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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G10H |
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管理番号 | 1089783 |
異議申立番号 | 異議2002-72967 |
総通号数 | 50 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-05-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-12-10 |
確定日 | 2003-11-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3290938号「音データ処理装置」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3290938号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第3290938号の請求項1ないし8に係る出願は,平成9年11月12日に出願され,平成14年3月22日にその発明について設定登録がなされ,その後,その特許について,異議申立人戸水三鈴から特許異議の申立てがなされ,取消理由通知の指定期間内である平成15年9月17日に訂正請求がなされたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の概要 平成15年9月17日付け訂正請求によって特許権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。 (1) 特許請求の範囲の請求項1を「コンピュータと,コンピュータに接続され,コンピュータからの出力データをアナログ音信号に変換するアナログ音信号生成器とを備え,音波形の振幅値をデジタル化したサンプル化データおよび音の特性をコード化したコード化データの双方を合成してアナログ音信号として出力する音データ処理装置において,前記コンピュータは,下記プログラム(a)〜(d)にしたがって処理を行うことにより,サンプル化データおよびコード化データをそれぞれ独立して変換した後,加算するようにしたことを特徴とする音データ処理装置: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを,直接又は間接に受けて,前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム, (b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて,当該コード化データを解釈して,サンプル化データに変換する音源プログラム, (c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて,前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム, (d)第1の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データと第2の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データを合成して前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に出力する合成処理プログラム。」と訂正する。(下線部が訂正箇所,以下同じ) (2) 特許請求の範囲の請求項2を「コンピュータと,コンピュータに接続され,コンピュータからの出力データをアナログ音信号に変換するアナログ音信号生成器とを備え,音波形の振幅値をデジタル化したサンプル化データおよび音の特性をコード化したコード化データの双方を合成してアナログ音信号として出力する音データ処理装置において,前記コンピュータは,下記プログラム(a)〜(c)にしたがって処理を行うことにより,サンプル化データおよびコード化データをそれぞれ独立して変換し,: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを,直接又は間接に受けて,前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム, (b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて,当該コード化データを解釈して,サンプル化データに変換する音源プログラム, (c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて,前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム, 前記アナログ音信号生成器は,第1および第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからのデータを合成して,アナログ音信号に変換するものであることを特徴とする音データ処理装置。」と訂正する。 (3) 特許請求の範囲の請求項6を「音波形の振幅値をデジタル化したサンプル化データおよび音の特性をコード化したコード化データの双方をコンピュータによって処理し,処理後のデータを当該コンピュータに接続されたアナログ音信号生成器に与えて,アナログ音信号を得る音データ処理方法において, 前記コンピュータは,第1のサンプル化データを,前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラムに渡し,前記コンピュータは,コード化データを解釈して,音波形の振幅値をデジタル化した第2のサンプル化データに変換し,当該第2のサンプル化データを,サンプル化データを扱うアプリケーションプログラムに渡すことなく,前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラムに渡し,前記第1および第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからのデータを前記アナログ音生成器に与えることを特徴とする音データ処理方法。」と訂正する。 (4) 特許請求の範囲の請求項7を「コンピュータに処理を行わせることにより,サンプル化データおよびコード化データをそれぞれ独立して変換するための下記プログラム(a)〜(c)を記録した記録媒体: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを,直接又は間接に受けて,前記コンピュータに接続されたアナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム, (b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて,当該コード化データを解釈して,サンプル化データに変換する音源プログラム, (c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて,前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム。」と訂正する。 (5) 特許請求の範囲の請求項8を「請求項7の記録媒体において,さらに,コンピュータに処理を行わせるためのプログラム(d)を記録したもの: (d)第1の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データと第2の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データを合成して前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に出力する合成処理プログラム。」と訂正する。 (6) 上記(1)ないし(5)の訂正に伴い,明細書の該当する次の段落番号の箇所を全文訂正明細書に記載されたとおり訂正する。 段落番号【0015】,【0016】,【0020】,【0021】及び【0022】 (7) 図面の内,1図,6図,8図及び12図を全文訂正明細書に添付された図面のとおり訂正する。 2 訂正の目的,新規事項の有無等の判断 上記1(1)ないし(5)の特許請求の範囲の訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 上記1(6)の明細書の訂正は,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためであり,明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また,上記1(7)の訂正は,誤記の訂正を目的とするものである。 そして,当該訂正は,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり,実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 3 むすび 以上のとおりであるから,上記訂正は,特許法120条の4第2項の目的に該当し,同第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので,当該訂正を認める。 第3 特許異議の申し立てについて 1 申立の理由の概要 特許異議申立人戸水三鈴は,証拠として甲第1号証(特開平9-146556号公報)を提出し,請求項1及び6に係る発明は,特許法29条1項の規定に違反してなされたものであり,また,請求項1ないし5,7,8に係る発明は特許法29条2項の規定に違反してなされたものであるから,特許を取り消すべき旨主張している。 2 本件発明 上記第2に記載したとおり,平成15年9月17日付け訂正請求書による訂正請求は認められるところとなったので,本件特許は,同訂正請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものである。 3 引用刊行物記載の発明 当審が通知した取消の理由に引用された刊行物(甲第1号証)には,次の事項が記載されている。 ア【0017】1はアプリケーションプログラムや楽音波形サンプルの生成等の各種演算処理を行うマイクロプロセッサなどの中央処理装置(CPU) イ【0023】トーンジェネレータタスク20は,その詳細は後述するが,音源MIDIドライバ16により生成され,該音源MIDIドライバ16から供給される楽音制御パラメータTGparamsに基づいて最大32チャンネル分の波形テーブル合成機能とリバーブなどの音色制御処理機能とを提供するものである。さらに,ウェーブタスク21およびミキサタスク22はWAVE入出力ドライバ17によりオープンされるウェーブ入出力デバイスに対応して生成されるタスクである。 【0024】さらに,26は波形データを入出力するためのA/D変換器およびD/A変換器を有するコーデック回路 ウ【0028】音源MIDIドライバ16は,MIDIシーケンサソフトウエア12などから,インターフェース15を介してMIDI信号の入力イベントがあったときに起動される。起動されると,音源MIDIドライバ16は,入力されたMIDI信号に応じて,ノートオン,ノートオフ,プログラムチェンジ,コントロールチェンジ,システムエクスクルーシブなどの処理を行う。ノートオンイベントの場合は,新規な発音を音源であるトーンジェネレータタスク20の発音チャンネルに割り当て,該割り当てたチャンネルに設定するための楽音制御パラメータとノートオンを用意する。用意される楽音制御パラメータは,MIDIチャンネルごとに選択されている音色の音色パラメータをノートオンイベントに付随するノートナンバ,演奏タッチに応じて加工処理したパラメータである。なお,この用意された楽音制御パラメータはトーンジェネレータタスク20の起動時にトーンジェネレータタスク20の音源レジスタに転送される。 エ【0029】トーンジェネレータタスク20は,最大32chの波形テーブル合成機能と,モノラル入力ステレオ出力のリバーブ機能を有しており,コーデックドライバ24とコーデック回路26とからなる出力デバイスからの波形データ要求に応じて,1フレーム時間ごとに起動される。このトーンジェネレータタスク20は,外部オーディオ入力を受け付け,自ら生成する波形テーブル合成データと該外部オーディオ入力とに対してリバーブ処理を行い,処理結果であるオーディオ波形を出力デバイスに出力する。 オ【0030】なお,データ変換部55に入力されるステレオオーディオ入力信号は,コーデック26からの入力あるいは波形再生ソフトウエア14からWAVE入出力ドライバ17を介しての入力のいずれであってもよい。 カ【0033】各加算部56,57および62には,それぞれ,データ変換部55から外部ステレオオーディオ入力信号の左チャンネル信号L,右チャンネル信号Rおよび和の信号L+Rも供給されており,生成された全発音チャンネルの波形データの和と外部オーディオ入力信号とのミキシングが行われる。 キ【0034】加算器56および57の出力は,それぞれ,DryLバッファ60およびDryRバッファ61に格納され,また,加算器62の出力はリバーブ用バッファRev 63に格納される。バッファRev 63に格納されたL+Rデータはリバーブ処理43に入力されてリバーブ演算が行われ,生成されたリバーブ出力データ(反響音データ)は,LとR独立にゲイン調整された後,DryLバッファ60およびDryRバッファ61に格納されているデータにそれぞれ加算され,さらにデータ変換部65において整数形式に変換された後,バッファ66および67を介してオーディオ出力データとしてコーデック26のD/A変換器に出力されることとなる。 4 対比・判断 (1) 請求項1に係る発明について 上記甲第1号証の発明と請求項1に係る発明とを対比すると,トーンジェネレータタスク20が第1の仮想デバイスドライバに対応し,同じくトーンジェネレータタスク20が第2の仮想デバイスドライバに対応する。 しかし,第1の仮想デバイスドライバとは別個に第2の仮想デバイスドライバを設けた点,すなわち,トーンジェネレータタスク20を2個設けることについては,開示されていない。 請求項1に係る発明のその他の構成は甲第1号証に開示されているが,第1と第2の仮想デバイスドライバを別個に設けることは開示されておらず,かつ示唆する記載もない。 そして,この構成により,ソフトウエアによる音源を用いて音源の音表現の柔軟性を持たせるとともに,処理速度の高速な音データ処理装置を提供できる,という効果を奏することからも,1個のトーンジェネレータタスク20の構成から,当業者が容易に推考できたとすることはできないし,まして同一とすることもできない。 (2) 請求項2に係る発明について 請求項2に係る発明は,請求項1に係る発明と同様に,第1の仮想デバイスドライバとは別個に第2の仮想デバイスドライバを設けた点,すなわち,トーンジェネレータタスク20を2個設けることについては,開示されていない。 したがって,上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により,甲第1号証に記載の発明から当業者が容易に推考しえたものではない。 (3) 請求3ないし5に係る発明について 請求項3ないし5に係る発明は,請求項2に係る発明を更に限定したものであるから,上記請求項2に係る発明についての判断と同様の理由により,甲第1号証に記載の発明から当業者が容易に推考しえたものではない (4) 請求項6ないし8に係る発明について 請求項6及び7に係る発明は,請求項1及び2に係る発明を方法のカテゴリー及び媒体で表現したものであり,発明としての実質的な相違はなく,前記請求項1,2について示したと同様の理由により,請求項6及び7に係る発明は,甲第1号証に記載の発明から当業者が容易に推考しえたものではない。まして,請求項6に係る発明を甲第1号証記載の発明と同一とすることはできない。 また,請求項8に係る発明は,請求項7に係る発明を更に限定したものであるから,請求項7に係る発明についての判断と同様の理由により,甲第1号証に記載の発明から当業者が容易に推考しえたものではない 第4 むすび 以上のとおりであるから,特許異議申立の理由及び証拠によっては,請求項1ないし8に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また,他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 音データ処理装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コンピュータと、 コンピュータに接続され、コンピュータからの出力データをアナログ音信号に変換するアナログ音信号生成器とを備え、 音波形の振幅値をデジタル化したサンプル化データおよび音の特性をコード化したコード化データの双方を合成してアナログ音信号として出力する音データ処理装置において、 前記コンピュータは、下記プログラム(a)〜(d)にしたがって処理を行うことにより、サンプル化データおよびコード化データをそれぞれ独立して変換した後、加算するようにしたことを特徴とする音データ処理装置: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを、直接又は間接に受けて、前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム、 (b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて、当該コード化データを解釈して、サンプル化データに変換する音源プログラム、 (c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて、前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム、 (d)第1の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データと第2の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データを合成して前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に出力する合成処理プログラム。 【請求項2】 コンピュータと、 コンピュータに接続され、コンピュータからの出力データをアナログ音信号に変換するアナログ音信号生成器とを備え、 音波形の振幅値をデジタル化したサンプル化データおよび音の特性をコード化したコード化データの双方を合成してアナログ音信号として出力する音データ処理装置において、 前記コンピュータは、下記プログラム(a)〜(c)にしたがって処理を行うことにより、サンプル化データおよびコード化データをそれぞれ独立して変換し、: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを、直接又は間接に受けて、前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム、 (b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて、当該コード化データを解釈して、サンプル化データに変換する音源プログラム、 (c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて、前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム、 前記アナログ音信号生成器は、第1および第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからのデータを合成して、アナログ音信号に変換するものであることを特徴とする音データ処理装置。 【請求項3】 請求項2の音データ処理装置において、 第1の仮想デバイスドライバ・プログラムからの出力データを前記アナログ音信号生成器に出力するための第1の転送処理、 第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからの出力データを前記アナログ音信号生成器に出力するための第2の転送処理、 を行うことを特徴とするもの。 【請求項4】 請求項3の音データ処理装置において、 転送路をビットによって2つに分割し、一方を第1の転送処理用とし、他方を第2の転送処理用としたことを特徴とするもの。 【請求項5】 請求項3の音データ処理装置において、 転送路を時分割によって2つに分割し、一方を第1の転送処理用とし、他方を第2の転送処理用としたことを特徴とするもの。 【請求項6】 音波形の振幅値をデジタル化したサンプル化データおよび音の特性をコード化したコード化データの双方をコンピュータによって処理し、処理後のデータを当該コンピュータに接続されたアナログ音信号生成器に与えて、アナログ音信号を得る音データ処理方法において、 前記コンピュータは、第1のサンプル化データを、前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラムに渡し、 前記コンピュータは、コード化データを解釈して、音波形の振幅値をデジタル化した第2のサンプル化データに変換し、当該第2のサンプル化データを、サンプル化データを扱うアプリケーションプログラムに渡すことなく、前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラムに渡し、 前記第1および第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからのデータを前記アナログ音生成器に与えることを特徴とする音データ処理方法。 【請求項7】 コンピュータに処理を行わせることにより、サンプル化データおよびコード化データををそれぞれ独立して変換するための下記プログラム(a)〜(c)を記録した記録媒体: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを、直接又は間接に受けて、前記コンピュータに接続されたアナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム、 (b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて、当該コード化データを解釈して、サンプル化データに変換する音源プログラム、 (c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて、前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム。 【請求項8】 請求項7の記録媒体において、 さらに、コンピュータに処理を行わせるためのプログラム(d)を記録したもの: (d)第1の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データと第2の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データを合成して前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に出力する合成処理プログラム。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は音データ処理装置に関し、特にその処理の高速化とハードウエアの簡素化に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 図15に、従来の音データ処理装置の構成図を示す。この音データ処理装置は、オペレーティングシステム(たとえば、マイクロソフト社のWindows95)を搭載したパーソナルコンピュータと、サウンドカードと呼ばれるハードウエアによって構成されている。 【0003】 図15において、ソフトウエアとして示されている部分は、パーソナルコンピュータ側であり、ハードウエアとして示されている部分は、パーソナルコンピュータのスロットに接続されたサウンドボード側である。 【0004】 WAVEアプリケーション2は、音波形の振幅値をデジタル化したデータを出力するアプリケーションである。ダイナミックリンクライブラリ4、6は、全てのアプリケーションプログラムから使用できるようにWindows95に用意されたライブラリである。ダイナミックリンクライブラリ6の出力は、WAVEドライバソフトウエア8を介して、仮想ドライバソフトウエア10に与えられる。仮想ドライバソフトウエア10は、これを、D/A変換器16が扱うことの可能なデータ形式に変換する。 【0005】 仮想ドライバソフトウエア10の出力は、DMA転送により、インターフェイス14を介して、D/A変換器16に与えられ、アナログ信号に変換される。このアナログ信号は、加算器18に与えられる。 【0006】 MIDIアプリケーション20は、MIDIフォーマットによって音をコード化して表現したデータを出力するアプリケーションである。このMIDIデータは、ダイナミックリンクライブラリ4、6を介して、MIDIドライバソフトウエア26に与えられる。MIDIドライバソフトウエア26は、これを、仮想ドライバソフトウエア28に渡す。仮想ドライバソフトウエア28は、これを、MIDIハードウエア音源32が扱うことの可能なデータ形式に変換する。 【0007】 仮想ドライバソフトウエア28の出力は、通常のバス転送により、インターフェイス30を介して、MIDIハードウエア音源32に与えられ、アナログ信号に変換される。このアナログ信号は、加算器18に与えられる。 【0008】 加算器18には、WAVEアプリケーション2からの音信号と、MIDIアプリケーション20からの音信号が与えられる。したがって、加算器18からは、両音信号が加算された信号が出力される。 【0009】 上記のように、この音データ処理装置は、WAVEデータとMIDIデータの双方を扱うことができる。 【0010】 また、図16に示すように、MIDIハードウエア音源32を、ソフトウエアによって実現したものもある。この装置では、MIDIドライバソフトウエア26の出力を受けたシンセサイザ・ソフトウエア34が、これをWAVEデータに変化してダイナミックリンクライブラリ6に与えている。ダイナミックリンクライブラリ6は、WAVEアプリケーションソフトウエア2からのWAVEデータと、シンセサイザソフトウエア34からのWAVEデータとを合成して、WAVEドライバソフトウエア8に与える。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】上記のような音データ処理装置には、次のような問題点があった。 【0012】 図15に示す装置においては、MIDI音源をハードウエアによって構成しているので、音源の構成を柔軟に変更することができないという問題点があった。また、ハードウエア音源が必要であり、装置が高価になるという問題点もあった。 【0013】 図16に示す装置においては、コード化されているMIDIデータを、波形の振幅値をデジタル化したWAVEデータに変換している。これにより、WAVE用のハードウエア(D/A変換器)を用いることができ、装置を安価に構成できるという利点がある。しかしながら、ドライバソフトウエアを経てきたMIDIデータから波形を得て、これをWAVEデータに変換し、さらに、このWAVEデータを、ドライバソフトウエア、仮想ドライバソフトウエアを経て、D/A変換器に与えるようにしている。このため、MIDIデータの処理に時間を要するという問題があった。さらに、ハードウエアに近い階層において得られたWAVEデータを、アプリケーションの階層に伝達する必要があり、CPUのモード切替等においても処理時間を要する一因となっていた。 【0014】 そこで、この発明では、ソフトウエアによる音源を用いて音源の音表現の柔軟性を持たせつつ、処理速度の高速な音データ処理装置を提供することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】 請求項1の音データ処理装置は、コンピュータが、下記プログラム(a)〜(d)にしたがって処理を行うことにより、サンプル化データおよびコード化データをそれぞれ独立して変換した後、加算するようにしたことを特徴としている: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを、直接又は間接に受けて、前記コンピュータに接続されたアナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム、(b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて、当該コード化データを解釈して、サンプル化データに変換する音源プログラム、(c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて、前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム、(d)第1の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データと第2の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データを合成して前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に出力する合成処理プログラム。 【0016】 請求項2の音データ処理装置は、コンピュータが、下記プログラム(a)〜(c)にしたがって処理を行うことにより、サンプル化データおよびコード化データをそれぞれ独立して変換し、: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを、直接又は間接に受けて、前記コンピュータに接続されたアナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム、(b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて、当該コード化データを解釈して、サンプル化データに変換する音源プログラム、(c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて、前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム、前記アナログ音信号生成器が、第1および第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからのデータを合成して、アナログ音信号に変換するものであることを特徴としている。 【0017】 請求項3の音データ処理装置は、第1の仮想デバイスドライバ・プログラムからの出力データを前記アナログ音信号生成器に出力するための第1の転送処理と、第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからの出力データを前記アナログ音信号生成器に出力するための第2の転送処理とを行うことを特徴としている。 【0018】 請求項4の音データ処理装置は、転送路をビットによって2つに分割し、一方を第1の転送処理用とし、他方を第2の転送処理用としたことを特徴としている。 【0019】 請求項5の音データ処理装置は、転送路を時分割によって2つに分割し、一方を第1の転送処理用とし、他方を第2の転送処理用としたことを特徴としている。 【0020】 請求項6の音データ処理方法は、コンピュータは、第1のサンプル化データを、前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラムに渡し、前記コンピュータは、コード化データを解釈して、音波形の振幅値をデジタル化した第2のサンプル化データに変換し、当該第2のサンプル化データを、サンプル化データを扱うアプリケーションプログラムに渡すことなく、前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラムに渡し、前記第1および第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからのデータを前記アナログ音生成器に与えることを特徴としている。 【0021】 請求項7の記録媒体は、コンピュータに処理を行わせることにより、サンプル化データおよびコード化データををそれぞれ独立して変換するための下記プログラム(a)〜(c)を記録した記録媒体であることを特徴としている: (a)アプリケーションプログラムからのサンプル化データを、直接又は間接に受けて、前記コンピュータに接続されたアナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第1の仮想デバイスドライバ・プログラム、(b)アプリケーションプログラムからコード化データを受けて、当該コード化データを解釈して、サンプル化データに変換する音源プログラム、(c)音源プログラムからのサンプル化データを受けて、前記コンピュータに接続された前記アナログ音信号生成器に与えることの可能なデータに変換する第2の仮想デバイスドライバ・プログラム。 【0022】 請求項8の記録媒体は、さらに、コンピュータに処理を行わせるための下記プログラム(d)を記録した記録媒体であることを特徴としている: (d)第1の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データと第2の仮想デバイスドライバ・プログラムの出力データを合成して前記コンピュータに接続されたアナログ音信号生成器に出力する合成処理プログラム。 【0023】 【発明の効果】 請求項1、請求項2の音データ処理装置および請求項7、請求項8の記録媒体に記録されたプログラムは、コード化データを解釈してサンプル化データに変換し、当該サンプル化データを、サンプル化データを扱うアプリケーションプログラムに渡すことなく、仮想デバイスドライバ・プログラムに渡し、当該仮想デバイスドライバ・プログラムにより、サンプル化データをアナログ音生成器に与えることの可能なデータに変換するようにしたことを特徴としている。 【0024】 したがって、音波形の振幅値をデジタル化したサンプル化データおよび音の特性をコード化したコード化データの双方を同じアナログ音信号生成器でアナログ音信号に変換できる。 【0025】 さらに、解釈して得たサンプル化データを、サンプル化データを扱うアプリケーションプログラムに渡すことなく、仮想デバイスドライバ・プログラムに渡している。したがって、コード化データに対する処理が簡素化され、処理が迅速となる。 【0026】 すなわち、ハードウエアの簡素化を図りつつ、ソフトウエアによる音源を用いて音源の音表現の柔軟性を持たせるとともに、処理速度の高速な音データ処理装置を提供することができる。 【0027】 請求項3の音データ処理装置は、第1の仮想デバイスドライバ・プログラムからの出力データ用の第1の転送処理と、第2の仮想デバイスドライバ・プログラムからの出力データ用の第2の転送処理とを行うようにしている。したがって、それぞれのデータを高速にD/A変換器に転送することができ、さらなる処理の高速化を図ることができる。 【0028】 請求項4の音データ処理装置においては、転送路をビットによって2つに分割し、一方を第1の転送処理用とし、他方を第2の転送処理用としている。したがって、第1の転送と第2の転送を同時に行うことができ、高速転送を実現することができる。 【0029】 請求項5の音データ処理装置においては、転送路を時分割によって2つに分割し、一方を第1の転送処理用とし、他方を第2の転送処理用としている。したがって、DMA転送路を増設することなく、高速転送を実現することができる。 【0030】 請求項6の音データ処理方法は、コード化データを解釈してサンプル化データに変換し、当該サンプル化データを、サンプル化データを扱うアプリケーションプログラムに渡すことなく、仮想デバイスドライバ・プログラムに渡し、当該仮想デバイスドライバ・プログラムにより、サンプル化データをアナログ音生成器に与えることの可能なデータに変換するようにしたことを特徴としている。 【0031】 したがって、解釈して得たサンプル化データを、サンプル化データを扱うアプリケーションプログラムに渡すことなく、仮想デバイスドライバ・プログラムに渡している。したがって、コード化データに対する処理が簡素化され、処理が迅速となる。 【0032】 【発明の実施の形態】 図1に、この発明の一実施形態による音データ処理装置の構成を示す。WAVEアプリケーションプログラム2は、WAVE波形データを出力するプログラムである。ここで、WAVE波形データは、音波形の振幅値をデジタル化したサンプル化データである。このWAVE波形データは、オペレーティングシステムのダイナミックリンクライブラリ(図示せず)を介して、ドライバレイヤーのWAVEドライバプログラム8に与えられる。WAVEドライバプログラム8は、WAVE波形データを、仮想デバイスドライバレイヤーの仮想デバイスドライバプログラム10に渡す。 【0033】 仮想デバイスドライバプログラム10は、WAVE波形データを受けて、アナログ音信号発生器であるサウンドボードが処理可能なように、データ長やタイミング等を調整する。その出力データは、加算処理プログラム40に与えられる。 【0034】 MIDIアプリケーションプログラム20は、MIDIデータを出力するプログラムである。ここで、MIDIデータは、MIDI規格に従って、音の特性をコード化したコード化データである。このMIDIデータは、オペレーティングシステムのダイナミックリンクライブラリ(図示せず)を介して、ドライバレイヤーのMIDIドライバプログラム26に与えられる。MIDIドライバプログラム26は、MIDIデータを、仮想デバイスドライバレイヤーのシンセサイザプログラム34に渡す。 【0035】 音源プログラムであるシンセサイザプログラム34は、MIDIデータを解釈して、WAVE波形データに変換する。このWAVE波形データは、仮想デバイスドライバプログラム42に渡される。仮想デバイスドライバプログラム42は、WAVE波形データを受けて、アナログ音信号発生器であるサウンドボードが処理可能なように、データ長やタイミング等を調整する。その出力データは、加算処理プログラム40に与えられる。 【0036】 合成処理プログラムである加算処理プログラム40は、仮想デバイスプログラム10および仮想デバイスプログラム42からの出力データを加算する。加算されたデータは、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)転送処理によって、アナログ音信号生成器であるサウンドカードに与えられる。サウンドカードにおいては、加算されたデータは、インターフェイス14を介して、D/A変換器16に与えられる。D/A変換器16は、これを、アナログ音信号に変換して出力する。 【0037】 図2に、この装置のハードウエア構成を示す。CPU50には、メモリ52、ハードディスク54、CD-ROMドライブ56、キーボードおよびマウス60、ISAバス62が接続されている。また、ISAバス62には、サウンドボード64が接続されている。 【0038】 ハードディスク54には、図1に示す各プログラムが記憶されている。これらのプログラムは、CD-ROMドライブ56を介して、CD-ROM58に記憶されたプログラムがインストールされたものである。 【0039】 加算処理プログラム40によって加算されたデータは、ISAバス62を介して、サウンドボード64に与えられる。サウンドボード64からのアナログ音信号は、オーディオアンプ66によって増幅され、スピーカ68によって音として出力される。 【0040】 図3に、シンセサイザプログラムのフローチャートを示す。まず、ステップS1において、MIDIデータの読み込みを行う。次に、このMIDIデータによって指定された音色データ(たとえば、ピアノの音、ギターの音など)を、ハードディスク54から読み出す(ステップS2)。さらに、MIDIデータによって指定された音程、音の継続時間、振幅等に基づいて、読み出した音色データを変更する(ステップS3)。これにより、WAVE波形データが得られる。得られたWAVE波形データを、仮想デバイスドライバプログラム42に出力する(ステップS4)。 【0041】 上記のようにして1つのMIDIデータに対する処理が終了すると、次のMIDIデータに対する処理を、ステップS1から繰り返して行う。 【0042】 図4に、加算処理プログラム40のフローチャートを示す。まず、ステップS11において、仮想デバイスドライバ・プログラム10からのデータを右に1ビットシフト(1/2)する。同様に、仮想デバイスドライバ・プログラム42からのデータを右に1ビットシフト(1/2)する(ステップS12)。次に、両データを加算して(ステップS13)、メモリ52に記憶する(ステップS14)。この実施形態では、加算前に、データの値を1/2にしているので、加算後にオーバーフローを生じるおそれがない。メモリ52に記憶されたデータは、DMA転送によって、サウンドボード64に与えられる。 【0043】 図5に、サウンドボード64の詳細を示す。コンピュータのメモリ52には、図4の処理によって、加算後のデータが記憶されている。サウンドボード64のDMA要求発生器76は、メモリ74に記憶されたデータが残り少なくなると、DMA要求信号を生成する。この要求は、コンピュータのDMAコントローラ72に与えられる。要求を受けたDMAコントローラ72は、メモリ52に記憶されている加算後のデータを、CPUのバス70,ISAバス12を介して、メモリ74に転送する。メモリ74が一杯になると、DMA要求発生器76は、DMA要求を取り下げる。 【0044】 メモリ74に転送された加算後のデータは、まず、上位ビットが読み出されて、バッファ78に保持される。次に、下位ビットが読み出され、バッファ78に保持されていた上位ビットともに、バッファ80に保持される。D/A変換器16は、バッファ80のデータを、アナログ信号に変換する。 【0045】 なお、図5においては、メモリ74,DMA要求発生器76、バッファ78、バッファ80、読み出しクロック発生器82によって、インターフェイス14が構成されている。 【0046】 図6に、他の実施形態による音データ処理装置の構成を示す。この実施形態では、加算処理プログラム40によって加算処理を行わず、サウンドボードの加算器17によって加算を行うようにしている。なお、オーバーフローを避けるために、サウンドボードに転送する前に、1/2処理プログラム39、41によって、データの値を1/2にしている。1/2にされたデータは、それぞれ、DMA転送処理12、13よって、インターフェイス14、15を介して、加算器17に与えられる。 【0047】 図7に、この実施形態におけるサウンドボード65の詳細を示す。コンピュータのメモリ52には、1/2処理プログラム39からのデータおよび1/2処理プログラム41からのデータが、領域を分けて記憶される。1/2処理プログラム39からのデータは、第1のDMA転送処理のための領域に、1/2処理プログラム41からのデータは、第2のDMA転送処理のための領域に記憶される。 【0048】 サウンドボード64のDMA要求発生器76は、メモリ74に記憶されたデータが残り少なくなると、第1のDMA要求信号を生成する。この要求は、コンピュータのDMAコントローラ72に与えられる。要求を受けたDMAコントローラ72は、メモリ52の第1のDMA転送処理のための領域に記憶されているデータを、CPUのバス70,ISAバス12を介して、メモリ74に転送する。メモリ74が一杯になると、DMA要求発生器76は、第1のDMA要求を取り下げる。 【0049】 サウンドボード64のDMA要求発生器76は、メモリ75に記憶されたデータが残り少なくなると、第2のDMA要求信号を生成する。この要求は、コンピュータのDMAコントローラ72に与えられる。要求を受けたDMAコントローラ72は、メモリ52の第2のDMA転送処理のための領域に記憶されているデータを、CPUのバス70、ISAバス12を介して、メモリ75に転送する。メモリ75が一杯になると、DMA要求発生器76は、第2のDMA要求を取り下げる。 【0050】 メモリ74、75に転送されたデータは、まず、下位ビットが読み出されて、加算器17によって加算される。この加算結果は、バッファ78に保持される。また、加算によるキャリービットが、加算器17に与えられる。次に、上位ビットが読み出され、キャリービットとともに加算器17によって加算される。下位ビットと上位ビットがまとめられて、D/A変換器16に与えられる。D/A変換器16は、このデータをアナログ信号に変換する。 【0051】 この実施形態では、加算処理を加算器17によって行うようにしているので、コンピュータの処理負担が軽減する。これにより、処理の高速化を図ることができる。 【0052】 図8に、さらに、他の実施形態による音データ処理装置の構成を示す。この実施形態では、仮想デバイスドライバプログラム10および42からのデータを、ビット結合処理プログラム80によってビット結合し、一度にDMA転送するようにしている。これにより、転送の高速化を図ることができる。 【0053】 図9に、ビット結合処理プログラムのフローチャートを示す。まず、仮想デバイスドライバプログラム10からの出力データ値を1/2にする(ステップS21)。次に、このデータを8ビット左シフトする(ステップS22)。続いて、このデータの下位9ビット目から16ビット目までを除くビットを全て”0”にする(ステップS23)。 【0054】 次に、仮想デバイスドライバプログラム42からの出力データ値を1/2にする(ステップS24)。次に、このデータの下位8ビットを除くビットを全て”0”にする(ステップS25)。 【0055】 ステップS23、S25で得たデータの論理和をとる(ステップS26)。これにより、図10に示すように、上位ビットに仮想デバイスドライバプログラム10からのデータ、下位ビットに仮想デバイスドライバ42からのデータが結合されたデータが得られる。このようにして得られたビット結合データは、メモリ52に記憶される(ステップS27)。 【0056】 図11に、この実施形態におけるサウンドボードの詳細を示す。コンピュータのメモリ52には、ビット結合されたデータが記憶されている。サウンドボードのメモリ74のデータが少なくなると、DMA要求発生器76がDMA要求を発生する。これにより、メモリ52のビット結合データが、メモリ74に転送される。 【0057】 加算器17は、メモリ74の上位8ビットと下位8ビットを読み出して、それぞれ8ビットのデータとして加算を行う。加算されたデータは、D/A変換器16によって、アナログ音信号に変換される。 【0058】 この実施形態によれば、一度にデータを転送することができ、処理速度を向上することができる。 【0059】 図12に、さらに他の実施形態による音データ処理装置の構成を示す。この実施形態においては、多重化処理プログラム82により、仮想デバイスドライバプログラム10、42からのデータを、時分割的にDMA転送するようにしている。 【0060】 図13に、多重化処理プログラムのフローチャートを示す。まず、ステップS31において、カウンタフラグを”0”にする。次に、ステップS32において、カウンタフラグの値を判断する。カウンタフラグが”0”であれば、仮想デバイスドライバプログラム10からの出力データ値を1/2にする(ステップS33)。その後、カウンタフラグを”1”に変更する(ステップS34)。 【0061】 また、ステップS32において、カウンタフラグが”1”であれば、仮想デバイスドライバ42からの出力データ値を1/2にする(ステップS35)。その後、カウンタフラグを”0”に変更する。 【0062】 ステップS37では、1/2にしたデータをバッファ(メモリ52の一部分を割り当ててもよい)に一時的に記憶する。DMA転送の要求がなければ、再び、ステップS32以下を繰り返し実行する。これにより、バッファには、仮想デバイスドライバプログラム10と仮想デバイスドライバプログラム42のデータが交互に記憶されることとなる。DMA転送要求があると、バッファのデータをメモリ52のDMA領域に渡す(ステップS39)。 【0063】 図14に、この実施形態におけるサウンドボードの詳細を示す。1つのデータ転送ごとに発生されるデータクロックが、クロック分周器90(1/2分周器)に与えられている。クロック分周器90の出力Qは、メモリ75のイネーブル端子に与えられている。また、反転されて、メモリ74のイネーブル端子にも与えられている。したがって、仮想デバイスドライバプログラム10からのデータは、メモリ74に記憶され、仮想デバイスドライバプログラム42からのデータは、メモリ75に記憶される。加算器17は、両データを加算して、A/D変換器16に与える。 【0064】 上記各実施形態においては、転送処理をDMA転送によって説明したが、通常のCPU制御による転送であってもよい。ただし、処理速度の高速化という点からは、DMA転送の方が好ましい。 【0065】 また、上記各実施形態においては、サンプル化データとしてWAVEデータを示しているが、その他の波形をデジタルサンプリングしたデータについても適用することができる。 【0066】 また、上記各実施形態においては、コード化データとしてMIDIデータを示しているが、その他の音の特性を所定の規格によって情報データとして扱うようなデータについても適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 この発明の一実施形態による音データ処理装置の構成を示す図である。 【図2】 音データ処理装置のハードウエア構成を示す図である。 【図3】 シンセサイザプログラムのフロチャートである。 【図4】 加算処理プログラムのフローチャートである。 【図5】 サウンドボード64の詳細を示す図である。 【図6】 他の実施形態による音データ処理装置の構成を示す図である。 【図7】 図6の音データ処理装置のサウンドボード64の詳細を示す図である。 【図8】 さらに他の実施形態による音データ処理装置の構成を示す図である。 【図9】 ビット結合処理プログラムのフローチャートである。 【図10】 ビット結合されたデータの構造を示す図である。 【図11】 図8の音データ処理装置のサウンドボード64の詳細を示す図である。 【図12】 さらに他の実施形態による音データ処理装置の構成を示す図である。 【図13】 多重化処理プログラムのフローチャートである。 【図14】 図12の音データ処理装置のサウンドボード64の詳細を示す図である。 【図15】 MIDIハードウエア音源を用いた従来の音データ処理装置を示す図である。 【図16】 MIDI音源をソフトウエアによって実現した従来の音データ処理装置を示す図である。 【符号の説明】 2・・・WAVEアプリケーションプログラム 10・・・仮想デバイスドライバプログラム 16・・・D/A変換器 20・・・MIDIアプリケーションプログラム 34・・・シンセサイザプログラム 40・・・加算処理プログラム 42・・・仮想デバイスドライバプログラム 【図面】 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2003-10-17 |
出願番号 | 特願平9-310820 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(G10H)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 千葉 輝久 |
特許庁審判長 |
杉山 務 |
特許庁審判官 |
小松 正 酒井朋広 |
登録日 | 2002-03-22 |
登録番号 | 特許第3290938号(P3290938) |
権利者 | オンキヨー株式会社 株式会社フェイス |
発明の名称 | 音データ処理装置 |
代理人 | 眞島 宏明 |
代理人 | 古谷 栄男 |
代理人 | 松下 正 |
代理人 | 眞島 宏明 |
代理人 | 松下 正 |
代理人 | 古谷 栄男 |
代理人 | 眞島 宏明 |
代理人 | 松下 正 |
代理人 | 古谷 栄男 |