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審決分類 審判 全部申し立て 1項2号公然実施  H02K
審判 全部申し立て 2項進歩性  H02K
管理番号 1093203
異議申立番号 異議2003-72181  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-06-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-09-02 
確定日 2004-02-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第3381608号「車両用交流発電機」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3381608号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 【1】手続の経緯・本件発明
本件特許第3381608号の請求項1ないし7に係る発明についての出願は、平成10年2月19日(優先権主張平成9年9月26日)に特許出願され、平成14年12月20日にその特許の設定登録がなされ、その後三菱電機株式会社より特許異議の申立がなされたものであり、その請求項1ないし7に係る発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。

【請求項1】 界磁コイルと、該界磁コイルが巻装された円筒部と該円筒部の軸方向位置から外周方向に広がる継鉄部と該継鉄部と連結され前記界磁コイルとを囲包するように形成された爪状磁極部とを有するランデル型鉄心を備える界磁回転子と、該爪状磁極部の外周に対向配置し、積層鉄心と電機子コイルからなる固定子とを有する車両用交流発電機において、
前記固定子積層鉄心の軸方向長さL1と円筒部の軸方向長さL2の比率(L1/L2)は、1.25〜1.75の範囲であり、
前記ランデル型鉄心の外径R1と円筒部の外径R2との比率(R2/R1)は、0.54〜0.60の範囲であり、かつ、
円筒部の断面S1、継鉄部の断面S2より爪状磁極部の根元部断面S3を小さくすることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項2】 請求項1において、
前記継鉄部の軸方向厚さX2と前記爪状磁極部の根元部の径方向厚さX1との比率(X1/X2)は0.5〜0.9の範囲であることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項3】 請求項1または2において、
比率(L1/L2)は1.45〜1.55の範囲であり、
比率(R2/R1)は0.54〜0.58の範囲であり、かつ比率(X1/X2)は0.6〜0.87の範囲であることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項4】 請求項1もしくは3のいずれかにおいて、
前記界磁コイルの軸方向断面は軸方向中心に対し略対称であり中心位置に近いほど外径の大きい略山形形状であることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項5】 請求項4において、
前記界磁コイルはシート状の樹脂含浸シートで囲包され、少なくとも1つの前記爪状磁極部の内周面に該当接していることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記車両用交流発電機は界磁電流調節器を備え、該界磁電流調節器のトランジスタは界磁コイルに対し高電位側に接続されていることを特徴とする車両用交流発電機。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記固定子鉄心はスロットを備え、前記電機子コイルは複数の電気導体からなり、該電気導体は前記固定子のスロットの深さ方向に対して互いに絶縁されて、スロットの奥に位置する外層と開口部側に位置する内層とに二分されたものが一対以上配設され、異なるスロットの前記外層、内層の導体が直列に接続されたことを特徴とする車両用交流発電機。

【2】特許異議申立ての内容
特許異議申立人三菱電機株式会社は下記(2-2)の甲第1ないし5号証を提出して、本件請求項1ないし7に係る発明の特許は、次の理由(2-1)により取り消されるべきものである旨主張している。

(2-1)特許異議申立ての理由の概要
(i)本件請求項1に係る発明は、本願優先日前日本国内において公然実施された発明と同一であるから、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。
(ii)本件請求項2、3に係る各発明は、本願優先日前日本国内において公然実施された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。
(iii)本件請求項4〜7に係る各発明は、本願優先日前日本国内において公然実施された発明並びに甲第2〜5号証の記載から、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。

(2-2)証拠方法
(1)甲第1号証:
1.いすゞ観光バス(LV7)の抹消登録証明書
2.いすゞ観光バス(LV7)に装着された日興オルタネータの詳細
3.'92日興電装品パーツカタログ抜粋
4.'87〜'96いすゞハイデッカー(LV)PARTS CATALOG抜粋
5.証明願
(2)甲第2号証:特開昭60- 66656号公報
(3)甲第3号証:特開平 8-107644号公報
(4)甲第4号証:特公昭38- 16668号公報
(5)甲第5号証:特開平 8-205441号公報

(2-3)証拠の説明
特許異議申立人は、特許異議申立書(5頁13行-7頁22行)において、上記甲第1ないし5号証の証拠の説明として下記のとおり主張している。
(i)甲第1号証(平成2年3月に初度登録され使用を開始されたいすゞ観光バスに装着された日興オルタネータ)
甲第1号証は、本願優先日前の平成2年3月に初度登録され使用を開始されたいすゞ観光バスに装着された日興オルタネータの詳細を示すものである
甲第1号証-1は、上記バスの抹消登録証明書である。該証明書に記載されている通り、上記バスは、平成2年3月に初度登録され使用を開始されている。
甲第1号証-2は、上記バスに装着された日興オルタネータの詳細を示す資料である。資料に示されているように、上記日興オルタネータの寸法関係は下記の通りとなっている。
1.固定子積層鉄心の軸方向長さL1=51.32mm
2.ランデル型鉄心の円筒部の軸方向長さL2=29.80mm
3.ランデル型鉄心の外径R1=150.35mm
4.ランデル型鉄心の円筒部の外径R2=81.52mm
5.ランデル型鉄心の円筒部の断面S1=722.45mm2 6.ランデル型鉄心の継鉄部の断面S2=668.78mm2 7.ランデル型鉄心の爪状磁極部の根元部断面S3=556.95mm2 なお、写真中の定規は、参考までに付したものである。
上記より、
・L1/L2=1.72
・R2/R1=0.54
・S3<S1、S2
であることがわかる。
なお、上記日興オルタネータが、界磁コイル等、本件請求項1に係る発明のその余の構成を有していることは言うまでもない。
甲第1号証-3は、日興電気工業株式会社が1982年3月から1991年10月までの間に生産、販売した製品を部品番号順に掲載したパーツカタログ(1991年12月発行)の抜粋で、これによると、部品番号(型式)「0-33000-6090」のオルタネータ(いすゞ部品番号:「1-81200-367-1」)が、いすゞ観光バス「LV719」(エンジン型式:「10PC1」)に装着されていることがわかる。
甲第1号証-4は、いすゞ自動車株式会社のハイデッカー(LV7)のPARTS CATALOG(1995年9月発行)の抜粋で、これによると、車検証車型「LV719R」の車輌の搭載エンジンが「10PC1」であり、この「10PC1」エンジンに、いすゞ部品番号「1-81200-367-1」の日興製ジェネレータが装着されていることがわかる(上記甲第1号証-3の記載と一致)。
甲第1号証-5は、いすゞ自動車株式会社殿に、上記いすゞ観光バス「LV719」(エンジン型式:「10PC1」)を、本願優先日前の1997年(平成9年)8月以前に日本国内において発売した事実を証明頂いたものであります。
なお、今回寸法関係を実測した上記甲第1号証-2の日興オルタネータの銘板には、「0-33000-6090」との刻印がされており、甲第1号証-3のパーツカタログにおける部品番号(型式)「0-33000-6090」と一致します。

(ii)甲第2号証(特開昭60-66656号公報)
甲第2号証には、励磁コイル4(界磁コイル)の軸方向断面が軸方向中心に対し略対称であり中心位置に近いほど外径の大きい略山形形状である車両用交流発電機が開示されている。(第1図(a)、第2図、第4図参照)
また、励磁コイル4(界磁コイル)のボビンの突き当て部3aを、爪部の内側1b(爪状磁極部の内周面)に当接して押さえることにより、ポールコアの爪部の共振音(爪状磁極部の磁気力共振による騒音)を防止する技術が開示されている。(第2頁左上欄第12〜17行目、第4図参照)

(iii)甲第3号証(特開平8-107644号公報)
甲第3号証には、界磁コイル31が外周テープ36(シート状の樹脂含浸シート)で囲包された車両用交流発電機が開示されている。(図1〜3参照)

(iv)甲第4号証(特公昭38-16668号公報)
甲第4号証には、エンジンによって駆動される発電機と組合わせて用いる自動車用の電圧調整器(界磁電流調節器)のトランジスタ1を界磁コイル7に対し高電位側に接続する技術が開示されている。(第2図参照)

(v)甲第5号証(特開平8-205441号公報)
甲第5号証には、固定子鉄心がスロットを備え、固定子巻線(電機子コイル)が複数の略U字形導体(電気導体)からなり、該略U字形導体(電気導体)は前記固定子鉄心(固定子)のスロットの深さ方向に対し互いに絶縁されて、スロットの奥に位置する外層と開口部側に位置する内層とに二分されたものが一対以上配設され、異なるスロットの前記外層、内層の導体が直列に接続された回転電機が示されている。(図1〜8参照)

【3】特許異議申立てについての判断
(3-1)上記甲第1〜5号証に対する当審の認定・判断
(i)甲第1号証(なお、甲第1号証-2については以下(iii)に詳述する。)
ア.甲第1号証-1は、(上記特許異議申立人が主張するとおり)いすゞ観光バスの抹消登録証明書であり、該証明書に記載されている通り、上記バスは、平成2年3月に初度登録され使用を開始されていたものと認めることができる。
イ.甲第1号証-3は、日興電気工業株式会社が1982年3月から1991年10月までの間に生産、販売した製品を部品番号順に掲載したパーツカタログ(1991年12月発行)の抜粋で、これによると、部品番号(型式)「0-33000-6090」のオルタネータ(いすゞ部品番号:「1-81200-367-1」)が、いすゞ観光バス「LV719」(エンジン型式:「10PC1」)に装着されていたものと認めることができる。
ウ.甲第1号証-4は、いすゞ自動車株式会社のハイデッカー(LV7)のPARTS CATALOG(1995年9月発行)の抜粋で、これによると、車検証車型「LV719R」の車輌の搭載エンジンが「10PC1」であり、この「10PC1」エンジンに、いすゞ部品番号「1-81200-367-1」の日興製ジェネレータが装着されていたものと認めることができる。
エ.甲第1号証-5は、三菱電機株式会社姫路製作所 回転機第一製造部長 足立克己名により、いすゞ自動車株式会社宛に、「貴社が添付のパーツカタログに記載の日興電機工業(株)製オルタネータ(日興電機工業型式0-33000-6090、いすゞ部品番号1-81200-367-1)を装備した自動車(観光バス型式LV719、エンジン型式10PC1)を、1997年8月以前に日本国内において発売された事実をご証明願います。」との記載と共に、2003年8月29日の日付及びいすゞ自動車株式会社 電装制御開発部 中林芳博の署名捺印による、「上記のとおり相違ないことを証明する。」と記載した証明願で、これによると、日興電機工業(株)製オルタネータ(日興電機工業型式0-33000-6090、いすゞ部品番号1-81200-367-1)を装備した自動車(観光バス型式LV719、エンジン型式10PC1)を、本願優先日前の1997年(平成9年)8月以前に日本国内において発売したものと認めることができる。
(ii)甲第2ないし5号証は、上記特許異議申立人が主張したとおりのものが記載されているものと認められる。{上記【2】(2-3)(ii)ないし(v)参照、内容は省略する。}
(iii)甲第1号証-2については、上記特許異議申立人が主張するとおりの日興オルタネータ{上記【2】(2-2)(i)「甲第1号証-2は、上記バスに装着された・・略・・S3<S1、S2 であることがわかる。」との記載参照。}が、甲第1号証-2に示されていると認めることはできない。
以下、この点につき詳述する。
上記甲第1号証-2は、以下の1.〜15.の、文言の記載と共に当該文言に対応する物体(被写体)を写した写真(資料)から成る。
1.「いすゞ観光バス(車台番号LV719R3000970)の外観」との文言の記載(印刷)と共にその下に印刷された(上記観光バスの全体の外観を写したと一応認められる)写真。(以下、便宜上、この観光バスの外観を写したと認められる写真を「写真1」という。)
2.「いすゞ観光バスの車台番号等を表示した銘板」との文言の記載と共にその下に印刷された(上記の銘板を写したと認められる)写真。(同、「写真2」という。)
3.「いすゞ観光バスに装着された日興オルタネータ」との文言の記載と共にその下に印刷された(この日興オルタネータ全体の外観を写したと認められる)写真。(同、「写真3」という。)
4.「いすゞ観光バスに装着された日興オルタネータの拡大」との文言の記載と共にその下に印刷された(上記の拡大と認められる)写真。(同、「写真4」という。)
5、6.「日興オルタネータ全体及び銘板」との文言の記載と共にその下に上下に印刷された2枚の写真。(同、上に印刷された全体の写真を「写真5」、下に印刷された銘板の写真を「写真6」という。)
7.「固定子及びポールコア」との文言の記載と共にその下に印刷された写真。(同、「写真7」という。)
8.「固定子積層鉄心の軸方向長さ(L1)」との文言の記載と共にその下に印刷された(定規と共に写した)写真及びその下の「L1=51.32mm」との記載。(同、この定規と共に写した写真を「写真8」という。)
9.「ポールコア円筒部の軸方向長さ(L2)」との文言の記載と共にその下に印刷された(定規と共に写した)写真及びその下の「L2/2=14.90mm、L2=14.90×2=29.80mm」との記載。(同、この定規と共に写した写真を「写真9」という。)
10.「ポールコア外径(R1)」との文言の記載と共にその下に印刷された(定規と共に写した)写真及びその下の「R1=150.35mm」との記載。(同、この定規と共に写した写真を「写真10」という。)
11.「ポールコア円筒部の外径(R2)」との文言の記載と共にその下に印刷された(定規と共に写した)写真及びその下の「R2=81.52mm」との記載。(同、この定規と共に写した写真を「写真11」という。)
12.「ポールコア円筒部の断面(S1)」との文言の記載と共にその下に印刷された(定規と共に写した)写真及びその下の「S1={π/(4P)}×(R22-R32)、R2=81.52mm、R3=33.52mm、S1={3.14/(4×6)}×(81.522-33.522)=722.45mm2」との記載。(同、この定規と共に写した写真を「写真12」という。)
13.「ポールコア継鉄部の断面(S2)」との文言の記載と共にその下に印刷された(定規と共に写した)写真及びその下の「S2=W×X2、W=πR1/2P=3.14×1150.35/(2×6)=39.34mm、X2=17.00mm、S2=39.34×17.00=668.78mm2」との記載。(同、この定規と共に写した写真を「写真13」という。)
14.「ポールコア爪状磁極部の根元部断面(S3)」との文言の記載と共にその下に印刷された写真及びその下の「S3=556.95mm2」との記載。(同、この写真を「写真14」という。)
15.「ポールコア爪状磁極部の径方向の厚さ(X1)」との文言の記載と共にその下に印刷された(定規と共に写した)写真及びその下の「X1=16.05mm」との記載。(同、この定規と共に写した写真を「写真15」という。)

(1)以上の各写真において、例えば写真4ないし6には銘板が写っており、写真6の被写体である銘板には「0-3000-6090、24V 90A」の表示(刻印)が認められるから、それら写真4ないし7に写されたもの(被写体)が、日興電機工業株式会社の型式「0-3000-6090」のオルタネータ(いすゞ部品番号「1-81200-367-1」)であることは一応認められる。しかしながら、写真7ないし15には、例えば被写体の型式などを表示(刻印)した銘板等の、当該写真7ないし15の被写体と当該被写体を装着すべき観光バス等の前記被写体以外のもの(定規は除く)との関係を窺わせるものは何も写されておらず、上記の写真1ないし7を含む全ての証拠(甲第1ないし5号証)の記載からは、少なくとも写真7ないし15に写されたものが、(写真1及び2に写されたものであると認められ、かつ、平成2年3月に初度登録され使用を開始されたと認められる)車台番号LV719R3000970のいすゞ観光バスに実際に装着されて使用されたものであるか否かは不明である。
特許異議申立人は、「甲第1号証-2は、上記バスに装着された日興オルタネータの詳細を示す資料である。」(【2】(2-3)参照。)と主張するが、写真7ないし15に写されたものと認められる日興オルタネータが、平成2年3月に初度登録され使用を開始されたいすゞ観光バスに実際に装着されたものであることを明らかにする証拠は提出されていない。
したがって、甲第1号証-2に示された、少なくとも写真7ないし15に写されたもの(被写体)が、本願優先日前日本国内において公然実施されたものであるとは認められない。
(2)さらに、写真8ないし13及び写真15には定規が写されており、これら写真8ないし13、15に写されたものが、それぞれ当該各写真の下に記載された寸法、例えば(固定子積層鉄心の軸方向長さ)L1=51.32mm、L2=29.80mm・・・等の寸法(実測値)を有するものと一応認められるものの、写真14については、当該写真14には単に側面より見たポールコア爪状磁極のみが写されているものと認められ、当該写真14を含む全ての証拠を参照しても、その下のS3=556.95mm2という数値を導き出す根拠を見出すことはできない。したがって、少なくとも写真14の被写体のものが、そのポールコア爪状磁極部の根元部断面S=556.95mm2の値を有するか否か不明であると言わざるを得ず、仮にこれら写真8ないし15に写された被写体が同一のオルタネータを構成する部材であり、L1/L2は1.72(1.25〜1.75の範囲)で、R1/R2は0.54(0.54〜0.60の範囲)であると認められるとしても、円筒部の断面S1、継鉄部の断面S2より爪状磁極部の根元部断面S3を小さくするものであるとは認められない。
したがって、仮に甲第1号証-2に示された写真7ないし15に写されたものが本願優先日前日本国内において公然実施されたものと認められるとしても、前記写真7ないし15に写されたものが、「円筒部の断面S1、継鉄部の断面S2より爪状磁極部の根元部断面S3を小さくする(S3<S1、S2)」という事項を備えているとはいえない。

(3-2)特許異議申立ての理由についての判断
したがって、少なくとも、界磁コイルと、該界磁コイルが巻装された円筒部と該円筒部の軸方向位置から外周方向に広がる継鉄部と該継鉄部と連結され前記界磁コイルとを囲包するように形成された爪状磁極部とを有するランデル型鉄心を備える界磁回転子と、該爪状磁極部の外周に対向配置し、積層鉄心と電機子コイルからなる固定子とを有する車両用交流発電機自体は、本願優先日前日本国内において公然実施され、周知のものと認められるが、前記のとおり、甲第1号証-2によっては、前記車両用交流発電機において、「前記固定子積層鉄心の軸方向長さL1と円筒部の軸方向長さL2の比率(L1/L2)は、1.25〜1.75の範囲であり、前記ランデル型鉄心の外径R1と円筒部の外径R2との比率(R2/R1)は、0.54〜0.60の範囲であり、かつ、円筒部の断面S1、継鉄部の断面S2より爪状磁極部の根元部断面S3を小さくすることを特徴とする」ものが本願優先日前日本国内において公然実施されたものと認めることはできず、また、本件請求項1に係る発明の「円筒部の断面S1、継鉄部の断面S2より爪状磁極部の根元部断面S3を小さくする」との発明特定事項が、前記周知の車両用交流発電機に基づいて当業者が容易に想到できたものとも認められない。
そして、そうである以上、本件請求項1に係る発明が、本願優先日前日本国内において公然実施された発明と同一であるとも、また、当業者が前記公然実施された発明に基づいて容易に発明をすることができたものともいえない。
また、本件請求項2ないし7に係る各発明は、本件請求項1に係る発明の発明特定事項に更に他の発明特定事項を付加してこれを限定したものであるから、本件請求項1に係る発明は、当業者が本願優先日前に公然実施された発明に基づいて容易に発明をすることができたものといえない以上、本件請求項2ないし7に係る各発明も、当業者が前記公然実施された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

【4】むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
異議決定日 2004-02-05 
出願番号 特願平10-37244
審決分類 P 1 651・ 112- Y (H02K)
P 1 651・ 121- Y (H02K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 米山 毅  
特許庁審判長 城戸 博兒
特許庁審判官 岩本 正義
村上 哲
登録日 2002-12-20 
登録番号 特許第3381608号(P3381608)
権利者 株式会社デンソー
発明の名称 車両用交流発電機  
代理人 宮田 金雄  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 碓氷 裕彦  

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