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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1092416
審判番号 不服2002-17714  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-05-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-12 
確定日 2004-02-20 
事件の表示 平成 4年特許願第274516号「偏光板用保護フィルム」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 5月 6日出願公開、特開平 6-123806]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯及び本願発明
本願は、平成4年10月13日の出願であって、特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、平成11年4月28日付け及び平成14年10月11日付けの手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その請求項1及び2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
なお、平成14年2月4日付けの手続補正書による補正は却下された。
「偏光板用保護フィルムの少なくとも片面にイオン性重合体を主成分とする導電性を有する層を少なくとも1層有し、その表面比抵抗が1011Ω/cm2(25℃、20%RH)以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された実願平1-11458号(実開平2-104301号)のマイクロフイルム(以下、「引用例1」という。)、同じく特開昭54-18728号公報(以下、「引用例2」という。)及び同じく特開平4-80033号公報(以下、「引用例3」という。)にはそれぞれ、次の発明が記載されている。
引用例1;
偏光板用帯電防止保護フィルムに関するもので、
(1)実用新案登録請求の範囲には、
「(1)偏光板の少なくとも一面の保護フィルムに、樹脂バインダと帯電防止剤を含む帯電防止液を塗布または噴霧して帯電防止層を形成したことを特徴とする偏光板用帯電防止保護フィルム。
・・・・・・・
(3)帯電防止剤がカチオン界面活性剤である請求項(1)の偏光板用帯電防止保護フィルム。」が記載される。
(2)6頁2行〜5行には、「これに対し、本考案の帯電防止層3付きの保護フィルム2を用いたものの表面抵抗は2.2〜8.4×108(Ω/□)に低下し、経時的に帯電防止効果を持続することが確認された。」と記載される。
引用例2及び3;
イオン性重合体よりなる帯電防止剤について記載されている。

3.対比
本願発明と引用例1に記載された発明とを対比する。
引用例1の「偏光板用帯電防止保護フィルム」は、本願発明の「偏光板用保護フィルム」に相当する。
本願発明の「イオン性重合体」と引用例1の「カチオン界面活性剤」とは、「有機のイオン性帯電防止剤」である点で概念的に一致する。
引用例1の「表面抵抗2.2〜8.4×108(Ω/□)」は、本願発明との対比において「表面比抵抗2.2〜8.4×108Ω/cm2」に相当する。
よって、「偏光板用保護フィルムの少なくとも片面に有機のイオン性帯電防止剤を主成分とする導電性を有する層を少なくとも1層有する偏光板用保護フィルム。」である点で両者は一致し、次の相違点(1)、(2)が存在する。
(1)保護フィルムの表面比抵抗が、本願発明は1011Ω/cm2(25℃、20%RH)以下であるのに対して、引用例1は2.2〜8.4×108Ω/cm2 であり、且つ表面抵抗の測定環境条件についての記載がない点、
(2)有機のイオン性帯電防止剤が、本願発明はイオン性重合体であるのに対して、引用例1はカチオン界面活性剤である点。

4.当審の判断
上記相違点(1)、(2)について検討する。
(1)について
引用例1には表面抵抗の測定環境条件についての記載はないが、当然通常の室内温度及び相対湿度の下で測定しているものと認められるから、本願発明の「(25℃、20%RH)」の下で測定した場合と抵抗値に大差が有るとは認められない。そして、引用例1の「表面比抵抗2.2〜8.4×108Ω/cm2」は、本願発明の「表面比抵抗1011Ω/cm2以下」に包含されることは明らかである。したがって、表面比抵抗2.2〜8.4×108Ω/cm2の範囲において本願発明と引用例1の発明とで相違点(1)に実質的な差異はない。
(2)について
引用例2及び3に記載されるように、イオン性重合体よりなる帯電防止剤は普通に知られている。そして、引用例1に記載の発明において、有機のイオン性帯電防止剤としてカチオン界面活性剤をイオン性重合体に換えて用いることに格別の阻害要因はなく、そのようにすることは、当業者にとって容易なことであり、またイオン性重合体を用いた場合に引用例1の表面比抵抗の範囲内となし得ない事情もない。

また、引用例1に記載の発明と引用例2及び3に記載の発明とを組み合わせた発明に相当する本願発明の効果も、予期し得る範囲を逸脱するものではない。

5.むすび
以上のとおり、上記相違点(1)、(2)の構成を有する本願発明は、引用例1に記載の発明と引用例2及び3に記載の発明とを組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-11-28 
結審通知日 2003-12-09 
審決日 2003-12-25 
出願番号 特願平4-274516
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森内 正明  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 谷山 稔男
秋月 美紀子
発明の名称 偏光板用保護フィルム  

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