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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60R
管理番号 1092920
審判番号 不服2001-15260  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-01-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-08-30 
確定日 2004-03-11 
事件の表示 平成4年特許願第167950号「容器係止具の取付装置」拒絶査定に対する審判事件[平成6年1月18日出願公開、特開平6-8775]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年6月25日の出願であって、平成13年9月26日付けの補正は、特許法第53条第1項の規定により決定をもって却下され、その処分が確定したから、本願の請求項1、2に係る発明は、平成12年7月19日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのもの(以下請求項1に係る発明を、「本願発明」という。)と認める。
「【請求項1】 表蓋板と該表蓋板の裏側に振動溶着により固定される裏蓋板とからなる蓋部の端部に、前記表裏両蓋板間に保持されかつ前記蓋部を身部に係止させる係止具を取付けてなる容器の係止具の取付装置において、前記裏蓋板における前記表蓋板との振動溶着部位でない所定位置に、前記係止具を仮保持せしめるための係止構造を設けたことを特徴とする容器係止具の取付装置。」

2.引用刊行物およびその記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実願昭61-28762号(実開昭62-141865号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には「コンソールボックス蓋の係止装置」に関して、第1〜4図とともに以下の記載がある。
A)「1はコンソールボックスの本体で、この本体1上に蓋体2が開閉自在に枢着されている。この蓋体2は、表蓋体3と裏蓋体4とからなっている。表蓋体3は、合成樹脂発泡体の外装材5と、この外装材5にインサート成形されたインサート板6とからなり、裏蓋体4は、インサート板6の適当個所から出したボスにビス止めされて表蓋体3と一体的に結合されている。また、表蓋体3の開閉端中央部に切欠部7が形成され、この切欠部7に臨ませて裏蓋体4に凹所8が形成されている。
そして、この裏蓋体4の凹所8に合成樹脂製の係止体9が挿入配設されている。この係止体9には、外端に前記表蓋体3の切欠部7から外部に突出された操作部10が延出されているとともに、ほぼ中央部の下面に前記裏蓋体4の通孔11を貫通して本体1の係合孔12に係合する鈎部13を有する係止片14が一体に突出形成され、また、内端に両端を係止体9の両側に突出させてインサート板6から突出させた軸受片15によって裏蓋体4上に当接されている回動軸16が一体に形成され、さらにこの回動軸16部を基端として上方に向って傾斜させた弾性片17が一体に形成されている。」(第4頁10行〜第5頁11行)
B)「回動軸16の両端部には円錐状突起18が一体に突設形成され、この円錐状突起18が前記裏蓋体4の内側に立設された一対の規制リブ19に当接され、これによって回動軸16はその両端を圧接保持されている。」(第5頁11〜16行)
C)「組立に際しては、係止体9を表蓋体3と裏蓋体4との間に挿入して回動軸16の両端における円錐状突起18を一対の規制リブ19に当接し、回動軸16を軸受片15で押さえるようにして裏蓋体4を表蓋体3にビス止めすることにより、弾性片17も同時に組込まれて組立操作は完了する。」(第5頁17行〜第6頁2行)
D)「本考案によれば、係止体を回動軸を支点として回動し、係止片の鈎部を本体に係脱するもので、回動軸の両端における円錐状突起を一対のリブによって圧接保持して係止体の左右方向の位置決めを行なうことにより、係止体の左右方向の確実な位置決めができ、係止体のがた、ぶれ等を確実に防止することができる。」(第6頁17行〜第7頁3行)

上記A)〜D)の記載と併せて第1〜4図を参酌すれば、上記引用例のコンソールボックス蓋の係止装置は、表蓋体3と該表蓋体3の裏側にビス止めにより固定される裏蓋体4とからなる蓋体2の開閉端に、前記表裏両蓋体3,4間に保持されかつ前記蓋体2を本体1に係止させる係止体9を取付けてなるものであって、係止体9に一体に形成された回動軸16の両端部に、円錐状突起18が突設形成されるとともに、係止体9の取付装置である裏蓋体4の内側に一対の規制リブ19(該規制リブ19が、ビス止め部位以外の所定位置に設けられることは当然である。)が立設され、円錐状突起18が規制リブ19に当接されることによって、回動軸16がその両端を規制リブ19に圧接保持されるものと認める。そして、係止体9は、ビス止め前に回動軸16の両端が規制リブ19に圧接保持されることによって、裏蓋体4の凹所8内に仮保持されるものと認める(係止体9は軸受片15によっても押さえられているが、それは、本願の係止具20が受台6によっても押さえられているのと同じである。)。
したがって、上記引用例には、
「表蓋体3と該表蓋体3の裏側にビス止めにより固定される裏蓋体4とからなる蓋体2の端部に、前記表裏両蓋体3,4間に保持されかつ前記蓋体2を本体1に係止させる係止体9を取付けてなるコンソールボックスの係止体9の取付装置において、前記裏蓋体4における前記表蓋体3とのビス止め部位でない所定位置に、前記係止体9を仮保持せしめるための規制リブ19を設けたコンソールボックス係止体9の取付装置。」の発明(以下、「引用例の発明」という。)が記載されているものと認める。

3.本願発明と引用例の発明との対比
本願発明と引用例の発明とを対比すれば、引用例の発明の「表蓋体3」、「裏蓋体4」、「蓋体2」、「本体1」、「係止体9」、「コンソールボックス」、「規制リブ19」は、それぞれ本願発明の「表蓋板」、「裏蓋板」、「蓋部」、「身部」、「係止具」、「容器」、「係止構造」に相当しており、さらに、引用例の発明における「ビス止め部位」は、「固定部位」である限りにおいて、本願発明の「振動溶着部位」に対応している。
したがって、本願発明と引用例の発明は、
「表蓋板と該表蓋板の裏側に固定される裏蓋板とからなる蓋部の端部に、前記表裏両蓋板間に保持されかつ前記蓋部を身部に係止させる係止具を取付けてなる容器の係止具の取付装置において、前記裏蓋板における前記表蓋板との固定部位でない所定位置に、前記係止具を仮保持せしめるための係止構造を設けたことを特徴とする容器係止具の取付装置。」
である点で一致し、以下の相違点で相違しているものと認める。
<相違点>
本願発明では、表蓋板と裏蓋板とが振動溶着によって固定されるのに対し、引用例の発明では、表蓋体3と裏蓋体4とがビス止めによって固定されるようになっている点。

4.相違点の検討
自動車の合成樹脂部品同志を固定するのに、振動溶着を採用することは周知技術(例えば、実願昭63-68926号(実開平1-172918号)のマイクロフィルム参照。)である。しかも、引用例の発明では、表蓋体3と裏蓋体4との固定時に係止体9が裏蓋体4に仮保持されているのであるから、振動溶接を採用した場合にも、固定部が振動の影響を受けにくいことは明白である。してみれば、引用例の発明で、表蓋体3と裏蓋体4とを固定するのに振動溶着を採用することは、引用例の発明に上記周知技術を適用することにより当業者が容易に行い得たものである。
また、本願発明が奏する作用効果は、上記引用例の発明と上記周知技術に示唆された事項から予測される程度以上のものではない。

5.むすび
以上詳述したとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例記載の発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、このような進歩性を有しない発明を包含する本願は、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-01-08 
結審通知日 2004-01-13 
審決日 2004-01-30 
出願番号 特願平4-167950
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大山 健  
特許庁審判長 八日市谷 正朗
特許庁審判官 ぬで島 慎二
出口 昌哉
発明の名称 容器係止具の取付装置  
代理人 小花 弘路  
代理人 岸田 正行  
代理人 水本 敦也  

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