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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C03B |
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管理番号 | 1092797 |
審判番号 | 不服2002-21389 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-07-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-11-05 |
確定日 | 2004-03-04 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第359012号「光ファイバ母材の製造方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 7月12日出願公開、特開平 6-191871]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成4年12月25日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成14年12月3日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項によって特定されるとおりのものと認める。 「複数のガラス微粒子発生手段を用いてターゲット棒下端に、中心のコア部となるガラス微粒子堆積層と、その周囲の少なくとも第1層目のクラッド部となるガラス微粒子堆積層とを順次形成していく光ファイバ母材の製造方法において、第1層目クラッド部ガラス微粒子堆積層の外径がコア部ガラス微粒子堆積層の外径の4倍以内となるように、かつ第2層目クラッド部ガラス微粒子堆積層の外径が第1層目クラッド部ガラス微粒子堆積層の外径の4倍以内となるように、それらの各堆積層の厚さを制御することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。」 2.引用刊行物記載の発明 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物には以下の事項が記載されている。 (a)引用刊行物1(特開平1-138147号公報) 「本発明は、スート形成中の割れ・・・のない大型スート母材を作製するために・・・下段、上段のクラッドバーナ2,3により形成される多孔質のスート母材の外径D1,D2の比を、D2/D1<2.0 に設定する。」(第2頁左下欄第6行〜右下欄第3行) 「第1図に示すように、細径スート母材合成用のコアバーナ2,3によりクラッドスート5,6を合成する。・・・コアスート4の外径は14mm、第1のクラッドスート5の外径D1は120mm、第2のクラッドスートの外径D2は200mmであった。」(第3頁左下欄第7〜18行) 「本発明によると、・・・スート形成時の割れ、屈折率分布の不整、・・・を解消でき、長尺かつ太径の単一光ファイバスート母材を歩留り良く形成可能である。」(第3頁右下欄第13〜20行) (b)引用刊行物2(特開昭63-242940号公報) 「本発明者らが検討した結果によれば、100mmφ以下の多孔質母材ではこのような問題はあまり生じないが、その直径が概ね100mmφを超えた場合には、クラックが生じ易くなることが判明している。しかるに・・・コア多孔質体の細径化のために、一旦クラッド/コア比が4〜6倍程度の多孔質母材を製造し、透明ガラス化後、該透明母材の外周に多孔層を形成・・・してクラッド層の不足分を補いクラッド/コア比が10倍以上の母材を得ていた。」(第2頁左上欄第4〜17行) 3.当審の判断 上記引用刊行物1の記載を本願発明に沿って整理すると、「複数のガラス微粒子発生手段を用いてターゲット棒下端に、中心のコア部となるガラス微粒子堆積層と、その周囲の少なくとも第1層目のクラッド部となるガラス微粒子堆積層とを順次形成していく光ファイバ母材の製造方法において、第2層目クラッド部ガラス微粒子堆積層の外径が第1層目クラッド部ガラス微粒子堆積層の外径の2倍未満となるように、各堆積層の厚さを制御する光ファイバ母材の製造方法。」(以下、「引用刊行物1の発明」という)が記載されていると云える。 そこで、本願発明と引用刊行物1の発明とを対比すると、両者は上記の構成で一致し、コア部ガラス微粒子堆積層の外径に対する第1層目クラッド部ガラス微粒子堆積層の外径が、本件発明では4倍以内であるのに対し、引用刊行物1では約8.6倍(=120mm/14mm)である点で相違する。 以下、上記相違点に付き検討する。 引用刊行物2の記載によれば、ガラス微粒子堆積層の割れは、直径が100mmを超えると生じやすく、クラッド/コア比が大きいほど生じやすいといえる。 してみれば、引用刊行物1記載の発明において、第1クラッドの外径とコアの外径の比を、堆積させるクラッド層の外径に応じ、割れが生じない範囲に選択することは、当業者がその実施に当たり適宜決定しうる程度のことであり、引用刊行物1記載の発明もスート形成時の割れ防止を目的とし、上記のコア/クラッド比でも割れのないスートを形成していることを考えれば、第1層目クラッド部ガラス微粒子堆積層の外径をコア部ガラス微粒子堆積層の外径の4倍以下とすることによる効果も格別なものとは云えない。 したがって、本願発明は、引用刊行物1及び2の記載に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-12-25 |
結審通知日 | 2004-01-06 |
審決日 | 2004-01-20 |
出願番号 | 特願平4-359012 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(C03B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 審査長、山崎 直也、深草 祐一 |
特許庁審判長 |
石井 良夫 |
特許庁審判官 |
米田 健志 岡田 和加子 |
発明の名称 | 光ファイバ母材の製造方法 |
代理人 | 佐藤 祐介 |