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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1090870
審判番号 不服2002-19257  
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-12-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-03 
確定日 2004-01-16 
事件の表示 平成 6年特許願第106860号「サーマルプリントヘッド」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年12月 5日出願公開、特開平 7-314755]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年5月20日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成15年9月1日付の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「基板上に第1の発熱ドット列と第2の発熱ドット列とが所定間隔を隔てて平行に設けられており、これら2列の発熱ドット列のそれぞれは、所定幅を有する帯状の発熱抵抗体を横断するように櫛歯状の複数のコモン電極とこれら複数のコモン電極間に延入する複数の個別電極とが設けられることによって形成され、上記2列の発熱ドット列のそれぞれの発熱ドットどうしは、これら発熱ドットピッチの1/2ピッチずつその配列方向に位置ずれしており、上記基板上には、上記2列の発熱ドット列の各々を発熱ドット単位で駆動制御するように上記個別電極に接続された駆動ICが、上記2列の発熱ドット列間の外側に配されて実装されている、サーマルプリントヘッドであって、
上記2列の発熱ドット列のそれぞれのコモン電極の上記2列の発熱ドット列間に位置している一端部どうしは、直接接続されているとともに、上記2列の発熱ドット列のいずれか一方のみのコモン電極の他端部は、上記2列の発熱ドット列間の外側方向に延伸され、かつ上記駆動ICの下を潜るようにして配置された1本のコモンラインに接続されていることを特徴とする、サーマルプリントヘッド。」

2.引用例
これに対して、当審が平成15年6月25日(起案日)付で通知した拒絶の理由に引用した引用例1乃至3とその記載事項は次のとおりである(記載中、「・・・」は中略を示す)。
(1)引用例1:特開平4-290756号公報
1-a.「【請求項1】2列に平行に配設された第1の発熱抵抗体と第2の発熱抵抗体、これら第1の発熱抵抗体および第2の発熱抵抗体の中間にこれら発熱抵抗体に平行に配設される共通電極、この共通電極から第1の発熱抵抗体あるいは第2の発熱抵抗体に対し交互に等間隔に配設され、これら発熱抵抗体に接触しこれら発熱抵抗体を直角に横断する電源側配線パターン、これら第1の発熱抵抗体あるいは第2の発熱抵抗体と、上記電源側配線パターンとの中間にそれぞれ配設され、これら発熱抵抗体に接触しこれら発熱抵抗体を直角に横断する接地側配線パターン、上記第1の発熱抵抗体に対し上記共通電極と反対側に所定の配列ピッチで配列された制御回路IC群の第1の配列、上記第2の発熱抵抗体に対し上記共通電極と反対側に上記所定の配列ピッチ且つ上記制御回路IC群の第1の配列とは配列ピッチを半ピッチ分ずらして配列された制御回路IC群の第2の配列、上記制御回路IC群の第1の配列および第2の配列の両側、および制御回路ICの間から上記共通電極に対して配設される電源接続パターン、を備えたことを特徴とするサーマルヘッドアレイの構造。」(【特許請求の範囲】)
1-b.「【産業上の利用分野】本発明は、感熱記録装置に使用するサーマルヘッドアレイの構造に関するものである。」(段落【0001】)
1-c.「シフトレジスタ2,ラッチ3,ドライバ4は、通常ICで構成され、これらを一括して制御回路IC11と言うこととする。」(2頁1欄35〜37行)
1-d.「【実施例】図1は本発明の一実施例を示す図で、図において、1A,1Bはそれぞれ2列に平行に配設された第1の発熱抵抗体および第2の発熱抵抗体、2は第1の発熱抵抗体1Aと第2の発熱抵抗体1Bとの中間にこれらの発熱抵抗体に平行に配設された共通電極、9は電源側配線パターンで、共通電極2から第1の発熱抵抗体1Aあるいは第2の発熱抵抗体1Bに対し交互に等間隔に配設され、それぞれ発熱抵抗体1A,1Bに接触してこれらを横断するように形成されている。10は接地側配線パターンで、第1の発熱抵抗体1Aあるいは第2の発熱抵抗体1Bの電源側配線パターンの中間にそれぞれ配設され、発熱抵抗体1A,1Bに接触してこれらを横断するように形成されている。11は制御回路IC、12は電源接続パターンを示す。」(段落【0008】)
等が図面と共に記載されており、
図面の、特に、図1には、2列の発熱抵抗体1A,1Bが所定間隔を隔てた所定幅の帯状であり、共通電極2が2列の発熱抵抗体1A,1Bの中間に1本のみあり、共通電極2の両側(図面の上下側)から発熱抵抗体1A,1Bのそれぞれに向けて複数の電源側配線パターン9が櫛歯状に延びると共に、該両側の電源側配線パターン9の一方側と他方側とは電源側配線パターン9のピッチの略半分ずつその配列方向に位置ずれしており、複数の接地側配線パターン10の個々が複数の電源側配線パターン9の個々の間の中間に延入すると共に、両隣の電源側配線パターン9との間で単位発熱領域を形成しており、制御回路IC11が発熱抵抗体1A,1Bの外側に配されている様子が記載されている。
これらの記載を含む明細書と図面の全記載によれば、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。
「第1の発熱抵抗体1Aと第2の発熱抵抗体1Bとが所定間隔を隔てて平行に設けられており、これら2列の発熱抵抗体1A,1Bにおける単位発熱領域の並びのそれぞれは、所定幅を有する帯状の発熱抵抗体1A,1Bを横断するように櫛歯状の複数の電源側配線パターン9とこれら複数の電源側配線パターン9間に延入する複数の接地側配線パターン10とが設けられることによって形成され、上記2列の発熱抵抗体1A,1Bのそれぞれの単位発熱領域どうしは、隣接する電源側配線パターン9のピッチの略半分ずつその配列方向に位置ずれしており、上記2列の発熱抵抗体1A,1Bの各々を単位発熱領域の単位で制御する制御回路IC11が、上記2列の発熱抵抗体1A,1B間の外側に配されている、サーマルヘッドアレイであって、上記2列の発熱抵抗体1A,1Bのそれぞれの電源側配線パターン9は、上記2列の発熱抵抗体1A,1Bの中間に配置された1本の共通電極2に接続されていることを特徴とする、サーマルヘッドアレイ。」

(2)引用例2:特開平1-206069号公報
2-a.「従来技術として・・・1つの基板上に1つの抵抗体を有する・・・第5図に示す・・・構造・・・では印字速度の高速化は達成できない。これの改良として・・・発熱抵抗体を2本設置するものがあり、これを第6図に示す。すなわち2本の発熱抵抗体52の間にコモン導体55を配置し、一方信号電極53はコモン電極54と反対側、すなわち2本の発熱抵抗体の外側から発熱抵抗体へ導き接続するものである。・・・しかし・・・2本の発明抵抗体の間隔は・・・広いギヤツプになり・・・高速印字は困難であるという問題点がある。本発明は・・・従来のものに比較して約2倍以上の速度で印刷可能なサーマルヘツドの構造を技術課題とするものである。」(1頁右下欄2行〜2頁左上欄9行)
2-b.「第1図に示す実施例1に於いて、1はアルミナ基板で・・・2ラインにわたつて抵抗体が形成されている。一方の抵抗体は第1発熱部3,他方の抵抗体を第2発熱部4とし、各々の発熱部を独立に制御するためのIC10が発熱部の両側に配置してある。第1発熱部に電流を供給するために、信号電極5とコモン電極6が交互に配置され、抵抗体と制御用ICを結んでいる。第2発熱部4の配線も同様に第1発熱部3と対象に配置されている。」(2頁左下欄2〜11行)
2-c.「信号電極5は発熱部への電流のON/OFFを制御するIC10近傍まで配線され、ICと金線11でワイヤボンデイングされる。」(2頁右下欄1〜3行)
2-d.「第3図は実施例2を示し・・・制御用IC10の下に・・・コモン導体7を置いたもので、他の構造及び作動は実施例1と同様である。」(3頁左上欄1〜6行)
等が図面と共に記載されており、
図面の、特に、従来例を示す第6図には、2本の発熱抵抗体52が帯状であり、複数のコモン電極54が櫛歯状であり、個々の信号電極53が複数のコモン電極54間に延入すると共に他端は発熱抵抗体52の外側において制御用ICへと向かい、コモン導体55が1本である様子が、また、実施例2を示す第3図には、基板1上において、2本の発熱抵抗体3,4が帯状であり、複数のコモン電極6が櫛歯状であり、個々の信号電極5が複数のコモン電極6間に延入し、コモン導体27が発熱抵抗体3,4別に2本あり、それぞれ発熱抵抗体の外側において制御用IC10の下を潜るように配置されている様子が記載されている。

(3)引用例3:特開昭60-71269号公報
3-a.「本発明はプリンタやファクシミリ等の感熱記録装置に用いられる感熱記録ヘッドに関する。」(1頁左下欄末行〜右下欄1行)
3-b.「第2図は本発明の一実施例における感熱記録ヘッドの要部を表したものである。この感熱記録ヘッドは、一定の間隔Dをおいて互いに平行に配置された直線状の第1および第2の発熱抵抗体11、12を備えている。・・・複数の第1の電極13・・・の各一端は第1の発熱抵抗体11に接続され、・・・複数の第2の電極15・・・の各一端は第2の発熱抵抗体12に接続され・・・ている。第1の電極13の各中間に対応する箇所には1つおきに一方の共通電極17がそれぞれ配設され・・・電極17の各一端は第1の発熱抵抗体11に接続され、更にサインカーブ状に延びて第2の発熱抵抗体12に接続され・・・各他端は共に1つの一方のスイッチング素子18を介して電源19に接続されている。第2の電極15の各中間に対応する箇所には1つおきに他方の共通電極20がそれぞれ配設され・・・電極20の各一端は第2の発熱抵抗体12に接続され、更にサインカーブ状に延びて第1の発熱抵抗体11に接続され・・・各他端は共に1つの他方のスイッチング素子21を介して電源19に接続されている。これらの共通電極17、20は交互に配置され・・・ている。」(2頁右上欄下3行〜右下欄11行)
等が図面と共に記載されており、
図面の、特に、第2〜5図には、発熱抵抗体11,12が帯状であり、個々の共通電極17が、発熱抵抗体11に接続する部位と発熱抵抗体12に接続する部位とをサインカーブ状に直接接続し、発熱抵抗体11の外側のみにおいて1本のラインに共に接続され、また、個々の共通電極20が、発熱抵抗体12に接続する部位と発熱抵抗体11に接続する部位とをサインカーブ状に直接接続し、発熱抵抗体12の外側のみにおいて1本のラインに共に接続されている様子が記載されている。

3.対比
本願発明(前者)と引用例1に記載された発明(後者)を対比するに、後者の「電源側配線パターン9」、「接地側配線パターン10」、「共通電極2」、及び「サーマルヘッドアレイ」は、それぞれ前者の「コモン電極」、「個別電極」、「コモンライン」、及び「サーマルプリントヘッド」に対応する。
また、後者の「単位発熱領域」は前者の「発熱ドット」に対応すると共に、後者の「発熱抵抗体1A」と「発熱抵抗体1B」は「単位発熱領域」(即ち「発熱ドット」)が列状に並んだものといえるから、後者の「発熱抵抗体1A」、「発熱抵抗体1B」、及び「発熱抵抗体1A,1Bにおける単位発熱領域の並び」は、「発熱ドット」を用いて表現すれば、共に「発熱ドット列」ということができる。
さらに、後者の「制御回路IC11」は、シフトレジスタやラッチやドライバを構成するものであるから(記載事項1-c)、「単位発熱領域の単位」(即ち「発熱ドット単位」)で駆動制御するように「接地側配線パターン10」(即ち「個別電極」)に接続されたICであることは明らかであり、前者の「駆動IC」に対応する。
さらにまた、後者の「上記2列の発熱抵抗体1A,1Bのそれぞれの単位発熱領域どうしは、隣接する電源側配線パターン9のピッチの略半分ずつその配列方向に位置ずれして」いることは、「上記2列の発熱ドット列のそれぞれの発熱ドットどうしは、その配列方向に位置ずれして」いる点で、前者の「上記2列の発熱ドット列のそれぞれの発熱ドットどうしは、これら発熱ドットピッチの1/2ピッチずつその配列方向に位置ずれして」いることと共通する。
これらのことから、両者は、「第1の発熱ドット列と第2の発熱ドット列とが所定間隔を隔てて平行に設けられており、これら2列の発熱ドット列のそれぞれは、所定幅を有する帯状の発熱抵抗体を横断するように櫛歯状の複数のコモン電極とこれら複数のコモン電極間に延入する複数の個別電極とが設けられることによって形成され、上記2列の発熱ドット列のそれぞれの発熱ドットどうしは、その配列方向に位置ずれしており、上記2列の発熱ドット列の各々を発熱ドット単位で駆動制御するように上記個別電極に接続された駆動ICが、上記2列の発熱ドット列間の外側に配されている、サーマルプリントヘッド。」である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>前者が、第1の発熱ドット列、第2の発熱ドット列、発熱抵抗体、コモン電極、個別電極、及びコモンラインを基板上に設け、駆動ICを該基板上に実装しているのに対して、後者では、引用例1に基板についての記載が特にはないため、これらのことが定かでない点。
<相違点2>2列の発熱ドット列のそれぞれの発熱ドットどうしの配列方向における位置ずれについて、前者が、発熱ドットピッチの1/2ピッチずつ位置ずれしているのに対して、後者では、隣接する電源側配線パターン9(即ちコモン電極)のピッチの略半分ずつ位置ずれしている点。
<相違点3>2列の発熱ドット列のそれぞれのコモン電極とコモンラインとの接続関係について、前者が、「上記2列の発熱ドット列のそれぞれのコモン電極の上記2列の発熱ドット列間に位置している一端部どうしは、直接接続されているとともに、上記2列の発熱ドット列のいずれか一方のみのコモン電極の他端部は、上記2列の発熱ドット列間の外側方向に延伸され、かつ上記駆動ICの下を潜るようにして配置された1本のコモンラインに接続されている」のに対して、後者では、「上記2列の発熱抵抗体1A,1B(即ち発熱ドット列)のそれぞれの電源側配線パターン9(即ちコモン電極)は、上記2列の発熱抵抗体1A,1B(即ち発熱ドット列)の中間に配置された1本の共通電極2(即ちコモンライン)に接続されている点。

4.当審の判断
<相違点1>について検討するに、後者においても、その第1の発熱ドット列、第2の発熱ドット列、発熱抵抗体、コモン電極、個別電極、コモンライン、及び駆動ICは、配置を保って一つのサーマルプリントヘッドとしてまとめられているものであるから、それらが何らかの基板上に配されていることは当然のことであり、また、引用例2にそれらを一つの基板上に設け或いは実装することが記載されている(記載事項2-b〜d、第3図)ことから、少なくとも、相違点1は当業者が適宜なし得た設計の変更である。
<相違点2>について検討するに、本願明細書の段落【0032】に「第1の発熱ドット列Raと第2の発熱ドット列Rbとは、その列方向に沿って発熱ドットピッチPの1/2ピッチ分だけ互いに位置ずれされている。」との記載があり、本願図面の図1に、発熱ドットピッチPがコモン電極3aのピッチであることが示されていることから、後者の「隣接する電源側配線パターン9(即ちコモン電極)のピッチ」は前者の「発熱ドットピッチ」と同義である。
後者のコモン電極は等間隔に配設されると共に、その中間に個別電極が配設され(記載事項1-d)、その個別電極と対向して他方の列のコモン電極が配設されている(図1)ことから、後者において、2列の発熱ドット列のそれぞれの発熱ドットどうしの配列方向における位置ずれが発熱ドットピッチの1/2ピッチであることは明らかである。
したがって、相違点2は実質的な相違点であるとはいえない。
<相違点3>について検討する。
引用例2に、2列の発熱ドット列の間にコモンラインを配した従来のサーマルプリントヘッドでは2列の発熱ドット列の間隔が広くなるという問題があり(記載事項2-a、第6図)、この間隔を狭めるために、コモンラインを2列の発熱ドット列間の外側に出して駆動ICの下を潜るように配置し、このコモンラインに向けてコモン電極を延伸させる(記載事項2-b〜d、第3図)という考え方が示されている。
後者は、引用例2に記載された第6図に係る従来例と同様に2列の発熱ドット列の間にコモンラインを配したものであって該従来例と同様の問題を有することは明らかであるから、後者においても、引用例2に示された考え方に基づいて2列の発熱ドット列の間隔を狭めるべく、コモンラインを2列の発熱ドット列間の外側に出して駆動ICの下を潜るように配置し、このコモンラインに向けてコモン電極を延伸せしめることは容易に想起し得ることである。
そして、2列の発熱ドット列間の外側に配したコモンラインに向けてコモン電極を延伸せしめる場合の2列の発熱ドット列のそれぞれのコモン電極とコモンラインとの接続関係について、引用例3に、2列の発熱ドット列のそれぞれのコモン電極の2列の発熱ドット列間に位置している一端部どうしを直接接続すると共に、2列の発熱ドット列のいずれか一方のみのコモン電極の他端部を2列の発熱ドット列間の外側方向に延伸して1本のコモンラインに接続する(記載事項3-b、第2〜5図)という考え方が示されていることから、後者に対して引用例2に示された上記の考え方を適用するに当たって、引用例3に示された接続に係る上記の考え方を同時に採用することは容易なことといえる。
請求人は、意見書において、引用例2,3に記載されたコモンラインは共に2本であるから、コモンラインを1本にすることは容易でない旨主張している。
しかし、引用例3に記載された2本のコモンラインは、2列の発熱ドット列に跨る共通電極17(即ちコモン電極)に対しては2本のうちの1本のみが接続され、同じく2列の発熱ドット列に跨る共通電極20(即ちコモン電極)に対しても2本のうちの他の1本のみが接続されていることから、コモン電極とコモンラインとの接続の仕方としては、上述した考え方が示されているということができる。
そして、引用例2の第3図に係る実施例には、2列の発熱ドット列のそれぞれに対応して計2本のコモンラインが示されているが、後者に対して引用例2に示された上述した考え方を適用するに当たって、コモン電極とコモンラインとの接続の仕方が幾つか知られているときに、引用例2に示された接続の仕方のみしか当業者が採用できないとする理由はないのであり、かつ、引用例3に示された接続に係る上述した考え方を同時に採用することに阻害要因はなく、しかも、その採用によればコモンラインは1本のみで済み得ることは明らかであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
したがって、相違点3は当業者であれば容易に想到し得たことというべきである。

そして、相違点1乃至3に係る構成を備えた前者の作用効果も容易に予測できるものであり、格別なものとはいえない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例1乃至3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと言わざるを得ず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-11-06 
結審通知日 2003-11-11 
審決日 2003-11-25 
出願番号 特願平6-106860
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 俊彦  
特許庁審判長 小沢 和英
特許庁審判官 番場 得造
藤井 靖子
発明の名称 サーマルプリントヘッド  
代理人 吉田 稔  
代理人 田中 達也  
代理人 福元 義和  

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