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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1091443
異議申立番号 異議2001-70373  
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-01-31 
確定日 2003-11-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3072605号「パチンコ機」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3072605号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3072605号の請求項1ないし4に係る発明についての出願は、平成3年9月11日に出願され、平成12年6月2日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人細江裕実により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年8月21日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年8月8日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
a.特許請求の範囲を、
「【請求項1】外枠に対して、施錠装置を備える前面枠を着脱可能に蝶着し、この前面枠に、遊技盤と打球の飛距離を調整するハンドルセット及びパチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セットとを設けたパチンコ機において、
前記前面枠は、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、
前記上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットと、 前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆い意匠を部分的に変更するための複数の合成樹脂製の空間部を有する飾り部材とからなり、
前記右縦フレーム材に対応する飾り部材内には、前記施錠装置が位置する空間部を有することを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】前記ハンドルセット及び前記下皿セットは前記前面枠の下横フレーム材に止着されていることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】前記フレームは金属製であることを特徴とする請求項1または2に記載のパチンコ機。」と訂正する。
b.明細書の段落【0004】を、
「【課題を解決するための手段】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、請求項1に記載した発明は、外枠に対して、施錠装置を備える前面枠を着脱可能に蝶着し、この前面枠に、遊技盤と打球の飛距離を調整するハンドルセット及びパチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セットとを設けたパチンコ機において、前記前面枠は、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、前記上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットと、前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆い意匠を部分的に変更するための複数の合成樹脂製の空間部を有する飾り部材とからなり、前記右縦フレーム材に対応する飾り部材内には、前記施錠装置が位置する空間部を有するパチンコ機である。
請求項2に記載した発明は、上記請求項1に記載の構成に加えて、ハンドルセット及び前記下皿セットは前記前面枠の下横フレーム材に止着されているパチンコ機である。
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の構成に加えて、フレームは金属製であるパチンコ機である。」と訂正する。
c.明細書の段落【0069】を、
「【発明の効果】
以上要するに本発明は、外枠に対して、施錠装置を備える前面枠を着脱可能に蝶着し、この前面枠に、遊技盤と打球の飛距離を調整するハンドルセット及びパチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セットとを設けたパチンコ機において、前記前面枠は、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、前記上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットと、前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆い意匠を部金的に変更するための複数の合成樹脂製の空間部を有する飾り部材とからなり、前記右縦フレーム材に対応する飾り部材内には、前記施錠装置が位置する空間部を有するので、充分な強度を有すると共に加工性が良好で、且つ軽量化したパチンコ機を提供することができる。また、前面枠の飾り部材を合成樹脂で形成すると共に複数に分割しているので、これらの部材に自由な装飾を施すことができ、装飾効果が著しく向上する。例えば、遊技盤の意匠に対応させて、前面枠の意匠を部分的に変更することが可能である。しかも、化粧板等を貼設する必要がないので、手間が掛からず作業能率が向上した実用的価値の高いパチンコ機を提供する。また、飾り部材は、空間部を有して補強されているので、強度も充分である。」と訂正する。

イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、請求項1において、特許明細書の【0012】、【0022】、【0064】〜【0066】、【0069】、【図1】、【図4】、【図42】、【図43】、【図44】の記載に基づいて、前面枠を、「施錠装置を備える前面枠」に限定するとともに、その構成を、「上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、前記上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットと,前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆い意匠を部分的に変更するための複数の合成樹脂製の飾り部材とからなり」と限定し、さらに、「空間部を有する飾り部材」のうち、「右縦フレーム部材に対応する飾り部材」を、「施錠装置が位置する空間部を有する飾り部材」に限定したものであり、請求項2は、請求項3の事項を繰り入れて、ハンドルセット及び前記下皿セットの両者の配置を特定し、請求項3は、請求項2の訂正により項番を繰り上げたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項b、cは、上記訂正事項aにともなって、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記訂正は願書に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲を越えるものとは認められないから、新規事項の追加に該当せず、また特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものではない。

ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書および第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
ア.申立の理由の概要
申立人細江裕実は、請求項1ないし4に係る発明は、甲第1ないし10号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、また、請求項1ないし4に係る発明の特許は、特許法第36条第5項第2号の規定に違反してされたものであるから取り消されるべき旨主張している。

イ.本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし3に係る発明は、上記訂正に係る訂正請求書の特許請求の範囲の請求項 1ないし3に記載された次の事項による特定されるとおりのものである。
「【請求項1】外枠に対して、施錠装置を備える前面枠を着脱可能に蝶着し、この前面枠に、遊技盤と打球の飛距離を調整するハンドルセット及びパチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セットとを設けたパチンコ機において、
前記前面枠は、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、
前記上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットと、 前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆い意匠を部分的に変更するための複数の合成樹脂製の空間部を有する飾り部材とからなり、
前記右縦フレーム材に対応する飾り部材内には、前記施錠装置が位置する空間部を有することを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】前記ハンドルセット及び前記下皿セットは前記前面枠の下横フレーム材に止着されていることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】前記フレームは金属製であることを特徴とする請求項1または2に記載のパチンコ機。」

ウ.特許法第29条第2項違反について
(1).引用刊行物に記載の発明
当審が平成15年5月30日付けで通知した取消しの理由において引用した刊行物には、それぞれ次のとおりの発明が記載されている。

刊行物1(実願昭60ー067433号(実開昭61ー185482号)のマイクロフィルム)には、
「第1図は本考案に係るパチンコ機の正面図であり、第2図は上図の11-11線に沿った縦断側面図である。符号1はパチンコ機の外形を構成する機枠体、2はこの機枠本体の-側に図示しない蝶番を介して開閉自由に蝶着した扉枠、3は扉枠に開設する開口部4に-側を蝶着して開閉自由に取付けたガラス装着枠であり、5はこのガラス装着枠の下方に同じく図示しない蝶番を介して開閉自由に取付けた前枠版である。ここに示した機枠体1、扉枠2、そして前枠板5は従来のパチンコ機におけるものと同じものであり、ガラス装着枠3は後に詳述するように本考案において独自に構成される。機枠体1は縦長長方形状に枠組してなり、この前面一側縁に蝶着される扉枠2は中央部に開口部4を設けて額縁形をなし、その背面部に金属板で筐形に成形した機構枠体6が固定され、この内部に前方から遊技板7が収められる。」(5頁1行〜18行)、
「12は下部前面に取付けた下部賞球受け皿で、この下部前面には打球発射用の操作グリップ13、背面には球を打出す発射杵を備えたモータ14等が装置される。」(6頁9〜12行)、
「さて、ガラス装着枠3は前面板3aを主体にして内外2枚のガラス板16、17と、このガラス板を前後の隔てる飾り枠18から構成され、この実施例では前面板3aを略正方形状にして上部が手前に傾く前傾状態にしてあり、その四辺から後方に向けて枠板3bを延設し略笹形をなすよう形成してある。」(6頁17行〜7頁3行)、
「図中23は上記ガラス装着枠3が取付けられる扉枠2の前面左右に縦に配置固定した補助枠で、24は窓19の周囲に沿って多数連設した表示ランプ群である。補助枠23は扉枠2の前面に突出するように設けられるガラス装着枠3に合わせて一体感を出すため設けた飾り材で、前面板3aの前傾に合わせて傾斜面に形成し、実質的には一方の補助枠を足場にガラス装着枠の一側縁を蝶着し、開閉自由に取付けることになる。」(8頁12行〜9頁1行)、と記載されている。
上記記載及び第1〜4図の記載を総合すると、刊行物1には、「機枠体に扉枠を着脱可能に蝶着し、この扉枠に、遊技盤と打球発射用の操作グリップと発射杵を備えたモータおよびパチンコ球を貯留する下部賞球受け皿とを設けたパチンコ機において、
前記扉枠は、額縁形であり、
前記下部賞球受け皿より上方の扉枠の前面左右に縦に配置された複数の飾り材とからなるパチンコ機。」が記載されているものと認める。

刊行物2(実願昭59ー112156号(実開昭61ー026579号)のマイクロフィルム)には
「扉枠4の右側上角部には全体として逆L字状をなす表示装置9が装着されている。この表示装置9は合成樹脂により成型され概略的にみて正面逆L字状の取付けケース10と、入賞表示部11、遊技中表示部12、不正表示部13及び呼出し表示部14により構成されている。そして、各表示部11〜14は第5図に示すように前記扉枠4に透設した収容孔15内に収容したランプ16と、同ランプ16を覆う表示ケース17と、さらに取付ケース10の格子部22とにより構成されている。」(4頁17行〜5頁7行)、
「なお、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、表示装置9の取付位置はガラス扉周辺部であれば任意でよく、ガラス扉下方の球受皿操作ハンドルあたりに設けてもよく、各種表示部分を分割し各別に独立して設けでもよい。なお、また表示装置9を扉枠4に取付ける場合には取付ケース10の形状を取付け位置に合うように逆L字状以外の長方形状、円形状、各種形状のものが考えられる。」(10頁18行〜11頁6行)と記載されている。

刊行物3(実願昭59ー94635号(実開昭61ー10787号)のマイクロフィルム)には、
「飾り部材6は第3図に示すように有色透明な合成樹脂で外形が支持板5の凹面部7に対応する形状をなし、かつ断面コの字型に形成され、その内部空間にランプ1l,11が配置される。」(3頁19行〜4頁2行)と記載されている。

刊行物4(特開平2ー164384号公報)には、
「パチンコ機1は、第1図に示すように、機枠2の一側に額縁状の前面枠3をヒンジ4により開閉可能に螺着し、該前面枠3の表面の上部に表示手段である表示ユニット5を取付けてある。表示ユニット5は、第2図に示すように、前面枠3の表面に取付ける本体ベース6と、該本体ベース6を包囲する包囲枠7と、本体ベースに取付けるランプ8…と、各ランプ8を覆うようにして取付けたレンズ部材9と、データの表示を行なう表示器10と、表示器10の前面を覆うようにして取付けたプレート11が主要な構成部材である。」(2頁右上欄20行〜左下欄11行)、
「レンズ部材9は、本例では左側の第1レンズ部材9aと、右側の第2レンズ部材9bの二つからなる。この第1レンズ部材9aと第2レンズ部材9bは、前面が曲面で上下左右の面が平面で後面が開放した略蒲鉾状の透光性合成樹脂製箱体であり、前面と上下の面の内側面には四角錐形の小さな凹凸を無数に形成したレンズ加工を施し、上面と下面の後端には係止爪を有する係止部33…を形成してある。」(3頁右上欄8〜16行)、と記載されている。

刊行物5(特開昭62ー53679号公報)には、
「パチンコ機の前面枠1は、第1図で示すように、アルミニウム等の金属の押出成型した型材からなる上横材2、下横材3、左縦材4、及び右縦材5を矩形に接続して窓部6を有する枠体を構成し、この枠体に窓部6を塞ぐようにして下部ユニット7、パネルユニット8及びガラス枠ユニット9を下から順次取付けてある。」(2頁右上欄3〜9行)と記載されている。

(3)対比・判断
(i).請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1に記載の「扉枠」は、額縁形であるから、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームであり、「機枠体」、「扉枠」、「打球発射用の操作グリップと発射杵を備えたモータ」、「下部賞球受け皿」および「飾り材」は、その機能から、請求項1に記載の「外枠」、「前面枠」、「打球の飛距離を調整するハンドルセット」、「パチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セット」および「飾り部材」に相当し、請求項1に係る発明は、段落【0022】の記載からは、飾り部材32は、左飾材321および右飾材322から構成され、この2つの飾材をもって複数の飾り部材としており、刊行物1の飾り部材(飾り材)も、前面枠(扉枠)の左右に縦に配置、すなわち、左縦フレーム材及び右縦フレーム材をそれぞれを覆うように複数配置されているから、両者は、「外枠に前面枠を着脱可能に蝶着し、この前面枠に、遊技盤と打球の飛距離を調整するハンドルセット及びパチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セットとを設けたパチンコ機において、
前記前面枠は、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、
前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆う複数の飾り部材とからなるパチンコ機。」である点で一致するが、下記の点で相違する。
(A)請求項1に係る発明では、上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットを備えているのに対し、刊行物1に記載の発明では、外部表示灯ユニットは備えていない点。
(B)請求項1に係る発明では、飾り部材は、意匠を部分的に変更するための複数の合成樹脂製からなり、空間部を有するのに対し、刊行物1に記載の発明では、飾り部材は、複数設けているが、意匠を部分的に変更するためのものか否かは不明であり、合成樹脂製で空間部を有することも不明である点。
(C)請求項1に係る発明では、右縦フレーム材に対応する飾り部材内には、施錠装置が位置する空間部を有しているのに対し、刊行物1に記載の発明では、施錠装置を備えていないから、このような構成を備えていない点。

上記相違点について検討する。
相違点(A)について、刊行物4には、パチンコ機において、内部にランプを配置した表示ユニット、すなわち、外部表示灯ユニットを前面枠の表面の上部に設けることが記載されているから、同様のパチンコ機である刊行物1に記載の発明においても、外部表示灯ユニットを用い、これを前面枠の表面の上部である上部横フレーム材の前面に設けることは当業者が容易に想到し得るものである。
相違点(B)について、パチンコ機の前面枠に設ける飾り部材等の部材を、合成樹脂製で、空間部を有するように構成することは刊行物2、3に記載されているから、刊行物1に記載の飾り部材も、空間部を有する合成樹脂製とすることは当業者が容易に想到し得るものである。また、本件明細書段落【0069】には「前面枠の飾り部材を合成樹脂で形成すると共に複数に分割しているので、これらの部材に自由な装飾を施すことができ、装飾効果が著しく向上する。例えば、遊技盤の意匠に対応させて、前面枠の意匠を部分的に変更することが可能である。」と記載しているように、意匠を部分的に変更するための構成は、飾り部材が合成樹脂で構成され、複数に分割していることであって(本件特許明細書には、飾り部材についての意匠に関する記載は【0069】のみで、意匠を部分的に変更するための実施例も存在せず、合成樹脂で構成され、複数に分割以外に意匠を部分的に変更するための構成も示されていない。)、上記したように、飾り部材を合成樹脂製で、空間部を有するように構成することは当業者が容易に想到し得るものであるから、このように構成した刊行物1に記載の飾り部材も、前面枠の意匠を部分的に変更することが可能である。
相違点(C)について、施錠装置をパチンコ機の前面枠の右縦枠に設けることは、刊行物2、3、5および特開平3ー128078号公報、実願昭59ー171035号(実開昭61ー85275号)のマイクロフィルム、実願平1ー67988号(実開平3ー7868号)のマイクロフィルムに記載のように周知であるから、刊行物1に記載の発明においても、施錠装置を前面枠の右縦枠、即ち、飾り部材内に設けることは当業者が容易になし得ることであって、上記相違点(B)で判断したように、飾り部材を合成樹脂製で、空間部を有するように構成することは当業者が容易に想到し得るものであるから、このように構成した刊行物1に記載の発明における施錠装置の位置は飾り部材の空間部になる。
そして、請求項1に係る発明の効果も、上記刊行物1ないし4に記載の発明および周知技術から容易に予測し得るものであって、格別顕著なものとは認められない。

(ii)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、ハンドルセット及び下皿セットを、前面枠の下横フレーム材に止着したものであるが、刊行物1に記載の発明も、第1〜4図の記載では、ハンドルセット及び下皿セットは、前面枠(扉枠)の下横フレームに止着され、刊行物5の下部ユニットも左右の縦材4、5とともに下横材3にも止着されているから、この点にも格別の困難性は認められない。

(iii)請求項3に係る発明について
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、フレームは金属製と特定したものであるが、刊行物5には、前面枠をアルミニウム等の金属の型材で上横材、下横材、左縦材及び右縦材で矩形にした枠材で構成することが記載されているから、フレームを金属製とすることも当業者が容易になし得るものである。

オ.むすび
以上のとおりであるから、請求項1ないし3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項1ないし3に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 外枠に対して、施錠装置を備える前面枠を着脱可能に蝶着し、この前面枠に、遊技盤と打球の飛距離を調整するハンドルセット及びパチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セットとを設けたパチンコ機において、
前記前面枠は、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、
前記上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットと、
前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆い意匠を部分的に変更するための複数の合成樹脂製の空間部を有する飾り部材とからなり、
前記右縦フレーム材に対応する飾り部材内には、前記施錠装置が位置する空間部を有することを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】 前記ハンドルセット及び前記下皿セットは前記前面枠の下横フレーム材に止着されていることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】 前記フレームは金属製であることを特徴とする請求項1または2に記載のパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、パチンコ機に関し、特に従来のパチンコ機とは異る構造を有するパチンコ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、パチンコ機は誕生以来その基本的構造に殆ど変化がなく、木製の外枠に、ガラス板を装着して内部を透視可能にした窓部を有する額縁状の前面枠を開閉可能に蝶着し、窓部の後方に役物や入賞口及びアウト口、及び障害釘を設けた遊技盤を臨ませて構成してある。そして、従来のパチンコ機は木(合板)を構造材として利用している。ところが、近年のパチンコ機では、大型の役物を好む傾向があるし、役物等に電気部品を多用し、これらをマイクロコンピュータにより制御しているので、重量の増加が著しく、構造材の強度不足が現れている。また、近年のパチンコ機は大当りになると大量の賞球獲得が可能になっているので、不正に賞球を狙う不正遊技が後を断たない。また、不正遊技が行われた場合の遊技店の被害額が大きい。更に、近年は自然保護が叫ばれ、木材の使用量を減少させる方向にあるので、木材に代わる構造材を使用したパチンコ機が望まれている。そこで、例えば、特開昭62-53679号公報により、前枠をアルミニウムの押出成型材により構成したものが提案されている。また、特開昭63-5774号公報では、従来のガラス枠とガラス板とを合成樹脂により形成したものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記改良されたパチンコ機にあっても、基本的には従来のパチンコ機の構造において一部の素材を変更しているにすぎず、新規なパチンコ機の開発には至っていない。一方、構造材として合成樹脂を利用することも考えられるが、従来のパチンコ機の構造をそのまま合成樹脂に置き換えることは、強度や成型の点で困難であるし、不正遊技が発生する虞れもある。また、従来の木製のパチンコ機にあっては、木材の表面に化粧板を添設するなど、表面仕上げが必要で手間の掛かるものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、請求項1に記載した発明は、外枠に対して、施錠装置を備える前面枠を着脱可能に蝶着し、この前面枠に、遊技盤と打球の飛距離を調整するハンドルセット及びパチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セットとを設けたパチンコ機において、前記前面枠は、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、前記上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットと、前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆い意匠を部分的に変更するための複数の合成樹脂製の空間部を有する飾り部材とからなり、前記右縦フレーム材に対応する飾り部材内には、前記施錠装置が位置する空間部を有するパチンコ機である。
請求項2に記載した発明は、上記請求項1に記載の構成に加えて、ハンドルセット及び前記下皿セットは前記前面枠の下横フレーム材に止着されているパチンコ機である。
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の構成に加えて、フレームは金属製であるパチンコ機である。
【0005】
【作用】
フレームを合成樹脂製の空間部を有する複数の飾り部材が覆って前面枠を構成し、ハンドルセットと下皿部を有する下皿セットとをフレームに止着することができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明を図示の実施例について説明すると、図1は本発明に係るパチンコ機1の概略斜視図であって、このパチンコ機1は外観上、外枠2とこの外枠2に開閉自在に蝶着される前面枠3と、上皿等を設けた上皿セット4と、下皿及び操作ハンドル等を設けた下皿セット5とに大別できる。一方、図2はパチンコ機1の概略背面図であって、向かって左側上方から球を貯留する上タンク11、球を誘導する下タンク12、遊技盤13に配置する役物等を制御する遊技盤制御ボックス14、入賞球を集めたり役物等の背面側を保護するリヤカバー15、入賞球の処理や賞球の払出を制御する枠制御ボックス16が配置され、リヤカバー15の右方には下タンク12に連通する賞球払出装置17、リヤカバー15の下方には入賞球処理装置18が夫々配置されている。また、図3はパチンコ機1の概略左側面図であって、外枠2の前面側に上皿セット4及び下皿セット5が突出状に位置し、外枠2の背面側には上タンク11、下タンク12が突出状に位置し、賞球払出装置17及び入賞球処理装置18が互いにほゞ平面状に位置し、リヤカバー15が賞球払出装置17等から若干突出状に位置している。また、図4は、上皿セット4及びガラス枠8を外した状態の正面図で、遊技盤載置台19や、打球発射装置191、球送り装置192、スピーカユニット193等が示してある。
【0007】
外枠2は、図5ないし図10に示すように、金属板を断面チャンネル状に形成した左右の縦枠材21,22及び上横枠材23と、底板部241と前板部242をほゞ直角状に有すると共に前板部242の上縁から後方へ向けて上板部243をほゞ直角に延設して断面ほゞ逆L字状に形成した下横枠材24とを矩形に組立てなり、各突合せ角部には連結金具が設けてある。
【0008】
図5において向かって左側の上角部に設ける連結金具251は左縦枠材21と上横枠材23とを連結し、下角部の連結金具252は左縦枠材21と下横枠材24とを連結する。また、これらの連結金具251,252は前面枠3を開閉自在に蝶着する蝶着手段26を一体に構成している。上側の連結金具251は、金属板をL字状に屈曲させて、上横枠材23及び左縦枠材21に添わせる上接続片251a及び左接続片251bを形成し、上接続片251aには下向きに突出する上蝶着ピン261を有する上蝶着片262を重合させる。尚、上蝶着片262は上横枠材23の前縁より前方へ延出し、上記上蝶着ピン261は延出部分に設けてある。この上側連結金具251は、各接続片251a,251bを上横枠材23及び左縦枠材21の端部から突き入れて添わせた後、スポット溶接等により固着する。
【0009】
一方、下側の連結金具252は、正面から見て断面がほゞ門型に形成してあり、左右の脚片252a,252bを下横枠材24の底板部241に載置して溶接すると共に、上面部252cに左縦枠材21の下端部を当接させて溶接することにより両枠材21,24を一体化する。また、上面部252cからは上記上蝶着片262に対応するように軸受孔263aを有する下蝶着片263を設ける。尚、軸受孔263aは上蝶着片262の上蝶着ピン261の垂線上に位置する。更に、この下蝶着片263の上面にはガイド板264を添設する。このガイド板264は、軸受孔263aに対応する位置に前縁に向けて開放する切欠264aを設け、この切欠264aにより前方から挿入される前面枠3の下蝶着ピン371を上記軸受孔263aに容易に誘導できるようにしてある。尚、上記軸受孔236aには前面枠3に設ける下蝶着ピン371を受け入れる筒部が一体に設けてある。
【0010】
また、右縦枠材22と上横枠材23とを連結する連結金具253は、金属片をL字状に屈曲させたもので、各板片253a,253bを上横枠材23及び右縦枠材22の突合せ端部に突き入れて添わせると共に適宜スポット溶接して一体に連結する。また、右縦枠材22と下横枠材24とを連結する連結金具254はコ字状に形成してあり、下横枠材24の底板部241に立ち上げると共に、側面に右縦枠材22の下端部分を添わせて溶接する。
【0011】
従って、外枠2は、左右の縦枠材21,22と上下の横枠材23,24とを各連結金具251,252,253,254を介して溶接することにより、矩形の枠体に形成されると共に、一側に前面枠3を開閉自在に支持する蝶着手段26が形成されることになる。
【0012】
上記のような外枠2に蝶着する前面枠3は、補強枠としての金属製のフレーム31と枠装飾部材としての合成樹脂製の飾り部材32とからなる。上記フレーム31は、概説すると左右の縦フレーム材311,312と、上下の横フレーム材313,314と、中段より下横フレーム材314に寄った横位置に設ける中フレーム材315とを矩形に組み付けてなる。尚、図示の実施例ではL字状のフレーム材を示しているが、コ字状のフレーム材で構成してもよい。
【0013】
左縦フレーム材311は外縁側に前方へ向けて延出する起立リブ311aを有するほゞL字状の板材からなり、適宜位置に他の部材の取付孔や位置決め手段等が設けてある。一方、右縦フレーム材312は内縁側に前方へ向けて延出する起立リブ312aを有するほゞL字状の板材からなる。この右縦フレーム材312の上端付近及び下端付近には、横フレーム材313,314の挿入片313a,314aを通す開口を起立リブ312aの付根に開設すると共に、適宜位置に取付孔や位置決め手段が設けてあり、また後述する施錠装置90のシリンダ錠902を通す通孔312b等が設けてある。
【0014】
上下の横フレーム材313,314は、上下の縁部に前方へ向けて延出するリブを形成した断面形状ほゞコ字状の部材であって、右縦フレーム材312と接合する右端部分に舌片状の挿入片313a,314aを夫々形成してある。また、各横フレーム材313,314には適宜取付孔や位置決め手段、或は配線口等を設ける。
【0015】
中フレーム材315は、左右の縦フレーム材311,312に横架する前面部315aと、該前面部315aの上縁から後方へ延出する上面部315bとを有し、該上面部315bの長手方向のほゞ左半部分には更に上方へ延出する起立部315cを有している。尚、各部の適宜位置には取付孔や位置決め手段を設ける。
【0016】
上記のような各フレーム材を組付けるには、左縦フレーム材311と上横フレーム材313との結合部分に上結合部材33を設ける。この上結合部材33は上蝶番35を構成するもので、左縦フレーム材311の前面に止着すると共に上横フレーム材313内に延在する止着部331と、該止着部331の上縁から前方へ延出する外枠支持片332と、下縁から外枠支持片332とほゞ平行に前方へ延出するガラス枠支持片333とを有した断面コ字状をなしている。上記外枠支持片332には外枠2の蝶着手段26である蝶着ピン261を受け入れる軸孔351を開設し、ガラス枠支持片333にはガラス枠8の上ヒンジ手段861のスライドピン864を挿入する軸孔352を設ける。また、止着部331には取付孔や例えば長孔状の位置決め手段を設ける。
【0017】
一方、左縦フレーム材311と下横フレーム材314との結合部分に設ける下結合部材36は、下蝶番37を構成するもので前記した外枠2の蝶着手段26の軸受孔263aに挿入可能な下蝶着ピン371を有している。この下結合部材36は、左縦フレーム材311に止着する止着部361と、該止着部361の上下の縁から前方へ向けて延出する上下の支持片362,363と、止着部361の側方へ向けて延出して下横フレーム材314に止着する延出片364とを有する部材であって、側面の形状がほゞコ字状に形成してある。そして、上支持片362及び下支持片363には軸孔を設け、これらの軸孔にスライドピン372を一連に通すと共にバネ373で下方へ付勢し、スライドピン372の下端を下方へ突出させて下蝶着ピン371を構成する。下支持片363の軸孔は、ブッシュ374がカシメてあり、スライドピン372はこのブッシュ374に挿通してある。また、このブッシュ374は前記した外枠2の下連結金具252のガイド板264の切欠264aにガイドされ、前面枠3の装着を容易にしている。尚、このスライドピン372には操作レバー375を設け、該操作レバー375の操作により当該スライドピン372を引き上げ可能としてある。尚、操作レバー375は右縦フレーム材311に開設した開口に通してあり、該開口の上端は拡幅して引き上げた操作レバー375が係止可能な係止口311bとなっており、引き上げた状態を維持可能である。一方、止着部361には位置決め手段及び取付孔を設け、延出片364には長孔状の位置決め手段を設けて微調整可能とする。また、この実施例では上記スライドピン372に対するバネ373の巻装や操作レバー375の装着には止め輪が用いられている。
【0018】
中フレーム材315を左縦フレーム材311に取り付ける中結合部材38は、側面形状がほゞL字状の部材であって、左縦フレーム材311に止着する止着部381の下縁から前向きに上皿セット4を下側から支える受板部382が延出し、止着部381の側方には中フレーム材315に止着する取付片383が延出している。尚、上記受板部382には軸孔384を開設し、中結合部材38の適宜位置には取付孔及び位置決め手段を設ける。
【0019】
更に、左縦フレーム材311の中程には、上記中結合部材38に対向するように、上皿ヒンジ兼ガラス枠ヒンジ材39を設ける。このヒンジ材39は左縦フレーム材311に止着する止着部391と、この止着部391の上縁から前方へ延出するヒンジ片392とを有し、該ヒンジ片392にはブッシュ393を介在させて軸受部394を形成する。
【0020】
次に、上記のような各フレーム材を用いたフレーム31の組立を説明すると、上横フレーム材313と左縦フレーム材311との突合せ部分には上結合部材33を位置させ、下横フレーム材314と左縦フレーム材311との突合せ部分には下結合部材36を位置させ、各横フレーム材313,314と右縦フレーム材312との接合は、各横フレーム材313,314の挿入片313a,314aを右縦フレーム材312に開設した開口に通した後、当該挿入片313a,314aを位置決め手段で位置決めする。そして、中フレーム材315の左側を中結合部材38を介して左縦フレーム材311に位置決めすると共に、右側を右縦フレーム材312に位置決めする。更に、中フレーム材315の右端に設けた折曲重合部315dを右縦フレーム材312に添わせて当該中フレーム材315を支える支持部材385を下横フレーム材314との間に設ける。そして、適宜位置をスポット溶接して各部材を固定する。
【0021】
上記のようにして組み立てたフレーム31の背面側には、内部に遊技盤13を収設可能なリヤプレート6を設ける。このリヤプレート6は金属板を浅い筺形に形成したものであって、ほゞ中央部分には比較的大きな窓61を開設し、適宜位置に、賞球の払出口62や、表示装置の取付口63等を設ける。一方、このリヤプレート6の底板部64には、発射レールの設置が可能なように切欠口65が設けてある。尚、上記リヤプレート6の周縁には鍔部66が延設してあり、この鍔部66をフレーム31の背面側に適宜スポット溶接して固定してある。
【0022】
上記のようにして組み立てたフレーム31には、内部に空間部を有する複数の飾り部材32及び外部表示灯ユニット7をフレーム31のほゞ全面を覆うように取り付けて前面枠3を構成する。即ち、左縦フレーム材311の起立リブ311aには側面を覆う飾り部材32として左飾枠321を設け、右縦フレーム材312には側面及び前面を覆う右飾枠322を設け、上横フレーム材313の前面にはランプカバー71内にランプ72を収設した外部表示灯ユニット7を設ける。
【0023】
上記外部表示灯ユニット7は、ランプ72を並設したランプ基板73と、上横フレーム材313の前面に設けて上記ランプ基板73の台座となるユニット基板74と、ランプ基板73を覆うようにユニット基板74に取り付けるランプカバー71とからなる。上記ユニット基板74は、図17及び図20に示すように、ランプ基板73を収納する凹部741を有すると共に、この凹部741の左右に拡張部742,743が広がる。この拡張部742,743の前面側には、ランプカバー71の取付脚711を受入可能な止着筒745を設けると共に、背面側には上記止着筒745にねじ込むビスを通す筒状部746を設ける。また、ユニット基板74の左右端付近には拡張部742,743と上横フレーム材313との間隔を確保する支柱747を設ける。更に、上記左拡張部742には、ガラス枠8の外面形状と相似するように露出部748を連設する。尚、凹部741の底板部741aには上横フレーム材313に止着する止着ボス741bが設けてある。
【0024】
上記ユニット基板74に被着するランプカバー71は、空間部を有する断面ほゞコ字状で中央部が円弧状に膨出してランプ基板73及びユニット基板74の前面を覆う部材であって、緩やかな曲面状を描く前板部712と、この前板部712の上下縁から後方へ延出する上板部713及び下板部714とを有し、上記前板部712の背面側から上記ユニット基板74の止着筒745に嵌合可能な取付脚711が延出する。また、この前板部712の右側端部には、係合リブ712aを設け、右飾枠322に設ける係合段部322aと当接するようにする。一方、前板部712の左側端部は、ユニット基板74の露出部748に設けた掛止段部748aに当接させる。
【0025】
上記のようなランプカバー71はユニット基板74の後方から筒状部746に通したビスでネジ止めする。また、ユニット基板74を上横フレーム材313の後方から更にネジ止めして外部表示灯ユニット7を固定する。このようにすれば、前面側からネジ等が見えないばかりか、このネジを外して不正遊技を働くことができない。更に、ユニット基板74とガラス枠8が当接するユニット基板74の下縁には、長手方向に添って、図20に示すように不正遊技防止用の凹溝75が設けてある。
【0026】
左縦フレーム材311の側面に設ける左飾枠321は、外枠2の上下の蝶着手段26の間に縦方向に一連に位置する部材で、左縦フレーム材311に固定される。この左飾枠321は例えば図43または図44に示すように、側面部321aと、この側面部321aの前縁に延出する傾斜前面部321bと、側面部321aの後縁から延出する傾斜後面部321cと、この傾斜後面部321cから横方に延出する不正防止片321dとを有して内部に空間部を形成するようになっており、上記側面部321aの内側には適宜間隔で取付ボス321eを配置する。この左飾枠321を左縦フレーム材311に固定するには、上記取付ボス321eに通したビスを左縦フレーム材311の起立リブ311aに設けた取付孔にねじ込む。
【0027】
一方、右飾枠322は、右縦フレーム材312の側面及び前面を覆う部材であって、斜面部322bとこの斜面部322bから後向きに延出する側面部322cとを有して内部に空間部を形成するようになっており、外枠2の上辺と下皿セット5の上辺との間に一連に位置する。この右飾枠322は、例えば図4及び図17に示すように、外部表示灯ユニット7の側方部分では、若干ランプカバー71の側方に膨らんで膨出部323を形成している。この膨出部323においては、前面部分にランプカバー71の係合リブ712aと係合する係合段部322aを有しており、係合段部322aの側端から後方へ向けて仕切り板部322dが延出している。一方、上記斜面部322bと側面部322cとは下皿セット5の上辺迄一連に延びており、ガラス枠8に対応する位置には、ガラス枠8に設ける装飾体821の不正防止片823を受け入れる嵌合溝322eが斜面部322bの前端部分に形成してある(図43,44)。
【0028】
上皿セット4は、ガラス枠兼上皿ヒンジ39と中結合部材38の受板部382との間に開閉可能に軸着される賞球を貯留する上皿部41を有したユニットであって、概略すると金属板からなる上皿セット取付板42と、この上皿セット取付板42の前面に設ける合成樹脂を一体成型して構成した上皿本体43と、この上皿本体43の前端面に設ける合成樹脂製の前カバー44とからなる(図21ないし図24)。
【0029】
上皿セット取付板42は、ほゞ平板状の金属板で、上縁の長手方向に添って前方に開口するほゞコ字状の不正防止凹溝421を屈曲形成し、下縁の長手方向には後方へ向いて延出する屈曲片422を設ける。この上皿セット取付板42には賞球排出口423を開設し、この賞球排出口423に賞球受樋45を連通させ、賞球払出装置17から流下する賞球を上皿部41へ誘導する。また、上皿部41内の球を一列に整列させる整列樋431の流下端位置に対応する位置には、打球発射装置へ球を供給する供給口424を開設する。この供給口424には供給停止装置46のストッパ461を臨ませ、このストッパ461をソレノイド462により作動杆463を介して駆動して、球の供給を停止可能とする。尚、このストッパ461にはスプリング464等の付勢手段を設け、常態では供給口424がストッパ461により閉じた状態を維持するようにする。更に、上皿セット取付板42の適宜位置には下皿部51への連絡口425を開設し、上皿セット4の球抜きボタン433を操作したときに作動する上皿球抜き装置(図示せず)を介して、上皿の球を下皿セット5の余剰球払出口521から下皿へ排出させる。
【0030】
上記のような上皿セット取付板42に止着する上皿本体43は、上側に凹陥状の上皿部41を有すると共に上面操作部432を有している。上皿部41には上記したように上皿部41の球を供給口424へ誘導する整列樋431を設ける。上記上面操作部432には上皿の球を下皿に排出させる上皿球抜き装置の操作ボタン433を設けると共に、打球発射装置191に対する球の供給を一時的に停止する一時停止ボタン434を設ける。また、この上皿本体43は下皿セット5の上方に位置する庇部47を構成している。更に、上皿本体43の左右の端部には、ヒンジ手段48及び閉止手段49を設ける。
【0031】
ヒンジ手段48は、正面向かって左側上部に設ける上部ヒンジ手段481と、左側下部に設ける下部ヒンジ手段482とからなる。上部ヒンジ手段481は、左縦フレーム材311に設けたガラス枠兼上皿ヒンジ39に挿通するスライドピン873が嵌合する係合孔483を有する上ヒンジ484を上皿本体43に設けたボス部にビスで止着してある。一方、下部ヒンジ手段482は、上下にスライド可能なスライドピン485を、上記スライドピン873の垂線上に配置したものである。この下部ヒンジ手段482は、ピン挿通孔を各々開設した上支持片482a及び下支持片482bと、上端部分において係止段部486aを形成するように横に拡幅するほゞT字状の上皿開放用係止口486を有する基板片487とからなる断面ほゞコ字状の支持部材488に、スプリング489を巻装したスライドピン485を挿通すると共に、該スライドピン485に操作杆485aを装着して端部を上記係止口486から延出させてなる。尚、上記スプリング489は上支持片482aと操作杆485aの装着部との間にスライドピン485を下方へ付勢するように巻装してあり、操作杆485aは装着部に螺合した止着ビスにより固定してある。従って、下部ヒンジ手段482のスライドピン485は、通常の状態においては下端を下支持片482bの下へ突出させているが、操作杆485aを引き上げて係止段部486aに係止させると、下端が下支持片482bの下面とほゞ面一になる。
【0032】
また、上部ヒンジ手段481の上ヒンジ484に開設した係合孔483には、ガラス枠8に設けるヒンジ手段87のスライドピン873が嵌入し、上記下部ヒンジ手段482のスライドピン485と共に、上皿セット4を開放可能に支持する。
【0033】
一方、閉止手段49は、後述するガラス枠8のロック装置9とほゞ同様の構成からなり、上皿セット4側には、L字状の支持金具491にロックピン492が植設してある。そして、このロックピン492が、右縦フレーム材312の下方部分に設けるロック装置90′が有する回動自在なロック部材のピン係止部に嵌入し、上記ロック部材を回動自在な作動部材が拘束し、この作動部材を操作することにより、上皿セット4の施錠、解錠を行う。
【0034】
下皿セット5は、中フレーム材315の下方に配置するユニットであって、概略すると、余剰球を貯留する凹陥状の下皿部51を有し、中フレーム材315及び下横フレーム材314に止着する下皿ベース52と、この下皿ベース52に止着する下皿本体53と、この下皿本体53に止着する下皿カバー54とからなる。下皿ベース52には、余剰球払出口521を設けると共に、上縁に不正防止溝522を形成する。
【0035】
また、下皿本体53には凹陥状の下皿部51を形成すると共に、該下皿部51の側方に平坦部531,532を設け、右側平坦部532には、発射停止ボタン533となるタッチスイッチや、図柄変動停止ボタン534となる押しボタンスイッチを設ける。尚、左側平坦部531には図示していないが灰皿等を設けることができる。
【0036】
一方、下皿カバー54は、下皿本体53の前縁を覆うと共に下面部541を形成し、また、ハンドル取付部542を設ける。更に、この下皿カバー54には球抜き装置55を設け、この球抜き装置55の操作レバー551を前縁に臨ませる。
【0037】
上記球抜き装置55は、付勢手段552で付勢された閉止蓋553を球抜き口554に臨ませてなり、操作レバー551を操作すると球抜き口554が開放して貯留した球を下方へ排出できる。尚、下皿セット5の両側端部は、左右の飾枠321,322の傾斜面部に合わせて、傾斜状に形成してある。また、下皿カバー54の下面側の左隅部には、下蝶番37のブッシュ374及び下蝶着ピン371が位置する切欠部543を設ける。
【0038】
打球の飛距離を調整するハンドルセット56は、下横フレーム材314に止着するハンドルアーム561からハンドルグリップ562を立上り状に設けてなり、該ハンドルグリップ562の内部には可変抵抗器等を設け、この可変抵抗器の抵抗値をハンドルグリップ562に設けた打球発射調整操作ダイヤル563によって調整し、打球発射装置に供給する電力を可変して飛距離の調整を行う。
【0039】
ガラス枠8は、外枠体81に装飾体82を止着して構成した外ガラス枠83と、上記外ガラス枠83に重合状に止着する内ガラス枠84とからなり、両ガラス枠83,84には各々ガラス板85a,85bを装着して二重構造としてある。そして、このガラス枠8はヒンジ手段86、87により外部表示灯ユニット7と上皿セット4との間に開閉自在に蝶着する。
【0040】
外枠体81は、合成樹脂を額縁状に一体成型して構成した部材であって、左右の縦枠部811,812と上下の横枠部813,814とを有している。軸着側の縦枠部811は、図32に示されるように、枠体の前端面となる平面部811aの側縁から傾斜状に後方へ延びる内側斜面部811bと外側斜面部811cとを有し、断面図形状がほゞ台形をなしており、上記平面部811aの背面側には適宜位置に必要な取付ボス811dや補強リブ811eが設けてある。また、上記外側斜面部811cには傾斜面を有する装飾体821が添設してある。
【0041】
上記軸着側の装飾体821は、平面部811aの端縁に設けた係合部811fに係合する係合片821aから外側斜面部811cに沿う斜面部821bが延出し、該斜面部821bの後縁から側面部821cが後方へ延び、更に横方向へ不正防止片821dが延出している。
【0042】
また、自由端側の縦枠部812は、同じく図32に示されるように、平面部812aの内側縁から傾斜状に後方へ向けて内側斜面部812bが延出し、外側側縁には装飾体822の端縁822aが係合する係合段部812cを設けると共に、止着段部812dが背面側に設けてある。尚、この縦枠部812にも適宜位置に取付ボスや補強リブが必要に応じて設けてある。
【0043】
一方、上横枠部813は、図31に示されるように、断面図において、前面部813aの内側縁から傾斜面部813bが延出し、外側縁から背面側へ向けて不正防止用係止片813cが延設してあり、この不正防止用係止片813cはランプカバー71を止着するユニット基板74に形成した不正防止用凹溝75に係合可能としてある。また、下側の横枠部814は、図31に示すように、前面部814aの外側縁から外側傾斜面部814bが延出し、該傾斜面部814bの先端は、上皿セット取付板42の上縁に設けた不正防止凹溝421に嵌入可能となっている。また、この下横枠部814の背面側にはガラス板受部814cが長手方向に添って延出している。
【0044】
上記のような概略構成の外枠体81には、更に外ガラスガイド815を縦枠部811,812の内側縁に添って設ける。この、外ガラスガイド815は装着する外ガラス板85aの側縁を支承し、該外ガラス板85aの下縁は下横枠部814に設けたガラス板受部814cで支える。尚、上記外ガラスガイド815の縦枠部811,812への取付は、適宜配設したボス部にビスをねじ込んで行えばよい。
【0045】
また、外枠体81の裏面側には、ガラス枠8を前面枠3に対して開閉自在に支承するためのヒンジ手段86を設ける。上ヒンジ手段861は、上支持片862a及び下支持片862bと、下端部分において係止段部862cを形成するように横に拡幅するほゞ逆T字状のガラス枠着脱用係止口862dを有する基板片862eとからなる断面ほゞコ字状の支持部材862に、スプリング863を巻装したスライドピン864を挿通すると共に、該スライドピン864に操作杆865を装着して端部を上記上支持片862aにカシメたブッシュ866から上方へ突出させてなる。尚、上記スプリング863は下支持片862bと止め輪で止着した操作杆865との間に当該スライドピン864を上方へ付勢するように巻装してある。従って、上ヒンジ手段861のスライドピン864は、通常の状態においては上端を上支持片862aの上へ突出させているが、操作杆865を引き下げて係止段部862cに係止させると、上端をガラス枠支持片333から後退させた状態で止めることができる。
【0046】
一方、下ヒンジ手段87は、ピン挿通孔を各々開設した上支持片871a及び下支持片871bと、上端部分において第1係止段部871cを形成すると共に、上記第1係止段部871cとは高さ位置を下げて反対側へ拡幅する第2係止段部871dを形成した係止口871eを有する基板片871fとからなる断面ほゞコ字状の支持部材871に、スプリング872を巻装したスライドピン873を挿通すると共に、該スライドピン873に操作杆874を装着して下端をピン挿通孔から延出させてなる。尚、上記スプリング872は上支持片871aと操作杆874の装着部との間にスライドピン873を下方へ付勢するように巻装してあり、操作杆874は止め輪にて固定してある。従って、下ヒンジ手段87のスライドピン873は、通常の状態においては下端を下支持片871bの下へ突出させているが、操作杆874を引き上げて第2係止段部871dに係止させると、下端が上皿セット4の上部ヒンジ手段481から外れ、更に操作杆874を引き上げて第1係止段部871cに係止させると、スライドピン873の下端がガラス枠兼上皿ヒンジ39のヒンジ片392から外れる。
【0047】
更に、この外枠体81には後述する内ガラス枠84を開閉可能に支持する外枠ヒンジ816を設ける。この外枠ヒンジ816は軸着側縦枠部811の裏面に設けた取付ボスにビスで止着されるほゞ逆L字状の金具であって、上下に一組設ける。この外枠ヒンジ816の支持面部には通孔816′が開設してあり、後述する内ガラス枠84のヒンジピン846aを遊嵌する。そして、この実施例では、軸着側縦枠部811にスピーカ収納カバー817内にスピーカ818を収設したスピーカユニット819を設けてある。尚、前記した遊技盤載置台19に設けたスピーカユニット193とは異る音声や効果音を放声するようにするとよい。
【0048】
一方、自由端側の縦枠部812には内ガラス枠84の側縁を係止するロック部材88及びガラス枠8を前面枠3に対して開閉自在に止着するためのロックピン80を設ける。ロック部材88は図30中に示すように、側面に向けて開口する係合部881を有すると共に、同じ側面にロック用凸部882が山形に形成してある。このロック部材88は断面ほゞコ字状の基台片801の上片に軸ネジにより回動可能に軸着されている。また、上記ロックピン80は、柱状部材を基台片801の側面にカシメて形成してある。
【0049】
内ガラス枠84を構成する内枠体は、合成樹脂を額縁状に一体成型して構成した部材であって、左右の縦枠部841,842と上下の横枠部843,844とを有している。軸着側縦枠部841は、図36に示されるように、傾斜面部841aから支持片部841bが延出し、この支持片部841bに設けた取付ボス841cに係合ピン846aを有する上下一組の内枠ヒンジ846を設ける。また、この縦枠部841には内ガラス板85bの側縁を支持する内ガラスガイド847を取付ボスにビスで止着する。一方、自由端側の縦枠部842には、内ガラスガイド847を設けると共に、ロック部材88の受片848を設ける。この受片848は、外ガラス枠83に設けたロック部材88の係合部881に係合可能に突片状に形成してある。また、この受片848に接近させてロック部材88の凸部882に係合する凹凸部848aが設けてあり、該凹凸部848aの裏面側には空隙部848bを形成してロック時の弾性変形を容易にしている。
【0050】
上記のような概略構成の内枠体に内ガラス板85bを装着して側縁を内ガラスガイド847で支持すると共に、下縁を下横枠部844の傾斜面部の裏面側に延設したガラス支持片844aで支える。
【0051】
上記のような内ガラス枠84を外ガラス枠83に止着するには、内ガラス枠84に設けた内枠ヒンジ846の係合ピン846aを、外ガラス枠83の外枠ヒンジ816の通孔816′に挿通して回動自在に支持させると共に、ロック部材88を回動させて、内枠の受片848をロック部材88の係合部881に係合させると共に、凸部882とロック用凹凸部848aを互いに嵌合させてロック部材88の回動を規制すれば、内枠体の前端が外ガラス板85aに密着すると共に両ガラス枠83,84が一体となる。
【0052】
一方、上記ロック部材88を回動させてロック状態を解除すれば、内枠体を、外ガラス枠83から開放することができ、ガラス面の清掃時等に有益である。
【0053】
前記したような外ガラス枠83を、前面枠3、具体的にはフレーム材の上蝶番35と、中フレーム材315のガラス枠兼上皿ヒンジ39に開閉自在に軸着するには、上ヒンジ手段861の操作杆865を係止段部862cに係止させてスライドピン864の上端を後退さた状態に維持すると共に、下ヒンジ手段87の操作杆874を第1係止段部871cに係止させてスライドピン873の下端を後退させた状態に維持し、この状態のガラス枠8を前面枠3に臨ませ、蝶着手段の軸孔に各スライドピン864,873が嵌入する位置で操作杆865,874の係止状態を解除すればよい。
【0054】
尚、上記説明では、内ガラス枠84を外ガラス枠83に止着してから前面枠3に止着しているが、前面枠3に止着状態にある外ガラス枠83に対して内ガラス枠84を着脱することも可能である。
【0055】
上記のように、ガラス枠8を内ガラス枠84と外ガラス枠83との二重構造とするときは、安全防犯上で有利であるばかりではなく、内ガラス枠84と外ガラス枠83との装飾図柄や色彩を変更し、或は装飾体82を取り替えるなど、多様な意匠に対応することができ、更に各枠体及び装飾体82の表面に凹凸模様を形成すること可能であって、装飾効果が著しく向上する。
【0056】
ガラス枠8を施錠するロック装置9は、上下間隔をおいて設けられる2個のロック部材91を連動杆92により連結して連動するように構成してある。上下のロック部材91は同一構成からなり、支持金具93に植設した第1支軸931に回動自在に軸着するロック部材91と、支持金具93に植設した第2支軸932に回動自在に軸着する作動部材94とを有し、更にガラス枠8に設けたロックピン80を誘導するガイド部材95を有している。上記支持金具93はL字状の金属板からなり、前面枠3を構成する右縦フレーム材312に固定してある。
【0057】
上記ロック部材91は、自由端側の端縁にガラス枠8に設けたロックピン80を受け入れる切欠状のピン係止部911を設けると共に、軸着部に近接させて係合凹部912を設け、この係合凹部912に隣接して弧状の滑合部913を設ける。
【0058】
一方、作動部材94は、上記ロック部材91の解錠、施錠を制御するもので、当該ロック部材91の係合凹部912に係合し、また弧状の滑合部913に滑合する係合ピン941を有している。そして、この作動部材94の自由端部には連動杆92が回動自在に軸着してあり、上下に配置したロック部材91の作動部材94同士を接続して連動させる。
【0059】
また、上記ロック部材91はバネ96によってピン係止部911を前方へ突き出した解錠状態に付勢されており、作動部材94は自由端側の係合ピン941をロック部材91の端部に押し付け係合凹部912または滑合部913に押圧されている。尚、上記バネ96はロック部材91及び作動部材94に夫々設けた係止部914,942の間に張設し、上記両部材91,94を同時に付勢している。
【0060】
上記のような構成のロック装置9において、解錠状態にあるときは、図41に示すように、ロック部材91はバネ96によって牽引されて、ピン係止部911を前方へ向けてロックピン80を開放し、作動部材94の係合ピン941を滑合部913に滑合させる。この状態で連動杆92を上昇させて施錠しようとしても、係合ピン941がロック部材91に当接するので、作動部材94が回動することができず、施錠することはできない。
【0061】
上記のような状態において、ガラス枠8を閉塞し、ロック部材91に対応してガラス枠8に設けた上下のロックピン80を同時にロック部材91のピン係止部911に嵌入させ、更に押し付けるようにしてバネ96に抗してロック部材91を回動させると、滑合部913の移動により係合凹部912が係合ピン941に臨み、係合ピン941の係合が可能な状態になる。そして、作動部材94は連動杆92によって他方の作動部材94と連絡されているから、他方の作動部材94が回動可能な状態のときに係合ピン941が係合凹部912に係合して、ロック部材91を施錠状態に拘束することになる。
【0062】
ところで、二つのロックピン80が均一に押圧されなかったりして、一方のロック部材91のピン係止部911にのみロックピン80が嵌入し、他方のロック部材91のピン係止部911にはロックピン80が嵌入しない場合には、嵌入しないロック部材91側の作動部材94の係合ピン941がロック部材91の滑合部913に当接して作動部材94が回動できない。従って、連動杆92により連絡する他の作動部材94も回動を拘束され、施錠することができない。
【0063】
上記のようなロック装置9によれば、片側のロック部材91のみを施錠することがないので、施錠が確実になり、ガラス枠8をこじ開けたり、隙間からピアノ線等を挿入して不正遊技を行うことを防止することができる。尚、このガラス枠8は連動杆92の途中に設けた操作部921を押下することにより解錠できる。
【0064】
上記のようなガラス枠8のロック装置9を施錠する施錠装置90は、前面枠3を構成する右縦フレーム材312及び右飾枠体322内に位置するようにリヤプレート6に設けてある。この施錠装置90は、鍵孔901を有するシリンダ錠902を中心に構成してあり、鍵を鍵孔901に挿入して所定の方向へ回動させると、上記したガラス枠8と前面枠3との施錠及び解錠を実行し、反対方向へ回動させると後述する前面枠3と外枠2との施錠及び解錠を実行するように構成してある。
【0065】
前面枠3と外枠2との施錠及び解錠は、図43に略示しするように、リヤプレート6側に、回動支軸903やロック部材904、或は連動杆905等を設け、これらの部材と外枠2側に摺動自在に設ける鍵受片20とを係合させて、施錠及び解錠を行うようになっている。尚、前記したガラス枠8のロック装置9の連動杆92も図示していない連絡機構によりシリンダ錠902と連結してある。
【0066】
上記のような施錠装置90を用いてガラス枠8を施錠するとき、ガラス枠8と飾り部材32との間では、不正防止手段が機能する。即ち、図44に示すように、軸着側においては、飾枠体821に設けた不正防止片821dと、ガラス枠8の一部を構成している飾り部材32(左飾枠321)に曲折状に設けた不正防止リブ321fとが内側から係止している。一方、自由端側即ちロック側においては、右飾枠322の前端面に溝状に設けた不正防止用の嵌合溝322eに、ガラス枠8の装飾体822に設けた不正防止片823が嵌入している。従って、ガラス枠8と前面枠3を構成している飾り部材32との間に隙間が生じることがなく、仮に、僅かな隙間が生じても、この隙間は途中で屈曲するので、針金等を挿入して不正遊技を働くことはできない。一方、ガラス枠8の上下の不正防止に関しても充分な対策がなされている。即ち、ガラス枠8の上縁部分においては、ユニット基板74に設けた断面コ字状の不正防止凹溝75に外枠体81の上縁に形成した不正防止用係止片813cが嵌入し、下縁部分においては、上皿セット4の上皿セット取付板42に形成した不正防止凹溝421に、外枠体81の下縁に形成した外側傾斜面部814bが不正防止片として嵌入するので、針金等の挿入は不可能である。
【0067】
更に、外枠2と前面枠3との間の不正防止手段は、図43に示すように、軸着側においては、左飾枠321に設けた不正防止片321dが、外枠2を構成する左縦枠材21の係止縁211に係止するので、針金等の挿入はできない。また、自由端側即ち施錠装置90側においては、前面枠3を構成する右飾枠322及び右縦フレーム材312と外枠2を構成する右縦枠材22とが当接すると共に、飾枠322内には施錠装置90等が配設してあるので、異物を遊技盤13まで到達させることは困難で不正遊技の虞れはない。しかも、上記当接面は皿状に形成するリヤプレート6の背面側に位置するので、このリヤプレート6の前面側に収設する遊技盤13に針金等異物を到達させることは不可能である。また、前面枠3と外枠2との当接面では上縁及び下縁においても上記と同様に不正遊技を働くことはできない。
【0068】
以上本発明を図面の実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。例えば、蝶着手段としてコ字状の支持金具にスライドピンを挿通したものを使用しているが他の構造の蝶着手段であってもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上要するに本発明は、外枠に対して、施錠装置を備える前面枠を着脱可能に蝶着し、この前面枠に、遊技盤と打球の飛距離を調整するハンドルセット及びパチンコ球を貯留する下皿部を有する下皿セットとを設けたパチンコ機において、前記前面枠は、上下横フレーム材と左縦フレーム材及び右縦フレーム材からなるフレームと、前記上横フレーム材の前面に設けた外部表示灯ユニットと、前記下皿部より上方の前記左縦フレーム材及び右縦フレーム材の前面を覆い意匠を部分的に変更するための複数の合成樹脂製の空間部を有する飾り部材とからなり、前記右縦フレーム材に対応する飾り部材内には、前記施錠装置が位置する空間部を有するので、充分な強度を有すると共に加工性が良好で、且つ軽量化したパチンコ機を提供することができる。また、前面枠の飾り部材を合成樹脂で形成すると共に複数に分割しているので、これらの部材に自由な装飾を施すことができ、装飾効果が著しく向上する。例えば、遊技盤の意匠に対応させて、前面枠の意匠を部分的に変更することが可能である。しかも、化粧板等を貼設する必要がないので、手間が掛からず作業能率が向上した実用的価値の高いパチンコ機を提供する。また、飾り部材は、空間部を有して補強されているので、強度も充分である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
パチンコ機の概略正面図である。
【図2】
パチンコ機の背面図である。
【図3】
パチンコ機の左側面図である。
【図4】
パチンコ機の一部を外した正面図である。
【図5】
外枠の正面図である。
【図6】
外枠の平面図である。
【図7】
図6のA-A線断面図である。
【図8】
外枠の左下結合部分の斜視図である。
【図9】
外枠の右上結合部分の斜視図である。
【図10】
外枠の右下結合部分の斜視図である。
【図11】
フレーム材の正面図である。
【図12】
フレーム材の左側面図である。
【図13】
フレーム材の右側面図である。
【図14】
図11のA-A線断面図である。
【図15】
フレーム材の底面図である。
【図16】
図11のB-B線断面図である。
【図17】
外部表示灯ユニット部分の横断面図である。
【図18】
フレーム材の左結合部分の正面図である。
【図19】
フレーム材の左結合部分の側面図である。
【図20】
外部表示灯ユニットの縦断面図である。
【図21】
上皿ユニットの正面図である。
【図22】
上皿ユニットの平面図である。
【図23】
上皿ユニットの背面図である。
【図24】
上皿ユニットの縦断面図である。
【図25】
下皿ユニットの正面図である。
【図26】
下皿ユニットの平面図である。
【図27】
下皿ユニットの底面図である。
【図28】
下皿ユニットの取付説明図である。
【図29】
下皿ユニットの縦断面図である。
【図30】
外ガラス枠の背面図である。
【図31】
外ガラス枠の底面図である。
【図32】
図30のB-B線断面図である。
【図33】
図30のA-A線断面図である。
【図34】
内ガラス枠の背面図である。
【図35】
図34のA-A線断面図である。
【図36】
図34のB-B線断面図である。
【図37】
ガラス枠の背面図である。
【図38】
ガラス枠の横断面図である。
【図39】
各ユニットの蝶着部分の説明図である。
【図40】
各ユニットの蝶着部分の断面説明図である。
【図41】
ガラス枠を開放した状態のロック装置の説明図である。
【図42】
ガラス枠を閉止した状態のロック装置の説明図である。
【図43】
外枠と前面枠との不正防止手段の説明図である。
【図44】
外枠とガラス枠との不正防止手段の説明図である。
【符号の説明】
1 パチンコ機
2 外枠
3 前面枠
4 上皿セット
5 下皿セット
8 ガラス枠
31 フレーム材
32 飾り部材
56 ハンドルセット
85 ガラス板
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-09-30 
出願番号 特願平3-258743
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 鈴木 寛治
藤井 靖子
登録日 2000-06-02 
登録番号 特許第3072605号(P3072605)
権利者 株式会社平和
発明の名称 パチンコ機  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 武通  
代理人 福田 賢三  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 賢三  
代理人 福田 武通  

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