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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1093089
異議申立番号 異議2003-71142  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-09-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-04-28 
確定日 2004-01-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3357665号「データ検索システム、データ検索結果の表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3357665号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3357665号に係る特許発明は平成13年3月7日に特許出願され、平成14年10月4日にその特許権の設定登録がなされ、その後、長森信彦により本件請求項1ないし11に係る発明に対して特許異議の申立がなされ、平成15年11月14日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年11月21日に訂正請求がなされたものである。


2.訂正の適否
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の要旨は、以下の訂正事項(a-1)ないし(a-7)及び(b-1)ないし(b-7)のとおりである。
(a)特許請求の範囲の訂正
(a-1)
「【請求項1】 所定の検索条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、
このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像(nは自然数)に変換する画像処理手段と、
この画像処理手段で変換された各n角形画像を、検索条件に基づく他のn角形画像との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、
前記画像処理手段が、
複数の前記n角形画像の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替えるように構成されていることを特徴とする、
データ検索システム。」を、
「【請求項1】
所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、
このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す画像処理手段と、
この画像処理手段で変換された各n角形のベン図を、検索条件に基づく他のn角形のベン図との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、
前記画像処理手段が、
複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替えるように構成されていることを特徴とする、
データ検索システム。」と訂正する。

(a-2)
【請求項2】を削除する。

(a-3)
「【請求項3】 前記画像処理手段は、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積と検索条件に基づく相対的な位置関係とをもつn角形画像に変換することを特徴とする、請求項1又は2記載のデータ検索システム。」を、
「【請求項2】
前記画像処理手段は、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積と検索条件に基づく相対的な位置関係とをもつn角形のベン図に変換することを特徴とする、請求項1記載のデータ検索システム。」に訂正する。

(a-4)
【請求項4】〜【請求項8】 を削除する。

(a-5)
「【請求項9】 前記n角形画像のnの値を事後的に変更する手段をさらに備えることを特徴とする、請求項8記載のデータ検索システム。」を、
「【請求項3】
前記n角形のベン図のnの値を事後的に変更する手段をさらに備えることを特徴とする、
請求項1又は2記載のデータ検索システム。」に訂正する。

(a-6)
「【請求項10】 コンピュータを、所定の検索条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、
このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像(nは自然数)に変換する画像処理手段と、
この画像処理手段で変換された各n角形画像を、検索条件に基づく他のn角形画像との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備えたデータ検索システムとして動作させるとともに、
前記画像処理手段に、
複数の前記n角形画像の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出し、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替える処理を実行させるためのコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。」を、
「【請求項4】
コンピュータを、所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す画像処理手段と、この画像処理手段で変換された各n角形のベン図を、検索条件に基づく他のn角形のベン図との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備えたデータ検索システムとして動作させるとともに、
前記画像処理手段に、複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替える処理を実行させるためのコンピュータプログラムが記録された、
コンピュータ読み取り可能な記録媒体。」に訂正する。

(a-7)
【請求項11】を削除する。

(b)発明の詳細な説明の訂正
(b-1)
「【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のデータ検索システムは、所定の検索条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像に変換する画像処理手段と、この画像処理手段で変換された各n角形画像を所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、複数のn角形画像の各々が、検索条件に基づく他のn角形画像との相対関係を維持した状態で同一表示面内に表示されるように構成されているものである。集合要素は、集合の大きさを定量的に表すための要素であり、例えば数値等が挙げられる。nは自然数であって、通常は5以上、好ましくは12〜24程度とする。この値は、集合の大きさ、他のn角形画像の数あるいはその相対関係によって、事後的に変更可能な数値である。」を、
「【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のデータ検索システムは、所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す画像処理手段と、この画像処理手段で変換された各n角形のベン図を、検索条件に基づく他のn角形のベン図との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、前記画像処理手段が、複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替えるように構成されているものである。
集合要素は、集合の大きさを定量的に表すための要素であり、例えば数値等が挙げられる。nは自然数であって、通常は5以上、好ましくは12〜24程度とする。この値は、集合の大きさ、他のn角形のベン図の数あるいはその相対関係によって、事後的に変更可能な数値である。」に訂正する。

(b-2)
「【0006】
n角形画像の表示位置によって検索条件間の関係を視覚的に把握できるようにする場合は、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積と検索条件に基づく相対的な位置関係とをもつn角形画像に変換するようにする。検索条件の論理積によるデータ検索結果については、各々の検索条件の集合から変換されたn角形画像の重なりで表すようにする。」を、
「【0006】
n角形のベン図の表示位置によって検索条件間の関係を視覚的に把握できるようにする場合は、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積と検索条件に基づく相対的な位置関係とをもつn角形のベン図に変換するようにする。」に訂正する。

(b-3)
「【0008】
画像処理手段は、例えば、n角形画像の形状(あるいは各頂点の位置)を極座標の動径及び偏角で特定するとともに、そのn角形画像の面積Sを動径γ及びnを変数とする演算式により算出する。より具体的には、極座標の動径をγi(iは0を超えるn以下の整数)とすると、極座標の偏角θiが、良く知られているように(2π/n)・iで表されるので、n角形画像の面積Siは、以下の式により求めることができる。」を、
「【0008】
画像処理手段は、例えば、n角形のベン図の形状(あるいは各頂点の位置)を極座標の動径及び偏角で特定するとともに、そのn角形のベン図の面積Sを動径γ及びnを変数とする演算式により算出する。より具体的には、極座標の動径をγi(iは0を超えるn以下の整数)とすると、極座標の偏角θiが、良く知られているように(2π/n)・iで表されるので、n角形のベン図の面積Siは、以下の式により求めることができる。」に訂正する。

(b-4)
段落【0011】の
「ある検索条件の時間の変化等を把握する用途においては、検索条件の一部のみが異なる場合のデータ検索結果として変換されるn角形画像をその残部が共通する検索条件毎に保持する画像保持手段をさらに備えてデータ検索システムを構成する。この場合、画像処理手段は、検索条件の一部の変化に伴って変化する複数のn角形画像が同一表示面内に表示されるようにする。」の記述を削除する。

(b-5)
段落【0012】の
「上述のように、n角形画像の形状が極座標の動径γi及び偏角θiで特定され、そのn角形画像の面積Siが動径γi及びnを変数とする演算式により算出されるものである場合、画像処理手段は、同一表示面内に表示される複数のn角形画像についての前記極座標の極及びその始線が同じ位置になるようにする。」の記述を削除する。

(b-6)
「【0014】
上記課題を解決するため、本発明は、また、コンピュータを、所定の検索条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像(nは自然数)に変換する画像処理手段と、この画像処理手段で変換された各n角形画像を、検索条件に基づく他のn角形画像との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備えたデータ検索システムとして動作させるとともに、前記画像処理手段に、複数の前記n角形画像の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出し、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替える処理を実行させるためのコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。上記のコンピュータプログラムは、上記の画像処理手段の処理に代えて、前記複数のn角形画像の各々の形状を極座標の動径及び偏角で特定するとともに、そのn角形画像の面積を前記動径及びnを変数とする演算式により算出する処理を実行させるものであってもよい。」を、
「【0014】
上記課題を解決するため、本発明は、また、コンピュータを、所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す画像処理手段と、この画像処理手段で変換された各n角形のベン図を、検索条件に基づく他のn角形のベン図との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、前記画像処理手段が、複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替える処理を実行させるためのコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。」に訂正する。

(b-7)
「【0024】
nの値は、それを大きくするほど個々のベン図の形状のフレキシビリティ性が高まるため、他のベン図との間の相対関係を正確に表現しやすくなるが、演算量もそれにつれて大きくなるので、集合の数及び個々の集合の大きさとの関係で適切な値を設定する。本実施形態では、nの値として「12」が設定されたものとする。この場合、極座標の動径γiと偏角θiにおけるiの値は、0〜12となる。
但し、始線(γ0,θ0) と終線(γn,θn)とは、同一値となる。なお、nの値は、事後的に変更できるようになっている。すなわち、複数の集合のうち、いくつかの集合の大きさが他の集合の大きさに対して極端に異なる場合には、ベン図間の相対関係を適切に同時に表示できなくなる場合があり、この場合はnの値を変更させることにより、見やすい表示形態になるように、事後的に調整することができる。」を、
「【0024】
nの値は、それを大きくするほど個々のベン図の形状のフレキシビリティ性が高まるため、他のベン図との間の相対関係を正確に表現しやすくなるが、演算量もそれにつれて大きくなるので、集合の数及び個々の集合の大きさとの関係で適切な値を設定する。本実施形態では、nの値として「12」が設定されたものとする。この場合、極座標の動径γiと偏角θiにおけるiの値は、0〜11となる。但し、始線(γ0,θ0) と終線(γn,θn)とは、同一値となる。なお、nの値は、事後的に変更できるようになっている。すなわち、複数の集合のうち、いくつかの集合の大きさが他の集合の大きさに対して極端に異なる場合には、ベン図間の相対関係を適切に同時に表示できなくなる場合があり、この場合はnの値を変更させることにより、見やすい表示形態になるように、事後的に調整することができる。」に訂正する。

(2)訂正の適否
訂正事項(a-1)は、請求項1について、「所定の検索条件に基づくデータ検索結果」を「所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果」に限定し、さらに、「各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像(nは自然数)に変換する」を「各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す」に限定し、これに伴い、「n角形画像」を「n角形のベン図」に訂正したものである。
これらの限定事項ないし訂正は、本件特許明細書の段落0019に記載された事項の範囲内である。したがって、訂正事項(a-1)は、特許請求の範囲の減縮及び明りようでない記載の釈明を目的としたものであり、新規事項の追加に該当せず、また実質的に特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものでもない。
訂正事項(a-2)は、請求項の削除であり、明らかに特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
訂正事項(a-3)は、訂正事項(a-1)と同様に、「n角形画像」を「n角形のベン図」に訂正し、訂正事項(a-2)に伴い、請求項の項数を繰り上げたものであるから、明りようでない記載の釈明を目的としたものである。
訂正事項(a-4)は、請求項の削除であり、明らかに特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
訂正事項(a-5)は、訂正前の請求項の項数を9から3に繰り上げ、訂正事項(a-1)と同様に、「n角形画像」を「n角形のベン図」に訂正するとともに、引用する請求項の項番を「8」から「1又は2」に訂正したものであるから、明りようでない記載の釈明を目的としたものである。
訂正事項(a-6)は、請求項9を請求項4に繰り上げる他は、訂正事項(a-1)と同内容の訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び明りようでない記載の釈明を目的としたものであり、新規事項の追加に該当せず、また実質的に特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものでもない。
訂正事項(a-7)は、請求項の削除であり、明らかに特許請求の範囲の減縮を目的としたものである。
訂正事項(b-1)ないし訂正事項(b-6)は、上記訂正事項(a-1)ないし訂正事項(a-7)による訂正に伴って、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載を整合させるものであって、明りようでない記載の釈明を目的としたものであり、新規事項の追加に該当せず、また実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
上記訂正事項(b-7)は、「0〜12」を「0〜11」に訂正するものであり、当初明細書の数2のΣの上部に「0〜11」と記載されているとおり、誤記の訂正を目的とするものである。
以上のとおりであるから、訂正事項(a-1)ないし(a-7)及び(b-1)ないし(b-7)は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するものである。
よって当該訂正を認める。

3.取消理由について
当審の通知した上記取消理由は以下のとおりである。
「1)本件特許は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号乃至第2号に規定する要件を満たしていない。 記
本件特許の請求項1乃至11の「検索条件に基づく」とはどのようなことか不明である。
2)本件の下記の請求項に係る特許は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

[刊行物]
引用例1 特開平6-89309号公報
引用例2 特開平5-81431号公報
[請求項2]請求項2にかかる発明は引用例1に記載された発明に引用例2の面積算出方法を適用することにより当業者が容易に想到することができたものである。」

4.当審の判断
上記取消理由について検討する。
(1)取消理由の1)について
訂正により、「検索条件に基づく」とはどのようなものか明確になったので、取消理由で通知した不備は解消された。
(2)取消理由の2)について、
訂正により、請求項2は削除されたので、上記取消理由の2)は解消した。
以上のとおりであるから、取消理由で通知した理由によっては本件請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。

なお、請求項1の「前記画像処理手段が、複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替える」構成は、異議申立の証拠のいずれにも開示も示唆もされていないから、異議申立の理由及び証拠によっても請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
請求項2ないし3は請求項1を引用し、請求項4は上記と同様の構成を有するから、請求項2ないし請求項4に係る特許も異議申立の証拠によっては取り消すことができない。

5.むすび
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
データ検索システム、データ検索結果の表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、
このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す画像処理手段と、
この画像処理手段で変換された各n角形のベン図を、検索条件に基づく他のn角形のベン図との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、
前記画像処理手段が、
複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替えるように構成されていることを特徴とする、
データ検索システム。
【請求項2】
前記画像処理手段は、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積と検索条件に基づく相対的な位置関係とをもつn角形のベン図に変換することを特徴とする、
請求項1記載のデータ検索システム。
【請求項3】
前記n角形のベン図のnの値を事後的に変更する手段をさらに備えることを特徴とする、
請求項1又は2記載のデータ検索システム。
【請求項4】
コンピュータを、所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す画像処理手段と、この画像処理手段で変換された各n角形のベン図を、検索条件に基づく他のn角形のベン図との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備えたデータ検索システムとして動作させるとともに、
前記画像処理手段に、複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替える処理を実行させるためのコンピュータプログラムが記録された、
コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検索条件に基づくデータ検索結果を集合として管理するデータ検索システムに係り、特に、データ検索結果を視覚的に表現するためのユーザ・インタフェース技術に関する。
【0002】
【発明の背景】
データベースによるデータ検索結果は、検索条件毎の集合として表現することが可能であり、その集合の大きさは、数値として表現されることが多い。ユーザは、この数値によって集合の大きさを直感的に把握することが可能になる。しかしながら、検索条件が複数になり、それによる集合も複数になると、これらの集合の大小関係や検索条件の関連性等を数値から認識することが難しくなる。この点を改善するために集合の大きさを視覚的に表現するデータ管理システムが従来より存在している。例えば、集合を、幾何学公式による計算によって求まる矩形又は円によるベン図(Venn diagram)で表現する手法を採用したデータ管理システムがそれである。しかし、このようなデータ管理システムにおいても、ベン図が複数になるときに、これらを、各々他のベン図との相対関係を維持した状態で同一表示面内に表示することは困難であり、検索条件、あるいは集合及び積集合の大きさによっては、それが不可能となる。例えば、図8に示すような3つの集合(集合A、集合B、集合C)を、各々の集合の相対関係を保ったまま、矩形または正円によるベン図で同一表示面内に表示することは不可能である。
【0003】
また、ある検索条件のもとで作成されたベン図に、時間や地域等の別の条件を一部付加したベン図を新たな作成し、これらを互いに比較したい場合があるが、従来のデータ管理システムでは、このような処理はできなかった。
【0004】
本発明は、このような不具合を解消することができるデータ検索システム、データ検索結果の表示方法を提供することを、その課題とする。本発明の他の課題は、コンピュータをデータ検索システムとして機能させるためのコンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のデータ検索システムは、所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す画像処理手段と、この画像処理手段で変換された各n角形のベン図を、検索条件に基づく他のn角形のベン図との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、前記画像処理手段が、複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替えるように構成されているものである。
集合要素は、集合の大きさを定量的に表すための要素であり、例えば数値等が挙げられる。nは自然数であって、通常は5以上、好ましくは12〜24程度とする。この値は、集合の大きさ、他のn角形のベン図の数あるいはその相対関係によって、事後的に変更可能な数値である。
【0006】
n角形のベン図の表示位置によって検索条件間の関係を視覚的に把握できるようにする場合は、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積と検索条件に基づく相対的な位置関係とをもつn角形のベン図に変換するようにする。
【0007】
n角形画像のもとになるn角形の形状及びその面積は、演算によって特定することができる。例えば、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出する。この場合、収束計算は、凸角形になる制限条件下で始まり、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に替えるようにする。
【0008】
画像処理手段は、例えば、n角形のベン図の形状(あるいは各頂点の位置)を極座標の動径及び偏角で特定するとともに、そのn角形のベン図の面積Sを動径γ及びnを変数とする演算式により算出する。より具体的には、極座標の動径をγi(iは0を超えるn以下の整数)とすると、極座標の偏角θiが、良く知られているように(2π/n)・iで表されるので、n角形のベン図の面積Siは、以下の式により求めることができる。
【0009】
【数1】

【0010】
複数の集合の中に論理積で判断された積集合がある場合は、その積集合の面積Siを、動径γiの増減の収束計算結果として導出する。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明は、また、コンピュータを、所定の検索条件から、当該検索条件の論理条件に基づくデータ検索結果を取得するデータ取得手段と、このデータ取得手段で取得したデータ検索結果を前記検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積のn角形画像であるベン図(nは自然数)に変換し、前記データ検索結果を各々の検索条件の集合から変換されたn角形のベン図の重なりで表す画像処理手段と、この画像処理手段で変換された各n角形のベン図を、検索条件に基づく他のn角形のベン図との相対関係を維持した状態で所定の表示装置に表示させる表示制御手段とを備え、前記画像処理手段が、複数の前記n角形のベン図の各々を、所定の制限条件下における描画のための収束計算を繰り返すことで導出するものであり、前記収束計算を凸角形になる制限条件下で始め、一定回数繰り返しても凸角形として収束しない場合にその制限条件を凹角形になる制限条件に切り替える処理を実行させるためのコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の仕組みを、ネットワーク型のデータベース管理システムに適用した場合の実施の形態を説明する。
【0016】
<全体構成>
このデータベース管理システムは、データ検索システムの一例となる管理サーバ20と、検索サーバ30とをコンピュータネットワークLに接続して構成される。本例では、コンピュータネットワークLがインターネットであり、このインターネットに、ユーザが操作するクライアント10と、各種の情報サーバ40が接続されている場合を想定する。クライアント10は、インターネットLとの間で双方向通信を行う通信機能とディスプレイへの表示機能とを有し、且つブラウザを搭載した汎用のコンピュータ端末である。クライアント10は、インターネットLを通じて管理サーバ20に対してデータ検索要求を行うとともに、データ検索結果をブラウザ上に表示する。データ検索要求に際しては、検索条件を添付する。
【0017】
管理サーバ20及び検索サーバ30は、インターネットLに接続可能なWebサーバ機能を有するコンピュータであり、ハードウエア資源とコンピュータプログラムとの協働によって、Webサーバ機能のほかに、データ検索及び検索結果の表示に関する所要の機能を構築する。具体的には、検索サーバ30に、情報サーバ40に対するデータ検索を行う機能を構築し、管理サーバ20に、データ管理部21、画像処理部22、画像保持部23及び表示制御部24の機能を構築する。これらの機能は、それぞれコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されているコンピュータプログラムとそれを読み取るサーバ本体のハードウエア資源との協働によって実現される。なお、ここでは、管理サーバ20と検索サーバ30とを各々別個のサーバで構成しているが、これらを一つのサーバシステムとして実現することもできる。
【0018】
管理サーバ20のデータ管理部21は、クライアント10のブラウザに表示させるためのHTMLページと、検索サーバを起動するためのCGIスクリプトとを保持している。HTMLページを通じてクライアント10からデータ検索要求及び検索条件を取得することによってCGIスクリプトを呼び出し、このCGIスクリプトで検索サーバ30を起動するようになっている。CGIスクリプトは、データ検索結果となるHTMLイメージを検索サーバ30から取得し、これを管理サーバ20内のバッファ領域に一時的に保持しておく。
【0019】
画像処理部22は、特徴的なデータ検索結果の表示処理を行うためのもので、所要の検索条件に対応して取得したデータ検索結果を検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積をもつn角形画像であるベン図に変換する処理を行う。集合要素としては、相対的な大小関係を表現できる要素、例えばデータ件数のような数値が挙げられる。検索条件の論理積その他の論理条件に基づくデータ検索結果については、これらを、各々の検索条件の集合から変換されたベン図の重なりで表す。上記のような処理の詳細については、後述する。
画像保持部23は、n角形のベン図を検索条件毎に保持し、これらを検索条件をキーとして読み出せるようにする。検索時期、例えば検索日を検索条件の一つに含むものについては、検索日毎にすべての検索条件に基づくベン図を保持する。この場合は、検索日をキーとすることによって、該当するすべてのベン図を読み出せるようになる。そのほか、検索条件の一部のみが異なるベン図について、残部の検索条件毎にそれを保持し、その残部の検索条件をキーとして読み出せるようにしても良い。
【0020】
表示制御部24は、画像処理部22によって描画処理される各ベン図とこれらのベン図を表示させるためのアイテム等をクライアント10のブラウザに表示させるための制御を行う。
【0021】
<データ検索結果の表示処理>
次に、画像処理部22において実行される処理の内容を詳しく説明する。前提として、データ検索結果である集合の大きさが、すべて該当件数という形で、数値で表されるものとする。検索条件が複数で、各々の検索条件間に何らかの相対関係がある場合、それらのデータ検索結果にも、他のデータ検索結果との間で上記の相対関係が維持されることがある。このような場合に、複数のベン図の各々が、検索条件に基づく他のベン図との相対関係を維持した状態で、クライアント側で、ディスプレイの同一表示面内に表示されるようにする。
【0022】
この処理は、具体的には、図2に示す手順で行われる。ここでは、説明の便宜上、ある日における顧客のデータに対する3つの検索条件「住所=“東京”」、「性別=“男性”」、「契約年数>=3年」の各々のデータ検索結果に対応する3つの集合「東京在住」(総数700件)、「男性」(総数1000件)、「契約3年以上」(総数800件)が、図3(a)のように得られた場合を想定する。図3(a)の例では、左辺が検索条件で、右辺がデータ検索結果となる。例えば、最上段のものは、東京在住の顧客で、男性ではなく且つ顧客として契約した年数が3年に満たない者についてのデータが、300件該当したことを表している。最下段のものは、東京在住の顧客で、男性且つ顧客として契約した年数が3年以上の者についてのデータが、100件該当したことを表している。他の検索条件及びデータ検索結果についても同様の見方となる。
【0023】
本実施形態では、まず、すべての検索条件を満たす積集合(図3(a)の例では、最下段のもの:100件)に着目し、この積集合の中央部又は略中央部を極とする極座標系を定める(ステップS101:Yes、S102)。積集合がない場合、つまり単一の集合しかない場合は、その集合の中央部を極とする極座標系を定める(ステップS101:No、S103)。これにより、検索条件のすべてが、その極座標系の極を各々の極とする極座標で表現できるようになる。極座標系の極が定まると、その極を通る複数の座標軸を設定する(ステップS104)。座標軸は、360度を等間隔にn等分したものとして設定する。そして、n角形のベン図を、各座標軸上の動径γiと偏角θiとで特定される頂点の組み合わせで表現する(ステップS105)。ベン図が複数になる場合は、各ベン図との間の相対的な位置関係を調整する。
【0024】
nの値は、それを大きくするほど個々のベン図の形状のフレキシビリティ性が高まるため、他のベン図との間の相対関係を正確に表現しやすくなるが、演算量もそれにつれて大きくなるので、集合の数及び個々の集合の大きさとの関係で適切な値を設定する。本実施形態では、nの値として「12」が設定されたものとする。この場合、極座標の動径γiと偏角θiにおけるiの値は、0〜11となる。但し、始線(γ0,θ0) と終線(γn,θn)とは、同一値となる。なお、nの値は、事後的に変更できるようになっている。すなわち、複数の集合のうち、いくつかの集合の大きさが他の集合の大きさに対して極端に異なる場合には、ベン図間の相対関係を適切に同時に表示できなくなる場合があり、この場合はnの値を変更させることにより、見やすい表示形態になるように、事後的に調整することができる。
【0025】
ベン図の形状は、管理サーバ20内の図示しない制限条件記録領域に記憶されている複数の制限条件のいずれかを選択的に用いた動径γiの収束計算を繰り返すことによって特定される。この収束計算は、個々の集合の大きさ(数値)を表現するベン図を凸角形として収束させるための演算処理であり、制限条件の入力を契機に予めルーチン化されているものが起動されて自動実行されるようになっている。制限条件としては種々のものを用いることができる。例えば、ベン図がクライアント10のディスプレイに画素群によって表示されるものであり、人間の視覚による画素識別力が数ピクセル(画素)以上であるという経験則に照らして、「集合の大きさ(実値)と面積(描画による値)との差分が10ピクセル以下になった時点を収束時点とする」という条件を、制限条件の一つとして用いることができる。描画の際の形状特定のためのパラメータもまた、制限条件の一つとなる。
【0026】
収束計算は、ベン図を、ある位置の凸角形に収束させるための制限条件下で始まる。人間の視覚上、凸角形の方が集合の大きさを判断しやすいためである。しかし、常にそのようにしなければならないのではなく、凹角形のベン図にすることも可能である。通常は、凸角形に収束させるための制限条件下で収束計算を始め、一定回数収束計算しても凸角形として収束しない場合は、制限条件を一つずつ外して凹角形のベン図にする制限条件に切り替えていくようにする。
【0027】
収束計算によってベン図の形状及びその位置が決まると、各ベン図の面積Siを算出する(ステップS106)。上記の極座標系によって集合を12角形のベン図で表現すると、個々のベン図自体は、12個の3角形の組み合わせで表される。論理積で判断された積集合がある場合の重なり部分もまた12角形(3角形の組み合わせ)となる。このことは、代数幾何的に自明な事項となる。そのため、データ検索結果であるベン図の面積計算を単純化することができて(3角形の面積の総和)、非常に便利である。
【0028】
面積Siは、具体的には、以下の式を演算実行することによって導出することができる。この式は、単純な幾何学計算で求まる3角形の面積の総和によって12角形の面積を導出できることを示している。
【数2】

【0029】
積集合及び残部の集合の面積もまた、動径γiの増減の収束計算結果として導出することができる。
【0030】
画像処理部22は、ベン図の形状特定に際して、各々のベン図に対応する検索条件を確認し、一致する検索条件があるかどうかを調べる。一致する検索条件がある場合は、それらのベン図の極と動径の始線を同じにするための位置情報をそのベン図に付加する(ステップS107:Yes、S108)。表示制御部24は、これらのベン図をクライアント10のディスプレイに表示させるための制御を行う(ステップS109)。一致する検索条件がなかった場合は、そのままの位置でベン図を表示させるための制御を行う(ステップS107:No、S109)。
【0031】
その後、各ベン図を、検索条件毎に画像保持部23に保持し、これらをクライアント10からの表示要求があった場合等に、随時読み出せるようにしておく(ステップS110)。
【0032】
このようにして、クライアント10のディスプレイには、図3(b)のような3つのベン図が、これらの相対関係を維持した状態で、同一表示面内に表示される。すなわち、男性の顧客が1000件、東京在住の顧客が700件、契約3年以上の顧客が800件という相対的な件数の割合をそのまま反映した維持した状態で、各積集合(東京在住の男性の顧客が100件、東京在住で契約3年以上の顧客が200件、契約3年以上の男性顧客が300件、東京在住で契約3年以上の男性顧客が100件)の関係が、同時にディスプレイに表示される。図3(b)中、右側には、時期要素の一例である日付の選択ボタンが示されている。これは、同一の検索条件について、時期(経時)要素である年月日のみを異ならせたデータ検索結果が画像保持部23に保持されていることを示している。クライアント10側からこれらの一つが選択されると、その日の顧客状態が、ベン図の相対的な位置関係を維持した状態で、つまり、同一の座標系で表示されるようになっている。
【0033】
図4は、図3(b)に示した3つのベン図について、各々に該当するデータ件数と上記の座標軸を表示した図である。この図から、いずれのベン図(論理積によって重なりが生じている部分を含む)も3角形の組み合わせによって表現されていることが理解されよう。また、データ件数を表示することによって、ベン図の面積によって他のベン図との間の相対関係を直感的に把握しつつ、正しい実件数を確認することができるようになる。
【0034】
図5(a)は、図3(a)と同じ検索条件で得られた過去のデータ検索結果を示した図であり、図5(b)は、図3(b)のものと同じ要領で既に作成して保持しておいた3つのベン図を、図右側の日付選択ボタンで選択された、異なる時期のものについて表示させた様子を示した図である。また、図6は、図5(b)のベン図について、各々に該当するデータ件数と上記の座標軸を同時に表示した図である。ここでは、1996年10年10日時の顧客の状態が示されている。なお、図3(b)及び図5(b)のようにすべての時期におけるベン図を選択的に同一座標系で表示させるほか、それぞれ異なる時期におけるベン図を同一座標系で並べて同時に表示させるようにしても良い。この場合は、画像保持部23に保持されている各々の時期のベン図(群)を、それぞれ一定間隔でずらして表示させるか、あるいは縮小して同時表示させるようにする。
【0035】
このように、本実施形態のデータベース管理システムでは、管理サーバ20の画像処理部22において、データ検索結果を検索条件毎の集合として表すとともに、各集合を、各々の集合要素数の大きさに対応する面積の12角形のベン図に変換し、表示制御部24で、各ベン図の各々が、検索条件に基づく他のベン図との相対関係を維持した状態で同一表示面内に表示されるようにしたので、クライアント10を操作する者が、データ検索結果を直感的に把握できるようになる。また、画像処理部22では、ベン図の頂点数(角数)を事後的に適切に変更することができるので、従来は不可能であった、データ検索結果の種々の表示形態が実現可能になる。例えば、図8は、図7に示した検索条件とデータ検索結果とを、積集合の大小関係を保ったまま、クライアント10のディスプレイに表示させた場合の例を示している。このようなベン図は、矩形や正円でもってベン図を表現する従来のこの手法では、表現不能であったものである。
【0036】
なお、本実施形態では、ネットワーク型のデータベース管理システムを例に挙げて説明したが、本発明は、ネットワーク型のものに限定されず、スタンドアロン型のシステムとしての実施も可能である。この場合、クライアント10のディスプレイに相当する表示手段は、そのスタンドアロン型のシステムに標準的に備えられる表示装置となる。ネットワークを採用する場合であってもインターネットに限らず、イントラネットのようなローカルなネットワークであっても良い。
【0037】
また、本実施形態では、n角形画像として12角形のベン図の画像を例に挙げて説明したが、複数の検索条件の各々に対するデータ検索結果をビジュアルに表現して各々の結果の相対比較ができる形状の画像であれば本発明を実施できるので、必ずしも本実施形態のようなベン図に拘束されるものではない。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、データの検索結果である集合をその大きさに応じた面積のn角形画像として表現されるため、人間にとって理解しやすいユーザ・インターフェースを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明が適用されるデータ検索システムの構成図。
【図2】
データ検索結果の表示処理の手順説明図。
【図3】
(a)は本実施形態で用いる検索条件に対するデータ検索結果の例、(b)は、上記のデータ検索結果に基づいてクライアントのディスプレイに表示されるベン図の例を示した図。
【図4】
図3(b)のベン図について、各々に該当するデータの実件数と座標軸を同時に表示した図。
【図5】
図3(a)と同一の検索条件と過去のデータ検索結果、(b)は、上記のデータ検索結果に基づいてクライアントのディスプレイに表示されるベン図の例を示した図。
【図6】
図5(b)のベン図について、各々に該当するデータの実件数と座標軸を同時に表示した図。
【図7】
ある検索条件とデータ検索結果の例。
【図8】
積集合の大小関係を保ったまま同時に表示させたベン図の例。
【符号の説明】
10 クライアント
20 管理サーバ
21 データ管理部
22 画像処理部
23 画像保持部
24 表示制御部
30 検索サーバ
31 データ検索部
40 情報サーバ
L インターネット
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-12-15 
出願番号 特願2001-64152(P2001-64152)
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高瀬 勤  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 村上 友幸
平井 誠
登録日 2002-10-04 
登録番号 特許第3357665号(P3357665)
権利者 株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー
発明の名称 データ検索システム、データ検索結果の表示方法、コンピュータプログラム及び記録媒体  
代理人 鈴木 正剛  
代理人 鈴木 正剛  

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