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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41J
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 B41J
管理番号 1088962
審判番号 不服2002-20708  
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-24 
確定日 2003-12-12 
事件の表示 平成6年特許願第189564号「サーマルプリントヘッド用放熱板およびこれを用いたサーマルプリントヘッド」拒絶査定に対する審判事件[平成8年2月27日出願公開、特開平8-52891]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成6年8月11日の出願であって、平成14年9月17日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月25日付で手続補正がなされたものである。

第2.平成14年11月25日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年11月25日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲(請求項1乃至6)は、次のように補正された。
「【請求項1】金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形することによって得られ、かつ表面側にヘッド基板支持面を有し、同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられる第1板金部材と、金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形することによって得られ、かつ上記第1板金部材の裏面側に配され、軸受けガイドの取付け仕様によって変更される第2板金部材とを連結したことを特徴とする、サーマルプリントへッド用放熱板。
【請求項2】上記第2板金部材には、軸受けガイドが一体形成されている、請求項1のサーマルプリントヘッド用放熱板。
【請求項3】上記第2板金部材には、軸受けガイド取付け手段が形成されている、請求項1のサーマルプリントヘッド用放熱板。
【請求項4】上記軸受けガイド取付け手段を介して上記第2板金部材に軸受けガイドが取付けられている、請求項3のサーマルプリントヘッド用放熱板。
【請求項5】上記第1板金部材と上記第2板金部材とは、カシメを行うことによって連結されている、請求項1ないし4のいずれかのサーマルプリントヘッド用放熱板。
【請求項6】絶縁基板上に発熱抵抗体を形成するとともに、この発熱抵抗体を駆動する駆動ICが搭載されてなるヘッド基板が、請求項1ないし5のいずれかのサーマルプリントヘッド用放熱板の上記第1板金部材の上記へッド基板支持面に支持されている、サーマルプリントヘッド。」(下線は補正箇所を示す)
上記補正は、請求項1中の「第1板金部材」について「同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられる」ものであることを、同じく「第2板金部材」について「軸受けガイドの取付け仕様によって変更される」ものであることを、一応形式的には限定するものであって、平成6年改正前の特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の本願発明(以下、「本願発明」は特に断りがなければ請求項1乃至6に係る発明全体を指す)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成6年改正前の特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.記載不備について
(1)本件補正後の請求項1における「同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられる第1板金部材」は、表現上、ヘッド基板との関係において第1板金部材を規定しようとするものである。
しかし、上記記載は、同じヘッド基板を用いるときには必ず同じ第1板金部材が用いられるが、ヘッド基板が異なれば必ずしも同じものが用いられるわけではない、あるいは、同じヘッド基板を用いるときのみ同じ第1板金部材が用いられる、の二様に受け取れる記載であり、ヘッド基板との関係を一義的に定め難い記載である。
また、上記記載は、同一でないヘッド基板を用いるときにはどうなるのかについて何も言及しておらず、この点でもヘッド基板との関係を一義的に定め難い記載である。
さらに、本件補正後の請求項1に係る発明が物自体の発明であることからすれば、その物自体をみたときに、そこに用いられている第1板金部材がそこに用いられているヘッド基板との関係で規定されているようにすべきものと考えられるが、上記記載は、種々存在するヘッド基板群と第1板金部材群をそれぞれ種類分けし、ある種類(何かは不明)のヘッド基板群のものを用いるときにはある種類(何かは不明)の第1板金部材群のものを用いるとしているような記載であり、上記のように規定されているようにするための記載として適切とは言い難く、そもそも、該物自体は、サーマルプリントヘッド用放熱板であって、ヘッド基板を含むものではないから、ヘッド基板を含むことを前提としているかの如き上記記載は不適切である。
なお、上記記載が、ヘッド基板以外の何らかの構成要件との関係まで実質的に規定しているものであるとは到底いえない。

(2)本件補正後の請求項1における「軸受けガイドの取付け仕様によって変更される第2板金部材」は、軸受けガイドの取付け仕様との関係において第2板金部材を規定しようとするものである。
上記記載は、本願明細書の、特に、段落0009に「第2板金部材には、軸受けガイドが一体形成される場合もあるし、軸受けガイド取付け手段が形成される場合もある。もちろん、上記軸受けガイド取付け手段を介して上記第2板金部材に軸受けガイドが取付けられている状態も、本願発明の第1の側面に包摂される。」とあり、段落0013に「第2板金部材は、軸受けガイドを設けるための部材である。前述したように、軸受けガイドは、サーマルプリントヘッドの製造者側において設けておく場合もあるし、ユーザ側が設けるべく、取付け穴等の取付け手段のみを設けておく場合がある。このような軸受けガイドの取付け仕様に応じて、第2板金部材のみが変更される。」とあり、段落0025に「軸受けガイドをサーマルプリントヘッド製造者においてあらかじめ設ける場合には、第2板金部材5に軸受けガイドを一体形成すればよいのであり、このようにする場合ももちろん本願発明の範囲に包摂される。」とあることを参酌すれば、軸受けガイドの取付け仕様からみた第2板金部材について、軸受けガイドを一体形成した第2板金部材と、軸受けガイド取付け手段を形成しただけの第2板金部材と、軸受けガイド取付け手段を介して軸受けガイドが取付けられている状態の第2板金部材の形態があることを意図したものと考えられ、これ以外のことであるといえるだけの記載は図面を含む本願明細書にはない。
そして、上記形態のうち、本件補正後の請求項2は軸受けガイドを一体形成した第2板金部材に特定したものであり、同請求項3は軸受けガイド取付け手段を形成しただけの第2板金部材に特定したものであり、同請求項4は軸受けガイド取付け手段を介して軸受けガイドが取付けられている状態の第2板金部材に特定したものであるといえる。
しかし、本件補正後の請求項1に係る発明が特定のサーマルプリントヘッド用放熱板とした物自体の発明であることからすれば、その物自体をみたときに、そこに用いられている第2板金部材は既に軸受けガイドの取付け仕様に応じて上記形態の中から選択された一形態のものに確定しているものであるところ、上記記載は、その確定している筈のものが「変更される」とする記載であり、適切な記載とはいえない。
また、上記記載は、恰も第2板金部材自体が変更機能を有しているかのような記載でもあり、本願明細書の発明の詳細な説明の記載とも対応しない不適切な記載である。

(3)したがって、本件補正後の明細書には記載の不備が存することとなって、本願は、平成6年改正前の特許法第36条第5項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないものとなり、拒絶を免れないから、本件補正後の本願発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.進歩性について
(1)本願補正発明
本件補正後の明細書に、上記「同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられる第1板金部材」及び上記「軸受けガイドの取付け仕様によって変更される第2板金部材」に係る記載の不備が存することは上述したとおりであるが、仮に、第1板金部材に係る上記記載を、少なくとも、同じヘッド基板を用いるときには必ず、あるいは、同じヘッド基板を用いるときのみ同じ第1板金部材が用いられると解釈するものとして許容し、第2板金部材に係る上記記載が正しく記載されていたとしても、本件補正後の本願発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
以下においては、便宜上、本件補正後の請求項2に係る発明について検討する。
本件補正後の請求項2に係る発明(以下、「本願補正発明」という)は、前記「第2.2.」で述べたように、本件補正後の請求項1に係る発明について「軸受けガイドの取付け仕様によって変更される第2板金部材」を「軸受けガイドが一体形成されている第2板金部材」に特定したものであるから、次のように認定できる。
「金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形することによって得られ、かつ表面側にヘッド基板支持面を有し、同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられる第1板金部材と、金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形することによって得られ、かつ上記第1板金部材の裏面側に配され、軸受けガイドが一体形成されている第2板金部材とを連結したことを特徴とする、サーマルプリントへッド用放熱板。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-229144号公報(以下、「引用例」という)には、図面と共に次の事項の記載が認められる(記載中、「・・・」は中略を示す)。
a.「本発明は、感熱記録紙,熱溶融性カーボンフィルム等を加熱して文字や画像を記録するためのサーマルヘッドユニットに関する。」(2頁1欄24〜26行)
b.「第4図は、このような装置で使用されるサーマルヘッドユニットの従来例を示すもので、放熱ベース1上には、発熱部2aを有するサーマルヘッド基板2と、フレキシブルプリント基板3、ヘッドカバー4とが順に重ねて配設され、ヘッドカバー4が放熱ベース1にねじ止めされることにより、各部が固定されている。」(2頁1欄32〜37行)
c.「放熱ベース1の発熱部2a側方には、L型金具11,12を固定すると共に、そのL型金具11,12に切欠部11a,12aを形成し、その切欠部11a,12aに記録紙搬送のためのプラテンローラ13の軸14と係合させる」(2頁1欄49行〜2欄3行)
d.「従来、放熱ベース1の材料としては、アルミニウム,鉄,ステンレスなどを使用し、一般に押出し加工により成形していた。この押出し加工では、細かい部分の成形が行えないため、L型金具7,8,11,12は、放熱ベース1の成形後にねじ止めなどにより固定しなければならなかった。・・・このため、従来のサーマルヘッドユニットは、部品点数が多い上、組み立て工数がかかるという問題があった。・・・また、この放熱ベース1に、十分な機構的強度と放熱効果を持たせるためには、例えば、厚さが6mm程度必要になって、放熱ベース1自体の重量が400〜800グラムにもなり、サーマルヘッドユニットが大型で重くなるという問題があった。」(2頁2欄13〜27行)
e.「第1図は、本発明の一実施例に係るサーマルヘッドユニットの斜視図である。図において、放熱ベース15は、厚さ0.8〜1.2mm程度の板金により形成されたもので、長辺方向の曲げに対する強度を強くするために、長辺側の一側縁部を折り曲げて折曲部15aを形成すると共に、中央部を屈曲させて段差15bを形成している。・・・ また、短辺側の一側縁部には、・・・切欠部15eが形成された切起部15fが形成されると共に、他方の縁部には、・・・切欠部15iが形成された切起部15jとが形成されている。・・・放熱ベース15には、段差15bが形成されているが、その上面の高い位置に、サーマルヘッド基板2が・・・固着されている。」(3頁3欄18〜33行)
f.「切起部15f,15jの切欠部15e,15iには、プラテンローラ13の軸14が係合するように取り付けられる。」(3頁4欄9〜11行)
g.「切起部15f,15jは、放熱ベース15と一体化している。板金加工の場合、このような比較的複雑な形状も、精度よく容易に加工できる。これにより、各部を個別部品で構成していた従来に比べ、部品点数が少なくなり、材料や組み立て工数が削減されると共に、この結果、製造コストも低下するようになる。」(3頁4欄45〜50行)
h.図4の記載によれば、放熱ベース1は厚板であり、その上面にサーマルヘッド基板2が固定されており、L型金具11,12は薄板からなり、L型を形成する片のうち上方に向かう片(以下、「縦片」という)に切欠部11a,12aが形成され、その縦片とL型を形成する片のうち放熱ベース1側へ向かう片(以下、「横片」という)とが一体的に形成されていることが認められる。
これらの記載を含む明細書及び図面の全記載によれば、引用例には、従来から知られていた発明として、
「アルミニウム,鉄,ステンレスなどの金属を押出し加工により成形することによって得られ、かつ上面にサーマルヘッド基板2を固定するようにした厚板の放熱ベース1と、薄板を所定形状に成形することによって得られ、かつプラテンローラ13の軸14に係合する切欠部11a,12aを形成した縦片が横片に一体的に形成されているL型金具11,12とを固定したことを特徴とする、感熱記録紙などに文字や画像を記録するためのサーマルへッドユニットにおける厚板の放熱ベース1と薄板のL型金具11,12とからなるもの。」(以下、「引用例発明」という)が記載されていることが認められる。

(3)対比
本願補正発明(前者)と引用例発明(後者)とを対比するに、後者の「サーマルヘッド基板2」は前者の「ヘッド基板」に相当し、後者の「感熱記録紙などに文字や画像を記録するためのサーマルへッドユニットにおける厚板の放熱ベース1と薄板のL型金具11,12とからなるもの」は、「薄板のL型金具」が金属製であって、放熱作用を有することは明らかであるから、全体として「サーマルプリントへッド用放熱板」ということができ、かつ、後者の放熱ベース1とL型金具11,12に係る「固定」は「連結」と表現して良いものである。
また、後者の「放熱ベース1」は、金属からなる板であり、サーマルヘッド基板2を固定した上面は表面側のヘッド基板支持面ということができるから、「金属を成形することによって得られ、かつ表面側にヘッド基板支持面を有する第1板部材」といえる点で、前者の「第1板金部材」と共通する。
さらに、後者の「L型金具11,12」は、一枚の金属板からなるとみるのが相当であり、プラテンローラ13の軸14に係合する切欠部11a,12aを形成した縦片は軸受けガイドということができるから、「金属板を成形することによって得られ、かつ軸受けガイドが一体形成されている第2板部材」といえる点で、前者の「第2板金部材」と共通する。
そうすると、両者は、「金属を成形することによって得られ、かつ表面側にヘッド基板支持面を有する第1板部材と、金属板を成形することによって得られ、かつ軸受けガイドが一体形成されている第2板部材とを連結したことを特徴とする、サーマルプリントへツド用放熱板。」の点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>第1板部材について、前者では、金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形した板金の板とし、同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられるとしているのに対し、後者では、金属を押出し加工により成形した厚板とし、同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられるか否か定かでない点。
<相違点2>第2板部材について、前者では、金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形した板金の板とし、第1板部材の裏面側に配されているのに対し、後者ではこれらのことが定かでない点。

(4)判断
<相違点1>について検討するに、後者の第1板部材はヘッド基板を支持すると共に放熱を行うものであるが、このような機能を有する部材を板金加工により形成することは引用例に記載があり(記載事項e)、その記載にあるように折曲部や段差も形成する場合、所定形状に切断するとともにプレス成形することは板金加工一般における常套手段である。
また、前者の「同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられる」は、前記「第2.2.(1)」で述べたように、第1板金部材について、少なくとも、同じヘッド基板を用いるときには必ず、あるいは、同じヘッド基板を用いるときのみ同じものが用いられることであるが、後者の第1板部材は同じヘッド基板を用いるときとの関係でいえば変える必要のないものであるから、前者の如く用いられるようにすることは適宜の事項である。
これらのことから、相違点1は当業者が容易になし得た設計の変更である。
<相違点2>について検討するに、前者の第2板金部材に一体形成されている軸受けガイドの部分はヘッド基板側(即ちプラテン側)に立ち上がっているものであるから、第2板金部材は全体としてL型であり、仮に、その立ち上がっている部分を縦片と称し、横方向の部分を横片と称するならば、横片において第1板金部材の裏面側に配されているものである。
これに対し、後者の第2板部材は薄い金属板を成形したものであるが、このような部材の成形のために板金加工を採用することは適宜の事項であると共に引用例にも記載があり(記載事項g)、かつ、引用例の図4に示されるようなL型の部材の場合、金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形により形成することは板金加工一般における常套手段である。
また、引用例の図4に示されるような縦片と横片からなるL型の部材を第1板部材に固定する場合、横片を第1板部材の裏面側に配するようになすことは最も容易に想起できることである。
これらのことから、相違点2も当業者が容易になし得た設計の変更である。
なお、請求人は、審判請求書において、「本願発明の・・・第2板金部材は、軸受けガイドが必要な場合には軸受けガイドが形成されたものが用いられ、軸受けガイドが不要な場合には軸受けガイドが形成されていないものが用いられる」として、第2板金部材を変更することに意義があるかのような主張をしているが、本願補正発明の第2板金部材は軸受けガイドが一体形成されているものに特定されているものであるから、この主張は採用できない。
そして、本願補正発明の作用効果も引用例及び常套手段から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明及び常套手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成6年改正前の特許法第17条の2第4項で準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明についての判断
1.本願発明
平成14年11月25日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲は、平成14年4月8日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲(請求項1乃至6)となり、以下のとおりである。
「【請求項1】金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形することによって得られ、かつ表面側にヘッド基板支持面を有する第1板金部材と、金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形することによって得られ、かつ上記第1板金部材の裏面側に配される第2板金部材とを連結したことを特徴とする、サーマルプリントへッド用放熱板。
【請求項2】上記第2板金部材には、軸受けガイドが一体形成されている、請求項1のサーマルプリントヘッド用放熱板。
【請求項3】上記第2板金部材には、軸受けガイド取付け手段が形成されている、請求項1のサーマルプリントヘッド用放熱板。
【請求項4】上記軸受けガイド取付け手段を介して上記第2板金部材に軸受けガイドが取付けられている、請求項3のサーマルプリントヘッド用放熱板。
【請求項5】上記第1板金部材と上記第2板金部材とは、カシメを行うことによって連結されている、請求項1ないし4のいずれかのサーマルプリントヘッド用放熱板。
【請求項6】絶縁基板上に発熱抵抗体を形成するとともに、この発熱抵抗体を駆動する駆動ICが搭載されてなるヘッド基板が、請求項1ないし5のいずれかのサーマルプリントヘッド用放熱板の上記第1板金部材の上記へッド基板支持面に支持されている、サーマルプリントヘッド。」
そして、請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という)は、請求項1に係る発明について「第2板金部材」に「軸受けガイドが一体形成されている」ことを特定したものであるから、次のように認定できる。
「金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形することによって得られ、かつ表面側にヘッド基板支持面を有する第1板金部材と、金属板を所定形状に切断するとともにプレス成形することによって得られ、かつ上記第1板金部材の裏面側に配され、軸受けガイドが一体形成されている第2板金部材とを連結したことを特徴とする、サーマルプリントへツド用放熱板。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2.3.(2)」に記載したとおりである。
3.対比・判断
本願発明は、前記「第2.3.」で検討した本願補正発明から「第1板金部材」の限定事項である「同一のヘッド基板を用いる限りにおいて共通的に用いられる」との構成要件を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.3.(3)」に記載したとおり、引用例に記載された発明及び常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及び常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
したがって、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-10-02 
結審通知日 2003-10-07 
審決日 2003-10-20 
出願番号 特願平6-189564
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B41J)
P 1 8・ 534- Z (B41J)
P 1 8・ 121- Z (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤本 義仁  
特許庁審判長 小沢 和英
特許庁審判官 番場 得造
津田 俊明
発明の名称 サーマルプリントヘッド用放熱板およびこれを用いたサーマルプリントヘッド  
代理人 福元 義和  
代理人 田中 達也  
代理人 吉田 稔  

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