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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G02B 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する G02B |
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管理番号 | 1093893 |
審判番号 | 訂正2003-39233 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-02-14 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2003-10-30 |
確定日 | 2004-01-20 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3302117号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3302117号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第3302117号発明(平成5年7月30日特許出願、平成14年4月26日設定登録)の明細書及び図面を審判請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおり、すなわち、下記のとおり訂正することを求めるものである。 (1)特許請求の範囲についての訂正 特許請求の範囲を以下のとおり訂正する。 「【請求項1】対物光学系と、該対物光学系からの光学像としての光束を偏向する光束偏向光学手段と、該光束偏向光学手段からの光学像を正立像とするよう反射する正立プリズムと、該正立プリズムからの光学像を観察側へ導く接眼光学系と、前記対物光学系と前記光束偏向光学手段と前記正立プリズムと前記接眼光学系とを収容した光学機器本体と、該光学機器本体の振れを検出しその検出出力に基づいて前記光束偏向光学手段の傾動駆動を制御する駆動制御手段と、該制御手段による駆動制御状態を選択する選択手段と、該選択手段の選択状態に応答して前記駆動制御手段の動作、非動作を切換える切換手段とを具備することを特徴とする観察用光学機器。 【請求項2】一対の対物光学系と、該対物光学系からの光学像としての光束を偏向する一対の光束偏向光学手段と、該光束偏向光学手段からの光学像を正立像とするよう反射する一対の正立プリズムと、該正立プリズムからの光学像を観察側へ導く一対の接眼光学系と、前記対物光学系と前記光束偏向光学手段と前記正立プリズムと前記接眼光学系とを収容した光学機器本体と、前記対物光学系の間に配設されたバッテリーと、前記光学機器本体の垂直方向の振れを検出する垂直方向振れ検出手段および前記光学機器本体の水平方向の振れを検出する水平方向振れ検出手段と、前記バッテリーからの電力が供給され前記各振れ検出手段からの検出出力に基づいて前記光束偏向光学手段の傾動駆動を制御する駆動制御手段と、該制御手段による駆動制御状態を選択する選択手段と、該選択手段の選択状態に応答して前記一対の光束偏向光学手段の光束偏向状態を連動して規制する光束偏向状態規制手段とを具備することを特徴とする観察用光学機器。 【請求項3】前記光束偏向光学手段は可変頂角プリズムであることを特徴とする請求項1乃至2の観察用光学機器。」 (2)発明の詳細な説明についての訂正 段落【0005】,【0006】を以下のとおり訂正する。 「【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明は上述の目的を達成するためのもので、対物光学系と、該対物光学系からの光学像としての光束を偏向する光束偏向光学手段と、該光束偏向光学手段からの光学像を正立像とするよう反射する正立プリズムと、該正立プリズムからの光学像を観察側へ導く接眼光学系と、前記対物光学系と前記光束偏向光学手段と前記正立プリズムと前記接眼光学系とを収容した光学機器本体と、該光学機器本体の振れを検出しその検出出力に基づいて前記光束偏向光学手段の傾動駆動を制御する駆動制御手段と、該制御手段による駆動制御状態を選択する選択手段と、該選択手段の選択状態に応答して前記駆動制御手段の動作、非動作を切換える切換手段とを具備する観察用光学機器とするものである。 【0006】 また本発明は、一対の対物光学系と、該対物光学系からの光学像としての光束を偏向する一対の光束偏向光学手段と、該光束偏向光学手段からの光学像を正立像とするよう反射する一対の正立プリズムと、該正立プリズムからの光学像を観察側へ導く一対の接眼光学系と、前記対物光学系と前記光束偏向光学手段と前記正立プリズムと前記接眼光学系とを収容した光学機器本体と、前記対物光学系の間に配設されたバッテリーと、前記光学機器本体の垂直方向の振れを検出する垂直方向振れ検出手段および前記光学機器本体の水平方向の振れを検出する水平方向振れ検出手段と、前記バッテリーからの電力が供給され前記各振れ検出手段からの検出出力に基づいて前記光束偏向光学手段の傾動駆動を制御する駆動制御手段と、該制御手段による駆動制御状態を選択する選択手段と、該選択手段の選択状態に応答して前記一対の光束偏向光学手段の光束偏向状態を連動して規制する光束偏向状態規制手段とを具備する観察用光学機器とするものである。」 2.当審の判断 そこで、上記訂正事項について検討すると、上記請求項1及び2並びに段落【0005】及び【0006】に係る訂正は、「可変頂角プリズム」との記載を「光束偏向光学手段」と訂正するものである。 審査経緯を見ると、平成11年10月22日付で明細書の補正がなされており、該補正において「可変頂角プリズム」を「光束偏向光学手段」と補正しているが、その際に「該可変頂角プリズム」との記載も上記補正に合わせて「該光束偏向光学手段」と補正すべきところ、この部分の補正のみがなされなかったことは明らかである。 そして、本件発明訂正は、上記補正に整合させるために、補正のなされなかった「該可変頂角プリズム」との記載を訂正するものであって、誤記の訂正に相当することは明らかである。 また、請求項3に係る訂正は、訂正前は、「前記光束偏向手段」との記載に対応する適切な用語が請求項1及び2存在しないものであったところから、平仄を合わせるために、「前記光束偏向光学手段」と訂正したものであって、明りょうでない記載の釈明に相当することは明らかである。 よって、本件訂正は、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、さらに願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 また、他に独立して特許を受けることができない理由を発見しない。 3.むすび したがって、上記訂正は、特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 観察用光学機器 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 対物光学系と、該対物光学系からの光学像としての光束を偏向する光束偏向光学手段と、該光束偏向光学手段からの光学像を正立像とするよう反射する正立プリズムと、該正立プリズムからの光学像を観察側へ導く接眼光学系と、前記対物光学系と前記光束偏向光学手段と前記正立プリズムと前記接眼光学系とを収容した光学機器本体と、該光学機器本体の振れを検出しその検出出力に基づいて前記光束偏向光学手段の傾動駆動を制御する駆動制御手段と、該制御手段による駆動制御状態を選択する選択手段と、該選択手段の選択状態に応答して前記駆動制御手段の動作、非動作を切換える切換手段とを具備することを特徴とする観察用光学機器。 【請求項2】 一対の対物光学系と、該対物光学系からの光学像としての光束を偏向する一対の光束偏向光学手段と、該光束偏向光学手段からの光学像を正立像とするよう反射する一対の正立プリズムと、該正立プリズムからの光学像を観察側へ導く一対の接眼光学系と、前記対物光学系と前記光束偏向光学手段と前記正立プリズムと前記接眼光学系とを収容した光学機器本体と、前記対物光学系の間に配設されたバッテリーと、前記光学機器本体の垂直方向の振れを検出する垂直方向振れ検出手段および前記光学機器本体の水平方向の振れを検出する水平方向振れ検出手段と、前記バッテリーからの電力が供給され前記各振れ検出手段からの検出出力に基づいて前記光束偏向光学手段の傾動駆動を制御する駆動制御手段と、該制御手段による駆動制御状態を選択する選択手段と、該選択手段の選択状態に応答して前記一対の光束偏向光学手段の光束偏向状態を連動して規制する光束偏向状態規制手段とを具備することを特徴とする観察用光学機器。 【請求項3】 前記光束偏向光学手段は可変頂角プリズムであることを特徴とする請求項1乃至2の観察用光学機器。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、光学機器の振れ量を検出し、この検出出力に基づいて光学機器の光学像を常に一定の位置に保持するように光軸を偏向させる像振れ補正機能を有する望遠鏡、双眼鏡等の観察用光学機器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来、観察用光学機器の像振れを解消する装置として、特開昭50-5058号に記載されているような、ジンバルで支持された正立プリズムにジャイロスコープを接続した像安定装置付き双眼鏡が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、ジャイロを使用した像安定化装置ではジャイロのロータを高速回転させているのでモータがフル回転するまでに時間がかかることと、プリズムがジンバル機構によりフローティング支持されているため、急激なパンニングやチルティングを行うとプリズムが光学機器内部壁にぶつかり、故障の原因となることがあった。また使用後はジャイロのケージングをする必要があり、操作が煩わしい。さらにジャイロはある程度の質量が必要であることから光学機器自体が重く大型化するという問題がある。 【0004】 本発明は上述した従来の課題を解決するためのもので、良好な像安定状態を得ることができ、機器の小型化を有効に図ることのできる観察用光学機器を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明は上述の目的を達成するためのもので、対物光学系と、該対物光学系からの光学像としての光束を偏向する光束偏向光学手段と、該光束偏向光学手段からの光学像を正立像とするよう反射する正立プリズムと、該正立プリズムからの光学像を観察側へ導く接眼光学系と、前記対物光学系と前記光束偏向光学手段と前記正立プリズムと前記接眼光学系とを収容した光学機器本体と、該光学機器本体の振れを検出しその検出出力に基づいて前記光束偏向光学手段の傾動駆動を制御する駆動制御手段と、該制御手段による駆動制御状態を選択する選択手段と、該選択手段の選択状態に応答して前記駆動制御手段の動作、非動作を切換える切換手段とを具備する観察用光学機器とするものである。 【0006】 また本発明は、一対の対物光学系と、該対物光学系からの光学像としての光束を偏向する一対の光束偏向光学手段と、該光束偏向光学手段からの光学像を正立像とするよう反射する一対の正立プリズムと、該正立プリズムからの光学像を観察側へ導く一対の接眼光学系と、前記対物光学系と前記光束偏向光学手段と前記正立プリズムと前記接眼光学系とを収容した光学機器本体と、前記対物光学系の間に配設されたバッテリーと、前記光学機器本体の垂直方向の振れを検出する垂直方向振れ検出手段および前記光学機器本体の水平方向の振れを検出する水平方向振れ検出手段と、前記バッテリーからの電力が供給され前記各振れ検出手段からの検出出力に基づいて前記光束偏向光学手段の傾動駆動を制御する駆動制御手段と、該制御手段による駆動制御状態を選択する選択手段と、該選択手段の選択状態に応答して前記一対の光束偏向光学手段の光束偏向状態を連動して規制する光束偏向状態規制手段とを具備する観察用光学機器とするものである。 【0007】 【実施例】 以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例の光学機器である双眼鏡を示す斜視図、図2は図1の平面断面図、図3は図1の正面断面図である。 【0008】 これらの図において、100は双眼鏡本体、300R、300Lは双眼鏡本体100に設けられた一対の接眼プリズムユニット本体である。 【0009】 双眼鏡本体100は上シェル102と下シェル104とから構成されている。下シェル104には、その対物側である一端側に一対(右眼用R、左眼用L)の対物レンズユニット106R、106Lが配設されており、接眼側である他端側には上述の一対の接眼プリズムユニット本体300R、300Lが配設されている。対物レンズユニット106R、106Lは図2および図4の要部拡大図に示すように、対物レンズ鏡筒162R、162Lを有しており、対物レンズ鏡筒162R、Lには対物レンズLR1、LL1が保持されている。対物レンズ鏡筒162R、Lの接眼側にはガイド鏡筒164R、Lが保持されており、ガイド鏡筒164R、L内にはフォーカスレンズLR2、LL2を保持したフォーカスレンズ鏡筒166R、Lが収容されている。対物レンズ鏡筒162R、Lのフランジ部とガイド鏡筒164R、Lの突出部との間にはそれぞれ一対のガイドバー168a、168bとが配設されており、フォーカスレンズ鏡筒166R、Lのスリーブ166a、166aにガイドバー168a、168aが挿通され、フォーカスレンズ鏡筒166R、166LのU字突出部166b、166bにはガイドバー168b、168bが挿通されている。これによりフォーカスレンズ鏡筒166R、166Lは光軸方向に移動自在に支持されている。 【0010】 対物レンズユニット106R、106Lとの間には視度・フォーカス調整機構108が設けられている。視度・フォーカス調整機構108は図3、図4に示すように、上シェル102の調整機構収容部122に収容され、上シェル102に保持されたガイド支持板180を有している。ガイド支持板180にはフォーカスガイド軸182と回転規制軸184とが固定されている。フォーカスガイド軸182は、右眼側のフォーカスレンズ鏡筒166Rを光軸方向に駆動するフォーカスレンズ駆動板186Rのスリーブ186aと、左眼側のフォーカスレンズ鏡筒166Lを光軸方向に駆動するフォーカスレンズ駆動板187Lのスリーブ187aとに挿通されている。回転規制軸184は、フォーカスレンズ駆動板186Rの回転規制穴186bと、フォーカスレンズ駆動板187Lの回転規制穴187bとに挿通されている。フォーカスレンズ駆動板186Rにはフォーカス送り用のねじ穴186cが設けられている。ねじ穴186cには視度調整軸188のねじ部188aが噛合されており、ねじ部188aの一端にはねじ部188aの径より小径とされた連結軸部188bが形成されている。ねじ部188aの他端には回転規制平面部が形成されたスライド軸部188cが形成されている。上シェル102の調整機構収容部122の半円支持部122aには視度調整リング189が定位置回転自在に支持されており、視度調整リング189のスライド穴189aには視度調整軸188のスライド軸部188cが軸方向でスライド自在に挿入されている。フォーカスレンズ駆動板186Rには駆動係合突起186dが形成されており、突起186dはフォーカスレンズ鏡筒166Rのスリーブ166aに形成された係合溝166cに係合されている。 【0011】 またフォーカスレンズ駆動板187Lにはコ字状の軸受け板部187a、187bが形成されている。軸受け板部187aには視度調整軸188の連結軸部188bが、駆動板186Rのねじ穴186cの端面と軸受け板部187aとの間に止めリング190、押圧バネ191を介して挿通されている。軸受け板部187bにはフォーカスねじ軸192が非回転状態で固定されている。上シェル102の調整機構収容部122の半円支持部122bにはフォーカス調整リング193が定位置回転自在に支持されており、フォーカス調整リング193のねじ穴193aにはフォーカスねじ軸192が噛合している。フォーカスレンズ駆動板187Lには駆動係合突起187cが形成されており、突起187cはフォーカスレンズ鏡筒166Lのスリーブ166aに形成された係合溝166cに係合されている。 【0012】 これにより、フォーカス調整リング193を回転させると、フォーカスねじ軸192が光軸方向に移動されてフォーカスレンズ駆動板187Lが光軸方向に移動され、これによりフォーカスレンズ鏡筒166Lが移動される。またこれと同時に軸受け板部187aに支持され押圧バネ191に押圧された視度調整軸188が光軸方向に移動され、ねじ連結されたフォーカスレンズ駆動板186Rが移動されフォーカスレンズ鏡筒166Rが移動される。なおこの時視度調整リング189は非回転でありスライド穴189a内を調整軸188のスライド軸部188cがスライド移動する。これらのフォーカスレンズ鏡筒166R、166Lの移動によりフォーカス調整が行われる。また、視度調整リング189を回転させると、スライド連結された視度調整軸188が定位置回転されこの回転により、ねじ部188aに噛合されたフォーカス送り用ねじ穴186cが光軸方向に移動され、これにより右眼側のフォーカスレンズ鏡筒166Rが移動され視度調整が行われる。 【0013】 下シェル104の各対物レンズユニット106R、106Lと接眼プリズムユニット本体300R、300Lとの間には可変頂角プリズム(VAP)ユニット202、203が下シェル104に形成されたユニット支持板142に配設されている。VAPユニット202、203の本体202a、203aの対物側には遮光筒204、204が固定されている。本体202a、203a内にはVAP素子205、205が収容されている。VAP素子205、205は、図5にも示すように、2枚の透明板の間がベローズにより液密に接続されその中に所定の屈折率を有する透明液体が収容されている。VAP素子205はそれぞれ保持枠207a、bに保持され保持枠207a、bに形成されたコイル部208a、bおよび本体202a、203aに形成されたマグネット部209、209とで電磁アクチュエータを構成しその駆動により左右の各VAP素子205、205の対物側の透明板がヨー(水平)方向に傾けられ接眼側の透明板がピッチ(垂直)方向に傾けられる。これによりVAP素子を通過する光線が偏向させられる。また本体202aには双眼鏡本体100の垂直方向の振れを検出する振れ検出センサ210が固定され、本体203aには双眼鏡本体100の水平方向の振れを検出する振れ検出センサ211が固定されている。 【0014】 VAPユニット202、203の間には図5および図6に示すように、ユニット支持板142に支持されたロック機構220が配設されている。ロック機構220は連動アーム221を有しており、連動アーム221はその中心がユニット支持板142に回転自在に取り付けられている。連動アーム221の両端部にはそれぞれロックアーム222が支持板142に回転自在に設けられており、連動アーム221の端部の係合溝部221a、221aとロックアーム222の係合突起222aとが係合自在とされている。ロックアーム222の一端にはVAP素子205、205の保持枠207a、207bに形成されたロックピン212、212を係合する円錐状のロック溝222b、222bが形成されている。ロックアーム222の他端にはバネ止め突起222cが設けられており、突起222cにはロックアーム222の回転軸に巻装されたバネ223の一端が当接されロック溝222bが保持枠207a、bのロックピン212を係合する方向に付勢されている。また左眼側のVAPユニット203側のロックアーム222上には上シェル102にその一端が回転自在に取り付けられた振れ補正操作レバー224が配置されている。操作レバー224の一端の回転軸にはバネ225が巻装されており、バネ225の付勢力により上シェル102に当接する方向に押圧されている。また操作レバー224の他端側のVAPユニット203に対向する面にはロックアーム222に接触し操作レバー224が押圧操作されたときにロックアーム222のロック溝222bとVAP素子205のロックピン212との係合が解除されるよう作用する操作突起224aが形成されている。また操作レバー224の操作突起224aの近傍にはスイッチ作動突起224bが形成されており、突起224bは操作レバー224が押圧操作されたときに、操作レバー224とVAP素子205との間に配置された振れ補正操作スイッチ226を作動させるように構成されている。 【0015】 また上シェル102および下シェル104の接眼側には接眼プリズムユニット保持プレート230が配設されており、保持プレート230には接眼プリズムユニット本体300R、300Lを回転自在に保持する保持穴230a、230aが形成されている。保持穴230a、230aには接眼プリズムユニット本体300R、300Lの筒状の接続鏡筒302、302が挿入されており、接続鏡筒302、302にはシェル102、103側から保持プレート230を介して取付リング304、304がネジ止めされ回転自在に取り付けられている。また取付リング304、304には扇形状の互いに噛合する連動ギア板306、306が固定されており、接眼プリズムユニット本体300R、300Lを回転させると双眼鏡本体100に対して同一角度に回転しこれにより眼幅調整を行えるようになっている。 【0016】 接眼プリズムユニット本体300R、Lは上述した接続鏡筒302とプリズム収容鏡筒308と接眼鏡筒310とから構成されている。プリズム収容鏡筒308内には、VAPユニット202、203を通過した光学像を上下反転させる第1プリズム312とこの第1プリズム312からの光学像を左右反転させる第2のプリズム314とが収容され保持されている。また接眼鏡筒310内には接眼レンズER、ELが収容され保持されている。 【0017】 また、図3に示したように、双眼鏡本体100内の対物レンズユニット106R、Lとの間には、バッテリー収容部110が形成されており、収容部110にはVAPユニット202、203の駆動電力を供給する充電バッテリー(図示省略)が収容されている。収容部110にはバッテリー取り出し用の押し出しバネ112とバッテリーの接点に接続されるコネクタ114とバッテリー取り出し口の開閉蓋116とが設けられている。 【0018】 さらに図3に示したように、上シェル102には基板収容部102aが形成されており、基板収容部102a内にはVAPユニット202、203の駆動を制御する制御回路基板410が収容され保持されている。制御回路基板410にはバッテリーコネクタ114からの電力供給用のリード線(図示省略)が接続されている。さらに制御回路基板410には、VAPユニット202、203の振れ検出センサ210、211から振れ検出信号が入力され、この信号に基づいてVAPユニット202、203を駆動しVAP素子205、205を傾動させて観察すべき光線を振れを補正する方向に傾けるように駆動制御する。 【0019】 上シェル102の基板収容部102aには収容部をカバーするシェルカバー102bが配設されている。シェルカバー102bには、図1に示したように、振れ補正モード切換スイッチ412とバッテリーチェックボタン414とバッテリー残量表示LED416とが配設されこれらは上述の制御回路基板410に電気的に接続されている。振れ補正モード切換スイッチ412はOFFモード、通常振れ補正モード、パンニング状態振れ補正モードの3モードがある。バッテリーチェックボタン414を押圧操作すると充電バッテリー400の残量が制御回路基板410によりチェックされ、検出されたバッテリー残量に応じた表示がバッテリー残量表示LED416により行われる。 【0020】 次に、上述の実施例の双眼鏡の操作および動作について説明する。 【0021】 まず、観察者は双眼鏡本体100を把持し、接眼プリズムユニット本体300R、300Lを内側あるいは外側に回して眼幅調整を行う。次に、観察者は右眼を閉じ左眼を開いた状態で視度・フォーカス調整機構108のフォーカス調整リング193を回転させて左眼側の焦点合わせを行う。そして、左眼を閉じ右眼を開いた状態で視度・フォーカス調整機構108の視度調整リング189を回転させて右眼側の焦点合わせを行う。この状態で左右の焦点合わせおよび視度調整が行われたこととなり、これで観察者は双眼鏡を介して観察を良好に行うことができる。 【0022】 また、双眼鏡本体100の振れ補正モード切換スイッチ412を通常あるいはパンニング状態の振れ補正モードに設定した状態で、振れ補正操作レバー224を押圧操作すると、左眼側のVAPユニット203側のロックアーム222が押圧されるとともに振れ補正操作スイッチ226が押圧されてON状態となる。これにより連動アーム221が作動され各ロックアーム222のロック溝222bとVAP素子205のロックピン212との係合が解放されるとともに、VAPユニット202、203が振れ補正状態となり振れ検出センサ211の出力に基づいてVAP素子205、205が傾動され、手ぶれにより像の振れが補正された像を観察できる。またこの振れ補正状態から振れ補正操作レバー224の押圧を解除するとロックアーム222のバネ223および操作レバー224のバネ225の付勢力によりロックアーム222および操作レバー224が復帰し、ロック溝222bとロックピン212とが係合されてVAPユニット202、203がロックされるとともに、振れ補正操作スイッチ226がOFF状態にされ、これによりVAPユニット202、203への電力供給が停止される。なお、この状態でVAPユニット202、203はロック機構220のロックにより透明板205a、205aが平行状態に保持される。 【0023】 なお、振れ補正操作レバー224の押圧操作および押圧解除の動作におけるロック機構220のロック作用タイミングおよび振れ補正操作スイッチ226のON、OFFのタイミングは、上述の説明のように押圧したときロック機構220のロックが解除され続いて振れ補正操作スイッチ226がON状態となり、押圧解除すると振れ補正操作スイッチ226がOFF状態となりさらにロック機構220がロック状態となる。あるいは、ロック機構220のロックと振れ補正操作スイッチ226のON、OFF切換タイミングが同時でもよく、さらに操作レバー224が押圧されたときスイッチ226が最初にON状態となりVAPユニット202、203のVAP素子205の平行状態が保持された状態で次いでロック機構220のロックを解除しこの後VAPユニット202、203により振れ補正状態となる。また操作レバー224の押圧を解除するとVAPユニット202、203のVAP素子205、205の平行状態が保持された後ロック機構220によるロックが作動するようにしてもよい。なおこの場合は、振れ補正操作スイッチ226をたとえば2段スイッチを用いる。 【0024】 また、上述の実施例において、充電バッテリー400の電圧が所定の電圧以下になった場合は、VAPユニット202、203の振れ補正範囲を通常範囲より小さい範囲として消費電力を小さくするモードとしてもよく、あるいはVAPユニットの駆動を停止する制御としてもよい。さらにこれらの状態を観察者に知らしめるように接眼プリズムユニット本体300R、L内にたとえばLED、ホログラム、LCD等の表示手段により表示させる構成としてもよい。さらに上記の実施例では振れ補正モード切換スイッチ412をOFF位置にしておけば、携帯時に振れ補正操作レバー224が誤って押圧されても装置がON状態になることが防止される。また切換スイッチ412のOFF位置を廃止した2モードスイッチとした場合は、制御回路基板410にタイマー機能を持たせたとえば数十分電源ON状態が続いたら自動的に電源がOFFされるオートパワーオフの機能を持たせてもよい。 【0025】 なお、上述した実施例ではVAPユニット202、203を対物レンズユニット106R、106Lの接眼側に配設した例について述べたが、対物レンズユニット106R、106Lの対物側にVAPユニット202、203を配設しさらにVAPユニットの対物側に保護ガラスを固定した構成としてもよく、あるいはVAPユニットの対物側の透明板を固定し接眼側の透明板を垂直・水平に傾動させ振れ補正する構成としてもよい。これにより双眼鏡の視界をさらに広いものとすることができる。 【0026】 さらに、上述の実施例では観察用光学機器として双眼鏡について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定させるものではなく、たとえば単眼鏡、望遠鏡に適用してもよいことは勿論である。 【0027】 このように、上述した実施例の観察用光学機器である双眼鏡では可変頂角プリズムにより良好な像安定状態を得ることができ、機器の小型化を有効に図ることができる。また操作レバーを押圧操作したときのみ振れ補正状態となるため、バッテリーの電力を有効活用することができる。さらに振れ補正モード切換スイッチ、あるいはタイマーを設けたことにより、携帯時に不用意に電源がONされ不要な電力消費されることが有効に防止することができる。 【0028】 【発明の効果】 以上説明したように本発明の観察用光学機器は、良好な像安定状態を得ることができ、機器の小型化を有効に図ることが可能である。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の一実施例の双眼鏡を示す斜視図 【図2】 図1の平面断面図 【図3】 図1の正面断面図 【図4】 図1、図2の視度・フォーカス調整機構を示す一部平面断面図 【図5】 ロック機構及びVAPユニットを示す斜視図 【図6】 ロック機構を示す正面図 【符号の説明】 100 双眼鏡本体 106R、L 対物レンズユニット 202、203 VAPユニット 220 ロック機構 224 振れ補正操作レバー 300R、L 接眼プリズムユニット 410 制御回路基板 412 振れ補正モード切換スイッチ |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2004-01-08 |
出願番号 | 特願平5-190103 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(G02B)
P 1 41・ 852- Y (G02B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田部 元史 |
特許庁審判長 |
平井 良憲 |
特許庁審判官 |
山下 崇 町田 光信 |
登録日 | 2002-04-26 |
登録番号 | 特許第3302117号(P3302117) |
発明の名称 | 観察用光学機器 |
代理人 | 岸田 正行 |
代理人 | 水本 敦也 |
代理人 | 岸田 正行 |
代理人 | 水本 敦也 |