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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01J
管理番号 1090806
審判番号 不服2001-2001  
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-10-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-14 
確定日 2004-01-14 
事件の表示 平成10年特許願第362986号「傍熱型陰極およびこれを用いた陰極線管」拒絶査定に対する審判事件[平成11年10月 8日出願公開、特開平11-273549]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明

本願は、平成10年12月21日(優先権主張平成10年1月20日)の出願であって、その請求項1ないし16に係る発明は、平成12年3月22日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1には以下のとおり記載されている。(以下、「本願発明」という。)

「【請求項1】 金属線の表面にアルミナ粒子を被層焼成してアルミナ電気絶縁層を形成した加熱用ヒータと、前記加熱用ヒータからの熱を受けて熱電子を放出する電子放射部とを含む傍熱型陰極において、
前記アルミナ電気絶縁層のアルミナの純度が99.7重量%以上であり、かつ、前記アルミナ電気絶縁層を形成するためのアルミナ粒子のうち、粒径2μm以下のもののNa含有量が20ppm以下であり、
前記アルミナ粒子のうち、粒径2μm以下のものが前記アルミナ粒子全体に占める割合が10〜50重量%であり、
前記電子放射部が酸化物陰極材料からなることを特徴とする傍熱型陰極。」

2.引用刊行物記載の発明

これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である昭和59年9月3日に頒布された特公昭59-36381号公報(以下「引用刊行物」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。

(1)「従来、電子管用ヒータ、例えば傍熱型陰極のヒータは第1図に示すように陰極構体1に一端の閉端面に被着された代表的には酸化バリウムを主成分とする電子放射物質2を加熱するためのものでヘリカルコイル状に形成された高融点金属線、代表的にはタングステンからなる芯線3とこの芯線3の上に被覆されるアルミナ絶縁層4とで構成されており前記陰極構体1の内部に挿入されている。前記ヒータ5の芯線3を被覆するアルミナ絶縁層4は、ニトロセルロースを主成分とするバインダーと粒子状アルミナを混合攪拌して芯線3の所要部にスプレー法又は電着法で被着させ、これを高温下で焼結することによって形成される。」(第1頁左欄第26行〜同右欄第8行)

(2)「本発明の電子管用ヒータの構成はその従来例として、第1図に示した傍熱型陰極と同一構成要素からなっているが、ヒータ芯線3を被覆するアルミナ絶縁層4は所謂水中放電法によって形成されてた超低ソーダアルミナを主体として構成されている。」(第3頁左欄第10行〜同第15行)

(3)「このようにして形成されるアルミナ粒子はその製造工程中にナトリウム化合物のようなアルカリ金属化合物の類は全く必要としないので表1の超低ソーダアルミナの欄に示す如く各種不純物量は従来品の低ソーダアルミナよりも極めて少く、殊に問題となる(Na2O)のようなナトリウム化合物は低ソーダアルミナの百分の1以下の微量しか含ない。かくして得られる超低ソーダアルミナの平均粒子径は2〜3μmで表2(B)(従来例)の低ソーダアルミナの平均粒子径(約6μm)の半分以下である。そして以降は従来例と同じくバインダーと混合攪拌し、ヒータ芯線(3)の所要部分に被着させた後、焼結工程を経て電子管用ヒータ5のアルミナ絶縁層4となる。」(第3頁右欄第3行〜同第17行)

(4)「 表1 アルミナ絶縁層の組成成分

主たる成分 超低ソーダアルミナ〔重量%〕
Al2O3 99.99以上
Na2O 0.0005 」(第2頁表1)

(5)「表3はこのような超低ソーダアルミナを主体としたアルミナ絶縁層を有する電子管用ヒータの各種特性を示すものである。」(第3頁右欄第17行〜同第19行)

(6)「 表3 本発明の実施例と諸特性

超低ソーダアルミナ〔重量%〕
実施例 微粒子品 半焼結品
(G) 100
(I) 100
(K) 50 50 」(第3頁表3)

(7)「超低ソーダアルミナ微粒子品のみで構成した実施例(G)では電気的絶縁特性は更に向上し従来例の3倍以上の値が得られている。」(第3頁左欄第43行〜同右欄第1行)

(8)「更に超低ソーダアルミナ品とその半焼結品を等重通混合し、被覆厚みを40μとした実施例(K)では電気的絶縁特性と立ち上り時間特性を実施例(J)と同程度に保持し乍ら、アルミナ絶縁層の機械的強度とクラック程度は実施例(J)よりも向上させることができる。このことから超低ソーダアルミナ品とその半焼結品を適宜組み合わせて使用すればバランスのとれたアルミナ絶縁層が得られることは明白である。」(第4頁左欄第27行〜同第35行)

この記載事項によると、引用刊行物には、

「ヒータ芯線3の表面に粒子状アルミナを被層焼結してアルミナ電気絶縁層4を形成した電子管用ヒータと、前記電子管用ヒータからの熱を受けて熱電子を放出する電子放射物質2とを含む傍熱型陰極において、
前記アルミナ電気絶縁層4の超低ソーダアルミナの純度が99.99重量%以上であり、かつ、前記アルミナ電気絶縁層4を形成するための超低ソーダアルミナ粒子のNa含有量が0.0005重量%であり、
前記超低ソーダアルミナ粒子の平均粒径が2〜3μmであり、
前記電子放射物質2が酸化バリウムを主成分とすることを特徴とする傍熱型陰極。」(以下、「引用刊行物記載の発明」という。)

が記載されていると認められる。

3.対比・判断

本願発明と引用刊行物記載の発明とを対比すると、引用刊行物記載の発明における「ヒータ芯線3」、「電子管用ヒータ5」、「電子放射物質2」、「超低ソーダアルミナ」、「酸化バリウム」は、それぞれ、本願発明における「金属線」、「加熱用ヒータ」、「電子放射部」、「アルミナ」、「酸化物陰極材料」に相当する。
また、引用刊行物記載の発明においては、超低ソーダアルミナの平均粒径が2〜3μmであるから、粒径が2μm以下のものがアルミナ粒子全体に占める割合が50重量%以下であることは明らかである。
さらに、引用刊行物記載の発明においては、粒径にかかわらず、超低ソーダアルミナにおけるNa含有量は0.0005重量%、すなわち5ppmである。
よって、両者は、

【一致点】
「金属線の表面にアルミナ粒子を被層焼成してアルミナ電気絶縁層を形成した加熱用ヒータと、前記加熱用ヒータからの熱を受けて熱電子を放出する電子放射部とを含む傍熱型陰極において、
前記アルミナ電気絶縁層のアルミナの純度が99.7重量%以上であり、かつ、前記アルミナ電気絶縁層を形成するためのアルミナ粒子のうち、粒径2μm以下のもののNa含有量が20ppm以下であり、
前記アルミナ粒子のうち、粒径2μm以下のものが前記アルミナ粒子全体に占める割合が50重量%以下であり、
前記電子放射部が酸化物陰極材料からなることを特徴とする傍熱型陰極。」

で一致し、

【相違点】
本願発明は、粒径2μm以下のものが前記アルミナ粒子全体に占める割合が、10〜50重量%であるのに対して、
引用刊行物記載の発明は、それが、50重量%以下のいずれかではあるが10〜50重量%であるかどうか不明、つまり、10重量%未満の可能性もある点、

で相違する。

上記相違点について検討すると、
引用刊行物記載の発明において、超低ソーダアルミナ粒子のうち、粒子径2μm以下のものが超低ソーダアルミナ粒子全体に占める割合が50重量%から極端に離れた小さな値でないことは容易に想像されることであり、また、粒度が成形性に影響することは十分予想されることであるから、粒子径があまり大きくならないように、超低ソーダアルミナ粒子のうち、粒子径2μm以下のものが前記超低ソーダアルミナ粒子全体に占める割合を10〜50重量%の値に設定することは、当業者が必要に応じて適宜になし得ることである。

そして、本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用刊行物記載の発明から当業者であれば予測できる程度のものであって、格別のものとは言えない。

4.むすび

したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願請求項2〜16に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-11-17 
結審通知日 2003-11-18 
審決日 2003-12-02 
出願番号 特願平10-362986
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 波多江 進  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 山川 雅也
杉野 裕幸
発明の名称 傍熱型陰極およびこれを用いた陰極線管  
代理人 鎌田 耕一  
代理人 黒田 茂  
代理人 佐藤 公博  
代理人 辻丸 光一郎  
代理人 池内 寛幸  
代理人 乕丘 圭司  
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