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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 H01L |
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管理番号 | 1091580 |
異議申立番号 | 異議2003-70371 |
総通号数 | 51 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-06-01 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-02-04 |
確定日 | 2004-02-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3327571号「半導体装置」の請求項1乃至4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3327571号の請求項1乃至4に係る特許を維持する。 |
理由 |
(1)手続きの経緯 本件特許第3327571号の請求項1乃至6に係る発明についての特許は、平成4年3月16日(優先権主張、平成3年3月29日)に特許出願され、平成14年7月12日にその特許権の設定登録がなされ、その後、請求項1乃至4について特許異議の申立てがなされたものである。 (2)本件発明 本件発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】一導電型半導体層を有する半導体基板と、前記一導電型半導体層とPN接合を形成し、前記一導電型半導体層の表面に前記一導電型半導体層の複数個の露出した領域を画成するように設けられた逆導電型半導体層と、前記一導電型半導体層の複数個の露出した領域と前記逆導電型半導体層とに亘って設けられた金属電極とを備え、 前記一導電型半導体層の複数個の露出した領域の中の一つの領域と前記金属電極とにより形成される接触面と前記逆導電型半導体層の底部との間の深さDと、前記接触面下にあって前記逆導電型半導体層の互いに対向する領域間の最近接距離Wとの関係をD≧0.5Wにすると共に、前記接触面又は前記一導電型半導体層の表面と、前記一導電型半導体層中に生じる零バイアス時の空乏層の頂部を通り前記接触面又は前記一導電型半導体層の表面と平行に伸びる直線と前記PN接合との交点を通る接線とのなす角度θを、60°≦θ≦120°とすることを特徴とする半導体装置。(以下、「本件発明1」という。) 【請求項2】前記空乏層の幅をWb1としたとき、前記最近接距離WはWb1≦W≦3Wb1であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。(以下、「本件発明2」という。) 【請求項3】前記金属電極と前記一導電型半導体層との前記接触面、及び前記金属電極と前記逆導電型半導体層との前記接触面をオーミック接触、又はショットキバリア接触のいずれかに形成することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。(以下、「本件発明3」という。)」 【請求項4】前記半導体基板が高不純物濃度を有する一導電型半導体からなり、前記一導電型半導体層が低不純物濃度を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つ記載の半導体装置。(以下、「本件発明4」という。)」 (3)特許異議申立ての理由の概要 特許異議申立人市東勇は、証拠として甲第1号証(特開昭60-31271号公報)を提出し、本件発明1乃至4は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して、特許を受けることができないものであると主張している。 (4)甲第1号証記載の発明 甲第1号証には、順方向特性及び逆方向特性が共に優れたシヨツトキバリヤ半導体装置が図面と共に開示されている。そして公報の特許請求の範囲の第1項には、 「一対の主表面を有し、一方の主表面が一方導電型の第1の半導体層の露出面と、一方の主表面から第1の半導体層内に延び第1の半導体層より高い不純物濃度を有する他方導電型の複数個の第2の半導体層の露出面とから形成された半導体基体と、 半導体基体の一方の主表面に設けられ、第1の半導体層との間にシヨツトキバリヤを形成し、第2の半導体層との間に、オーミツクコンタクトを形成する第1の主電極と、 半導体基体の他方の主表面に設けられた第2の主電極と、を具備し、 第1の半導体層の抵抗率が10Ωcm以下で、第2の半導体層相互間の距離Wと第2の半導体層の一方の主表面と直角をなす方向の深さLとの比(W/L)が0.5〜2.0の間にあることを特徴とするシヨツトキバリヤ半導体装置。」と記載されている。 また第11図には、L=3μ、W/L=1とする実施例が開示されている。 (5)対比・当審の判断 <本件発明1について> 甲第1証記載の発明と本件発明1とを対比すると、甲第1号証には、半導体装置において、「一導電型半導体層とPN接合を形成し、一導電型半導体層の表面に前記一導電型半導体層の複数個の露出した領域を画成するように設けられた逆導電型半導体層」を形成する点については記載も示唆もされていない。(甲第1証の図面の記載から、逆導電型半導体層を一導電型半導体層の表面に一導電型半導体層の複数個の露出した領域を画成するように設ける構造を読み取ることはできず、また明細書及び図面の記載から上記の点が自明なものとも認められない。) よって、本件発明1が、「一導電型半導体層とPN接合を形成し、一導電型半導体層の表面に前記一導電型半導体層の複数個の露出した領域を画成するように設けられた逆導電型半導体層」を形成する点の構成を欠く甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。(甲第1号証は、原審において検討済みの技術文献でもある。) なお特許異議申立人は、「n型半導体層内に形成されるp型領域を、格子状又はストライブ状に連続形成し、n型領域の露出面を複数とするタイプと、p型領域をn型半導体層内に分散形成し、p型領域を複数とするタイプとは、相互に転換可能な慣用技術であって、一方で成り立つ電気的性質は他方でも成り立つとして当業者によって同一視されている。」と主張しているが、具体的証拠の提示がない以上論旨を採用することはできない。 <本件発明2乃至4について> 本件発明2乃至4は、本件発明1の構成を前提とするものであるから、本件発明1の場合と同様の理由により、本件発明2乃至4が甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 (6)むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1乃至4に係る発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1乃至4に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2004-01-29 |
出願番号 | 特願平4-58394 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
Y
(H01L)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小野田 誠 |
特許庁審判長 |
内野 春喜 |
特許庁審判官 |
恩田 春香 橋本 武 |
登録日 | 2002-07-12 |
登録番号 | 特許第3327571号(P3327571) |
権利者 | 新電元工業株式会社 |
発明の名称 | 半導体装置 |