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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F |
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管理番号 | 1094501 |
審判番号 | 不服2002-1184 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-12-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-01-23 |
確定日 | 2004-04-01 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第119510号「表示装置の取付構造およびそれを備えた機器」拒絶査定に対する審判事件[平成10年12月 4日出願公開、特開平10-319864]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年5月9日の出願であって、本願の請求項1〜8に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定されるとおりのものであり、請求項1及び7に係る発明は次のとおりのものである。 「【請求項1】 矩形板状の表示部とその外周に配置された枠部とを備える表示装置を側壁で形成された矩形状の開口部を有する外部ケーシングに取付る表示装置の取付構造であって、 前記枠部の対向する二辺の少なくとも一方に前記表示部の面に平行な方向の孔を形成し、 前記外部ケーシングに、前記孔に係合可能なピンを設けたことを特徴とする表示装置の取付構造。 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかの表示装置の取付構造を備えることを特徴とする機器。」 2.引用刊行物 原査定の拒絶理由に引用された、引用文献3〔実願平4-68777号(実開平6-21018号)のCD-ROM〕には、次の事項が記載されている。 「【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、電子機器本体に着脱自在に取り付けられるパネルユニットの取付構造に関するものである。」(第4頁第2〜5行) 「【0003】 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、上記従来例の取付構造ではパネルユニット1の着脱操作の際、その都度、ネジ12を取り付けたり、或は取り外しを行なわねばならず甚だ作業性が悪かった。・・・本考案は上述したような欠点を解決する為に成されたものであって、面倒な操作を必要とせず、機器本体のパネル面に対しパネルユニットを容易に着脱できるパネルユニット取付構造が得られる。」(第4頁第18〜26行) 「図中3bはスイッチ操作部、3cは液晶表示素子を示す。 【0007】 一方、機器本体4のパネル面には、従来例と同様パネルユニット3を丁度収納できる大きさの取付凹部41を有する。取付凹部41の一端側内側面にはパネルユニット3の係合凹部34aに対応して一対の係合凸起44,44が設けられている。・・・又、取付凹部41の他側内側面にはパネルユニット3の係合凹部38に対応して係合凸起42が設けられている。・・・次に、上記の如く構成された機器本体4の取付凹部41内にパネルユニット3を取り付けるには、パネルユニット3の係合凹部38が設けられた端側を機器本体4の取付凹部41内に挿入し、図3に示す如く係合凹部38を機器本体4側の係合凸起42に係合する。次いで、パネルユニット3は係合凹部38と係合凸起42との係合部分を中心にして機器本体4の取付凹部41側に回動される。この為、図4(a)に示す様に、パネルユニット3の係合片34の前面側(一端側)下端が取付凹部41に突設した係合凸起44の斜面に当接する。 【0008】 この状態からパネルユニット3を押圧すると、図4(b)の如く、係合片34は係合凸起44からの反力を受けることにより、バネ35の弾性力に抗して内方へ摺動する。更に、パネルユニット3を取付凹部41内に押し込み、係合片34の係合凹部34aと機器本体4側の係合凸起44との位置が合うと、図4(c)に示すようにバネ35の復帰力によって係合片34が元の位置に戻り、係合凹部34aと係合凸起44とが係合し合う。この為、パネルユニット3は一端側の係合凹部38が機器本体4の係合凸起42に係合し、他端側の係合片34の係合凹部34aが機器本体4の係合凸起44に係合することにより(図5参照)、機器本体4の取付凹部41内に確実に取り付けられる。」(第6頁第8行〜第7頁第7行) 前記記載事項と図面の記載からみて、引用文献3には、「液晶表示素子を備える矩形板状のパネルユニットを内側面で形成された矩形状の取付凹部を有する機器本体に取付るパネルユニットの取付構造であって、前記パネルユニットの対向する二辺の少なくとも一方に前記液晶表示素子の面に平行な方向の係合凹部を形成し、前記機器本体に、前記係合凹部に係合可能な係合凸起を設けたパネルユニットの取付構造を備えることを特徴とする電子機器。」が記載されている。 3.対比 引用文献3記載の発明における「機器本体」、「液晶表示素子」、「パネルユニット」、「内側面」、「取付凹部」、「係合凹部」、「係合凸起」、及び「電子機器」は、本願特許請求の範囲の請求項7に係る発明(以下、「本願発明」という。)における「外部ケーシング」、「表示部」、「表示装置」、「側壁」、「開口部」、「孔」、「ピン」、及び「機器」に、それぞれ相当するものであるので、本願発明と引用文献3記載の発明とを対比すると、本願発明と引用文献3記載の発明は、「表示部を備える矩形板状の表示装置を側壁で形成された矩形状の開口部を有する外部ケーシングに取付る表示装置の取付構造であって、前記表示装置の対向する二辺の少なくとも一方に前記表示部の面に平行な方向の孔を形成し、前記外部ケーシングに、前記孔に係合可能なピンを設けた表示装置の取付構造を備えることを特徴とする機器。」で一致し、次の点で両者の構成は相違する。 相違点(A): 表示装置が、本願発明は、矩形板状の表示部とその外周に配置された枠部とを備えるのに対して、引用文献3記載の発明は、表示部を備える矩形板状のパネルユニットである点。 相違点(B): 本願発明は、枠部に孔を形成したのに対して、引用文献3記載の発明は、パネルユニットに孔を形成した点。 4.判断 相違点(A)について 表示装置が、矩形板状の表示部とその外周に配置された枠部とを備える点は、周知技術〔例えば、特開平8-327983号公報(引用文献1)、特開平9-114391号公報(引用文献2)〕である。 引用文献3記載のものにおいて、パネルユニットに換えて、前記周知技術を採用して、相違点(A)における本願発明のような構成にすることは、当業者にとって容易なことである。 相違点(B)について 表示装置が、矩形板状の表示部とその外周に配置された枠部とを備えることは、前記「相違点(A)について」で述べたように当業者にとって容易なことである。 そして、本願発明および引用文献3記載の発明のように、表示装置を側壁で形成された矩形状の開口部を有する外部ケーシングに取付る表示装置の取付構造において、表示装置の係合手段が、表示装置の外側部分に形成されることは当然の構成であるので、表示装置の外側部分である枠部に係合手段である孔を形成して、相違点(B)における本願発明のような構成にすることは、格別なものではない。 そして、前記相違点(A)及び(B)における本願発明の構成による効果は、引用文献3の記載および前記周知技術から予測される範囲のものである。 5.むすび したがって、本願特許請求の範囲の請求項7に係る発明は、本願出願前に国内で頒布された引用文献3記載の発明および前記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本願特許請求の範囲の請求項1〜5及び8に係る発明の審理をするまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-10-22 |
結審通知日 | 2003-10-28 |
審決日 | 2003-11-18 |
出願番号 | 特願平9-119510 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小宮 寛之、高木 彰 |
特許庁審判長 |
末政 清滋 |
特許庁審判官 |
谷山 稔男 柏崎 正男 |
発明の名称 | 表示装置の取付構造およびそれを備えた機器 |
代理人 | 市位 嘉宏 |
代理人 | 渡部 弘道 |
代理人 | 坂口 博 |