25a〜25nは、例えばモニタ1上に映出するフレーム数を13個とした場合には、これよりも1個多い数となっている。フレームメモリ25aに入力ビデオ信号の1フレーム分の画像を記憶しているときは、残りのフレームメモリ25b〜25nを読出モードに切換え、読出セレクタ26により順次のフレームのビデオ信号を読み出し、D/A変換回路27によりアナログビデオ信号に変換して出力端子28に出力し、そしてこのビデオ信号をモニタ1に供給しここに映出する。上述したVTR21、書込セレクタ24、メモリ25、読出セレクタ26及びモニタ1の動作を制御するために中央制御回路30が設けられている。更にこの中央制御回路30には、第1図に示したレバー4、キューボタン5及び回転ノブ6を有する操作パネル2も接続されている。回転ノブ6によってモニタ1上に映出されるフレーム画列の動きが変化するが、これに対応してVTR21のでの再生動作を制御するためにVTR制御回路31が設けられてある。即ち、モニタ1上のフレーム画列を順方向に移動させる場合には、VTR21も対応して順方向の再生が行われるようにし、逆方向に移動させる場合にはVTR21も逆方向に再生される。また、モニタ1上のフレーム画列を順方向に移動させる場合には、VTR21から供給されるテレビ信号がフレームメモリ25a、25b、25c、・・・、25n、25a、25b・・・に順方向に順次に記録されるように、書込セレクタ24を制御する書込制御回路32が設けられている。また、フレームメモリ25a〜25nのそれぞれを書込又は読出モードに切換える制御をするために、書込/読出制御回路33が設けられている。更に、モニタ1上のフレーム画列を順方向に移動する場合には、フレームメモリ25a、25b、・・・、25n、25a、25b・・・から順方向に順次にテレビ信号を読み出すように、読出セレクタ26を制御する読出制御回路34が設けられている。なお、書込制御回路32、読出制御回路34はフレームメモリ25a〜25nを逆方向に順次に書き込み、読み出しを行うこともできるようにされている。いま、モニタ1上のフレーム画列を毎秒1コマの速度で順方向へ移動する場合を考えると、読出セレクタ26はフレームメモリ25b〜25nに格納されている13フレーム分のテレビ信号をモニタ1での1フレーム期間に亘って読み出し1秒間に亘って再生する。この間、フレームメモリ25aには次のフレームのテレビ信号を記録するように書込セレクタ24は動作する。次に、読出セレクタ26よりフレームメモリ25c、25d、・・・、25n、25aを1フレーム期間に亘って読み出し、これを1秒間に亘って再生する。この間フレームメモリ25bに次のフレームのビデオ信号を記録する。このようにしてVTR21を1フレーム・1秒の割合で、順方向に再生駆動させることにより、モニタ1上のフレーム画列を順方向に移動させながら表示をすることができる。一方、モニタ1上のフレーム画列を逆方向に移動させるときには、フレームメモリ25b〜25nをモニタ1上で1フレーム期間に亘って再生し、1つ前のフレームのテレビ信号をフレームメモリ25aに記録し、1秒後にフレーム・・・メモリ25a〜25mのテレビ信号を読み出し、更に1つ前のフレームのテレビ信号をフレームメモリ25nに格納する。このようにVTR21を1フレーム・1秒の割合で逆方向に再生しながら、モニタ1上のフレーム画列を逆方向に毎秒・1フレームの速度で移動させることができる。」(3頁左上欄13行ないし4頁右上欄2行)との記載がされている。 ウ 甲第3号証には、図面とともに、「本発明は、外部より取り込まれた一連の画像の切換表示を可能とする画像表示制御装置に関する。」(1頁左下欄17行ないし19行)、「本発明は、画像表示を行う表示手段を備え、外部より取り込まれた一連の映像の切換表示を可能とする画像表示制御装置において、画像の登録を指令する第1のスイッチと、この登録指令により、前記表示手段に現在表示されている画像の登録制御を実行する第1の制御手段と、登録画像の表示を指令する第2のスイッチと、この表示指令により登録画像の表示制御を実行する第2の制御手段とを具備するものである。」(2頁右上欄15行ないし左下欄3行)、「次に前記操作卓5のキー配列について第1図(b)を参照しながら説明する。同図に示すように操作卓5上には、心位相連続キー58、動画表示「前進」キー59、動画表示「後退」キー60、前進キー61、後退キー62、登録キー63、取消キー64、登録画像表示「前進」キー65、登録画像表示「後退」キー66、編集保存「1」キー67、編集保存「2」キー68、及びそのキー群69が設けられている。前進キー61が押下されると、CRTディスプレイ51に現在表示されている画像に連続する次の画像が該ディスプレイ51に切換表示される。後退キー62が押下されると、CRTディスプレイ51に現在表示されている画像の一つ前の画像が該ディスプレイ51に切換表示される。動画表示「前進」キー59が押下されると、該キー59に設けられたランプが点灯し、一連の画像の前進方向連続切換表示がエンドレスで行われる(動画表示)。再びこのキー59が押下されると、該ランプは消灯し、キー押下時の表示画像が連続して表示される(静止画表示)。動画表示「後退」キー60が押下されると、同「前進」キー59の押下の場合と同様に動画表示、静止画表示が行われるが、連続切換方向が後退方向となる点で同「前進」キー59の場合と異なる。」(3頁左上欄9行ないし右上欄13行)との記載がされている。 (2)対比判断 本件訂正発明1ないし3と甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明とを対比する。 甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明は、いずれも本件訂正発明1ないし3の構成要件である「記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する」点を備えておらず、この点が容易になし得たものというべき根拠は見いだせない。 そして、本件訂正発明1ないし3はこの点により本件訂正明細書記載の格別の作用、効果を奏するものということができる。 そうすると、本件訂正発明1ないし3は当業者が甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるということはできず、本件訂正発明1ないし3が特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるということはできない。 3 特許法36条について 特許異議申立人大木茂は、本件請求項1ないし3に記載された構成では「ユーザの望む映像データを速やかに表示することができる」という目的・効果を達成することはできず、本件請求項1ないし3の記載は発明を明確に規定していないと主張する。 しかしながら、本件訂正発明1ないし3は「記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択」し、「記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択」するための「映像データ選択手段」を有するものであり、このような「映像データ選択手段」を備えることにより「ユーザの望む映像データを速やかに表示することができる」という効果を達成するものであるということができる。 そうすると、本件訂正後の請求項1ないし3の記載が不備であるということはできず、本件出願が特許法36条に規定する要件を満足していないということはできない。 4 そして、他に本件訂正発明1ないし3が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとすべき理由を発見しない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件審判請求による訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、同法律による改正前の特許法126条1項ただし書、2項及び3項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 画像データ表示システム (57)【特許請求の範囲】 1.所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から前記第1の映像データ選択手段により選択された映像データの直前または直後の映像データを選択する第3の映像データ選択手段と、前記第1乃至第3の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする映像データ表示システム。 2.所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段と、前記第1の映像データ選択手段または前記第2の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする映像データ表示システム。 3.所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択し、この選択された映像データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する映像データ選択手段と、前記映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする映像データ表示システム。 【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ビデオ映像情報を表示可能な映像データ表示システムに関し、特にマルチウィンドウ化された映像データ表示システムに関する。 〔従来の技術〕 近年、マイクロプロセッサを用いたパーソナルコンピュータや、ワークステーションなどのコンピュータシステムでは、より高い性能と、より良いユーザインタフェースを求めてマルチウィンドウ化の傾向にある。このような映像ウィンドウシステムでは、ワークステーションの操作性の向上や新しい応用方法の開拓が大きな問題となっており、中でも、NTSC信号等の一般のビデオ信号を、マルチウィンドウシステムでいかに扱うかが大きな問題の一つとなっている。 従来、マルチウィンドウシステムでは、主にテキスト情報のみを扱うにすぎなかったが、近年では、ワークステーションのディスプレイ上に、一般のビデオ信号に基づく映像を動画として表示するウィンドウを設けたウィンドウシステムも提案されている(たとえば、荒木他「VP-150高精細自然画プロセッサ」,NEC技法VOL.40 No.7/1987,pp.28-33)参照)。 この文献に記載の装置においては、ビデオ信号がA/D変換された後、一次メモリに蓄積され、次いで所定の画像処理が施された後、二次メモリに蓄積される。二次メモリの内容は、ディスプレイの同期信号に同期して読み出され、D/A変換された後、パーソナルコンピュータからのビデオ信号と合成されてディスプレイに出力される。 〔発明が解決しようとする課題〕 しかし、上記文献に記載の装置においては、パーソナルコンピュータによる表示画像の一部或いは全部を、VTR,ビデオカメラ等の他の映像信号源からのビデオ信号で置換して表示するだけであり、表示された画像を見ながら、ビデオ信号自体に対して、記録,編集等の処理を行うことはできなかった。 本発明は、前記問題点を解決するために案出されたものであって、ビデオ信号を複数画面分一旦メモリに記録しておき、このメモリの内容に対して所定の操作を加えることにより、映像データ表示システムの応用分野を広げ、かつ、より良い操作性を有する映像データ表示システムを提供することを目的とする。 〔課題を解決するための手段〕 本発明の映像データ表示システムは、所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から前記第1の映像データ選択手段により選択された映像データの直前または直後の映像データを選択する第3の映像データ選択手段と、前記第1乃至第3の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。 また、本発明の映像データ表示システムは、所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択する第1の映像データ選択手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する第2の映像データ選択手段と、前記第1の映像データ選択手段または前記第2の映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。 また、本発明の映像データ表示システムは、所定の順序で並べられた動画像の映像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された映像データの中から任意の映像データを選択し、この選択された映像データを起点として前記記憶手段に記憶された映像データの中からマウスカーソルをずらすことにより指示された位置に対応する映像データを連続的に選択する映像データ選択手段と、前記映像データ選択手段により選択された一画面分の映像データを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。 〔実施例〕 以下、図面を参照しながら実施例に基づいて本発明の特徴を具体的に説明する。 第1図は本発明の映像ウィンドウシステムの第1の実施例の原理的な構成を示すブロック図である。 第1の実施例の映像ウィンドウシステムは、第1図に示すように、少なくとも、VTR、ビデオカメラ等の映像再生装置1から出力されるビデオ信号による画像(以下、ビデオ映像という)を表示可能な映像ウィンドウ2と、この映像ウィンドウ2に表示されたビデオ映像に対応するビデオ信号を実時間でメモリに記録する映像データ記録手段3と、キーボード4及びマウス5より入力された信号を解釈するインタフェース手段6と、このインタフェース手段6によって解釈された信号により、映像データ記録手段3に記録されている複数の映像データの集合からユーザの意図する任意の映像データを選択し映像ウィンドウ2或いは他の映像ウィンドウ7に表示するための映像データ再生表示手段8とから構成されている。 この映像ウィンドウシステムにおいては、モニタモードと再生モードの2種類の表示モードをとることができる。通常は、モニタモードとなっており、映像ウィンドウ2には、映像再生装置1からのビデオ映像が表示されており、また、再生モードでは、映像データ再生表示手段8からのビデオ映像が表示される。 また、キーボード4及びマウス5より入力された信号は、インターフェース手段6によって映像データ再生表示手段8の制御信号として出力され、映像データ記録手段3に記録された複数の映像データから一画面分の映像データを選択する。選択された映像データは、映像データ再生表示手段8により前記映像ウィンドウ2または他の映像ウィンドウ7に表示される。 次に、上記第1の実施例の具体的な構成について、第2図のブロック図を参照して説明する。また、本実施例のディスプレイ画面の例を第3図に示す。 第2図の例では、映像再生装置1内のビデオ映像表示手段9において、ビデオ入力端子10より入力されたビデオ信号を、A/D変換器11によりディジタル信号に変換し、ビデオ信号のフィールドレートに従って書込み制御器12によりビデオメモリ13に書き込む。ビデオメモリ13の内容は、表示するディスプレイの走査レートに従って制御された読出し制御器14により読み出されてディジタルビデオ信号とされる。このディジタルビデオ信号は、ビデオ入力をモニタするモニタモードと、記録された画像データを表示する再生モードとを切り替えるための切替器15を経由し、更に、表示される映像ウィンドウのサイズに応じて、折返し雑音を防ぐために空間フィルタ16を通してバッファ17に保存される。 一方、テキスト情報を表示するためのコンピュータ,ワークステーション等からのディスプレイ入力も、ディスプレイ入力端子18を介して画像合成器19に入力されて表示のための同期が取られ、バッファ17に保存されたディジタルビデオ信号と合成され、ビデオ出力端子20からビデオ出力としてディスプレイ装置に出力される。 第3図は、ディスプレイ画面の一例を示しており、ディスプレイ装置の表示部51には、キーボード4(第1図参照)から入力されたコマンド等をエコーバックして表示したり、システムからの応答を表示するテキストウィンドウ52,後述する映像データ記録手段2の映像データメモリバンク22から読み出された1画面分の画像データを表示するビデオ表示ウィンドウ53,画像データの一部を切り出して表示してテキストデータとともに表示するテキストウィンドウ54等が表示されている。なお、テキストウィンドウ54においては、たとえば、ビデオ表示ウィンドウ53に表示されている画像の一部領域をマウス5等により指定し、キーボード4から入力された文字列が表示されるテキストウィンドウ54内にコピーすることにより、文書中にビデオ映像中の任意のシーンの一部分を切り出して組み込んだマルチメディアドキュメントを作成することが可能となる。 また、映像データ記録手段2は、ビデオ入力端子10より入力されたビデオ信号を記録するために、ディジタル信号に変換されたビデオ映像データD0,D1,D2,・・をビデオメモリ13より入力し、書込み制御器12により、0から始まりフィールドごとに増加するフィールド番号0,1,2,・・をつけて映像データメモリバンク22に保存する。映像データメモリバンク22への格納状態の一例を第1表に示す。 また、インタフェース手段6において、マウス5(第1図参照)からマウス入力端子24を介して供給される位置情報は、座標計数器25で数えられマウスカーソル55(第3図参照)の座標として保持される。また、マウスボタン検出器26により、マウスボタンのオン/オフ情報を検出し、映像データ再生表示手段8に出力する。この実施例では、第4図に示すように右ボタン5R,中ボタン5C,左ボタン5Lの3種類のボタンを具有するマウス5を考える。また、第3図に示すように、マウスカーソル55は、表示部51上のスクロールバー56の一部を指示しているとする。なお、スクロールバー56はビデオ表示ウィンドウ53の右辺に隣接して配置されており、同ビデオ表示ウィンドウ53の高さと略等しい長さを有している。座標計数器25は、マウスボタン5L,5C,5Rが押されたことを検出して、その時の座標を正規化器27に出力する。正規化器27は、該座標値からスクロールバー56の全体の長さLに対するスクロールバー56上の指示された地点の起点からの距離lの比を計算し、0から1までのαとして映像データ再生表示手段8に出力する。 映像データ再生表示手段8においては、前記映像データメモリバンク22に記載されている画像データの数Mを記録画像数保持器29に保持している。また、記録した映像データを再生してビデオ表示ウィンドウ53に表示する際に、前記映像データメモリバンク22に記録された画像データのうち、どのフィールドがビデオ表示ウィンドウ53に表示されているかを示す画像計数器30と、前記インタフェース手段6の正規化器27の出力αと記録画像数保持器29からの出力Mから表示すべき画像に対応するフィールド番号Fを求める乗算器31とを備えている。 前記マウス5の右ボタン5Rが押されたことがマウスボタン検出器26により検出されると信号CUが発生し、この信号CUにより、前記画像計数器30はカウントアップされ、その結果、すぐ後に記録されているフィールドの画像データがビデオ表示ウィンドウ53に表示される。 また、左ボタン5Lが押された事を検出する信号CDにより、前記画像計数器30はカウントダウンされ、その結果、直前に記録されたフィールドの画像データがビデオ表示ウィンドウ53に表示される。 また、前記インタフェース手段6の正規化器27より出力された0から1までの値αと、前記記録画像数保持器29の内容Mとを乗算器31で乗算することにより、マウス5で指示された画像データのフィールド番号Fが求められており、中ボタン5Cが押された事を検出する信号LDにより、該フィールド番号Fを前記画像計数器30にロードする。ロードの結果、前記映像データメモリバンク22に記録された当該フィールド番号の画像データがビデオ表示ウィンドウ53に表示される。 これにより、たとえば、マウス5の右または左ボタン5R,5Lにより、あたかもビデオテープレコーダのコマ送りを行うかのように、記録された映像データを見ることができる。また、マウス5の中ボタン5Cにより、記録された映像データのうち特定の一場面を直接的に選択し表示することができる。さらに、マウス5の中ボタン5Cを押したまま、マウスカーソル55をスクロールバー56上でずらすことにより、マウス5で指示された画像データのフィールド番号Fが変化しながら連続的に前記画像計数器30にロードされるので、ビデオ表示ウィンドウ53にはスクロールバー56上でマウス5により指示された位置に対応する映像データが連続的に表示され、あたかもビデオテープレコーダの早送り再生や巻戻し再生のような処理が、簡単にできるようになる。 これにより、一連の動画像から任意のシーンを必要に応じて簡単な操作で取り出すことができ、たとえば、コンピュータグラフィックによる映像とビデオテープレコーダからのビデオ画像とを合成して新たな画像を創作するようなマルチメディアドキュメントの編集作業において、より良いユーザインタフェースを提供することが可能となる。 次に、本発明の第2の実施例について、第5図の原理ブロック図及び第6図の具体ブロック図を参照して説明する。なお、第1図〜第3図に示す第1の実施例と対応する部材等には同一符号を付し、重複説明は省略する。 第5図に示す第2の実施例の原理ブロック図は、第1図に示す第1の実施例の原理ブロック図と比較して、映像データ再生表示手段8と映像ウィンドウ2との間に、プレビューデータ表示手段32が設けられている点が異なっている。このプレビューデータ表示手段32は、映像データ記録手段3に記録されている複数の映像データの集合から、連続した一連複数の映像データを表示するためのものであり、映像データ再生表示手段8からの指示に基づき、着目する映像データ及びこの前後の複数の映像データを記録するためのメモリを備えている。 この第5図に示す第2の実施例においても、第1の実施例と同様に、映像ウィンドウ2には、通常は映像再生装置1からのビデオ映像が表示されており、また、再生表示のときには、映像データ再生表示手段8からのビデオ映像を表示することもできる。また、プレビューデータ表示手段32に記録されている画像データを読み出すことにより、着目する映像データと並んで前後に記録された複数の映像データが、記録された時間順に映像ウィンドウ2に表示される。本実施例では、この映像ウィンドウを特にプレビューウィンドウと呼んで区別する。一方、マウス5及びキーボード4より入力された信号は、インターフェース手段6によって映像データ再生表示手段8の制御信号として出力され、映像データ記録手段3に記録された複数の映像データから一画面分の映像データを選択する。選択された映像データは、映像データ再生表示手段8により前記映像ウィンドウ2等に表示されると同時に、プレビューウィンドウには、該選択された映像データの前後に記録された複数の映像データと共に表示される。なお、第5図の例では、プレビューウィンドウは映像ウィンドウ2に含まれている。 第6図は第2の実施例の具体的なブロック図を示しており、第2図に示す第1の実施例の具体ブロック図と比較して異なっているのは、映像データメモリバンク22の出力が空間フィルタ34を介してプレビューデータメモリ35に供給され、このプレビューデータメモリ35の出力がバッファ36を介して画像合成器19に供給されていることである。なお、プレビューデータメモリ35には、書込み制御器12,読出し制御器14から制御信号が供給されている。なお、第7図は第2の実施例によるディスプレイ画面の例を示す。 本実施例では、第7図に示すように、ビデオ表示ウィンドウ53とは別にプレビューウィンドウ57が表示され、このプレビューウィンドウ57には、着目する映像データとその前後5フィールド分、すなわち、合計11個の映像データDn-5,Dn-4,・・,Dn,・・,Dn+4,Dn+5を表示できるものを考える。 空間フィルタ34,プレビューデータメモリ35を備えたプレビューデータ表示手段32は、前記映像データ再生表示手段8から出力された前記フィールド番号Fを入力し、映像データメモリバンク22から、当該フィールド番号Fに対応する映像データ及び前後5フィールド、合計11フィールドの画像データを、空間フィルタ34を経由してプレビューデータメモリ35に格納する。格納された11フィールド分の画像データは、ビデオ映像表示手段9に出力され、プレビューウィンドウ57として表示される。 これにより、第7図に示すように、プレビューウィンドウ57に表示された複数の映像データを同時に見ることで、映像データの前後の関係や流れを把握することができるようになる。更に、プレビューウィンドウ57上で、マウス5を操作し、右ボタン5R又は左ボタン5Lを押せば、画像計数器30により指示されるフィールド番号が、1だけ増加又は減少するので、当該フィールド番号に対応する画像データが映像データメモリバンク22から読み出されてビデオ表示ウィンドウ53に表示されるとともに、変更後のフィールド番号を中心とした11フィールド分の画像データがプレビューウィンドウ57に表示される。これにより、マウス5を操作してあたかもビデオテープレコーダのコマ送りを行うかのように記録された映像データを見ることができる。また、マウス5の中ボタン5Cを操作して、乗算器31により得られたフィールド番号Fを直接画像計数器30にロードすることにより、記録された映像データのうちの特定の一場面を直接的に選択して表示することができる。 更に、マウス5の中ボタン5Cを押したままマウスカーソル58をスクロールバー59上でずらすことにより、ビデオ表示ウィンドウ53及びプレビューウィンドウ57には、スクロールバー59上でマウス5により指示された対応する映像データが連続的に表示され、あたかもビデオテープレコーダの早送り再生や巻戻し再生のような処理が簡単にできるようになる。 なお、第2の実施例においては、インタフェース手段6は、プレビューウィンドウ57に対応したものに変更されているものとする。 次に、本発明の第3の実施例について、第8図の原理ブロック図及び第9図の具体ブロック図を参照して説明する。なお、第5図〜第7図に示す第2の実施例と対応する部材等には同一符号を付し、重複説明は省略する。また、第10図は第3の実施例によるディスプレイ画面の例である。 第8図に示す第3の実施例の原理ブロック図は、第5図に示す第2の実施例の原理ブロック図と比較して、映像データ再生表示手段8とプレビューデータ表示手段32との間に、画像キュー部37が設けられている点が異なっている。この画像キュー部37は、映像データに一意に対応する数を記憶するためのキュー構造をしたメモリである。 この第3の実施例においても、前述した第1及び第2の実施例と同様に、映像ウィンドウ2には、通常は映像再生装置1からのビデオ映像が表示されており、また、再生表示のときには、映像データ再生表示手段8からのビデオ映像を表示することもできる。また、第2の実施例と同様に、プレビューデータ表示手段32により、着目する映像データと並んで前後に記録された複数の映像データが、記録された時間順にプレビューウィンドウに表示される。 一方、マウス5及びキーボード4より入力された信号は、インターフェース手段6によって映像データ再生表示手段8の制御信号として出力され、映像データ記録手段3に記録された複数の映像データから一画面分の映像データを選択する。選択された映像データは、映像データ再生表示手段8により前記映像ウィンドウ2に表示されると同時に、プレビューウィンドウには、選択された映像データが前後に記録された複数の映像データと共に表示される。 ここで、この第3の実施例においては、マウス5を用いて、プレビューウィンドウ上で望む映像データの範囲を選択する操作をすると、その一連の映像データに一意に対応する一連の数が画像キュー部37にストアされる。この操作を繰り返すことにより、前記映像データ記録手段3に蓄えられた任意の映像データをユーザの意図する任意の順につなぎ合わせた動画像データを得ることができる。また、この動画像は、前記画像キュー部37に蓄えられた数をもとに、プレビューウィンドウ及び映像ウィンドウ2に表示される。 第9図は上記第3の実施例の具体的なブロック図を示しており、第6図に示す第2の実施例と比較して異なっているのは、インタフェース手段6に、マウス位置を判別するための座標比較器40,マウスカーソル58により指示されたスクロールバー59上の範囲から複数の画像データのフィールド番号の範囲に変換する範囲指示器41が設けられていること、及び、この範囲指示器41の出力が供給されて記憶され、その出力がプレビューデータメモリ35に供給されるキューメモリ38を備えた画像キュー部37が設けられていることである。 画像キュー部37には、範囲指示器41及び画像計数器30からのフィールド番号が供給され、また、画像キュー部37からは、フィールド番号が映像データメモリバンク22及びプレビューメモリ35に出力される。更に、プレビューウィンドウ57上でマウスにより指示された画像に対応するフィールド番号へ画像計数器30の内容を変更するための信号が、画像キュー部37から出力される。 この第3の実施例においても、前記第1及び第2の実施例と同様に、映像データメモリバンク22に記憶されている複数の画像データの中から、マウス5により選択された画像データをビデオ画像ウィンドウ53に表示し、更に、この目的の画像データを含めて前後の11フィールド分の画像データをプレビューデータ表示手段32によりプレビューウィンドウ57に表示する。 いま、マウスカーソル58がプレビューウィンドウ57上に存在している状態で、該プレビューウィンドウ57に表示されている一連の映像データのうち、ユーザの望む範囲の領域の開始をマウス5の左ボタン5Lで指示し、終了を右ボタン5Rで指示すると、各ボタン5L,5Rが押されたときのマウスカーソル58の座標値がそれぞれ座標比較器40に供給される。座標比較器40では、プレビューウィンドウ57上の特定の一連映像データが選択されたことが検出され、範囲指示器41にマウスカーソル58の座標値を出力する。範囲指示器41は、前記プレビューデータメモリ35の出力から選択された一連映像データの個々の映像データに対応するフィールド番号を知り、時間順に一連のフィールド番号としてキューメモリ38に書き込む。ここで、各映像データに対応するフィールド番号は、このシステムでは、一意に定まることに注目すべきである。 前述の、プレビューウィンドウ57に表示されている一連の映像データを選択して、対応する一連のフィールド番号を画像キュー部37に書き込む、という操作を繰り返すことにより、動画像データを繋ぎあわせ、新たな動画像データを作成する。 一方、前記キューメモリ38に書き込まれた一連のフィールド番号を、前記プレビューデータメモリ35に出力することにより、キューメモリ38に書き込まれたフィールド番号に対応する画像データをプレビューウィンドウ57に表示する。また同様に、一連のフィールド番号のうち特定のフィールド番号を映像データメモリバンク22に出力することにより、該フィールド番号に対応する画像データをビデオ表示ウィンドウ53に表示する。 これにより、第1及び第2の実施例と同様に、プレビューウィンドウ57に表示された複数の映像データを同時に見ながら、映像データの前後の関係や流れを把握し、更に、プレビューウィンドウ57上でマウス5を操作することにより、あたかもビデオテープレコーダのコマ送り,早送り再生,巻戻し再生を行うかのように、記録された映像データを見ることができる。 特に、第3の実施例においては、画像キュー部37を設けることにより、動画像データを参照し、検討の上、マウス5によりユーザが希望する一連の動画像を切り出してつなぎ合わせ、新たな動画像データとすることが簡単にできるようになる。 また、キューメモリ38の最大容量に対して実際に書き込まれているフィールド番号を示すデータの量の割合を、表示画面上51にマーカ60として表示することにより、画像を切り出してつなぎ合わせるという編集作業をしながら、あとどれくらいの編集を行うことができるのかをユーザが知ることができる。このマーカ60を表示するには、たとえば、キューメモリ38と画像合成器19との間の信号経路に、キューメモリ38内のデータ量に応じてマーカ信号の発生タイミングが変更されるマーカ発生器(図示せず)を設ければよい。 上述のように、メモリに蓄積された複数の画像データのうちの表示すべき画像データに付与されたフィールド番号等の識別番号をキューメモリに格納しておき、再生時にこの識別番号に基づいてメモリ内の画像データを読み出すことにより、上述のコマ送りなどの動作をさせて映像の流れを検討した上でユーザが希望する一連の動画像を切り出して繋ぎ合わせ、新たな動画像データを創作することができる。しかも、フィルムやビデオテープによる編集と異なり、編集個所の変更が極めて容易であり、また、処理がディジタル的に行われるので、編集作業による画質の劣化もない。 〔発明の効果〕 以上述べたように、本発明によれば、ユーザの望む映像データを速やかに表示することができる。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の映像ウィンドウシステムの第1の実施例の原理ブロック図、第2図は第1の実施例の具体ブロック図、第3図は第1の実施例によるディスプレイ画面の例を示す説明図、第4図はマウスの模式的な平面図、第5図は本発明の映像ウィンドウシステムの第2の実施例の原理ブロック図、第6図は第2の実施例の具体ブロック図、第7図は第2の実施例によるディスプレイ画面の例を示す説明図、第8図は本発明の映像ウィンドウシステムの第3の実施例の原理ブロック図、第9図は第3の実施例の具体ブロック図、第10図は第3の実施例によるディスプレイ画面の例を示す説明図である。 1:映像再生装置、2,7:映像ウィンドウ 3:映像データ記録手段、4:キーボード 5:マウス 6:インタフェース手段 8:映像データ再生表示手段 9:ビデオ映像表示手段 10:ビデオ入力端子、11:A/D変換器 12:書込み制御器、13:ビデオメモリ 14:読出し制御器、15:切替器 16,34:空間フィルタ、17:バッファ 18:ディスプレイ入力端子 19:画像合成器、20:ビデオ出力端子 22:映像データメモリバンク 24:マウス入力端子、25:座標計数器 26:マウスボタン検出器、27:正規化器 29:記録画像数保持器、30:画像計数器 31:乗算器 32:プレビューデータ表示手段 35:プレビューデータメモリ 36:バッファ、37:画像キュー部 38:キューメモリ、40:座標比較器 41:範囲指示値、51:表示部 52,54:テキストウィンドウ 53:ビデオ表示ウィンドウ 55,58:マウスカーソル 56,59:スクロールバー 57:プレビューウィンドウ 60:マーカ |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2003-10-20 |
出願番号 | 特願平1-261600 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(G09G)
P 1 41・ 121- Y (G09G) P 1 41・ 532- Y (G09G) P 1 41・ 856- Y (G09G) P 1 41・ 851- Y (G09G) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 月野 洋一郎 |
特許庁審判長 |
瀧 廣往 |
特許庁審判官 |
中塚 直樹 江藤 保子 山川 雅也 西川 一 |
登録日 | 2001-08-03 |
登録番号 | 特許第3216810号(P3216810) |
発明の名称 | 映像データ表示システム |
代理人 | 片山 修平 |
代理人 | 片山 修平 |