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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04H
管理番号 1090762
審判番号 不服2002-19113  
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-12-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-02 
確定日 2004-01-15 
事件の表示 平成10年特許願第157339号「耐震用スリット材およびそれを用いたコンクリート建築物の構築方法」拒絶査定に対する審判事件[平成11年12月21日出願公開、特開平11-350781]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成10年6月5日の出願であって、平成14年8月30日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年10月2日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月31日付で手続補正がなされた。

【2】平成14年10月31日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年10月31日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的として、その請求項1を次のとおりに補正することを含むものである。
「コンクリート建築物の壁と、該壁に連なる柱との接合部付近に、壁を貫通するように埋設される耐震用スリット材であって、前記接合部付近を構築するために対向して立設される型枠のあいだに配置される芯材と、該芯材の各側端に嵌合する支持手段と、該支持手段の外端に嵌合され、前記型枠に固定される固定部材とからなり、前記支持手段が内端が、前記芯材の各側端に嵌合し、外端が前記固定部材に嵌合される一対の支持材からなり、前記芯材と支持材とが、支持材の凹嵌部の内側面で接着剤により一体にされてなる耐震用スリット材。」(以下、「補正発明」という。)
上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正発明が、その特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された、特開平10-18640号公報(以下「刊行物」という。)には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート建築物の壁と、この壁に連なる柱との接合部付近に、壁を貫通するように埋設される耐震用スリット材に関する。」
「【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は型枠に固定された第1の実施形態に係る耐震用スリット材1を示す。この耐震用スリット材1は、コンクリート建築物の壁2と、この壁2に連なる柱3との接合部4付近に、上記壁2を貫通するように埋設されるものであり、図1は、これら壁2及び柱3を構築するためにコンクリートを打設する前の状態を示している。同図において、5、6、7は上記接合部4付近を構築するために対向して立設された型枠であり、8、9は型枠5、6、7の周縁に沿って固定された補強用の桟木である。
【0014】耐震用スリット材1は、上記型枠5、6の間に配置された板状の芯材11と、この芯材11を支持する一対の支持材12、13とを備えている。……。芯材11は図1に示す断面形状でもってほぼ壁2の下端(例えば床面付近)から上端(例えば天井付近)まで延びている。」
「【0016】この実施形態の支持材12、13は同形であり、図1に示すようにその内端に断面略コ字状の溝部12a、13aが形成され、ここに上記芯材11の各側端を嵌合するようになっており、溝部12a、13aの側壁先端は側方へ立ち上がっていて、止水用のカエリ12b、13bを形成している。また、支持材12、13の外端には凹陥部12c、13cが形成されている。そして、外型枠5の側にある支持材12には溝部12aの底から釘15が貫通し、この釘15が凹陥部12cを通って外型枠5に打ち込まれている。内型枠6の側にある支持材13の凹陥部13cには、板状の固定部材16が嵌合し、この固定部材16はその厚さ方向に貫通する釘17を桟木9に打ち込むことにより固定されている。……。上記支持材12、13及び固定部材16は、上記芯材11と同様に図1に示す断面形状でもってほぼ壁2の下端から上端まで延びている。」
「【0022】図5は第2の実施形態を示す。第1実施形態では一方の型枠側でのみ固定部材を用いて支持材を固定したが、第2実施形態では両方の型枠側で固定部材を用いて支持材を固定している。以下、第1実施形態と同一機能の部材については同一符号を付してその説明を省略する。この実施形態では支持材112、113の凹陥部112c、113cを第1実施形態の支持材12、13の凹陥部12c、13cよりも幅広に形成し、且つ外方に向かって拡がるように形成すると共に、これらに嵌合する固定部材116及び117を凹陥部形状に対応させて断面略台形状に形成している。このため、支持材112、113による支持強度を第1実施形態よりも稼ぐことができるが、図6に示すように施工後に凹陥部112cにより成形される目地21が第1実施形態よりも太くなっている。」
したがって、刊行物には以下の発明が記載されていると認められる。
「コンクリート建築物の壁と、該壁に連なる柱との接合部付近に、壁を貫通するように埋設される耐震用スリット材であって、
前記接合部付近を構築するために対向して立設される型枠のあいだに配置される芯材と、該芯材の各側端に嵌合する一対の支持材と、該支持材の外端に嵌合され前記型枠に固定される固定部材とからなり、
該支持材は、内端が前記芯材の各側端に嵌合し、外端が前記固定部材に嵌合する、耐震用スリット材。」

(3)対比・判断
補正発明において、「支持手段」は具体的には「支持材」のことであるから、補正発明と、上記刊行物記載の発明とを対比すると、両者は、
「コンクリート建築物の壁と、該壁に連なる柱との接合部付近に、壁を貫通するように埋設される耐震用スリット材であって、前記接合部付近を構築するために対向して立設される型枠のあいだに配置される芯材と、該芯材の各側端に嵌合する支持手段と、該支持手段の外端に嵌合され、前記型枠に固定される固定部材とからなり、前記支持手段が内端が、前記芯材の各側端に嵌合し、外端が前記固定部材に嵌合される一対の支持材からなる耐震用スリット材。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点:補正発明では、芯材と支持材とが支持材の凹嵌部の内側面で接着剤により一体にされてなるのに対し、刊行物記載の発明では接着剤で一体になっていない点

上記相違点について検討する。
耐震用スリット材において、芯材と支持材とを一体のものとすることは、原査定の拒絶の理由で周知例として提示された、実願昭60-163935号(実開昭62-71244号)のマイクロフィルム等にみられるとおり従来周知の技術であり、また、一体化手段として接着剤を採用することは、多くの分野において慣用手段にすぎないから、何らの技術的意義も認められない。
そして、補正発明が奏する作用効果も、当業者が予期し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、補正発明は、上記刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定によりその特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のように、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり、決定する。

【3】本願発明について
(1)本願発明
本願の各請求項に係る発明は、平成14年10月31日付手続補正が上記のとおり却下されたので、平成14年6月28日付手続補正書により補正された明細書、及び、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜12に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】コンクリート建築物の壁と、該壁に連なる柱との接合部付近に、壁を貫通するように埋設される耐震用スリット材であって、前記接合部付近を構築するために対向して立設される型枠のあいだに配置される芯材と、該芯材の各側端に嵌合する支持手段と、該支持手段の外端に嵌合され、前記型枠に固定される固定部材とからなり、前記芯材と支持手段とが、接着剤により一体にされてなる耐震用スリット材。
【請求項2】〜【請求項12】(記載を省略)」
(以下、請求項1記載の発明を「本願発明」という。)

(2)引用刊行物
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された刊行物、及び、その記載事項は、上記【2】(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記【2】で検討した補正発明から「支持手段」の限定事項である「内端が芯材の各側端に嵌合し、外端が固定部材に嵌合される一対の支持材からなり」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する補正発明が上記【2】(3)に記載したとおり、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-11-11 
結審通知日 2003-11-18 
審決日 2003-12-01 
出願番号 特願平10-157339
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 萩田 裕介長谷部 善太郎鉄 豊郎  
特許庁審判長 山田 忠夫
特許庁審判官 新井夕起子
木原 裕
発明の名称 耐震用スリット材およびそれを用いたコンクリート建築物の構築方法  
代理人 佐木 啓二  
代理人 秋山 文男  
代理人 田中 弘  
代理人 朝日奈 宗太  

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