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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A01F
管理番号 1092982
審判番号 不服2001-362  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-04-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-11 
確定日 2004-03-08 
事件の表示 平成3年特許願第276785号「脱穀装置」拒絶査定に対する審判事件[平成5年4月6日出願公開、特開平5-84015]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成3年9月27日の出願であって、その発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年2月13日付けの手続補正書により全文補正された明細書及び平成3年12月19日付け手続補正書により全図補正された図面の記載からみてその特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「室内に左右方向の横軸により軸止された扱胴5を有し前側には左右一側の供給側2から左右他側の排出側3に向けて穀稈を挟持搬送する穀稈供給装置46とを設けた脱穀室4と、該脱穀室4の排出側3の外側に設けた排藁搬送装置62を有する排藁搬送室96と、前記脱穀室4および前記排藁搬送室96の上部を一体的に覆うとともに前記排藁搬送装置62を取付けた上部カバー45と、前記上部カバー45の後側を中心に前側を前記排藁搬送装置62と共に一体的に上下させて前記上部カバー45を開閉する上部カバー取付手段と、前記上部カバー45を複数箇所で閉鎖位置に固定するロック手段76と、該複数箇所に設けたロック手段76を一操作で連動して解除する前記上部カバー45側に設けた手動解除手段77とよりなる脱穀装置の上部カバーのロック装置。」
なお、本願については、平成14年8月12日付けの手続補正書が提出されたが、この手続補正書による手続補正は平成15年6月5日付けの補正の却下の決定により却下された。

2.引用文献記載の発明
(1)当審において通知した拒絶の理由に引用した、実願平1-117524号(実開平3-56331号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載が認められる。
(1-a)「脱穀装置(1)は、フィードチェーン(2)と挾持レール(3)とによって穀稈の株元側を挾持しながら、扱室(4)内において駆動回転する扱胴(5)によって穂先部を扱処理して、」(4頁14〜18行)、
(1-b)「扱処理の終了した排ワラは、フィードチェーン(2)終端部から扱室(4)の穀稈搬送方向下手側に配設したアッパーチェーン型の排ワラ挾持搬送装置(10)によって排ワラカッタ(11)の上方まで搬送して供給するよう構成してある。」(5頁6〜11行)、
(1-c)「第1図に示すように、扱胴(5)を支架した脱穀装置(1)の上部ケース(18)を、扱口(19)とは反対側の位置であって、かつ、扱胴軸芯と略平行な軸芯(P)周りで開閉揺動自在に下部ケース(20)に枢支してある。前記上部ケース(18)の揺動端側にフィードチェーン(2)に対向する挾持レール(3)を取付けるとともに、上部ケース(18)を排ワラ挾持搬送装置(10)上方まで延出し、この上部ケース(18)の後方延出部に排ワラ挾持搬送装置(10)の搬送チェーン(21)を支持して上部ケース(18)と共に持ち上げ開放可能に構成してある。詳述すると、上部ケース(18)は脱穀装置(1)の上面全域を覆うとともに、カッタケース(22)の上部を一部切欠いて排ワラカッタ(11)の上方に一部重合する状態に延出し、排ワラ搬送チェーン(21)の上方全域を覆うよう構成し、その全域が一体に上方揺動するようにしてある。」(6頁1〜18行)、
(1-d)「そして、排ワラ挾持搬送装置(10)を支持する支持フレーム(23)を前記軸芯(P)周りで上部ケース(18)と一体的に揺動するよう下部ケース(20)側支柱フレーム(24)の上端に枢支連結するとともに、排ワラ搬送経路の上方を迂回するよう横方向に延設し、ベベルギアケース(25)及び排ワラ搬送チェーン(21)の途中部位に連結してある。又、排ワラ搬送経路の上方に位置する支柱フレーム(23)を所定位置で受止め支持し、かつ、ロックするための受止めフレーム(26)を排ワラ搬送経路を迂回する状態で排ワラカッタ(11)から立上延設してある。そして、脱穀作業時においては解除自在なロック部材(27)で位置決め固定するよう構成してある。」(6頁18行〜7頁11行)。
(1-e)第2図には、扱胴(5)が扱胴軸(12)で軸支されていることが示されている。
上記記載及び図面の記載からみて、引用文献1には、
扱胴(5)が扱胴軸(12)で軸支された脱穀装置(1)は、フィードチェーン(2)と挾持レール(3)とによって穀稈の株元側を挾持しながら、扱室(4)内において駆動回転する扱胴(5)によって穂先部を扱処理し(上記(1-a)参照)、扱室(4)の穀稈搬送方向下手側にアッパーチェーン型の排ワラ挾持搬送装置(10)を配設し(上記(1-b)参照)、扱口(19)とは反対側の位置であって、かつ、扱胴軸芯と略平行な軸芯(P)周りで開閉揺動自在に下部ケース(20)に、上部ケース(18)を枢支し、上部ケース(18)を排ワラ挾持搬送装置(10)上方まで延出し、この上部ケース(18)の後方延出部に排ワラ挾持搬送装置(10)の搬送チェーン(21)を支持して上部ケース(18)と共に持ち上げ開放可能に構成し(上記(1-c)参照)、受止めフレーム(26)を排ワラカッタ(11)から立上延設し、排ワラ挾持搬送装置(10)を支持する支柱フレーム(23)を、ロック部材(27)で位置決め固定するよう構成してある(上記(1-d)参照)脱穀装置のロック部材(以下、「引用文献1の発明」という。)が、記載されていると認められる。
(2)当審において通知した拒絶の理由に引用した、実願昭60-50701号(実開昭61-167729号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、
「支点軸23aの端部に基部を固定した操作レバー23は、・・・操縦席25に向かっており、前記支点軸23aの前部と後部に突設した突片22a,22aは受板24,24で枢支したフック27,27にロッド26を介して連動連結し、・・・前記フック27は上面カバー18上のステーに回動自在に枢支されていて弱いスプリング28a,28aにより入口側板30aと出口側板30bから突出したピン31,31に係合するように付勢されている。」(4頁8〜20行)と記載されている。
(3)当審において通知した拒絶の理由に引用した、実願昭61-21780号(実開昭62-134345号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献3」という。)には、
(3-a)「シリンダカバー4の開き側には、穀稈自動供給装置5の内側で脱穀部フレーム3に係止するロック機構9,9が両端部に設けられている。」(6頁2〜5行)、
(3-b)「シリンダカバー4の開き側で穀稈自動供給装置5の覆部より外側には回動レバー14が設けられており、」(6頁12〜14行)、
(3-c)「上記回動レバー14の両端部のプレート15,15とロック機構9,9の回動フック10,10が連動アーム18,18によつて連動され、回動レバー14を上方に回動することによつて回動フック10,10のロックが解除されるようになつている。」(6頁20行〜7頁5行)と記載されている。

3.対比・判断
本願発明と引用文献1の発明とを対比すると、引用文献1の発明の「扱胴軸(12)」が本願発明の「横軸」に対応し、同様に、「フィードチェーン(2)と挾持レール(3)」が「穀稈供給装置46」に、「扱室(4)」が「脱穀室4」に、「排ワラ挾持搬送装置(10)」が「排藁搬送装置62」に、「上部ケース(18)」が「上部カバー45」にそれぞれ対応する。また、本願発明の「ロック手段76」と引用文献1の発明の「ロック部材(27)」とは共に解除自在である点で共通している。
そうすると、本願発明と引用文献1の発明とは、室内に左右方向の横軸により軸止された扱胴を有し前側には左右一側の供給側から左右他側の排出側に向けて穀稈を挟持搬送する穀稈供給装置を設けた脱穀室と、該脱穀室の排出側の外側に設けた排藁搬送装置を有する排藁搬送室と、前記脱穀室および前記排藁搬送室の上部を一体的に覆うとともに前記排藁搬送装置を取付けた上部カバーと、前記上部カバーの後側を中心に前側を前記排藁搬送装置と共に一体的に上下させて前記上部カバーを開閉する上部カバー取付手段と、前記上部カバーを閉鎖位置に固定するロック手段を解除自在に構成した脱穀装置の上部カバーのロック装置である点で一致し、次の点で構成が相違する。
相違点
ロック装置が、本願発明では、上部カバーを複数箇所で閉鎖位置に固定するロック手段と、該複数箇所に設けたロック手段を一操作で連動して解除する前記上部カバー側に設けた手動解除手段77とよりなるのに対して、引用文献1の発明では、ロック手段(ロック部材(27))が1箇所に設けられている点。
上記相違点について検討する。
上部カバーを複数箇所で閉鎖位置に固定するロック手段と、該複数箇所に設けたロック手段を一操作で連動して解除する上部カバー側に設けた手動解除手段とよりなるロック装置は、引用文献2、3に記載されているように脱穀装置において、従来、周知の技術に過ぎず、上記相違点における本願発明の構成は、引用文献1の発明に上記周知技術を適用することにより、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、本願発明が奏する効果は、引用文献1記載の発明及び周知技術から予測できる程度のことであって、格別顕著なものではない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
 
審理終結日 2003-11-13 
結審通知日 2003-12-09 
審決日 2003-12-26 
出願番号 特願平3-276785
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 昭次  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 渡部 葉子
白樫 泰子
発明の名称 脱穀装置  

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