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審決分類 |
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 訂正を認める。無効としない A63F 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない A63F |
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管理番号 | 1092073 |
審判番号 | 無効2002-35515 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-08-08 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-12-03 |
確定日 | 2003-12-15 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2916743号発明「パチンコ機の施錠装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第2916743号発明は、平成6年1月25日に特願平6-6501号として出願され、平成11年4月23日に設定登録がなされ、その後、株式会社サクラより特許無効審判の申立てがなされ、訂正請求書が提出され、それに対する弁駁指令に応答がなかったものである。 2.無効理由の概要 本件特許に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから特許法第29第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるので、特許法123条第1項第2号により、無効とされるべきものであり、また、仮に、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するとは言い得ない場合でも、特許法第29条第2項の規定には該当し、やはり特許法第123条第1項第2号により、無効とされるべきものであるとして、下記の証拠方法を提出している。 甲第1号証・・・実公平4-13032号公報 3.訂正の適否 (1)訂正事項 訂正事項a.特許請求の範囲の請求項1の記載中、「該錠軸の先端に前記連結杆と係合するカム板が固定され、」を、「該錠軸の先端にカム板(8)が固定され、前記連結杆(6)には該カム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、」と訂正する。 訂正事項b.特許請求の範囲の請求項1の記載中、「・・・傾動可能に枢支され、」の後に、「該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、」を挿入する。 訂正事項c.特許請求の範囲の請求項1の記載中、「該連結杆の一部が前記カム板と係合可能に形成され、」を、「該連結杆(17)の前記カム板(8)に対向した位置に開口部が該カム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、」と訂正する。 訂正事項d.特許請求の範囲の請求項1の記載中、各部材を示す部材名の後に、図面に付した符号を挿入する訂正する。 訂正事項e.明細書の段落【0006】における「課題を解決するための手段」の欄の記載を、 「上記の目的を達成するために、本発明の施錠装置は、取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、錠軸の先端にカム板(8)が固定され、連結杆(6)には該カム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、支持板(3)の上部と下部に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が傾動可能に枢支され、基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、両鉤部材(14)(15)が連結杆(16)(17)により連結され、連結杆(17)のカム板(8)に対向した位置に開口部がカム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)(27)にガラス枠施錠用の鉤部村(14)(15)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回してカム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成される。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項aは、特許請求の範囲の構成要件に、「前記連結杆(6)には該カム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、」という構成を付加するものであり、この構成は、明細書の段落【0015】の第4頁19〜20行(特許公報第2頁第4欄48〜49行)に記載されている。 上記訂正事項bは、特許請求の範囲の構成要件に、「該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、」という構成を付加するものであり、この構成は、明細書の段落【0017】の第5頁3〜4行(特許公報第3頁第5欄10〜12行)に記載されている。 上記訂正事項cは、特許請求の範囲の構成要件に、「該連結杆(17)の前記カム板(8)に対向した位置に開口部が該カム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、」という構成を付加するものであり、この構成は、明細書の段落【0019】の第5頁14行(特許公報第3頁第5欄22〜23行)に記載されている。 したがって、上記訂正事項a〜cは、何れも願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的にするものに相当する。 上記訂正事項dは、発明の詳細な説明の欄に記載した各部材名の後に符号(図中の各部材に付した符号)を付加して、各部材を明りょうにするものであり、上記訂正事項eは、上記a〜dの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るためのものであるので、何れも願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、明りょうでない記載の釈明に相当する。 そして上記訂正a〜eは、特許請求の範囲を実質的に拡張し、または変更するものではないから、上記訂正は、平成6年法改正前の特許法第134条第2項ただし書きの規定、及び第134条第5項において準用する平成6年法改正前の第126条第2項の規定に適合するものである。 4.本件発明 上記のとおり訂正が認められるので、本件発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものと認める。 「取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、該支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、該取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、該錠軸の先端にカム板(8)が固定され、前記連結杆(6)には該カム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、前記基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に前記鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、前記支持板(3)の上部と下部に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が傾動可能に枢支され、該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、両鉤部材(14)(15)が該連結杆(16)(17)により連結され、該連結杆(17)の前記カム板(8)に対向した位置に開口部が該カム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)(27)にガラス枠施錠用の該鉤部材(14)(15)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、前記シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回して該カム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成したパチンコ機の施錠装置。」 5.甲第1号証記載の発明 甲第1号証は、本件発明の出願日前の平成4年3月27日に公告された実公平4-13032号公報で、この甲第1号証に係る考案の名称は「パチンコ機のロック装置」であり、下記の事項が記載されている。 a.第2コラムの7〜9行に、「本考案はパチンコ機の基枠および前面枠を閉止位置にロックするためのロック機構に関するものである。」、 b.第3コラム33〜38行に、「本考案を用いたパチンコ機の外観を示す第2図において、基枠1は開口部2に遊技盤(図示省略)が固定された後、機枠本体3に周知の手段により開閉自在に取付けられる。また、基枠1には前面ガラス4を保持した前面枠5が開閉自在に取り付けられている。」、 c.第4コラム27〜29行に、「基枠1に固着されたベース板8は、前面枠5の開閉方向に沿った立ち上がり面9を備えている。」、 d.第4コラム31〜43行に、「そして、前記立ち上がり面9の両側には、前記ガイドピン20が挿通されるスロット23,24がそれぞれ形成された作動レバー25,26がスライド自在に支持されている。作動レバー25の両端には連結レバー28が軸着されている。また、連結レバー28には、ピン30によってベース板8に回動自在に軸着された第1フック12の一端が軸止めされている。同様に、作動レバー26の両端には連結レバー32が軸着されている。また、ピン33によりベース板8に軸着された第2フック15の一端は、前記連結レバー32に軸止めされている。」、 e.第4コラム1〜6行に、「ロック装置10は、後述するように、機枠本体3に固着された係止金具11に係合する第1フック12と、前面枠5に固着された係止金具14に係合する第2フック15とを含んでいる。これらの第1、第2フックは、それぞれ一対づつ設けられている。」、 f.第4コラム7〜9行に「基枠1の前面側に露呈して設けられたキー挿入部16にキー18(第1図参照)を挿入し、これを右方向に回動させると(第1図で反時計方向となる)」、 g.第5コラム12〜15行に「そして、これらの解除片38、39の間には、キー18の操作によって回動される回動版42に植設された、解除ピン43が突出している。」、 h.第3コラム43行〜第4コラム5行に「前記基枠1の一側面にはベース板8が固定され、このベース板8にはロック装置10が取り付けられている。ロック装置10は、後述するように、機枠本体3に固着された係止金具11に係合する第1フック12と、・・・を含んでいる。」、 i.第4コラム18〜23行に「基枠1を閉じるときには、基枠1を機枠本体3に向かって押し込めば、係止金具11が第1フック12の下側に形成されたテーパ面を介して第1フック12を押し上げるので、基枠1を一定量押し込んだ時点で、第1フック12が係止金具11と係合する。」、 j.第5コラム8〜10行に「作動レバー26には解除片39が・・・カシメなどにより固着されている。」、 k.第5コラム第21〜27行に「第1図に示した初期状態から、キー挿入部16にキー18を挿入してこれを右方向(第1図では反時計方向)に回動させると、解除ピン43が解除片39を押し上げる。この結果、作動レバー26は・・・上方へとスライドする。」、 l.第4コラム3〜5行に「前面枠5に固着された係止金具14に係合する第2フック15とを含んでいる。」、 m.第4コラム23〜26行に「同様に、前面枠5を基枠1に一定量押し込むことによって、第2フック15が係止金具14に係合するので、前面枠5が閉じられることとなる。」 n.第5コラム21〜32行に「第1図に示し初期状態から、キー挿入部16にキー18を挿入してこれを右方向(第1図では反時計方向)に回動させると、解除ピン43が解除片39を押し上げる。この結果、・・・一対の第2フック15の先端部が軸33を中心として下降し、係止金具14との係合が解除される。これにより、基枠1と前面枠5とのロックが解除されるので、前面枠5は開放ばね46によって押出されるようにして開かれる。」、 o.第5コラム37行〜第6コラム5行に「キー18を左方向(第1図では時計方向)に回動したときには、解除ピン43によって作動レバー25が押し下げられる。これにより、第2フック(第1フックの誤記)12の先端部は軸30を中心として上昇するので、係止金具11との係合が解除され、基枠1と機枠本体3とのロックが解除される。したがって、基枠1を開くことができるようになる。」、 以上の記載によれば、甲第1号証には、 ベース板8の基枠1に取り付けられる部分と立ち上がり面9からなるベース板8の内側に作動レバー25および連結レバー28が摺動可能に配設され、該立ち上がり面9の上部と下部に第1フック12が連結杆に連結されて傾動可能に枢支され、 該ベース板8の基枠1に取り付けられる部分の中間部にキー挿入部16がその錠軸を取付板に設けた孔から内側に差込むように固定され、 該錠軸の回動板42が取り付けられる部分に前記作動レバー25および連結レバー28と係合する回動板42および解除ピン43が固定され、 前記ベース板8の基枠1に取り付けられる部分がパチンコ機の基枠1に縦に取付けられ、機枠本体3側に取付けられた係止金具11に前記第1フック12が係止されて基枠1を施錠するパチンコ機のロック装置において、 前記立ち上がり面9の上部と下部に、前面枠施錠用の第2フック15が傾動可能に枢支され、両フックが前面枠施錠用の作動レバー26および連結レバー32により連結され、 該作動レバー26および連結レバー32の解除片39が前記回動板42および解除ピン43と係合可能に形成され、 前面枠5の一部に設けた係止金具14に前面枠施錠用の該第2フック15が係止されてガラス枠が施錠され、 前記キー挿入部16を基枠1の解錠時と反対方向に回して該回動板42および解除ピン43を同方向に回動させ、前面枠施錠用の第2フック15を傾動させて前面枠5を解錠するように構成したパチンコ機のロック装置。(以下、「引用発明」という。) が記載されている。 6.対比・判断 本件発明と引用発明とを対比すると、 引用発明の「機枠本体3」、「基枠1」、「前面枠5」及び「ベース板8」が、それぞれ本件発明における「本体枠」、「前面枠」、「ガラス枠」及び「基枠体」に相当し、以下、「基枠1に取り付けられる部分」及び「立ち上がり面9」が、それぞれ本件発明における「取付板」及び「支持板」に、「作動レバー25および連結レバー28」と「作動レバー26および連結レバー32」が、それぞれ本件発明における「連結杆」に、「第1フック12」と「第2フック15」が、それぞれ本件発明における前面枠用およびガラス枠用の「鉤部材」に、「回動板42および解除ピン43」と「回動板42が取り付けられる部分」が、それぞれ本件発明における「カム板」と「錠軸の先端」に相当する 。また、引用発明の「キー挿入部16」は本件発明の「シリンダ錠」と錠である点で共通し、引用発明の「係止金具11」、「係止金具14」は、本件発明における「受け金具」、「係止ピン」と係止部である点で共通する。 そうすると、本件発明と引用発明とは、 「取付板と支持板からなる基枠体に連結杆が摺動可能に配設され、該支持板の上部と下部に鉤部材が連結杆に連結されて傾動可能に枢支され、該取付板の中間部に錠がその錠軸を取付板に設けた孔から内側に差込むように固定され、該錠軸の先端にカム板が固定され、前記連結杆は該カム板の係合部と係合し、前記基枠体の取付板がパチンコ機の前面枠に縦に取付けられ、本体枠側に取付けられた受け金具に前記鉤部材が係止されて前面枠を施錠するパチンコ機の施錠装置において、前記支持板の上部と下部に、ガラス枠施錠用の鉤部材が傾動可能に枢支され、両鉤部材が該連結杆により連結され、、ガラス枠の一部に設けた係止部にガラス枠施錠用の該鉤部材が係止されてガラス枠が施錠され、前記錠を前面枠の解錠時と反対方向に回して該カム板を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材を傾動させてガラス枠を解錠するように構成したパチンコ機の施錠装置。」 で一致し、 本件発明が 「 該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、両鉤部材(14)(15)が該連結杆(16)(17)により連結され、該連結杆(17)の前記カム板(8)に対向した位置に開口部が該カム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成」される点、及び「連結杆(17)のカム板(8)に対向した位置に開□部がカム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成される」点を具備しているのに対し、引用発明は解除ピンと作動レバーに設けた解除片によって係合させており、上記(特に連結杆に開口部を設け、各カム板と係合させる)構成を具備しない点で相違するものと認められる。 そして、本件発明は、上記相違点の構成を含む上記特許請求の範囲に記載される構成要件を具備することにより、「前面枠用の施錠装置の基枠体内に、ガラス枠用の施錠具を内蔵しているため、基枠体の取付板を前面枠の内側に固定するだけで、別個にガラス枠用施錠具を取付ける必要がなく、簡単に取付け作業を行うことができる。また、別個にガラス枠用施錠具を取付ける場合のように、ガラス枠用施錠具との間の調整作業も必要としない。」という特許明細書記載の効果を奏するものと認められる。 したがって、本件発明は、上記引用発明ということはできないのみならず、引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件発明の特許は、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、請求人の主張及び証拠方法によっては、無効とすることはできない。審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 パチンコ機の施錠装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、該支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、該取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、該錠軸の先端にカム板(8)が固定され、前記連結杆(6)には該カム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、前記基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に前記鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、 前記支持板(3)の上部と下部に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が傾動可能に枢支され、該基枠体(1)の内側には該支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、両鉤部材(14)(15)が該連結杆(16)(17)により連結され、該連結杆(17)の前記カム板(8)に対向した位置に開口部が該カム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)(27)にガラス枠施錠用の該鉤部材(14)(15)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、前記シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回して該カム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成したパチンコ機の施錠装置。 【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】 本発明は、パチンコ機の前面枠を本体枠に対し施錠すると共に、前面枠内に開閉可能に取付けられたガラス枠を、前面枠に対し施錠するパチンコ機の施錠装置に関する。 【従来の技術】 パチンコ機の前面枠を本体枠に対し施錠する施錠装置として、断面L字状の取付板と支持板からなる基枠体の内側に、連結杆が摺動可能に配設され、支持板の上部と下部に鉤部材が連結杆に連結されて傾動可能に枢支され、取付板の中間部にシリンダ錠がその錠軸を取付板に設けた孔から内側に差込むように固定され、錠軸の先端に連結杆と係合するカム板が固定されてなる施錠装置が、一般に使用されている(例えば、実公昭57-8867号公報等参照)。 【発明が解決しようとする課題】 一方、パチンコ機の前面枠内には、ガラス枠が開閉可能に取付けられているが、この種の施錠装置には、ガラス枠を施錠するガラス枠用施錠具は設けられてなく、単にガラス枠用施錠具を解錠するための作動片付き作動杆が、施錠装置の基枠体内に設けられ、シリンダ錠によるカム板の回動によりその作動杆を摺動させる機構が設けられているのみである。 このため、ガラス枠用施錠具を別個に前面枠の内側に取付ける必要があり、その際の取付け作業に多くの工数がかかると共に、施錠装置側の作動片をガラス枠用施錠具側の受け具に合せるように、位置調整を行なう必要があり、取付け時の調整作業にも多くの作業工数がかかる問題があった。 本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、前面枠用の施錠装置にガラス枠用の施錠具を内蔵させ、別個にガラス枠用施錠具を取付けたり、その調整作業を必要とせず、簡便に使用することができるパチンコ機の施錠装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために、本発明の施錠装置は、取付板(2)と支持板(3)からなる基枠体(1)の内側に連結杆(6)が摺動可能に配設され、支持板(3)の上部と下部に鉤部材(4)(5)が連結杆(6)に連結されて傾動可能に枢支され、取付板(2)の中間部にシリンダ錠(7)がその錠軸を取付板(2)に設けた孔から内側に差込むように固定され、錠軸の先端にカム板(8)が固定され、連結杆(6)にはカム板(8)の係合部(8a)と係合する開口部が設けられ、基枠体(1)の取付板(2)がパチンコ機の前面枠(21)に縦に取付けられ、本体枠(20)側に取付けられた受け金具(24)(25)に鉤部材(4)(5)が係止されて前面枠(21)を施錠するパチンコ機の施錠装置において、支持板(3)の上部と下部に、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が傾動可能に枢支され、基枠体(1)の内側には支持板(3)に沿ってガラス枠施錠用の連結杆(16)(17)が摺動可能に配設され、両鉤部材(14)(15)が連結杆(16)(17)により連結され、連結杆(17)のカム板(8)に対向した位置に開口部がカム板(8)の係合部(8b)と係合可能に形成され、ガラス枠(22)の一部に設けた係止ピン(26)(27)にガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)が係止されてガラス枠(22)が施錠され、シリンダ錠(7)を前面枠(21)の解錠時と反対方向に回してカム板(8)を同方向に回動させ、ガラス枠施錠用の鉤部材(14)(15)を傾動させてガラス枠(22)を解錠するように構成される。 【作用・効果】 このような構成の施錠装置では、前面枠を本体枠に対し閉じると、施錠装置の上下の鉤部材が本体枠側の受け金具に当って下方に傾動しながら係止され、施錠状態となる。 それを解錠する場合は、キーによってシリンダ錠を回し、カム板を回転させると、カム板の係合部が連結杆と係合してこれを摺動させ、上下の鉤部材が傾動する。この鉤部材の傾動によって、本体枠の受け金具との係合が外れ、前面枠は開放可能な状態となる。 一方、前面枠内のガラス枠を前面枠に対し閉じると、ガラス枠内の係止ピンがガラス枠施錠用の鉤部材に当り、これを傾動させながら閉じられるため、鉤部材に係止ピンが係止され、ガラス枠は施錠状態となる。 ガラス枠を解錠する場合は、シリンダ錠のキーを逆方向に回して、カム板を同方向に回動させると、カム板の係合部がガラス枠施錠用の連結杆と係合してこれを下方へ摺動させ、上下の鉤部材を傾動させる。このガラス枠施錠用の鉤部材の傾動によって、ガラス枠の係止ピンと鉤部材の係合が外れ、ガラス枠は解錠される。 このように、前面枠用の施錠装置の基枠体内に、ガラス枠用の施錠具を内蔵しているため、基枠体の取付板を前面枠の内側に固定するだけで、別個にガラス枠用施錠具を取付ける必要がなく、簡単に取付け作業を行うことができる。また、別個にガラス枠用施錠具を取付ける場合のように、ガラス枠用施錠具との間の調整作業も必要としない。 【実施例】 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 図1は施錠装置の正面図を、図2はその左側面図を、図3はその右側面図を、図4はその背面図を各々示している。1は取付板2と支持板3を略直角に曲折して一体成形してなる縦長の基枠体で、基枠体1の支持板3の上部と下部に枢支部が形成される。取付板2には複数の取付孔2aが穿設される。 枢支部には、鉤部材4、5が上方に傾動可能に枢支ピン4a,5aで枢支される。鉤部材4、5は三角形頭部を有しその中間部に係合凹部を有している。基枠体1の内側には、図3に示すように、支持板3に沿って連結杆6が摺動可能に配設され、連結杆6の上端は、立ち上がるように曲折して鉤部材4の中間部に連結ピン4bで連結され、その下端は同様に下部の鉤部材5の中間部に連結ピン5bで連結される。この鉤部材4、5及びそれを動かす連結杆6は、パチンコ機の前面枠用の施錠機構を構成する。 取付板2の略中央の少しくぼんだ部分には、シリンダ錠7がその錠軸を孔から基枠体1の内側に挿入するように、ねじ又はかしめで固定される。シリンダ錠7の錠軸には2つの係合部8a,8bを持つカム板8が固定され、図4反時計方向にカム板8を回動させた場合、カム板の係合部8aが連結杆6中央部の開口部に係合し、連結杆6を上方に摺動させ、鉤部材4、5を傾動させる。なお、連結杆6はコイルばね9によって下方に付勢され、また、連結杆6の一部には手動で解錠するための把手部6aが取付板2から前方の突出するように突設されている(図3)。 さらに、支持板3の左側面の上部と下部には、ガラス枠用施錠機構の鉤部材14、15がブラケットを11介して下方に傾動可能に枢支ピン14a,15aで枢支される。鉤部材14、15は三角形頭部とその中間部に係合凹部を有し、先端が正面側に突出して配設される。 基枠体1の内側には、図2に示すように、支持板3に沿って連結杆16、17が摺動可能に配設され、連結杆6の上端は鉤部材14の中間部に連結ピン14bで連結され、連結杆17の下端は下部の鉤部材15の中間部に連結ピン15bで連結される。 連結杆16は、支持板3に設けられた開口部を図1の左上から右下に通過し、連結杆17は上記連結杆6と支持板3の間を通り、支持板3に設けた開口部を図1の右上から左下に通過するように配設される。また、連結杆16と17は、図3のように、支持板3の右側で連結ピン16aにより連結され、連結杆16はコイルばね19により上方に付勢される。 さらに、連結杆17のカム板8に対向した位置に開口部が設けられ、図4時計方向にカム板8を回動させたとき、カム板の係合部8bがその連結杆17の開口部に係合し、連結杆17、16を下方に摺動させ、鉤部材14、15を下側に傾動させる。また、連結杆17には手動で解錠するための把手部17aが背面側に突出するように突設されている(図3)。これらの鉤部材14、15、連結杆16、17、コイルばね19等によってガラス枠用の施錠機構が構成される。 このように構成された施錠装置は、パチンコ機の前面枠21の内側に、シリンダ錠7の先端を前面に露出させ、鉤部材4、5を本体枠2側に向けた状態で、取付板2を用いて縦に取付けられる。また、本体枠20の内側には、鉤部材4、5に対応した上下位置に受け金具24、25が固定される。 このような装着状態で、ガラス枠施錠用の鉤部材14、15は、前面枠21の内側に開口されガラス枠が収納される部分の側部に位置することになる。また、ガラス枠22の内側には、鉤部材14、15に対応した位置に、受け金具としての係止ピン26、27が水平に設けられる。 このような構成の施錠装置では、パチンコ機における前面枠21を本体枠20に対し閉じると、図5に示すように、施錠装置の上下の鉤部材4、5が本体枠20側の受け金具24、25に当って下方に傾動しながら係止され、施錠状態となる。 それを解錠する場合は、キーによってシリンダ錠7を回し、カム板8を図1反時計方向に回転させると、カム板8の係合部8aが連結杆6と係合してこれを上方へ摺動させ、上下の鉤部材4、5が上方へ傾動する。この鉤部材4、5の傾動によって、本体枠の受け金具24、25との係合が外れ、前面枠21は開放可能な状態となる。 一方、前面枠21内のガラス枠22を前面枠21に対し閉じると、図6に示すように、ガラス枠22内の係止ピン26、27がガラス枠施錠用の鉤部材14、15に当り、これを下方に傾動させながら閉じられるため、鉤部材14、15に係止ピン26、27が係止され、ガラス枠22は施錠状態となる。 ガラス枠を解錠する場合は、シリンダ錠7のキーを逆方向に回して、カム板8を図1時計方向へ回動させると、カム板8の係合部8bが連結杆17と係合してこれを下方へ摺動させ、上下の鉤部材14、15を下方へ傾動させる。この鉤部材14、15の傾動によって、ガラス枠22の係止ピン26、27と鉤部材14、15との係合が外れ、ガラス枠22はばね等の付勢力で開放される。 このように、前面枠用の施錠装置の基枠体1内に、ガラス枠用の施錠具を内蔵しているため、基枠体1の取付板2を前面枠21の内側に固定するだけで、別個にガラス枠用施錠具を取付ける必要がなく、簡単に取付け作業を行うことができる。また、別個にガラス枠用施錠具を取付ける場合のように、ガラス枠用施錠具との間の調整作業も必要としない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施例を示す施錠装置の正面図である。 【図2】 その左側面図である。 【図3】 その右側面図である。 【図4】 その背面図である。 【図5】 使用状態を示す右側面図である。 【図6】 使用状態を示す左側面図である。 【符号の説明】 1-基枠体、 2-取付板、 3-支持板、 4,5-鉤部材、 6-連結杆、 7-シリンダ錠、 8-カム板、 14、15-鉤部材、 16、17-連結杆。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2003-10-14 |
結審通知日 | 2003-10-17 |
審決日 | 2003-11-04 |
出願番号 | 特願平6-6501 |
審決分類 |
P
1
112・
121-
YA
(A63F)
P 1 112・ 113- YA (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石井 哲 |
特許庁審判長 |
村山 隆 |
特許庁審判官 |
藤井 俊二 中村 和夫 |
登録日 | 1999-04-23 |
登録番号 | 特許第2916743号(P2916743) |
発明の名称 | パチンコ機の施錠装置 |
代理人 | 飯田 堅太郎 |
代理人 | 江間 路子 |
代理人 | 佐藤 光俊 |
代理人 | 飯田 堅太郎 |
代理人 | 江間 路子 |
代理人 | 飯田 昭夫 |
代理人 | 飯田 昭夫 |
代理人 | 神戸 典和 |