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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B66F
管理番号 1092398
審判番号 不服2001-2843  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-09-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-27 
確定日 2004-02-20 
事件の表示 平成 6年特許願第 60363号「モニタ装置付きフォークリフト」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 9月19日出願公開、特開平 7-242400]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
(1)特許出願:平成6年3月4日
(2)拒絶の理由の通知:平成12年10月13日(発送日:同年10月24日)
(3)意見書・手続補正書の提出:平成12年12月20日
(4)拒絶の査定:平成13年1月19日(発送日:同年1月30日)
(5)審判の請求:平成13年2月27日

第2.原査定における拒絶の理由の概要
拒絶の理由の概要は、上記第1.(2)の拒絶理由通知書及び上記第1.(4)の拒絶査定書の記載からみて、次のとおりである。
「本願の請求項1,2に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された刊行物1〜3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<刊行物>
1.特開平5-286700号公報(以下、「刊行物1」という。)
2.特開昭61-71250号公報(以下、「刊行物2」という。)
3.特開平4-173699号公報(以下、「刊行物3」という。)」

第3.当審の判断
1.本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成12年12月20日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明は次のとおりである。
「フォークを昇降駆動させると共に所望の揚高位置に停止させるための駆動手段と、
フォークによる入出庫作業情報又はフォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報及びフォークの昇降駆動・停止を指令する信号を上記駆動手段に対して与えるためのタッチスイッチをモニタ表示する表示手段と、
上記各手段を制御する制御手段とを備え、
上記表示手段に表示されたタッチパネルには、フォークを所望の設定高さに停止させるための設定キー、設定高さを記憶させるためのメモリーキー、フォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフト・アップ/ダウンキー及びティルト・アップ/ダウンキーが含まれ、
前記制御手段は、操作者によって前記表示手段に表示された内の一つのタッチスイッチが押圧操作されることにより、その押圧操作されたキーの信号を上記駆動手段に対して与えることを特徴とするモニタ装置付きフォークリフト。」(以下、「本願発明」という。)

2.刊行物記載の発明
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開平5-286700号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(a)「200Aは表示パネル部(液晶パネル)、200Bは第1の設定パネル部、200Cは第2の設定パネル部である。表示パネル部200Aの201は主データディスプレイ部であり、バッテリ電圧V、走行速度Km/hおよび荷役重量ton等(走行モード時)を切換え表示する。202は副データディスプレイ部であって、主データディスプレイ部201の下に位置し、走行・荷役モード時には、走行距離、トータル時間、走行時間、油圧時間(荷役モータが動作している時間)等を切換え表示する。203は加速度表示部、204はパワー表示部、205はエコノミー表示部、206はフォーク平表示部、207はバッテリ残量表示部である。208はパーキングマーク表示部、209はブレーキ液不足マーク表示部、210はバッテリ液不足マーク表示部、211はヒューズ切れマーク表示部、211Aは荷役モータ回路のヒューズ切れマーク、211Bは走行モータ回路のヒューズ切れマーク、211Cはパワーステアリング回路のフューズ切れマークである。212Aは充電予約表示部、212Bは充電中表示部、213U、213M、213Dはフォーク揚高停止位置表示部である。214はフォーク揚高停止位置の設定解除表示部である。
第1の設定パネル部200Bの215U、215M、215Dはフォーク揚高停止位設定表示押ボタンスイッチ(セットスイッチ)、」(第3頁第3欄第42行〜第4欄第15行)
(b)「図3において、1はバッテリを駆動源とするフォークリフトの車体、1Aは車輪、2はチルトシリンダ4を備えるチルト機構(図示しない)を介して支持されたマスト(外マストと内マストからなる)である。3はフォークであって、リフトシリンダ5を備える昇降機構(図示しない)を介してマスト2に支持されている。チルトシリンダ4は前傾用比例弁6Aと後傾用比例弁6Bを介して油圧ポンプ8に連絡されており、リフトシリンダ5は上昇用比例弁7Aと下降用比例弁7Bを介して油圧ポンプ8に連絡されている。9は油圧ポンプ8のモータ、10は油圧タンクである。11はチルトレバー、12はリフトレバーであって、共に図示しない運転台に配設されている。」(第3頁第4欄第28〜40行)
(c)「(5)制御装置100のCPU101はパーキングブレーキと連動するスイッチ41の出力、ヒューズ切れセンサ26A〜36Cの出力、ブレーキ液検知器40の出力、バッテリ液検知器39の出力を監視しており、スイッチ41が投入された時およびヒューズ切れセンサ26A〜36Cが出力した時には、その旨をCPU231に通知し、ブレーキ液検知器40およびバッテリ液検知器39の出力が設定値まで低下すると、その旨をCPU231に通知する。これにより、CPU231はパーキングマーク表示部208にパーキングマークを、ヒューズ切れ表示部211に対応するマーク211A〜211Cを表示させ、また、ブレーキ液不足表示マーク209、バッテリ液不足表示マーク210を表示させる。」(第5頁第7欄第3〜16行)
(d)「チルトレバー11をニュートラル位置から前へ倒すと、チルトレバー11に内蔵されているレバー操作検知用スイッチ11AがONし、可変抵抗器21がチルトレバー11の操作量に応じた大きさの電圧信号(図9)を出力する。この電圧信号は可変抵抗器21の電源電圧VC1の1/2の電圧値から上昇する。この電圧信号(以下、前傾信号という)の値をA/D変換器23を通して入力したCPU101は前傾信号の値に応じたモータ速度指令(図10に示す)をI/O部103を通してチョッパ制御回路31に送出し、チョッパ制御回路31はモータ速度指令のレベルに対応したパルス巾のベース信号をチョッパ素子30のベースに与えるとともに前傾信号の値に応じた弁制御指令をI/O部103を通し弁制御回路33に与える。弁制御回路33はこの弁制御指令を増幅して前傾比例弁6Aに与え、前傾比例弁6Aは上記弁制御指令の大きさに対応じた開弁度まで開弁する。これにより、チルトシリンダ4内にはそのロッドを押し出す向きに圧液が流入し、ロッドの押し出しによりフォーク3が前傾する。
【0047】チルトレバー11をニュートラル位置から後ろへ倒すと、・・・これにより、チルトシリンダ4内にはそのロッドを引っ込める向きに圧液が流入し、ロッドの引っ込みによりフォーク3が後傾する。」(第5頁第8欄第29行〜第6頁第9欄第15行)
(e)「図12のフォーク揚高停止位設定表示押ボタンスイッチ(セットスイッチ)215U、215M、215Dは図11に示した位置H1、H2、H3を設定するためのスイッチ(セットスイッチ)であって、押圧されると設定信号を出力するとともに上記段数を示す算用数字AとフォークマークBが表示される。この設定値はCPU231からCPU101へ伝送され、メモリユニット102に格納される。」(第6頁第10欄第12〜20行)
(f)「リフトレバー12をニュートラル位置から前へ倒すと、リフトレバー12に内蔵されているレバー操作検知用スイッチ12AがONする。可変抵抗器22がリフトレバー12の操作量に応じた大きさの電圧信号(図8に示す)を出力する。この電圧信号は可変抵抗器22の電源電圧VC1の1/2の電圧値から上昇する。この電圧信号(以下、上昇信号という)の値をA/D変換器23を通して入力したCPU102は上昇信号の値に応じたモータ速度指令(図9に示す)をI/O部103を通してチョッパ制御回路31に送出し、チョッパ制御回路31はモータ速度指令のレベルに対応したパルス巾のベース信号をチョッパ素子30のベースに与えるとともに上昇信号の値に応じた大きさの弁制御信号をI/O部を通し弁制御回路33に与える。弁制御回路33はこの弁制御信号を増幅して上昇比例弁7Aに与え、上昇比例弁7Aは弁制御信号の大きさに対応じた開弁度まで開弁する。これにより、リフトシリンダ5内にはそのロッドを上昇させる向きに圧液が流入し、ロッドの上昇によりフォーク3が上昇する。
【0056】リフトレバー12をニュートラル位置へ戻すと、・・・フォーク3の上昇が停止する。
【0057】リフトレバー12をニュートラル位置から後傾させた場合は、・・・これにより、リフトシリンダ5内にはそのロッドを下降させる向きに圧液が流入し、ロッドの下降によりフォーク3が下降する。」(第6頁第10欄第23行〜第7頁第11欄第14行)
上記記載事項及び図面の記載によれば、刊行物1には、次の発明が記載されているものと認められる。
「フォークを昇降駆動させると共に所望の揚高位置に停止させるための駆動手段と、
ブレーキ液不足、バッテリー液不足、ヒューズ切れを表示する表示パネル部200Aと、
これらを制御するCPU101,CPU231とを備え、
第1の設定パネル部200Bにはフォーク揚高停止位設定表示押ボタンスイッチ215U、215M、215Dを、運転台にはフォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフトレバー12,チルトレバー11を備えていて、
CPU101は、操作者によってリフトレバー12及びチルトレバー11が操作されることにより、その操作されたレバーの信号を上記駆動手段に対して与えるモニタ装置付フォークリフト。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)

(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物2(特開昭61-71250号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(g)「この発明は、・・・車両の停止・走行の運転状態に対応してスイッチ操作モード別に機器種目を画面表示し、この画面表示に対応する操作スイッチを当該画面上に構成した」(第2頁右上欄第15〜20行)
(h)「この発明によれば、・・・操作スイッチは一つで停止モードと走行モードとの二種の機能を持たせるので、操作スイッチの数量が半減でき、しかも省スペース化が図れる。
各種機器の操作スイッチを一箇所に集めるので、・・・操作性の向上が図れる。・・・操作スイッチのトータルコストを下げることができ」(第2頁左下欄第3〜17行)
上記記載事項及び図面の記載によれば、刊行物2には、次の技術思想が記載されているものと認められる。
「画面上に各種操作スイッチを設けることにより、省スペース化、操作性の向上を図る」技術思想(以下、「刊行物2記載の技術思想」という。)

(3)刊行物3
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物3(特開平4-173699号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(i)「7はフォークリフトで、該フォークリフト7には後述する車上機・・・が搭載されている。
第2図において、8は車上機で、該車上機8は一種のパーソナルコンピュータで送受信機能をもち、上記制御装置3とIDタグ情報、行先情報及びロケーション情報等荷役・入出庫に必要な情報のすべてを無線にて授受行えるものである。」(第2頁左上欄第19行〜右上欄第7行)
(j)「上記制御装置3に出庫すべき荷13の種類、個数が入力されると、上記制御装置3は以前に記憶した在庫情報と照合し、当該出庫すべき荷13の行先情報とロケーション情報とを割り出し、それから情報の出庫であるとの情報を無線端末機4から車上機8に伝送され、車上機8のディスプレイ(図示せず)に表示される。この表示に基づき運転者は当該に3の入ったボックスパレット11を取り出しに行く。」(第2頁右下欄第19行〜第3頁左上欄第7行)

3.対比・判断
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると、後者の「ブレーキ液不足、バッテリー液不足、ヒューズ切れ」は、その技術的意義からみて、前者の「フォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報」に相当し、同様に、後者の「CPU101,CPU231」は、前者の「制御手段」に、後者の「フォーク揚高停止位設定表示押ボタンスイッチ215U、215M、215D」は、前者の「設定高さを記憶させるためのメモリーキー」に、それぞれ相当する。
そして、後者の「ブレーキ液不足、バッテリー液不足、ヒューズ切れを表示する表示パネル200A」と、前者の「フォークによる入出庫作業情報又はフォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報及びフォークの昇降駆動・停止を指令する信号を上記駆動手段に対して与えるためのタッチスイッチをモニタ表示する表示手段」とは、「少なくともフォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報をモニタ表示する表示手段」の限りにおいて一致しているということができる。
また、後者の「リフトレバー12」及び「チルトレバー11」と、前者の「リフト・アップ/ダウンキー」及び「ティルト・アップ/ダウンキー」とは、それぞれ、「リフト・アップ/ダウンのための操作部」及び「ティルト・アップ/ダウンのための操作部」の限りにおいて一致しているから、後者の「第1の設定パネル部200Bにはフォーク揚高停止位設定表示押ボタンスイッチ215U、215M、215Dを、運転台にはフォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフトレバー12及びチルトレバー11を備えていて、」と、前者の「上記表示手段に表示されたタッチパネルには、フォークを所望の設定高さに停止させるための設定キー、設定高さを記憶させるためのメモリーキー、フォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフト・アップ/ダウンキー及びティルト・アップ/ダウンキーが含まれ、」とは、「設定高さを記憶させるためのメモリーキー、フォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフト・アップ/ダウンのための操作部及びティルト・アップ/ダウンのための操作部を備えており、」の限りにおいて一致しており、前者の「リフトレバー12,チルトレバー11が操作されることによりその操作されたレバーの信号を」と後者の「表示手段に表示された内の一つのタッチスイッチが押圧操作されることにより、その押圧操作されたキーの信号を」とは、「リフト・アップ/ダウンのための操作部又はティルト・アップ/ダウンのための操作部が操作されることにより、その操作された操作部の信号を」の限りにおいて一致しているということができる。
してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりになる。
〈一致点〉
「フォークを昇降駆動させると共に所望の揚高位置に停止させるための駆動手段と、
少なくともフォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報をモニタ表示する表示手段と、
上記各手段を制御する制御手段とを備え、
設定高さを記憶させるためのメモリーキー、フォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフト・アップ/ダウンのための操作部及びティルト・アップ/ダウンのための操作部を備えていて、
前記制御手段は、操作者によってリフト・アップ/ダウンのための操作部又はティルト・アップ/ダウンのための操作部が操作されることにより、その操作された操作部の信号を上記駆動手段に対して与えるモニタ装置付きフォークリフト。」
〈相違点1〉
「少なくともフォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報をモニタ表示する表示手段」が、本願発明では、「フォークによる入出庫作業情報又はフォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報及びフォークの昇降駆動・停止を指令する信号を上記駆動手段に対して与えるためのタッチスイッチをモニタ表示する表示手段」であるのに対し、刊行物1記載の発明では、「ブレーキ液不足、バッテリー液不足、ヒューズ切れを表示する表示パネル部」である点。
〈相違点2〉
本願発明では、「表示手段に表示されたタッチパネルには、フォークを所望の設定高さに停止させるための設定キー、設定高さを記憶させるためのメモリーキー、フォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフト・アップ/ダウンキー及びティルト・アップ/ダウンキーが含まれ、」としているのに対し、刊行物1記載の発明では、「第1の設定パネル部200Bにはフォーク揚高停止位置設定表示押ボタンスイッチ215U、215M、215Dが、運転台にはフォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフトレバー12及びチルトレバー11を備えていて、」としている点。
〈相違点3〉
本願発明では、「制御手段は、操作者によって前記表示手段に表示された内の一つのタッチスイッチが押圧操作されることにより、その押圧操作されたキーの信号を上記駆動手段に対して与える」としているのに対し、刊行物1記載の発明では「制御手段は、操作者によってリフトレバー12又はチルトレバー11が操作されることによりその操作されたレバーの信号を駆動手段に対して与える」としている点。

上記〈相違点1〉〜〈相違点3〉について検討する。
先ず、上記〈相違点1〉に係る本願発明の構成「フォークによる入出庫作業情報又はフォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報及びフォークの昇降駆動・停止を指令する信号を上記駆動手段に対して与えるためのタッチスイッチをモニタ表示する表示手段」のうち「フォークによる入出庫作業情報又はフォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報・・・をモニタ表示する表示手段」は、文脈「・・・又は・・・及び・・・」からみて、「フォークによる入出庫作業情報」又は「フォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報」のいずれか一方のみをモニタ表示することができる表示手段を含むと解することができるので、このような意味において、「フォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報」(ブレーキ液不足、バッテリー液不足、ヒューズ切れ)をモニタ表示している刊行物1記載の発明の構成とは、実質的には相違しないということができる。
仮に、上記本願発明の構成が、「フォークによる入出庫作業情報」及び「フォークリフトの各部の点検・監視箇所の情報」の双方を選択的に表示することができる表示手段と介すべきであるとしても、「フォークによる入出庫作業情報」をモニタ表示することは、刊行物3に記載されているので(上記摘記事項(i)(j))、上記本願発明の構成は、刊行物1記載の発明に、刊行物3に記載の発明を適用することにより、当業者が容易に想到することができたものといえる。
次いで、タッチスイッチをモニタ表示することについてみると、刊行物2には、前示のとおり、「画面上に各種操作スイッチを設けることにより、省スペース化、操作性の向上を図る」技術思想が開示されている。
これは、本願発明との対比において、省スペース化、操作性の向上を図るために、「各種操作を指令する信号を操作手段に対して与えるためのタッチスイッチをモニタ表示すること」と解することができる。
そうすると、刊行物1記載の発明においても、省スペース化、操作性の向上を図ることを目的として、各種の操作スイッチを、画面上(表示手段)に設けてタッチスイッチにしようと試みることは、当業者であれば、特に困難性無く想到し得ることである。そして、省スペース化を目的とすれば、それらを設ける画面として、既に備えられている「ブレーキ液不足、バッテリー液不足、ヒューズ切れをモニタ表示する表示パネル部」を利用してタッチスイッチにすることも、当業者が、容易に想到し得ることである。
さらに、画面上に、操作対象物の移動速度を変えるためのスイッチをタッチスイッチとして設けることは、周知の技術である(例えば、特開平4-58418号公報、特開4-62622号公報を参照。)。
以上のことからすれば、刊行物1記載の発明においても、省スペース化、操作性の向上を図ることを目的として、「フォーク揚高停止位置設定表示押ボタンスイッチ」や、「フォークリフトのリフト速度・ティルト速度を変えるためのリフトレバー12及びチルトレバー11」の機能を有するものを、表示手段上に設けることは、当業者が容易になし得たものというべきである。この場合、「レバー」は、「押圧操作」される「キー」となることは必然である。
また、刊行物1記載の発明も、「フォーク揚高停止位置設定表示押ボタンスイッチ」が設けられていることからすれば、「フォークを所望高さに停止させるための設定キー」を設けることも当業者が容易に想到し得ることであって、これを表示手段上にタッチスイッチとして設けることも、当業者が容易になし得ることである。
してみると、上記〈相違点1〉〜〈相違点3〉に係る本願発明の構成は、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の技術思想及び上記周知の技術を勘案することにより、当業者が容易になし得たものである。
また、本願発明が奏する作用効果も、刊行物1,2の記載及び上記周知の技術から、当業者が予測し得る程度のものである。
よって、本願発明は、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の技術思想及び上記周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物1記載の発明、刊行物2記載の技術思想及び上記周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-12-01 
結審通知日 2003-12-09 
審決日 2003-12-22 
出願番号 特願平6-60363
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B66F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 清田 栄章
鈴木 充
発明の名称 モニタ装置付きフォークリフト  
代理人 板谷 康夫  

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