• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C07C
管理番号 1093117
異議申立番号 異議2000-70121  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-09-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-01-18 
確定日 2003-12-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2921673号「マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2921673号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2921673号は、平成8年12月20日に出願され(優先権主張:1995年12月20日、米国:1996年8月7日、米国:1996年12月4日、米国)、平成11年4月30日にその特許権の設定登録がなされ、その後、五島香里より特許異議の申立てがあり、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年12月26日付けで訂正請求がなされ、さらに再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年11月7日付けで新たな訂正請求がなされるとともに先の訂正請求が取り下げられたものである。

II.訂正の適否
1.訂正事項
本件訂正請求は、本件特許明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであって、その訂正の内容は次のとおりである。

〔訂正事項a〕
特許請求の範囲の請求項1、及び請求項27(訂正後の請求項26)の、
「式中、nは、0、1又は2であり;Yは、ヒドロキシ又はXONH-(ここで、Xは、水素又は低級アルキルである)であり;」との記載を、
「式中、nは、2であり;Yは、XONH-(ここで、Xは、水素である)であり;」と訂正する。

〔訂正事項b〕
特許請求の範囲の請求項1、及び請求項27(訂正後の請求項26)の、
「あるいはR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表し;」との記載を、
「あるいはR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ’基(ここで、Q’は、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、飽和炭素環基である)を表し;」と訂正する。

〔訂正事項c〕
特許請求の範囲の請求項1、及び請求項27(訂正後の請求項26)の、
「あるいはR2及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表すか;あるいはR3及びR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表し;」との記載を、
「あるいはR2及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ’基(ここで、Q’は、上述の定義を有する)を表すか;あるいはR3及びR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ’基(ここで、Q’は、上述の定義を有する)を表し;」と訂正する。

〔訂正事項d〕
特許請求の範囲の請求項1の、
「〔ただし、3-(p-トリルチオ)プロピオン酸は除く〕」との記載を削除する。

〔訂正事項e〕
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

〔訂正事項f〕
特許請求の範囲の請求項番号「【請求項4】」〜「【請求項31】」を、それぞれ一つずつ繰り上げて「【請求項3】」〜「【請求項30】」と訂正するとともに、各請求項において引用されている「請求項3」を「請求項1」に、「請求項4」を「請求項3」に、「請求項5」を「請求項4」に、「請求項6」を「請求項5」に、「請求項7」を「請求項6」に、「請求項9」を「請求項8」に、「請求項11」を「請求項10」に、「請求項12」を「請求項11」に、「請求項17」を「請求項16」に、「請求項19」を「請求項18」に、「請求項21」を「請求項20」に、「請求項22」を「請求項21」に、「請求項1〜26」を「請求項1〜25」に、それぞれ訂正する。

〔訂正事項g〕
特許請求の範囲の請求項11〜請求項16(訂正後の請求項10〜15)、及び請求項21〜請求項24(訂正後の請求項20〜請求項23)の、
「Q」との記載を、それぞれ「Q’」と訂正する。

〔訂正事項h〕
特許請求の範囲の請求項26(訂正後の請求項25)の、
「2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルフィニル〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド、」及び「2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルチオ〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド、」との記載を削除する。

〔訂正事項i〕
明細書段落【0041】の、
「「アリール」とは、単一の環(例えばフェニル)又は2つの縮合した環(例えばナフチル)(これらは、場合により、ヒドロキシ、カルボキシ、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、低級アルコキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル及び/又はシアノにより、独立して、モノ-、ジ-又はトリ-置換されていてもよい)を有する一価の芳香族炭素環基のことをいう。」との記載を、
「「アリール」とは、単一の環(例えばフェニル)又は2つの縮合した環(例えばナフチル)を有する一価の芳香族炭素環基のことをいい、これらは、場合により、ヒドロキシ、カルボキシ、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、低級アルコキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル及び/又はシアノにより、独立して、モノ-、ジ-又はトリ-置換されていてもよい。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
訂正事項aは、訂正前の特許請求の範囲請求項1及び請求項27(訂正後の請求項26)の式(I)において、「nは、2であり;Yは、XONH-(ここで、Xは、水素である)である」ことを特定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。またこの訂正は、訂正前の請求項3の記載により支持されており、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項b、c、及びgは、一価の飽和炭素環基Qでは矛盾する箇所を飽和炭素環基Q’として区別するものであり、訂正事項dは、新たに特定された式(I)の化合物とは関係のない記載を削除するものであり、訂正事項iは、「場合により置換されているアリール」の定義を明確にするものであって、いずれも明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そしてこれらの訂正は、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項eは請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。またこの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項fは、請求項3の削除に伴い請求項4〜31の項番号を繰上げ、かつ引用する項番号の整合をはかるもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであるが、訂正後の請求項3〜24、27〜30は、減縮された請求項1及び請求項25(訂正前の請求項26)をを引用するものであることから、結果として特許請求の範囲の減縮を目的とするものにも該当する。そしてこの訂正は、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項hは、訂正前の特許請求の範囲請求項26(訂正後の請求項25)において特定の化合物を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。またこの訂正は、新規事項の追加には該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.特許異議の申立てがなされていない請求項3〜30についての独立特許要件の検討
(請求項3〜24について)
後述するように、訂正後の本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という)の式(I)で示される化合物において、Yがヒドロキシの場合、n=0の場合は本件発明1には含まれないものとなった。したがって、下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された化合物は本件発明1の化合物には該当しないので、本件発明1は下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではない。
訂正後の本件請求項3〜24に係る発明は、本件発明1の式(I)においてR1ないしR5をさらに特定するものであるから、本件発明1の構成をその主たる構成として含むものである。しかし、上述したように本件発明1は下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではなく、したがって同様の理由により、訂正後の本件請求項3〜24に係る発明も、下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではない。

(請求項25について)
訂正後の本件請求項25に係る発明において示されている各化合物は、下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された化合物には該当しない。したがって、訂正後の本件請求項25に係る発明は、下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではない。

(請求項26について)
訂正後の本件請求項26に係る発明は、本件発明1の化合物の製造方法に係るものであるが、上述したように本件発明1の化合物は下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された化合物には該当しない。したがって、本件発明1の化合物自体が下記の刊行物1ないし15に記載されていないのであるから、当然その化合物の製造方法も記載されておらず、訂正後の本件請求項26に係る発明は、下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではない。

(請求項27〜30について)
訂正後の本件請求項27〜30に係る発明は、本件発明1、及び訂正後の本件請求項2〜25に係る発明の構成のいずれかをその主たる構成として含むものである。しかし、上述したように本件発明1及び訂正後の本件請求項3〜24、25に係る発明は、下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではなく、また後述するように訂正後の本件請求項2に係る発明も、下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではない。したがって、同様の理由により、訂正後の本件請求項27〜30に係る発明も、下記の刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではない。

4.訂正の適否の結論
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議申立てについて
1.申立ての理由及び当審における取消理由の概要
(1)特許異議申立人五島香里は、証拠として本願出願日前に頒布されたことが明らかな刊行物である下記の甲第1号証ないし甲第11号証を提出し、訂正前の本件請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第11号証のそれぞれに記載された発明であるから、また、訂正前の本件請求項2に係る発明は、甲第1号証ないし甲第3号証、甲第8号証ないし甲第11号証のそれぞれに記載された発明であるから、いずれも特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものであり、従って本件請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法第113条2号の規定により取り消すべきものであると主張している。

甲第1号証:Yasuyuki Kita ら「Pummerer-type Cyclization of Arnstein Tripeptide Analogues Induced by O-Silylated Ketene Acetals: Studies of Penicillin Biosynthesis」 J. Am. Chem. Soc., Vol.116, No.12, pp.5116-5121(1994)(以下、「刊行物1」という)
甲第2号証:Dah-Ren Hwang ら「Total Synthesis of (+)-Sparsomycin. Approaches Using Cysteine and Serine Inversion」 J. Org. Chem., Vol.50, No8, pp.1264-1271(1985)(以下、「刊行物2」という)
甲第3号証:SAUL WOLFE ら「Cyclization of cysteinylglycine sulfoxides under Pummerer reaction conditions」 CAN. J. CHEM., VOL. 57, pp.2412-2425(1979)(以下、「刊行物3」という)
甲第4号証:R. H. Rynbrandt ら「THE OXIDATION OF AMINOCYCLOPROPYL SULFIDES」 Tetrahedron Letters, No.19, pp.1937-1940(1972)(以下、「刊行物4」という)
甲第5号証:Stephen E. Clayton ら「Direct Aromatic tert-Butylation during the Synthesis of Thiochroman-4-ones」 Tetrahedron, Vol.49 No.4, pp.939-946(1993)(以下、「刊行物5」という)
甲第6号証:A. B. Sen ら「Synthesis of Potential Amoebacides. Part XXIV」 Jour. Indian Chem. Soc., Vol.43, No.7, pp.521-525(1966)(以下、「刊行物6」という)
甲第7号証:R. G. Child ら「A New Non-steroidal Anti-inflammatory Analgestic:γ-Oxo(1,1'-biphenyl)-4-butanoic Acid(Fenbufen)」 Arzneim.-Forsch./Drug Res. 30(1),Nr.4a (1980) pp.695-702(以下、「刊行物7」という)
甲第8号証:Iris H. Hall ら「Antitumor Agents. 21. A Proposed Mechanism for Inhibition of Cancer Growth by Tenulin and Helenalin and Related Cyclopentenones」 Journal of Medicinal Chemistry, Vol.20, No.3, p.333-337(1977)(以下、「刊行物8」という)
甲第9号証:古田孝夫ら「S-置換-DL-システイン誘導体の合成」、日本化学雑誌、90巻9号(1969)、p.936-939(以下、「刊行物9」という)
甲第10号証:特開昭62-240663号公報(以下、「刊行物10」という)
甲第11号証:米国特許第3,950,542号明細書(以下、「刊行物11」という)

(2)当審において通知した取消の理由の趣旨は、訂正前の本件請求項1に係る発明は、上記刊行物1ないし11のそれぞれに記載された発明であるから、また、訂正前の本件請求項2に係る発明は、上記刊行物1ないし3、8ないし11のそれぞれに記載された発明であるから、さらに、訂正前の本件請求項1及び請求項2に係る発明は、上記刊行物10及び11、下記刊行物12ないし15のそれぞれに記載された発明であるから、いずれも特許法第29条第1項第3号の規定に該当し特許を受けることができないものであり、よってこれらの発明の特許は取り消すべきものである、というものである。

刊行物12:Chemical Abstracts, vol.52, 18919c欄(1958)
刊行物13:Chemical Abstracts, vol.53, 14958a〜14959h欄(1959)
刊行物14:Chemical Abstracts, vol.55, 22094d〜e欄(1961)
刊行物15:Chemical Abstracts, vol.55, 26847h〜i欄(1961)

2.本件請求項1及び請求項2に係る発明
上記のとおり訂正が認められるので、本件請求項1及び請求項2に係る発明は、訂正後の明細書の特許請求の範囲請求項1及び請求項2に記載された以下のとおりである。

「【請求項1】 式(I):
【化1】

〔式中、nは、2であり;Yは、XONH-(ここで、Xは、水素である)であり;R1は、水素又は低級アルキルであり;R2は、水素、低級アルキル、P基{ここでPは、炭素、水素、並びにORa’、NRa’Rb’、及びS(O)nRa’(ここで、nは、0、1又は2である)から独立して選択される、1個以上のヘテロ原子含有置換基を含有する、分岐又は非分岐の、環式又は非環式飽和有機基であり、ここでRa’は、水素、アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル又はアシルであり、Rb’は、水素、アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、カルボキサミド、モノ-もしくはジ-アルキルカルバモイル又は場合により置換されているアラルキルオキシカルボニルである}、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているアリール-P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール-P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、一価の飽和炭素環基である)、場合により置換されているQ-低級アルキル基(ここで、Qは、上述の定義を有する)、場合により置換されているQ-低級P基(ここで、Q及びPは、上述の定義を有する)、又は-NR6R7{ここで、R6は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルであり;R7は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、-C(O)R8、-C(O)NR8R9、-SO2NR8R9、-SO2 R10、場合により置換されているアリールオキシカルボニル、アルコキシカルボニル、又は場合により置換されているアラルキルオキシカルボニルであるか;あるいはR6及びR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表す(ここで、R8及びR9は、独立して、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、又はP基(ここで、Pは、上述の定義を有する)であり;そしてR10は、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)である)}であるか;あるいはR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ’基(ここで、Q’は、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、飽和炭素環基である)を表し;R3は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、P基(ここで、Pは、上述の意味を有する)、又は低級アルコキシであり;R4は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、又はシクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキルであるか;あるいはR2及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ’基(ここで、Q’は、上述の定義を有する)を表すか;あるいはR3及びR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ’基(ここで、Q’は、上述の定義を有する)を表し;そしてR5は、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルである〕で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩もしくはそのエステル。
【請求項2】R2が、-NR6R7である、請求項1記載の化合物。」

3.刊行物の記載
刊行物1には、下記の構造を有する化合物5が記載されている(第5117頁右欄Scheme4参照 )。

Z:ベンジルオキシカルボニル基(第5117頁左欄Scheme3参照)

刊行物2には、下記の構造を有する化合物11が記載されている(第1265頁右欄Scheme III参照)。

また、下記の構造を有する化合物13が記載されている(第1265頁右欄Scheme III参照)。

Z:ベンジルオキシカルボニル基(反応式より明らかである)

刊行物3には、下記の構造を有する化合物3が記載されている(第2414頁Table1.参照)

また、下記の構造を有する化合物4が記載されている(第2415頁Table2.参照)。


刊行物4には、下記の構造を有する化合物2が記載されている(第1937頁参照)。


また、下記の構造を有する化合物3が記載されている(第1937頁参照)。


また、下記の構造を有する化合物13が記載されている(第1939頁参照)。


また、下記の構造を有する化合物15が記載されている(第1939頁参照)。


刊行物5には、下記の構造を有する化合物が記載されている(第942頁Scheme参照)。

R:水素、メチル、メチルとt-ブチル、t-ブチル基、クロロ、ベンゾ(第941頁Table参照)

刊行物6には、下記の構造を有する化合物IIIbが記載されている(第522頁参照)。

R1:水素、エトキシ(第522頁下から4行、第523頁1行参照)

刊行物7には、下記の構造を有する化合物LXXVが記載されている(第698〜699頁Table2参照)。

R:-SO2CH2CH2CO2H(第699頁参照)

刊行物8には、下記の構造を有する化合物6が記載されている(第333頁左欄参照)。


刊行物9には、R-S-CH2CH(NH2)CO2Hで表される化合物a〜dが記載されている(第937頁表2参照)。
R:a;CH3
b;C2H5
c;

d;


また、 下記の構造を有する化合物g、hが記載されている(第938頁表5参照)。

R:g;

h;

R’:g、hともCH3

刊行物10には、S-(3-メルカプト-4-メチル-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-D-システイン(第9頁右上欄13行〜14行参照)、S-(ピリジン-2-イル)-D-システイン(第10頁右下欄2行〜3行参照)、及び、S-(ピリミジン-2-イル)-D-システインが記載されている(第11頁右上欄9行〜10行参照)。

刊行物11には、下記の構造を有する化合物が記載されている(第10欄実施例4参照)。


また、下記の構造を有する化合物が記載されている(第10欄実施例5参照)。


また、下記の構造を有する化合物が記載されている(第17欄実施例17参照)。


また、下記の構造を有する化合物が記載されている(第17欄実施例17参照)。


また、下記の構造を有する化合物が記載されている(第17欄実施例18参照)。


刊行物12には、「p-chlorophenylcysteine」が記載されている。

刊行物13には、「L-BzCH2SCH2CH(NH3)+CO2-」、「MeSCH2CH(NHBz)CO2H」等が記載されている。

刊行物14には、「S-(p-bromophenyl)cysteine」が記載されている。

刊行物15には、「p-chlorophenylmercapturic acid」が記載されている。

4.対比・判断
(請求項1について)
本件特許明細書が上記のように訂正された結果、本件発明1の式(I)で示される化合物において、Yがヒドロキシの場合、n=0の場合は本件発明1には含まれないものとなった。したがって上記刊行物1ないし15にそれぞれ記載された化合物は本件発明1の化合物には該当しないので、本件発明1は上記刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではない。

(請求項2について)
訂正後の本件請求項2に係る発明は本件発明1の式(I)においてR2をさらに特定するものであるから、本件発明1の構成をその主たる構成として含むものである。そして上述したように本件発明1は上記刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではなく、したがって同様の理由により、本件請求項2に係る発明も、上記刊行物1ないし15にそれぞれ記載された発明ではない。

IV.むすび
以上のとおりであるから特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1及び2に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 式(I):
【化1】

〔式中、
nは、2であり;
Yは、XONH-(ここで、Xは、水素である)であり;
R1は、水素又は低級アルキルであり;
R2は、水素、低級アルキル、P基{ここでPは、炭素、水素、並びにORa’、NRa’Rb’、及びS(O)nRa’(ここで、nは、0、1又は2である)から独立して選択される、1個以上のヘテロ原子含有置換基を含有する、分岐又は非分岐の、環式又は非環式飽和有機基であり、ここでRa’は、水素、アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル又はアシルであり、Rb’は、水素、アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、カルボキサミド、モノ-もしくはジ-アルキルカルバモイル又は場合により置換されているアラルキルオキシカルボニルである}、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているアリール-P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール-P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、一価の飽和炭素環基である)、場合により置換されているQ-低級アルキル基(ここで、Qは、上述の定義を有する)、場合により置換されているQ-低級P基(ここで、Q及びPは、上述の定義を有する)、又は-NR6R7{ここで、
R6は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルであり;
R7は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、-C(O)R8、-C(O)NR8R9、-SO2NR8R9、-SO2R10、場合により置換されているアリールオキシカルボニル、アルコキシカルボニル、又は場合により置換されているアラルキルオキシカルボニルであるか;あるいは
R6及びR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表す(ここで、
R8及びR9は、独立して、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、又はP基(ここで、Pは、上述の定義を有する)であり;そして
R10は、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)である)}であるか;あるいは
R1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ′基(ここで、Q′は、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、飽和炭素環基である)を表し;
R3は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、P基(ここで、Pは、上述の意味を有する)、又は低級アルコキシであり;
R4は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、又はシクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキルであるか;あるいは
R2及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ′基(ここで、Q′は、上述の定義を有する)を表すか;あるいは
R3及びR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ′基(ここで、Q′は、上述の定義を有する)を表し;そして
R5は、低級アルキル、場合により置換されているシクルアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルである〕で示される化合物、又は薬学的に許容しうるその塩もしくはそのエステル。
【請求項2】 R2が、-NR6R7である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】 R1が、水素であり、そしてR5が、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】 R2が、水素であり、そしてR3が、場合により置換されているアラルキルであり、そしてR4が、水素である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】 R3が、ベンジルであり、そしてR5が、場合により置換されている、フェニル又はナフチルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】 R5が、フェニル、4-メトキシフェニル、1-(4-メトキシフェニル)-2-フェニルエテニル、フェニルチオフェニル、フェノキシフェニル、又はビフェニルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】 R5が、4-フェニルチオフェニル、4-フェノキシフェニル、又は4-ビフェニルである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】 R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル基を形成する、請求項3記載の化合物。
【請求項9】 R5が、4-メトキシフェニル又は4-フェノキシフェニルであり、そして場合により置換されているシクロアルキル基が、シクロペンチル、シクロヘキシル、又は4-メチルシクロヘキシルである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】 R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているQ′基(ここで、Q′は、請求項1と同義である)を形成する、請求項3記載の化合物。
【請求項11】 場合により置換されているQ′基が、場合により置換されている、ピペリジニル又はテトラヒドロピラニルである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】 場合により置換されているQ′基が、ピペリジン-4-イルであり、そしてR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである、請求項11記載の化合物。
【請求項13】 場合により置換されているQ′基が、1-メチルピペリジン-4-イルであり、そしてR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである、請求項11記載の化合物。
【請求項14】 場合により置換されているQ′基が、1-(シクロプロピルメチル)ピペリジン-4-イルであり、そしてR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである、請求項11記載の化合物。
【請求項15】 場合により置換されているQ′基が、テトラヒドロピラン-4-イルであり、そしてR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである、請求項11記載の化合物。
【請求項16】 R2及びR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル基を形成し、そしてR5が、場合により置換されているアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項17】 場合により置換されているシクロアルキル基が、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、R4が、水素であり、そしてR5が、4-メトキシフェニルである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】 R2が、-NR6R7であり、R1、R3及びR4が、水素であり、そしてR5が、場合により置換されているアリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項19】 R5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである、請求項18記載の化合物。
【請求項20】 R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているQ′基(ここで、Q′は、請求項1と同義である)を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項21】 R3及びR4が、両方とも水素であり、そして場合により置換されているQ′基が、場合により置換されている、ピペリジニル又はテトラヒドロピラニルである、請求項20記載の化合物。
【請求項22】 場合により置換されているQ′基が、ピペリジン-4-イルであり、そしてR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである、請求項21記載の化合物。
【請求項23】 場合により置換されているQ′基が、テトラヒドロピラン-4-イルであり、そしてR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル、4-(チオフェン-2-イル)フェノキシフェニル、4-(チオフェン-3-イル)フェノキシフェニル、4-(2-ピリジルオキシ)フェニル、4-(5-クロロ-2-ピリジルオキシ)フェニルである、請求項21記載の化合物。
【請求項24】 R1及びR2が、両方ともアルキルであり、R3及びR4が、水素であり、そしてR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項25】 N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-テトラヒドロピラン-4-イル〕-アセトアミド、
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド、
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド、
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-ピペリジン-4-イル〕-アセトアミド、
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド、
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド、
N-ヒドロキシ-2-〔1-メチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-ピペリジン-4-イル〕-アセトアミド、
2-〔1-シクロプロピルメチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-ピペリジン-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド、
2-{1-シクロプロピルメチル-4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド、
2-{1-シクロプロピルメチル-4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド、
(R)-2-(CBZ-バリンアミド)-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-プロピオンアミド、
(R)-N-ヒドロキシ-2-バリンアミド-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-プロピオンアミド、
(R)-2-ジメチルアミノ-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-プロピオンアミド、
(R)-2-ジメチルアミノスルホンアミド-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-プロピオンアミド、
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)、
4-〔4-(4-(チオフェン-2-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)、
3-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-2,2-ジメチル-N-ヒドロキシプロピオンアミド、及び
4-〔4-(4-(チオフェン-3-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)を含む群から選択される化合物、又は薬剤学的に許容しうるその塩。
【請求項26】 式(I):
【化2】

〔式中、
nは、2であり;
Yは、XONH-(ここで、Xは、水素である)であり;
R1は、水素又は低級アルキルであり;
R2は、水素、低級アルキル、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、一価の飽和炭素環基である)であるか;あるいは
R1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ′基(ここで、Q′は、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、飽和炭素環基である)を表し;
R3は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアラルキル、又は低級アルコキシであり;
R4は、水素又は低級アルキルであるか;あるいは
R2及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ′基(ここで、Q′は、上述の定義を有する)を表すか;あるいは
R3及びR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ′基(ここで、Q′は、上述の定義を有する)を表し;そして
R5は、低級アルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルである〕で示される化合物の製造方法であって、下記式:
【化3】

〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びYは、前記と同義である〕で示される化合物を酸化剤に接触させることを特徴とする方法。
【請求項27】 薬学的に許容しうる非毒性賦形剤、及び治療有効量の請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項28】 請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物を含有する、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤による治療で軽快する疾患状態、特に、慢性関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、歯周病、異所性脈管形成、多発性硬化症、腫瘍の転移、又は角膜潰瘍の治療剤。
【請求項29】 請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物を含有する、腫瘍壊死因子により仲介される疾患状態、特に、炎症、出血、対宿主性移植片反応又は自己免疫疾患の治療剤。
【請求項30】 マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤による治療で軽快する疾患状態、特に、慢性関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、歯周病、異所性脈管形成、多発性硬化症、腫瘍の転移、もしくは角膜潰瘍、又は腫瘍壊死因子により仲介される疾患状態、特に、炎症、出血、対宿主性移植片反応もしくは自己免疫病の治療用医薬の製造における、請求項1〜25のいずれか1項記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ、特に間質コラゲナーゼを阻害し、したがってこのようなマトリックスメタロプロテアーゼの阻害により軽快する疾患状態を有する哺乳動物の治療に有用である、式(I)の化合物、並びに薬学的に許容しうるその塩及びそのエステルに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
マトリックスメタロプロテアーゼ(「MMP」)は、結合組織の分解と再構築に関係するプロテアーゼ(酵素)のファミリーである。エンドペプチダーゼ酵素のこのファミリーのメンバーは、結合組織に存在するか、又は結合組織に関連している種々の型の細胞(繊維芽細胞、単球、マクロファージ、内皮細胞、及び侵襲性又は転移性腫瘍細胞など)に存在する。MMPの発現は、局所的組織環境〔ここで、これらの酵素が作用して、細胞外マトリックスのタンパク質成分(コラーゲン、プロテオグリカン(タンパク質コアなど)、フィブロネクチン及びラミニン)を特異的に分解する〕中の増殖因子及びサイトカインにより刺激される。これらの遍在する細胞外マトリックス成分は、関節の内層(linings)、間質結合組織、基底膜、及び軟骨に存在する。MMPによる細胞外マトリックスの過剰な分解は、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、脳卒中に関連する脳出血、歯周病、異所性脈管形成、腫瘍の侵襲及び転移、角膜潰瘍、並びに糖尿病の合併症を含む、多くの疾患の病因に関係している。したがってMMPの阻害は、治療目標として認識されている。
【0003】
MMP類は、亜鉛及びカルシウムに対する依存性、チモーゲンとしての分泌、及び40〜50%のアミノ酸配列相同性を含む多くの性質を共有する。現在のところMMPファミリーは、少なくとも11個の酵素よりなり、以下に更に詳細に検討されるように、コラゲナーゼ、ストロメリシン(stromelysins)、ゼラチナーゼ、マトリリシン(matrilysin)、メタロエラスターゼ、及び膜型MMPを含む。
【0004】
間質コラゲナーゼは、未変性のI、II、及びIII型コラーゲンの最初でかつ律速の切断を触媒する。哺乳動物の主な構造タンパク質であるコラーゲンは、多くの組織(例えば、軟骨、骨、腱及び皮膚)のマトリックスの必須成分である。間質コラゲナーゼは、これらのコラーゲンを切断して2つの断片にする非常に特異的なマトリックスメタロプロテアーゼであり、切断された断片は、自然に生理学的温度で変性するため、あまり特異的でない酵素による切断を受けやすくなる。コラゲナーゼによる切断は、標的組織の構造的完全性を損う、本質的に不可逆的なプロセスである。現在3つのヒトコラゲナーゼが知られている。第1のものは、繊維芽細胞及びマクロファージを含む種々の細胞により産生される、ヒト繊維芽細胞型コラゲナーゼ(HFC、MMP-1、又はコラゲナーゼ-1)である。第2のものは、これまでに好中球により産生されることが証明されたのみである、ヒト好中球型コラゲナーゼ(HNC、MMP-8、又はコラゲナーゼ-2)である。最も最近発見されたMMPのこの群のメンバーは、元々乳ガンで発見されたが、その後軟骨細胞により産生されることが証明された、ヒトコラゲナーゼ-3(MMP-13)である。齧歯類に存在することが知られている唯一のコラゲナーゼは、ヒトコラゲナーゼ-3の相同体である。
【0005】
ゼラチナーゼは、2つの、全く別ではあるが関連性の高い酵素:繊維芽細胞及び種々の他の型の細胞により分泌される72kDの酵素(ゼラチナーゼA、HFG、MMP-2)、並びに単核食細胞、好中球、角膜表皮細胞、腫瘍細胞、細胞栄養芽層及びケラチノサイトにより放出される92kDの酵素(ゼラチナーゼB、HNG、MMP-9)を含む。これらのゼラチナーゼは、ゼラチン(変性コラーゲン)、IV型コラーゲン(基底膜)及びV型コラーゲン、フィブロネクチン並びに不溶性エラスチンを分解することが証明されている。
【0006】
ストロメリシン1及び2は、ラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、並びにIV型及びIX型コラーゲンを含む広い範囲のマトリックス物質をその非らせんドメインで切断することが証明されている。
【0007】
マトリリシン(MMP-7、PUMP-1)は、プロテオグリカン、ゼラチン、フィブロネクチン、エラスチン、及びラミニンを含む広い範囲のマトリックス物質を分解することが証明されている。その発現は、単核食細胞、ラット子宮外植片及び時々は腫瘍で報告されている。他のあまり性状解析されていないMMPは、マクロファージメタロエラスターゼ(MME、MMP-12)、膜型MMP(MMP-14)、及びストロメリシン-3(MMP-11)を含む。
【0008】
MMP阻害剤は、細胞外マトリックスの過剰な分解に関連する疾患〔関節炎(慢性関節リウマチ及び変形性関節症)、多発性硬化症、骨再吸収疾患(骨粗鬆症など)、糖尿病に関連したコラーゲン分解の増加、慢性閉塞性肺疾患、脳卒中に関連する脳出血、歯周病、角膜潰瘍又は胃潰瘍、皮膚潰瘍、腫瘍の侵襲及び転移、並びに異所性脈管形成など〕に有用な治療法を提供する。組織コラーゲンの分解における個々のコラゲナーゼの関与は、その組織に著しく依存するのであろう。ヒトコラゲナーゼの組織分布により、コラゲナーゼ-3が、軟骨のコラーゲンマトリックスの分解に主に関与し、一方コラゲナーゼ-1は、皮膚及び他の軟組織の組織再構築に関与しているらしいことが示唆されている。即ち、コラゲナーゼ-1よりもコラゲナーゼ-3に対して選択的な阻害剤は、軟骨糜爛に関連する疾患(関節炎など)の治療に好適である。
【0009】
MMPの阻害剤はまた、細胞からの腫瘍壊死因子(TNF)の放出を実質的に阻害することが知られており、このため、TNFにより仲介される症状の治療に使用することができる。このような用途としては、炎症、発熱、心血管作用、出血、血液凝固及び急性期応答、悪液質及び食欲不振、急性感染症、ショック状態、再狭窄、動脈瘤疾患、対宿主性移植片反応並びに自己免疫疾患の治療が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
細胞からのTNFの放出に及ぼすこれらの効果に加えて、MMP阻害剤はまた、可溶性受容体(CD30並びにTNF(p55及びp75)、IL-6、IL-1及びTSHの受容体)、接着分子(例えば、L-セレクチン、ICAM-1、フィブロネクチン)、並びに他の増殖因子及びサイトカイン(Fasリガンド、TGF-α、EGF、HB-EGF、SCF及びM-CSFを含む)を含む、細胞からの他の生物学的に活性な分子の放出を阻害することが証明されている。このようなタンパク質の放出又は発散の阻害は、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、血管疾患、II型糖尿病、HIV、悪液質、乾癬、アレルギー、肝炎、炎症性腸疾患、及びガンを含む多くの疾患状態に恩恵をもたらしうる。
【0011】
発散する酵素(シェダーゼ(sheddases))の非特異的な阻害は、反対の薬理学的作用をもたらすことがあるため、選択性を有するということは特に有利になろう(例えば、TNF受容体放出の阻害を伴うことのないTNF放出の阻害)。
【0012】
MMP阻害剤の設計及び用途は、例えば、J.Enzyme Inhibition,2,1-22(1987);Drug News & Prospectives,3(8),453-458(1990);Arthritis and Rheumatism,36(2),181-189(1993);Arthritis and Rheumatism,34(9),1073-1075(1991);Seminars in Arthritis and Rheumatism,19(4),Supplement 1(February),16-20(1990);及びDrugs of the Future,15(5),495-508(1990)に記載されている。MMP阻害剤はまた、種々の特許及び特許出願の主題である(例えば、米国特許第5,189,178号及び第5,183,900号、ヨーロッパ特許出願公開438223号、606426号、及び276436号、並びにPCT出願公開WO 92/21360、WO 92/06966、WO 92/09563、及びWO 94/25434)。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの面は、式(I):
【0014】
【化4】

【0015】
〔式中、
nは、0、1又は2であり;
Yは、ヒドロキシ又はXONH-(ここで、Xは、水素又は低級アルキルである)であり;
R1は、水素又は低級アルキルであり;
R2は、水素、低級アルキル、P基{ここでPは、炭素、水素、並びにORa’、NRa’Rb’、及びS(O)nRa’(ここで、nは、0、1又は2である)から独立して選択される、1個以上のヘテロ原子含有置換基を含有する、分岐又は非分岐の、環式又は非環式飽和有機基であり、ここでRa’は、水素、アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル又はアシルであり、Rb’は、水素、アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、カルボキサミド、モノ-もしくはジ-アルキルカルバモイル又は場合により置換されているアラルキルオキシカルボニルである}、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているアリール-P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール-P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、一価の飽和炭素環基である)、場合により置換されているQ-低級アルキル基(ここで、Qは、上述の定義を有する)、場合により置換されているQ-低級P基(ここで、Q及びPは、上述の定義を有する)、又は-NR6R7{ここで、
R6は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルであり;
R7は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、-C(O)R8、-C(O)NR8R9、-SO2NR8R9、-SO2R10、場合により置換されているアリールオキシカルボニル、アルコキシカルボニル、又は場合により置換されているアラルキルオキシカルボニルであるか;あるいは
R6及びR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表す(ここで、
R8及びR9は、独立して、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、又はP基(ここで、Pは、上述の定義を有する)であり;そして
R10は、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、P基(ここで、Pは、上述の定義を有する)、又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)である)}であるか;あるいは
R1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表し;
R3は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル、P基(ここで、Pは、上述の意味を有する)、又は低級アルコキシであり;
R4は、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、又はシクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキルであるか;あるいは
R2及びR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表すか;あるいは
R3及びR4は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表し;そして
R5は、低級アルキル、場合により置換されているシクルアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルである〕で示される化合物〔ただし、3-(p-トリルチオ)プロピオン酸は除く〕、又は薬学的に許容しうるその塩もしくはそのエステルに関する。
【0016】
本発明の第2の面は、少なくとも1つの薬剤学的に許容しうる賦形剤と混合された、治療有効量の式(I)の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩もしくはそのエステルを含有する医薬組成物に関する。
【0017】
本発明の第3の面は、マトリックスメタロプロテアーゼの阻害により軽快する疾患状態を有する哺乳動物を治療するための方法であって、有効量の式(I)の化合物又はそれを含有する医薬組成物を哺乳動物に投与することによる上記方法に関する。このような疾患状態としては、関節炎、多発性硬化症、骨再吸収疾患(骨粗鬆症など)、糖尿病に関連したコラーゲン分解の増加、慢性閉塞性肺疾患、脳卒中に関連する脳出血、歯周病、角膜潰瘍又は胃潰瘍、皮膚潰瘍、及び腫瘍の転移が挙げられる。
【0018】
本発明の第4の面は、式(I)の化合物を製造する方法に関する。
【0019】
上記と同義の本発明の化合物のファミリーの中で、式(I)の化合物の特別のファミリーは、nが、0、1又は2であり;Yが、ヒドロキシ又はXONH-(ここで、Xは、水素又は低級アルキルである)であり;R1が、水素又は低級アルキルであり;R2が、水素、低級アルキル、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)、又は-NR6R7であるか;あるいはR1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表し〔ここで、R6は、水素、低級アルキル、又はフェニルであり;そしてR7は、水素、低級アルキル、ベンジル、-C(O)R8、-C(O)NR8R9、-SO2NR8R9、-SO2R10、ベンジルオキシカルボニル、又はアルコキシカルボニルであるか;あるいはR6及びR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表す(ここで、R8及びR9は、独立して、水素又は低級アルキルであり;そしてR10は、低級アルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)である)〕;R3が、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアラルキル、又は低級アルコキシであり;R4が、水素、又は低級アルキルであるか;あるいはR2及びR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表すか;あるいはR3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表し;そしてR5が、低級アルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルであることよりなる。
【0020】
これらのファミリーの中で、好適なカテゴリーは、nが、2であり、そしてYが、-NHOHである化合物を含む。
【0021】
このカテゴリーの中で、1つの好適なグループは、R1が、水素であり、そしてR5が、場合により置換されているアリール又は場合により置換されているヘテロアリールである化合物を含む。このグループの中で1つの好適なサブグループは、R2が、水素であり、そしてR3が、場合により置換されているアラルキル、特にベンジルであり、そしてR4が、水素であり、そしてR5が、場合により置換されている、フェニル又はナフチル、特に、R5が、フェニル、4-メトキシフェニル、1-(4-メトキシフェニル)-2-フェニルエテニル、フェニルチオフェニル(特に、4-フェニルチオフェニル)、フェノキシフェニル(特に、4-フェノキシフェニル)、又はビフェニル(特に、4-ビフェニル)である化合物を含む。
【0022】
このグループの中の別の好適なサブグループは、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル基、特にシクロペンチル、シクロヘキシル又は4-メチルシクロヘキシルを形成する化合物、とりわけR5が、4-メトキシフェニル又は4-フェノキシフェニルである場合との組合せのこれらの化合物を含む。
【0023】
このグループの中の更に別の好適なサブグループは、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)、特に、場合により置換されている、ピペリジニル又はテトラヒドロピラニル、とりわけ、ピペリジン-4-イル、1-メチルピペリジン-4-イル、1-(シクロプロピルメチル)ピペリジン-4-イル、又はテトラヒドロピラン-4-イルを形成する化合物、殊にR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである場合との組合せのこれらの化合物を含む。
【0024】
このカテゴリーの中の別の好適なグループは、R2が、-NR6R7であり、R1、R3及びR4が、水素であり、そしてR5が、場合により置換されているアリールである化合物を含む。このグループの中の1つの好適なサブグループは、R5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである化合物、特にR6が、水素であり、そしてR7が、2-CBZ-アミノ-3-メチル-1-ブタノイル、2-アミノ-3-メチル-1-ブタノイル又はジメチルアミノスルホニルである場合との組合せのこれらの化合物を含む。
【0025】
このカテゴリーの別の好適なグループは、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を形成する化合物を含む。このグループの中の好適なサブグループは、R3及びR4が、両方とも水素であり、そしてR1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)、特に、場合により置換されている、ピペリジニル又はテトラヒドロピラニル、とりわけ、ピペリジン-4-イル、1-メチルピペリジン-4-イル、1-(シクロプロピルメチル)ピペリジン-4-イル、又は最も好適にはテトラヒドロピラン-4-イルを形成する化合物、殊にR5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-フルオロフェノキシ)フェニル、4-(チオフェン-2-イル)フェノキシフェニル、4-(チオフェン-3-イル)フェノキシフェニル、4-(チアゾール-2-イル)フェノキシフェニル、4-(2-ピリジルオキシ)フェニル、又は4-(5-クロロ-2-ピリジルオキシ)フェニルである場合との組合せのこれらの化合物を含む。
【0026】
このカテゴリーの中の別の好適なグループは、R1及びR2が、両方ともアルキルであり、R3及びR4が、水素である化合物を含む。1つの好適なサブグループは、R5が、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである化合物を含む。
【0027】
このカテゴリーの中の別なグループは、R2及びR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル基を形成し、そしてR5が、場合により置換されているアリールである化合物を含む。好適には、この場合により置換されているシクロアルキル基は、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、R4は、水素であり、そしてR5は、4-メトキシフェニル、4-フェノキシフェニル、4-(4-ブロモフェノキシ)フェニル、4-(4-クロロフェノキシ)フェニル、又は4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである。
【0028】
好適な化合物は、以下の化合物及び薬学的に許容しうるその塩である:
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-テトラヒドロピラン-4-イル〕-アセトアミド;
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-ピペリジン-4-イル〕-アセトアミド;
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔1-メチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-ピペリジン-4-イル〕-アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-{1-メチル-4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-{1-メチル-4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-アセトアミド;
2-〔1-シクロプロピルメチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-ピペリジン-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド;
【0029】
2-{1-シクロプロピルメチル-4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{1-シクロプロピルメチル-4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルフィニル)-テトラヒドロピラン-4-イル〕-アセトアミド;
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルフィニル〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルフィニル〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)-テトラヒドロピラン-4-イル〕-アセトアミド;
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルチオ〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルチオ〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
【0030】
4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
3-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-2,2-ジメチル-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-(シクロプロピルメチル)ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-(ニコチノイル)-ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-(チオフェン-2-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-(チオフェン-3-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-(フラン-2-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-(ベンゾフラン-2-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-(チアゾール-2-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
【0031】
4-〔4-(4-(チアゾール-4-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-(チアゾール-5-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-(イミダゾール-1-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-(イミダゾール-2-イル)-フェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(5-クロロ-2-ピリジルオキシ)フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
3-〔4-(5-クロロ-2-ピリジルオキシ)フェニルスルホニル〕-2,2-ジメチル-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
(R)-2-(CBZ-バリンアミド)-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
(R)-N-ヒドロキシ-2-バリンアミド-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-プロピオンアミド;
(R)-2-ジメチルアミノ-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-プロピオンアミド;
(R)-2-ジメチルアミノスルホンアミド-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-プロピオンアミド。
【0032】
定義
本明細書で本発明を記載するために使用される種々の用語の意味及び範囲を説明し、定義するために以下の定義を設けた。
【0033】
「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチルなどの、1〜8個の炭素原子を含有する、分岐又は非分岐の飽和炭化水素鎖を意味する。
【0034】
「低級アルキル」は、他に指定がなければ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、n-ブチル、n-ヘキシルなどの、1〜6個の炭素原子を含有する、分岐又は非分岐の飽和炭化水素鎖を意味する。
【0035】
P基(「ヘテロアルキル」)という用語は、炭素、水素、並びにORa’、NRa’Rb’、及びS(O)nRa’(ここで、nは、0、1又は2である)から独立して選択される、1個以上のヘテロ原子含有置換基を含有する、分岐又は非分岐の、環式又は非環式飽和有機基のことをいい、そしてRa’は、水素、アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアラルキル又はアシルであり、Rb’は、水素、アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、アシル、アルキルスルホニル、カルボキサミド、モノ-もしくはジ-アルキルカルバモイル又は場合により置換されているアラルキルオキシカルボニルである。代表的な例は、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシメチル、N-アシルアミノアルキル、チエニルチオメチルなどを含む。
【0036】
「アシル」とは、-C(O)-R′基(ここで、R′は、低級アルキルである)のことをいう。
【0037】
「アルキレン」とは、炭素及び水素のみからなり、不飽和結合を含まず、1〜6個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の二価の基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、2-メチルプロピレン、ブチレン、2-エチルブチレン、ヘキシレンなど)のことをいう。
【0038】
「低級アルコキシ」は、-O-R′基(ここで、R′は、低級アルキルである)を意味する。
【0039】
「アルコキシカルボニル」は、R″O-C(O)-基(ここで、R″は、前記と同義のアルキルである)を意味する。
【0040】
「アルコキシカルボニルアルキル」は、R″OC(O)(CH2)n-基(ここで、R″は、前記と同義のアルキルであり、そしてnは、1、2又は3である)を意味する。
【0041】
「アリール」とは、単一の環(例えばフェニル)又は2つの縮合した環(例えばナフチル)を有する一価の芳香族炭素環基のことをいい、これらは、場合により、ヒドロキシ、カルボキシ、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、低級アルコキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、トリフルオロメチル及び/又はシアノにより、独立して、モノ-、ジ-又はトリ-置換されていてもよい。あるいはこの環は、Ra-Z-基〔ここで、Zは、酸素、硫黄、-CH=CH-、-CH2-、カルボニル、共有結合、又は場合により低級アルキルで置換されている窒素であり、そしてRaは、1個又は2個の環を有する、一価の芳香族炭素環、場合により置換されているヘテロアリールもしくは場合により置換されているQ基(ヘテロシクロ基)、又はその組合せであり{例えば、フェニル、ピリジル、チエニル、イミダゾリル、フラニル、ピリミジニル、ベンゾチオフェン、アザナフタレン、インドリル、フェニル-(フラン-2-イル)、フェニル-(チエン-2-イル)、フェニル-(チエン-3-イル)、フェニル-(イミダゾール-2-イル)、フェニル-(チアゾール-2-イル)、フェニル-(モルホリン-2-イル)、及びフェニル-(オキサゾール-2-イル)}、Raにより表される環は、ヒドロキシ、カルボキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル及び/又はシアノで、場合によりモノ-又はジ-置換されている〕で場合によりモノ置換されていてもよい。Ra-Z-により置換されているアリールの例は、ベンゾイル、ジフェニルメタン、ビフェニル、6-メトキシビフェニル、4-(4-メチルフェノキシ)フェニル、4-フェノキシフェニル、2-チオフェノキシフェニル、4-ピリドエテニルフェニル、4-(チオフェン-2-イル)フェノキシフェニル、4-(チオフェン-3-イル)フェノキシフェニル、4-(2-ピリジルオキシ)フェニル、4-(5-クロロ-2-ピリジルオキシ)フェニル、4-(チアゾール-5-イル)フェノキシフェニル、4-(イミダゾール-2-イル)フェノキシフェニルなどである。
【0042】
「ヘテロアリール」とは、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、キノリル、ベンゾフラニル、ピリジル、及びインドリルなどの、環内に1個、2個又は3個のヘテロ原子(N、O又はSから選択される)を組み込んだ、1個又は2個の環を有する一価の芳香族炭素環基のことをいい、これらは、場合により、OH、COOH、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル及び/又はシアノにより、独立して、モノ-、ジ-又はトリ-置換されていてもよい。
【0043】
「アラルキル」とは、式Rb-Rc-(ここで、Rbは、上記と同義のアリールであり、そしてRcは、上記と同義のアルキレンである)の基(例えば、ベンジル、フェニルエチル、3-フェニルプロピル、ビフェニルプロピル)のことをいう。
【0044】
「ベンジルオキシカルボニル」とは、式RdCH2OC(O)-(ここで、Rdは、フェニルである)の基のことをいう。「ベンジルオキシカルボニルアミノ」とは、式RdCH2OC(O)NH-(ここで、Rdは、フェニルである)の基のことをいう。
【0045】
「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルなどの、3〜8個の炭素原子を含有する飽和の一価の単環の炭化水素基を意味する。
【0046】
「シクロアルキルアルキル」は、上記と同義のアルキレン基に結合した、上記と同義のシクロアルキルを意味する。
【0047】
「ハロ」とは、ブロモ、クロロ又はフルオロのことをいう。
【0048】
「ヘテロアラルキル」とは、式ReRc-(ここで、Reは、上記と同義のヘテロアリールであり、そしてRcは、上記と同義のアルキレンである)の基のことをいう。
【0049】
Q基(「ヘテロシクロ」)とは、場合により、置換又は非置換ベンゼン環に縮合している、N、O、又はSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子で置き換えられている、5〜7員の単環又は9〜14員の二環よりなる、一価の飽和炭素環基のことをいう。Q基の例は、モルホリノ、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル-1,1-ジオキシド、テトラヒドロピラニルなどであり、これらは、場合により、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アシル、バリル、アルキルスルホニル、ジアルキルアミノ、ヘテロアリール、ヘテロアロイル、アルコキシカルボニルアルキル、及び適宜アミノ基が保護されている基(例えば、CBZ、例えば、1-CBZ-ピペリジン-4-イル)から独立して選択される、1個以上の置換基で置換されていてもよい。しかし、「R6及びR7は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されているQ基を表す」という定義は、明らかに、少なくとも1個の窒素原子を含有するQ基のみのことをいう。
【0050】
「ヒドロキシルアミノ」とは、-NHOH基のことをいう。
【0051】
「BOC」とは、tert-ブトキシカルボニルのことをいう。
【0052】
「CBZ」とは、ベンジルオキシカルボニルのことをいう。
【0053】
「DCC」とは、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミドのことをいう。
【0054】
「バリンアミド」とは、(CH3)2CHCH(NH2)C(O)NH-基のことをいう。
【0055】
「任意の」又は「場合により」は、続いて記載される状況が、発生するか又はしないこと、並びにその説明が、その事態もしくは状況が発生する場合、及び発生しない場合を含むことを意味する。例えば、「場合により置換されているフェニル又はアリール」は、そのフェニル又はアリール残基が、置換されているか又はされていないこと、並びにその説明が、置換されているフェニル又はアリール及び未置換のフェニル又はアリールの両方を含むことを意味する。「任意の薬剤賦形剤」は、存在することが具体的に記述される場合のほかは、そのように記載される組成物又は剤型が、薬剤賦形剤を含むか又は含まなくてもよいこと、並びにそのように記載される処方又は剤型が、任意の賦形剤を含む場合、及び含まない場合を包含することを示す。
【0056】
本明細書で使用される「アミノ保護基」とは、合成過程での望ましくない反応から窒素原子を保護することを目的とする有機基のことをいい、ベンジル、アシル、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ)、p-メトキシベンジルオキシ-カルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、トリフルオロアセチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用される「塩基」は、無機の強塩基(水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウムなど)、及び有機塩基(ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、4-メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジンなど)の両方を含む。
【0058】
「薬学的に許容しうる塩」とは、その遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び性質を維持し、かつ生物学的にも他の点でも有害でない塩のことをいう。化合物が遊離塩基として存在するならば、目的の酸付加塩は、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など);又は有機酸(酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸など)により化合物を処理するなどの、当業者に知られている方法により調製することができる。化合物が遊離酸として存在するならば、目的の塩基付加塩もまた、無機塩基又は有機塩基により化合物を処理するなどの当業者に知られている方法により調製することができる。無機塩基から誘導される塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などを含むが、これらに限定されない。有機塩基から誘導される塩は、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然の置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂を含む置換アミン類(イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂など)を含むが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用される「薬剤学的に許容しうるエステル」とは、例えば、Yがヒドロキシである式(I)の化合物の非毒性エステルのことをいい、これは、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、i-ブタノール(又は2-メチルプロパノール)、n-ペンタノール、n-ヘキサノールなどの、1〜8個の炭素原子の適切なアルカノールと、このような化合物とを、当該分野で知られている方法により反応させることにより形成される。
【0060】
「不活性有機溶媒」又は「不活性溶媒」という用語は、これと共に記載される反応の条件下で不活性である溶媒を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、N,N-ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム(「CHCl3」)、塩化メチレン(又はジクロロメタン又は「CH2Cl2」)、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、ジオキサン、ピリジンなどを含む。相反する指定がなければ、本発明の反応に使用される溶媒は不活性溶媒である。
【0061】
本発明の化合物は、1個以上の不斉中心を有することがあり;したがってこのような化合物は、立体異性体の混合物として、又は個々の(R)-もしくは(S)-立体異性体として製造することができる。個々のエナンチオマーは、合成における適切な段階で、中間体のラセミ混合物又は非ラセミ混合物を分割することにより得ることができる。個々の(R)-又は(S)-立体異性体、並びに立体異性体のラセミ混合物及び他の混合物は、本発明の範囲に包含されると理解される。
【0062】
置換基の前の記号「(R)」又は「(S)」の使用は、カーン-インゴールド-プレローグ表示法によるその置換基の絶対立体配置を表す〔Cahnら,Angew.Chem.Inter.Edit.,5,385(1966),正誤表,p.511;Cahnら,Angew.Chem.,78,413(1966);Cahn及びIngold,J.Chem.Soc.,(London),612(1951);Cahnら,Experientia,12,81(1956);Cahn J.,Chem.Educ.,41,116(1964)を参照〕。α又はβのプレフィクスを有する化合物中の、指定される置換基と他の置換基との相互関係のため、1つの置換基の絶対配置の指定により、化合物中の全ての置換基の絶対配置が確定され、そして全体として化合物の絶対配置が確定される。
【0063】
「立体異性体」は、原子の空間中の配置のみが異なる異性体である。
【0064】
「エナンチオマー」は、相互に重ね合わすことのできない鏡像である一対の立体異性体である。エナンチオマーは、偏光面を逆方向に回転させる。面を左に回転させるエナンチオマーをレボ異性体と呼び、(-)と表す。面を右に回転させるエナンチオマーをデキストロ異性体と呼び、(+)と表す。
【0065】
「ジアステレオマー」は、相互に鏡像でない立体異性体である。
【0066】
「ラセミ混合物」は、等量の個々のエナンチオマーを含有する混合物を意味する。「非ラセミ混合物」は、等しくない量の個々のエナンチオマーを含有する混合物である。
【0067】
「哺乳動物」は、ヒト、並びにウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなどを含むが、これらに限定されない、全ての家畜動物及び野生動物を含む。
【0068】
本明細書で使用される「治療する」又は「治療」は、哺乳動物(特にヒト)の疾患状態の治療を包含し、そして下記を含む:
(i)特に、哺乳動物が疾患状態の素因を有するが、未だ疾患状態であると診断されていない場合に、哺乳動物で疾患状態が発症するのを予防し;
(ii)疾患状態を阻害、即ち、その進行を阻止するか;又は
(iii)疾患状態を軽快させる、即ち、疾患状態の緩解を引き起こす。
【0069】
「治療有効量」という用語は、上記と同義の治療を必要とする哺乳動物に投与して、このような治療を行うために十分な式(I)の化合物の量のことをいう。治療有効量は、治療される被験体及び疾患状態、病気の重症度、並びに投与方法に依存して変化し、当業者により日常的に決定することができる。
【0070】
命名法
以下に図示する式(I)の化合物は、表示するナンバリングシステムを使用して命名される:
【0071】
【化5】

【0072】
Yが、N-ヒドロキシルアミノであり;R1及びR2が、水素であり;R3が、ベンジルであり;R4が、水素であり;R5が、4-メトキシフェニルであり;そしてnが、2である、式(I)の化合物は、3-ベンジル-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)-N-ヒドロキシプロピオンアミドと命名される。
【0073】
Yが、N-ヒドロキシルアミノであり;R1及びR2が、水素であり;R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラン-4-イルを表し;R5が、4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルであり;そしてnが、2である、式(I)の化合物は、酢酸誘導体、即ち、2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)-フェニルスルホニル〕-テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシ-アセトアミドとして命名される。
【0074】
Yが、ヒドロキシであり;R1が、水素であり;R2が、メチルであり;R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1-メチルピペリジン-4-イルを表し;R5が、ビフェニルであり;そしてnが、1である、式(I)の化合物は、2-〔4-(ビフェニル-4-スルフィニル)-1-メチルピペリジン-4-イル〕-プロピオン酸と命名される。
【0075】
Yが、N-ヒドロキシルアミノであり;R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラン-4-イルを表し;R3及びR4が、水素であり;R5が、4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルであり;そしてnが、2である、式(I)の化合物は、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)-フェニルスルホニルメチル〕-テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)と命名される。
【0076】
合成反応パラメーター
相反する指定がなければ、本明細書に記載される反応は、大気圧で、5℃〜100℃(好適には10℃〜50℃;最も好適には「室温」又は「周囲温度」、例えば20℃)の温度範囲内で行われる。更に、他に指定がなければ、例えば、およそ大気圧で約5℃〜約100℃(好適には約10℃〜約50℃;最も好適には約20℃)の温度範囲内で、約1〜約10時間(好適には約5時間)にわたり行われるというように、反応時間及び条件は概算であることが意図される。実施例において記載したパラメーターは、概算でなく、特定的なものであることが意図される。
【0077】
式(I)の化合物を形成するために使用されるアミドカップリングは、一般に、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)又は塩化メチレン(CH2Cl2)などの不活性溶媒中、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT)の存在下で、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN′-エチル-N′-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩又は代わりに1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)などの試薬によるカルボジイミド法により行う。アミド又はペプチド結合を形成する他の方法は、酸塩化物、アジ化アシル、混成無水物又はp-ニトロフェニルエステルのような活性化エステルを介する合成経路を含むが、これらに限定されない。典型的には、ペプチド断片との、又はこの断片を含まない溶液相アミドカップリングを行う。
【0078】
式(I)の化合物の調製に使用するアミノ保護基の選択は、一部は特定のアミドカップリング条件により、そして一部はカップリングに関係する成分により決定する。通常使用されるアミノ保護基は、例えば、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ)(CBZ)、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、N-tert-ブトキシカルボニル(BOC)などの、当該分野でよく知られているものを含む。α-アミノ基の保護基としてBOC又はCBZのいずれかを使用することが好適であるが、これは、BOCの場合には穏やかな酸(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)又は酢酸エチル中の塩酸)により;CBZの場合には接触水素化により、比較的容易に脱離することができるからである。
【0079】
式(I)の化合物の調製
特に、nが、1又は2であり;Yが、ヒドロキシ又はXONH-(ここで、Xは、水素又は低級アルキルである)であり;R1が、水素又は低級アルキルであり;R2が、水素、低級アルキル、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)であるか;あるいはR1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表し;R3が、水素、低級アルキル、場合により置換されているシクロアルキル、シクロアルキル部分が場合により置換されているシクロアルキルアルキル、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアラルキル、又は低級アルコキシであり;R4が、水素又は低級アルキルであるか;あるいはR2及びR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表すか;あるいはR3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、場合により置換されているシクロアルキル又は場合により置換されているQ基(ここで、Qは、上述の定義を有する)を表し;そしてR5が、低級アルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアラルキル、場合により置換されているヘテロアリール、又は場合により置換されているヘテロアラルキルである、式(I)の化合物を調製するための1つの方法は、下記式:
【0080】
【化6】

【0081】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びYは、前記と同義である〕で示される化合物を酸化剤に接触させることを含む。適切な酸化条件は、下記反応式VIIIの記載において略述する。
【0082】
nが、0であり、R1が、水素であり、そしてR2が、-NR6R7ではない、式(I)の化合物を調製する1つの方法は、式(4)の対応する不飽和酸から調製するものであり、式(4)の化合物の調製法は下記反応式Iに示す:
反応スキームI
【0083】
【化7】

【0084】
出発物質
式(1)のアルデヒド及びケトンは、市販されている(例えばアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から)か、又は以下に示すように調製することができるか、又は当業者によく知られている方法により調製することができる。式(2)のイリドは、市販されている〔例えば、(tert-ブトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホランは、アルドリッチから入手できる〕か、又は、例えば、式R2CHBrCO2-(tert-ブチル)の適切なブロモ誘導体をトリフェニルホスフィンと反応させ、生じた臭化トリフェニルホスホニウム誘導体を強塩基と反応させることにより、当業者に知られている標準的方法により調製することができる。
【0085】
工程1:式(3)の化合物の調製
概略を述べると、式(1)のアルデヒド又はケトン化合物の溶液を、不活性有機溶媒(例えばベンゼン)中で、式(2)の化合物(又は代わりに、対応するホスホン酸エステル、例えばホスホノ酢酸トリメチル)と、8〜48時間にわたり15℃〜30℃(アルデヒド)、好適には20℃、又は70℃〜90℃(ケトン)、好適には80℃で、出発物質がなくなるまで反応させる。この反応生成物である式(3)のエン酸エステルを従来法により単離し、精製する。
【0086】
工程2:式(4)の化合物の調製
次に式(3)の化合物を、酸性条件下で場合により不活性溶媒の存在下(例えば、塩化メチレン中でトリフルオロ酢酸による処理)で、約20分〜3時間加水分解する。この反応は、約0℃〜40℃(好適にはおよそ室温)の温度範囲で行う。工程1でホスホノ酢酸トリメチルを使用する場合は、メチルエステルが生成し、これは、塩基性条件下で従来法(例えば、水性メタノール又はエタノール中の水酸化ナトリウム)により加水分解してもよい。この反応生成物である式(4)のエン酸を従来法により単離し、精製する。
【0087】
R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ピペリジン誘導体を表す、式(4)の化合物の調製
下記に式(4a)の化合物として表される、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ピペリジン誘導体を表す、式(4)の化合物の調製では、一般に、NH基の保護が必要である。一例を下記反応式IIに示す。
【0088】
【化8】

【0089】
工程1:式(b)の化合物の調製
概略を述べると、式(a)のヒドロキシピペリジン化合物の溶液を、不活性有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で、過剰の第三級塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下で、(a)を等モル量のクロロギ酸ベンジルと反応させることにより保護する。この反応は、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約10〜30時間、好適には約18時間行う。式(b)の反応生成物を従来法により単離し、精製する。
【0090】
工程2:式(1a)の化合物の調製
式(1a)の化合物は、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、保護ピペリジン誘導体を表す、式(1)の化合物である。
【0091】
概略を述べると、式(b)の化合物の溶液を、不活性有機溶媒(例えば塩化メチレン)中で、(b)を酸化剤(例えばクロロクロム酸ピリジニウム)と、好適には不活性支持体(例えばセライト)の存在下で反応させることにより、式(1a)のケトンに酸化する。この反応は、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約10〜30時間、好適には約18時間行う。式(1a)の反応生成物を従来法により単離し、精製する。
【0092】
あるいは、ショッテン-バウマン条件下で市販の4-ピペリドン一水和物塩酸塩をクロロギ酸ベンジルと反応させて、単一工程で式(1a)の化合物を得る。
【0093】
R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ピペリジン誘導体を表す、式(4)の化合物の調製
R3及びR4が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、ピペリジン誘導体を表す、式(4)の化合物は、式(4a)の化合物として表される。
【0094】
式(1a)の保護ピペリジンケトンを反応式IIの工程1及び2に記載するように(3a)に変換し、これを(4a)に加水分解する。次に式(4a)の化合物を、下記反応式VIIに記載するように、nが0である対応する式(I)の化合物に変換する。ベンジルオキシカルボニル(CBZ)保護基を接触水素化により脱離して、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ピペリジンを表す、式(I)の化合物を得る。
【0095】
R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ピラン誘導体を表す、式(4)の化合物の調製
式(4b)として表される、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラン誘導体を表す、式(4)の化合物は、対応する4-オキソテトラヒドロピランから出発して、上記の方法と同様に調製する。この反応は、下記反応式IIIに示し、実施例3で記載する。
【0096】
【化9】

【0097】
次に式(4b)のテトラヒドロピラン誘導体を、反応式VIIに記載するように、対応する式(I)の化合物、即ち、nが0である式(I)の化合物に変換する。
【0098】
R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラン-1,1-ジオキシド誘導体を表す、式(4)の化合物の調製
R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド誘導体を表す、式(4)の化合物は、対応する4-オキソテトラヒドロチオピランから出発して、上記の方法と同様に調製する。
【0099】
式(4)のテトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド誘導体を、反応式VIIに記載するように、nが0である対応する式(I)の化合物に変換する。
【0100】
式(I)の化合物の代替調製法
R2が、-NR6R7ではなく、そしてR3及びR4が、両方とも水素である、式(I)の化合物を調製する別の方法は、式(10)の対応するラクトンからであり、これの調製法は下記反応式IVに示す。
【0101】
【化10】

【0102】
工程1:式(8)の化合物の調製
式(7)の出発化合物は、市販されているか、又はマロン酸ジエチルから出発して、当該分野でよく知られている方法(例えば、Gibson及びJohnson,J.Chem.Soc.,2525(1930))により調製することができる(必要であれば、このジエチルエステルの代わりに他のジエステルを使用することができる)。概略を述べると、式(7)の化合物の溶液を不活性芳香族溶媒(好適にはベンゼン又はトルエン)に溶解し、約-40℃〜-20℃(好適には約-30℃)に冷却する。この冷溶液に、約25℃を超えないよう温度を維持しながら、不活性芳香族溶媒中の適切な弱い還元剤(好適には水素化ジイソブチルアルミニウム)を添加する。添加終了後、全ての出発物質がなくなるまで、反応物を約15℃に維持する。約10分後、約-15℃を超えないよう温度を維持しながら、プロトン性溶媒(好適にはエタノール)の添加により反応を停止する。場合により水素化ホウ素ナトリウムを添加するが、好適には反応物をおよそ室温まで単に温度上昇させる。式(8)の反応生成物を従来法により単離し、精製する。
【0103】
工程2:式(9)の化合物の調製
概略を述べると、式(8)の化合物を塩基により加水分解して、式(9)のヒドロキシメチル酸を生成する。
【0104】
式(8)の化合物を水性プロトン性溶媒(好適には水性メタノール)に溶解し、約3モル当量の塩基(例えば、水酸化カリウム又はヨウ化リチウム)と反応させ、次にシアン化ナトリウムと反応させる。この反応は、約80℃〜120℃(好適には溶媒混合物のおよそ還流温度)の温度範囲で、約8時間行う。式(9)の反応生成物を従来法により単離し、精製する。
【0105】
工程3:式(10)の化合物の調製
概略を述べると、式(9)の化合物を脱水して、式(10)のラクトンを生成する。
【0106】
式(9)の化合物及び約2モル当量の第三級塩基(好適にはトリエチルアミン)の混合物に、場合により4-ジメチルアミノピリジンの存在下で、不活性溶媒(例えば、ジエチルエーテル又はジクロロメタン)中で、約-20℃で、約1モル当量の脱水剤(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、塩化メタンスルホニル、塩化p-トルエンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、好適には塩化ベンゼンスルホニル)を添加する。この反応は、約-10℃で、約10分〜4時間、好適には約30分間行う。式(10)の反応生成物を、更に精製することなく従来法により単離する。
【0107】
R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラン誘導体を表す、式(10)の化合物の調製
具体的な例を与えるために、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラン誘導体を表す、式(10)の化合物(式(10a)として表される)の調製を、下記反応式Vに示し、実施例5に記載する。
【0108】
【化11】

【0109】
式(7a)の出発化合物は、市販されているか、又は実施例35の1に示すように調製することができる。工程1〜3は、反応式IVに示すものと同じ方法で行う。
【0110】
R3及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(10)の化合物の調製
式(10b)として表される、R3及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(10)の化合物の調製は、下記反応式VIに示し、実施例5に記載する。
【0111】
【化12】

【0112】
工程1:式(11)の化合物の調製
RがEtである式(11)の化合物は、式(7)の化合物から脱カルボキシル化により調製することができる。一般に、約130℃〜140℃で、適切な溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)中で、約24時間、このジエステルをヨウ化リチウムとシアン化ナトリウムとの混合物と反応させる。
【0113】
工程2:式(9b)の化合物の調製
概略を述べると、RがH又は低級アルキルである式(11)の化合物のアニオンを、式R3R4C=Oの化合物と反応させて、各々、式(9b)のヒドロキシ酸又はヒドロキシエステルを生成する。
【0114】
無水エーテル性溶媒(好適にはテトラヒドロフラン)中の式(11)の化合物の溶液を、約0℃で、無水エーテル性溶媒(好適にはテトラヒドロフラン)中の約1.1モル当量(Rが低級アルキルである場合)又は約2モル当量(Rが水素である場合)の弱い塩基(好適にはリチウムジイソプロピルアミド)に添加する。添加の終了後、場合により少量の極性溶媒(好適にはヘキサメチルホスホルアミド)を添加する。この混合物に、過剰量の式R3R4C=Oの化合物を添加する。添加は、約-78〜10℃(R3及びR4が水素である場合、好適には約-78℃、又はケトンの場合、好適には0℃)の温度範囲で行い、続いて室温で約2〜24時間(好適には約10時間)反応させる。式(11)の出発物質中のRが水素である場合、式(9b)の反応生成物は従来法により単離し、精製する。式(11)の出発物質中のRが低級アルキルである場合、R=Hである式(9b)の反応生成物は、上述のように、塩基(好適には水酸化リチウム)を使用してエステル生成物を加水分解することにより得て、次に従来法により(9b)を単離し、精製する。
【0115】
工程3:式(10b)の化合物の調製
次に式(9b)の化合物を、反応式IVに記載されるものと同じ方法で式(10b)の化合物に変換する。
【0116】
反応式VIの方法は、4-カルボキシテトラヒドロピラン又はそのエステル(例えばエチルエステル)から出発することにより、例えば、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラン-4-イルである、式(10)の化合物を調製するために使用することができる。同様に、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ピペリジン-4-イル又はその誘導体である、式(10)の化合物は、1-ベンジルオキシカルボニル-4-カルボキシピペリジン、N-(tert-ブトキシカルボニル)-4-カルボキシピペリジン、又はそのエステル(例えばエチルエステル)から出発することにより調製することができる。
【0117】
式(I)の化合物の代替調製法
式(I)の化合物はまた、式(13)の化合物から調製することができるが、この(13)の調製法は、下記反応式VIAに示し、実施例6に記載する。
【0118】
【化13】

【0119】
〔ここで、Rは、水素又は低級アルキルであり、そしてXは、ハロ又は-p-トシルである〕
【0120】
工程1:(11)からの式(13)の化合物の調製
式(11)の出発化合物は、市販されている(例えば、市販のクロロピバル酸のエステルは、従来法により調製することができる)か、又は式(11)の化合物は、当該分野でよく知られている方法(例えば、Gibson及びJohnson,J.Chem.Soc.,2525(1930))により調製することができる。一般に、式(11)の化合物のアニオンを二ハロゲン化アルキルと反応させて、式(13)のハロ置換ヒドロキシ酸エステルを生成する。
【0121】
無水エーテル性溶媒(好適にはテトラヒドロフラン)中の式(11)の化合物の溶液を、約-100〜0℃(好適には約-78℃)で、無水エーテル性溶媒(好適にはテトラヒドロフラン)中の約1.1モル当量(Rが低級アルキルである場合)又は約2モル当量(Rが水素である場合)の弱い塩基(好適にはリチウムジイソプロピルアミド)に添加する。この混合物に、過剰量の二ハロゲン化アルキル(好適にはジヨードメタン)を添加する。添加は、約-5℃〜50℃の温度範囲で約1〜5時間行う。式(13)の反応生成物を従来法により単離して、好適には更に精製することなく合成の次の工程に使用する。
【0122】
Xがp-トシルである式(13)の化合物は、式(8)又は(9b)の化合物の従来法によるトシル化により得られることに注意されたい。
【0123】
式(I)の化合物の調製
式(4)、(10)、及び(13)の中間体を、下記反応式VIIに示すように、式(Ia)の化合物として表される、Yが、ヒドロキシであり、そしてnが、0である、式(I)の化合物に変換することができる。
【0124】
【化14】

【0125】
〔ここで、Rは、水素又は低級アルキルである〕
【0126】
式(4)の化合物は、市販されている(例えばアルドリッチ(Aldrich)から)か、又は当業者に知られている方法(例えば、R3及びR4が、各々水素である酸については、Mannich及びRister,Chem.Ber.,57,1116(1924)に記載されるように)により調製することができるか、又は上述のように、若しくは実施例3に記載するように調製することができる。式(5)の化合物は、市販されている(例えば、アルドリッチ(Aldrich)、フルカ(Fluka)などから)か、又は例えば下記実施例4に記載するように、当業者に知られている方法により調製することができる。
【0127】
工程1:(4)からの式(Ia)の化合物の調製
式(Ia)の化合物として表される、nが、0であり、そしてYが、ヒドロキシである、式(I)の化合物は、式(4)のエン酸を、等モル量の式(5)のチオールと共に、およそ等モル量の第二級アミン(好適にはピペリジン)の存在下で加熱することにより調製することができる。この反応は、約70℃〜120℃(好適には約100℃)の温度範囲で、約1〜24時間(好適には約3時間)行う。スルフィド反応生成物である式(Ia)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0128】
工程1:(10)からの式(Ia)の化合物の調製
式(Ia)の化合物として表される、nが、0であり、そしてYが、ヒドロキシである、式(I)の化合物は、式(10)のラクトンを、約1.1モル当量の式(5)のチオールのアニオン〔極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で(5)をアルカリ金属水素化物(好適には水素化ナトリウム)と反応させることにより生成する〕と反応させることにより調製することができる。この反応は、極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で、約0℃〜70℃(好適には約0℃〜25℃)の温度範囲で行う。スルフィド反応生成物である式(Ia)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0129】
工程1:(13)からの式(Ia)の化合物の調製
式(Ia)の化合物として表される、nが、0であり、そしてYが、ヒドロキシ又は低級アルコキシである、式(I)の化合物は、式(13)のエン酸エステルを、約1.1モル当量の式(5)のチオールのアニオン〔極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で(5)をアルカリ金属水素化物(好適には水素化ナトリウム)と反応させることにより生成する〕と反応させることにより調製することができる。この反応は、極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で、約30℃〜120℃(好適には約80℃)の温度範囲で、約10分間行う。スルフィド反応生成物である式(Ia)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0130】
他の式(I)の化合物への式(Ia)の化合物の変換
式(Ia)の化合物を他の式(I)の化合物に変換する1つの方法を、下記反応式VIIIに示す。
【0131】
【化15】

【0132】
工程1:式(Ib)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ib)の化合物として表される、nが、0であり、そしてYが、tert-BuONH-である、式(I)の化合物は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物及び第三級塩基(例えばジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、4-メチルモルホリン、ピリジン、又はこのような塩基の混合物)の存在下で、式(Ia)の化合物を、過剰量のO-(tert-ブチル)-ヒドロキシルアミン塩酸塩及びN-エチル-N′-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(又は他のカルボジイミド誘導体、例えば1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド)と反応させることにより調製する。この反応は、不活性溶媒(好適には塩化メチレン)中で、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約10〜30時間(好適には約18時間)行う。N-tert-ブトキシ反応生成物である式(Ib)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0133】
工程2:nが1である式(Ic)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ic)の化合物として表される、nが、1であり、そしてYが、tert-BuONH-である、式(I)の化合物(即ち、スルホキシド)は、式(Ib)の化合物から、出発物質が検出されなくなるまで、穏やかな酸化剤(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)、又は1当量の「オキソン(OXONE)」(商標)(ペルオキシモノ硫酸カリウム、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.))と反応させることにより調製される。この反応は、不活性溶媒(好適には水性アセトン)中で、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約10分〜4時間(好適には約30分間)行う。スルホキシド生成物である、nが1である式(Ic)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0134】
工程2:nが2である式(Ic)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ic)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、tert-BuONH-であり、そしてR1が、水素である、式(I)の化合物(即ち、スルホン)は、式(Ib)の化合物から、約1〜3モル当量(好適には約1.5モル当量)の強い酸化剤(例えば、m-クロロ過安息香酸又はオキソン(OXONE)と反応させることにより調製する。この反応は、不活性溶媒(好適にはプロトン性溶媒、好適には水性メタノール)中で、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約10分〜4時間(好適には約2時間)行う。スルホン生成物である、nが2である式(Ic)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0135】
工程3:式(Id)の化合物の調製
概略を述べると、式(Id)の化合物として表される、YがHONH-である式(I)の化合物は、上記式(4)の化合物の調製について示したのと同様な条件下で、又は不活性溶媒(例えば1,2-ジクロロエタン)中で密閉管内で塩酸ガスを使用して、酸性条件で、式(Ib)又は(Ic)のN-tert-ブトキシ化合物を加水分解することにより調製する。ヒドロキシアミノ反応生成物である、YがHONH-である式(Id)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0136】
式(I)の化合物にR3及びR4を導入する代替法
式(I)の化合物にR3及びR4基を導入する代替の方法を、下記反応式VIIIAに示す。
【0137】
【化16】

【0138】
〔ここで、Rは、水素又は低級アルキルである〕
【0139】
工程1:nが、2であり、そしてR3が、水素を除いて式(I)の化合物と同義である、式(I)の化合物の調製
式(Iw)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、ヒドロキシ又はアルコキシであり、R3が、水素を除いて式(I)の化合物と同義であり、そしてR1、R2、及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(I)の化合物は、R3及びR4が両方とも水素である式(I)の化合物のアルキル化により調製する。
【0140】
無水エーテル性溶媒(好適にはテトラヒドロフラン)中の式(Ib)の化合物の溶液を、上記反応式VIAに示されるのと同様な方法で、弱い塩基(好適にはリチウムジイソプロピルアミド)に添加する。この混合物に、約1モル当量のハロゲン化アルキル又はハロゲン化アラルキルを添加する。この反応添加物を約1〜3時間撹拌し、次におよそ室温で更に1〜5時間(好適には3時間)撹拌する。反応生成物を従来法により単離し、精製する。
【0141】
R4は、上記と同じ方法で導入することができる。
【0142】
式(Iw)の化合物を、前述のように、他の式(I)の化合物に変換することができる。
【0143】
式(Ia)の化合物からの式(Id)の化合物の好適な調製方法
式(Ia)の化合物を他の式(I)の化合物に変換する好適な方法は、下記反応式IXに示す。
【0144】
【化17】

【0145】
工程1:式(Iba)の化合物の調製
概略を述べると、式(12)の化合物として表される、式(Ia)の化合物の酸ハロゲン化物は、式(Ia)の化合物を、ハロゲン化剤と反応させることにより調製する。
【0146】
式(Ia)の化合物を、触媒として少量のN,N-ジメチルホルムアミドの存在下で、過剰量のハロゲン化剤(例えば、塩化オキサリル、臭化オキサリル、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、好適には塩化オキサリル)と反応させる。この反応は、不活性溶媒(好適には塩化メチレン)中で、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約10〜30時間(好適には約18時間)行う。酸ハロゲン化物反応生成物である式(12)の化合物を従来法により単離する。
【0147】
工程2:式(Iba)の化合物の調製
式(Iba)の化合物として表される、nが、0であり、そしてYが、HONH-である、式(I)の化合物は、式(12)の化合物を、約1〜5モル当量(好適には約3.5モル当量)のN,O-ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、又はより好適には適切な溶媒(例えば、tert-ブタノール/テトラヒドロフランの混合物)に溶解した水性ヒドロキシルアミンと反応させることにより調製することができる。この反応は、不活性溶媒(好適には塩化メチレン)中で、約0℃〜25℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約1〜10時間(好適には、N,O-ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミンでは約3時間、又は水性ヒドロキシルアミンでは約1.5時間)行う。N-ヒドロキサム酸生成物である式(Iba)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0148】
工程3:式(Id)の化合物の調製
式(Iba)の化合物を、上記反応式VIIIの工程2又は3に示すのと同じ方法で、nが1又は2である式(Id)の化合物に変換する。
【0149】
式(I)の化合物の代替調製法
式(Id)の化合物の調製のための上記反応式の工程の順序は、変更できることに注意されたい。即ち、必要であれば、式(Ia)の化合物を最初にスルホンに酸化し、続いて上記のようにカルボキシ基をヒドロキシアミノに変換することができる。
【0150】
R5がビフェニルである式(I)の化合物の調製
R5が、場合により置換されているビフェニルである式(I)の化合物は、好適には、R5が、場合により置換されているブロモフェニルである式(Ia)の化合物から調製する。例えば。R5が4-ビフェニルである化合物は、式(Iaa)の化合物として下記に表す、R5が4-ブロモフェニルである式(Ia)の化合物から、下記反応式Xに示すように調製することができる。
【0151】
【化18】

【0152】
工程1:式(Ie)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ie)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、ヒドロキシであり、R5が、4-ブロモフェニルであり、そしてR1、R2、R3、及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(I)の化合物は、式(Iaa)の化合物から、上記反応式VIIIの工程2に示されるのと同じ方法で強い酸化剤との反応により調製する。
【0153】
工程2:式(If)の化合物の調製
概略を述べると、式(If)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、ヒドロキシであり、R5が、ビフェニルであり、そしてR1、R2、R3、及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(I)の化合物は、式(Ie)の化合物をフェニルボロン酸及び0価のパラジウム触媒(好適にはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)と反応させることにより調製される。この反応は、プロトン性溶媒(好適には、エタノール及びベンゼンの混合物)中で、約30℃〜100℃(好適には約80℃)の温度範囲で行う。目的の温度に達した後、2M炭酸ナトリウム水溶液を添加し、約1〜8時間(好適には約2時間)還流を続ける。反応生成物である式(If)の化合物を従来法により単離し、好適には分取TLCを用いて精製する。
【0154】
工程3:式(Ih)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ih)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、HONH-であり、R5が、ビフェニルであり、そしてR1、R2、R3、及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(I)の化合物は、対応する式(If)の化合物から、上記反応式VIIIに示されるもの、又は好適には反応式IXもしくはXに示されるものと同じ方法で調製することができる。
【0155】
R5が置換ビフェニルである式(I)の化合物を調製するためには、場合により4-ブロモフェニル環が置換されている式(Iaa)の化合物を、上記と同じ方法で、場合により置換されているボロン酸と反応させる。
【0156】
R5がジフェニルスルフィドである式(I)の化合物の調製
R5が、場合により置換されているジフェニルスルフィドである式(I)の化合物は、好適には、対応する式(Ie)の化合物、即ち、反応式Xのように調製する、R5が、場合により置換されている4-ブロモフェニルである式(I)の化合物から調製する。例えば、R5が4-ジフェニルスルフィドである化合物は、式(Ie)の化合物から下記反応式XIに示すように調製することができる。
【0157】
【化19】

【0158】
工程1:式(Ii)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ii)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、ヒドロキシであり、R5が、4-ジフェニルスルフィドであり、そしてR1、R2、R3、及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(I)の化合物は、式(Ie)の化合物から、チオフェノールのアニオン〔例えば、極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で、水素化ナトリウム又は水素化カリウム(好適には水素化カリウム)でチオフェノールを処理することにより、好適にはその場で調製される〕を加熱することにより調製する。この反応は、極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で、約30℃〜100℃(好適には約75℃)の温度範囲で、約4〜48時間(好適には約18時間)行う。反応生成物である式(Ii)の化合物を従来法により単離し、好適には分取TLCを用いて精製する。
【0159】
工程2:式(Ij)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ij)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、HONH-であり、R5が、4-ジフェニルスルフィドであり、そしてR1、R2、R3、及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(I)の化合物は、対応する式(Ii)の化合物から、上記反応式VIIIに示すもの、又は好適には反応式XIもしくはXに示すものと同じ方法で調製する。
【0160】
R5が置換4-ジフェニルスルフィドである式(I)の化合物を調製するためには、場合により4-ブロモフェニル環が置換されている式(Ie)の化合物を、上述と同じ方法で、場合により置換されているチオフェノールのアニオンと反応させる。
【0161】
R5が4-〔4-(チオフェン-2-イル)フェノキシ〕フェニルである式(I)の化合物の調製
R5が、場合により置換されている4-〔4-(4-チオフェン-2-イル)フェノキシ〕フェニルである式(I)の化合物は、R5が、場合により置換されている4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルである、対応する式(I)の化合物から調製する。この反応は反応式XIAに示す。
【0162】
【化20】

【0163】
式(Ifb)の化合物の調製
上記の方法と同様の方法により、又は実施例16Dに記載すように調製することができる、式(Ifa)の化合物の4-ブロモ基を、反応式Xの工程2に記載するのと同じ方法を用いて置換して、式(Ifb)の化合物を得る。
【0164】
式(Ifa)の化合物を同様に反応させて、他のアリール又はヘテロアリール基を導入する。
【0165】
式(Ifa)の化合物をパラジウム及び水素により還元すると、ブロモ基が水素で置換される。
【0166】
R5がスチリルフェニルである式(I)の化合物の調製
R5が、場合により置換されているスチリルフェニルである式(I)の化合物は、好適には、反応式Xで調製するような、R5が、場合により置換されている4-ブロモフェニルである、対応する式(I)の化合物から調製する。例えば、R5がスチリルフェニルである化合物は、下記反応式XIIに示すように、式(Ie)の化合物から調製することができる。
【0167】
【化21】

【0168】
工程1:式(Ik)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ik)の化合物として表される、Yが、ヒドロキシであり、R5が、4-(1,2-ジフェニルエテン)であり、そしてR1、R2、R3、及びR4が、式(I)の化合物と同義である、式(I)の化合物は、弱い第三級有機塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)、及び二酢酸パラジウム、及びトリメチルフェニルホスフィン又は他のトリフェニルホスフィン誘導体(好適にはトリメチルフェニルホスフィン又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0))の存在下で、式(Ie)の化合物を、場合により置換されているスチレンと反応させることにより調製する。この反応は、溶媒の非存在下で、約30℃〜100℃(好適には約80℃)の温度範囲で、約4〜48時間(好適には約16時間)行う。反応生成物である式(Ik)の化合物を従来法により単離し、好適には分取TLCを用いて精製する。
【0169】
式(Ik)のカルボン酸の、そのヒドロキシアミノ同等物への変換は、上記反応式VIIIに示すもの、又は好適には反応式XIもしくはXに示すものと同じ方法で行う。
【0170】
R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、N-置換ピペリジン誘導体を表す、式(I)の化合物の調製
R1及びR2、又はR3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、N-置換ピペリジン誘導体を表す、式(I)の化合物は、対応する未置換ピペリジン誘導体から調製する。この方法は、下記反応式XIIIに示すように、式(Im)又は(In)の化合物として表される、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、N-置換ピペリジン誘導体を表す、式(I)の化合物について例示する。
【0171】
【化22】

【0172】
工程1:式(Im)の化合物の調製
Yが、t-BuONH-であり、R1及びR2が、式(I)の化合物と同義であり、そしてR3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、N-置換ピペリジン誘導体を表す、式(I)の化合物は、式(Im)の化合物として表す。
【0173】
概略を述べると、式(Im)の化合物は、塩基(例えば、トリエチルアミン又は炭酸カリウム)の存在下で、式(Il)の化合物を、式RX〔ここで、Rは、低級アルキル、シクロアルキルアルキル、アシル、アルコキシカルボニルアルキル、ピコリル、-SO2Ra(ここで、Raは、低級アルキルである)又は-NRbRc(ここで、Rb及びRcは、独立して、水素又は低級アルキルである)などであり、そしてXは、クロロ、ブロモ又はヨードであり、例えば、RXは、ヨウ化メチル、臭化シクロプロピルメチル、塩化3-ピコリル、ブロモ酢酸エチル、ブロモアセトアミド、塩化アセチル、塩化ジメチルアミノスルホニルであってよい〕の化合物と反応させることにより調製する。この反応は、極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で、約0℃〜50℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約4〜48時間(好適には約16時間)行う。反応生成物である式(Im)の化合物を従来法により単離し、好適には更に精製することなく使用する。
【0174】
あるいは、式(Il)の化合物に還元的アルキル化を行って、式(Im)の化合物を得る。例えば、式(Il)の化合物を、アセトンと触媒(例えば、パラジウム担持炭素)の存在下で、水素下で還元して、式(Im)のN-イソプロピル誘導体を得る。
【0175】
工程2:式(In)の化合物の調製
Yが、HONH-であり、R1及びR2が、式(I)の化合物と同義であり、そしてR3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、N-置換ピペリジン誘導体を表す、式(I)の化合物は、式(In)の化合物として表される。
【0176】
概略を述べると、式(In)の化合物は、式(Im)の化合物から、強酸(好適には塩酸)との反応により調製する。この反応は、密閉管中で不活性溶媒(好適には1,2-ジクロロエタン)中で、約0℃〜45℃(好適には約20℃)の温度範囲で、約10〜72時間(好適には約48時間)行う。反応生成物である式(In)の化合物を従来法により(好適にはクロマトグラフィーにより)単離し、精製する。
【0177】
R2が-NR6R7である式(I)の化合物の調製
例えば、式(Ip)及び(Iq)として下記に示す、R2が、-NR6R7〔ここで、R6は、水素であり、そしてR7は、CBZ(ここで、CBZは、ベンジルオキシカルボニルを表す)である〕であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、反応式XIV、XV、及びXVIに示すように、異なる経路により調製する。この経路により、出発ラクトンのキラリティーに依存して、光学的に純粋な、又はラセミ混合物として、式(Iab)の化合物が得られる。
【0178】
【化23】

【0179】
工程1:式(Iab)の化合物の調製
概略を述べると、式(Iab)の化合物として表される、Yが、ヒドロキシであり、R2が、-NR6R7〔ここで、R6は、水素であり、そしてR7は、CBZ(ここで、CBZは、ベンジルオキシカルボニルを表す)である〕であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(Ia)の化合物は、式(5)のチオールのアニオン〔例えば、極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で式(5)を水素化ナトリウム又は水素化カリウム(好適には水素化カリウム)で処理することにより、好適にはその場で調製する〕を式(6)のラクトンで処理することにより調製する。この反応は、極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約5分〜10時間(好適には約30分〜6時間)行う。このスルフィド反応生成物である式(Iab)の化合物を従来法により単離し、好適には直接次の工程に使用する。
【0180】
R2が-NR6R7である式(I)の化合物の調製
R2が、-NR6R7〔ここで、R6は、水素であり、そしてR7は、CBZ(ここで、CBZは、ベンジルオキシカルボニルを表す)である〕であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、下記反応式XVに示すように、式(Iab)の化合物から調製する。
【0181】
【化24】

【0182】
工程1:式(Io)の化合物の調製
式(Io)の化合物として表される、Yが、tert-BuONH-であり、R2が、-NHCBZ(ここで、CBZは、ベンジルオキシカルボニルを表す)であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、反応式VIIIに示すもの、又は好適には反応式IXもしくはXに示すものと同じ方法で調製する。
【0183】
工程2:式(Ip)の化合物の調製
式(Ip)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、tert-BuONH-であり、R2が、-NHCBZ(ここで、CBZは、ベンジルオキシカルボニルを表す)であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、反応式VIIIに示すもの、又は好適には反応式IXもしくはXに示すものと同じ方法で調製する。
【0184】
工程3:式(Iq)の化合物の調製
式(Iq)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、HONH-であり、R2が、-NHCBZ(ここで、CBZは、ベンジルオキシカルボニルを表す)であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、上記反応式VIIIに示すもの、又は好適には反応式IXもしくはXに示すものと同じ方法で調製する。
【0185】
R2が-NR6R7である式(I)の化合物の調製
R2が、-NR6R7(ここで、R6及びR7は、両方とも水素である)であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、式(Ip)の化合物から、下記反応式XVIに示すように調製する。
【0186】
【化25】

【0187】
工程1:式(Ir)の化合物の調製
概略を述べると、式(Ir)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、tert-BuONH-であり、R2が、-NH2であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、金属触媒(好適にはパラジウム担持炭素)を用いて式(Ip)の化合物を還元することにより調製する。この反応は、約1気圧の水素下で、プロトン性溶媒(好適にはエタノール)中で、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約4〜48時間(好適には約18時間)行う。N-tert-ブトキシ反応生成物である式(Ir)の化合物を従来法により単離し、精製する。
【0188】
工程2:式(Is)の化合物の調製
概略を述べると、式(Is)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、HONH-であり、R2が、-NH2であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、式(Ir)の化合物を強酸(好適には塩酸)と反応させることにより調製する。この反応は、密閉管中で、不活性溶媒(好適には1,2-ジクロロエタン)中で、約-10℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約4〜48時間(好適には約18時間)行う。ヒドロキシアミノ反応生成物である式(Is)の化合物を、好適にはその塩酸塩として、従来法により単離し、精製する。
【0189】
R2が-NR6R7である式(I)の化合物の調製
あるいは、式(Ir)の化合物は、R6及び/又はR7が、発明の要約と同義であるが、両方とも水素ではない、他の式(I)の化合物を製造するために使用することができる。例えば、R2がバリンアミドである式(I)の化合物の調製は、下記反応式XVIIに示す。
【0190】
【化26】

【0191】
工程1:式(It)の化合物の調製
概略を述べると、式(It)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、tert-BuONH-であり、R2が、(S)-CBZ-バリンアミド〔即ち、ここで、R2は、-NR6R7であり、R6は、水素であり、そしてR7は、2-(S)-CBZ-アミノ-3-メチル-1-ブタノイルである(ここで、CBZは、ベンジルオキシカルボニルを表す)〕であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、N-エチル-N′-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール並びに僅かに過剰の第三級アミン(好適にはトリエチルアミン)の存在下で、式(Ir)の化合物をCBZ-(S)-バリンと反応させることにより調製する。この反応は、不活性溶媒(好適には塩化メチレン)中で、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約6〜48時間(好適には約16時間)行う。反応生成物である式(It)の化合物を、従来法により単離し、好適には更に精製することなく次の工程に使用する。
【0192】
工程2:式(Iu)の化合物の調製
概略を述べると、式(Iu)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、tert-BuONH-であり、R2が、(S)-バリンアミド〔即ち、ここで、R2は、-NR6R7であり、R6は、水素であり、そしてR7は、2-(S)-アミノ-3-メチル-1-ブタノイルである〕であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、金属触媒(好適にはパラジウム担持炭素)を用いて、式(It)の化合物を還元することにより調製する。この反応は、約1気圧の水素下で、プロトン性溶媒(好適にはメタノールとエタノールの混合物)中で、約0℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約1〜8時間(好適には約3時間)行う。反応生成物である式(Iu)の化合物を、従来法(好適にはクロマトグラフィー)により単離し、精製する。
【0193】
工程3:式(Iv)の化合物の調製
概略を述べると、式(Iv)の化合物として表される、nが、2であり、Yが、HONH-であり、R2が、(S)-バリンアミド〔即ち、ここで、R2は、-NR6N7であり、R6は、水素であり、そしてR7は、2-(S)-アミノ-3-メチル-1-ブタノイルである〕であり、そしてR1、R3及びR4が、水素である、式(I)の化合物は、式(Iu)の化合物を強酸(好適には塩酸)と反応させることにより調製する。この反応は、密閉管中で、不活性溶媒(好適には1,2-ジクロロエタン)中で、約-20℃〜40℃(好適には約25℃)の温度範囲で、約4〜48時間(好適には約24時間)行う。ヒドロキシアミン反応生成物である式(Iv)の化合物を、好適にはその塩酸塩として、従来法により単離し、精製する。
【0194】
R2が-NR6R7である式(I)の化合物の調製
上記のものと同様の方法で、R2が-NR6R7(ここで、R6及びR7は、両方ともメチルである)である式(I)の化合物は、式(Ir)の化合物を、極性溶媒(好適にはN,N-ジメチルホルムアミド)中で、塩基(好適には炭酸カリウム)の存在下で約2当量のヨウ化メチルと反応させ、次に上記工程3に示すように塩酸ガスでこの生成物を処理することにより調製する。
【0195】
R2が-NR6R7である式(I)の化合物の調製
上記のものと同様の方法で、R2が-NR6R7(ここで、R6は、水素であり、そしてR7は、-SO2N(CH3)2である)である式(I)の化合物は、式(Ir)の化合物を、不活性溶媒(好適には塩化メチレン)中で、塩基(好適にはピリジン)の存在下で、約1当量の塩化ジメチルスルファモイルと反応させ、次に上記工程3に示すように塩酸ガスでこの生成物を処理することにより調製する。
【0196】
同様に、式(Ir)の化合物は、上記反応式XVIIに示すのと同じ方法で、R6及び/又はR7が、発明の要約と同義であるが、両方とも水素ではない、他の式(I)の化合物を製造するために使用することができる。
【0197】
化合物の単離及び精製
本明細書に記載する、化合物及び中間体の単離及び精製は、必要であれば、任意の適切な分離又は精製方法(例えば、濾過、抽出、結晶化、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、厚層クロマトグラフィー、分取用低圧及び高圧液体クロマトグラフィー、又はこれらの方法の組合せ)により行うことができる。適切な分離及び単離方法は、後述の実施例に関連して、具体的に示す。しかし、当然他の同等な分離又は単離方法も使用することができる。
【0198】
式(I)の化合物の塩
幾つかの式(I)の化合物は、塩基性窒素原子の存在によって、対応する酸付加塩に変換することができる。変換は、少なくとも化学量論的な量の適切な酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)及び有機酸(酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸など)で処理することにより行う。典型的には、遊離塩基を不活性有機溶媒(ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、エタノール又はメタノールなど)に溶解し、同様な溶媒中の酸を添加する。温度を0℃〜50℃に維持する。生じた塩は、自然に沈殿するか、又は少量の極性溶媒により溶液から析出させることができる。
【0199】
要約すると、本発明の化合物は、以下に略述する方法により調製する:
1.R1が水素である式(I)の化合物を調製する方法は、式(4):
【0200】
【化27】

【0201】
〔ここで、R2、R3及びR4は、R2が-NR6R7ではありえないことを除き、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、第二級塩基の存在下で、式R5SH(ここで、R5は、式(I)の化合物と同義である)の化合物と反応させることを含む。
【0202】
2.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0203】
【化28】

【0204】
〔ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、穏やかな酸化剤(例えば過ヨウ素酸ナトリウム)と反応させることを含む。
【0205】
3.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0206】
【化29】

【0207】
〔ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、強い酸化剤(例えば、オキソン(OXONE)又はm-クロロ過安息香酸)と反応させることを含む。
【0208】
4.あるいは、nが2である式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0209】
【化30】

【0210】
〔ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、強い酸化剤(例えば、オキソン(OXONE)又はm-クロロ過安息香酸)と反応させることを含む。
【0211】
5.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0212】
【化31】

【0213】
〔ここで、n、R1、R2、R3、R4及びR5は、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、カルボジイミド(例えばN-エチル-N′-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)及び第三級アミンの存在下で、O-(tert-ブチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させることを含む。
【0214】
6.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0215】
【化32】

【0216】
〔ここで、n、R1、R2、R3、R4及びR5は、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、ヒドロキシルアミン又はN,O-ビストリメチルシリルヒドロキシルアミンと反応させることを含む。
【0217】
7.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0218】
【化33】

【0219】
〔ここで、n、R1、R2、R3、R4及びR5は、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、酸性条件(例えば、塩酸又はトリフルオロ酢酸による)下で加水分解することを含む。
【0220】
8.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0221】
【化34】

【0222】
〔ここで、n、R1、R2及びR5は、R2が-NR6R7ではありえないことを除き、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、式RX〔ここで、Rは、低級アルキル、シクロアルキルアルキル、アシル、アルコキシカルボニルアルキル、アセトアミド、ピコリル、-SO2Ra(ここで、Raは、低級アルキルである)又は-NRbRc(ここで、Rb及びRcは、独立して、水素又は低級アルキルである)であり;そしてXは、クロロ、ブロモ又はヨードである〕の化合物と反応させることを含む。
【0223】
9.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0224】
【化35】

【0225】
〔ここで、n、R1、R2及びR5は、R2が-NR6R7ではありえないことを除き、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、触媒(例えば、パラジウム担持炭素)の存在下で、水素下でアセトンと反応させて、N-イソプロピル誘導体を得ることを含む。
【0226】
10.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0227】
【化36】

【0228】
で示される化合物を、式R5SH(ここで、R5は、式(I)の化合物と同義である)の化合物のアニオンと反応させることを含む。
【0229】
11.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0230】
【化37】

【0231】
(ここで、R5は、式(I)の化合物と同義である)で示される化合物を、N-エチル-N′-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール並びに第三級アミンの存在下でアシル化剤(例えば、CBZ-(S)-バリン)と反応させるか、あるいは、アルキル化剤(例えば塩基の存在下でヨウ化メチル)、又はハロゲン化スルファモイル(塩基の存在下で塩化ジメチルスルファモイルなど)と反応させることを含む。
【0232】
12.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0233】
【化38】

【0234】
〔ここで、R1、R2、R3及びR4は、R2が-NR6R7ではありえないことを除き、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、第二級塩基の存在下で、式R5SH(ここで、R5は、式(I)の化合物と同義である)の化合物と反応させることを含む。
【0235】
13.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0236】
【化39】

【0237】
〔ここで、R1、R2、R3及びR4は、式(I)の化合物と同義であり、Rは、水素又は低級アルキルであり、Xは、ハロ又は-p-トシルである〕で示される化合物を、式R5SH(ここで、R5は、式(I)の化合物と同義である)の化合物のアニオンと反応させることを含む。
【0238】
14.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0239】
【化40】

【0240】
〔ここで、R1、R2及びR5は、式(I)の化合物と同義であり、Rは、水素又は低級アルキルである〕で示される化合物を、弱い塩基の存在下で、ハロゲン化アルキル又はハロゲン化アラルキルと反応させることを含む。
【0241】
15.あるいは、式(I)の化合物を調製する方法は、下記式:
【0242】
【化41】

【0243】
〔ここで、R1、R2、R3及びR4は、式(I)の化合物と同義である〕で示される化合物を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(0)の存在下で、式R11B(OH)2又はR11SnMe3(ここで、R11は、アリール又はヘテロアリールである)の化合物と反応させることを含む。
【0244】
式(I)の化合物は、ストロメリシン(stromelysins)、ゼラチナーゼ、マトリリシン(matrilysin)及びコラゲナーゼなどの、哺乳動物のマトリックスメタロプロテアーゼを阻害し、このため、特に、MMPが誘導する、哺乳動物におけるマトリックス及び結合組織の過剰な分解に関連する疾患〔例えば、関節炎(慢性関節リウマチ及び変形性関節症)、多発性硬化症、骨再吸収疾患(骨粗鬆症など)、糖尿病に関連したコラーゲン分解の増加、慢性閉塞性肺疾患、脳卒中に関連する脳出血、歯周病、角膜潰瘍、皮膚潰瘍、腫瘍の侵襲及び転移、並びに異所性脈管形成〕の治療のための、治療的に活性な物質として有用である。
【0245】
式(I)の化合物は、細胞からの腫瘍壊死因子(TNF)の放出を実質的に阻害するため、TNFにより仲介される症状(例えば、炎症、発熱、心血管作用、出血、血液凝固及び急性期応答、悪液質及び食欲不振、急性感染症、ショック状態、再狭窄、動脈瘤疾患、対宿主性移植片反応並びに自己免疫疾患)の治療に有用である。
【0246】
式(I)の化合物はまた、可溶性受容体(CD30並びにTNF(p55及びp75)、IL-6、IL-1及びTSHの受容体)、接着分子(例えば、L-セレクチン、ICAM-1、フィブロネクチン)、並びに他の増殖因子及びサイトカイン(Fasリガンド、TGF-α、EGF、HB-EGF、SCF及びM-CSFを含む)を含む、細胞からの他の生物学的に活性な分子の放出を阻害する。したがってこのようなタンパク質の放出又は発散の阻害は、例えば慢性関節リウマチ、多発性硬化症、血管疾患、II型糖尿病、HIV、悪液質、乾癬、アレルギー、肝炎、炎症性腸疾患、及びガンを含む多くの疾患状態を治療するのに有用である。
【0247】
マトリックスメタロプロテアーゼ活性(例えば、コラゲナーゼ-1、-2及び-3、ストロメリシン-1、ゼラチナーゼA及びB、並びにマトリリシンの活性)に対する式(I)の化合物の阻害能は、当業者に知られている種々のin vitro測定法(FEBS,296,263(1992)に記載されたMMP酵素測定法又はその変法)により証明することができる。In vivoでMMPが仲介するプロセスに対する式(I)の化合物の阻害能は、インターロイキン-1刺激軟骨外植片測定法及び軟骨プラグ移植測定法を用いて試験することができる。
【0248】
TNFの放出に対する式(I)の化合物の阻害能は、実施例45〜47に示す。
【0249】
本発明はまた、薬学的に許容しうる非毒性の賦形剤、及び治療有効量の式(I)の化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0250】
純粋な形又は適切な医薬組成物中の、式(I)の化合物又は薬剤学的に許容しうるその塩の投与は、任意の許容しうる投与法又は同様の用途で作用する剤として行うことができる。即ち、投与は、例えば、経口、鼻腔内、非経口、局所、経皮、又は直腸内に、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、軟及び硬ゼラチンカプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤、又はエーロゾルなどの、固体、半固体、凍結乾燥粉末、又は液体剤型で、好適には、正確な用量の単純な投与に適切な単位剤型で行うことができる。組成物は、通常の薬剤担体又は賦形剤、及び活性成分として式(I)の化合物を含み、そしてこれに加えて、他の医薬、薬剤、担体、添加剤などを含んでもよい。
【0251】
一般に、意図する投与様式に依存して、この薬学的に許容しうる組成物は、約1〜約99重量%の式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるその塩、及び99〜1重量%の適切な薬剤賦形剤を含有する。好適には、この組成物は、約5〜75重量%が式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるその塩で、そして残りが適切な薬剤賦形剤であろう。
【0252】
投与の好適な経路は経口であり、治療すべき疾患状態の重症度により調整できる便利な1日用量処方を用いる。このような経口投与のためには、式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるその塩を含有する薬剤学的に許容しうる組成物は、任意の通常用いられる賦形剤(例えば、医薬品グレードのマンニトール、乳糖、デンプン、糊化デンプン(pregelatinezed starch)、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、ショ糖、クエン酸塩、没食子酸プロピルなど)を配合することにより形成する。このような組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉剤、徐放性処方などの形をとる。
【0253】
好適には、このような組成物は、カプセル剤、カプレット又は錠剤の形をとり、このため、乳糖、ショ糖、リン酸二カルシウムなどの希釈剤;クロスカルメロース(croscarmellose)ナトリウム又はその誘導体などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどのような滑沢剤;及びデンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースエーテル誘導体などのような結合剤も含有する。
【0254】
式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるその塩はまた、例えば、体内で徐々に溶解する担体〔例えば、ポリオキシエチレングリコール及びポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEG1000(96%)及びPEG4000(4%))〕中に約0.5%〜約50%の活性成分を用いた坐剤に製剤化してもよい。
【0255】
液体の薬学的に投与しうる組成物は、例えば、式(I)の化合物(約0.5%〜約20%)又は薬学的に許容しうるその塩、及び任意の薬剤添加剤を、担体(例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなど)に、溶解、分散などして、溶液又は懸濁液を生成することにより調製することができる。
【0256】
必要であれば、本発明の医薬組成物はまた、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝化剤、抗酸化剤などの少量の補助剤(例えば、クエン酸、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、ブチルヒドロキシトルエンなど)を含有してもよい。
【0257】
このような剤型を調製する実際の方法は、当業者には知られているか、又は明白であろう(例えば、「レミントンの製剤科学、第18版(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition)」,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(1990)を参照)。投与される組成物は、本発明の教示するところによりマトリックスメタロプロテアーゼ活性の阻害により軽快する疾患状態の治療のため、治療有効量の式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるその塩を含有する。
【0258】
式(I)の化合物又は薬剤学的に許容しうるその塩は、使用する特定の化合物の活性、化合物の代謝安定性及び作用持続時間、年齢、体重、健康状態、性別、食事療法、投与の様式及び時間、排泄速度、薬剤の組合せ、その疾患状態の重症度、並びに患者の受けている治療を含む、種々の要因に依存して変化する、治療有効量で投与する。一般に、治療に有効な1日用量は、約0.014mg〜約14.3mg/kg体重/日の式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるその塩;好適には約0.07mg〜約5mg/kg体重/日;そして最も好適には約0.14mg〜約1.4mg/kg体重/日である。例えば、70kgのヒトに投与するための用量範囲は、約1mg〜約1.0g/日の式(I)の化合物又は薬学的に許容しうるその塩、好適には約5mg〜約300mg/日、そして最も好適には約10mg〜約100mg/日であろう。
【0259】
【実施例】
以下の製法ならびに実施例は、当業者が本発明を明瞭に理解し、実施しうるために提供するものである。これらは、本発明の範囲を限定するものではなく、単に例示し具体化するためであると理解すべきである。
【0260】
実施例1:
式(1)の化合物の製法
1A.R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってN-CBZ-ピペリジンである式(1)の化合物の製法
1.テトラヒドロフラン70mlに溶解したクロロギ酸ベンジルエステル35ml(247mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン350mlに溶解した4-ヒドロキシピペリジン25g(247mmol)とトリエチルアミン45ml(321mmol)の氷冷した溶液に加え、室温で一夜撹拌し、減圧下に溶媒を留去した。残渣を5%塩酸と酢酸エチルの間に分配し、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去して、4-ヒドロキシ-N-CBZ-ピペリジンを淡黄色の油状物として得た。
【0261】
2.塩化メチレン500mlに溶解した4-ヒドロキシ-N-CBZ-ピペリジン18g(76.5mmol)の溶液に、セライト66gを加え、次いでクロロクロム酸ピリジニウム33g(153mmol)を加えた。この混合物を一夜撹拌し、次いで3時間をかけてイソプロピルアルコール12mlを加えた。シリカゲルを用いて反応混合物を濾過し、濾塊を塩化メチレン及び酢酸エチルで繰り返しすすぎ、濾液を併せ、減圧下に濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーに付し、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、4-オキソ-N-CBZ-ピペリジンを黄色の油状物として得た。
【0262】
実施例2:
式(3)の化合物の製法
2A.R2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってN-CBZ-ピペリジンである式(3)の化合物の製法
tert-(ブトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホラン28g(74.4mmol)を、ベンゼン150mlに溶解した4-オキソ-N-CBZ-ピペリジン14.2g(61.3mmol)の溶液に加え、溶液を還流下に一夜撹拌した。反応溶液を濃縮後、残渣をヘキサン500mlと共に摩砕し、濾過した。濾液を濃縮して、4-tert-ブトキシカルボニルメチレン-N-CBZ-ピペリジンを無色の油状物として得た。
【0263】
2B.各種R2、R3、及びR4を有する式(3)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例2Aの方法に準じ、但し、4-オキソ-N-CBZ-ピペリジンの代わりに、
ホルムアルデヒド;
アセトン;
プロピオンアルデヒド;
シクロペンタノン;
シクロヘキサノン;
1,4-シクロヘキサンジオンモノ-エチレンケタール;
4-メチルシクロヘキサノン;
フェニルアセトアルデヒド;
4-(ビフェン-4-イル)ブチルアルデヒド;
シクロペンチルアセトアルデヒド;
テトラヒドロピラノン;そして
テトラヒドロチオピランを用い;
そして、適宜、tert-(ブトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホランの代わりに:
tert-ブチル-3-フェニルプロピオナート-2-トリフェニルホスホラン;
tert-ブチルプロピオナート-2-トリフェニルホスホラン;そして
tert-ブチル-3-メチルプロピオナート-2-トリフェニルホスホランを用いて;
【0264】
以下の式(3)の化合物を調製した:
1-(tert-ブトキシカルボニル)-1-ベンジルエテン;
1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,2-ジメチルエテン;
1-(tert-ブトキシカルボニル)-1-メチル-2-エチルエテン;
tert-ブトキシカルボニルメチレンシクロペンタン;
tert-ブトキシカルボニルメチレンシクロヘキサン;
tert-ブトキシカルボニルメチレン-4-メチルシクロヘキサン;
1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-ベンジルエテン;
1-(tert-ブトキシカルボニル)-1-イソプロピル-2-ベンジルエテン;
1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-〔3-(ビフェン-4-イル)〕プロピルエテン;
1-(tert-ブトキシカルボニル)-2-シクロペンチルメチルエテン;
4-(tert-ブトキシカルボニルメチレン)テトラヒドロピラン;そして
4-(tert-ブトキシカルボニルメチレン)テトラヒドロチオピラン。
【0265】
2C.各種R2、R3、及びR4を有する式(3)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例2Aの方法に準じ、但し、適宜、4-オキソ-N-CBZ-ピペリジンの代わりに、式(1)の他の化合物を用い、そして、適宜、(tert-ブトキシカルボニルメチレン)トリフェニルホスホランの代わりに、式(2)の他の化合物を用いて、式(3)の他の化合物を調製した。
【0266】
実施例3:
式(4)の化合物の製法
3A.R2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってN-CBZ-ピペリジンである式(4)の化合物、式(4a)の化合物の製法
塩化メチレン30mlに溶解した4-tert-ブトキシカルボニルメチレン-N-CBZ-ピペリジン20g(60.3mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸10mlを加え、溶液を室温で1.5時間撹拌した。溶媒を留去した後、残渣をジエチルエーテルと共に摩砕して、4-カルボキシメチレン-N-CBZ-ピペリジンを白色の結晶性固体として得た。
【0267】
3B.R2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(4)の化合物、式(4b)の化合物の製法
テトラヒドロフラン204mlに懸濁した水素化ナトリウム5.48g(228.2mmol)の懸濁液に、0℃でメタノール204mlを徐々に滴下した。滴下終了後、温度を12℃以下に保つ速度で、この混合物にトリメチルホスホノアセタート34.22ml(211.4mmol)を加えた。更に10分間撹拌を続け、温度を30℃以下に保ちながら、この反応混合物に、テトラヒドロフラン20mlに溶解した2,3,5,6-テトラヒドロピラン-4-オン16.28g(163.0mmol)の溶液を加えた。添加終了後、室温で30分間撹拌し続け、次いで、メタノール100mlと2M水酸化ナトリウム溶液326mlを加え、この混合物を室温で一夜撹拌した。得られた溶液を半量まで濃縮し、6M塩酸108mlを加えてpH1.2まで酸性化した。反応混合物を酢酸エチルと水の間に分配し、有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去して、4-(カルボキシメチレン)-2,3,5,6-テトラヒドロピラン22.62gを得、これを更に精製することなく次の反応に使用した。
【0268】
3C.各種R2、R3、及びR4を有する式(4)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例3Aの方法に準じ、但し、4-(tert-ブトキシカルボニルメチレン)-N-CBZ-ピペリジンの代わりに、式(3)の他の化合物を用いて式(4)の以下の化合物を調製した:
1-ベンジル-1-カルボキシエテン;
1-カルボキシ-2,2-ジメチルエテン;
1-カルボキシ-2-エチル-1-メチルエテン;
カルボキシメチレンシクロペンタン;
カルボキシメチレンシクロヘキサン;
カルボキシメチレン(4-メチルシクロヘキサン);
4-カルボキシメチレンシクロヘキサノン モノ-エチレンケタール;
2-ベンジル-1-カルボキシエテン;
2-〔3-(ビフェン-4-イル)プロピル〕-1-カルボキシエテン;
2-ベンジル-1-カルボキシ-1-イソプロピルエテン;
1-カルボキシ-2-シクロペンチルメチルエテン;
4-カルボキシメチレンテトラヒドロチオピラン;そして
4-カルボキシメチレン(テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド)。
【0269】
3D.各種R2、R3、及びR4を有する式(4)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例3Aの方法に準じ、但し、4-(tert-ブトキシカルボニルメチレン)-N-CBZ-ピペリジンの代わりに、式(3)の他の化合物を用いて、式(4)の他の化合物を調製した。あるいは、式(4)の化合物は、この分野の技術者には公知の方法で調製することもできる。あるいは、これらの化合物は市販されており、例えば1-シクロペンテンカルボン酸及び1-シクロヘキセンカルボン酸は、Lancaster Synthesis Inc.から入手することができる。
【0270】
実施例4:
式(5)の化合物の製法
4A.R5が4-フェノキシフェニルである式(5)の化合物の製法
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)150mlに溶解したナトリウムチオメトキシド25g及び4-ブロモジフェニルエーテル25gの溶液を、一夜還流した。混合物を冷却し、希水酸化ナトリウム水溶液に加えた。水層をエーテルで洗浄して副生成物を除き、塩酸で酸性化した。生成物である4-(フェノキシ)チオフェノールをエーテルで抽出し、エーテル層を乾燥し、濃縮して、4-(フェノキシ)チオフェノール19〜20gを赤色の油状物として得た。この生成物は、更に精製することなく次の反応に使用することができた。
【0271】
4B.R5が4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルである式(5)の化合物の別の製法
塩化メチレン118mlに溶解した4-ブロモジフェニルエーテル50g(200.7mmol)の溶液を0℃に冷却し、クロロスルホン酸14.7ml(220.8mmol)を、20分かけて滴下して加えた。この溶液を、更に10分間撹拌し、室温に戻し、更に1時間撹拌した。この混合物に、塩化オキサリル23.6ml(270.9mmol)、次いで触媒としてN,N-ジメチルホルムアミド1.5mlを加え、混合物を2時間還流した。この混合物を室温まで冷却し、更に塩化オキサリル23.6ml(270.9mmol)を加え、混合物を3時間還流し、室温まで冷却し、更に12時間撹拌した。溶液を濃縮し、油状の濃縮物に塩化メチレンを加えて共沸蒸留を繰り返した後、混合物が完全に固化するまで高真空下(1torr)に数時間放置した。この混合物をすぐに塩化メチレン160mlに溶解し、その溶液を、N,N-ジメチルホルムアミド4ml(52.2mmol)を含む、塩化メチレン160mlに溶解したトリフェニルホスフィン157.0g(602mmol)の溶液に滴下して加えた。この混合物を2時間撹拌し、1M塩酸水溶液300mlで希釈し、1時間撹拌した。水層を分離し、塩化メチレン200mlで抽出した。有機層を併せ、ブライン200mlで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、真空下に濃縮した。生成した固体をヘキサン750mlと共に摩砕して、更に精製した。次いで、この固体をジエチルエーテル750mlに溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液(2×350ml)で抽出し、塩基性の水層をジエチルエーテル(2×400ml)で逆抽出した。水層をpH2に調整し、ジエチルエーテル(3×200ml)で抽出し、有機層を併せ、乾燥(MgSO4)し、濃縮して、4-(4-ブロモフェノキシ)チオフェノール45.6g(81%)を得た。
【0272】
【表1】

【0273】
相当する4-クロロ及び4-フルオロ類似体は、それぞれ相当する市販の4-ハロジフェニルエーテルから同様にして得た。
【0274】
【表2】

【0275】
実施例5:
式(10)の化合物の製法
5A.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(8)の化合物、式(8a)の化合物の製法
窒素ガス導入管、機械的撹拌装置、低温温度計、等圧にできる500ml分液ロートを備えた3リットルのモルトンフラスコに、トルエン600mlに溶解したテトラヒドロピラン-4,4-ジカルボン酸ジエチルエステル70.78g(307.4mmol)の-40℃に冷却した溶液を加え、内温を-25℃以下に保つ速度で、1.5M水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)のトルエン溶液419ml(629mmol)を加えた。この混合物を、更に10分間撹拌し、内温を-15℃以下に保ちながら、無水エタノール595mlを20分かけて滴下した。固体のホウ水素化ナトリウム11.6g(307.4mmol)を15分かけて3等分して加え、冷却浴を取り除いた。混合物を1時間かけて室温まで昇温させ、硫酸ナトリウムの飽和水溶液325mlを15分かけて加えた。混合物を-15℃に冷却し、酢酸エチル250mlを加え、白色の綿状沈殿物をセライトのパッドにより濾去した。このセライトパッドを酢酸エチル(7×450ml)で洗浄し、濾液をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣を最少量の酢酸エチルに溶解し、シリカゲル40gを含む半融ガラスロートにより濾過し、酢酸エチルで溶出した。濾液を真空下で濃縮して、ヒドロキシエステルである4-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル48.5g(84%)を淡黄色の油状物として得た。
【0276】
5B.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(8)の化合物の別の製法
1.N,N-ジメチルホルムアミド4mlに溶解したテトラヒドロピラン-4,4-ジカルボン酸ジエチルエステル400mg(1.74mmol)の溶液に、ヨウ化リチウム1.16g(8.66mmol)、次いでシアン化ナトリウム94mg(1.91mmol)を加えた。この混合物を130℃で7時間、140℃で25時間加熱した。この時点で、GC分析は、反応が95%以上完了したことを示した。混合物を、33%ジエチルエーテル/ヘキサン100mlとブライン25mlの間に分配した。有機層を、更にブライン25mlで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、真空下で濃縮して、テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル253mg(92%)を得た。註:この反応において、シアン化ナトリウム1.1等量の代わりに酢酸ナトリウム2等量を使用し、12時間以上の加熱によっても、同様な結果が得られる。
【0277】
2.リチウムジイソプロピルアミドは、テトラヒドロフラン244mlに溶解したジイソプロピルアミン10.6ml(75.6mmol)の溶液に、N-ブチルリチウムの2.5Mヘキサン溶液30.3ml(75.6mmol)を0℃で加え、20分間撹拌することによって調製した。次いで、このリチウムジイソプロピルアミドの溶液に、-78℃で15分かけて、テトラヒドロフラン50mlに溶解したテトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル10g(63.2mmol)の溶液を加えた。得られた溶液を、更に50分間撹拌し、固体のパラホルムアルデヒド10gを一度に加えた。この混合物を9時間かけて室温まで徐々に昇温させ、2M塩酸水溶液100mlで希釈し、セライトパッドを用いて濾過し、セライトパッドをジエチルエーテル(2×200ml)で洗浄した。濾液の水層を、新たなジエチルエーテル(2×200ml)で洗浄した。有機層を併せ、2M塩酸水溶液100ml、次いで重炭酸ナトリウムの飽和水溶液100mlで1回づつ洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して、僅かな不純物を含む4-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル11.5g(97%)を得、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0278】
【表3】

【0279】
5C.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンである式(8)の化合物
リチウムジイソプロピルアミドは、テトラヒドロフラン150mlに溶解したジイソプロピルアミン6.5ml(46.6mmol)の溶液に、N-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液29.1ml(46.6mmol)を0℃で加え、20分間、-78℃で撹拌することによって調製した。次いで、希釈していないN-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸エチルエステル10g(38.9mmol)を5分間かけて加え、得られた溶液を、更に50分間撹拌した。固体のパラホルムアルデヒド13.5g(155.4mmol)を一度に加え、この混合物を9時間かけて室温まで徐々に昇温させた。反応混合物を2M塩酸水溶液100mlで希釈し、セライトパッドを用いて濾過し、ジエチルエーテル(2×200ml)で洗浄した。有機層を併せ、2M塩酸水溶液100ml、次いで重炭酸ナトリウムの飽和水溶液100mlで1回づつ洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーに付し、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、僅かな不純物を含む4-(tert-ブトキシカルボニル)-4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-4-カルボン酸エチルエステル10.57g(95%)を淡黄色の油状物として得、直接、加水分解反応(LiOH)に使用した。
【0280】
【表4】

【0281】
5D.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(9)の化合物、式(9a)の化合物の製法
メタノール/水(4.5:1)220mlに溶解した4-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル25.0g(132.8mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物16.7g(398.5mmol)を加えた。混合物を40分間加熱還流し、45℃以下の浴温を用いて、真空下でメタノールを留去した。次いで、ジエチルエーテル(4×100ml)で水層を抽出し、エーテル層を併せ、2M水酸化ナトリウム溶液15mlで2回洗浄した。塩基性の水層を併せ、0℃に冷却し、8M塩酸水溶液でpH3.0に酸性化し、固体の塩化ナトリウムで飽和し、酢酸エチル(8×250ml)で抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。白色の綿毛様の粉末残渣を最少量の塩化メチレン/ヘキサンから再結晶して、純粋な4-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-カルボン酸17.05g(80%)を得た。
【0282】
5E.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(9)の化合物の別の製法
リチウムジイソプロピルアミドは、テトラヒドロフラン40mlに溶解したジイソプロピルアミン5.80ml(41.4mmol)の溶液に、N-ブチルリチウムの2.45Mヘキサン溶液16.5mlを0℃で加え、20分間撹拌することによって調製した。次いで、このリチウムジイソプロピルアミドの溶液に、テトラヒドロフラン10mlに溶解したテトラヒドロピラン-4-カルボン酸2.5g(19.2mmol)の溶液を15分間かけて加えてスラリーを形成し、次いでヘキサメチルホスホルアミド2mlを加えた。得られた溶液を25分間撹拌し、この溶液にガス状のホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド4gを175〜200℃で5〜10分間加熱して調製した)を通気した直後に室温まで昇温させた。このスラリーを、室温で注意しながら濃縮し、8M塩酸でpH3に酸性化し、固体の塩化ナトリウムで飽和し、酢酸エチル(8×100ml)で抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲル(80g)クロマトグラフィーに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、4-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-カルボン酸1.80g(58%)を白色の固体として得た。
【0283】
【表5】

【0284】
5F.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンである式(9)の化合物、式(9b)の化合物の製法
メタノール/水(2:1)100mlに溶解したN-(tert-ブトキシカルボニル)-4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-4-カルボン酸エチルエステル9.52g(33.1mmol)の溶液に、水酸化リチウム一水和物6.95g(165.6mmol)を加えた。混合物を30分間加熱還流した後、45℃以下の浴温を用い、濃縮してメタノールを真空下で留去した。水層を0℃に冷却し、6M塩酸水溶液によりpH3.0に酸性化し、酢酸エチル(4×75ml)で抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、塩化メチレン/ヘキサンから再結晶して、N-(tert-ブトキシカルボニル)-4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-4-カルボン酸8.59g(100%)を得た。
【0285】
5G.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンである式(9)の化合物の別の製法
リチウムジイソプロピルアミドは、テトラヒドロフラン40mlに溶解したジイソプロピルアミン24ml(171.2mmol)の溶液に、N-ブチルリチウムの2.45Mヘキサン溶液69ml(168.8mmol)を0℃で加え、20分間撹拌することによって調製した。次いで、このリチウムジイソプロピルアミドの溶液に、テトラヒドロフラン35mlに溶解したN-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸18g(78.5mmol)の溶液を15分間かけて加えてスラリーを形成し、次いでヘキサメチルホスホルアミド2mlを加えた。得られた溶液を25分間撹拌し、この溶液にガス状のホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド16.4g(189mmol)を175〜200℃で5〜10分間加熱して調製した)を通気し、直後に室温まで昇温させた。このスラリーを室温で濃縮し、6M塩酸でpH4に酸性化し、固体の塩化ナトリウムで飽和し、酢酸エチル(8×100ml)で抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーに付し、1%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N-(tert-ブトキシカルボニル)-4-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-4-カルボン酸4g(20%)を白色の固体として得た。
【0286】
【表6】

【0287】
5H.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(10)の化合物、式(10a)の化合物の製法
無水ジエチルエーテル115mlに4-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-カルボン酸10.20g(63.68mmol)を含む、0℃に冷却したスラリーに、トリフルオロメタンスルホン酸無水物11.1ml(66.2mmol)、次いでトリエチルアミン17.8ml(127.4mmol)を加えた。生成した二相の溶液を20時間撹拌し、室温に昇温させ、更に2時間撹拌した。層をデカンテーションによって分離し、下層を重炭酸ナトリウムの2%水溶液50mlで希釈し、塩化メチレン(4×200ml)で抽出した。有機層を併せ、新たに重炭酸ナトリウムの2%水溶液100mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して、2,7-ジオキサスピロ〔3.5〕ノナン-1-オン10.8gを淡黄色の油状物として得た。
【0288】
【表7】

【0289】
5I.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンである式(10)の化合物、式(10b)の化合物の製法
無水ジエチルエーテル27mlにN-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシメチルピペリジン-4-カルボン酸3.80g(14.65mmol)を含む、0℃に冷却したスラリーに、トリフルオロメタンスルホン酸無水物2.60ml(15.39mmol)、次いでトリエチルアミン4.30ml(30.78mmol)を加えた。生成した二相の溶液を23時間撹拌し、室温まで昇温させ、更に1時間撹拌した。上層のジエチルエーテル層をデカンテーションによって分離し、新たにジエチルエーテル(2×100ml)を加えて下層を抽出し、有機抽出層を併せ、重炭酸ナトリウム水溶液(2×50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して、7-(ブトキシカルボニル)-2-オキサ-7-アザスピロ〔3.5〕ノナン-1-オン2.88g(82%)を淡黄色の油状物として得た。
【0290】
【表8】

【0291】
実施例6:
式(13)の化合物
6A.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、Xがヨードである式(13)の化合物の製法
リチウムジイソプロピルアミドは、テトラヒドロフラン30mlに溶解したジイソプロピルアミン1.95ml(13.9mmol)の溶液に、N-ブチルリチウムの2.5Mヘキサン溶液5.6ml(13.9mmol)を0℃で加え、20分間撹拌することによって調製した。次いで、このリチウムジイソプロピルアミドの溶液に、テトラヒドロフラン8mlに溶解したテトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル2g(12.7mmol)の溶液を、-78℃の温度で15分間かけて加えた。得られた溶液を更に50分間撹拌し、ジヨードメタン1.14ml(14.2mmol)を加えた。生成した混合物を、更に50分間撹拌し、30分間かけて室温まで昇温させ、次いで、再び0℃に冷却した。この混合物を1M塩酸水溶液25mlで希釈し、ジエチルエーテル(2×100ml)で抽出し、更にジエチルエーテル(2×50ml)で洗浄した。有機層を併せ、1M塩酸水溶液100ml、重亜硫酸ナトリウムの飽和水溶液100ml、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液100mlで1回づつ洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルプラグを用いて濾過し、ヘキサン及び酢酸エチルで順次溶出し、ヘキサンによる洗浄で過剰のアルキル化剤を除去して、純粋な4-(ヨードメチル)テトラヒドロキピラン-4-カルボン酸エチルエステル3.20g(85%)を淡黄色の油状物として得、更に精製することなく直接次の反応に使用した。
【0292】
【表9】

【0293】
6B.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、各種Xを有する式(13)の化合物の製法
同様にして、ジヨードメタンの代わりにジブロモメタン又はブロモクロロメタンを用い、式(13)の以下の化合物を製した:
【0294】
【表10】

【0295】
6C.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、Xがp-トシルである式(13)の化合物の別の製法
ピリジン10mlに溶解した4-ヒドロキシメチルテトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル820mg(4.356mmol)の溶液に、0℃でp-トルエンスルホニルクロリド997mg(5.23mmol)を加え、得られた混合物を1時間かけて室温まで昇温させた。この混合物を36時間撹拌し、塩化メチレン150mlと3N塩酸水溶液50mlの間に分配した。有機層を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液25mlで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濃縮し、残渣をシリカゲル(45g)クロマトグラフィーに付し、30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、トシラート1.03g(69%)を白色の固体として得た。
【0296】
【表11】

【0297】
実施例7:
式(Ia)の化合物の製法
7A.式(4)の化合物から、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンであり、R5がジフェニルエーテルである式(Ia)の化合物の製法
1.4-フェノキシチオフェノール7.4g(36.3mmol)、4-カルボキシメチレン-N-CBZ-ピペリジン10g(36.3mmol)及びピペリジン1.8ml(36.3mmol)の混合物を、密閉管中、100〜110℃で一夜撹拌した。冷却後、粗反応混合物を酢酸エチルと1N塩酸の間に分配し、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して黄色の固体を得た。この固体にエチルエーテル/ヘキサン(1:1v/v)500mlを加えて摩砕して、2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕酢酸を白色の固体として得た。
【0298】
2.窒素雰囲気下、乾燥1,2-ジクロロエタン3mlに溶解した2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕酢酸150mg(0.29mmol)の溶液を-10℃に冷却し、15分間、塩化水素ガスで飽和させた。次いで、反応容器を封じ、2日間25℃で溶液を撹拌した。ガス状の塩化水素を放出するための開封の前に反応容器を-10℃に冷却し、次いで25℃まで昇温させた。真空下で溶媒を留去し、生成物を酢酸エチルを加えて摩砕して、2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕酢酸・塩酸塩を白色の粉末として得た。
【0299】
【表12】

【0300】
7B.式(4)の化合物から、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロペンチルであり、R5がジフェニルエーテルである式(Ia)の化合物の製法
シクロペンチリデン酢酸(2mmol)及びp-(フェノキシ)チオフェノール(2mmol)の混合物を、窒素雰囲気中、ピペリジン100μlの存在下、110℃で24時間加熱した。残渣を酢酸エチルに溶解し、希塩酸で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し、真空下で溶媒を留去して、粗生成物として2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕酢酸を得、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0301】
7C.R1、R2及びR4が水素であり、R3がベンジルであり、R5が4-ブロモフェニルである式(Ia)の化合物の製法
E-2-ベンジルアクリル酸1g及びp-ブロモチオフェノール1.12gの混合物を、ピペリジン300μlの存在下、110℃で一夜撹拌した。残渣を酢酸エチルと希塩酸の間に分配した。有機層を分離し、乾燥し、減圧下に溶媒を留去して、3-ベンジル-3-(4-ブロモフェニルチオ)プロピオン酸(Iaa)を得、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0302】
7D.式(10)の化合物から、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Ia)の化合物の製法
実施例5Hで得られた2,7-ジオキサスピロ〔3.5〕ノナン-1-オン10.8gを、N,N-ジメチルホルムアミド95mlに直接溶解し、4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノールのナトリウム塩〔N,N-ジメチルホルムアミド19mlに溶解した4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノール15.83g(66.8mmol)の溶液に、水素化ナトリウム粉末2.14g(89.2mmol)を0℃で加え、30分間撹拌することによって生成した〕を含む溶液に、10〜15分間かけて徐々に加え、次いで更に15分間撹拌した。生成したスラリーを40℃に加熱し、5分間撹拌し、tert-ブタノール2mlを加え、反応混合物を20分間かけて室温に冷却した。大部分のN,N-ジメチルホルムアミドを真空下で留去し、pHを9.2に調整し、得られたスラリーを30%ジエチルエーテル-ヘキサン120mlで希釈し、濾過した。濾塊をエーテル(3×70ml)で洗浄し、2N塩酸水溶液でpH3.5に酸性化し、塩化メチレン(4×350ml)で抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。固体の残渣を最少量の塩化メチレン-ヘキサンから再結晶して、純粋な4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸19.50gを白色の結晶性固体として得た。
【0303】
【表13】

【0304】
同様にして、4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノールの代わりに、4-(4-ブロモフェノキシ)チオフェノール及び4-(4-フルオロフェノキシ)チオフェノールを用い、以下の化合物を得た:
【0305】
【表14】

【0306】
7E.R1及びR2が共にメチルであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Ia)の化合物の別の製法
4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノール3.55g(15mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド12mlの混合物に、0℃で水素化ナトリウム粉末0.86g(35.8mmol)を加えた。混合物を5分間かけて室温まで昇温させ、更に20分間撹拌し、固体のクロロピバル酸1.64g(12.0mmol)を一度に加えた。この混合物を80℃に18時間加熱し、室温に冷却した後、水1mlを加えた。残渣を塩化メチレン50mlと2N塩酸25mlの間に分配した。水層を分離し、新たな塩化メチレン(2×25ml)で洗浄した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーに付し、5%メタノール/塩化メチレンで溶出して、僅かな不純物を含む3-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオ〕-2,2-ジメチルプロピオン酸4g(99%)を得た。この生成物を、最小量のジエチルエーテル/ヘキサンから再結晶して、分析的に純粋な酸3.20g(80%)を白色の固体として得た。
【0307】
【表15】

【0308】
7F.式(10b)の化合物から、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子を一緒になってN-BOC-ピペリジンであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Ia)の化合物の製法
上記の実施例5Iで得られた7-(tert-ブトキシカルボニル)-2-オキサ-7-アザスピロ〔3.5〕ノナン-1-オンを、N,N-ジメチルホルムアミド4mlに直接溶解し、4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノールのナトリウム塩を含む溶液〔N,N-ジメチルホルムアミド19mlに溶解した4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノール3.00g(12.7mmol)の溶液に、0℃で水素化ナトリウム粉末340mg(14.17mmol)を加え、30分間撹拌することにより生成した〕に、10〜15分間かけて徐々に加え、更に15分間撹拌した。得られたスラリーを80℃に加熱し、5分間撹拌し、tert-ブタノール2mlを加え、20分間かけて混合物を室温まで冷却した。大部分のN,N-ジメチルホルムアミドを真空下で留去した後、2M塩酸水溶液を用いてpHを3.5に調整し、酢酸エチル(4×150ml)で抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、1%〜10%のメタノール/塩化メチレンで溶出して、ピペリジン酸である4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕-N-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-イルカルボン酸5g(89%)を淡黄色の油状物として得た。
【0309】
【表16】

【0310】
7G.Rがエチルである式(1a)の化合物からの、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Ia)の化合物の製法
2滴の水を含むエタノール2mlに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル70mg(0.17mmol)の溶液に、水酸化カリウム58.3mg(1.04mmol)を加えた。混合物を13時間還流し、室温まで冷却し、pH4に酸性化し、酢酸エチル(4×50ml)で抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸66mg(100%)を得た。この生成物は、上記の実施例7Dの方法で得られた化合物と分光学的に同一であった。
【0311】
7H.Rがエチルである式(1a)の化合物から、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5は4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルである式(Ia)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例7Gの方法に準じて、4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸及び4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸を調製した。
【0312】
7I.対応するカルボン酸から、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルであり、Rがメチルであるる式(Ia)の化合物の製法
塩化メチレン15mlに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸580mg(1.53mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド触媒22μlの溶液に、0℃で塩化オキサリル0.33ml(3.83mmol)を10分間かけて滴下して加えた。この混合物を1時間かけて室温まで昇温させ、部分的なスラリーを、更に12時間撹拌し、理論量の酸塩化物が得られるまで真空下で濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン7.5mlに懸濁し、メタノール0.19ml(4.59mmol)、次いでトリエチルアミン0.64ml(4.59mmol)を加えた。混合物を14時間還流加熱し、濃縮し、得られた残渣を塩化メチレン150mlと1M塩酸水溶液50mlの間に分配した。水層を塩化メチレン(2×30ml)で逆抽出し、有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸メチルエステルを粗生成物として得、更に精製することなく次の反応に直接使用した。
【0313】
【表17】

【0314】
7J.式(13)の化合物から、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルであり、Rがエチルである式(Ia)の化合物の製法
4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノールのナトリウム塩を含む溶液〔N,N-ジメチルホルムアミド2mlに溶解した4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノール262mg(1.1mmol)の溶液に、0℃で水素化ナトリウム粉末36mg(1.5mmol)を加え、30分間撹拌することによって生成した〕に、4-(ヨードメチル)テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル300mg(1mmol)を加えた。この混合物を5分間かけて室温まで昇温させ、更に20分間撹拌し、室温に冷却し、1M塩酸水溶液5mlを加えた。混合物を酢酸エチル100mlと2M塩酸25mlの間に分配した。水層を分離し、新たな酢酸エチル(2×50ml)で洗浄した。有機層を併せ、1M水酸化ナトリウム溶液(2×30ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーに付し、20%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、純粋な4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル370mg(91%)、そして次いで不純な4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル40mgを得た。
【0315】
【表18】

【0316】
7K.式(13)の化合物から、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルであり、Rがエチルである式(Ia)の化合物の製法
同様にして、4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノールの代わりに4-(4-ブロモフェノキシ)チオフェノールを用い、上記の実施例7Jの方法に準じて、4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル2.10g(93%)を調製した。
【0317】
【表19】

【0318】
Xがはヨード、ブロモ、又はクロロである式(13)の化合物から出発して、同様な反応を行い、全ての場合に中程度ないし良好な収率が得られた。
【0319】
7L.各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ia)の化合物の製法
同様にして、適宜、4-カルボキシメチレン-N-CBZ-ピペリジンの代わりに、式(4)の他のN-保護化合物を用い、上記の実施例7A(1)及び(2)の方法に準じ、又は、適宜、シクロペンチリデン酢酸の代わりに式(4)の他の化合物を用い、上記の実施例7Bの方法に準じ、そして、適宜、p-フェノキシチオフェノールの代わりに式(5)の他の化合物を用い、式(Ia)の以下の化合物を調製した:
2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕酢酸;
2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕酢酸;
2-ベンジル-3-(3-メトキシフェニルチオ)プロピオン酸;
2-ベンジル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオン酸;
3-ベンジル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオン酸;
3,3-ジメチル-3-〔(4-クロロフェノキシ)フェニルチオ〕プロピオン酸;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕ピペリジン-4-イル}酢酸;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕-N-CBZ-ピペリジン-4-イル}酢酸;
3-ベンジル-3-〔(4-フェニルチオフェニル)チオ〕プロピオン酸;
3-ベンジル-3-(フェニルチオ)プロピオン酸;
【0320】
3-ベンジル-3-(4-フェノキシフェニルチオ)プロピオン酸;
3-ベンジル-3-〔(4-ビフェニル)チオ〕プロピオン酸;
3-ベンジル-3-(2-ナフチルチオ)プロピオン酸;
3-ベンジル-3-(4-メトキシスチリルフェニルチオ)プロピオン酸;
3-シクロペンチルメチル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオン酸;
3-シクロペンチルメチル-2-イソプロピル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオン酸;
3-エチル-2-メチル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオン酸;
3,3-ジメチル-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオン酸;
2-〔1-(4-メトキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕酢酸;
【0321】
2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)シクロヘキサノン-4-イル〕酢酸エチレンケタール;
2-〔1-(4-メトキシフェニルチオ)-4-メチルシクロヘキサ-1-イル〕酢酸;
2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロヘキサ-1-イル〕酢酸;
2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロピラン-4-イル〕酢酸;
{4-〔4-(4-ベンゾ〔b〕チオフェン-2-イルフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}酢酸;
2-{4-〔4-(フェニルメチル)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}酢酸;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}酢酸;
【0322】
【表20】

【0323】
2-{4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}酢酸
2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド-4-イル〕酢酸;
trans-2-(4-メトキシフェニルチオ)シクロペンタンカルボン酸;そして
2-(4-メトキシフェニルチオ)シクロヘキサンカルボン酸。
【0324】
7M.各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ia)の化合物の製法
同様にして、適宜、2,7-ジオキサスピロ〔3.5〕ノナン-1-オンの代わりに、式(10)の他の化合物を用い、上記の実施例7Dの方法に準じ、そして、適宜、4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノールの代わりに、式(5)の他の化合物を用い、式(Ia)の以下の化合物を製した:
4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸;
4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸;
3-(4-ベンゾイルフェニルチオ)-2,2-ジメチルプロピオン酸;
3-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオ〕-2,2-ジメチルプロピオン酸;
【0325】
【表21】

【0326】
7N.各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ia)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例7の方法に準じて、式(Ia)の他の化合物を調製した。
【0327】
実施例8:
式(Iba)の化合物の製法
8A.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Iba)の化合物の製法
α塩化メチレン1リットルに懸濁させた4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸65.1g(171.8mmol)とN,N-ジメチルホルムアミド触媒2mlの懸濁液に、0℃で塩化オキサリル37.5ml(429.5mmol)を滴下して加えた。1時間かけて混合物を室温まで昇温させ、生成した部分的なスラリーを、更に20時間撹拌し、理論量の酸塩化物が得られるまで減圧下で濃縮した。この混合物を塩化メチレン600mlに溶解し、0℃に冷却し、N,O-ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン109.1ml(510.45mmol)を10分間かけて滴下して加えた。この混合物を直ちに室温まで昇温させ、3時間撹拌し、再び0℃に冷却した。この溶液に2.4M塩酸水溶液400ml(960mmol)を加え、添加の数分以内にヒドロキサム酸生成物を沈殿させた。このスラリーを、更に30分間撹拌し、濾過した。濾塊を水(3×30ml)及び50%ジエチルエーテル/ヘキサン(2×25ml)で洗浄し、70℃で乾燥して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)61.8g(92%)を得た。
【0328】
【表22】

【0329】
8B.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Iba)の化合物の別の製法
塩化メチレン1リットルに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸65.1g(171.8mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド触媒2mlの溶液に、0℃で塩化オキサリル37.5ml(429.5mmol)を10分間かけて滴下して加えた。混合物を1時間かけて室温まで昇温させ、生成した部分的なスラリーを、更に20時間撹拌し、理論量の酸塩化物が得られるまで真空下で濃縮した。塩化メチレン3.4mlに溶解した酸塩化物の混合物650mg(1.68mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン/tert-ブタノール(2:1)5.1mlに溶解したヒドロキシルアミン556mgの50%水溶液に2分間かけて滴下して加えた。この混合物を1.5時間撹拌し、約1mlの水溶液が残るまで濃縮した。スラリーを濾過し、ジエチルエーテル/ヘキサン(1:1)(3×15ml)で洗浄し、固形物を真空乾燥器中で70℃で一夜乾燥して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)584mg(91%)を得た。
【0330】
【表23】

【0331】
8C.各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Iba)の化合物の製法
同様にして、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸の代わりに、式(Ia)の他の化合物を用い、上記の実施例8Aの方法に準じて、式(Iba)の以下の化合物を調製した:
【0332】
【表24】

【0333】
3,3-ジメチル-3-〔(4-クロロフェノキシ)フェニルチオ〕-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
{4-〔4-(4-ベンゾ〔b〕チオフェン-2-イルフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(フェニルメチル)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;そして
2-{4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド。
【0334】
8D.各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Iba)の化合物の製法
同様にして、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸の代わりに、式(Ia)の他の化合物を用い、上記の実施例8Aの方法に準じて、式(Iba)の他の化合物、例えば以下の化合物を調製した:
4-(4-フェノキシフェニルチオメチル)テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕-1-メチルピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕-1-(シクロプロピルメチル)ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕-1-アセチルピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕-1-(3-ピリジル)ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕-1-(3-ピリドイル)ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド;
【0335】
2-ベンジル-3-(3-メトキシフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
2-ベンジル-3-(4-メトキシフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3-ベンジル-3-(4-メトキシフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕-N-CBZ-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
3-ベンジル-3-〔(4-フェニルチオフェニル)チオ〕-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3-ベンジル-3-(フェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3-ベンジル-3-(4-フェノキシフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3-ベンジル-3-〔(4-ビフェニル)チオ〕-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3-ベンジル-3-(2-ナフチルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
【0336】
3-ベンジル-3-(4-メトキシスチリルフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3-シクロペンチルメチル-3-(4-メトキシフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3-シクロペンチルメチル-2-イソプロピル-3-(4-メトキシフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3-エチル-2-メチル-3-(4-メトキシフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
3,3-ジメチル(4-メトキシフェニルチオ)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
2-〔1-(4-メトキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)シクロヘキサノン-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミドエチレンケタール;
2-〔1-(4-メトキシフェニルチオ)(4-メチルシクロヘキサ-1-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロヘキサ-1-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロピラン-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド;
【0337】
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド;
trans-2-(4-メトキシフェニルチオ)シクロペンタンカルボン酸;そして
2-(4-メトキシフェニルチオ)シクロヘキサンカルボン酸。
【0338】
実施例9:
式(Ib)の化合物の製法
9A.R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロペンチルであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ib)の化合物の製法
実施例7で得られた2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕酢酸を塩化メチレン8mlに溶解し、4-ジメチルアミノピリジン180mg、O-(tert-ブチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩360mg、トリエチルアミン540μl、ピリジン(400μl)そして1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩750mgで処理した。一夜撹拌した後、反応混合物を、酢酸エチルと水の間に分配し、有機層を分離し、減圧下で溶媒を留去した。残渣を分取TLCに付し、ヘキサン/酢酸エチル(2:1)で溶出して、N-(tert-ブトキシ)-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド270mgを白色の泡状物として得、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0339】
9B.R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ib)の化合物の製法
塩化メチレン200mlに溶解した2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロピラン-4-イル〕酢酸17.5gの溶液に、O-(tert-ブチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩9.57g、4-メチルモルホリン15.64ml、ヒドロキシベンゾトリアゾール6.87g、そして1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩19.5gを加えた。室温で3時間撹拌後、この混合物に0.5M塩酸200mlを加え、混合物を塩化メチレンで抽出した。抽出液を併せ、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、35%〜80%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミド15.3gを油状物として得、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0340】
9C.R3及びR4が水素であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってN-BOC-ピペリジンであり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Ib)の化合物の製法
無水の塩化メチレン25mlに溶解した、実施例7Fで得られた2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕-N-BOC-ピペリジン-4-イル}-カルボン酸2.83g(5.92mmol)、O-(tert-ブチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩2.23g(17.76mmol)、そして1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩2.27g(11.84mmol)の0℃に冷却した溶液に、4-メチルモルホリン2.60ml(23.68mmol)を滴下して加えた。得られた混合物を1時間かけて室温まで昇温させ、更に12時間撹拌した後、混合物をジエチルエーテルと1N塩酸300mlの間に分配した。酸性の水溶液をジエチルエーテル(2×100ml)で再抽出し、エーテル抽出液を併せて硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィーに付し、25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、N-(tert-ブトキシ)-2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕-N-BOC-ピペリジン-4-イル}-カルボキサミド2.88g(89%)を得た。
【0341】
【表25】

【0342】
9D.各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ib)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例9Aの方法に準じ、但し、2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕酢酸の代わりに、式(Ia)の他の化合物を用い、式(Ib)の以下の化合物を調製した:
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕-N-CBZ-ピペリジン-4-イル}アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕ピペリジン-4-イル}アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(3-メトキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-ベンジル-3-(フェニルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-ベンジル-3-(フェニルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-ベンジル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
【0343】
N-tert-ブトキシ-3-ベンジル-3-〔(4-フェニルチオフェニル)チオ〕プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-ベンジル-3-(4-フェノキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-ベンジル-3-〔(4-ビフェニル)チオ〕プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-ベンジル-3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-ベンジル-3-(4-メトキシスチリルフェニルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-シクロペンチルメチル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-シクロペンチルメチル-2-イソプロピル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-エチル-2-メチル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3,3-ジメチル-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド;
【0344】
N-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルチオ)-4-メチルシクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロヘキサノン-4-イル〕アセトアミドエチレンケタール;
N-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド-4-イル〕アセトアミド;
【0345】
【表26】

【0346】
N-tert-ブトキシ-2-(4-メトキシフェニルメルカプト)シクロヘキサンカルボキサミド;そして
N-tert-ブトキシ-trans-2-(4-メトキシフェニルメルカプト)シクロペンタンカルボキサミド。
【0347】
9E.各種R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ib)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例9Aの方法に準じ、但し、2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕酢酸の代わりに、式(Ia)の他の化合物を用い、式(Ib)の他の化合物を製した。
【0348】
実施例10:
式(Id)の化合物の製法
10A.nが0であり、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロペンチルであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Id)の化合物の製法
N-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミドをトリフルオロ酢酸6mlに溶解し、24時間放置した。溶媒を減圧下に留去し、生成物を分取TLCに付し、6.5%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド100mgを得た。
【0349】
10B.nが0であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例10Aの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミドの代わりに、式(Ib)の他の化合物を用い、nが0である式(Id)の以下の化合物を調製した:
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕-N-CBZ-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(3-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
2-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(フェニルチオ)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(フェニルチオ)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
【0350】
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-〔(4-フェニルチオフェニル)チオ〕プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-〔(4-ビフェニル)チオ〕プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシスチリルフェニルチオ)プロピオンアミド;
3-シクロペンチルメチル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
3-シクロペンチルメチル-N-ヒドロキシ-2-イソプロピル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
3-エチル-N-ヒドロキシ-2-メチル-3-(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
3,3-ジメチル-N-ヒドロキシ(4-メトキシフェニルチオ)プロピオンアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド;
【0351】
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルチオ)-4-メチルシクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルチオ)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミド;
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド(融点50〜55℃);そして
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド-4-イル〕アセトアミド。
【0352】
10C.nが0であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例10Aの方法に準じ、但しN-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミドの代わりに式(Ib)の他の化合物を用い、nが0である式(Id)の他の化合物を調製した。
【0353】
実施例11:
式(Id)の化合物の製法
11A.nが1であり、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロペンチルであり、R5は4-フェノキシフェニルである式(Id)の化合物の製法
アセトン4mlに溶解したN-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド45mgの溶液を、水2mlに溶解した過ヨウ素酸ナトリウム260mgで処理した。24時間の経過中に、過ヨウ素酸ナトリウム260mgを2回に分けて加えた。出発原料が完全に消失した後、溶液を塩化メチレンで希釈し、濾過し、乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。シリカゲルによる分取TLCに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルスルフィニル)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド15mgを得た。
【0354】
【表27】

【0355】
11B.nが1であり、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピラン-4-イルであり、R5が4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルである式(Id)の化合物の製法
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルチオ〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド500mgをメタノール25mlに溶解し、水5mlに溶解したOXONE400mgを加えた。30分撹拌した後、混合物を塩化メチレンと水の間に分配した。シリカゲルによる分取TLCに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルフィニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド402mg(融点120℃)を得た。
【0356】
11C.nが1であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例11A又は11Bの方法に準じ、但し、N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミドの代わりに、nが0である式(Id)の他の化合物を用い、nが1である式(Id)の他の化合物、例えば、以下の化合物を調製した:
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルフィニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルフィニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルフィニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルフィニル〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルフィニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
2-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(3-メトキシフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-〔(4-フェニルチオフェニル)スルフィニル〕プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
【0357】
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-〔(4-ビフェニル)スルフィニル〕プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(2-ナフチルスルフィニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシスチリルフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
3-シクロペンチルメチル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
3-シクロペンチルメチル-N-ヒドロキシ-2-イソプロピル-3-(4-メトキシフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
3-エチル-N-ヒドロキシ-2-メチル-3-(4-メトキシフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
3,3-ジメチル-N-ヒドロキシ(4-メトキシフェニルスルフィニル)プロピオンアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルスルフィニル)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルスルフィニル)-4-メチルシクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
【0358】
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルスルフィニル)シクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルフィニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルフィニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルフィニル)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミド;
【0359】
【表28】

【0360】
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルフィニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;そして
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルフィニル)テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド-4-イル〕アセトアミド。
【0361】
実施例12:
式(Id)の化合物の製法
12A.nが2であり、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロペンチルであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Id)の化合物の製法
メタノール4mlに溶解したN-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド45mgの溶液を、水2mlに溶解したOXONE260mgの溶液で処理した。この混合物を1時間撹拌し、塩化メチレンと水の間に分配した。有機層を分離し、減圧下に溶媒を留去した。シリカゲルによる分取TLCに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルスルホニル)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド20mg〔m/e:393(MNH4+,CIMS)〕を得た。
【0362】
12B.nが2であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Id)の化合物の製法
20%テトラヒドロフラン-メタノール1570mlに懸濁した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)59.8g(151.8mmol)の懸濁液を機械的に撹拌しながら5℃に冷却し、内温を15〜20℃に維持しながら、水1リットルに溶解したOXONE152g(247mmol)の溶液を滴下して加えた。この混合物を5.5時間撹拌し、次いで30%酢酸エチル/水3リットルの間に分配した。水層を酢酸エチル(2×300ml)で洗浄し、酢酸エチル層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。残渣を最少量の塩化メチレン/ヘキサンより結晶化して、分析的に純粋な4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)54.2g(84%)を白色の粉末として得た。
【0363】
【表29】

【0364】
12C.nが2であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3がベンジルであり、R4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Id)の化合物の製法
塩化メチレン6mlに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル-ベンジル-メチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸316mg(0.63mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド触媒10μlの溶液に、0℃で塩化オキサリル200μl(2.20mmol)を10分間かけて滴下して加えた。この混合物を1時間かけて室温まで昇温させ、部分的なスラリーを、更に8時間撹拌し、理論量の酸塩化物が得られるまで真空下で濃縮した。この混合物を塩化メチレン8mlに溶解し、0℃に冷却し、N,O-ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン0.56g(3.15mmol)を希釈することなく5分間かけて滴下して加えた。直ぐに混合物を室温まで加温し、48時間撹拌し、再び0℃に冷却した。この溶液に1M塩酸水溶液5ml(150mmol)を加え、更に30分間撹拌し、酢酸エチル150mlとブライン50mlの間に分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーに付し、4%メタノール/塩化メチレンで溶出して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル-ベンジル-メチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボアミド)ヒドロキサム酸280mg(86%)を得た。
【0365】
【表30】

【0366】
12D.nが2であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例12Bの方法に準じ、但し、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボアミド)の代わりに、式(Iba)の他の化合物を用い、nが2である式(Id)の以下の化合物を製した:
【0367】
【表31】

【0368】
【表32】

【0369】
【表33】

【0370】
3,3-ジメチル-3-〔(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
{4-〔4-(4-ベンゾ〔b〕チオフェン-2-イルフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(フェニルメチル)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;そして
2-{4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド。
【0371】
12E.nが2であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例12A又は12Bの方法に準じ、但し、N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミドの代わりに、nが0である式(Id)の他の化合物を用い、nが2である式(Id)の化合物、例えば、以下の化合物を調製した:
4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-メチルピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-シクロプロピルメチルピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-アセチルピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-(3-ピリジル)ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-(3-ピリドイル)ピペリジン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド);
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルホニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-N-CBZ-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
【0372】
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
2-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(3-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-〔(4-フェニルチオフェニル)スルホニル〕プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(フェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-3-〔(4-ビフェニル)スルホニル〕-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
【0373】
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(2-ナフチルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシスチリルフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-(シクロペンチルメチル)-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-(シクロペンチルメチル)-N-ヒドロキシ-2-イソプロピル-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-エチル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)-2-メチルプロピオンアミド;
3,3-ジメチル-N-ヒドロキシ(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルスルホニル)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルスルホニル)-4-メチルシクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルスルホニル)シクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミド;
【0374】
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;そして
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド-4-イル〕アセトアミド。
【0375】
12F.nが2であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例12Aの方法に準じ、但し、N-ヒドロキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルチオ)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミドの代わりに、nが0である式(Id)の他の化合物を用い、nが2である式(Id)の他の化合物を調製した。
【0376】
実施例13:
Yがtert-BuONH-である式(I)の化合物の製法
13A.nが2であり、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ic)の化合物の製法
メタノール340mlに溶解したN-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミド14.1g(33.9mmol)の冷溶液に、水170mlに溶解したOXONE33.9gの溶液を加えた。室温で5時間撹拌した後、反応混合物を減圧下に半量に濃縮し、次いで、残渣を酢酸エチルと水の間に分配した。酢酸エチル抽出液から減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミドを白色の泡状物として得た。
【0377】
13B.nが2であり、R3及びR4が水素であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってN-BOC-ピペリジンであり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Ic)の化合物の製法
無水の塩化メチレン70mlに溶解したN-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオメチル)-N-BOC-ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド4.96g(9.03mmol)の溶液を0℃に冷やし、60%3-クロロペルオキシ安息香酸4.96gを加えた。得られた混合物を、30分間かけて室温に昇温させ、5分間撹拌した後、13.6Mメチルスルフィド水溶液1ml(13.62mmol)を一度に加えた。この混合物を10分間撹拌し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(2×50ml)で分配し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)-N-BOC-ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド4.70g(90%)を白色の泡状物質として得た。
【0378】
【表34】

【0379】
13C.nが2であり、Yがtert-BuONH-であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ic)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例13Bの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオメチル)-N-BOC-ピペリジン-4-イル〕カルボキサミドの代わりに、式(Ib)の他の化合物を用い、nが2であり、Yがtert-BuONH-である式(Ic)の以下の化合物を調製した:
【0380】
【表35】

【0381】
13D.nが2であり、Yがtert-BuONH-であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ic)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例13Aの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、式(Ib)の他の化合物を用い、nが2であり、Yがtert-BuONH-である式(Ic)の以下の化合物を調製した:
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルホニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
2-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-(3-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-〔(4-フェニルチオフェニル)スルホニル〕プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-(フェニルスルホニル)プロピオンアミド;
【0382】
3-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-〔(4-ビフェニル)スルホニル〕プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-(2-ナフチルスルホニル)プロピオンアミド;
3-ベンジル-N-tert-ブトキシ-3-(4-メトキシスチリルフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-(シクロペンチルメチル)-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-(シクロペンチルメチル)-2-イソプロピル-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3-エチル-2-メチル-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-3,3-ジメチル(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルスルホニル)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-メトキシフェニルスルホニル)-4-メチルシクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
【0383】
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)シクロヘキサノン-4-イル〕アセトアミドエチレンケタール;
N-tert-ブトキシ-2-〔1-(4-フェノキシフェニルスルホニル)シクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)シクロヘキサンカルボキサミド;そして
N-tert-ブトキシ-trans-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)シクロペンタンカルボキサミド。
【0384】
13E.nが2であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ic)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例13Aの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルチオ)-テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、式(Ib)の他の化合物を用い、nが2であり、Yがtert-BuONH-である式(Ic)の他の化合物を調製した。
【0385】
実施例14:
Yがtert-BuONH-である式(Ic)の化合物の製法
14A.nが2であり、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ic)の化合物の製法
エタノール21mlに溶解したN-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド1.2g(2.1mmol)の溶液に、10%パラジウム炭素1gとギ酸アンモニウム6.7gを加え、混合物1時間還流した。この混合物を、セライトを用いて濾過し、濾塊をエタノール150ml、次いで塩化メチレン中10%メタノール150mlで洗浄した。濾液から減圧下に溶媒を留去し、残渣を温酢酸エチルに溶解した。濾過し、濾液を濃縮した。次いでシリカゲルクロマトグラフィーに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを無色の油状物として得た。
【0386】
14B.nが2であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Ic)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例14Aの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、式(I)の他のN-CBZで保護された化合物を用い、nが2であり、Yがtert-BuONH-である式(I)の他の化合物を調製した。
【0387】
実施例15:
YがHONH-である式(Id)の化合物の製法
15A.nが2であり、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Id)の化合物の製法
ジクロロエタン2mlに溶解したN-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド27mg(0.05mmol)の溶液を-20℃に冷却し、30分間、塩化水素ガスで飽和した。次いで、反応容器を封じ、25℃で2日間撹拌した。反応混合物から減圧下に溶媒を留去し、残渣を塩化メチレン中50%メタノールに溶解し、ヘキサンを加えて、N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを沈殿させた:m/e=391(MH+,FAB)。
【0388】
15B.nが2であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例15Aの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、Yがtert-BuONH-である式(Ic)の他の化合物を用い、nが2であり、YがHONH-である式(Id)の以下の化合物を調製した:
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド:m/e=525(MH+);
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルホニル)-N-CBZ-ピペリジン-4-イル〕アセトアミド:m/e=463(MH+,FAB);
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド:融点196〜197℃;
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド:融点200〜201℃;
【0389】
【表36】

【0390】
2-〔4-(4-シクロヘキシルオキシフェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド:融点77〜78℃;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド:m/e=329(MH+);
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド:m/e=391(MH+);
2-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド:m/e350.2(MH+);
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(3-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド:m/e=350.2(MH+);
【0391】
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド:m/e=350.2(MH+);
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-〔(4-フェニルチオフェニル)スルホニル〕プロピオンアミド:m/e=427(MH+);
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(フェニルスルホニル)プロピオンアミド:m/e=320(MH+);
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド:m/e=412.2(MH+);
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-〔(4-ビフェニル)スルホニル〕プロピオンアミド:m/e=395(MH+);
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-(2-ナフチルスルホニル)プロピオンアミド:m/e=370.1(MH+);
3-ベンジル-N-ヒドロキシ-3-〔(4-メトキシスチリルフェニルスルホニル〕プロピオンアミド:m/e=452.2(MH+);
3-(シクロペンチルメチル)-N-ヒドロキシ-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド:m/e=342(MH+);
3-(シクロペンチルメチル)-N-ヒドロキシ-2-イソプロピル-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド;
3-エチル-N-ヒドロキシ-2-メチル-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド:m/e=301(MH+);
【0392】
3,3-ジメチル-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)-N-ヒドロキシプロピオンアミド;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルホニル)シクロペンタ-1-イル〕アセトアミド:m/e=313(MH+);
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-メトキシフェニルスルホニル)-4-メチルシクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド:m/e=341(MH+);
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)シクロヘキサ-1-イル〕アセトアミド:m/e=389(MH+);
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)テトラヒドロピラン-4-イル〕アセトアミド:融点88.5〜90℃,m/e=391(MH+);
2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド:融点91〜95℃;
N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)テトラヒドロチオピラン-1,1-ジオキシド-4-イル}アセトアミド:m/e=440.1(MH+);
N-ヒドロキシ-trans-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)シクロペンタンカルボキサミド:m/e=313(MH+);
N-ヒドロキシ-trans-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)シクロヘキサンカルボキサミド:m/e=327(MH+);そして
2-ベンジル-N-ヒドロキシ-trans-2-(4-メトキシフェニルスルホニル)シクロペンタンカルボキサミド:m/e=390(MH+,FABMS)。
【0393】
15C.nが2であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例15Aの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、Yがtert-BuONH-である式(Ic)の他の化合物を用い、nが2であり、YがHONH-である式(Id)の他の化合物、例えば以下の化合物を調製した:
2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-N-CBZ-ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
2-{1-メチル-4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド;
N-ヒドロキシ-2-{1-メチル-4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}アセトアミド;そして
2-{4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルスルホニル〕テトラヒドロピラン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド。
【0394】
15D.nが2であり、R1及びR2が水素であり、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロヘキサノンであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Id)の化合物の製法
実施例15Aに記載した方法により、N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)シクロヘキサノン-4-イル〕アセトアミドエチレンケタール400mgを、相当するN-tert-ブトキシ前駆体より調製した。この生成物を、アセトンと1M塩酸の1:1混合液40mlに溶解し、室温で18時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、酢酸エチルで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィーに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)シクロヘキサノン-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミドを白色の固体として得た:融点106℃(分解),m/e=404(MH+,FABMS)。
【0395】
15E.nが2であり、R3及びR4が水素であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンであり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Id)の化合物の製法
1,2-ジクロロエタン35mlに溶解した遊離の塩基、N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕ピペリジン-4-イル}カルボキサミド780mg(1.62mmol)を含む密閉管に、-30℃でガス状塩化水素を飽和点に達するまで吹き込んだ。次いで、反応容器を封じ、溶液を2日間撹拌した。この容器を再び-30℃に冷却し、開封した後、窒素ガスを溶液中に通気し、次いで室温に昇温させた。混合物を濃縮して、2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシカルボキサミド塩酸塩747mg(100%)を得た。
【0396】
【表37】

【0397】
15F.nが2であり、各種R1、R2、R3、R4、そしてR5を有する式(Id)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例15Eの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕ピペリジン-4-イル}カルボキサミドの代わりに、Yがtert-BuONH-である式(Ic)の他の化合物を用い、nが2であり、YがHONH-である式(Id)の化合物、例えば以下の化合物を調製した:
【0398】
【表38】

【0399】
【表39】

【0400】
15G.nが2であり、R3及びR4が水素であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって1-ピコリルピペリジンであり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Id)の化合物の製法
トリフルオロ酢酸5mlに溶解したN-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-ピコリルピペリジン-4-イル}カルボキサミド324mg(0.566mmol)の溶液を30℃で1.5時間加熱し、室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル100mlに溶解し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(2×30ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。シリカゲルのクロマトグラフィーに付し、6%メタノール/塩化メチレンで溶出して、2-{4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕-1-ピコリルピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシカルボキサミド・塩酸塩を得た。
【0401】
【表40】

【0402】
実施例16:
式(Ih)の化合物の製法
16A.R1、R2及びR4が水素であり、R3がベンジルである式(Ie)の化合物の製法
メタノール50mlに溶解した3-ベンジル-3-(4-ブロモフェニルチオ)プロピオン酸の冷溶液に、水50mlに溶解したOXONE8gの溶液を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、塩化メチレンと水の間に分配した。有機層から減圧下で溶媒を留去して、3-ベンジル-3-(4-ブロモフェニルスルホニル)プロピオン酸を結晶性の固体として得た。
【0403】
16B.R1、R2及びR4が水素であり、R3がベンジルである式(If)の化合物の製法
エタノールとベンゼンの1:1混合物5mlに溶解した3-(4-ブロモフェニル)スルホニル-3-ベンジルプロピオン酸200mg(0.52mmol)、フェニルホウ酸127mg(1.04mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)24mg(0.021mmol)の溶液を、撹拌しながら還流温度に加熱した。反応混合物に2M炭酸ナトリウム溶液1mlを加え、約2時間、還流しながら撹拌した。この混合物を冷却し、酢酸エチルと水の間に分配した。溶媒層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下に溶媒を留去した。残渣をクロマトグラフィーに付し、7%メタノール/塩化メチレンで溶出して、3-(4-ビフェニル)スルホニル-3-ベンジルプロピオン酸を得た。
【0404】
【表41】

【0405】
16C.R1、R2及びR4が水素であり、R3がベンジルである式(Ih)の化合物の製法
上記のように調製した3-(4-ビフェニル)スルホニル-3-ベンジルプロピオン酸を、次に3-(4-ビフェニル)スルホニル-3-ベンジル-N-ヒドロキシプロピオンアミドに変換した。生成物は、実施例10Aに記載したように融点が65℃(分解を伴いながら収縮)であった。
【0406】
16D.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピラン-4-イル、R3及びR4が水素であり、R5が4-(チオフェン-2-イル)フェノキシフェニルである式(Ifb)の化合物の製法
1.20%テトラヒドロフラン/メタノール135mlに懸濁した4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸5.50g(13.0mmol)の懸濁液を15℃に冷却し、機械的に撹拌しながら、水86mlに溶解したOXONE13.0g(21.2mmol)の溶液を滴下して加え、内温を15〜20℃に維持した。この混合物を12時間撹拌し、40%酢酸エチル/水1,200mlに溶解した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×300ml)で逆抽出した。酢酸エチル層を併せ、乾燥(MgSO4)し、濃縮し、残渣を最少量の塩化メチレン/ヘキサンから結晶化して、4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸5.00g(84%)を白色の粉末として得、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0407】
2.N,N-ジメチルホルムアミド15mlに溶解した4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸1.10g(2.42mmol)の溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)108mg、2-チオフェンホウ酸857mg(6.70mmol)、次いで2M炭酸ナトリウム水溶液2.7ml(5.4mmol)を加えた。反応混合物を、10時間還流加熱し、室温に冷却し、塩化メチレン100mlと1N塩酸水溶液20mlの間に分配した。水層を再び塩化メチレン100mlで逆抽出し、有機層を併せ、乾燥(MgSO4)し、残渣をシリカゲル(100g)クロマトグラフィーに付し、塩化メチレンないし10%メタノール/塩化メチレンで溶出し、得られた泡状物質を最少量の塩化メチレン/ヘキサンから結晶化して、4-{4-〔4-(チオフェン-2-イル)フェノキシ〕フェニルスルホニルメチル}テトラヒドロピラン-4-カルボン酸1.04g(94%)を得た。
【0408】
【表42】

【0409】
16E.R1及びR2は、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピラン-4-イルであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(チオフェン-3-イル)フェノキシフェニルである式(Ifb)の化合物の製法
同様にして、上記の方法により、例えば、2-チオフェンホウ酸の代わりに3-チオフェンホウ酸を用い、式(Ifb)の他の化合物、4-{4-〔4(チオフェン-3-イル)フェノキシ〕フェニルスルホニルメチル}テトラヒドロピラン-4-カルボン酸を調製した。
【0410】
【表43】

【0411】
16F.4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸の接触還元
80%エタノール/テトラヒドロフラン40mlに溶解した4-〔4-(4-ブロモフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸660mg(1.45mmol)の溶液を、パラジウム炭素触媒を用い、常圧で14時間水素化し、セライトパッドを用いて濾過し、濾塊を塩化メチレンで洗浄し、真空下で濃縮して、4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)テトラヒドロピラン-4-カルボン酸546mg(100%)を淡橙色の固体として得、更に精製することなく次の反応に直接使用した。
【0412】
【表44】

【0413】
実施例17:
式(Ij)の化合物の製法
17A.R1、R2及びR4が水素であり、R3がベンジルである式(Ii)の化合物の製法
N,N-ジメチルホルムアミド1ml中で、チオフェノール80mgに水素化カリウム40mgを加えて45分間撹拌して、カリウムチオフェノラートの均質な溶液を調製した。この混合物に、N,N-ジメチルホルムアミド1mlに溶解した3-ベンジル-3-(4-ブロモフェニルスルホニル)プロピオン酸100mgを室温で加えた。75℃で16時間撹拌した後、混合物をクエン酸水溶液と水の間に分配し、生成物を分取TLCで精製して、3-ベンジル-3-(4-フェニルチオフェニルスルホニル)プロピオン酸30mgを得た。
【0414】
17B.R1、R2及びR4が水素であり、R3がベンジルである式(Ij)の化合物の製法
上記のようにして得られた3-ベンジル-3-(4-フェニルチオフェニルスルホニル)プロピオン酸を、実施例10Aと同様にして、3-ベンジル-3-(4-フェニルチオフェニルスルホニル)-N-ヒドロキシプロピオンアミドに変換した。
【0415】
実施例18:
式(Ik)の化合物の製法
18A.R1、R2及びR4が水素であり、R3がベンジルである式(Ik)の化合物の製法
3-ベンジル-3-(4-ブロモフェニルスルホニル)プロピオン酸250mg、p-メトキシスチレン0.1ml、ジイソプロピルエチルアミン0.25ml、酢酸パラジウム5mg及びトリ(o-メチルフェニル)ホスフィン16mgの混合物を80℃で一夜撹拌した。反応混合物を塩化メチレンに溶解し、クエン酸水溶液で洗浄した。塩化メチレン溶液から溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付して(分取TLC、10%メタノール/塩化メチレンで溶出)、3-ベンジル-3-(4-スチリルフェニルスルホニル)プロピオン酸21mgを得た。
【0416】
18B.R1、R2及びR4が水素であり、R3がベンジルである式(Ik)の化合物の製法
上記のようにして得られた3-ベンジル-3-(4-スチリルフェニルスルホニル)プロピオン酸を、実施例10Aと同様にして、3-ベンジル-3-(4-スチリルフェニルスルホニル)-N-ヒドロキシプロピオンアミドに変換した:LSIMSm/e=452.2(M+H)+。
【0417】
実施例19:
nが2であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってピペリジンであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである化合物の製法
塩化メチレン4mlに溶解したN-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)-N-BOC-ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド2g(3.64mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸4mlを加えた。反応混合物を1.3時間撹拌し、真空下で濃縮した。粗生成物の塩の残渣を酢酸エチル150mlに溶解し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(2×50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して、遊離の塩基、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド1.57g(90%)を得た。
【0418】
【表45】

【0419】
実施例20:
式(Im)の化合物の製法
20A.nが2であり、Rがエトキシカルボニルメチルであり、R1及びR2が水素であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Im)の化合物の製法
N,N-ジメチルホルムアミド10mlに溶解したN-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド750mgの溶液を、ブロモ酢酸エチル0.2ml及び炭酸カリウム600mgで処理した。この混合物を室温で一夜撹拌し、次に酢酸エチルと水の間に分配した。乾燥後、有機層から溶媒を減圧下で留去して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(エトキシカルボニルメチル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを得、更に精製することなく次の反応に使用した。
【0420】
20B.nが2であり、Rがイソプロピルであり、R1及びR2が水素であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Im)の化合物の製法
アセトン20mlに溶解したN-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド500mgの溶液に、10%パラジウム炭素100mgを加え、混合物を水素雰囲気下で3日間撹拌した。触媒を濾去し、濾液から減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(イソプロピル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド300mgを得た。
【0421】
20C.nが2であり、各種Rを有する式(Im)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例20Aの方法に準じ、但し、ブロモ酢酸エチルの代わりに3-ピコリルクロリドを用い、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(3-ピコリル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを得た。
同様にして、上記の実施例20Aの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}アセトアミドを用い、そしてブロモ酢酸エチルの代わりに、シクロプロピルメチルブロミドを用い、N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-1-(シクロプロピルメチル)ピペリジン-4-イル}アセトアミドを得た。
同様にして、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(アセトアミドカルボニルメチル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを調製した。
【0422】
20D.nが2であり、各種Rを有する式(Im)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例20Aの方法に準じ、但し、適宜、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、式(Il)の他の化合物を用い、そして、適宜、ブロモ酢酸エチルの代わりに、式RX{式中、Rは、低級アルキル、シクロアルキルアルキル、アシル、アルコキシカルボニルアルキル、ピコリン、-SO2Ra〔式中、Raは、低級アルキル又は-NRbRc(式中、Rb及びRcは、独立して、水素又は低級アルキルなどである)であり、そしてXは、クロロ、ブロモ又はヨードである〕である}の他の化合物を用い、式(Im)の他の化合物を製した:
N-tert-ブトキシ-2-〔1-エチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔1-メチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド:融点152〜155℃;
N-tert-ブトキシ-2-〔1-(2-メチルプロピル)-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-〔1-シクロプロピルメチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;
N-tert-ブトキシ-2-{1-シクロプロピルメチル-4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル〕アセトアミド;そして
N-tert-ブトキシ-2-{1-アセチル-4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}アセトアミド。
【0423】
20E.nが2であり、R3及びR4が水素であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって1-シクロプロピルメチルピペリジンであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ic)の化合物の製法
N,N-ジメチルホルムアミド17mlに溶解した遊離塩基、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド1.28g(2.66mmol)の溶液に、シクロプロピルメチルブロミド0.26ml(2.66mmol)、次いで炭酸カリウム1.84g(13.3mmol)を加えた。反応混合物を20時間撹拌し、水100mlを加え、水溶液を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機抽出液を併せ、ブライン(2×50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、25%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)-1-(シクロプロピル)ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド1.30g(92%)を得た。
【0424】
【表46】

【0425】
20F.nが2であり、R3及びR4が水素であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって1-(3-ピコリル)ピペリジンであり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Ic)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例20Eの方法に準じ、但しシクロプロピルメチルブロミドの代わりに、3-ピコリルクロリド塩酸塩の1.25当量を用い、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)-1-(3-ピコリル)ピペリジン-4-イル〕カルボキサミドを調製した。
【0426】
【表47】

【0427】
20G.nが2であり、R3及びR4が水素であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって1-(ニコチノイル)ピペリジンであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ic)の化合物の製法
塩化メチレン2mlに溶解した遊離塩基、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド491mg(1.02mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン444mg(2.55mmol)の溶液を0℃に冷却し、ニコチニルクロリド塩酸塩219mg(1.27mmol)を一度に加えた。反応混合物を3時間撹拌し、水30mlを加え、水溶液を酢酸エチル(2×60ml)で抽出した。有機抽出液を併せ、ブライン(2×50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルのクロマトグラフィーに付し、6%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)-1-(ニコチノイル)ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド233mg(39%)を得た。
【0428】
【表48】

【0429】
20H.nが2であり、R3及びR4が水素であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって1-(メタンスルホニル)ピペリジンであり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ic)の化合物の製法
67%塩化メチレン/ピリジン16.5mlに溶解した遊離塩基、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド1.57g(3.26mmol)の溶液を-78℃に冷却し、塩化メチレン2mlに溶解したメタンスルホニルクロリド0.51ml(6.53mmol)の溶液を加えた。反応混合物を4時間撹拌した後、3N塩酸水溶液25mlを加え、水溶液を酢酸エチル(2×60ml)で抽出した。有機抽出液を併せ、ブライン(2×50ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮した。濃縮物をシリカゲルのクロマトグラフィーに付し、45%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニルメチル)-1-(メタンスルホニル)ピペリジン-4-イル〕カルボキサミド1.16g(64%)を得た。
【0430】
【表49】

【0431】
実施例21:
式(In)の化合物の製法
21A.nが2であり、Rがエトキシカルボニルメチルであり、R1及びR2が水素であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(In)の化合物の製法
実施例20Aの生成物、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(エトキシカルボニルメチル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドをジクロロエタン10mlに溶解し、0℃に冷却し、塩化水素ガスで飽和した。次に反応容器を封じ、溶液を25℃で2日間撹拌した。反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、残渣を分取TLC(10%メタノール/塩化メチレンで溶出)で精製して、N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(エトキシカルボニルメチル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド420mgを得た:m/e=477.1(MH+,FABMS)。
【0432】
21B.nが2であり、Rがイソプロピルであり、R1及びR2が水素であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(In)の化合物の製法
実施例20Bの生成物、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(イソプロピル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを、上記と同様に塩化水素ガスと反応させて、N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(イソプロピル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド155mgを得た:融点128℃,m/e=432(MH+,EIMS)。
【0433】
21C.nが2であり、各種Rを有する式(In)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例20Aの方法に準じ、但し、ブロモ酢酸エチルの代わりに、3-ピコリルクロリドを用い、N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-1-(3-ピコリル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを調製した:融点185〜192℃(分解)。
同様にして、上記の実施例20Aの方法に準じ、但し、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、N-tert-ブトキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}アセトアミドを用い、そしてブロモ酢酸エチルの代わりに、シクロプロピルメチルブロミドを用い、N-ヒドロキシ-2-{4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕-1-シクロプロピルメチルピペリジン-4-イル}アセトアミドを調製した:融点104〜105℃。
同様にして、N-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル〕-1-アセトアミドカルボニルメチルピペリジン-4-イル}アセトアミドを調製した。
【0434】
21D.nが2であり、各種Rを有する式(In)の化合物の製法
同様にして、上記の実施例20Aの方法に準じ、但し、適宜、N-tert-ブトキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドの代わりに、式(Il)の他の化合物を用い、そして、適宜、ブロモ酢酸エチルの代わりに、式RX{式中、Rは、低級アルキル、シクロアルキルアルキル、アシル、アルコキシカルボニルアルキル、ピコリン、又は-SO2Ra〔式中、Raは、低級アルキル又は-NRbRc(式中、Rb及びRcは、独立して、水素又は低級アルキルなどである)であり、Xはクロロ、ブロモ又はヨードである〕である}の他の化合物を用い、以下の式(In)の他の化合物を調製した:
2-〔1-エチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕-N-ヒドロキシアセトアミド:融点182〜183℃;
N-ヒドロキシ-2-〔1-メチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド:融点152〜155℃;
N-ヒドロキシ-2-〔1-(2-メチルプロピル)-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド:融点226〜227℃;
2-〔1-シクロプロピルメチル-4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミド:融点210〜211℃;
2-{1-シクロプロピルメチル-4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド:融点110〜112℃;そして
2-{1-アセチル-4-〔4-(4-フルオロフェノキシ)フェニルスルホニル〕ピペリジン-4-イル}-N-ヒドロキシアセトアミド:m/e=450(MH+)。
【0435】
実施例22:
式(Iab)の化合物の製法
R5が4-フェノキシフェニルである式(Iab)の化合物の製法
N,N-ジメチルホルムアミド100ml中で、4-フェノキシチオフェノール4.8gに水素化カリウム0.98gを加えて45分間撹拌して、カリウム4-フェノキシチオフェノラートの均質な溶液を生成した。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド50mlに溶解したラクトン、(S)-3-カルボベンジルオキシアミノ-2-オキセタノン(Arnold,L.D.et al.,J.Am.Chem.Soc.,107,7105(1985))5.3gを室温で加えた。30分間撹拌した後、反応混合物を水中に注加し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去して、(R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(4-フェノキシフェニルチオ)プロピオン酸9.2gを得た。これは、次の工程に直接使用することができた。
【0436】
実施例23:
式(Io)の化合物の製法
R5が4-フェノキシフェニルである式(Io)の化合物の製法
上記で得られた(R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(4-フェノキシフェニルチオ)プロピオン酸を塩化メチレン175mlに溶解し、0℃に冷却し、O-(tert-ブチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩7.7g、4-メチルモルホリン9.4ml、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール2.8g、そしてN-エチル-N′-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド7.9gで処理した。この混合物を室温まで昇温させ、1.5時間撹拌し、その後、塩化メチレンと水の間に分配した。有機相から減圧下で溶媒を留去し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出剤:0〜50%の酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルチオ)プロピオンアミド7.4gを白色の泡状物として得た。
【0437】
実施例24:
式(Ip)の化合物の製法
nが2であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ip)の化合物の製法
(R)-N-tert-ブトキシ-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-3-(4-フェノキシフェニルチオ)プロピオンアミド1.5mmolをメタノール140mlに溶解し、激しく撹拌しながら、水50mlに溶解したOXONE15gの溶液を加えた。酸化は、通常2時間以内に終了した。次いで、混合物を塩化メチレンと水の間に分配した。乾燥した有機相から溶媒を減圧下に留去して、ほぼ定量的な収率で、(R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド8.3gを得た。
【0438】
実施例25:
式(Iq)の化合物の製法
nが2であり、R1が水素であり、R2が-NR6R7(式中、R6は水素であり、R7はベンジルオキシカルボニルアミノである。)であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Iq)の化合物の製法
塩化メチレン5mlに溶解した、実施例24で得られた(R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド1.2gの溶液を、トリフルオロ酢酸30mlで希釈した。この溶液を一夜放置した後、減圧下に溶媒を留去した。この残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、(R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド400mgを得た。融点195〜202℃。
【0439】
実施例26:
式(Ir)の化合物の製法
nが2であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Ir)の化合物の製法
実施例24で得られた(R)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド6.0gをエタノール100mlに溶解し、10%パラジウム炭素6gの存在下、18時間1気圧で水素化した。触媒を濾去し、濾液から減圧下に溶媒を留去して、(R)-2-アミノ-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミドをガラス状物質として得た。
【0440】
実施例27:
式(Is)の化合物の製法
nが2であり、R1が水素であり、R2が-NR6R7(式中、R6及びR7は共に水素である)であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Is)の化合物の製造
実施例25と同様にして、(R)-2-アミノ-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド6.0gを、1,2-ジクロロエタン5mlに溶解し、-20℃に冷却し、加圧管中で塩化水素ガスを20分間通気した。次いで、フラスコを封じ、混合物を一夜撹拌した。この反応管を冷却し、開口し、て昇温させた。反応液をメタノールで洗浄し、濾液から減圧下で溶媒を留去し、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)4mlを加えて摩砕した。残渣を濾取し、乾燥して、(R)-2-アミノ-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド・塩酸塩を得た。融点178〜180℃(分解)。
【0441】
実施例28:
式(It)の化合物の製法
nが2であり、R1が水素であり、R2が-NR6R7(式中、R6は水素であり、R7は2-CBZ-アミノ-3-メチル-1-ブタノイルである)であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(It)の化合物の製法
塩化メチレン30mlに溶解した(R)-2-アミノ-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド1.9gの溶液に、CBZ-(S)-バリン1.6g、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.9g、トリエチルアミン1ml、及びN′-エチル-N′-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド1.3gを加えた。室温で一夜撹拌した後、溶液を塩化メチレンと水の間に分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去して、(R)-N-tert-ブトキシ-2-(CBZ-バリンアミド)-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミドを得、更に精製することなく使用した。
【0442】
実施例29:
式(Iu)の化合物の製法
nが2であり、R1が水素であり、R2が-NR6R7(式中、R6は水素であり、R7は2-(S)-アミノ-3-メチル-1-ブタノイルである)であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Iu)の化合物の製法
メタノール300mlとエタノール100mlの混合物に溶解した、上記の(R)-N-tert-ブトキシ-2-(CBZ-バリンアミド)-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミドの溶液を、10%パラジウム炭素触媒4gと共に、1気圧の水素雰囲気下に3時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液から減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、塩化メチレン中の0〜3%メタノールで溶出して、(R)-N-tert-ブトキシ-2-バリンアミド-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド1.6gを得た。
【0443】
実施例30:
式(Iv)の化合物の製法
nが2であり、R1が水素であり、R2が-NR6R7(式中、R6は水素であり、R7は2-(S)-アミノ-3-メチル-1-ブタノイル)であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(Iv)の化合物の製法
1,2-ジクロロエタン50mlに溶解した(R)-N-tert-ブトキシ-2-バリンアミド-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド1.6gの溶液を、-20℃に冷却し、加圧管中で塩化水素ガスを15〜20分間通気した。次に、フラスコを封じ、混合物を24時間撹拌した。冷却後、管を注意しながら開口し、溶媒を留去して得られた樹脂状物質に酢酸エチルを加えて摩砕し、粗生成物を白色の粉末として得た。この生成物を10%メタノール/塩化メチレン20mlと共に一夜撹拌し、濾過して、不純物を除去した。この操作を3回繰り返して、(R)-N-ヒドロキシ-2-バリンアミド-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド・塩酸塩760mgを得た。融点214〜217℃。
【0444】
実施例31:
式(Iw)の化合物の製法
nが2であり、Yがヒドロキシ又は低級アルコキシであり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピラン-4-イルであり、R4が水素であり、R3がベンジルであり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(Iw)の化合物の製法
1.20%テトラヒドロフラン-メタノール9.5mlに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロフラン-4-カルボン酸メチルエステルの溶液に、内温を15〜20℃に保ちながら、水8mlに溶解したOXONE1.53g(2.49mmol)の溶液を滴下した。混合物を2時間撹拌し、混合物を40%酢酸エチル/水200mlに溶解した。各層に分配し、水層を酢酸エチル(2×50ml)で逆抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、残渣を分取クロマトグラフィー(20×40-100umプレート;50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)により精製して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸メチルエステル460mg(71%)を得た。
【0445】
【表50】

【0446】
2.リチウムジイソプロピルアミドは、テトラヒドロフラン3mlに溶解したジイソプロピルアミン200μl(1.53mmol)の溶液に、N-ブチルリチウムの2.5Mヘキサン溶液610μl(1.53mmol)を0℃で加え、20分間撹拌することによって調製した。次いで、このリチウムジイソプロピルアミド溶液に、テトラヒドロフラン1mlに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸メチルエステル540mg(1.27mmol)を-78℃で加え、更に60分間撹拌した。この混合物にベンジルブロミド181μl(1.53mmol)を加え、50分間撹拌し、30分かけて室温まで昇温させ、更に3時間撹拌した。次いで、反応混合物を0.1M塩酸水溶液25mlで希釈し、塩化メチレン(2×50ml)で抽出した。有機層を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、20%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル-ベンジル-メチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸メチルエステル440mg(67%)を得た。
【0447】
【表51】

【0448】
実施例32:
式(Ix)の化合物の製法
nが2であり、Yがヒドロキシであり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピラン-4-イルであり、R4が水素であり、R3がベンジルであり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(I)の化合物の製法
N,N-ジメチルホルムアミド4mlに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル-ベンジル-メチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸メチルエステル410mg(0.80mmol)の溶液に、ヨウ化リチウム1.06g(7.96mmol)、次いでシアン化ナトリウム78mg(1.59mmol)を加えた。この混合物を120℃に8時間加熱し、室温に冷却し、減圧下で加熱してN,N-ジメチルホルムアミドを留去した。残渣を酢酸エチル150mlと重亜硫酸ナトリウムの飽和水溶液50mlの間に分配した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、残渣を分取クロマトグラフィー(20×40-1,000umプレート;8%メタノール/塩化メチレンで溶出)に付して精製し、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニル-ベンジル-メチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸317mg(80%)を得た。
【0449】
【表52】

【0450】
実施例33:
式(I)の化合物の製法
nが2であり、R2が-NR6R7(式中、R6及びR7は共にメチルである)であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(I)の化合物の製法
N,N-ジメチルホルムアミド5mlに溶解した(R)-2-アミノ-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド1.6gの溶液に、炭酸カリウム0.5g及びヨウ化メチル550μlを加えた。2.5時間撹拌した後、混合物を酢酸エチルと水の間に分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、(R)-N-tert-ブトキシ-2-ジメチルアミノ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド0.6gを得た。
この化合物、(R)-N-tert-ブトキシ-2-ジメチルアミノ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミドを、1,2-ジクロロエタン50mlに溶解し、-30℃に冷却し、加圧管中で塩化水素ガスを15〜20分間通気した。次いで、フラスコを封じ、混合物を一夜撹拌した。冷却後、注意しながら管を開口し、内容物の溶媒を留去し、得られた樹脂状物質をヘキサン/酢酸エチル(2:1)と共に摩砕して、(R)-2-ジメチルアミノ-N-ヒドロキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド・塩酸塩0.43gを白色の粉末として得た。融点65〜70℃。
【0451】
実施例34:
式(I)の化合物の製法
nが2であり、R2が-NR6R7(式中、R6は水素であり、R7はジメチルアミノスルホニルである)であり、R5が4-フェノキシフェニルである式(I)の化合物の製法
塩化メチレン20mlとピリジン1.2mlに溶解した(R)-2-アミノ-N-tert-ブトキシ-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド1.5gの溶液に、ジメチルスルファモイルクロリド1mlを加え、混合物を室温で一夜撹拌した。混合物を塩化メチレンと水の間に分配し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、0〜45%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出して、(R)-N-tert-ブトキシ-2-ジメチルアミノスルホンアミド-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミド1.6gを得た。
この化合物、(R)-N-tert-ブトキシ-2-ジメチルアミノスルホンアミド-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)プロピオンアミドをトリフルオロ酢酸30mlに溶解し、混合物を室温で一夜撹拌した。減圧下にトリフルオロ酢酸を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、(R)-2-ジメチルアミノスルホンアミド-3-(4-フェノキシフェニルスルホニル)-N-ヒドロキシプロピオンアミド・トリフルオロ酢酸塩550mgを得た。
【0452】
【表53】

【0453】
実施例35:
大規模での式(I)の化合物の製造例
nが2であり、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランであり、R3及びR4が水素であり、R5が4-(4-クロロフェノキシ)フェニルである式(I)の化合物の製法
1.式(7a)の化合物の製法
N,N-ジメチルホルムアミド56kgとジエチルマロナート22kgの混合物に、ナトリウムエトキシドの21%エタノール溶液45kg、次いで2-クロロエチルエーテル19kgを加えた。この混合物を85℃に加熱してエタノールの蒸留を起こした。生成したエタノールの全てが留去されるまで(3時間)、温度を120℃に上昇した。その後、混合物を25℃まで放冷した。混合物を120℃に再び加熱し、生成したエタノールが留去するような速度で、ナトリウムエトキシドの21%エタノール溶液45kgを更に加えた。蒸留が終了した時点で混合物を100℃に冷却し、反応が完結したことを確かめた後、25℃に冷却した。この混合物をトルエン80kgと水216kgの間に分配し、有機層から蒸留によって溶媒を除去した。この生成物は、更に精製することなく次の工程に使用した。
【0454】
2.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(8a)の化合物の製法
式(7a)の化合物、テトラヒドロ-4H-ピラン-4,4-ジカルボン酸ジエチルエステル12kgをトルエン104kgに溶解した溶液を、-30℃〜-35℃に冷却し、反応温度を-25℃に維持するような速度で水素化ジイソブチルアルミニウム69kgを加えた。添加終了後、3時間かけて温度を15℃に上昇させ、出発原料の全部が消費されるまで反応混合物を撹拌した。この混合物を-15℃に再び冷却し、一夜放置した。生成物を酢酸エチル54kg、エタノール48kgと硫酸ナトリウム飽和溶液60リットルの間に分配し、この混合物を25℃で一夜撹拌した。析出した塩を濾去し、テトラヒドロフランで洗浄し、濾液をブラインで洗浄し、分離した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去して、式(8a)の化合物、4-ヒドロキシメチルテトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル3.8kgを得た。
【0455】
3.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(9a)の化合物の製法
メタノール44リットルと水11kgに溶解した水酸化リチウム一水和物4.46kgの溶液に、4-ヒドロキシメチルテトラヒドロピラン-4-カルボン酸エチルエステル8.0kgを加えた。この混合物を30分間還流し、減圧下に溶媒を留去した。混合物を20℃に冷却し、メチルtert-ブチルエーテル14.8kgを加え、10分間撹拌し、放置した。上部の有機層を分離した。この操作を更に2回繰り返し、次いで、残留する混合物を-10℃に冷却し、温度を5℃以下に保ちながら、31%塩酸13kgと水3kgの混液を加えた。この混合物をテトラヒドロフランで数回抽出し、有機相を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥した。テトラヒドロフランの約90%を留去し、残留する溶液をヘキサン64.5kgとメチルtert-ブチルエーテル23.7kgの混合物に撹拌しながら加えた。析出した固形物を濾取し、減圧下で60℃で乾燥して、式(9a)の化合物、4-ヒドロキシメチルテトラヒドロピラン-4-カルボン酸3.7kgを得た。
【0456】
4.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(Ia)の化合物の製法
ジクロロメタン32リットルに4-ヒドロキシメチルテトラヒドロピラン-4-カルボン酸3.84kg及び4-ジメチルアミノピリジン0.6kgを含む混合物に、トリエチルアミン4.88kgを加えた。この混合物を-20℃に冷却し、ジクロロメタン5リットルに溶解したベンゼンスルホニルクロリド4.66kgの溶液を、温度を-10℃以下に保ちながら、35分間かけて加えた。この混合物を-10℃で30分間撹拌し、次いで3N塩酸10リットルと水10リットルを撹拌しながら加えて、層を分離させた。有機層を分離し、水層をジクロロメタン16リットルで洗浄した。有機層を併せ、5%重炭酸ナトリウム水溶液12リットル、次いで水12リットルで洗浄し、減圧下に溶媒を留去して、式(10a)の化合物、2,7-ジオキサスピロ〔3.5〕ノナン-1-オンを得た。
テトラヒドロフラン(26リットル)中の60%水素化ナトリウム(0.92kg)の混合物を0℃に冷却し、温度を10℃以下に維持しながら、テトラヒドロフラン15リットルに溶解した4-(4-クロロフェノキシ)チオフェノール4.37kgの溶液を加えた。この混合物を室温に30分間放置した後、再び0℃に冷却した。この混合物に、温度を10℃以下に維持しながら、上記で得られた2,7-ジオキサスピロ〔3.5〕ノナン-1-オンの濃溶液を徐々に加えた。この混合物を室温まで昇温させ、30分間撹拌し、3N塩酸16リットルとジクロロメタン30リットルで処理した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン20リットルで2回抽出した。有機層を併せ、水20リットルで洗浄し、濾過し、常圧下に100リットルの溶媒を留去した。残留した反応生成物に、アセトニトリル60リットルを加え、更に蒸留によって60リットルの溶媒を除去した後、アセトニトリル40リットルを加え、残留物の全量を蒸留によって30リットルに減らした。この混合物を穏やかに還流するように加熱し(80℃)、次いでゆっくり0℃に冷却した。生成物を濾取し、ヘキサンで洗浄し、減圧下に約60℃で乾燥して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸5.61kgを得た。
【0457】
5.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(Iba)の化合物の製法
ジクロロメタン27.5リットルに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-カルボン酸5.5kg及びN,N-ジメチルホルムアミド27mlの溶液を5℃に冷却し、撹拌しながら、塩化オキサリル1.4リットルをゆっくりと加えた。添加終了後、この混合物を室温まで昇温させ、2時間撹拌して、式(12)の化合物を生成した。この溶液を再び10℃に冷却し、50%ヒドロキシルアミン水溶液5.4リットル、tert-ブタノール12.1リットル及びテトラヒドロフラン30.5リットルの混合物を、温度を21℃以下に維持しながら、ゆっくりと加えた。その後、反応が終了するまで混合物を室温に昇温させた。次いで、減圧下で溶媒を留去して90%を留去し、この時点で、アセトニトリル42.5リットルを加え、残りのジクロロメタンを減圧下で蒸留して除去した。残留した溶液を還流下で加熱し、還流が維持されるような速度で水126kgを加えた。次いで、この溶液を5℃に12時間冷却し、かくして得られる固形物を濾取した。この生成物を水洗し、減圧下、50℃でに乾燥し、式(Iba)の化合物、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)5.06kgを得た。
【0458】
6.R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒になってテトラヒドロピランである式(Id)の化合物の製法
テトラヒドロフラン28リットルとメタノール112リットルに溶解した4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルチオメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)5.06kgの溶液に、15℃で撹拌しながら、温度が16℃を越えないようにしながら、水72リットルに溶解したOXONE14.23kgの溶液を加えた。添加終了後、温度を20℃に昇温し、混合物を3時間撹拌してから、トルエン60リットルと酢酸エチル98リットルの冷混合物(5℃)中に撹拌しながら注加した。得られた混合物を濾過し、生成した有機及び水層を分離し、水層を酢酸エチル25リットルとトルエン10リットルの混合物で洗浄した。この洗浄を更に2回繰り返した。抽出液及び有機層を併せ、水25リットルで2回洗浄し、減圧下で溶媒を留去して30リットルの量まで濃縮した。この溶液を5℃に冷却し、固形物を濾取し、酢酸エチル/水で洗浄し、真空下で50℃で乾燥して、4-〔4-(4-クロロフェノキシ)フェニルスルホニルメチル〕テトラヒドロピラン-4-(N-ヒドロキシカルボキサミド)4.3kgを得た。
【0459】
7.同様にして、式(I)の他の化合物を製造することができた。
【0460】
実施例36:
この実施例は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩、例えばN-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを含有する、経口投与用の代表的な医薬組成物の製法を例示するものである。
A. 組成成分 重量%
式(I)の化合物 20.0%
乳糖 79.5%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
上記の組成成分を混合し、それぞれが100mgを含むハードゼラチンカプセルに分封した。1カプセルは、大体、1日当りの全用量である。
B. 組成成分 重量%
式(I)の化合物 20.0%
ステアリン酸マグネシウム 0.9%
澱粉 8.6%
乳糖 79.6%
PVP(ポリビニルピロリジン) 0.9%
ステアリン酸マグネシウム以外の上記の組成成分を混ぜ合わせ、粒化液として水を用い顆粒化した。この処方物を乾燥し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、適当な打錠機で錠剤とした。
C. 組成成分 重量
式(I)の化合物 0.1g
プロピレングリコール 20.0g
ポリエチレングリコール400 20.0g
ポリソルベート80 1.0g
水 適宜加えて 100mlとする。
式(I)の化合物をプロピレングリコール、ポリエチレングリコール400及びポリソルベート80に溶解した。十分な量の水を撹拌しながら加えて100mlの溶液とし、濾過してビンに充填した。
D. 組成成分 重量%
式(I)の化合物 20.0%
落花生油 78.0%
スパン60 2.0%
上記の組成成分を溶融し、混合し、ソフトカプセルに充填した。
【0461】
実施例37:
この実施例は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩、例えばN-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを含む、非経口投与用の代表的な医薬製剤の製法を例示するものである。
組成成分 重量
式(I)の化合物 0.02g
プロピレングリコール 20.0g
ポリエチレングリコール400 20.0g
ポリソルベート80 1.0g
0.9%生理食塩水 適宜加えて 100mlとする。
式(I)の化合物を、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400及びポリソルベート80に溶解した。撹拌しながら、0.9%生理食塩水を加えて100mlの静脈注射液とし、0.2μ膜フィルターで濾過し、無菌条件下で包装した。
【0462】
実施例38:
この実施例は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩、例えばN-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを含有する、座剤の代表的な医薬組成物の製法を例示するものである。
組成成分 重量%
式(I)の化合物 1.0%
ポリエチレングリコール1000 74.5%
ポリエチレングリコール4000 24.5%
組成成分を一緒に溶融し、蒸気浴上で混合し、全重量2.5gを含む型に注入する。
【0463】
実施例39:
この実施例は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩、例えばN-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを含有する、吸入用の代表的な医薬製剤の製法を例示するものである。
組成成分 重量%
式(I)の微粉化化合物 1.0%
微粉化乳糖 99.0%
組成成分を破砕して混合し、投薬ポンプを備えた吸入器に充填した。
【0464】
実施例40:
この実施例は、式(I)の化合物、又は薬学的に許容しうるその塩、例えばN-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを含有する、噴霧薬の形態の代表的な医薬製剤の製法を例示するものである。
組成成分 重量%
式(I)の化合物 0.005%
水 89.995%
エタノール 10.000%
式(I)の化合物をエタノールに溶解し、水と混合した。この処方物を、投薬ポンプを備えたネブライザーに充填した。
【0465】
実施例41:
この実施例は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩、例えばN-ヒドロキシ-2-〔4-(4-フェノキシフェニルスルホニル)ピペリジン-4-イル〕アセトアミドを含有する、エアゾルの形態の代表的な医薬製剤の製法を例示するものである。
組成成分 重量%
式(I)の化合物 0.10%
プロペラント11/12 98.90%
オレイン酸 1.00%
式(I)の化合物をオレイン酸とプロペラントに分散した。得られた混合物を計量バルブを備えたエアゾル容器に注入した。
【0466】
実施例42:
In vitroアッセイ
42A.アッセイ用MMPの単離
ヒトコラゲナーゼ-1の触媒ドメインは、E.coliにおけるユビキチンとの融合タンパク質として発現させた(Gehring,E.R.et al.,J.Biol.Chem.,270,22507(1995))。融合タンパク質の精製後、繊維芽細胞コラゲナーゼ-1触媒ドメインは、37℃で1時間、1mMの酢酸アミノフェニル水銀(APMA)で処理することによって放出させ、亜鉛キレートクロマトグラフィーによって精製した。
ヒトコラゲナーゼ-2及びゼラチナーゼBは、軟膜から活性な形で単離した(Mookhtiar,K.A.et al.,Biochemistry,29,10620(1990))。
ヒトコラゲナーゼ-3のプロペプチド及び触媒ドメイン部分は、E.coliにおいてユビキチンとのN-末端融合タンパク質として発現させた。精製後、触媒ドメインは、37℃で1時間、1mMのAPMAで処理することによって得、亜鉛キレートクロマトグラフィーで精製した。
ラットコラゲナーゼ-3は、子宮平滑筋細胞の培地から活性な形で精製した(Roswit,W.T.et al.,Arch.Biochem.Biophys.,225,285-295(1983))。
ヒトプロゼラチナーゼAの触媒及びフィブロネクチン様部分は、E.Coliにおいてユビキチンとの融合タンパク質として発現させた。自己分解的に活性化された材料を用いてアッセイを行った。ラットプロゼラチナーゼAは、インターロイキンで刺激した角化細胞の培地から精製し、37℃で1時間、1mMのAPMAで処理することによって活性化し、次いで透析して過剰のAPMAを除去した。
ヒトプロストロメリシン-1は、固定したモノクローナル抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって滑液繊維芽細胞の培地から精製した。この酵素前駆体は、23℃で1時間、トリプシン1.5μg/mlで処理することによって活性化して、45及び28kDの種の混合物を得た。ヒトストロメリシンの触媒ドメインは、E.Coliからのプロストロメリシン-1の発現と精製によって作成し、37℃で1時間、1mMのAPMAで活性化し、次いで透析した。ラットプロストロメリシン-1は、チャイニーズハムスター卵巣細胞で発現させ、この培地から精製した。これは、37℃で1時間、1mMのAPMAで活性化し、次いで透析した。
ヒトプロマトリリシンを発現させ、チャイニーズハムスター卵巣細胞から精製した(Barnett,J.et al.,Prot.Expres.Pur.,5,27(1994))。この酵素前駆体は、37℃で1時間、1mMのAPMAで処理することによって活性化し、亜鉛キレートクロマトグラフィーで精製した。
式(I)の化合物は、この検定法でテストした場合、コラゲナーゼ阻害能を示した。
【0467】
42B.In vitroアッセイ法
アッセイを、2.5%メチルスルホキシド(DMSO)を含むアッセイ緩衝液(50mMトリシン、pH7.5、200mM塩化ナトリウム、10mM塩化カルシウム、0.005%ブリジ-35)中で行い、この場合、その中で基質及び阻害剤を希釈した。阻害剤の貯蔵溶液は100%DMSO中で調製した。基質の貯蔵溶液は、2mMの濃度で100%DMSO中で調製した。
アッセイ法は、37℃でのMCA-Pro-Leu-Gly-Leu-DPA-Ala-Arg-NH2(Bachem,Inc.)の加水分解に基づくものであった(Knight,C.G.et al.,FEBS,296,263-266(1992))。蛍光変化は、328nmの励起波長及び393nmの発光波長を用い、Perkin-Elmer LS-50B蛍光光度計でモニターした。このアッセイに使用した基質濃度は10μmolであった。阻害剤は、100%DMSO溶液からアッセイのために希釈し、対照は、全てのアッセイにおいて阻害剤及び基質の希釈からの最終DMSO濃度が2.5%になるように等しい量のDMSOを交換した。阻害の結果は、対照(阻害されていない)の反応の活性の50%阻害(IC50)を生じる阻害濃度として表現した。
【0468】
実施例43:
In vitroアッセイ
このアッセイ法は、軟骨外植片からのコラーゲンマトリックスの分解(ヒドロキシプロリンの放出によって判定した)及びプロテオグリカンの分解(35S-標識グリコサミノグリカンの放出によって判定した)に対する式(I)の化合物の阻害能を測定するものである。
軟骨外植片の小片(直径3mm)は、新たに屠殺したウシの膝関節から調製し、35SO4で標識した。35S-標識グリコサミノグリカン(GAG)及びコラーゲンフラグメントは、ストロメリシン及びコラゲナーゼを含む軟骨細胞マトリックスのメタロプロテアーゼ(MMP)の発現を誘導するrhIL-1-αの添加に応じて培地に放出された。放出されたヒドロキシプロリン及びGAGの阻害百分率は、rhIL-1-αが存在しない場合の自発的な放出に対して補正した。
式(I)の化合物は、このアッセイでテストした場合、軟骨外植片からのコラーゲンフラグメント及び35S-標識GAGの両者の放出に対する阻害能を示した。
【0469】
実施例44:
In vivoアッセイ
軟骨プラグ移植アッセイは、ラットにおいて移植された軟骨プラグのコラーゲンマトリックスの破壊を測定するものである(Bishop,J.et al.,J.Pharm.Tox.Methods,30,19(1993))。
予め凍結し、重さが約20mgのウシ鼻軟骨プラグを、Mycobacteriumtuberculosisを含浸したポリビニルスポンジに包埋し、雌性ルイス系ラットの皮下に移植した。移植の9日後に投与を開始し、約1週間後にプラグを採取した。プラグの重量を計り、加水分解して、ヒドロキシプロリン含量を測定した。有効性は、化合物投与群と賦形剤投与群を比較することによって決定した。
式(I)の化合物は、このアッセイにおいて軟骨プラグの破壊に対する阻害能を示した。
【0470】
実施例45:
In vivoアッセイ
45A.LPS刺激によるTNF産生の測定
6〜8週令の雌性Balb/c系マウス(Jackson Labs又はHarlan)を使用した。各投与群には、6〜8頭のマウスを使用した。マウスには、式(I)の化合物を投与した後、LPS(Sigma,13129,マウス1頭当り10〜20μg)を腹腔内注射した。LPSの投与の30〜60分前に、1回、式(I)の化合物又は賦形剤を皮下投与した。対照動物には、CMC賦形剤単独又はCMC+2〜5%DMSOを投与した。LPS注射の1.5時間後、動物をメトファンによる麻酔下に、パスツールピペットを用い後方の眼窩叢から採血した。血液を微量血清分離管(Becton Dickinson #5960)に集めた。血清を分離し、翌日にテストするか又はTNF-αに関する試験の準備ができるまで-20℃で保存した。
【0471】
45B.ネズミTNF-αに対するELISA法
エンドゲン(Endogen,EM-TNFA kit)マウス腫瘍壊死因子アルファ(mTNF-α)キットは、マウスTNF-α(注文コード:EM-TNFA;Endogen,30 Commerce Way,Woburn,MA 01801-1059,USA)の定量的測定のためのin vitroでの酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA)のためのものである。標準品(凍結乾燥した組換えE.coli由来のマウスTNF-α)又は血清標品(各々50μl)を、予め被覆した抗-mTNF-αプレートの各ウエルに二通りに加えた。ビオチン化抗体50μlを加え、プレートを室温で2〜3時間培養した。このウエルを洗浄緩衝液で5回洗浄し、各ウエルに、希釈したストレプトアビジンHRP100μlを加え、次いで室温で30分間培養した。洗浄(5×)後、予め混合したTMB基質溶液100μlを各ウエルに加え、プレートを暗所の室温で30分間発育させた。停止液100μlを加えて反応を停止した。450〜575nmの吸光度を、プレートリーダー(ThermoMax,Molecular Device)で測定した。Immunofit Beckmanソフトウェアを用い、標準曲線と比較してTNF-αのpg/mlにおける結果を算出した。結果を、TNF-αの平均pg/ml、TNF-α産生が100%と想定した対照(LPS単独を注射した動物)と比較した阻害の百分率として表現した。
式(I)の化合物は、この検定法でテストした場合、TNF-α産生を阻害する活性を示した。
【0472】
実施例46:
TNF抱合免疫検定法
ヒトのモノマック(Monomac)6細胞を、37℃で、ウシ胎児血清10%を補足したRPMI1640培地で1×105細胞/mlの密度まで培養した。以降の培養は全て37℃で行った。これらの細胞の230μlを、96ウエルの組織培養プレートの各ウエルに入れ、15分間培養した。適当なウエルには、所望の濃度の式(I)の化合物を含む上記の培地10μlを加え、更に15分間培養した。各ウエルに、LPS/PMA混合物10μlを加え、LPSの最終濃度を10ng/ml、PMAの最終濃度を30ng/mlにした。次いで、細胞を2時間培養し、その後、プレートを遠心分離し、培地を除去し、TNF含量を分析した。分析は、R&D Systems TNF Quantikine Immunoassayを用い、製造業者のプロトコール(R&D.Systems,614 Mckinley Place N.E.,Minneapolis,MN 55413,USA;Catalog No.DTA50)に準じて行った。IC50は、培地に放出されたTNFの阻害百分率から算出した。 式(I)の化合物は、このアッセイでテストした場合、TNF産生に対する阻害能を示した。
【0473】
実施例47:
TNFR発散イムノアッセイ
ヒトのモノマック(Monomac)6細胞を、37℃で、ウシ胎児血清10%を補足したRPMI1640培地で1×106細胞/mlの密度まで培養した。以降の培養は全て37℃で行った。これらの細胞230μlを、96ウエルの組織培養プレートの各ウエルに入れ、細胞を15分間培養した。適当なウエルには、所望の濃度の式(I)の化合物を含む上記の培地10μlを加え、更に15分間培養した。各ウエルに、PMA10μlを加え、最終濃度を30ng/mlにした。次いで、細胞を16時間培養し、その後、プレートを遠心分離し、培地を除去し、TNF受容体含量を分析した。分析は、製造業者のプロトコールによりR&D Systems TNF receptor Quantikine Immunoassayを用いて行った。各TNF受容体(受容体I及び受容体II)の測定は、この方法で行った。IC50は、培地に放出されたTNFの阻害百分率から算出した。
式(I)の化合物は、このアッセイでテストした場合、TNF生産に対する選択的阻害能を示した。
【0474】
本発明は、特定の実施態様に関して記述したものであるが、この発明の範囲を逸脱することなく各種の変更を行うことができ、同等な態様に置き換えることができることは、当業者には理解できよう。かかる変更の全ては、ここに記載した請求の範囲内である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-11-18 
出願番号 特願平8-340752
審決分類 P 1 652・ 113- YA (C07C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 西川 和子  
特許庁審判長 鐘尾 みや子
特許庁審判官 後藤 圭次
鈴木 紀子
登録日 1999-04-30 
登録番号 特許第2921673号(P2921673)
権利者 アグーロン ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド エフ・ホフマン-ラ ロシユ アーゲー
発明の名称 マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤  
代理人 渡辺 睦雄  
代理人 渡辺 睦雄  
代理人 渡辺 睦雄  
代理人 津国 肇  
代理人 津国 肇  
代理人 津国 肇  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ