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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1092978
審判番号 不服2002-22262  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-19 
確定日 2004-03-19 
事件の表示 特願2000-314829「メッセージ管理装置および方法」拒絶査定に対する審判事件[平成14年 4月26日出願公開、特開2002-123611]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成12年10月16日の出願であって、平成14年10月17日付で拒絶査定がなされ、これに対し、特許法第17条の2第1項第3号に規定する期間内である平成14年11月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年11月19日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)について

[補正却下の決定の結論]
平成14年11月19日付の手続補正を却下する。

[理由]
本件補正により、特許請求の範囲請求項1は以下のとおりに補正された。

「【請求項1】 ユーザ装置により入力された、メッセージを表す、1または複数の記号からなるメッセージ識別子を、ネットワークを介して受信する手段と、
上記メッセージ識別子の受信に応答して、上記メッセージ識別子に対応するメッセージを出力する手段と、
出力した上記メッセージをネットワークを介してユーザ装置に供給する手段と
を有することを特徴とするメッセージ管理装置。」

上記補正は、出願当初の明細書に記載した事項の範囲内でなされたものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合し、同法同条第4項第二号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用例

原査定の拒絶の理由に引用された「訪問介護にiモード*ヘルパーのサービス管理*ジャパンケア」,北海道新聞朝刊全道,北海道新聞社,2000年4月11日,13頁(以下、引用例という。)には、訪問介護を行っているヘルパーの訪問時間や介護サービスの内容などの記録を一括管理するシステムについて、次の事項が記載されている。

(a)「介護保険制度による訪問介護を行っているヘルパーに、NTTドコモグループのインターネット接続サービス「iモード」対応の携帯電話を持たせ、訪問時間や介護サービスの内容などの記録を本社で一括管理するシステムを導入した。」
(b)「携帯電話を持つのは、同社が道内、東北、関東の約百二十カ所に置いているヘルパーステーションから出勤するヘルパー。訪問先に到着した際、数字化された利用者の氏名のほか、「三十分間の身体介護」なら「111111」というように全国統一のコード番号でサービス項目など入力する。
(c)「ヘルパーの携帯電話からインターネット経由で送られた情報は、本社のサーバーと呼ばれるコンピュータに毎日蓄積される。これによって、毎月の介護報酬の請求やスタッフの賃金計算などを電子処理できるため「サービス内容や売り上げを即時に把握できる。」という。」

上記記載事項(b)からみて、ヘルパーが携帯電話に入力する情報は、介護サービス内容を表す、1または複数の数字からなるコード番号であることは明らかである。
また、上記記載事項(a),(c)によれば、ヘルパーの携帯電話から、ネットワークの一種であるインターネットを介して送られた介護サービス内容の情報は、本社のサーバーに蓄積されることから、本社のサーバーは、携帯電話により入力された、介護サービス内容を表す、複数の数字からなるコード番号を、ネットワークを介して受信する手段を備えていることは明らかである。
さらに、上記記載事項(c)によれば、ヘルパーの携帯電話から送られたコード番号で表された情報が本社のサーバーに蓄積されることにより、サービス内容や売り上げを即時に把握できることから、ヘルパーの管理者等が介護サービス内容を即時に把握できるようにするために、サーバーは、コード番号を蓄積すると、対応する介護サービス内容を目視等により把握可能とする手段を実質的に有していることも明らかである。

したがって、上記(a)〜(c)の記載から、引用例には、

「携帯電話により入力された、介護サービス内容を表す、1または複数の数字からなるコード番号を、ネットワークを介して受信する手段と、
上記コード番号の受信に基づいて、対応する介護サービス内容を把握可能とする手段と
を有することを特徴とするサーバー。」(以下、「引用例に記載された発明」という。)

が記載されていると認められる。

(2)対比

本願補正発明(以下、「前者」という。)と引用例に記載された発明(以下、「後者」という。)を対比する。

後者の「携帯電話」は、利用者であるヘルパーが送信すべき情報を入力することに用いているから、前者の「ユーザ装置」に相当し、また、後者の「介護サービス内容」は携帯電話から入力されて本社に送信する一種のメッセージであり、「コード番号」は記号の一種である数字からなり、「介護サービス内容」を表す識別子として利用されることから、後者の「介護サービス内容」、「コード番号」は、前者の「メッセージ」、「メッセージ識別子」に相当する。
そして、前者のメッセージ管理装置において、メッセージ識別子を受信すると、対応するメッセージに変換して、ユーザが把握可能となるようにメッセージをユーザ装置に供給することから、前者と後者とは、メッセージ識別子の受信に基づいて、対応するメッセージを把握可能とする点で一致すると認められる。

よって、両者は
「ユーザ装置により入力された、メッセージを表す、1または複数の記号からなるメッセージ識別子を、ネットワークを介して受信する手段を有し、
上記メッセージ識別子の受信に基づいて、対応するメッセージを把握可能とすることを特徴とするメッセージ管理装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
前者は、メッセージ識別子の受信に応答して、該メッセージ識別子に対応するメッセージを出力する手段と、出力した該メッセージをネットワークを介してユーザ装置に供給する手段を有して、受信したメッセージ識別子に対応するメッセージを把握可能としているのに対して、後者は、コード番号の受信に基づいて、対応する介護サービス内容を把握可能とする手段を有するものの、その手段が機能を実現するための詳細な構成については特に記載がない点。

(3)当審の判断

上記相違点について検討する。

前者では、メッセージ管理装置が、受信したメッセージ識別子に対応するメッセージを出力する手段を有しているが、例えばPOSシステムのように、1または複数のユーザ装置がネットワークを介してホスト装置に接続されたシステムにおいて、ホスト装置がユーザ装置から入力された特定情報を表す識別子の受信に応答して、内部の変換テーブルを用いて該識別子に対応する特定情報の内容を変換出力し、変換出力した該特定情報の内容をネットワークを介してユーザ装置に供給して把握可能とすることは周知の技術手段である(必要とあれば、特開昭61-156470号公報、特開平10-208150号公報を参照のこと)。そして、この周知の技術手段を後者のコード番号の受信に基づいて、対応する介護サービス内容を把握可能とする手段として採用し、前者のようにすることは当業者が容易になし得たものであるから、上記相違点を格別のものとは認めることはできない。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例に記載された発明及び周知の技術手段から当業者が予測できる範囲内のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明および周知の技術手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4)補正の可否について

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について

平成14年11月19日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年7月15日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「ユーザ装置により入力された、メッセージを表す、1または複数の記号からなるメッセージ識別子を、ネットワークを介して受信する手段と、
受信したメッセージ識別子に基づいてメッセージを出力する手段と、
出力した上記メッセージをネットワークを介してユーザ装置に供給する手段と
を有することを特徴とするメッセージ管理装置。」

(1)引用例に記載された事項及び発明

原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記 2.に記載したとおりである。

(2)対比・判断

本願発明は、前記3.で検討した本願補正発明の「メッセージを出力する手段」の限定事項を「受信したメッセージ識別子に基づいて」としたものである。

そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記3.に記載したとおり、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび

以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明および周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-05-16 
結審通知日 2003-05-19 
審決日 2003-06-02 
出願番号 特願2000-314829(P2000-314829)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小山 和俊  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 辻本 泰隆
岡 千代子
発明の名称 メッセージ管理装置および方法  
代理人 澤田 俊夫  

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