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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65H |
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管理番号 | 1094315 |
審判番号 | 不服2001-5366 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-03-01 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-04-06 |
確定日 | 2004-03-25 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第224610号「用紙搬送装置および画像形成装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 3月 1日出願公開、特開平 6- 56310]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成4年7月31日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年4月6日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】用紙を搬送する用紙搬送路と、 前記用紙搬送路の用紙の端部が通過する位置にまたがり、かつ、用紙搬送方向に沿った一側部に、用紙搬送路を挟む状態で配置された、面積を有する一対の検知手段とを有し、 前記検知手段は一対の検知手段に挟まれる領域のうち、遮断される領域の面積情報を検知するものであって、 時間に対する前記検知手段の検知量の変化によって、用紙の斜行を検知することを特徴とする用紙搬送装置。」 2.引用刊行物記載の発明 これに対して、原査定の拒絶の理由において引用された本願の出願前に頒布された特開平4-41348号公報(平成4年2月12日出願公開。以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (記載ア)「文書の搬送路に設けられ、文書の搬送方向と直角方向に2つの所定領域を設定し、各所定領域内に掛かる文書面の割合に応じた出力値をそれぞれ出力する2個のエリアセンサと、 該2個のエリアセンサからそれぞれ出力される出力値同士を比較する比較回路と、 を備え、前記2個のエリアセンサからの出力値の差が一定値以上となった場合に斜行文書として検出することを特徴とする斜行検出装置。」(特許請求の範囲請求項1) (記載イ)「上記構成の斜行検出装置によれば、文書の搬送方向と直角方向に配設した2個のエリアセンサにより、各エリアセンサに掛かる搬送文書の文書面の割合に応じた出力値が得られるため、斜行した文書が搬送されると2個のエリアセンサからの出力値に差を生じる。」(公報第2頁右下欄第11〜16行) (記載ウ)「ところで、上記実施例のエリアセンサは、光を用いた光学式のエリアセンサであったが、これに限定されない。例えば、第6図に示す静電容量センサを用いてエリアセンサを構成することもできる。 第6図の静電容量センサは、2枚の金属板42、44を図示省略した搬送路の上下面に所定間隔を隔てて平行に配設したキャパシタと静電容量検出回路46とで構成されている。・・・・これは、第6図に示すように、金属板42、44の間を文書22が通過すると、キャパシタに誘電体が挿入されたのと同じ状態になるため、文書22の挿入面積に応じた静電容量が得られる。静電容量検出手段16は、この文書通過時の静電容量を検出するものである。」(公報第4頁左上欄第17行〜右上欄第15行) (記載エ)「上記静電容量型のエリアセンサの出力は、キャパシタに文書が掛かる面積が増加するに従って静電容量が増加するので、その出力波形は第5(A)、(B)と逆に右上がりとなる。しかし、2個のキャパシタの差出力の波形は、第5図(C)と同様な波形が得られる。 このため、静電容量センサを用いた場合も上記光学式のエリアセンサと同様に比較回路を用いることによって、瞬時に文書の斜行角が許容範囲内か否かを正確かつ容易に検出することが可能であり、これを安価な装置で実現することができる。」(公報第4頁左下欄下から2行〜右上欄第9行) そして、上記記載ウ及び第6図によると、エリアセンサは、搬送路を挟む状態で配置された、面積を有する一対のものといえる。 エリアセンサは、上記記載アによると、エリアセンサに掛かる搬送文書の文書面の割合に応じた出力値を得ており、このことは、一対のエリアセンサに挟まれる領域のうち、遮断される領域の面積情報を検知しているといえる。 さらに、上記記載ア〜エによると、引用刊行物の装置は、文書を搬送しているので、引用刊行物には、文書を搬送する文書搬送装置が記載されているといえる。 したがって、上記の事項及び図面を総合すると、引用刊行物には、 「文書を搬送する搬送路と、 搬送路を挟む状態で、文書の搬送方向と直角方向に2つの所定領域に配置された、面積を有する2個の一対のエリアセンサとを有し、 前記エリアセンサは一対のエリアセンサに挟まれる領域のうち、遮断される領域の面積情報を検知するものあって、 前記2個のエリアセンサからの出力値の差によって、文書の斜行を検知する文書搬送装置。」の発明(以下、「引用刊行物記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 3.対比 次に、本願発明と引用刊行物記載の発明とを対比する。 引用刊行物記載の発明の「文書」、「搬送路」、「エリアセンサ」、「文書搬送装置」は、それぞれ、本願発明の「用紙」、「用紙搬送路」、「検知手段」、「用紙搬送装置」に相当する。 そうすると、両者は、本願発明の用語を用いて表現すると、「用紙を搬送する用紙搬送路と、 用紙搬送路を挟む状態で配置された、面積を有する一対の検知手段とを有し、 前記検知手段は一対の検知手段に挟まれる領域のうち、遮断される領域の面積情報を検知するものであって、 用紙の斜行を検知する用紙搬送装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点 本願発明では、検知手段が、用紙搬送路の用紙の端部が通過する位置にまたがり、かつ、用紙搬送方向に沿った一側部に配置され、時間に対する前記検知手段の検知量の変化によって、用紙の斜行を検知しているのに対して、引用刊行物記載の発明では、2個の検知手段が、用紙の搬送方向と直角方向に設けられ、前記2個の検知手段からの出力値の差によって、用紙の斜行を検知している点。 4.相違点の判断 引用刊行物記載の発明は、2個の一対の検知手段の出力値の差を、適時に、一定値以上であるかを判断し、一定値以上の場合に、用紙の斜行として判断している(上記記載ア参照。)。これは、斜行した用紙により、各々の検知手段(エリアセンサ)が遮断される領域の面積が、時間に対して異なることにより、時間に対して各々の検知手段(エリアセンサ)の出力値が異なることとなり、結果として、時間に対する2個の一対の検知手段(エリアセンサ)の出力値の差が変化すること、すなわち時間に対する検知手段(エリアセンサ)の検知量の変化を考慮したものといえる(上記記載ア〜エ参照。)。 また、引用刊行物には、1個の一対の検知手段に挟まれる領域のうち、遮断される領域の面積に応じた検知量を得ることができることが記載されており(上記記載イ〜エ参照。)、1個の一対の検知手段によっても、例えば、第5図に示された出力波形図にみられるように、用紙の検知手段の通過に伴い、時間に対する検知量の変化を読み取ることができることが示されている。 さらに、1個の検知手段で、用紙搬送路の用紙の端部が通過する位置にまたがり、かつ、用紙搬送方向に沿った一側部に設け、時間に対する前記1個の検知手段の検知量の変化によって、用紙の斜行を検知することも、本願の出願前に周知の技術的事項である(必要なら、特開昭51-149726号公報、特公昭40-8170号公報、特開平4-153149号公報参照。)。 そうすると、引用刊行物記載の発明において、2個の一対の検知手段からの出力値の差によって、用紙の斜行を検知しているものを、上記周知の技術的事項を参酌し、1個の一対の検知手段により斜行を検知するようにし、検知手段を用紙搬送路の用紙の端部が通過する位置にまたがらせ、かつ、用紙搬送方向に沿った一側部に設け、時間に対する前記検知手段の検知量の変化によって、用紙の斜行を検知するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 5.むすび したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び従来周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-01-14 |
結審通知日 | 2004-01-20 |
審決日 | 2004-02-05 |
出願番号 | 特願平4-224610 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(B65H)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 永安 真 |
特許庁審判長 |
鈴木 公子 |
特許庁審判官 |
山崎 豊 山崎 勝司 |
発明の名称 | 画像形成装置の用紙検知装置 |
代理人 | 高橋 紘 |