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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1090860
審判番号 不服2002-7502  
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-07-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-30 
確定日 2004-01-16 
事件の表示 平成 9年特許願第269217号「不正通信防止システム」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 7月 4日出願公開、特開2000-187644]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年9月17日の出願であって、平成13年12月25日付の拒絶の理由の通知に対して、その指定した期間内である、平成14年3月8日付で意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成14年3月27日付で拒絶の査定を受けたものであり、この査定を不服として、平成14年4月30日付で審判の請求がなされ、特許法第17条の2第1項第3号の規定する期間内である平成14年5月29日付で手続補正のなされたものである。

2.平成14年5月29日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年5月29日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
平成14年5月29日付の手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、平成14年3月8日付で補正された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)を次のとおり補正するものである。
(以下、本件手続補正後の特許請求の範囲を「補正後の特許請求の範囲」という。)
(補正前の特許請求の範囲)
【請求項1】通信確認信号が記憶された記憶部と、該記憶部から通信確認信号を読み取る手段と、読み取った通信確認信号を第二の通信システムに通知して接続要求を行う手段と、所定単位の通信のつど記憶部の通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第一の通信システムと、
通信確認信号が記憶された記憶部と、第一の通信システムから通信確認信号を受信する手段と、第一の通信システムから受信した通信確認信号とその記憶部に記憶されている通信確認信号とを比較する手段と、該比較の結果一致していた場合に接続を許可する手段と、所定単位の通信のつどその記憶部の通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第二の通信システムと、
からなることを特徴とする不正通信防止システム。
【請求項2】第一の通信システムにおける通信確認信号の記憶手段が、第一の通信システムに着脱できる記憶媒体である請求項1記載の不正通信防止システム。
【請求項3】該記憶媒体がクレジットカードないし電子マネーを記憶した記憶媒体であって、接続を許可された場合における料金の支払をそのクレジットカード又は電子マネーで行う請求項2記載の不正通信防止システム。
【請求項4】(イ)第一の通信システムに着脱することができ、通信確認信号を記憶する携帯記憶媒体と、
(ロ)接続要求の際に第二の通信システムから通信確認信号を受信する手段と、前記携帯記憶媒体の通信確認信号と第二の通信システムから受信する通信確認信号との比較の結果により接続の許否を決定する手段と、所定単位の通信のつど前記携帯記憶媒体の通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第一の通信システムと、
(ハ)通信確認信号が記憶された記憶部と、接続要求の際に記憶部の通信確認信号を第一の通信システムへ送信する手段と、所定単位の通信のつど記憶部の通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを有する第二の通信システムとを具備することを特徴とする不正通信防止システム。
(補正後の特許請求の範囲)
【請求項1】ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部と、該記憶部から通信確認信号を読み取る手段と、読取った通信確認信号を第二の通信システムに通知して接続要求を行なう手段と、所定単位の通信のつど記憶部の通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第一の通信システムと、
ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部と、第一の通信システムから通信確認信号を受信する手段と、第一の通信システムから受信した通信確認信号とその記憶部に記憶されている通信確認信号とを比較する手段と、該比較の結果一致していた場合に接続を許可する手段と、所定単位の通信のつどその記憶部のID番号・パスワードに対応する通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第二のシステムと、
からなることを特徴とする不正通信防止システム。
【請求項2】第一の通信システムにおける通信確認信号の記憶手段が、第一の通信システムに着脱できる記憶媒体である請求項1記載の不正通信防止システム。
【請求項3】該記憶媒体がクレジットカードないし電子マネーを記憶した記憶媒体であって、接続を許可された場合における料金の支払をそのクレジットカード又は電子マネーで行う請求項2記載の不正通信防止システム。
【請求項4】(イ)第一の通信システムに着脱することができ、ID番号・パスワードに対応する通信確認信号を記憶する携帯記憶媒体と、(ロ)接続要求の際に第二の通信システムから通信確認信号を受信する手段と、前記携帯記憶媒体の通信確認信号と第二の通信システムから受信する通信確認信号との比較の結果により接続の許否を決定する手段と、所定の単位の通信のつど前記携帯記憶媒体のID番号・パスワードに対応する通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第一の通信システムと、
(ハ)ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部と、接続要求の際に記憶部の通信確認信号を第一の通信システムへ送信する手段と、所定単位の通信のつど記憶部のID番号・パスワードに対応する通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを有する第二の通信システムとを具備することを特徴とする不正通信防止システム。

(2)新規事項の有無及び本件補正の目的の適否
本件補正は、本件補正前の「通信確認信号」を「ID番号・パスワードに対応する通信確認信号」とするものであるから、願書に最初に添付した明細書に記載した事項の範囲のものであり、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものと認められる。

(3)独立特許要件
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「補正後の発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、検討する。
(3)-1.補正後の発明
補正後の発明は、本件補正後の請求項1に記載された事項からみて
「ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部と、該記憶部から通信確認信号を読み取る手段と、読取った通信確認信号を第二の通信システムに通知して接続要求を行なう手段と、所定単位の通信のつど記憶部の通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第一の通信システムと、
ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部と、第一の通信システムから通信確認信号を受信する手段と、第一の通信システムから受信した通信確認信号とその記憶部に記憶されている通信確認信号とを比較する手段と、該比較の結果一致していた場合に接続を許可する手段と、所定単位の通信のつどその記憶部のID番号・パスワードに対応する通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第二の通信システムと、
からなることを特徴とする不正通信防止システム。」により特定されるものである。
なお、請求項1には「とを備えた第二のシステム」と記載されているが、「第二のシステム」は「第二の通信システム」の誤記と認め、補正後の発明を上記のとおり認定した。
(3)-2.引用例の記載
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-289993号公報(以下、「引用例」という。)には、端末装置から入力される情報により本人確認装置が利用者本人を確認するシステムについて、図面とともに、次の事項が記載されている。
(イ)「図1は本発明に係る本人確認システムの一実施例を示すブロック図である。この図に示す本人確認システムは端末装置1と、本人確認装置2とを備えており、本人確認装置2によって端末装置1上にメッセージを表示してログイン名やパスワードを入力させた後、本人確認装置2によって端末装置1からセキュリティ情報を読み出してこのセキュリティ情報が正しいかどうかを判定する。そして、このセキュリティ情報が正しいとき、本人であると判定して電子計算機(図示は省略する)の使用を許可するとともに、新たなセキュリティ情報を作成してこれを本人確認装置2側のセキュリティ情報を更新するとともに、前記端末装置1のセキュリティ情報を更新する。ここで、セキュリティ情報とは、乱数により発生させるn桁の数値をいい、本人確認の都度(ログイン時)、新たに作成・更新されるものである。端末装置1は、前記本人確認装置2からメッセージ情報等の表示データが出力されたとき、これを取り込んで表示する表示部3と、キーボード4と、このキーボード4から入力されたログイン名やパスワード、装置名等のデータを前記本人確認装置2に供給する出力部5と、前記本人確認装置2からセキュリティ情報読出指令が出力されたとき、記憶しているセキュリティ情報を読み出してこれを前記本人確認装置2に供給し、また本人確認装置2から新たなセキュリティ情報が出力されたとき、古いセキュリティ情報を消去して新たなセキュリティ情報を記憶するセキュリティ情報ファイル6とを備えている。」(段落【0011】〜【0014】)
(ロ)「本人確認装置2は、・・・ログイン名やパスワード等の情報が格納されているパスワードファイル8と、端末装置1から供給されたログイン名、パスワードと、パスワードファイル8に記憶されているログイン名、パスワードとの一致判別を実行するログイン名・パスワード照合部9と、ログインの度にセキュリティ情報を作成するセキュリティ情報作成部10と、作成されたセキュリティ情報を保存するセキュリティ情報控ファイル11と、作成された新たなセキュリティ情報を前記端末装置1のセキュリティ情報ファイル6に出力するセキュリティ情報出力部12と、端末装置1から供給されたセキュリティ情報とセキュリティ情報控ファイルに記憶されているセキュリティ情報との一致判別を実行するセキュリティ情報照合部13とを有して構成されている。」(段落【0015】)
(ハ)「入力名に対応する装置に対してセキュリティ情報読出し指令が出力され、この装置を介してセキュリティ情報ファイル6に記憶されている前記ログイン名に対応するセキュリティ情報が読み出される(ステップST6)。この後、セキュリティ情報照合部13によってセキュリティ情報控ファイル11に格納されている前記ログイン名に対応するセキュリティ情報が読み出され、このセキュリティ情報と、前記セキュリティ情報ファイル6から読み出したセキュリティ情報とが一致しているかどうかが判定される(ステップST7)。」(段落【0019】、【0020】)
(ニ)「これらのセキュリティ情報が一致していれば、セキュリティ情報作成部10によって新たな前記ログイン名に対応する新たなセキュリティ情報が作成され(ステップST9)、これがセキュリティ情報出力部12を介して前記端末装置1に供給され、セキュリティ情報ファイル6に格納されている前記ログイン名に対応するセキュリティ情報が更新されるとともに(ステップST10)、この新たなセキュリティ情報に基づいてセキュリティ情報控ファイル11の前記ログイン名に対応するセキュリティ情報が更新される(ステップST11)。この後、セキュリティ情報照合部13によって本人の確認処理が終了して電子計算機の使用が許可される。」(段落【0021】、【0022】)
(ホ)「このようにこの実施例においては、本人かどうかを確認するとき、端末装置1からログイン名とパスワードとを入力させるとともに、前記端末装置1から前記ログイン名に対応するセキュリティ情報を読み出してこれが正しいセキュリティ情報かどうかを判定するようにしたので、通常のパソコンを使用したシステムでも、容易に採用できる程度に安価にすることができるとともに、ログイン名やパスワードが盗難にあっても、セキュリティが破られないようにすることができる。」(段落【0026】)
(ヘ)「なお、本実施例では、ログイン名が入力される度にセキュリティ情報を更新するように構成したが、本発明はこれに限られず、副数回のログイン名入力に対して1回書換えたり、・・・適宜選択できるものである。」(段落【0028】)

上記摘記事項(ロ)及び(ニ)によれば、ログイン名・パスワードがセキュリティ情報と対応することは明らかである。
また、上記摘記事項(イ)によれば、本人確認装置は、端末装置からセキュリティ情報を読み出すのであるから、当該セキュリティ情報を受信する手段を実質的に有することも明らかであり、その他、上記摘記事項(イ)〜(ヘ)に記載された機能に対応する手段を有することも明らかであるから、
引用例には、
「ログイン名・パスワードに対応するセキュリティ情報が記憶されたセキュリティ情報ファイルと、入力されたログイン名やパスワードを本人確認装置に供給する出力部と、本人確認装置からセキュリティ情報読出指令が出力されたとき該セキュリティ情報ファイルに記憶されているセキュリティ情報を読み出す手段と、読み出したセキュリティ情報を本人確認装置に供給する手段と、本人確認装置から新たなセキュリティ情報が出力されたとき、セキュリティ情報ファイルの古いセキュリティ情報を消去して新たなセキュリティ情報を記憶する手段とを備える端末装置と、
ログイン名・パスワードに対応するセキュリティ情報が記憶されたセキュリティ情報控ファイルと、端末装置からセキュリティ情報を受信する手段と、端末装置から供給されたセキュリティ情報とそのセキュリティ情報控ファイルに記憶されているセキュリティ情報との一致判別を実行するセキュリティ情報照合部と、該一致判別の結果一致していた場合に電子計算機の使用を許可する手段と、ログイン名が入力される度に、又は複数回のログイン名入力に対して、乱数処理により作成された新たなセキュリティ情報に基づいてセキュリティ情報控ファイルのログイン名・パスワードに対応するセキュリティ情報を更新する手段とを備える本人確認装置と、
からなることを特徴とするセキュリティを確保する本人確認システム。」(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されていると認められる。
(3)-3.対比・判断
補正後の発明と、引用例に記載された発明を対比すると、引用例に記載された発明の「ログイン名」、「パスワード」、「セキュリティ情報」、「ログイン名・パスワードに対応するセキュリティ情報が記憶されたセキュリティ情報ファイル」、「端末装置」、「本人確認装置」、「ログイン名・パスワードに対応するセキュリティ情報が記憶されたセキュリティ情報控ファイル」は、補正後の発明の「ID番号」、「パスワード」、「通信確認信号」、第一の通信システムに備えられた「ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部」、「第一の通信システム」、「第二の通信システム」、第二の通信システムに備えられた「ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部」に相当し、
引用例に記載された発明の「本人確認装置からセキュリティ情報読出指令が出力されたとき該セキュリティ情報ファイルに記憶されているセキュリティ情報を読み出す手段」は、補正後の発明の「記憶部から通信確認信号を読み取る手段」に包摂され、
引用例に記載された発明の「端末装置からセキュリティ情報を受信する手段」は、補正後の発明の「第一の通信システムから通信確認信号を受信する手段」に相当し、
引用例に記載された発明の「端末装置から供給されたセキュリティ情報とそのセキュリティ情報控ファイルに記憶されているセキュリティ情報との一致判別を実行するセキュリティ情報照合部」は、補正後の発明の「第一の通信システムから受信した通信確認信号とその記憶部に記憶されている通信確認信号とを比較する手段」に相当し、
引用例に記載された発明の「一致判別の結果一致していた場合に電子計算機の使用を許可する手段」は、補正後の発明の「比較の結果一致していた場合に接続を許可する手段」に相当し、
引用例に記載された発明の「ログイン名が入力される度に、又は複数回のログイン名入力に対して、乱数処理により作成された新たなセキュリティ情報に基づいてセキュリティ情報控ファイルのログイン名・パスワードに対応するセキュリティ情報を更新する手段」は、補正後の発明の第二の通信システムに備えられた「所定単位の通信のつどその記憶部のID番号・パスワードに対応する通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段」に相当し、
また、引用例に記載された発明の「本人確認システム」は、本人確認を確実に行ってシステムに対する不正な使用を防止するシステムであるから、引用例に記載された発明の「本人確認システム」は、補正後の発明の「不正通信防止システム」に相当する。
さらに、補正後の発明の「読取った通信確認信号を第二の通信システムに通知して接続要求を行なう手段」と引用例に記載された発明の「読み出したセキュリティ情報を本人確認装置に供給する手段」は、「読取った通信確認信号を第二の通信システムに通知する手段」である点で一致し、
補正後の発明の第一の通信システムに備えられた「所定単位の通信のつど記憶部の通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段」と引用例に記載された発明の「本人確認装置から新たなセキュリティ情報が出力されたとき、セキュリティ情報ファイルの古いセキュリティ情報を消去して新たなセキュリティ情報を記憶する手段」は、「所定単位の通信のつど記憶部の通信確認信号を更新する手段」である点で一致する。
したがって、両者は、
「ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部と、該記憶部から通信確認信号を読み取る手段と、読取った通信確認信号を第二の通信システムに通知する手段と、所定単位の通信のつど記憶部の通信確認信号を更新する手段とを備えた第一の通信システムと、
ID番号・パスワードに対応する通信確認信号が記憶された記憶部と、第一の通信システムから通信確認信号を受信する手段と、第一の通信システムから受信した通信確認信号とその記憶部に記憶されている通信確認信号とを比較する手段と、該比較の結果一致していた場合に接続を許可する手段と、所定単位の通信のつどその記憶部のID番号・パスワードに対応する通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段とを備えた第二の通信システムと、
からなることを特徴とする不正通信防止システム。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
接続要求を行なう手段に関して、補正後の発明は、読取った通信確認信号を第二の通信システムに通知して接続要求を行なう、すなわち、発明の詳細な説明及び図面の記載を参酌すれば、ID番号とパスワードを通知して接続要求を行うときに通信確認信号も同時に通知するのに対し、引用例に記載された発明は、入力されたログイン名やパスワードを本人確認装置に供給し、本人確認装置からセキュリティ情報読出指令が出力されたとき該セキュリティ情報ファイルに記憶されているセキュリティ情報を読み出し、読み出したセキュリティ情報を本人確認装置に供給する点。
(相違点2)
第一の通信システムに備えられる「更新する手段」に関して、補正後の発明は、第一の通信システムで実行される一定のアルゴリズムに従って更新するのに対し、引用例に記載された発明は、本人確認装置から新たなセキュリティ情報が出力されたとき、セキュリティ情報ファイルの古いセキュリティ情報を消去して新たなセキュリティ情報を記憶する点。

上記相違点について、以下検討する。
(相違点1について)
複数の認証情報を端末装置からホスト装置へ送信して接続要求を行う場合、当該複数の認証情報を同時に送信することは、例えば、特開平3-33976号公報の、暗証番号と最新切断時刻データをセットした取引電文を送るとの記載、特開平5-199221号公報の、パスワードと指紋情報を送信するとの記載、及び特開平9-204401号公報の、利用者識別コードとパスワードを備えた個人登録情報と声紋データを備えた個人特徴情報を転送するとの記載にみられるように周知である。してみれば、接続要求を行うために、引用例に記載された発明の、入力されたログイン名やパスワードを本人確認装置に供給し、本人確認装置からセキュリティ情報読出指令が出力されたとき該セキュリティ情報ファイルに記憶されているセキュリティ情報を読み出し、読み出したセキュリティ情報を本人確認装置に供給することに代えて、読取ったセキュリティ情報をログイン名やパスワードと同時に本人確認装置に通知して接続要求を行うことは当業者が容易になし得たことであるから、相違点1を格別のものと認めることはできない。
(相違点2について)
第一の通信システムと第二の通信システムが、所定単位の通信のつど、所定の計算式に従ってそれぞれ認証情報を更新することは、例えば、特開昭63-285661号公報の、ホストシステム側及び端末装置側でそれぞれに次回に使用するパスワードをパスワード再計算機構により計算してパスワード記憶装置に格納し、次回のパスワードにするとの記載、特開昭59-154837号公報の、送信側装置と受信装置側で、事前にとり決めた手順に従ってパスワードの動的変更部を変更し、次のパスワード認証に用いる旨の記載、及び特開平6-244793号公報の、認証が成功した場合、移動端末と交換局がそれぞれに設けられたカウンタをカウントアップしてそのカウント値を次回の認証に用いる旨の記載にみられるように周知である。
してみると、引用例に記載される本人確認装置から新たなセキュリティ情報が出力されたとき、セキュリティ情報ファイルの古いセキュリティ情報を消去して新たなセキュリティ情報を記憶する手段に代えて、前記周知技術を適用して、第一の通信システム側と第二の通信システム側の両方の通信システムに、所定単位の通信のつど記憶部の通信確認信号を一定のアルゴリズムに従って更新する手段を備えた構成とすることは、当業者が容易になし得たことと認められる。
したがって、補正後の発明は、引用例に記載された発明及び周知技術思想に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成14年5月29日付の手続補正は上記のとおり決定をもって却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年3月8日付け手続補正書により補正された明細書の記載から見て、その請求項1に記載された事項により特定されるものと認める。

(2)引用例
これに対して、引用例には、上記2.(3)-2.で認定したとおりの引用例に記載された発明が記載されている。

(3)対比・判断
本願発明は、補正後の発明の「通信確認信号」から、「ID番号・パスワードに対応する」という限定を削除したものであるから、上記2.(3)-3.で述べた補正後の発明についてと同様に、引用例に記載された発明及び周知技術思想に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

(4)むすび
以上のとおりであるので、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術思想に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-11-05 
結審通知日 2003-11-11 
審決日 2003-11-26 
出願番号 特願平9-269217
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮司 卓佳  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 平井 誠
村上 友幸
発明の名称 不正通信防止システム  
代理人 吉澤 敬夫  
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