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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C02F |
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管理番号 | 1089680 |
審判番号 | 不服2002-16997 |
総通号数 | 50 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-01-23 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-08-01 |
確定日 | 2004-01-09 |
事件の表示 | 平成11年特許願第228804号「水域のうつろを利用した外水域の浄化システム」拒絶査定に対する審判事件[平成13年 1月23日出願公開、特開2001- 17957]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、平成11年7月7日の出願であって、平成14年8月2日付けで審判請求がなされるとともに、同年8月2日付及び同年11月5日付で手続補正がなされたものである。 2.平成14年8月2日付手続補正及び同年11月5日付手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年8月2日付及び同年11月5日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項2は削除されるとともに、請求項1は、「水位変化のある水域で、多空隙を有する破波堤を浄化堤と言い、この浄化堤によって囲い締め切られた水域を「水域のうつろ」と言う。外水域の水位が降下する時には、浄化堤を透過して、きれいな水が外水域に排出され、外水域を浄化する。 また一方、外水域に排出されるきれいな水の水量には限度がある。このため、水域のうつろを構成した浄化堤の外側に図ー1に示す浅場や図ー2に示す解放された水路、潮溜等を設け、外水域の水量を限定することを特徴とする水域のうつろを利用した外水域の浄化システム。」と補正された。 上記補正は、請求項の数を減じ、本件浄化堤をより限定するものであるから、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 拒絶の理由に引用された特開平10-72816号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。 引用例: a「【請求項1】内水域と外水域との間で水移動が可能な開口が形成された中空構造体を水底に設置するとともに、該中空構造体の内部空間に、礫、砕石等の中詰め材を充填したことを特徴とする水質浄化堤。」 b「【請求項0045】また、図4に示すように、外水域5側に砕石31及び被覆石32を積んで波打ち際を造成するとともにその先の海底に砕石やコンクリート廃材で浅場33を構築し、・・」 c「【0022】このようにして構築された水質浄化堤11においては、潮の干満や波の作用を受けたとき、外水域5の海水は、・・・スリット16から該ケーソンの中空内部に入り、・・・浄化作用を受け、スリット16を通って内水域6に流入する。」 (3)対比・判断 引用例の記載事項を検討すると、引用例に記載の中空構造体は、上記a,cに記載のように周囲が多数のスリットをもつ壁で囲まれているから本願発明の多空隙を有する「うつろを構成した」浄化堤に相当する。また、前記中空構造体の外側には、前記bに記載のように、浅場が形成されているから、本願発明の浅場に該当する。 これらの記載によれば、引用例には、本願発明の「水域のうつろを利用した外水域の浄化システム」が記載されていると言うことができる。 したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成14年8月2日付及び同年11月5日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成14年1月7日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される、以下のとおりのもである。 「【請求項1】水位変化のある水域で、多空隙を有する砕波堤を浄化堤と言い、この浄化堤によって囲い締め切られた水域を「水域のうつろ」と言う。 このような「水域のうつろ」における水域の水位変化により、外水域の水位上昇時には外水域の汚濁水を浄化堤を透過しながら取込み、静穏浄化水域を構成する。さらに、静穏浄化水域を構成された水は重力による沈降浄化や、太陽光による光合成作用等の自然のエネルギーにより浄化される。これが公知の「水域の浄化システム」である。 一方水位変化により外水域の水位が降下する時には、再び浄化堤を透過して、きれいになりながら外水域に排出され、外水域を浄化することを特徴とする水域のうつろを利用した外水域の浄化システム。 【請求項2】水位変化のある水域で、多空隙を有する砕波堤を浄化堤と言い、この浄化堤によって囲い締め切られた水域を「水域のうつろ」と言う。 上記の【請求項1】で水域のうつろを構成した浄化堤の外側に外水域に、開放された水路や閉鎖(潮溜)水域又は浅場を設けて、外水域の水量を限定することをを(誤記と認める)特徴とする水域のうつろを利用した外水域の浄化システム。」 (1)引用例 原査定の拒絶理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記 「2.(1)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明も、同様の理由により、引用例の記載された発明と同一のものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明と同一であり、特許法第29条第第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 よって、結論の通り審決する。 |
審理終結日 | 2003-10-17 |
結審通知日 | 2003-10-28 |
審決日 | 2003-11-17 |
出願番号 | 特願平11-228804 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C02F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 真々田 忠博、杉江 渉 |
特許庁審判長 |
石井 良夫 |
特許庁審判官 |
山田 充 野田 直人 |
発明の名称 | 水域のうつろを利用した外水域の浄化システム |