• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B
管理番号 1089681
審判番号 不服2002-19619  
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-12-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-08 
確定日 2004-01-09 
事件の表示 平成9年特許願第128523号「建物の接合具、建物ユニット、及びユニット建物」拒絶査定に対する審判事件[平成10年12月2日出願公開、特開平10-317501]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年5月19日の出願であって、その各請求項に係る発明は平成14年7月19日付手続補正書により補正された明細書、及び、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 建物の構造材を接合するボルト及びナットからなる建物の接合具において、前記ナットが、ボルトに螺合する袋ナット部と、袋ナット部に結合された該袋ナット部より小外径の工具係合部とを有してなるとともに、袋ナット部と工具係合部との間に、建物解体用工具係合部と一定トルクにより破断する脆弱部とをこの順に有してなることを特徴とする建物の接合具。
【請求項2】〜【請求項6】(記載を省略)」
(以下、請求項1記載の発明を「本願発明」という。)

【2】刊行物記載の発明
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された、特開平9-60631号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】図2は従来の袋ナットを示す。図2において、1は円柱状胴部であり、図2(A)に示すように、円柱状胴部1の図の右端面から、旋盤,ドリル,ねじ形成工具等を用いて、この袋ナットをねじ込むべき図示しないボルトの雄ねじに螺合する雌ねじ2が形成されている。円柱状胴部1の図の左部分は、通常のナットの外形のような六角頭32が形成されている。六角頭32の対角間寸法Cは胴径D以下である。なお、胴径Dは、所要の締付け力を得るため、ボルトのねじ径の2倍程度は必要である。締着の際は、雌ねじ2を図示しない相手のボルトの雄ねじの端部にねじ込んで、この袋ナットの六角頭32にスパナ口を嵌めて回すことによってこの袋ナットを締付ける。」
したがって、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。
「ボルトの雄ねじに螺合する雌ねじ2が形成された円柱状胴部1と、その胴径Dより小さい対角間寸法Cとされた六角頭32とからなる袋ナットと、上記雌ねじ2に螺合されるボルトとの組合わせ。」

同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、実願平2-40919号(実開平3-130906号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。
「めねじ部を有するナット本体と、該ナット本体に一体に連設されスパナ等によって締結方向に回転させられる締結用頭部と、ナット本体及び締結用頭部の間に介在し締結用頭部の回転トルクが適正範囲を超えたときに切断される薄肉部とを具備することを特徴とするナット。」(実用新案登録請求に範囲)
「以下、本考案に係るナットの一実施例を第1図ないし第3図に基づいて説明する。
該一実施例のナットは、ナット本体1と締結用頭部2とを薄肉部3を介在させた状態で一体成形されたものであり、ナット本体1には、図示を省略したおねじに螺合させるためのめねじ部4が設けられ、かつ、外側部5の横断面形状が第2図に示す六角等の非真円形状とされており、締結用頭部2には、前記めねじ部4のねじ穴より若干大きな内径を有するボルト挿通穴6が明けられ、かつ、外側部7の横断面形状がナット本体1に準じて六角形状……とされている。
前記薄肉部3は、第1図に示すように、ナット本体1と締結用頭部2との中間を断面V字状等に切削除去して周溝8を形成することによって残された部分であり、その最小断面積が、適正締め付けトルクよりも大きなトルクで捻られた場合に、塑性変形を生じる程度の強度に設定される。
このような構造のナットによって、締結対象物を締め付ける場合は、ナット本体1が締結対象物側となるように、ナット本体1を対応するおねじに対して螺合させた状態として、締結用頭部2を適宜工具等によって回転させると、螺合状態が深められてナット本体1による締結対象物の締結がなされる。
……締結対象物の抵抗が大きくなって、締結用頭部2の回転トルクが適正締め付けトルクを越えるようになると……薄肉部3に塑性変形が生じ……そのまま締結用頭部2の回転を続行すると、薄肉部3がねじ切られて破断し、ナット本体1と締結用頭部2とが分離した状態となる。」(4頁10行〜6頁6行)
「また、ナット本体1から分離した締結用頭部2は……ボルトから……抜き取ることができる。一方、ボルトと螺合状態で残されたナット本体1の部分は、通常のナットと同様に取り扱うことができ、ナット本体1を緩める必要がある場合には……スパナ等によって……螺合状態を解除することにより行なわれる。」(6頁14行〜7頁4行)

【3】対比・判断
本願発明と、上記刊行物1記載の発明とを対比すると、刊行物1記載の発明の「円柱状胴部1」、「(円柱状胴部1の)胴径Dより小さい対角間寸法Cとされた六角頭32」、及び「袋ナットとボルトの組合わせ」は、本願発明の「袋ナット部」、「袋ナット部より小外径の工具係合部」、及び「ボルト及びナットからなる接合具」にそれぞれ相当するから、両者は、
「ボルト及びナットからなる接合具において、前記ナットが、ボルトに螺合する袋ナット部と、袋ナット部に結合された該袋ナット部より小外径の工具係合部とを有してなる、接合具。」の点で一致し、以下の2点で相違している。

相違点1:本願発明の接合具は、建物の構造材を接合するためのものであるのに対し、刊行物1には、接合具の用途について記載されていない点
相違点2:本願発明の接合具は、袋ナット部と工具係合部との間に、建物解体用工具係合部と一定トルクにより破断する脆弱部とをこの順に有してなるのに対し、刊行物1記載の発明の接合具は、そのような建物解体用工具係合部や脆弱部を有していない点

上記各相違点について検討する。

<相違点1について>
建物の構造材を、ボルト及びナットからなる接合具により接合することは例を挙げるまでもなく、古くから一般に行なわれている慣用手段にすぎず、本願発明の接合具が建物の構造材を接合するためのものである点には、何らの技術的意義も認められない。

<相違点2について>
刊行物2には、上記のとおり、ナット本体1と締結用頭部2との中間に、締結用頭部2が適正締め付けトルクよりも大きなトルクで捻られた場合に塑性変形を生じ、そのまま締結用頭部2の回転を続行すると、薄肉部3がねじ切られて破断する薄肉部3を設けることが記載されており、該技術に基づいて相違点2として摘記した本願発明の技術的事項を当業者が想起する点に格別困難性は認められない。

そして、本願発明が奏する作用効果も、当業者が予期し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

【4】むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、上記刊行物1,2に記載された発明及び慣用手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-11-05 
結審通知日 2003-11-12 
審決日 2003-11-26 
出願番号 特願平9-128523
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 長島 和子
新井夕起子
発明の名称 建物の接合具、建物ユニット、及びユニット建物  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ