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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11C
管理番号 1089671
審判番号 不服2002-17368  
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-09 
確定日 2004-01-09 
事件の表示 平成 5年特許願第518734号「フラッシュEPROM構造負電圧発生器」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年12月 8日国際公開、WO94/28629、平成 9年 2月25日国内公表、特表平 9-502042]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、1993年5月28日を国際出願日とする出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年7月24日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】第1の正電圧に対応する振幅を有するクロック信号を供給するクロックドライバと、
第2の正電圧を取り込む正電圧入力と、
前記正電圧入力と前記クロックドライバに接続され、前記クロック信号を前記第1の正電圧とは異なる特定振幅の正の周期信号に変換する電圧コンバータと、
前記電圧コンバータに接続され、前記正の周期信号に応答して出力ノードに負電圧を発生するチャージポンプとを具備し、
前記電圧コンバータは、前記第2の正電圧を特定の電圧に下げる電圧降下回路と、前記クロックドライバに接続され、前記クロック信号と前記特定電圧に応答して前記正の周期信号を供給するドライバとからなり、
前記チャージポンプは、第1端子と第2端子を有し、前記第1端子を前記電圧コンバータに接続して前記正の周期信号を取り込む第1のキャパシタと、前記第1のキャパシタの前記第2端子に接続され、前記第2端子を最大電位にクランプするクランプ回路と、前記第1のキャパシタの前記第2端子と前記出力ノードとの間に接続され、前記第1のキャパシタの前記第2端子の電圧が前記出力ノードの電圧よりも低くなったときに導通状態となるスイッチとを含むことを特徴とする出力ノードに負電圧を供給する回路。」

2.引用例に記載されている発明
これに対して、当審の平成15年5月7日付けの拒絶の理由に引用した、特開平3-173465号公報(平成3年7月26日出願公開。以下、「引用例1」という。)には、従来例を示す第6図及び第7図に関して下記の事項が記載されている。
(a)第6図はNMOS構成の従来の基板電圧発生回路の結線図であり、同図において、1は発振器であるリングオシレータ、2はドライバ、Cはキャパシタ、Q1,Q2はキャパシタC0とともにチャージポンプ回路3を構成するNチャネルMOSFET、V0は、このNチャネルMOSFETQ1,Q2を接続するノード、4は本基板電圧VBBを出力する出力端子である。(1頁右下欄19行〜2頁左上欄6行)
(b)ところで、リングオシレータ1は、第7図に示すように、正電源5と接地との間に直列にPチャネルMOSFET6及びNチャネルMOSFET7が接続されてインバータ8が構成され、…(略)…最終段のインバータ8の出力端子が初段のインバータ8の入力端子接続されて構成されている。(2頁左上欄7行〜16行)
(c)つぎに、第6図の動作について説明する。いま、第9図に示すように、リングオシレータ1の周期パルスに同期したドライバ2の出力である駆動信号φ0の電圧が0からVpに立上がると、ノードV0の電圧はキャパシタC0による容量結合のために、0からVpに上昇し、FETQ1がオン状態となり、FETQ2のしきい電圧をVTH2とすると、ノードV0の電圧はVTH2に下がり…(略)…そして、このような動作の繰り返しにより、FETQ1のしきい電圧をVTH1とすると、基板電圧VBBは最終的に(VTH1+VTH2-Vp)となって安定する。(2頁右上欄11行〜左下欄9行)
そして、第6図のNチャネルMOSFETQ2は、その接続関係からみて、ノードV0を最大電位にクランプする機能を有していることは明らかであり、また、リングオシレータ(1)から生成されるクロック信号をドライブするためのドライバ(2)には、当然動作用の正電圧が供給されていることは明らかであり、該ドライバ(2)から出力されるクロック信号は前記正電圧に対応する振幅を有しているものと認められるから、上記引用例1には、
正電圧に対応する振幅を有するクロック信号を供給するドライバ(2)と、
前記ドライバ(2)に接続され、該ドライバ(2)から出力される正の周期信号に応答して出力ノード(4)に負電圧を発生するチャージポンプ(3)とを具備し、
前記チャージポンプ(3)は、第1端子(コンデンサC0の一方の電極が接続される端子)と第2端子(ノードV0)を有し、前記第1端子(コンデンサC0の一方の電極)を前記ドライバ(2)の出力端子に接続して前記正の周期信号を取り込む第1のキャパシタ(C0)と、前記第1のキャパシタ(C0)の前記第2端子(ノードV0)に接続され、前記第2端子(ノードV0)を最大電位にクランプするクランプ回路(NチャネルMOSFETQ2)と、前記第1のキャパシタ(C0)の前記第2端子(ノードV0)と前記出力ノード(4)との間に接続され、前記第1のキャパシタ(C0)の前記第2端子(ノードV0)の電圧が前記出力ノード(4)の電圧よりも低くなったときに導通状態となるスイッチ(NチャネルMOSFETQ1)とを含む出力ノード(4)に負電圧を供給する回路、に関する発明(以下、「引用例1記載発明」という。)が記載されている。
また、当審の平成15年5月7日付けの拒絶の理由に引用した、特開平2-292966号公報(平成2年12月4日出願公開。以下、「引用例2」という。)には、第1図及び第2図に関して、以下の記載がなされている。
(d)1はCRT、G1はCRT1のグリッド、2はブランキングパルスの入力端子である。npnトランジスタQ1,Q2から成る回路は、入力端子1から入力されるブランキングパルスのレベル変換を行い、元になるブランキング信号を生成する。(2頁右下欄第6行〜10行)
(e)次に、本実施例における整流手段の構成を説明する。…(中略)‥コンデンサC2の+側は所定の電位として0V(グランド)へクランプすることにより、-側に負のクランプ電圧が発生する。
上記(d)の「レベル変換を行い」の記載から、引用例2には、
目的とするレベルの負電圧を得るために、高電圧(60Vの+B電源)を用意し、この高電圧をレベル変換回路(トランジスタQ1、Q2)の動作電源として用いて、入力端子2から入力される0.6Vの振幅を有するブランキングパルスの振幅を60Vの振幅を有するブランキングパルスにレベル変換し、このレベル変換されたブランキングパルスを負電圧を発生するチャージポンプ(C1、C2,D1〜D3)に供給することが記載されている。

3.本願発明と引用例記載発明との対比
本願発明(以下、「前者」という。)と引用例1記載発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、後者の「ドライバ(2)」はクロック信号をドライブするものであるからクロックドライバといえるので、両者の発明は共に、
「正電圧に対応する振幅を有するクロック信号を供給するクロックドライバと、
前記クロックドライバから送出されるクロック信号の周期と同じ周期の正の周期信号に応答して出力ノードに負電圧を発生するチャージポンプとを具備し、
前記チャージポンプは、第1端子と第2端子を有し、前記第1端子を介して前記クロックドライバから送出されるクロック信号の周期と同じ周期の正の周期信号を取り込む第1のキャパシタと、前記第1のキャパシタの前記第2端子に接続され、前記第2端子を最大電位にクランプするクランプ回路と、前記第1のキャパシタの前記第2端子と前記出力ノードとの間に接続され、前記第1のキャパシタの前記第2端子の電圧が前記出力ノードの電圧よりも低くなったときに導通状態となるスイッチとを含むことを特徴とする出力ノードに負電圧を供給する回路。」である点で一致し、以下の点で相違しているものと認められる。
[相違点]
前者では、「第1の正電圧」よりも電圧の高い「第2の正電圧」を動作用電源として用意し、この「第2の正電圧」を「特定電圧」だけ降下させる「電圧降下回路」とこの「電圧降下回路」で降下させた電圧で動作する「ドライバ」とによって「電圧コンバータ」を構成し、該「電圧コンバータ」によって、「第1の正電圧に対応する振幅を有するクロック信号」を上記「特定電圧」に対応する振幅を有する「正の周期信号」にレベル変換するように構成しているのに対して、後者には、このようなレベル変換のための電圧コンバータが設けられていない点。

4.当審の判断
そこで上記相違点について検討すると、目的とするレベルの負電圧を得るために、高電圧(60Vの+B電源)を用意し、この高電圧をレベル変換回路(トランジスタQ1、Q2)の動作電源として用いて、入力端子2から入力される0.6Vの振幅を有するブランキングパルスの振幅を60Vの振幅を有するブランキングパルスにレベル変換し、このレベル変換されたブランキングパルスをチャージポンプ(C1、C2,D1〜D3)に供給することが上記引用例2に記載されており、且つ、目的とする負電圧を絶対値で少しだけ小さくする必要がある場合に、動作電圧を少しだけ低下させることは当業者がその必要に応じて容易に為し得る程度のものと認められるので、後者において、ドライバ(2)の動作電圧よりも高い電圧を用意し、この電圧を特定電圧だけ降下させる電圧降下回路と、この電圧降下回路で降下された電圧を動作電源とするドライバとから成る電圧コンバータを付加して前者のように構成することは当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。
よって、上記相違点を格別なものとは認められない。
そして、前者の作用効果も、後者及び引用例2に記載された発明の奏し得る効果から当業者が容易に予測できる範囲内のものである。

5.意見書の主張に対する検討
審判請求人は、平成15年7月24日付けの意見書において、「2)相違点2が過小に評価されるべきでない理由1:」として、
「引用文献1の第2頁左下欄第7行目〜第9行目にかけて、第6図の動作につき、「基板電圧VBBは最終的に(VTH1+VTH2-VP)となって安定する。」と記載されている。
一方、本願の出願当初明細書の第7頁第3行目に同様の記載「NVPP=-[(VPP-Vtn)*CR-2*|VTP|]」がある。ここで、本願発明の負電圧NVPPが引用発明1の基板電圧VBBに対応し、本願発明の(VPP-Vtn)が引用文献1のVP、本願発明の2*|VTP|が引用文献1の(VTH1+VTH2)に夫々対応している。本願発明の場合、寄生キャパシタンスC47によるチャージシェアを考慮しているが、これを無視すれば、本願発明のCRは1となり、引用文献1の基板電圧VBBと本願発明の負電圧NVPPの振幅は同様の式で与えられることが分かる。
…(略)…
以上に例示したように、引用文献1で示されている、VTH1、VTH2、VPの内、VTH1、VTH2については具体的に負電圧の変更方法が示されているのに対して、VPについては、一切の開示も示唆もされていない。仮に、負電圧を調整するに、VPを変化させるとしても、引用文献1の第3頁右下欄第15行目〜第17行目に「電圧VPはドライバ2の出力電圧の振幅であり、通常は電源電圧Vccに等しく設計されることが多く」と記載されており、VPは、一般には固定的に使用されることを示唆している。また、引用文献2では、引用文献1のVPに相当する電圧は、CRTを用いるディスプレイ装置のインターフェースであるビデオ出力回路の電源電圧(+B電源)60Vであり、これも固定電圧である。従って、引用文献2においても、VPが固定的に使用されることを示唆している。更に、上述の通り、引用文献2では、負電圧の振幅を変化させるのに、引用文献1のVPに相当する電圧は固定したままで、第1図のダイオードD1の一方端がグランドに接続されていたのを、別の負電圧に接続することで、出力対象の負電圧の値を調整している。つまり、利用するビデオ出力回路の電源電圧(+B電源)が固定電圧であるので、引用文献1のVPに相当する電圧を変化させないことを示唆していると言える。以上、纏めると、負電圧の振幅を変化させるには、引用文献1の記載に従えば、VTH1、VTH2、VPの何れかを変化させればよいが、VTH1またはVTH2を変化させる記載はあるが、VPを変化させる記載及び示唆は全くなく、逆に、VPを変化させずに固定的に使用する記載が、引用文献1及び2に見られる。従って、VPを変化させること自体に対して消極的であるので、「目的とする負電圧に応じて、上記電圧コンバータに供給する動作電圧を低下させることは当業者がその必要に応じて適宜為し得る程度のものと認められる」とは、必ずしも言えないと思料する。」と述べ、
「3)相違点2が過小に評価されるべきでない理由2:」として、
「上述のように、引用文献1には、「基板電圧VBBは最終的に(VTH1+VTH2-VP)となって安定する。」と記載されており、負電圧の振幅を変化させるには、VTH1、VTH2、VPの何れかを変化させればよいことが分かる。仮に、負電圧を調整するに、VPを変化させるとしても、それは、チャージポンプの入力電圧を変化させるに過ぎず、そのことによって、直接的に、本願発明の構成要件Eの電圧コンバータのように、第2の正電圧を特定の電圧に下げる電圧降下回路と、クロックドライバに接続され、クロック信号と特定電圧に応答して正の周期信号を供給するドライバとを備えた構成に必然的に導かれるとは断言できないと言うべきである。」と述べている。しかしながら、引用文献2には、チャージポンプに供給されるブランキング信号(クロック信号に相当)のレベル変換を行うと得られる負電圧が変えられるということ、即ち、ブランキング信号(クロック信号に相当)をドライブする回路の動作電圧を変えると得られる負電圧を変えることができるということは、引用文献2に記載事項から明らかである。そして、得ようとする負電圧の絶対値を少しだけ小さくしようとして、動作電圧を少しだけ下げることは当業者であれば容易に相当し得る程度のものと認められるから、審判請求人の、上記「2)相違点2が過小に評価されるべきでない理由1」の主張及び「3)相違点2が過小に評価されるべきでない理由2」の主張は認めることができない。
また、審判請求人は、「4)相違点2が過小に評価されるべきでない理由3:」として、
「本願発明の構成要件Eの電圧コンバータの構成を用いることにより、本願の出願当初明細書の第3頁第10行目〜第16行目の記載「電圧降下回路によって、設計者は周期信号の大きさを選択できる、すなわち設計上の必要に応じてチャージポンプが発生する負電圧の大きさを選択できる。電圧コンバータと組み合わせて高いプログラミング電位VPPを使用することにより、入力電位VDDよりも大きい絶対値をもつ負電圧を含む非常に広範囲な負電圧が得られる。従って消去モード時にプログラミング電位VPPが+12Vに引き上げられ、チップの電源VDDが+5Vに保持される標準のフラッシュEPROM集積回路において、-5Vよりも大きな負電圧を発生することが可能である。」という効果が期待される。つまり、既存の高電圧を有効に利用して、任意にチャージポンプが発生する負電圧の大きさを選択できるという顕著な効果が発揮される。かかる本願発明に特有の効果について、引用文献1〜4、或いは、引用文献1’〜7’には一切の開示も示唆もされていない。」と主張している。しかしながら、特許請求の範囲の請求項1には、VPPが「+12V」であり、チップの電源電圧VDDが「+5V」であり、負電圧が「-5Vよりも大きい」という限定は何等なされておらず、上記主張は認めることができない。なお、仮に、請求項1に上記のような電圧関係が明記されていたとしても、発明の詳細な説明には、本願発明において、何故、電圧降下回路を設けて特定の電圧だけ電圧降下を起こさせる必要があるのか明記されておらず、このようにする理由は、12VのVPPをそのまま電圧コンバータの動作電圧としたのでは、チャージポンプから得られる負電圧が目的とする-7.5Vにならないからに過ぎないものと認められ、本願発明において、電圧降下回路を電圧コンバータ内に入れる格別な作用効果は認めることができない。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は上記引用例1記載発明及び引用例2に記載された発明から当業者が容易に想到し得たものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-08-19 
結審通知日 2003-08-21 
審決日 2003-09-02 
出願番号 特願平5-518734
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G11C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯田 清司  
特許庁審判長 斎藤 操
特許庁審判官 山本 穂積
村上 友幸
発明の名称 フラッシュEPROM構造負電圧発生器  
代理人 橋本 薫  
代理人 政木 良文  
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