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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01J
管理番号 1089806
異議申立番号 異議2001-72588  
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-10-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-09-19 
確定日 2003-10-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3148353号「電子ビーム検査方法とそのシステム」の請求項1ないし30に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3148353号の請求項1ないし13、15ないし25、27ないし30に係る特許を取り消す。 同請求項14、26に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
1 特許第3148353号(以下「本件特許」という。)は、1991年5月30日にアメリカ合衆国でされた特許出願(優先権主張番号第710351号)による優先権を主張して平成4年5月18日に特許出願がされ(特願平4-124951号)、平成13年1月12日に特許権の設定登録がされ、同年3月19日にその特許掲載公報が発行されたものである。
2 中村孝子は、同年9月18日に本件特許の請求項1ないし10、16ないし23、25、27ないし30に係る特許に対して特許異議の申立てをした。
宮崎是は、同月19日に本件特許の請求項1ないし30に係る特許に対して特許異議の申立てをした。
3 当審において平成14年3月25日付けで取消理由を通知(同年4月5日発送)したところ、特許権者は、その指定期間内である同年10月7日に訂正請求書及び特許異議意見書を提出した。

第2 訂正について
1 訂正の内容
本件特許の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであり、訂正事項は次のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1、4、6、10、11、14ないし16、22、24ないし27及び30における「一自由度方向」を「前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向」と訂正する。
(2)訂正事項2
ア 特許請求の範囲の請求項2を「前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。」と訂正する。
イ 特許請求の範囲の請求項12を「前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有することを特徴とする請求項11に記載のシステム。」と訂正する。
ウ 特許請求の範囲の請求項18を「前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有することを特徴とする請求項17に記載のシステム。」と訂正する。
(3)訂正事項3
ア 特許請求の範囲の請求項5を「前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項4に記載のシステム。」と訂正する。
イ 特許請求の範囲の請求項9を「前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項6に記載のシステム。」と訂正する。
ウ 特許請求の範囲の請求項13を「前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項11に記載のシステム。」と訂正する。
(4)訂正事項4
明細書の発明の詳細な説明の段落【0006】ないし【0014】、【0016】及び【0017】の「一自由度方向」を「前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向」と訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1、4、6、10、11、14ないし16、22、24ないし27及び30の「一自由度方向」を「前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向」と訂正するものであり、「一自由度方向」を具体化して明りょうにするものであるから、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
明細書の発明の詳細な説明の段落【0031】には「x軸方向のスキャン移動は移動ステージ24によりなされ、y軸方向の移動は・・・電子ビームを偏向することによりなされる。」、段落【0041】には「検査の間、電子ビームはある方向にスキャンされ、一方ステージはそれに直角な方向に移動される。」との記載がされているから、訂正事項1は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
そして、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項2及び12において「前記基板のパターン」を「前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターン」と限定し、「第2のパターン」を「前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターン」と限定し、また、請求項18において「前記基板の上の第1のパターン」を「前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターン」と限定し、「前記基板上の第2のパターン」を「前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターン」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
明細書の発明の詳細な説明の段落【0034】には「図3はダイ・ダイ検査のスキャンパターンを示していて、マスク57は左から右にダイ68、70、66を有している。」、段落【0035】には「このモードでは、ダイ68の第1パス(行程)のデータはダイ70の第1パスのデータと比較するためにメモリブロック52にストアされる。・・・ダイ70のデータは、ダイ66の第1パスからのデータと比較するためにメモリブロック52にストアされる。次に第2のパスへ進む・・・と、パスの順序は逆になり、ダイ66の第2のパスからのデータはダイ70からのデータと比較するためにストアされ、ダイ70からのデータはダイ68の第2のパスからのデータと比較するためにストアされる。」、段落【0067】には「ダイ・ダイモードでは、偏向器コントローラ50の機能は、ダイ68・・・に電子ビーム100を位置付けることである。この結果、検出器・・・の出力は、ダイ70の対応する位置における同じ検出器の出力と比較される。」との記載がされているから、訂正事項2は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
そして、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(3)訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項5、9及び13の「前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の性質と、前記基板の表面特徴とを決定する手段」を「前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段」と限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
明細書の発明の詳細な説明の段落【0020】には「本発明の新規な特徴は、種々のタイプの欠陥を検出できるとともに、それらの欠陥を区別できる能力である。散乱電子、透過電子や二次電子を同時に検出でき且つそれらを区別できる本発明によれば、欠陥を即座に分類できる。例えば、X線マスク上の伝達検出器のみにより検出される欠陥は、たぶん吸収物質によって存在しないものとなる。二次電子検出器によっては検出されるが、後方散乱電子検出器では検出されない欠陥は大部分が有機粒子であり、後方散乱電子検出器により検出される欠陥は大きい原子量を有する汚染物質である。」との記載がされているから、訂正事項3は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
そして、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(4)訂正事項4は、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるためのものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、訂正事項4は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(5)したがって、上記訂正は平成6年法律第116号附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法120条の4、3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条1項ただし書、2項及び3項の規定に適合するので、これを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許の請求項に係る発明
本件特許の請求項1ないし30に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明30」という。)は、誤記を除き、上記訂正請求に係る訂正明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1ないし30に記載された次のとおりのものと認める。なお、請求項23冒頭の「前記真空手段」との記載は、請求項23が引用する請求項22に「真空制御手段」との記載はあるが「真空手段」との記載はないので、「前記真空制御手段」の誤記と認定した。
「【請求項1】基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項2】前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】前記x-yステージの位置を決定する干渉計手段を更に有していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板表面に電場を生成して、前記基板の上面から発生する二次荷電粒子を加速する電場形成手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項5】前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】偏向場を発生する手段を有する荷電粒子光学コラムと、
基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンし、
前記偏向場を発生する手段は、前記基板表面からの荷電粒子を前記検出器手段の方に選択的に向けることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項7】前記偏向場を発生する手段は、互いに交差した磁気偏向場と電気偏向場を発生する手段を有することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】前記荷電粒子光学コラムは、前記基板からの二次荷電粒子を前記検出器手段の方に偏向するウィーンフィルタ手段を有することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項10】荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の表面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する半導体検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項11】フィールドエミッション源を有し、荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の表面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項12】前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有することを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面からの二次荷電粒子と、前記基板を透過する透過荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項15】荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面からの二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項16】基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の表面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記荷電粒子ビーム手段の下に存在する前記基板を位置整合させるアライメント手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項17】前記アライメント手段は、前記基板を前記荷電粒子ビーム手段に自動的に位置整合させることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有することを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】前記アライメント手段は、検査される基板の画像パターンを使用して、前記基板の位置整合を自動的に実行することを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項20】前記アライメント手段は、検査される基板を自動的に位置整合させる干渉計手段を有していることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項21】検査すべき基板の像を予め保存するメモリ手段を更に有し、前記メモリ手段と通信するアライメント手段は、保存された前記基板の像を使用して、検査される基板を自動的に位置整合させることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項22】基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
少なくとも一つのエアロック手段を有し、第1基板の周囲の圧力を変化させながら、同時に第2基板を検査するための真空制御手段と、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項23】前記真空手段(決定注 「前記真空制御手段」の誤記と認める。)は、第1と第2基板の各々の圧力環境を独立に変化させ、同時に第3基板を検査する2つのエアロック手段を有していることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項24】荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面から生じる二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子、及び前記基板を透過する透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも二つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項25】基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
複数の基板を検査する場合、前記複数の基板を真空排気し、少なくとも前記複数の基板の一つの検査が行われた後に、真空から常圧まで加圧させるための真空制御手段と、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項26】基板表面に荷電粒子ビームを選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面からの後方散乱荷電粒子と、前記基板を透過する透過荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項27】基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
前記荷電粒子ビームに関する前記基板の位置を決定する干渉計手段と、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項28】前記基板に関して前記荷電粒子ビームを移動させて、前記基板を前記荷電粒子ビームでスキャンする機械的手段を更に有することを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項29】前記荷電粒子ビームを前記基板表面上に偏向させて、前記基板を前記荷電粒子ビームでスキャンする偏向手段を更に有することを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項30】基板の位置を測定することにより、荷電粒子ビームを前記基板上に正確に位置付ける手段と、
前記位置付け手段により測定された結果を用いて前記基板の所望位置に前記荷電粒子ビームを偏向させる手段と、
前記基板表面の前記所望位置を前記荷電粒子ビームでスキャンする手段と、
前記基板の上面と底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする荷電粒子を用いた基板自動検査システム。」
2 刊行物に記載された発明
当審の取消理由通知書で引用した特開昭63-17523号公報(中村孝子提出の甲第1号証。以下「刊行物1」という。)、特開平2-15545号公報(宮崎是提出の甲第2号証。以下「刊行物2」という。)、特開昭59-155941号公報(宮崎是提出の甲第1号証。以下「刊行物3」という。)、特開昭57-95056号公報(宮崎是提出の甲第3号証。以下「刊行物4」という。)、特開平2-142045号公報(中村孝子提出の甲第4号証かつ宮崎是提出の甲第4号証。以下「刊行物5」という。)、B.LISCHKE他「Multi-Beam Concepts for Nanometer Devices」(「JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS」第28巻第10号、1989年10月、2058頁ないし2064頁。中村孝子提出の甲第2号証。以下「刊行物6」という。)、特公平1-30082号公報(中村孝子提出の甲第3号証。以下「刊行物7」という。)、特開平2-158045号(宮崎是提出の甲第7号証。以下「刊行物8」という。)、特開昭60-57929号公報(宮崎是提出の甲第8号証。以下「刊行物9」という。)及び特開昭57-136320号公報(宮崎是提出の甲第9号証。以下「刊行物10」という。)には、以下の発明が記載されている。
(1)刊行物1に記載された発明
刊行物1には、図面とともに、「本発明は、電子ビームをブランキング制御して試料上に所定パターンを描画する電子ビーム描画装置に係り、描画作業のための主要機能を利用して検査作業をできるようにした新規な電子ビーム描画装置に関する。」(2頁右上欄8行ないし12行)、「描画された試料を現像、エッチング等処理して形成されたマスクを検査するための従来の検査装置としては、ダイ比較方式検査装置、データベース比較方式検査装置あるいは走査方式電子顕微鏡が一般的に利用されていた。・・・ダイ比較方式検査装置は、マスク上で隣接するダイのパターンを2つの光学系で同時に撮像しつつ、そのビデオ信号を比較して不一致部分をもって欠陥と判定するものであるから、共通的欠陥は検出できないという致命的欠点がある。データベース比較方式検査装置は光学的に撮像したマスクパターンと当該設計データとを光学的に比較するものであるから比較形態により精度が異なるという欠点がある。」(2頁左下欄11行ないし右下欄7行)、「本発明は、描画作業用の機能を有効利用して迅速かつ高精度の検査をできるようにした電子ビーム描画装置を提供することを目的とする。」(3頁左上欄15行ないし17行)、「本発明は、・・・描画作業と検査作業とを選択的に行なえるよう構成し従来問題点を除去しようとするものである。これがため、設計データに基づいてブランキング制御されたビームを試料に照射して、その試料上に所定パターンを描画する電子ビーム描画装置において、前記試料に代えて取り付けられたマスクからの反射電子を検出してマスク上のパターンを撮像する像検出手段と、この像検出手段の出力から前記設計データに基づく設計パターンデータに対応させた撮像パターンデータを創成するための撮像パターンデータ発生手段と、該設計パターンデータと撮像パターンデータとを比較して該マスクのパターンの欠陥を検出する比較検査手段とを設け、電子ビームを走査しながら前記マスクの検査ができるよう構成し前記目的を達成するのである。」(3頁左上欄19行ないし18行)、「第1実施例は第1図ないし第10図に示され、電子ビーム描画装置は、試料上に電子ビームを走査(スキャン)させつつ描画および検査する装置本体200、・・・外部記憶手段40、・・・CPU50、・・・制御部300と、に大別構成されている。」(3頁左下欄17行ないし右下欄8行)、「測長システム20は、・・・Xテーブル12の移動変位ないし現在値を検出するレーザ干渉計とから形成されている。なお、Y位置検出についても同様である・・・。さらに、電子光学系30は・・・電子銃3から射出された電子ビーム4を試料5上に所定のビーム径をもって所定の位置に照射できるようビームコントロールするための第1コンデンサレンズ31と第2コンデンサレンズ32と対物レンズ33とをこの順で上方から下方側に配置させて形成されている。」(4頁左上欄5行ないし19行)、「電子光学系調整ユニット60は、テーブル駆動手段10、測長システム20、偏向制御ユニット80、・・・反射電子検出器39、校正ユニット90等と協働して電子光学系30の調整を行うものである。電子光学系30の調整とは径路アライメント・・・等調整をいい、好適な描画、検査を行なえるようするものである。従って、描画等条件を変更したとき、あるいは経時的変化等を補正するために一定時間間隔毎に自動的に行う。具体的には、Yテーブル16に固定されたマーク19からの反射電子量を反射電子検出器39で検出しつつ、第1コンデンサレンズ等31、32、33を調整して行う。」(4頁右下欄2行ないし16行)、「偏向制御ユニット80は、テーブル12、16移動時の水平方向の蛇行や振動をリアルタイムで検出した測長システム20からの信号を受けてパターン位置の変動を補正する機能をも備えている。」(5頁右下欄13行ないし17行)、「スキャン制御ユニット62は、測長システム20・・・からXテーブル12およびYテーブル16の移動に伴って発生されるアップ/ダウンパルス信号をカウントして両テーブル12、16の現在値を求めCPU50がいつでも読み取れるようにするとともにCPU50から・・・指令信号を受けて・・・ビット変換ユニット70、偏向制御ユニット80にタイミング信号を送出でき、かつ指定された走査本数が完了するとこれを停止するよう形成されている。ここに、本装置の描画方法は第8図に示すようにX偏向電極37によって電子ビームをX軸方向に走査しつつYテーブル16をY軸方向に連続移動させるとともにXテーブル12を間歇的に移動させて第8図の点線で示したように帯状の領域毎にジグザグ走行させながら実線の方向に順次行われるものとされている。また、テーブル制御ユニット64は、CPU50からの速度、方向および移動距離指定に基づき内蔵したドライバ・・・を介しモータ13、17を駆動させてXおよびYテーブル12、16を制御するものである。」(6頁左上欄20行ないし左下欄3行)、「このようにして・・・マスクをYテーブル16上の所定位置にセットする。」(8頁右下欄3行ないし5行)、「本発明は、・・・描画できるとともに・・・描画されたマスクのパターンを迅速かつ高精度に検査できるという優れた効果を有する。」(11頁右下欄19行ないし12頁左上欄2行)との記載がされている。
(2)刊行物2に記載された発明
刊行物2には、図面とともに、「本発明は、半導体素子ならびにマスクに形成された回路パターンとくにX線露光に使用されるマスクに形成された回路パターンの検査に好適な走査型透過電子顕微鏡によるパターン検出装置及びその方法に関する。」(3頁右上欄10行ないし14行)、「また、SEM、STEMに使用される電子線検出器は、・・・シンチレータと光電子増倍管で検出する方法と半導体検出器で検出する方法がある。」(3頁右下欄3行ないし7行)、「被検査物5を透過した電子の内、検出信号コントラストが最大となる最適検出角に設定された射出絞り22を通過した電子のみシンチレータ7で検出される。」(6頁右上欄6行ないし9行)、「電子線検出器は・・・半導体検出器を使用することも可能である。」(6頁左下欄2行ないし5行)、「光電子増倍管9からの電気信号は増幅器10で増幅され、走査信号と同期して、AD変換器11で量子化し走査透過電子像(STEM像)を得る。・・・比較回路18では、基準画像とSTEM像の位置合せを行うと共に、両者の不一致部を欠陥判定回路19に出力する。欠陥判定回路19では不一致部のうち許容値以上の不一致部のみを欠陥と判定する。」(6頁左下欄5行ないし18行)、「試料ステージ6をステップ送りして全面を検査するのではなく、試料ステージ6を一定速度で移動させ、その移動方向と直角方向に電子線24を偏向コイル4で走査する方法で被検査物5の全面を検査してもよい。」(6頁右下欄3行ないし7行)、「被検査物であるX線マスク33は、マスクホルダ34に入れられ、さらに試料ステージ6に保持され、・・・移動できる。」(7頁右上欄2行ないし5行)、「第20図に広範囲にわたるパターン厚さの変化を検出する方法のブロック図を示す。・・・第21図に本パターン検出装置を応用して異物検査する方法のブロック図を示す。・・・第22図に本パターン検出装置を応用してパターンの寸法を測定する方法のブロック図を示す。」(9頁右上欄17行ないし右下欄1行)との記載がされている。
(3)刊行物3に記載された発明
刊行物3には、図面とともに、「本発明は、電子ビームを用いて、金属または半導体からなる基板上に絶縁膜を有する試料、あるいは該絶縁膜上に任意の形状の金属または半導体が孤立して形成された試料の、前記絶縁膜の欠陥を検査する電子ビーム検査装置に関する。」(1頁左下欄15行ないし19行)、「第6図は、本発明の第1の実施例の電子ビーム検査装置の概略ブロック図である。この図において11は電子ビーム源となる電界放射陰極で、尖針11aとこれに接合されたWフィラメント11bからなる。・・・22は電子ビームの照射により試料32から発生する二次電子を捕集する二次電子検出器、28は増幅器、29は絶縁膜2の欠陥に対応する情報信号を表示するブラウン管を含む表示器である。」(4頁左下欄20行ないし5頁左上欄10行)との記載がされている。
(4)刊行物4に記載された発明
刊行物4には、図面とともに、「本発明は走査形電子顕微鏡・・・を用い、試料表面の微細な形状の観察、大きさの測定、構造組織の分析等・・・を行う際の試料の外観位置決定の方式に関するものである。」(1頁左下欄15行ないし19行)、「ステージの位置の読取りおよび位置決め方法も既知のいずれの方法でもよく、・・・自動式であればパルスモータ、リニアエンコーダ、レーザ干渉測長器等の信号を用いて行えばよい。」(2頁右下欄4行ないし9行)との記載がされている。
(5)刊行物5に記載された発明
刊行物5には、図面とともに、「本発明は、走査形荷電粒子顕微鏡及びその類似装置に係り、特に低加速領域において高分解能でかつ二次電子の高検出効率に好適な荷電粒子光学系に関する。」(1頁右下欄17行ないし20行)、「試料6は電子線2を減速するために負の電圧Vrが印加されている。このとき、出てきた二次電子はこの減速電圧Vrにより逆に加速され、」(3頁左上欄1行ないし4行)、「出てきた二次電子8を検出器9の方に偏向するために偏向器を配置すればよいが、電子線2の軌道に影響のないように電界Eと磁界Bとを直行(決定注 「直交」の誤記と認める。)させたいわゆるE×B形のフィルタ10を対物レンズ5と検出器9との間に配置している。」(3頁左上欄6行ないし10行)との記載がされている。
(6)刊行物6に記載された発明
刊行物6には、図面とともに、「電子ビーム・ナノメトリック描画におけるスループット制限を克服するために、マルチビーム・システムが提案されている。・・・さらに、ナノメータ・パターン検査やイオンビーム技法にも、マルチビームの原理が考慮される。」(訳文1頁2行ないし7行)、「試料と磁極片との間に電圧Vを印加した状態で、・・・この電圧は、各プローブにより、反対方向に発生した二次電子SEを加速させる。」(訳文7頁5行ないし7行)、「偏向システム、例えばウィーナーフィルタ(決定注 原文は「Wien filter」であるので、「ウィーンフィルタ」の誤記と認める。)を用いて、二次電子像を、軸外で、線形イメージセンサ上に置く。」(訳文7頁10行ないし11行)との記載がされている。
(7)刊行物7に記載された発明
刊行物7には、図面とともに、「この発明はLSIマスク等のマスク、半導体ウエハの少なくとも一方のパタン欠陥を検査する装置に関するものである。」(1欄15行ないし17行)、「走査型電子ビーム鏡筒の試料が載置されるステージの上方に設けた二次電子検出器と、上記ステージの上方に設けた反射電子検出器とを備え、電子ビームの上記試料への照射によって発生する二次電子を上記二次電子検出器で検出するとともに、上記照射によって発生する反射電子を上記反射電子検出器で検出して、マスク、半導体ウエハの少なくとも一方のパタン欠陥を検査する」(3欄35行ないし42行)、「表面状態を二種類の検出器で補い合うことによって知ることができ、かつパタン物質と表面付着物との区別が可能となるので、パタン検査精度が向上する。」(4頁左欄12行ないし15行)との記載がされ、5欄の表には「表面状態」が「パタンなし」、「パタンあり」、「付着物A」、「付着物B」の例が示されている。
(8)刊行物8に記載された発明
刊行物8には、図面とともに、「この発明は、例えば電子ビーム露光装置等の、試料上に電子ビームを照射する装置に用いて好適の電子ビーム制御装置に関するものである。」(1頁右下欄4行ないし6行)、「まず、測定前に試料4の表面上に電子ビームEBを走査的に照射するように、CPU13の制御により偏向電圧を発生させるとともに、XYステージ等を駆動制御して試料4の表面のパターン像を画像表示器8上で観察しこのうち任意のパターン像を基準パターン像として選択する。・・・上記ビーム走査時に得られる電流/電圧変換器7からの出力信号(画像信号)を、・・・二値化し、この二値化データを・・・CPU13に取り込むように制御する。そして、CPU13に取り込んだデータは磁気ディスク装置14に格納しておく。ついで、測定を開始するときに電子ビームEBを試料4の表面上の特定パターン位置に照射させるようにCPU13により位置決め制御を行う。・・・上述したようにして、測定の途中で得られた所定領域の二値化データと前述したように測定前に予め格納してある二値化データとをCPU13により比較処理する。・・・この比較結果のデータは、・・・測定途中において生じた電子ビームEBの試料4の表面上のX方向、Y方向におけるドリフト量に対応している。このドリフト量を補正するために、偏向コイル3での偏向感度を考慮してCPU13により直流オフセットバイアス量を算出してそのバイアス量データを出力し、・・・オフセット補正を行わせる。これによって、測定を再開すると電子ビームEBは元の特定パターンに正確に照射されるようになる。」(2頁右上欄9行ないし3頁右上欄7行)との記載がされている。
(9)刊行物9に記載された発明
刊行物9には、図面とともに、「本発明は、LSIウエハやホトマスク、プリント基板などに形成された回路パターンにおける欠陥を自動的、且つ高精度に検出するための方法とその装置に関するものである。」(2頁左上欄19行ないし右上欄2行)、「パターン検出器7、8からはほぼ同一の2値化電気信号が得られるが、これら電気信号を比較判定器12において比較することによってパターンの比較を行うものである。もしもこの比較において違いがあれば比較判定器12は少なくとも何れか一方のパターンに欠陥が存在すると判定するようになっているわけである。」(2頁右下欄5行ないし11行)との記載がされている。
(10)刊行物10に記載された発明
刊行物10には、図面とともに、「本発明は電子線描画装置に係るもので、特に描画マスク又はウエハなと試料の交換装置の改良に関する。」(1頁右下欄7行ないし9行)、「従来方式の試料交換装置は第1図に示すように試料室(1)の横に予備室(2)を設け、上記予備室内には試料カセット(3)を上下に動かせるマガジン(4)を内蔵した構造をしている。このような方法で描画するには予備室内に、試料カセットを数枚入れ試料室と同程度の真空にし、ゲートバルブ(5)を開け、試料装填棒(6)により試料室内テーブル(7)上に送り、1枚ずつ描画をしていく。以上を繰返し予備室内に入れた全ての試料を描画し終ったら、予備室内を大気にし、試料をとり出すものである。」(1頁右下欄15行ないし2頁左上欄4行)、「第2図は本実施例による電子線描画装置の試料室と、予備室(第2室)と第1室と、第3室等との関係を示す概要図で、第3図は第2図のA方向から見た概要図である。図において、(1)は気密に保持されている試料室である。・・・(8)は試料を入れる第1室であり(9)の排気管を有している。・・・(13)は第3室であり排気管(14)を有している。第1室(8)は、予備室(第2室)(2)の側壁に気密的に取付けられており、ゲートバルブ(15a)で仕切られている。また、第3室(13)も予備室(第2室)(2)の側壁に気密的に取付けられており、ゲートバルブ(15b)で仕切られている。・・・また、排気管(9)、(14)、(16)は単独で各室を排気できると共にリーク装置(図示省略)も所有している((9)、(14)は共有してもよい)。本発明装置は以下のような方法で使用する。第1室(8)を大気にし、試料(10)を第1室(8)に入れ、試料室と同程度の真空にする。ゲートバルブ(15a)を開け移動棒(11)によって、試料を予備室内の(10a)の位置におし入れ、ゲートバルブ(15a)を閉じる。(10a)の位置にある試料を操作棒(12)により試料室内のテーブルの上の(10c)の位置にセットし、描画を行う。この間に第1室には前記と同様に試料を入れて真空にする。この場合第1室と一緒に第3室も真空にしておく。・・・次にゲートバルブ(15a)、(15b)を開け、第1と第3室にある試料を移動棒(11)によって、第1室内の試料は予備室(第2室)へ、予備室内の試料は第3室へ、同時に移動させる。次にゲートバルブを閉め、予備室内の試料は操作棒(12)によってテーブル上の(10c)の位置へセットすると同時に第1と第3室は真空から大気にもどし第1室には試料を入れ第3室からは描画された試料をとり出す。」(2頁右上欄16行ないし右下欄18行)との記載がされている。
3 当審の判断
(1)本件発明1について
本件発明1と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1記載の「マスク」、「電子ビーム」、「偏向制御ユニット」と「偏向電極」、「反射電子」、「反射光検出器」(「反射電子検出器」、「像検出手段」に同じ。)、「Y軸方向」、「Xテーブル」と「Yテーブル」、「電子ビーム描画装置」は、それぞれ本件発明1の「基板」、「荷電粒子ビーム」、「荷電粒子ビーム手段」、「後方散乱荷電粒子」、「検出器手段」、「一自由度」、「x-yステージ」、「自動検査のためのシステム」に相当し、刊行物1に記載された発明では、マスクはXテーブル上のYテーブルにセットされ、電子ビームをX軸方向に走査しつつYテーブルをY軸方向に連続移動させているから、本件発明1と刊行物1に記載された発明とは、「基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段」と、「検出器手段」と、「前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージ」とを具備し、「前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャン」する「基板の自動検査のためのシステム」である点(以下「一致点1」という。)で一致し、本件発明1では「検出器手段」が「前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する」ものである点(以下「相違点1」という。)で相違する。
相違点1について検討すると、刊行物1には検出器が反射電子を検出することが示されており、刊行物2には回路パターンの検査を行うパターン検出装置において被検査物を透過した電子を検出することが示されており、刊行物3には電子ビーム検査装置において二次電子を検出することが示されているから、相違点1のように構成することは当業者が適宜に行い得ることである。また、本件発明1の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明1は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
なお、特許権者は、本件発明1について、刊行物1ないし3のような多くの刊行物を組み合わせることの動機はどこにも存在せず、不適当な後知恵にすぎないと主張する。
しかしながら、引用刊行物の数が直ちに進歩性の判断を左右するということはできない。また、刊行物1ないし3には反射電子、透過電子、二次電子を検出する例が示されているのであるから、相違点1のようにする点が格別困難なものというべき根拠は認められない。したがって、特許権者の主張は根拠のあるものということができない。
(2)本件発明2について
本件発明2と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点1で一致し、上記相違点1で相違し、更に、本件発明2では「前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有する」点(以下「相違点2」という。)で相違する。
相違点1については既に検討したとおりである。相違点2について検討すると、例えば刊行物1にも上記のように「描画された試料を現像、エッチング等処理して形成されたマスクを検査するための従来の検査装置としては、ダイ比較方式検査装置、データベース比較方式検査装置あるいは走査方式電子顕微鏡が一般的に利用されていた。・・・ダイ比較方式検査装置は、マスク上で隣接するダイのパターンを2つの光学系で同時に撮像しつつ、そのビデオ信号を比較して不一致部分をもって欠陥と判定するものである」と記載されており、マスクの検査のためにダイの2つのパターンを比較するダイ比較方式検査は一般に周知であり、また、検出を行うために1つの検出器により2つの像等の検出を行うことも、例えば特開昭58-205806号公報(中村孝子提出の甲第6号証)にも示され、一般に周知である。そうすると、このような周知の技術手段を刊行物1に記載された発明に適用して相違点2のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明2の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明、周知の技術手段から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明2は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明、周知の技術手段に基づいて容易に発明をすることができたものである。
なお、特許権者は、刊行物1記載のダイ比較方式検査装置は同じ検出器手段で2つのダイのパターンを検出して比較するものではなく、本件発明2は2つの光学系で撮像する必要はないので設備費及び検査時間を節減できるという格別な効果が得られると主張するが、一つの検出器により2つの像等の検出を行うことが周知であることは上記のとおりであり、特許権者の主張する効果はこのような周知技術による効果であって格別のものではない。
(3)本件発明3について
本件発明3と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明はXテーブルの移動変位ないし現在値を検出する干渉計を用い、Y位置検出についても同様としているものであるから、本件発明3と刊行物1に記載された発明とは、上記一致点1で一致し、更に「前記x-yステージの位置を決定する干渉計手段を更に有している」点でも一致し、上記相違点1で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。また、本件発明3の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明3は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(4)本件発明4について
本件発明4と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点1で一致し、上記相違点1で相違し、更に、本件発明4では「前記基板表面に電場を生成して、前記基板の上面から発生する二次荷電粒子を加速する電場形成手段」を具備する点(以下「相違点3」という。)で相違する。
相違点1については既に検討したとおりである。相違点3について検討すると、上記のように、刊行物5には二次電子を電圧Vrにより加速することが示され、刊行物6には電圧Vにより二次電子SEを加速させることが示されているから、このような技術手段を用いて相違点3のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明4の奏する作用効果も刊行物1ないし3、5及び6に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明4は当業者が刊行物1ないし3、5及び6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(5)本件発明5について
本件発明5と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点1で一致し、上記相違点1及び3で相違し、更に、本件発明5では「前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有している」点(以下「相違点4」という。)で相違する。
相違点1及び3については既に検討したとおりである。相違点4について検討すると、上記のように、刊行物7には二次電子検出器と反射電子検出器とを備え、マスク、半導体ウエハの少なくとも一方のパタン欠陥を検査する装置において表面状態を二種類の検出器で補い合うことによって知ることができ、かつパタン物質と表面付着物との区別が可能となるようにすることが示され、その表にも「表面状態」が「パタンなし」、「パタンあり」、「付着物A」、「付着物B」と分類された例が示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点4のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明5の奏する作用効果も刊行物1ないし3、5ないし7に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明5は当業者が刊行物1ないし3、5ないし7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(6)本件発明6について
本件発明6と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、前示のような相当関係から、「検出器手段」と、「前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージ」とを具備し、「前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャン」する「基板の自動検査のためのシステム」である点(以下「一致点2」という。)で一致し、上記相違点1で相違し、更に、本件発明6では「偏向場を発生する手段を有する荷電粒子光学コラム」を具備し、「前記偏向場を発生する手段は、前記基板表面からの荷電粒子を前記検出器手段の方に選択的に向ける」点(以下「相違点5」という。)で相違する。
相違点1については既に検討したとおりである。相違点5について検討すると、上記のように、刊行物5には走査形荷電粒子顕微鏡及びその類似装置の荷電粒子光学系において二次電子を検出器の方に偏向するために偏向器を配置することが示され、刊行物6にはパターン検査を行うものにおいて偏向システムを用いることが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点5のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明6の奏する作用効果も刊行物1ないし3、5及び6に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明6は当業者が刊行物1ないし3、5及び6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(7)本件発明7について
本件発明7と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点2で一致し、上記相違点1及び5で相違し、更に、本件発明7では「前記偏向場を発生する手段は、互いに交差した磁気偏向場と電気偏向場を発生する手段を有する」点(以下「相違点6」という。)で相違する。
相違点1及び5については既に検討したとおりである。相違点6について検討すると、上記のように、刊行物5には偏向器の配置について電界と磁界を直交させたフィルタを配置することが示され、刊行物6には偏向システムとしてウィーンフィルタを用いることが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点6のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明7の奏する作用効果も刊行物1ないし3、5及び6に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明7は当業者が刊行物1ないし3、5及び6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(8)本件発明8について
本件発明8と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点2で一致し、上記相違点1及び5で相違し、更に、本件発明8では「前記荷電粒子光学コラムは、前記基板からの二次荷電粒子を前記検出器手段の方に偏向するウィーンフィルタ手段を有する」点(以下「相違点7」という。)で相違する。
相違点1及び5については既に検討したとおりである。相違点7について検討すると、上記のように、刊行物6には偏向システムとしてウィーンフィルタを用いて二次電子像をセンサ上に置くことが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点7のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明8の奏する作用効果も刊行物1ないし3、5及び6に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明8は当業者が刊行物1ないし3、5及び6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(9)本件発明9について
本件発明9と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点2で一致し、上記相違点1、4及び5で相違する。
相違点1、4及び5については既に検討したとおりである。また、本件発明9の奏する作用効果も刊行物1ないし3、5ないし7に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明9は当業者が刊行物1ないし3、5ないし7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(10)本件発明10について
本件発明10と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1記載の電子光学系30は電子ビームを試料上の所定の位置に照射できるように第1、第2のコンデンサレンズ、対物レンズを有し、偏向電極によって電子ビームを走査しているから、本件発明10と刊行物1に記載された発明とは、「荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラム」と、「検出器手段」と、「前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージ」とを具備し、「前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャン」する「基板の自動検査のためのシステム」である点(以下「一致点3」という。)で一致し、上記相違点1で相違し、更に、本件発明10では検出器手段が「半導体検出器手段」である点(以下「相違点8」という。)で相違する。
相違点1については既に検討したとおりである。相違点8について検討すると、刊行物2には電子線検出器として半導体検出器を用いることが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点8のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明10の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明10は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(11)本件発明11について
本件発明11と刊行物1に記載された発明とを対比すると、上記一致点3で一致し、上記相違点1で相違し、更に、本件発明11では「フィールドエミッション源」を有している点(以下「相違点9」という。)で相違する。
相違点1については既に検討したとおりである。相違点9について検討すると、上記のように、刊行物3には電子ビーム源として電界放射陰極を用いることが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点9のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明11の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明11は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(12)本件発明12について
本件発明12と刊行物1に記載された発明とを対比すると、上記一致点3で一致し、上記相違点1、2及び9で相違する。
相違点1、2及び9については既に検討したとおりである。また、本件発明12の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明12は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(13)本件発明13について
本件発明13と刊行物1に記載された発明とを対比すると、上記一致点3で一致し、上記相違点1、4及び9で相違する。
相違点1、4及び9については既に検討したとおりである。また、本件発明13の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明13は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(14)本件発明14について
本件発明14と刊行物1ないし10に記載された発明とを対比すると、刊行物1ないし10のいずれにも本件発明の構成要件である「基板の上面からの二次荷電粒子と、前記基板を透過する透過荷電粒子とを検出する検出器手段」を具備する点は示されていない。
宮崎是は、本件発明14は当業者が刊行物2及び3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであると主張する。
刊行物2には走査型透過電子顕微鏡によるパターン検出装置及びその方法において被検査物を透過した電子を検出することが示されており、刊行物3には電子ビーム検査装置において二次電子を検出することが示されているが、前示のように、二次荷電粒子と透過荷電粒子の双方を検出することはいずれの刊行物にも示されておらず、このような組合せが容易に行いうることであるとすべき根拠も見いだせない。
そうすると、本件発明14は当業者が刊行物1ないし10に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(15)本件発明15について
本件発明15と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点3で一致し、本件発明15では「検出器手段」が「基板の上面からの二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子とを検出する検出器手段」である点(以下「相違点10」という。)で相違する。
相違点10について検討すると、刊行物7には、上記のように、パタン欠陥を検査する装置において走査型電子ビーム鏡筒の試料が載置されるステージの上方に二次電子検出器と反射電子検出器とを備えることが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点10のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明15の奏する作用効果も刊行物1及び7に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明15は当業者が刊行物1及び7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(16)本件発明16について
本件発明16と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明では、上記のように、電子光学系調整ユニットがテーブル駆動手段、測長システム20、偏向制御ユニット80、反射電子検出器39、校正ユニット90等と協働して電子光学系の調整、径路アライメント等の調整を一定時間間隔毎等に自動的に行うものであるから、本件発明16と刊行物1に記載された発明とは、「基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段」と、「検出器手段」と、「荷電粒子ビーム手段の下に存在する前記基板を位置整合させるアライメント手段」と、「前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージ」とを具備し、「前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャン」する「基板の自動検査のためのシステム」である点(以下「一致点4」という。)で一致し、上記相違点1で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。また、本件発明16の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明16は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(17)本件発明17について
本件発明17と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明では、上記のように、電子光学系調整ユニットがテーブル駆動手段10、測長システム20、偏向制御ユニット80、反射電子検出器39、校正ユニット90等と協働して電子光学系の調整、径路アライメント等の調整を自動的に行うものであるから、両者は「基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段」と、「検出器手段」と、「荷電粒子ビーム手段の下に存在する前記基板を位置整合させるアライメント手段」と、「前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージ」とを具備し、「前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャン」する「基板の自動検査のためのシステム」であって、「アライメント手段は、前記基板を荷電粒子ビーム手段に自動的に位置整合させる」ものである点(以下「一致点5」という。)で一致し、上記相違点1で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。また、本件発明17の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明17は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(18)本件発明18について
本件発明18と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点5で一致し、上記相違点1及び2で相違する。
相違点1及び2については、既に検討したとおりである。また、本件発明18の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明18は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明、周知の技術手段に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(19)本件発明19について
本件発明19と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点5で一致し、上記相違点1で相違し、更に、本件発明19では「前記アライメント手段は、検査される基板の画像パターンを使用して、前記基板の位置整合を自動的に実行する」点(以下「相違点11」という。)で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。相違点11について検討すると、刊行物8には、上記のように、画像信号を二値化し、この二値化データをCPUに取り込み、磁気ディスク装置に格納し、測定の途中で得られた所定領域の二値化データと予め格納してある二値化データとをCPUにより比較処理し、オフセット補正を行わせ、電子ビームを正確に照射されるようにすることが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点11のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明19の奏する作用効果も刊行物1ないし3及び8に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明19は当業者が刊行物1ないし3及び8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(20)本件発明20について
本件発明20と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明では、上記のように、電子光学系調整ユニットがテーブル駆動手段、測長システム20等と協働して電子光学系の調整、径路アライメント等の調整を一定時間間隔毎等に自動的に行い、また、Xテーブルの移動変位ないし現在値を検出する干渉計を用い、Y位置検出についても同様とするものであるから、本件発明20と刊行物1に記載された発明とは、上記一致点5で一致し、更に、「前記アライメント手段は、検査される基板を自動的に位置整合させる干渉計手段を有している」点で一致し、上記相違点1で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。また、本件発明20の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明20は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(21)本件発明21について
本件発明21と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1には上記のような記載がされているから、本件発明21と刊行物1に記載された発明とは、上記一致点5で一致し、相違点1で相違し、更に、「検査すべき基板の像を予め保存するメモリ手段を更に有し、前記メモリ手段と通信するアライメント手段は、保存された前記基板の像を使用して、検査される基板を自動的に位置整合させる」点(以下「相違点12」という。)で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。相違点12について検討すると、上記のように、刊行物8には画像信号を格納する磁気ディスク装置を有し、測定の途中で得られた所定領域の二値化データと予め格納してある二値化データとをCPUにより比較処理し、オフセット補正を行わせ、電子ビームを正確に照射されるようにすることが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点12のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明21の奏する作用効果も刊行物1ないし3及び8に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明21は当業者が刊行物1ないし3及び8に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(22)本件発明22について
本件発明22と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点1で一致し、上記相違点1で相違し、更に、本件発明22では「少なくとも一つのエアロック手段を有し、第1基板の周囲の圧力を変化させながら、同時に第2基板を検査するための真空制御手段」を具備する点(以下「相違点13」という。)で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。相違点13について検討すると、刊行物10には、排気管16を有する試料室、排気管9を有する第1室、第2室(予備室)、排気管14を有する第3室を備え、排気管9、14、16は単独で各室を排気できると共にリーク装置も所有し、試料を試料室にセットし描画を行い、この間に第1室に試料を入れて真空にすることが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点13のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明22の奏する作用効果も刊行物1ないし3及び10に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明22は当業者が刊行物1ないし3及び10に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(23)本件発明23について
本件発明23と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点1で一致し、上記相違点1、13で相違し、更に、本件発明23では「前記真空手段(決定注 「前記真空制御手段」の誤記と認める。)は、第1と第2基板の各々の圧力環境を独立に変化させ、同時に第3基板を検査する2つのエアロック手段を有している」点(以下「相違点14」という。)で相違する。
相違点1、13については、既に検討したとおりである。相違点14について検討すると、刊行物10記載の試料室、第1室、第3室は各々排気管9、14、16を備え、排気管9、14、16は単独で各室を排気できるものであるから各試料の圧力環境を独立に変化できるものであり、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点14のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明23の奏する作用効果も刊行物1ないし3及び10に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明23は当業者が刊行物1ないし3及び10に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(24)本件発明24について
本件発明24と刊行物1に記載された発明とを対比すると、本件発明10について述べた上記一致点3で一致し、本件発明24では「検出器手段」が「前記基板の上面から生じる二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子、及び前記基板を透過する透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも二つの荷電粒子を検出する」ものである点(以下「相違点15」という。)で相違する。
相違点15について検討すると、上記のように、刊行物7には、二次電子検出器と反射電子検出器とを備え、パタン欠陥を検査することが示されているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点15のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明24の奏する作用効果も刊行物1及び7に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明24は当業者が刊行物1及び7に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(25)本件発明25について
本件発明25と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、上記一致点1で一致し、上記相違点1で相違し、更に、本件発明25では「複数の基板を検査する場合、前記複数の基板を真空排気し、少なくとも前記複数の基板の一つの検査が行われた後に、真空から常圧まで加圧させるための真空制御手段」を具備する点(以下「相違点16」という。)で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。相違点16について検討すると、上記のように刊行物10記載の試料室、第1室、第3室の排気管9、14、16は単独で各室を排気できると共にリーク装置も所有しているから、このような技術手段を用いて刊行物1に記載された発明において相違点16のように構成することは当業者が適宜に行いうることである。また、本件発明25の奏する作用効果も刊行物1ないし3及び10に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明25は当業者が刊行物1ないし3及び10に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(26)本件発明26について
本件発明26と刊行物1ないし10に記載された発明とを対比すると、刊行物1ないし10のいずれにも本件発明の構成要件である「基板の上面からの後方散乱荷電粒子と、前記基板を透過する透過荷電粒子とを検出する検出器手段」を具備する点は示されていない。
宮崎是は、本件発明26は当業者が刊行物2、3及び特開昭59-114821号公報(宮崎是提出の甲第6号証)に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであると主張する。
刊行物2には走査型透過電子顕微鏡によるパターン検出装置及びその方法において被検査物を透過した電子を検出することが示され、刊行物3には電子ビーム検査装置において二次電子を検出することが示され、また、上記特開昭59-114821号公報にはICパターンの検査方法において2次電子検出器13を用いることが示されているが、後方散乱荷電粒子と透過荷電粒子の双方を検出することはいずれの刊行物にも示されておらず、このような組合せが容易に行いうることであるとすべき根拠も見いだせない。
そうすると、本件発明26は当業者が刊行物1ないし10、上記特開昭59-114821号公報に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるということはできない。
(27)本件発明27について
本件発明27と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明では、前示のように、測長システムは、Xテーブル12の移動変位ないし現在値を検出するレーザ干渉計から形成され、Y位置検出についても同様であり、電子光学系調整ユニットは、測長システム等と協働して電子光学系の径路アライメント等の調整を行うものであるから、両者は、「基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段」と、「検出器手段」と、「前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージ」と、「前記荷電粒子ビームに関する前記基板の位置を決定する干渉計手段」と、を具備し、「前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャン」する「基板の自動検査のためのシステム」(以下「一致点6」という。)で一致し、上記相違点1で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。また、本件発明27の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明27は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(28)本件発明28について
本件発明28と刊行物1に記載された発明とを対比すると、上記のように、刊行物1に記載された発明ではX偏向電極によって電子ビームをX軸方向に走査しつつYテーブルをY軸方向に連続移動させるものであるから、両者は、上記一致点6で一致し、更に、「前記基板に関して前記荷電粒子ビームを移動させて、前記基板を前記荷電粒子ビームでスキャンする機械的手段を更に有する」点で一致し、上記相違点1で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。また、本件発明28の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明28は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(29)本件発明29について
本件発明29と刊行物1に記載された発明とを対比すると、上記のように、刊行物1に記載された発明ではX偏向電極によって電子ビームをX軸方向に走査しつつYテーブルをY軸方向に連続移動させるものであるから、両者は、上記一致点6で一致し、更に、「前記荷電粒子ビームを前記基板表面上に偏向させて、前記基板を前記荷電粒子ビームでスキャンする偏向手段を更に有する」点で一致し、上記相違点1で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。また、本件発明29の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明29は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。
(30)本件発明30について
本件発明30と刊行物1に記載された発明とを対比すると、上記のように、刊行物1に記載された発明では電子光学系調整ユニット60が測長システム20等と協働して電子光学系30の調整、径路アライメント等の調整を行い、X偏向電極を用い、電子ビームをX軸方向に走査しつつYテーブルをY軸方向に連続移動させるものであるから、両者は、「基板の位置を測定することにより、荷電粒子ビームを前記基板上に正確に位置付ける手段」と、「前記位置付け手段により測定された結果を用いて前記基板の所望位置に前記荷電粒子ビームを偏向させる手段」と、「前記基板表面の前記所望位置を前記荷電粒子ビームでスキャンする手段」と、「荷電粒子を検出する手段」と、「前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージ」とを具備し、「前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャン」する「荷電粒子を用いた基板自動検査システム」で一致し、上記相違点1で相違する。
相違点1については、既に検討したとおりである。また、本件発明30の奏する作用効果も刊行物1ないし3に記載された発明から予測しうる範囲内のものであり、格別のものではない。
そうすると、本件発明30は当業者が刊行物1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本件発明1ないし13、15ないし25、27ないし30は特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明1ないし13、15ないし25、27ないし30についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電子ビーム検査方法とそのシステム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項2】 前記検出器手段により得られた前記基板の第1パターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】 前記x-yステージの位置を決定する干渉計手段を更に有していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】 基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板表面に電場を生成して、前記基板の上面から発生する二次荷電粒子を加速する電場形成手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項5】 前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】 偏向場を発生する手段を有する荷電粒子光学コラムと、
基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンし、
前記偏向場を発生する手段は、前記基板表面からの荷電粒子を前記検出器手段の方に選択的に向けることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項7】 前記偏向場を発生する手段は、互いに交差した磁気偏向場と電気偏向場を発生する手段を有することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】 前記荷電粒子光学コラムは、前記基板からの二次荷電粒子を前記検出器手段の方に偏向するウィーンフィルタ手段を有することを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】 前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面と性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項10】荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の表面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する半導体検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項11】 フィールドエミッション源を有し、荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の表面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項12】 前記検出器手段により得られた前記基板の第1パターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比較する比較手段を更に有することを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】 前記検出器の出力から、前記基板の欠陥の分類を行うため、前記二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の少なくとも2つで選択的に検出し、前記基板の表面の性質と特徴とを決定する手段を更に有していることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】 荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面からの二次荷電粒子と、前記基板を透過する透過荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項15】 荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面からの二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項16】 基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の表面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記荷電粒子ビーム手段の下に存在する前記基板を位置整合させるアライメント手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項17】 前記アライメント手段は、前記基板を前記荷電粒子ビーム手段に自動的に位置整合させることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】 前記検出器手段により得られた前記基板の第1のパターンを前記検出器手段により得られた前記基板の第2のパターンと比校する比較手段を更に有することを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】 前記アライメント手段は、検査される基板の画像パターンを使用して、前記基板の位置整合を自動的に実行することを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項20】 前記アライメント手段は、検査される基板を自動的に位置整合させる干渉計手段を有していることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項21】 検査すべき基板の像を予め保存するメモリ手段を更に有し、前記メモリ手段と通信するアライメント手段は、保存された前記基板の像を使用して、検査される基板を自動的に位置整合させることを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項22】 基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
少なくとも一つのエアロック手段を有し、第1基板の周囲の圧力を変化させながら、同時に第2基板を検査するための真空制御手段と、
を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項23】 前記真空手段は、第1と第2基板の各々の圧力環境を独立に変化させ、同時に第3基板を検査する2つのエアロック手段を有していることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項24】 荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面から生じる二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子、及び前記基板を透過する透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも二つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項25】 基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
複数の基板を検査する場合、前記複数の基板を真空排気し、少なくとも前記複数の基板の一つの検査が行われた後に、真空から常圧まで加圧させるための真空制御手段と、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項26】 基板表面に荷電粒子ビームを選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面からの後方散乱荷電粒子と、前記基板を透過する透過荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項27】 基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
前記荷電粒子ビームに関する前記基板の位置を決定する干渉計手段と、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする基板の自動検査のためのシステム。
【請求項28】 前記基板に関して前記荷電粒子ビームを移動させて、前記基板を前記荷電粒子ビームでスキャンする機械的手段を更に有することを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項29】 前記荷電粒子ビームを前記基板表面上に偏向させて、前記基板を前記荷電粒子ビームでスキャンする偏向手段を更に有することを特徴とする請求項27に記載のシステム。
【請求項30】 基板の位置を測定することにより、荷電粒子ビームを前記基板上に正確に位置付ける手段と、
前記位置付け手段により測定された結果を用いて前記基板の所望位置に前記荷電粒子ビームを偏向させる手段と、
前記基板表面の前記所望位置を前記荷電粒子ビームでスキャンする手段と、
前記基板の上面と底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子及び透過荷電粒子の3タイプの荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンすることを特徴とする荷電粒子を用いた基板自動検査システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、超小型電子回路の作成に使用される種々の記述基板の自動検査に関し、特にX線リソグラフィーに使用されるマスクの検査に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
適正な歩留りを有する超小型電子回路の生産に必要な条件は、製造プロセスで使用されるマスクに欠陥がないことである。過去12年間に多くのシステムが、光学マスクの自動検査に対して開発され、特許されてきた。例えばU.S.P.4,247,203号及び4,805,123号を参照して下さい。これらのシステムでは、フォトマスク或いはレチクル上の二つの隣接するダイ間を比較している。同様に、技術の進展によってレティクル上のダイを検査するのにCAD(Computer Aided Design)のデータベースとダイとを比較することによって達成する方法がもたらされた。U.S.P.4,926,487を参照。しかしながら、X線マスクの欠陥は可視或いは紫外スペクトルでは見えないので、この様な光学システムは光学マスクに限定されている。更に光学検査は、基本的な回折限界によりその解像度に限界があり、その回折限界によりもちろん光学リソグラフィーも制限されている。位相シフトマスク技術を用いても、光学リソグラフィー技術では0.35ミクロン以下の線幅は達成できず、X線リソグラフィーを用いるとそれよりも小さな線幅を達成できることが予想されている。
【0003】
X線マスクの検査として、走査型電子顕微鏡技術が使用されることが期待されている。最近各会社は従来の電子顕微鏡をX線マスク検査に使用することを実験している。これらの実験において欠陥を検出することに成功しているが、従来の電子顕微鏡を用いると検査に時間がかかり、かつ非常に高度の熟練したオペレータを必要とする。このような2つの観点からその様なシステムを半導体製造に使用することは実際的でない。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の好ましい実施例によると、荷電粒子スキャンシステムと自動検査システムに対する方法と装置が開示されている。ある実施例には、基板の自動検査システムと方法が開示されていて、前記システムは、
基板表面に荷電粒子ビームを送ってスキャンする荷電粒子ビームコラムと、
前記基板の上面或いは底面からくる3種類の荷電粒子(即ち、2次荷電粒子、後方散乱荷電粒子と透過荷電粒子)の少なくとも1つを検出する検出手段と、
前記基板を支持し、前記基板が荷電粒子ビームによりスキャンされている間に基板に少なくとも一自由度の運動を与えるように配置されたx-yステージと、を含んでいる。
【0006】
第2の実施例には、基板の自動検査システムと方法が開示されていて、前記システムは、
基板表面に荷電粒子ビームを送ってスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板表面に電場を発生させて、前記二次荷電粒子を加速する電場発生手段と、
前記基板の上面或いは底面から発生する3種類の荷電粒子、即ち二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子または透過荷電粒子のうちの少なくとも一つを検出する検出手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を含み、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0007】
第3の実施例には、基板表面に荷電粒子を方向付けする荷電粒子スキャンシステムと方法が開示されていて、前記システムは、
互いに交差した磁場と電場の偏向場を生成して前記基板の表面から発生する荷電粒子を選択的に方向付けする手段を有する荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面或いは底面から発生する3種類の荷電粒子、即ち二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子または透過荷電粒子のうちの少なくとも一つを検出する検出器手毅と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を含み、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0008】
第4の実施例には、基板表面に荷電粒子ビームを方向付けする荷電粒子スキャンシステムと方法が開示されていて、前記システムは、
荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の表面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子または透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する半導体検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0009】
第5の実施例には、基板表面に荷電粒子を方向付けする荷電粒子スキャンシステムと方法が開示されていて、前記システムは、
フィールドエミッション源を有し、荷電粒子ビームを基板表面に選択的に向ける荷電粒子光学コラムと、
前記基板の表面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子または透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0010】
第6の実施例には、基板表面に荷電粒子を方向付けする荷電粒子スキャンシステムと方法が開示されていて、前記システムは、
前記基板の表面に荷電粒子を選択的に方向付けする荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面からの二次荷電粒子と、前記基板を透過する透過荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を含み、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0011】
第7の実施例には、基板表面に荷電粒子を方向付けする荷電粒子スキャンシステムと方法が開示されていて、前記システムは、
前記基板の表面に荷電粒子を選択的に方向付けする荷電粒子光学コラムと、
前記基板の上面からの二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を含み、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0012】
第8の実施例には、基板の自動検査システムと方法が開示されていて、前記システムは、
基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から生じる、二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子または透過荷電粒子のうちの少なくとも一つの荷電粒子を検出する検出器手段と、
前記荷電粒子ビーム手段の下に存在する前記基板を位置整合させる光学的アライメント手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を具備し、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0013】
第9の実施例には、基板の自動検査システムと方法が開示されていて、前記システムは、
前記基板の表面に荷電粒子ビームを送ってスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から発生する3種類の荷電粒子、即ち二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子または透過荷電粒子のうちの少なくとも一つを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
同時に真空排気し、第2の基板の検査中に、最初或いは別の一枚の基板を真空から加圧にて常圧に戻すための真空制御手段と、を含み、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0014】
第10の実施例には、パターンが形成された基板の自動検査システムと方法が開示されていて、前記システムは、
前記基板の表面に荷電粒子ビームを送ってスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から発生する3種類の荷電粒子、即ち二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子または透過荷電粒子のうちの少なくとも一つを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
前記基板のパターンを第2のパターンと比較する比較手段と、を含み、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0015】
【0016】
第12の実施例には、基板表面に荷電粒子を方向付けする荷電粒子スキャンシステムと方法が開示されていて、前記システムは、
前記基板表面に荷電粒子を選択的に方向付ける荷電粒子光学コラムと、基板の上面からの後方散乱荷電粒子と、基板を通過する透過荷電粒子とを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、を含み、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0017】
第13の実施例には、基板を自動的に検査するシステムと方法とが開示されていて、前記システムは、
基板表面に荷電粒子ビームを送りスキャンする荷電粒子ビーム手段と、
前記基板の上面或いは底面から発生する3種類の荷電粒子、即ち二次荷電粒子、後方散乱荷電粒子または透過荷電粒子のうちの少なくとも一つを検出する検出器手段と、
前記基板を保持し、前記基板が前記荷電粒子ビームによりスキャンされている間に、前記基板に少なくとも一自由度の連続移動を行わせるx-yステージと、
検査の前に複数の基板を同時に排気し、その同じ基板を再び加圧し、その後に前記複数の基板のうちの少なくとも一つの検査を行う真空手段と、を含み、
前記x-yステージが連続的に移動している間に前記荷電粒子ビームを前記ステージの移動方向に対して略垂直な方向にスキャンする。
【0018】
【作用及び発明の効果】
本発明は、製造現場のX線マスクや同様な導電基板を自動的に検査する荷電粒子ビームを用いた経済的に実現できる検査システムを提供する。以下の説明では電子ビームが使用されるが、同様の技術が他のタイプの荷電粒子ビームに適用でき、したがって以下に示される電子ビームだけに限定されるものではない。本発明は、X線マスク、電子ビーム近接マスクやステンシルマスクの検査に対して有用に使用されるが、ここに開示される技術は任意の導電物質の高速電子ビームイメージングに適用可能であり、更にマスクやウェハーの製造でフォトレジストを露光するための電子ビーム書込みに対しても有用である。
【0019】
現在の走査型電子顕微鏡は、非常に遅いスキャンスピードを有し且つ通常の技能を越えたオペレーターの技能を必要とするので、経済的に実行可能な要求を満たすことはできない。
【0020】
本発明の新規な特徴は、種々のタイプの欠陥を検出できるとともに、それらの欠陥を区別できる能力である。散乱電子、透過電子や二次電子を同時に検出でき且つそれらを区別できる本発明によれば、欠陥を即座に分類できる。例えば、X線マスク上の伝達検出器のみにより検出される欠陥は、たぶん吸収物質によって存在しないものとなる。二次電子検出器によっては検出されるが後方散乱電子検出器では検出されない欠陥は大部分有機粒子であり、後方散乱電子検出器により検出される欠陥は大きい原子量を有する汚染物質である。X線マスク上の有機汚染物質のようなある種の欠陥はウェハー上にプリントされないので、種々のタイプの欠陥を区別できる能力は本発明の重要な利点である。この様に本発明によれば、欠陥を検出できるだけでなく、それらの欠陥を区別できる。
【0021】
このシステムは、半導体製造に適した多くの技術を使用する。汚染物質が掻き回されるのを防止するために、真空排気スピードと真空から常圧に戻す加圧スピードが制限され、気体の流れが層流の状態に保たれる。時間を節約するために、これらの動作は他のサンプルのスキャンと同時になされる。生産的でない時間を更に減じるために、6個の場発生源がタレット上に設けてある。最後に、通常オペレーターにより操作される電子ビームの主な調整は、コンピュータによりなされ、比較的技能の低い者でもシステムを使用できる。
【0022】
【実施例】
図1には本発明の検査システム10の全体のブロック図が示されている。システム10では、X線マスクや他の導電基板の自動検査装置が示されていて、そのセンサーとして走査型電子顕微鏡が使用されている。
【0023】
この検査システムは2つの動作モード、即ちダイ・ダイとダイ・データベースとを有している。両方のモードにおいて、欠陥は、マスクをスキャンすることにより導かれる電子ビーム像を基準と比較することにより検出される。ダイ・ダイ検査では、同じマスクの2つのダイからの信号が互いに比較され、一方ダイ・データベース検査では、電子顕微鏡から導かれる一つのダイからの信号が、ダイを作るのに使用されたデータベースからの信号と比較される。
【0024】
検査されるマスク57はホルダーに保持され、そのホルダーはマスクハンドラー34によってx-yステージ24上の電子ビームコラム20の下に自動的に位置付けられる。これはシステムコンピュータ36によってマスクハンドラー34に命令を送ることによって達成され、マスク57上のフラットやノッチ59(図2及び3を参照)を自動的に検出してハンドラー34でマスク57を適切に方向付けながら対象マスク57をカセットから取り出す。マスクはそれからコラム20にロード(装填)される。次に、オペレーターは光学アライメント系22を通してマスクを直接観察しつつ、マスク上の位置合わせ点を探し且つ確認(オペレータはマスク上のある特徴あるパターンを使用してこの作業をして良い。)する。これによって、ステージのx方向への移動がマスク上の検査領域のx軸と実質的に平行になっているのを見届ける。即ちマスク上ではこの様にして求められた領域が検査対象領域になる。これで粗いアライメント(位置合わせ作業)が終わる。
【0025】
オペレータは続けて最終のアライメントを行う。オペレーターは電子ビームにてマスクをスキャン(走査)し、画像ディスプレイ46に現れる像を観察する。それからすべての位置合わせ関連データをアライメントコンピュータ21に保存する。このコンピュータは、システムコンピュータ36と協調して作動し、x軸とy軸に沿った実際の総合的なあるべきx、y動作を計算する。これによってこの先オペレーターの位置合わせ作業は同一マスクに関しては一切不要になる。マスクの位置整合が正しくとれた時点で検査工程の初期条件は整ったことになる。
【0026】
コラム20とその光学アライメントシステム22、アナログ偏向回路30と検出器32は、以下に詳細に説明されるように、電子ビームをマスク57に入射させ、二次電子、後方散乱電子及びマスク57を透過する電子を検出する。上記作業の展開とデータの収集は、勿論コラム制御コンピュータ42、ビデオフレームバッファ44、画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ48、偏向コントローラ50、メモリブロック52の支援があって初めてなされるのである。VMEバス、即ちVME1,29はサブシステム間の通信リンクとして機能する。
【0027】
マスク57の検査期間におけるステージ24の位置と移動は、偏向コントローラ50、メモリブロック52とアライメントコンピュータ21の制御のもとで、ステージサーボ26と干渉計28とによって制御される。
【0028】
比較モードがダイ・データベースである場合には、メモリブロック52と通信しているデータベースアダプター54は、期待されたダイフォーマットと等価である信号源として使用される。
【0029】
実際の欠陥処理は、ポストプロセッサ58と結合している欠陥プロセッサ56によって、メモリブロック52のデータに基づきなされる。ポストプロセッサ58と欠陥プロセッサ56間の通信は、バスVME2 31を介してなされる。
【0030】
全体のシステムの動作は、イーサネットバス(Ethernet bus)に類似しているデータバス23を介して他のブロックと通信を行いながら、システムコンピュータ36、ユーザキーボード40とコンピュータディスプレイ38によってなされる。エザーネットはゼロックス会社の商標である。
【0031】
次に、図2にはダイ・データベースモードでの検査を行う本発明のスキャンパターンが示されている。ここではマスク57上に一つのダイ64が示されている。ダイ64内には検査すべき関心領域65或いは重要領域が存在する。この領域はマスク57上に重要な情報が記録されている領域である。ダイ64の検査をしているときに、x軸方向のスキャン移動は移動ステージ24によりなされ、y軸方向の移動は図示されたスオーシュ(刈り幅)60と同じ広さを有する各スオーシュ内に電子ビームを偏向することによりなされる。検査スオーシュがダイ64の右側に達すると、ステージ24は全体のスオーシュ幅以下でy方向に移動される。マスク57のx-y座標系はステージ24とコラム20のx-y座標系に正確に一致しないので、ステージ24の実際の移動とコラム20のビーム偏向は、それぞれ、ダイ64のスキャンの間にxとy成分をもつ。
【0032】
関心領域65を十分に検査するために、検査はパターン62を前後に移動して行われる。パターン62によって示される各軌道は、図示されたスオーシュ60の幅を有する隣接スオーシュとわずかに重なるスオーシュである。
【0033】
ダイ・データベースモードでは、各スオーシュに対応する信号が、完壁ダイの対応するスオーシュに対するデータベースアダプター54からのシミュレーションされた信号と比較される。この処理は、次のダイが検査される前に検査すべき関心領域65の各スオーシュに対して繰り返される。
【0034】
図3はダイ・ダイ検査のスキャンパターンを示していて、マスク57は左から右にダイ68、70、66を有している。この検査モードでは、図2に示されたものと同様に、前後に移動されるスキャンパターン63が使用されている。しかし、検査モードはダイ・ダイモードであるので、ステージ24は、3個のダイが各スオーシュに沿ってx軸方向に移動されるまでy方向には進行されない。
【0035】
このモードでは、ダイ68の第1パス(行程)のデータはダイ70の第1パスのデータと比較するためにメモリブロック52にストアされる。ダイ68とダイ70とが比較されている同じときに、ダイ70のデータは、ダイ66の第1パスからのデータと比較するためにメモリブロック52にストアされる。次に第2のパスへ進む、即ちリターンすると、パスの順序は逆になり、ダイ66の第2のパスからのデータはダイ70からのデータと比較するためにストアされ、ダイ70からのデータはダイ68の第2のパスからのデータと比較するためにストアされる。この検査と比較のパターンは、マスク57の関心領域の全てを検査するに必要な回数ほど繰り返される。
【0036】
より詳細には、ダイ・ダイモードを使用して、電子ビームがダイ68と70のスオーシュをスキャンすると、3種類の検出器からの信号33が取得前置プロセッサ48に送られ、メモリブロック52にストアするためにデジタル信号に変換される。ダイ68、70からのデータが欠陥プロセッサ56に同時に送られると、2つのデータ間の重要な不一致が欠陥として指定される。次に欠陥プロセッサ56からの欠陥データを蓄積してポストプロセッサ53に送られ統合される。ポストプロセッサは、欠陥のサイズや種々の特性を決定し、その情報をシステムコンピュータ36がバス23を介して利用可能な状態にする。
【0037】
ダイ・データベース検査モードでは、システム10は上記と同様に動作するが、メモリブロック52が一つのダイからのデータを受信する点、欠陥プロセッサ56での比較のための参照データがデータベースアダプター54によって提供される点が異なっている。
【0038】
全てのマスクが検査されると、欠陥のリストと共にその位置がコンピュータディスプレイ38に表示され、オペレーターはキーボード40によって欠陥見直しを開始できる。この命令に応答して、システム10は各欠陥の周囲をスキャンし、オペレーター用にその像をディスプレイ46上に表示する。
【0039】
スキャン光学
スキャン光学あるキー要素とコラム20の特別な設計によって、殆ど100倍以上の画像形成スピードが達成される。高速の画像形成スピードを達成する際にまず真っ先に必要な条件は、より高いビーム電流である。というのはS/N比を考慮することが画像形成スピードにおける基本的制限であるからである。本発明では、高輝度の熱放射場源が、鋭角の非常に高いビーム強度と非常に高いビーム電流を生成するのに使用されている。しかし、電子電流が高いとクーロン相互反発作用が発生する。このことを解決するために、高電場はカソードの近傍に形成され、ビーム系がまた急速に拡大される。コラムの設計には、その領域における電荷密度を上昇させる電子のクロスオーバーがないようにし、クーロン反発作用問題を少なくするために大きな開口数が使用されている。
【0040】
マスクを高速度、例えば100メガピクセルでスキャンするための要求に対して、検出器は、二つの連続するスキャンピクセルからの二次(リターン)電子を一時的に分離することができる。このことは、各ピクセルのドウェル時間に比較して、到着時間があまり広がっていないことが要求されていることを意味する。各ピクセルでの到着時間の広がりを少なくするために、電子はターゲットを離れた後にすぐに加速される。検出器での到着時間の広がりは結果として約1ナノ秒に維持される。到着時間の広がりを更に少なくするために、逆バイアスされた高周波ショットキーバリア検出器が、検出されるべき各タイプの電子に対して用いられる。このショットキー検出器は単に例として示されたのであって、使用可能な他のタイプの半導体検出器を使用してもよい。
【0041】
電子光学
電子光学サブシステムは、走査型電子顕微鏡に機能的には似ている。それには、スキャン電子ビームプローブと、マスク表面の像形成に必要な二次電子、透過電子と後方散乱電子検出素子が設けられている。検査の間、電子ビームはある方向にスキャンされ、一方ステージはそれに直角な方向に移動される。低電圧の二次電子、高エネルギーの透過電子或いは後方散乱電子のいずれかがビデオ信号を生成するために使用され、その信号はデジタル化されて長短スオーシュ像の形でストアされる。高解像度の自動化された欠陥検出への応用がユニークであるばかりでなく、この光学システムの新規な点は、検査に必要な解像度で高速かつ低ノイズの像を得るのに使用されている新規な技術と従来の技術とを組み合わせている点である。
【0042】
ビームは、典型的には、非常に高速な5マイクロ秒周期ののこぎり波掃引を使用して、512ピクセル(18-100□m幅)のフィールドをスキャンする。偏向は歪みを発生することはなく、表面にほぼ垂直であり、従って画像特性はスキャンフィールドで一様である。
【0043】
検出は効果的に行われ、プローブ中の各電子により発生される二次電子の大部分が像形成に使用される。検出システムのバンド幅は、短い走行時間効果によりピクセルレイトに匹敵している。二次電子は共軸で抽出されるので、エッジがマスク上でどのような方向を向いていようとも、エッジ形状の正確な画像が得られる。
【0044】
図4は、光学システムの要素と、その機能を理解するために必要な関連するある電源を示している。電子銃は、熱放射場カソード81、放射制御電極83とアノードアパーチャを有するアノード85とからなる。カソード81は、電源99によって-20KeVのビーム電圧に保持されている。カソード81の表面の電界強度に依存するエミッション電流は、カソード81の電圧に関して負であるバイアス供給源91に接続された電極83の電圧によってコントロールされている。カソード81は電流源93によって加熱される。カソード81の近くの磁気コンデンサレンズ95は電子ビームをコリメートするために使用される。上部の偏向システム97は、アラインメント(位置整合)、スチグメーション(無非点収差)及びブランキングのために使用される。この光学系には更に、数個のホールからなるビーム制限アパーチャ99が設けられている。ビーム100は一対の静電気プレレンズ偏向器101、103によって偏向され、ビームは対物レンズ104上の点の回りに収束される。対物レンズ104は下部極片106、中間電極107と上部極片105とからなる。ビームは結局、マスク57上を中心に遠隔操作されてスキャンされる。殆ど平行なビームが対物レンズ104によって再度収束され、マスク57を照らす1x倍に拡大された像を形成する。
【0045】
二次電子イメージモードでは、二次電子が対物レンズ104を通って上の方に取り出される。ステージ24、マスク57と下部のレンズ極片106は電源111によって数百ボルトの負の電位にフローティングされていて、その結果二次電子は偏向器112と113を通る前にこのエネルギーに加速される。中間電極107は、電源115によってステージに関して正にバイアスされていて、マスクを離れるとすぐ電子を加速し、基板の欠陥領域から発生する二次電子を効率よく集める目的で使用される。フローティングステージ24と中間電極107の組み合わせにより、二次電子検出器117への電子走行時間のムラが実質的に除去される。二次電子はレンズ104を通って再び後方に戻るので、帰還二次電子はウイーンフィルタとして機能する偏向器113、112によって検出器117の方に偏向される。ここで、リターンビームは検出器117のアノード118に接続された電源119により高エネルギー状態に再加速され、二次電子を増幅に充分なエネルギーレベルでショットキーバリア固体検出器117に衝突させる。検出器ダイオード117は電源121により逆バイアスされている。検出器ダイオード117からの増幅信号は前置増幅器122に送られ、そこからビデオ取得前置プロセッサ48と関連する電子回路とに、図1の信号33の二次電子コンポーネントである高電圧絶縁ファイバ光学リンク125を介して送られる。
【0046】
部分的に透明な基板の検査を可能とするために、透過電子検出器129がステージ24の下に設けられている。透過電子はマスク57を高エネルギーで通過し、再加速を必要としない。上部素子123、中央素子124と下部素子127とからなる透過静電レンズが、透過電子ビームをショットキーバリア固体検出器129による検出に適した径に広げるために使用される。電極123はステージ24と同じ電位に保持され、一方電極124は電源114により0から-3KVに保持される。透過電子検出器129からの信号は増幅器133により増幅され、図1の信号33の透過電子コンポネントであるファイバ光学リンク135により伝送される。
【0047】
光学システムはまた、一次電子とほぼ同じエネルギーレベルで基板表面を離れる後方散乱電子の収集を可能とするように設計されている。後方散乱電子検出器160は、一次電子がそれを通過できるホールを有している点を除いて検出器117に類似したショットキーバリアダイオード検出器である。後方散乱信号は前置増幅器162により増幅され、また前置プロセッサ48に送られる。
【0048】
図5は、コラム20内及びマスク57の下の種々の電子ビーム通路(パス)の概略図である。電子はフィールドエミッションカソード81から径方向に放射され、非常に小さな輝点源から発生したように見える。加速場とコンデンサレンズの磁場との結合した作用の基で、ビームは平行ビームにコリメートされる。ガンアノードアパーチャ87は使用できない角度で放射された電子を阻止し、一方残りのビームはビーム制限アパーチャ99に入射する。図4の上部偏向器97は最終のビームが丸くなり、図4の素子105、106、107からなる対物レンズの中心を通ることを保証するためにスチグメーションとアライメント用に使用される。図4のコンデンサレンズ95の中心は、カソード81と制限アパーチャ99により規定された軸に機械的に一致している。偏向作用により、電子は示されたパスを通り、その結果スキャンされ収束されたプローブ、即ち基板の衝突点のビームは対物レンズ104から出てくる。
【0049】
スキャンビーム100の径とその電流は、数個のファクターにより決定される。放射源からの角エミッション(1.0mA/ステラジアン)と、最終アパーチャ99により規定されるアパーチャ角は、ビーム電流を決定する。プローブ径は両レンズの収差によって決定され、両レンズは球面収差と色収差を小さくするために高励起(フィールド幅/焦点距離)に対して設計されている。ビームの相互作用効果(個々のビーム電子間の反発による統計的ぼけ)は、マスク57上のプローブサイズの半分を占めるこのような高電流システムにおいて重要である。これらの効果は、中間的クロスオーバーを避け、40cmの短いビームパスを使用し、電子源及びマスク57において比較的大きな半角のレンズを使用することにより小さくできる。所定のビームスポットを得るために、アパーチャ径は、最大可能電流を供給しながらこれらの効果をバランスさせるように選択される。ビーム源からのビームを拡大したり或いは縮小したりするためにレンズ強度を変化させることは可能であるが、この様なシステムでは、スポットサイズがアパーチャを使用してまず調整される。
【0050】
図4のウイーンフィルタ偏向器113は、高エネルギーのスキャンビーム100に殆ど影響を与えないで、約100eVの二次電子ビーム167を偏向する。ウイーンフィルタは、静電的8極偏向器112と4極磁気偏向器113からなり、互いに直角に電場と磁場をクロスするように配置されている。帰還二次電子は両方の場によって側方に偏向される。しかしながら、一次スキャン電子100は反対方向に移動しているので、ウイーンフィルタが二次ビーム167を広角に偏向しても、ウイーンフィルタが一次スキャンビーム100に力を及ぼさないようにこれらの場の強度を選択しなければならない。ウイーンフィルタと呼ばれているものは共軸抽出に対して効果的に使用される。二次電子偏向器117のアノード118は、再加速の間にビーム167が固体検出器117のコレクタに集められ収束されるような形状をしている。
【0051】
図5には、検出される透過電子と後方散乱電子のパスが示されている。後方散乱電子を検出するために、ウイーンフィルタ112、113のみがオフされ、従って、これらの電子は同じパスを通ってシステムの上方に進み、環状の後方散乱検出器160へ至る。透過電子は、マスク57と図4の電極システム123、124を通過し、透過電子検出器129の表面を満たすように広がった後、高エネルギーで検出器129に衝突する。
【0052】
図6に示すように、制限されたカソード寿命に対する電子銃の寄与を少なくするために、電子銃構造は高電圧に浮いている6角形の回転タレット137上に設けられた6個のカソード/制御電極構成を含んでいる。各構成はアノード87上の位置に回転され、図4の適当な電源91、93と電気的接触を保ちながらその位置にロックされる。
【0053】
図4の前置レンズ偏向器101、103からなる静電的偏向システムは、高スピードの鋸波偏向電圧によって駆動される非常に均一な場を必要とする。その構造は、モノリシックなセラミック/メタル構成であり、エッチングされて20個の偏向プレートを形成している。4個のドライバが各2つのステージに対して必要であって、ステージ24とマスク57の座標システムとマッチするように回転されるスキャンを達成する。
【0054】
自動チューニングとセットアップが、オペレーターの操作を簡略化するために設けられている。レンズと偏向/スチグメーション素子と全ての高電圧制御源はDAC制御の下にあり、図1のようにコラム制御コンピュータ42にインターフェースされている。種々の場合に、特定の機能に対する偏向比と静電プレート電圧を調整するルーチンは、コラム制御コンピュータ42に内在していて、ガン制御とセットアップは、定格値に基づいていて、エミッション電流、アパーチャ電流と電源設定にたいするA/Dフィードバックを使用して適用可能なルーチンによって変更される。
【0055】
ビームをセンターに位置付けるには、レンズ電流が変化したときに偏向を除去する他の公知のルーチンに基づいてなされる。これらの操作は、2軸フレームスキャン機能によってイメージされる特定のテストサンプルを使用していて、それらはアラインメントと検査に必要な画像分析能力を利用する。焦点はマスクの高さの変化を補償するために自動的に維持され、一方スチグメイションが検査の前になされる。これらのルーチンは、取得前置プロセッサ48とそれに関連した電子回路を使用した、画像のコントラストと調和内容の解析に基づいている。
【0056】
本発明では、光学系の定格動作状態は20KeVのビームエネルギーを使用し、ビーム電流とスポットサイズの関係は、0.05□mでの300nAから0.2 □mでの1,000nAまで変化する。スキャンスピードは、100メガピクセル/秒で画像形成される512ピクセルスキャンフィールドを使用して5マイクロ秒である。検出器117のダイオード電流増幅率は、5KeVでの約1000から20KeVでの5000である。全体のシステムは、0.05□mスポットを使用する100メガピクセル/秒で約14%のエッジコントラスト以上のサンプルに対してこの動作状態領域以上を達成する。取得電子回路は、1以上のスキャンラインを集積化するために設けられ、低バンドで記録されるべき低コントラストの像と高解像度の像が得られる。
【0057】
欠陥プロセッサ
ダイ・ダイ検査の場合には、欠陥プロセッサ56の機能は、ダイ68から導出された画像データをダイ70から導出された画像データと比較することであり、ダイ・データベース検査の場合には、ダイ64から導出された画像データをデータベースアダプター54から得られるデータと比較することである。欠陥プロセッサ56のルーチンと基本的構成は、米国特許第4,644,172号に開示された欠陥プロセッサと略同じである。米国特許第4,644,172号は、1987年2月17日に発行され、本出願の出願人に譲渡された、サンドランド等による”自動ウェファ検査システムの電子制御”であり、欠陥を決定するのに3つのパラメータを使用している。一方、本発明の4つのパラメータを使用している。
【0058】
ダイ・ダイ検査或いはダイ・データベース検査のどちらも、メモリブロック52から全てのデータを得ていて、そのデータは各検出器に対してピクセル当たり6ビットの形式を使用している。欠陥プロセッサ56では、下記の4つのパラメータが2入力の各検出器の各ピクセルに対して決定される。
【0059】
a. I:ピクセルのグレイスケール値
b. G:グレイスケールピクセルの傾きの絶対値
c. P:グレイスケール値の傾きの位相又は向き
d. C:局所的傾き関数の輪郭の曲率グレイスケール値は、特定のピクセルに対するメモリブロック52の単なる値である。傾きの大きさと傾きの方向は、まずxとyの通常の演算子成分を計算して得られる。
【0060】
【数1】

従って傾きの大きさは[(Sx)2+(Sy)2]1/2であり、方向はtan-1(Sx/Sy)である。
【0061】
曲率は以下のように定義される。
【0062】
【数2】

ここで、係数aijは状況に依存して選択されるパラメータの組であり、Rijは以下のように定義される
【数3】

ここで、Iijは、画像のi番目の列とj番目の行におけるピクセルのグレイスケール値であり、aijとbklは経験的に得られるパラメータである。
【0063】
好ましい実施例における代表値は以下の通りである。
【0064】
【数4】

上述した方法で、量I,G,P,Cは画像の各ピクセルに対して定められる。ダイ68の所定のピクセルAに対して、これらのパラメータはダイ70の対応するピクセルBのパラメータと比較され、更にピクセルBに隣接する8個のピクセルのパラメータと比較される。もしもピクセルBに隣接する各ピクセルに対して、少なくとも一つのパラメータがピクセルAの同じパラメータと所定の許容誤差以上の値だけ相違していると、ピクセルBは2つのダイの欠陥と見做される。
【0065】
同様にして、ダイア0の各ピクセルのパラメータはダイ68の対応する隣接ピクセルのパラメータと比較され、その結果適当なピクセルが欠陥を有していると見做される。
【0066】
このアルゴリズムの物理的実行は、上述の米国特許第4,644,172号に開示されたパイプラインロジックでなされる。行列演算は、100メガピクセル/秒の速度で欠陥データを計算できるパイプライン計算システムに接続されたApplicationSpecific Integrated Circuit(ASIC)で実行される。
【0067】
偏向器コントローラ
ダイ・ダイモードでは、偏向器コントローラ50の機能は、ダイ68の各スオーシュ60内の等距離グリッド点に電子ビーム100を位置付けることである。この結果、検出器129、160、117の出力は、ダイ70の対応する位置における同じ検出器の出力と比較される。同様に、ダイ・データベースモードでは、データベースアダプター54から得られるシミュレートされた画像は、ダイからの検出器117の出力と比較される。偏向器コントローラ50は、図7と以下の説明に示されるように、ステージ24と電子ビーム100の位置を制御してこれを実行する。
【0068】
スオーシュにおける第1のダイ1をスキャンする場合には、アライメントコンピュータ21の出力はゼロに設定される。というのは、第1のダイの第1のスオーシュをスキャンする期間には、ミスアライメントは存在しないからである。従って、この期間に、偏向器コントローラ50はコラムコンピュータ42からのみ命令を受ける。これらの命令と、x,y干渉計28から得る位置データに基づいて、偏向器コントローラ50は、ステージ24の望ましい移動を計算し、その対応する信号をステージサーボ26に送ってステージ24を移動させる。偏向器コントローラ50は、同様にしてビーム100の所望の偏向を計算し、これらのデータをアナログ偏向器回路30に送る。ステージ24が移動すると、その位置はx-y干渉計28によって定常的にモニタされ、所望のステージ位置からの不一致が決定され、偏向器コントローラ50によりステージサーボドライブ26に帰還される誤差信号を生成するのに使用される。ステージ24の高慣性のため、これらの誤差信号はステージ位置の高周波誤差を修正することはできない。x,y方向の高周波誤差は、偏向器コントローラ50により計算される電子ビーム100の偏向によって修正される。偏向器コントローラ50はこれらの信号をデジタル形式でアナログ偏向回路30に送る。
【0069】
ビーム100がダイ68をスキャンするとき、グレイスケール値はメモリブロック52にストアされている。電子ビーム100がダイ70をスキャンし始めるとすぐに、これらの値はまたメモリブロック52にストアされ、すぐにまた欠陥プロセッサ56とアライメントコンピュータ21に送られる。アライメントコンピュータ21では、ダイ68とダイ70からの2つのデータは、アライメント(位置整合)のために比較される。もしも位置整合していない場合には、位置整合修正信号が発生され偏向器コントローラ50に送られる。この位置整合信号はバーニア調整(微調整)として使用され、マスク57の調整位置にビーム100を位置付ける。
【0070】
ダイ・データベースモードでは、偏向器コントローラ50は、ダイ・ダイモードでの機能とほぼ同様に働くが、データベースアダプター54の出力がスオーシュの第1のダイから得られる入力画像に置き代わる点が相違している。
【0071】
偏向器コントローラ50はまた、ステージ24の動き、スピードと方向と共に電子ビーム偏向のパラメータを計算し規定する。
【0072】
アライメントコンピュータ
アライメントコンピュータの機能は、グレイスケール値の形式で2つのデジタル画像を受けて、ピクセル距離のずれの形式で、画像間の位置整合からのずれを決定することである。これらのアライメント計算の好ましい実施例は、米国特許第4,805,123号に開示されている。この米国特許は1989年2月14日に発行され、本願と同じ譲受人に譲渡されていて、Specht等による”Automatic Photomask and Reticle Inspection Method and Apparatus Including Improved Defect Detector and Sub-System″である。この好ましい実施例では、位置整合修正信号51は全体の関心領域に亘って連続的に計算される。または、マスク57上の少数の特定特徴点を選択し、これらの特徴点でのみ位置整合のずれを計算してもよい。この場合、スキャンプロセスでアライメントは急速には変化しないと仮定している。後者の場合には、フォースコンピュータ会社(Force Computer,Inc.)のモデルCPU 30ZBEのような単一ボードコンピュータが位置整合(アライメント)計算を実行するために使用される。
【0073】
アナログ偏向
アナログ偏向回路30は、図4の20極プレート101、103に対してアナログランプ機能を発生する。このサブシステムの動作は図9に示されている。偏向コントローラ50からのデジタル信号はスロープDAC230によりアナログ電圧に変換され、その出力はランプ発生器232に導かれる。ランプの振幅はDAC234を使用して可変にでき、一方オフセットはDAC236によりコントロールされる。サンプルホールド回路238、240は、それぞれ、ランプのスターととエンドを規定するために使用される。高電圧で低ノイズのドライバが波形を増幅し、ダイナミックレンジが±180Vのランプを発生する。このランプは偏向器プレート101、103に印加される。
【0074】
メモリブロック
メモリブロック52は3個の同一なモジュールからなり、各モジュールは偏向器117、129、160の各タイプの異なる一つに対応している。図10に示すように、概念的にメモリブロック52の各モジュールは2つの先入れ先出方式(ファイフォ First In-First Out)メモリからなる。第1のファイフォはダイ68から得られる全体のスオーシュの各検出器に対応したグレイスケール値をストアし、一方、第2のファイフォはより短くて、ダイ70の数スキャンにのみ対応した各検出器に対するグレイスケール値をストアする。これら2つのファイフォからの出力は欠陥プロセッサ56とアライメントコンピュータ21に送られる。各ファイフォは100MHzの速度で動作し、検出器当り8ビットで各ピクセルのグレイスケール値をストアする。
【0075】
メモリは、その入力レジスタ302に、各種検出器に対する取得プリプロセッサ48から並列に送られてくる8バイトを受け取る。シフトレジスタのように働く入力レジスタ302は、入力レジスタの8セクションが一杯になるまで、8バイトを右にシフトし、そして他の8バイトを受けとる。入力レジスタの8セクションが一杯になると、64バイトがメモリ303にクロックで送られる。
【0076】
これを実行するのはDRAM303である。通常128メガバイトがシステムに使用される。
【0077】
画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ
画像捕獲前置プリプロセッサ48は、各検出器117、160、129からのアナログ信号を変換し、これらを100MHzの速度で8ビット値にデジタル化し、メモリブロック52に蓄積するために出力信号をリフォーマットする。
【0078】
画像捕獲前置プロセッサ48は3個の同一のモジュールからなり、その内の一つが図11に示されている。各モジュールは対応する検出器からの出力を受けとり、その出力をADC(A/D変換器)9により8ビットにデジタル化し、それを多重スキャンインテグレーター11に送る。多重スキャンインテグレータ11の目的は、ノイズを減少させるために同じピクセルからのグレイスケール値を平均化することである。この様な状況下において、ピクセルは再びスキャンされ、例えば数回再びサンプル化される。その得られた結果はそのピクセルの平均値である。この値はシフトレジスタ13に送られる。そのシフトレジスタ13は、メモリブロック52に8バイトを並列に送る前にその8バイトをシリーズに受けとる。
【0079】
干渉計
ステージ24のxとyの位置は、Teletrac TIPS Vのようなx-y干渉計28によってモニタされる。その位置は28ビットに規定され、最下位ビットは約2.5ナノメータに対応する。
【0080】
システムコンピュータ
システム10の全体の制御はシステムコンピュータ36によってなされ、システムコンピュータ36によりハウスキーピングタスクを含めて種々のステップシーケンスが順序だってなされる。シーケンスの各イベントはプログラムされた時間に達成され、コンピュータ36のスループットを最大にするために多数のコンフリクトしないシーケンスが同時になされる。
【0081】
コンピュータ36により達成されるルーチンは、システムとユーザとの相互通信が、関連したマウスやトラックボールポインティング装置を有するキーボード40か或いはリモートコンピュータでのデータ通信によりなされるように設計されている。ローカル通信に対しては、コンピュータディスプレイ38がシステムコンピュータ36からのグラフィックやテキストを表示する。
【0082】
システムコンピュータ36のルーチンは、4つの通信タスクに組織化されている。
【0083】
1.コラムコントロールコンピュータ42、ポストプロセッサ58、マスクハンドラー34との全ての通信がなされるマスタータスク。このタスクはまた、レンズセッティング、真空圧、ビーム電流等のマシーン動作パラメータを記録しているシステムコンピュータ上のファイルを保持している。
【0084】
2.コンピュータディスプレイ38上のディスプレイを管理し、キーボード40とマウス入力を扱うユーザインターフェースタスク。このタスクは、データファイルを変更したり、アクションを開始するためにメッセージをシステムの他の部分に送ることによって、ユーザキーボード40とマウス入力に応答する。
【0085】
3.マスタタスクを介してコラムコントロールコンピュータ42へ画像取得スオーシュの記述を送る検査タスク。
【0086】
4.キーボード40からのコマンド入力を受入れ可能なコマンド言語解釈タスク。このタスクはまた、繰返し動作の自動スケジュールを可能とするタイマーを管理する。更に、このタスクは、全てのマシーン動作とその動作が生じる時間とを記述しているテキストログファイルを生成しかつ更新する。このタスクは通常サービスエンジニアによるマシーン制御にのみ使用される。
【0087】
システムコンピュータの例として、UNIXオペレーティングシステムのもとでランするSun Microsystems SPARCプロセッサがある。UNIXは、AT&Tの登録商標である。
【0088】
コラムコントロールコンピュータ
コラムコントロールコンピュータ42は、オートフォーカスコンピュータ、真空コントロールコンピュータと偏向指令コンピュータからなる。オートフォーカスコンピュータの機能と実行は、本願の標題“オートフォーカスシステム”の節で説明され、真空システムについては、標題“真空システム”の節でなされる。
【0089】
コラムコントロールコンピュータ42は、システムコンピュータ36から指令を受ける。
【0090】
コラムコンピュータ42は、Force Computer,Inc.によって作られているCPU30ZBEのような68030ベースの単一ボードコンピュータで実行される。
【0091】
ポストプロセッサ
ポストプロセッサ58は、欠陥プロセッサ56から、各タイプの検出器に対するあらゆる欠陥ピクセルを示すマップを受信する。ポストプロセッサ58はこれらのマップを結び付け、各欠陥のサイズと位置を決定し、これらを欠陥のタイプに分類する。これらのデータはシステムコンピュータ36に利用可能である。実際には、ポストプロセッサは、Force Computer,Inc.によって作られているCPU30ZBEのような68030ベースの単一ボードコンピュータとして実行される。
【0092】
ビデオフレームバッファ
ビデオフレームバッファ44は、商業的に入手可能なビデオフレームメモリであり、ピクセル当たり12ビットで、480x512ピクセルの記憶容量を有している。適切なフレームバッファはImage Technology Inc.のモデルFG100Vである。ビデオフレームバッファは1秒間に30回、画像ディスプレイをリフレッシュする。
【0093】
画像ディスプレイ
画像ディスプレイ46は、SONYモデル PVM 1342Qのような、商業的に入手可能なカラーモニタである。擬似色カラー技術が、オペレータによる画像の評価のために使用されている。そのような技術は白黒画像の異なるグレイシェイド(白に近い灰色か黒に近い灰色かの尺度)値に異なる色を割り当てる。
【0094】
データベースアダプター
データベースアダプター54は、ダイにパターンを形成するために使用されるCAD(Computer Aided Design)データを基にして、各ピクセルに対応するグレイスケールとを生成する画像シミュレーターである。代表的には、データベースアダプターへの入力は、集積回路のパターン形成に使用されるフォーマットのデジタル磁気テープである。これらのデジタルデータは、画像捕獲前置プロセッサ48の出力と同じフォーマットで、スオーシュに組織されたピクセルデータの流れに変換される。そのようなデータベースアダプターは、米国特許第4,926,489号に既に開示されている。米国特許第4,926,489号は、1990年5月15日に発行され、本出願と同じ譲受人に譲渡されたDanielson等による″Reticle Inspection System″である。
【0095】
マスクハンドラー
マスクハンドラー34の機能は、カセットからマスク57を自動的に取出して、それをマスクホルダーに適切な方向に向けて置くことである。これは、半導体産業においてウェファを輸送し操作するのに通常使用されているウェファハンドラーに類似のロボット装置である。マスクハンドラーの第1の機能は、図2と図3のフラット59の方向を決定することである。マスクハンドラー34は、マスクの回転中心に関して径方向に向いたリニアCDDセンサーで光学的にフラットを検知する。マスクが回転すると、イメージセンサの出力はデジタル形式に変換され、Force Computer Inc.のCPU 30ZBEのような単一ボードコンピュータにストアされる。コンピュータはフラット59の位置を決定する。そしてマスクは適切な方向に回転され、自動的にマスクハンドラーに位置決めされる。マスクを有するマスクホルダーは、図8の負荷エレベータ210に載せられる。ハンドラーの全ての動作はシステムコンピュータ36により制御される。
【0096】
ステージ
ステージ24の機能は、電子ビーム100と光学アライメントシステム22のもとでマスク57を移動させることである。システムの複雑さを最小にするために、ステージ24は2自由度、つまりxとy方向の自由度のみを有するように選ばれていた。即ち、ステージ24は、マスク57のx-y面に垂直な方向に回転も移動もできない。言い換えれば、ステージは、x、y或いは斜め方向へ平行移動だけできる。この代わりに、電子ビームラスターの回転は、任意のスキャンをビームの静電的偏向の2成分に分解し、ステージを機械的サーボにより同様な方法で移動することにより、電子的に達成される。対物レンズはマスクの高さ方向の変化を補償するために充分な範囲の可変焦点を有しているので、z軸方向の移動は必要ない。
【0097】
ステージ24は、直線性、直角性及び繰り返し性において非常に精密に制御できる装置である。交差したローラベアリングが使用されている。ステージは真空状態でも使用でき、電子ビーム100と干渉しないように非磁性体である。ステージはオープンフレームを有しているので、透過電子ビーム108がその下の検出器129に到達できる。オープンフレームはまた、載置プロセスにおいて下からマスク57をオープンフレーム上に置くために使用される。
【0098】
図示しない3位相ブラシュレスリニアモータが軸当り2個使用されて、最良のシステム機能を達成るるようにステージ24を駆動していた。適切なリニアモータは、Anorad Inc.によって作られたAnolineモデルL1とL2である。
【0099】
真空システム
真空システム全体はコラムコントロールコンピュータ42の制御下にある。システムの種々の場所に配置された図示しない従来の圧力センサが圧力を測定し、その結果をコラムコントロールコンピュータ42に報告する。このコンピュータが、スタート時、或いはマスクのローディング及び非ローディング期間に、必要に応じて種々のバルブを時間制御する。後者のルーチンは、標題”ローディング動作”においてより詳しく説明する。真空状態が電子ビーム動作に対して不適切であると、高電圧は自動的にカットオフされ、電子源81がダメージを受けるのを防止している。この動作は、コンピュータ42、36と圧力センサとを組み合わせて実行されている。同時に空気離隔弁145(図6と図8)が、コラムの超高真空領域140の汚染を防止するために動作する。真空システムの動作を以下に説明する。
【0100】
電子銃の真空システムは、前もってべーキングされその後は何の操作もなく只維持されるように設計された2段階の差動的に動作するポンプシステムである。約10-9トールの超高真空領域140はイオンポンプ139によって排気されて、ガンアノード開口87から離隔されている。約10-8トールの中間の真空領域141は、イオンポンプ149によって排気され、空気ガン離隔弁145とアパーチャ機構99によりメイン真空領域143から離隔されている。これらの真空素子は、電子生成おいてフィールドエミッションに適した環境を提供する。
【0101】
下部コラム領域143の真空状態は、ターボポンプ204によって維持され、と同時に検査チャンバー206の真空状態はターボポンプ208により提供される。検査チャンバー206は、プレートによって下部コラム領域143から離隔されており、このプレートには電子ビームが通れるような小さな孔が開けられている。この様に真空領域206と143を離隔することによって、検査すべき基板がかなりの蒸気圧を有するフォトレジスト物質でコートされた場合にも、高真空状態を維持することができる。
【0102】
真空システムは2つのエアロック224、226を有している。一方はマスク57を検査チャンバ206に載置するために使用され、他方は検査終了後にマスク57を取り出すために使用される。両方のチャンバは各々、並列に配置されたバルブ212と214を介して真空ポンプに接続されている。バルブ212はロックチャンバ224を低速で排気するために設けられ、一方バルブ214は大きなオリフィスを有し大容積を排気することができる。同様の構成がチャンバ226に対しても設けられている。この2つの構成を設けた目的は、荷電粒子が排気プロセスにおいて攪乱されるのを防止し、かつチャンバを排気たり加圧するのに必要な時間を少なくするためである。
【0103】
以下に詳細に説明されるように、最初、マスクがエアロック224に置かれると、低速バルブ212だけが開かれ、チャンバ内の流速は、エアロック領域224の荷電粒子が攪乱されないように充分に低く維持される。チャンバ内の圧力が低下して空気流が分子領域、即ち荷電粒子がもはや攪乱されない領域に達すると、大きなバルブ214が開けられ、エアロック内に残っている空気が急速に排気される。同様の2ステップ動作が加圧プロセスでも使用される。
【0104】
ロード(装填)動作
以前に説明したように、マスク57はマスクハンドラー34のアダプターとともに移動し、載置エレベーター210に搭載される。この時、エアロック224は大気圧状態にある。エアロック224を低速で排気できるバルブ212が開けられる。ロック224の圧力が分子流の圧力に達すると、高容量のバルブ214が開けられ、残りの空気が排気される。そしてゲートバルブ216が開けられ、エレベーター210はバルブ216を通ってマスク57を検査チャンバ206に押上げ、それをステージ24に載置する。マスク57の検査が終了すると、逆プロセスが行われて、マスク57はマスクを収納するのに使用されているカセットに再び収められる。
【0105】
この代わりに、マスクのカセットを同様の方法でチャンバに載置することもできる。マスクの集合の各々が検査されると、マスクのカセットが除去されて、マスクの次のカセットに交換される。
【0106】
更に、本発明のダブルロック配置によると、1つのチャンバー内であるマスクを検査しながら、同時に第2のチャンバを使用して、第2のマスクを挿入して加圧したり、或いは降圧して除去したりできる。
【0107】
オートフォーカスシステム
電子ビーム100は、図4に示されたシステムの対物レンズ104の電流を変化させて収束される。マスク57や他の基板は平坦ではなく、またステージ24の表面はコラム20の軸に完壁に垂直ではないので、最適な焦点電流は関心領域を越えて変化する。この変化はx軸とy軸方向の距離の関数として見た場合に小さいので、マスク57上の数個の指定点で最適なフォーカス電流を決定することは可能であり、これらの間の任意の点に対して所望のフォーカス電流を補間することができる。
【0108】
検査プロセスを準備し開始する際に、システムは指定点で最適なフォーカス電流を測定する。このフォーカス・キャリブレーション・プロセスは、ビームを指定点に位置付けし、それからマスク57の特徴エッジに垂直な直線に沿ってグレイスケール値を測定するステップからなる。例えばフォーカス電流の10個の異なる値に対して、デジタル化されたグレイスケール値は、図示しないハイパスフィルタで畳み込まれる。最良のフォーカス電流は、ハイパスフィルタからの出力のうちで最大の値に対応した電流である。好ましい実施例では、二次微分フィルタが使用され、この実施例では以下のような畳こみ係数を有している。
【0109】
-4 0 0 0 8 0 0 0 -4
最良の結果に対して、ハイパスフィルタの出力は平滑化されるべきである。
【0110】
フォーカスコンピュータはコラムコントロールコンピュータ42の一部である。フォーカス計算は、畳み込み集積回路と数個のDSP素子からなる特別な目的のハードウエアで実行される。
【0111】
光学アラインメントシステム
光学アライメントシステム22は、ダイが検査チャンバに入った後に、ダイの粗いアライメントを視覚的に実行するために、オペレーターによって使用される。サブシステムは、真空チャンバへのウインドウと、ディスプレイ46上にイメージを表示するために、CCDカメラ上にマスクを投影するレンズとからなる。オペレーターは2つのレンズのうちの一つを選択できる。本発明では、これらは経験的に決定される。この二つのレンズのうち一方は、マスクを見る倍率が0.46であり、他方はその倍率が5.8である。マスクからのフィルムでレンズの光学面がコーティングされるのを防止するために、全てのレンズは真空の外に置かれている。
【0112】
本発明は、数種の動作モード及び典型的なルーチンと装置に沿って説明されたが、当業者なら、上記記述と図面に示された内容から種々の変更して実施できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のシステムの全体ブロック図。
【図2】
ダイ・データベース検査に対して本発明で使用されているスキャンパターン図。
【図3】
ダイ・ダイ検査に対して本発明で使用されているスキャンパターンのグラフ図。
【図4】
電子光学コラムと収集システムの機能要素を示す概略図。
【図5】
図4に示された電子光学コラムと収集システムを通る一次電子、二次電子、後方散乱電子と透過電子の行程を示す概略図。
【図6】
マルチヘッド電子銃と真空系の概略図。
【図7】
本発明の位置決め制御システムのブロック図。
【図8】
本発明の真空システムの概略図。
【図9】
本発明のアナログ偏向システムのブロック図。
【図10】
図1に示された本発明のメモリのブロック図。
【図11】
本発明の画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサーのブロック図。
【符号の説明】
10…検査システム
20…電子ビームコラム
21…アライメントコンピュータ
22…光学アライメントシステム
23…データバス
24…x-yステージ
26…ステージサーボ
28…干渉計
29…VME1
30…アナログ偏向回路
31…VME2
32…検出器
33…信号
34…マスクハンドラー
36…システムコンピュータ
38…コンピュータディスプレイ
40…ユーザキーボード
42…コラム制御コンピュータ
44…ビデオフレームバッファ
46…画像ディスプレイ
48…画像捕獲(アクイジション)前置プロセッサ
50…偏向コントローラ
52…メモリブロック
54…データベースアダプター
56…欠陥プロセッサ
57…マスク
58…ポストプロセッサ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-06-05 
出願番号 特願平4-124951
審決分類 P 1 651・ 121- ZD (H01J)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 堀部 修平  
特許庁審判長 瀧 廣往
特許庁審判官 山川 雅也
中塚 直樹
登録日 2001-01-12 
登録番号 特許第3148353号(P3148353)
権利者 ケーエルエー・インストルメンツ・コーポレーション
発明の名称 電子ビーム検査方法とそのシステム  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 飯田 房雄  
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