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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C02F
管理番号 1091326
審判番号 不服2001-21827  
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-06-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-06 
確定日 2004-02-05 
事件の表示 平成 7年特許願第322690号「給湯器」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年 6月17日出願公開、特開平 9-155366]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年12月12日の出願であって、平成13年7月23日付けの拒絶の理由が通知され、平成13年10月29日付け拒絶査定がなされ、さらに、その法定期間内に査定不服審判の請求がなされ、その請求の日から30日以内である平成13年12月28日付けで明細書全文を補正する手続補正書が提出されたものである。

2.平成13年12月28日付手続補正の適法性についての判断
(1)補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という)は、平成13年12月28日付けで補正された明細書の特許請求の範囲に記載される次のとおりのものである。
「【請求項1】水道水を給水弁を介して浄水器に接続し、浄水器の出水側を2方向に切り替える切換弁を設け、前記出水側の一方は浄水をそのまま器体外に吐出する吐出口に接続し、他方は湯沸かし装置に給水するように接続し、前記湯沸かし装置側への給水は水位が低水位の設定値以下になると前記給水弁と切換弁を切り替えて給水し、水位が満水の設定値に達すると前記給水弁により給水を停止するように制御装置で制御するとともに、前記浄水器への通水が停止した時間を記憶するタイマー機能を設け、浄水器への通水を停止していた時間が一定時間以上の場合、浄水器から吐出口または湯沸かし装置へ給水を開始する前に浄水器に溜まった滞留水を排出弁を介して排水パイプより器体外に排水する給湯器。」
(2)拒絶の理由で通知された引用献記載の発明
引用文献1(特開平7-100066号公報)の第3頁3欄32行から4欄21行には、水道の蛇口30を介して、フィルター26と活性炭27を有する浄水部に接続し、浄水部の吐出側に浄水切り替え弁25を設け、該切り替え弁25の一方は浄水出水口33接続し、他方は容器2とヒータ12を有する給湯部に接続し、給湯部のセンサー19からの信号により容器2の中の水位が低いと制御装置36が弁25を給湯部側に開き、水を容器内へ流れさせ、容器2の水位が高いと弁25を閉じ水が流れないようにすることが記載されている。
引用文献3(特開平6-285457号公報)の【要約】欄には、浄水器内に雑菌が繁殖して非衛生な状態で使用されるのを防ぐため、止水時からの経過時間を測定する不使用時間計測手段により、浄水器内の所定量を放水することが記載されている。
引用文献5(実願平4-37062号(実開平5-81368号公報)のCD-ROM)段落【0017】には、浄水器に水が長く滞水すると雑菌が繁殖し、この状態で取水すると雑菌の混じった水を利用してしまうという問題を解決するため、浄水器3の連続滞水時間を積算し、その信号で三方切換弁13,14を制御し、浄水器の滞水をドレンへ捨てることが記載されている。
(3)対比・判断
引用文献1における「給湯部」、「浄水切り替え弁25」が、その機能に照らし、本願補正発明における「湯沸かし装置」、「切換弁」に相当するから、引用文献1記載の発明を、本願補正発明の記載ぶりに則して表現すると、以下のようになる。
「水道水を給水弁を介して浄水器に接続し、浄水器の出水側を2方向に切り替える切換弁を設け、前記出水側の一方は浄水をそのまま器体外に吐出する吐出口に接続し、他方は湯沸かし装置に給水するように接続し、前記湯沸かし装置側への給水は水位が低水位の設定値以下になると切換弁を切り替えて給水し、水位が満水の設定値に達すると前記切換弁により給水を停止するように制御装置で制御する給湯器」
本願補正発明と、引用文献1記載の発明とを対比すると、両者は「水道水を給水弁を介して浄水器に接続し、浄水器の出水側を2方向に切り替える切換弁を設け、前記出水側の一方は浄水をそのまま器体外に吐出する吐出口に接続し、他方は湯沸かし装置に給水するように接続し、前記湯沸かし装置側への給水は水位が低水位の設定値以下になると切換弁を切り替えて給水し、水位が満水の設定値に達すると弁により給水を停止するように制御装置で制御する給湯器」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点a:水位が低水位の設定値以下になった場合に切り換える弁が、本願補正発明では給水弁と切換弁であるのに対し、引用文献記載の発明では切換弁(浄水切り替え弁25)だけであり、水位が満水の設定値に達した場合に切り換える弁が、本願補正発明では給水弁であるのに対し、引用文献記載の発明では切換弁である点
相違点b:本願補正発明が、浄水器への通水が停止した時間を記憶するタイマー機能を設け、浄水器への通水を停止していた時間が一定時間以上の場合、浄水器から吐出口または湯沸かし装置へ給水を開始する前に浄水器に溜まった滞留水を排出弁を介して排水パイプより器体外に排水しているのに対し、引用文献1には、このような構成が記載されていない点

以下、上記相違点に付き検討する。
相違点aについて:切り換えるべき弁の数及び位置が異なるものの、両者は、湯沸かし装置の水位が低い場合に浄水器を通して浄水を湯沸かし装置に供給し、水位が満水の場合に浄水の給水を止める点では、操作自体に変わるところがなく、また、本願変更発明のように給水するか否かを給水弁の切換で制御することは普通のことであるから、両者の相違点は、単なる設計上の変更にすぎない。
相違点bについて:引用文献3及び5には、殺菌用の塩素まで除去された浄水が浄水器内に滞留すると雑菌が繁殖するので、止水時からの滞水時間をタイマーで測定し、所定時間を超えた場合に浄水器内の水を排水すること、特に、引用文献5には、滞水を排水するのに弁を介して行うことが記載されている。
引用文献1記載の発明における浄水器も活性炭27を含み、水道水中の塩素も除去され、引用文献3,5に記載される雑菌の繁殖という課題を有することは当業者にとって自明であるから、かかる課題を解決するため、引用文献1記載の発明に引用文献3または5記載の発明を適用し、本願補正発明の様な構成を採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。

したがつて、本願補正発明は、引用文献1、3、5の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、本特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
よって、平成13年12月28日付手続補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.上記手続補正前における請求項1に係る発明の特許性についての判断
上記手続補正前の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、本願補正発明における「前記浄水器への通水が停止した時間を記憶するタイマー機能を設け、浄水器への通水を停止していた時間が一定時間以上の場合、」という構成を削除したものであり、「本願補正発明」を包含する発明であるから、本願補正発明が、引用文献1、3、5の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、引用文献1、3、5の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、結論のとおり審決する
 
審理終結日 2003-11-26 
結審通知日 2003-12-02 
審決日 2003-12-15 
出願番号 特願平7-322690
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 真々田 忠博杉江 渉小久保 勝伊  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 岡田 和加子
山田 充
発明の名称 給湯器  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  

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