ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H01L |
---|---|
管理番号 | 1093242 |
異議申立番号 | 異議2002-72749 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-10-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-11-20 |
確定日 | 2004-03-24 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第3282677号「半導体製造装置の制御方法及び半導体製造装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第3282677号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.本件発明 特許第3282677号(平成4年3月30日出願、平成14年3月1日登録。)の請求項1乃至4に係る発明(以下「本件発明1」乃至「本件発明4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載された次のとおりのものである。 【請求項1】プロセスシーケンス及び制御データを書込み作成したプロセスレシピに従って半導体製造装置を制御し、半導体を製造する半導体製造装置の制御方法に於いて、前記プロセスレシピ中の各処理ステップに於ける可変制御データを、一括して読出すと共に変更可能としたことを特徴とする半導体製造装置の制御方法。 【請求項2】前記プロセスレシピ作成時に、変更が有り得る前記可変制御データをプロセスパラメータとして定義しておき、前記可変制御データ変更時には、前記プロセスパラメータを一括して読出すと共に変更可能とした請求項1の半導体製造装置の制御方法。 【請求項3】前記プロセスレシピ中の各処理ステップNO. と各処理ステップ毎のプロセスパラメータ項目との対応付けをプロセスパラメータ定義部としてプロセスレシピデータファイル上に定義しておき、前記プロセスパラメータ変更時には、前記プロセスパラメータ定義部を検索することにより、前記レシピデータの中から前記プロセスパラメータを一括して読出すと共に変更可能とした請求項1の半導体製造装置の制御方法。 【請求項4】プロセスシーケンス及び制御データを書込み作成したプロセスレシピに従って半導体製造装置を制御し、半導体を製造する半導体製造装置に於いて、プロセスレシピデータファイルの読込み、書込みを行うレシピデータ入出力部と、データ変更に必要な情報を表示するデータ表示部と、変更データを入力するキー入力部と、前記プロセスレシピ中の変更が有り得る前記制御データを前記データ表示部に一括表示させ、更に変更した制御データのプロセスレシピデータファイルへの組込みを行うレシピデータ解析部とを具備することを特徴とする半導体製造装置。 2.申立ての理由の概要 特許異議申立人高橋学は、請求項1乃至4に係る発明は、甲第1号証(特開平1-257333号公報)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件発明の特許は、特許法第113条第1項第2号に該当すると認められるので、取り消されるべきものである旨主張している。 3.甲第1号証記載の発明 甲第1号証には、第1図、第4図、第5図〜第9図とともに以下の事項が記載されている。 ・「洗浄機システムと拡散炉システムとを機構的に一体化して成る拡散モジュールシステムを、前記各システムのコントローラを統括するモジュール管理コンピュータと工程管理コンピュータとにより制御する方法において、 前記工程管理コンピュータは、 レシピ内の基準値に付加する変数値を記憶し、 該変数値の登録、参照、変更を行うとともに、 前記モジュール管理コンピュータとの変数値の送受信を行い、 前記モジュール管理コンピュータは、 前記工程管理コンピュータからの変数値を受信し、 オペレータへ変数値を表示するとともに、オペレータに変数値の変更を実施させ、 変更後の変数値を前記工程管理コンピュータへ送信し、 変数値と拡散モジュールシステム内搬送バッチとの対応関係を記憶し、 前記拡散炉システムにおける拡散炉へのバッチ搬送と同期して、熱処理レシピ番号と併せて変数値をも前記工程管理コンピュータへ送信することを特徴とする拡散モジュールシステムの制御方法。」(特許請求の範囲請求項1) ・「本発明は、半導体ウエハの前洗浄を行う洗浄機システムと、熱処理を行う拡散炉システムとを機構的に一体化して成る拡散モジュールシステムの制御方法に関する。」(第1頁右下欄第11〜14行)、 ・「一方、拡散炉システム2において拡散炉26内での熱処理を実行する場合、与えられたレシピ番号に対応するシーケンスに基づく処理を行うが、その際のウエハに対する加工度つまり膜厚、イオン濃度等をバッチ間にて一定に保つ目的から、各レシピにおける基準値に、任意に設定し得る変数値を付加することがある。これは、例えば第9図に示した熱処理シーケンスの一部の様に、一連の固定処理に続き、800℃の状態をp(変数値)分間保持し、その後再び一連の固定処理に移るという如きものである。この様な変数は、1つのレシピ番号に対応する熱処理シーケンス内に最大三つまで設定可能である。」(第3頁左上欄第1〜13行) ・「更に、熱処理の種類が増すにつれ、変数の一括管理や以前の変数の参照ができないという欠点もあった。 (課題を解決するための手段) 本発明は上記問題点を解決すべく提案された拡散モジュールシステムの制御方法である。 即ち、工程管理コンピュータは、レシピ内の基準値に付加する変数値を記憶し、該変数値の登録、参照、変更を行うとともに、モジュール管理コンピュータとの変数値の送受信を行う。」(第3頁右上欄第8〜17行) ・「工程管理コンピュータ5では、所定のアルゴリズムにより当該バッチの処理されるべき洗浄レシピ番号、熱処理レシピ番号、使用拡散炉番号、及び各レシピにおける変数の有無、更に変数ありの場合にはその変数値をモジュール管理コンピュータ6へ送信する。 モジュール管理コンピュータ6はこれを受信し(S-4)、受信データ内の変数の有無を判断する(S-5)。変数なしの場合は、直ちに洗浄機システム1に対して移載開始を指示する(S-12)。一方変数ありの場合は、モジュール管理コンピュータ6は受信した変数値を端末装置61に表示する(S-6)。オペレータはこれを参照して、変数値の変更を実施するか否かをコードにて端末装置61からキー入力する(S-7)。この入力にて変数値変更ありが指定された場合(S-8)は、続けてオペレータから変数の変更値が入力され(S-9)、モジュール管理コンピュータ6はこの値を直ちに工程管理コンピュータ5へ送信する(S-10)。それとともに、モジュール管理コンピュータ6は、当該バッチの変更された変数値を、同バッチに関する熱処理レシピ番号、洗浄レシピ番号、使用拡散炉番号と併せて登録管理し(S-11)、洗浄機システムコントローラ7に対して移載開始を指示する(S-12)。」(第3頁右下欄第13行〜第4頁左上欄第17行) ・「以上述べた様に本発明の制御方法によれば、オペレータは拡散炉システム内でのバッチの搬送時期を意識することなく変数の変更を行うことが可能となり、熱処理工程における作業の効率が向上してその作業時間が短縮される。」(第5頁左上欄第15〜19行) 4.対比・判断 本件発明1について 本件発明1と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、後者に於いては、「熱処理の種類が増すにつれ、変数の一括管理や以前の変数の参照ができないという欠点もあった。」(3頁右上欄第8〜10行)との解決すべき課題は提示しているものの、その解決方法として、「各レシピにおける変数」がない場合は、オペレータは何もせず、モジュール管理コンピュータ6は直ちに洗浄機システム1に対して移載開始を指示するものの、各レシピにおける変数ありの場合は、モジュール管理コンピュータ6が端末装置に受信した変数値を表示し、その表示を参照して、オペレータは、変数値の変更の実行をするか否か入力し、その結果がモジュール管理コンピュータ6から工程管理コンピュータ5へ送信される、即ち、各レシピに対する逐次の変数変更作業をオペレータが実行しているに過ぎず、結局、甲第1号証には、本件発明1の「前記プロセスレシピ中の各処理ステップに於ける可変制御データを、一括して読出すと共に変更可能と」する構成について記載も示唆もされていない。 そして、本件発明1は、上記の構成を備えることにより、「プロセスレシピデータ変更の為の作業が簡略化され、作業量を大幅に減少させ、作業者の負担が軽減すると共にキー操作の簡単化と作業画面に不必要な情報が表示されないことで、プロセスレシピデータ変更作業に於けるデータ誤設定の防止、操作性の向上、作業精度の向上を図ることができる。」という明細書記載の効果(段落36参照)を奏するものである。 したがって、本件発明1が、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると認めることはできない。 本件発明2及び本件発明3について 本件発明2及び本件発明3はいずれも、請求項1に係る発明である本件発明1を引用するものであり、本件発明2は更に、「前記プロセスレシピ作成時に、変更が有り得る前記可変制御データをプロセスパラメータとして定義しておき、前記可変制御データ変更時には、前記プロセスパラメータを一括して読出すと共に変更可能とした」という限定構成を本件発明1に付加するものであり、また、本件発明3は、「前記プロセスレシピ中の各処理ステップNO. と各処理ステップ毎のプロセスパラメータ項目との対応付けをプロセスパラメータ定義部としてプロセスレシピデータファイル上に定義しておき、前記プロセスパラメータ変更時には、前記プロセスパラメータ定義部を検索することにより、前記レシピデータの中から前記プロセスパラメータを一括して読出すと共に変更可能とした」という限定構成を本件発明1に付加するものであって、本件発明1が上記のとおり、当業者が甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものであるとは認められないから、本件発明2及び本件発明3についても、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 本件発明4について 本件発明4と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、本件発明4の構成要素である「前記プロセスレシピ中の変更が有り得る前記制御データを前記データ表示部に一括表示させ、更に変更した制御データのプロセスレシピデータファイルへの組込みを行うレシピデータ解析部」については、甲第1号証に記載も示唆もされていない。 そして、本件発明は、上記の構成を備えることにより、「プロセスレシピデータ変更の為の作業が簡略化され、作業量を大幅に減少させ、作業者の負担が軽減すると共にキー操作の簡単化と作業画面に不必要な情報が表示されないことで、プロセスレシピデータ変更作業に於けるデータ誤設定の防止、操作性の向上、作業精度の向上を図ることができる。」という明細書記載の効果(段落36参照)を奏するものである。 したがって、本件発明4が、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると認めることはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2004-03-08 |
出願番号 | 特願平4-103665 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(H01L)
|
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
内野 春喜 |
特許庁審判官 |
河合 章 恩田 春香 |
登録日 | 2002-03-01 |
登録番号 | 特許第3282677号(P3282677) |
権利者 | 株式会社日立国際電気 |
発明の名称 | 半導体製造装置の制御方法及び半導体製造装置 |
代理人 | 三好 祥二 |