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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1092825 |
審判番号 | 不服2002-1781 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-11-02 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-02-06 |
確定日 | 2004-03-03 |
事件の表示 | 特願2000-117583「コミュニティ・システム」拒絶査定に対する審判事件[平成13年11月 2日出願公開、特開2001-306452]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年4月19日の特許出願されたものであって、平成14年1月7日付で拒絶査定がなされ、これに対して、平成14年2月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成14年3月6日付で手続補正がなされたものである。 2.平成14年3月6日付の手続補正について 平成14年3月6日付の手続補正(以下「本件補正」という。)について、以下のとおり決定する。 [結論] 平成14年3月6日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、少なくとも特許請求の範囲の請求項2について、以下のとおり補正するものである。 「【請求項2】 コミュニティに属するそれぞれの家庭に設けられた端末装置から専用回線を介してアクセス可能であり、インターネットに接続され、管理者によって管理されている管理用サーバであって、 情報をジャンルごとに登録できるように構成されており、 外部機関からのインターネットを介したアクセスを受けて、当該外部機関が承認された機関であるか否かをコミュニティが定める条件に基づいて判断し、承認された機関であれば、外部機関からの当該情報へのリンク情報を、予め定めたジャンルに登録し、 各家庭の端末装置に対し、ジャンルごとに登録された情報の中から要求された当該情報へのリンク情報を選択して、端末装置に送信するよう構成された管理用サーバ。」 本件補正についてその内容をみると、この補正は、請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「承認された機関であるか否かを判断」する際に「コミュニティが定める条件に基づいて判断」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第4項の規定に適合するか否か)について、以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成12年2月18日に頒布された「特開2000-49777号公報」(以下、「引用刊行物1」という。)には、その実施例及び図面の記載を参酌すると、以下のとおりの技術的事項が記載されている。 (2-1)「図1は本発明の一実施形態に係る電子掲示板システムが町おこし(地域活性化)用に実現された場合の一構成例を示す模式図である。この電子掲示板システムは、GISサーバ10、町民用端末20、一次受付サーバ30、複数の審査用端末40及び掲示板用サーバ50が互いにCATVインターネット網60を介して接続されている。また、複数の町外個人用端末70が町外一般インターネット網80を介して一次受付サーバ30及び掲示板用サーバ50に接続されている。さらに、役場内端末90がGISサーバ10及び掲示板用サーバ50に接続されている。」(第3頁右欄第31〜41行) (2-2)「【0021】 但し、町民個人用端末21,22、マルチメディア工房用端末23〜25、小中学校用端末26及び任意の複数台の町外個人用端末71〜72は、ホームページの送信に関してホームページポスト21p〜26p,71p〜72pを用いるという同一構成を有するので、本実施形態では町民個人用端末21を代表例として動作等を述べる。」(第4頁左欄第18〜24行) (2-3)図1には一時受付サーバ30に町民個人インターネット端末20よりCATVインターネット網60を介してコンテンツ投函を行う矢印が記載されていると共に、町外個人インターネット端末70より町外一般インタネット網80を介してコンテンツ投函・収集を行う矢印が記載されている。 (2-4)「【0025】各審査用端末41〜44は、前述同様に任意の複数台あり、一台毎に各審査員の個人宅に配置され、一次受付サーバ30内の各ホームページの内容を分類審査するためのものであり、分類審査機能と、分類審査の支援機能と、審査や掲載のための課金機能とをもっている。 【0026】ここで、分類審査機能としては、操作者(審査員)の操作により、一次受付サーバ30の各ホームページを読出す機能と、読出したホームページの分類結果を示す任意個数の分類結果情報(ラベル)を一次受付サーバ30に返送する機能とをもっている。 【0027】ホームページの分類としては、例えば、集会の案内、活動報告、商店の案内広告、個人の趣味や意見の披露、祭などのイベント風景、小中学校のホームページ展覧会などがあり、他にも様々な項目に分類可能となっている。」(第4頁右欄第6〜21行) (2-5)「【0030】掲示板用サーバ50は、町役場や町民に限らずに全国の人々に利用可能とする観点から、町役場用掲示板サーバ51、町民用掲示板サーバ52、町外一般用掲示板サーバ53及び差し戻しサーバ54が設けられており、夫々登録されたホームページをネットワーク(CATVインターネット網60、町外一般インターネット網80)を介して外部の端末から読出可能とする掲示機能と、ホームページが送信された日付から所定期間後にそのホームページを削除する削除機能とをもっている。」(第4頁右欄第35〜44行) (2-6)「【0032】町民用掲示板サーバ52、町外一般用掲示板サーバ53及び差し戻しサーバ54は、夫々審査済みのホームページが分類結果に応じて一次受付サーバ30から登録されるものである。 【0033】具体的には、町民用掲示板サーバ52は、GISサーバ10内の基本地図情報を背景とし、ポインティング情報で掲載場所を指定したホームページが分類結果に応じて一次受付サーバ30から登録されるものである。 【0034】町外一般用掲示板サーバ53は、一次受付サーバ30の指定した登録場所(受付順等)に分類結果に応じて登録されるものであり、町の出身者で町外に在住する人々や姉妹都市、交流都市などと情報交換したり、町に無関係の人々でも情報発信が可能となっている。」(第5頁左欄第2〜16行) (2-7)「【0037】なお、このような電子掲示板システムは、具体的には図2に示すようなハードウェア構成として実現可能となっている。すなわち、説明の便宜上、GISサーバ10、一次受付サーバ30及び掲示板用サーバ51〜54を別々に述べたが、これらの各サーバ10,30,51〜54は、役場内LAN91に接続された1台のメインサーバ92として実現される。」(第5頁左欄第29〜35行) (2-8)「【0040】一次受付サーバ30では、町民個人用端末21から受けたコンテンツ及び付加情報が受付順に登録される(ST3)。各審査用端末41〜44は、審査員の操作により、一次受付サーバ30内の各コンテンツを読出すと共に(ST4)、適宜、不適合単語のチェック等の分類審査の支援機能が実行される。読出されたコンテンツは、審査員によって分類される。」(第5頁第1〜7行) (2-9)「【0055】 これにより、任意のインターネット端末からホームページを自由に読出すことができる。また、町役場用掲示板サーバ51は、ホームページが登録された日付から所定期間後にそのホームページを削除する。なお、役場内端末90により作成されたホームページは、公序良俗に反しないとし、分類審査を行わない。」(第6頁第6〜11行) この記載事項及び図1,2によると、引用刊行物1には、 「町民個人用端末20〜22、審査用端末41〜44がCATVインターネット網60を介して接続されており、複数の町外個人用端末70〜72が町外一般インターネット網80を介して接続されているGISサーバ10、一次受付サーバ30及び掲示板用サーバ51〜54として動作するメインサーバ92であって、 ホームページを町民用掲示板サーバ52、町外一般用掲示板サーバ53及び差し戻しサーバ54に登録できるようにされており、 町外個人用端末70〜72より町外一般インターネット網80を介して受け付けたホームページを審査員が適宜、不適合単語のチェック等の分類審査を行ない、定められた掲示板用サーバに該ホームページを登録し、 端末からネットワークを介して夫々のサーバに登録されたホームページを読出可能とする掲示板用サーバ50を含むメインサーバ」の発明(以下、「引用刊行物1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 また、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成9年9月16日に頒布された山名早人著「WWW情報検索の現状(コンピュータソフトウェア VOL.14 NO.5)」日本ソフトウェア科学会発行、第14巻、第5号、P.67-74(以下、「引用刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。 (2-10)「イエローページ系情報検索サービスは、Yahoo!に代表される索引型の検索サービスである。WWWのアドレスを示すURLを、芸術、ビジネス、教育、...のように分野別に整理して並べてあるので、NTTの職業別電話帳のような使い方ができ、分野を決めてから探すときに便利である。データの入力は、基本的に人手で行うため、有名なページやユーザが登録したページ以外を探すことができないといった欠点を持つ。」(第70頁第24〜32行) (3)対比 (対比) 本願補正発明と引用刊行物1記載の発明を対比すると、引用刊行物1における「CATVインターネット網60」はCATVであるから各家庭に個別にひかれており、「CATVインターネット網60」と区別して「町外一般インターネット網80」を定義していることからも、「CATVインターネット網60」は専用回線であることは明らかであるから、引用刊行物1に記載された「町」「町民個人用端末」「CATVインターネット網」「メインサーバ」「町外個人インターネット端末」「町外一般インターネット網80」はそれぞれ本願補正発明の「コミュニティ」「それぞれの家庭に設けられた端末装置」「専用回線」「管理用サーバ」「外部機関」「インターネット」に相当するものと認められる。また、引用刊行物1においても、メインサーバは審査員などからなる管理者により登録の可否を含めて管理されること、及び、登録審査されるホームページは種々の項目で分類されていることから、ジャンル毎に登録されることは明らかである。 したがって、両者は、以下のとおりの一致点及び相違点を有するものと認められる。 (一致点) 「コミュニティに属するそれぞれの家庭に設けられた端末装置から専用回線を介してアクセス可能であり、インターネットに接続され、管理者によって管理されている管理用サーバであって、 情報をジャンルごとに登録できるように構成されており、 外部機関からのインターネットを介したアクセスを受けて、コミュニティが定める条件に基づいて判断し、外部機関からの当該情報を、予め定めたジャンルに登録し、 各家庭の端末装置に対し、ジャンルごとに登録された情報の中から要求された当該情報を選択して、送信するよう構成された管理用サーバ。」 (相違点) (3-1)外部機関からの当該情報の登録について、本願補正発明においては、外部機関が承認された機関であるかをコミュニティが定める条件に基づいて判断しているのに対して、引用刊行物1記載の発明においては、ホームページの内容で判断している点。 (3-2)本願補正発明においては、外部機関からの情報へのリンク情報をジャンルごとに登録しているのに対して、引用刊行物1記載の発明においては、外部機関からのホームページの情報そのものをジャンルごとに登録している点。 (3-3)本願補正発明においては、要求された情報へのリンク情報を選択して端末装置に送信するのに対して、引用刊行物1記載の発明においては、登録されたホームページの内容を端末装置に送信する点。 (4)検討 上記相違点(3-1)〜(3-3)について検討する。 相違点(3-1)について 本願補正発明において、「承認された機関であるか否か」を判断することの技術的意義は本願明細書の記載から明確ではないものの、本願明細書の段落【0040】には、「コミュニティが定める条件(ピックアップ可能か、配達可能か、インターネットでの注文は可能かなど)に基づいて、登録の可否を判断する。」と記載されていることからみて、システム構成上及びシステム処理機能上の相違に係わりなく、単なる判断結果を登録することと推認される。しかしながら、サービス提供元となる外部機関が承認された機関であるか否かを判断すること、例えばサービスが受けられる機関であるか、あるいは信用できる機関であるか等を判断することは、サービスを提供する種々の産業分野における利用者の常識であって、インターネットを利用するサービスの提供においても必然的な事項に過ぎない。 そして、引用刊行物1には「役場内端末90により作成されたホームページは、公序良俗に反しないとし、分類審査を行わない。」(第6頁第10,11行)と記載されており、これは役場内端末により作成されたホームページは、公序良俗に反しない「承認された機関」であると判断しているのであるから、登録の可否の判断結果によることを示唆するものであり、相違点(3-1)のように構成することは当業者が容易になし得ることと認められる。 相違点(3-2)について 引用刊行物1記載の発明にはホームページの内容について詳細な説明がなく、その具体的内容まで開示するものではないが、その内容として「集会の案内」など種々のものが例示されて情報が登録されている。そして、外部機関からの情報へのリンク情報をジャンル毎に登録することは、引用刊行物2に記載されているように周知技術であり、また、掲示板システムに情報へのリンク情報を登録することも周知技術(例えば「特開平10-171723号公報」を参照。)である。したがって、掲示板に外部機関より情報を登録する際に、情報そのものを登録する代わりに、リンク情報を登録するように構成することは、当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。 また、これにより奏する作用効果も、当業者が予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。 相違点(3-3)について 上記「相違点(3-2)について」で述べたように、掲示板に外部機関より情報を登録する際に、情報そのものを登録する代わりに、リンク情報を登録する構成とすると、登録されたホームページの内容を端末装置に送信される代わりに、要求された情報へのリンク情報を選択して端末装置に送信する動作となることは明らかである。 したがって、本願補正発明は、引用刊行物1及び2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法126条第4項の規定に違反するものであり、特許法159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成14年3月6日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係わる発明(以下「本願発明」という。)は、平成13年7月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項2】 コミュニティに属するそれぞれの家庭に設けられた端末装置から専用回線を介してアクセス可能であり、インターネットに接続され、管理者によって管理されている管理用サーバであって、 情報をジャンルごとに登録できるように構成されており、 外部機関からのインターネットを介したアクセスを受けて、当該外部機関が承認された機関であるか否かを判断し、承認された機関であれば、外部機関からの当該情報へのリンク情報を、予め定めたジャンルに登録し、 各家庭の端末装置に対し、ジャンルごとに登録された情報の中から要求された当該情報へのリンク情報を選択して、端末装置に送信するよう構成された管理用サーバ。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物1,2、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記「2.(1)」で検討した本願補正発明から、「承認された機関であるか否かを判断」する際の限定事項である「コミュニティが定める条件に基づいて」との構成を省くものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用刊行物1及び2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用刊行物1及び2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1及び2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-12-26 |
結審通知日 | 2004-01-05 |
審決日 | 2004-01-19 |
出願番号 | 特願2000-117583(P2000-117583) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 竜也、竹井 文雄、後藤 和茂、小林 義晴 |
特許庁審判長 |
吉村 宅衛 |
特許庁審判官 |
治田 義孝 内田 正和 |
発明の名称 | コミュニティ・システム |
代理人 | 古谷 栄男 |
代理人 | 松下 正 |
代理人 | 眞島 宏明 |