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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08L
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C08L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08L
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C08L
管理番号 1094536
異議申立番号 異議2003-71639  
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-05-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-06-26 
確定日 2004-01-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3364293号「ポリオレフィン系基材フィルム、及び粘着フィルムまたはシート」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3364293号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
本件特許3364293号の発明は、平成5年10月29日に出願され、平成14年10月25日にその特許の設定登録がなされ、その後、杉崎筆雄より特許異議の申立てがなされ、それに基づく取消理由通知がなされ、それに対して、特許異議意見書を提出するとともに、その指定期間内である平成15年11月20日に訂正請求がなされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア、訂正の内容
訂正事項a:特許請求の範囲の訂正
特許請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2を請求項1と繰り上げるとともに、請求項2を、
「【請求項1】 ポリプロピレン60〜90重量%、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体から選択されるスチレン系エラストマー30〜5重量%、密度が0.85〜0.90g/cm3であるエチレン-αオレフィン共重合体もしくは密度が0.85〜0.90g/cm3であるプロピレン-αオレフィン共重合体30〜5重量%を含有してなるポリオレフィン系基材フィルムの片面に、粘着剤層を設けてなる粘着フィルムまたはシート。」と訂正する。
訂正事項b:発明の詳細な説明の訂正
b-1、特許明細書の段落【0005】の
「即ち、本発明は、ポリプロピレン60〜90重量%、スチレン系エラストマー40〜2重量%、エチレン-αオレフィン共重合体もしくはプロピレン-αオレフィン共重合体40〜2重量%を含有してなるポリオレフィン系基材フィルム、及びそれを基材とする粘着フィルムまたはシートを提供する。」を、
「即ち、本発明は、ポリプロピレン60〜90重量%、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体から選択されるスチレン系エラストマー30〜5重量%、密度が0.85〜0.90g/cm3であるエチレン-αオレフィン共重合体もしくは密度が0.85〜0.90g/cm3であるプロピレン-αオレフィン共重合体30〜5重量%を含有してなるポリオレフィン系基材フィルムを基材とする粘着フィルムもしくはシートを提供する。」と訂正する。
b-2、特許明細書の段落【0010】、段落【0011】及び段落【0024】中の「本発明の基材フィルム」を、いずれも「本発明で用いる基材フィルム」と訂正する。
イ、訂正の適否
訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2を請求項1と繰り上げて独立請求項とするとともに、明細書の段落【0008】の記載に基づいて、スチレン系エラストマーを2種類のものに特定し、同じく段落【0009】の記載に基づいて、エチレン-αオレフィン共重合体もしくはプロピレン-αオレフィン共重合体の密度を特定し、さらに、段落【0010】の記載に基づいて、スチレン系エラストマー、及び、エチレン-αオレフィン共重合体もしくはプロピレン-αオレフィン共重合体の含有率を「40〜2重量%」から「30〜5重量%」に限定するものであり、これらは、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内において、特許請求の範囲を減縮する訂正と認められる。
上記訂正事項b(b-1及びb-2)は発明の詳細な説明における訂正であり、訂正事項aに伴い、特許請求の範囲との整合性をはかるための、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められ、上記訂正事項aと同様に、願書に添付した明細書の範囲内の訂正と認められる。
また、上記訂正事項a及びbは、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議の申立てについての判断
ア、申立て理由の概要
特許異議申立人は、甲第1号証(特開昭50-54641号公報)、甲第2号証(特開昭62-263245号公報)、甲第3号証(特開昭59-155478号公報)及び参考資料1〜5を提出し、訂正前の請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、あるいは、甲第1〜3号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は特許法第29条第1項第3号あるいは同条第2項の規定に違反してされたものであり、また、明細書の記載に不備が認められ、特許法第36条第4項及び第5項の要件を満たさない出願に対して特許されたものであるから、取り消されるべき旨主張している。
イ、訂正明細書の請求項1に係る発明
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 ポリプロピレン60〜90重量%、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体から選択されるスチレン系エラストマー30〜5重量%、密度が0.85〜0.90g/cm3であるエチレン-αオレフィン共重合体もしくは密度が0.85〜0.90g/cm3であるプロピレン-αオレフィン共重合体30〜5重量%を含有してなるポリオレフィン系基材フィルムの片面に、粘着剤層を設けてなる粘着フィルムまたはシート。」
ウ、本件特許異議申立人が引用した刊行物に記載された事項
a、刊行物1(甲第1号証)について
「ポリプロピレン40〜93(重量)%とポリエチレン5〜50(重量)%およびゴム状弾性体2〜10(重量)%からなる重合体組成物により形成され、かつ下記の物性を保持することを特徴とする横方向引裂性を有するフイルム。
…以下省略…」(特許請求の範囲)
「本発明は衝撃引裂性の良好なフイルムに関し、特にフイルムの横方向に切れ目を入れず、容易に直線状に引裂くことができるフイルムに関するものである。」(第1頁右下欄2〜5行)
「また、ポリエチレンとしては、低密度、中密度、高密度のいずれでもよいが、特に好ましいのは密度0.926g/cm3以上の中密度または高密度ポリエチレンである。」(第3頁頁左上欄14〜17行)
「ゴム状弾性体としては、未加硫天然ゴム、……スチレン-ブタジエンゴム、……スチレン-イソプレン共重合体、……などのすべてのゴム状エラストマーが挙げられる。」(同頁右上欄欄2〜12行)
「本発明のフイルムは、これに粘着加工して粘着テープとしたり、金属蒸着加工を行ない任意の箇所で切断して用いるステッカー、………など、広い用途を有する。」(第5頁左上欄7〜16行)
b、刊行物2(甲第2号証)について
「(1)(a)プロピレン-エチレンブロック共重合体(I)および結晶性プロピレン-エチレンランダム共重合体(II)の配合比(重量比)(I)/(II)が8/2〜2/8であるプロピレン系共重合体50〜70重量%、(b)一般式B-A-B’(ただし、Aは共役ジエン系重合体ブロックであり、BおよびB’は、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックである。)で示されるブロック共重合体の水素添加誘導体10〜45重量%、(c)非晶性エチレン-α-オレフィンランダム共重合体1〜30重量%および(d)上記(a)+(b)+(c)100重量部に対して高級脂肪酸アミド0.01〜5重量部よりなる成形用エラストマー状組成物。」(特許請求の範囲請求項1)
「本発明は成形用エラストマー状組成物に関する。さらに詳しくは、柔軟性に富み、耐衝撃性、機械的強度(曲げ弾性)、成形加工性(金型離型性)、成形品の外観性に優れた成形用熱可塑性エラストマー状組成物に関する。」(第1頁右下欄8〜12行)
c、刊行物3(甲第3号証)
「(1)(A)ブタジエン樹脂および/またはポリオレフィン樹脂20〜80重量%と(B)芳香族ビニル化合物-共役ジエンブロック共重合体80〜20重量%とからなる熱可塑性伸縮テープ。」(特許請求の範囲請求項1)
「本発明伸縮テープには粘着剤組成物を積層させる事も可能であり、伸縮性粘着テープを得る事ができるので上記用途でのテープ取付け作業性を向上させる。」(第2頁右下欄11〜14行)
エ、対比・判断
本件発明と刊行物1に記載された発明を対比すると、両者は、ポリプロピレン、スチレン系エラストマー及びエチレン系重合体を含有してなるポリオレフィン系基材フィルムの片面に、粘着剤層を設けてなる粘着フィルムであり、それらの成分の配合比において重複している点で一致し、下記の点で相違している。
相違点1:本件発明では、スチレン系エラストマーとして、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体から選択されるとするのに対し、刊行物1には、スチレン-イソプレン共重合体が例示されている点、
相違点2:本件発明では、エチレン系共重合体として、密度が0.85〜0.90g/cm3であるエチレン-αオレフィン共重合体とするのに対し、刊行物1では、ポリエチレンであり、低密度、中密度、高密度のいずれでもよいが、特に好ましいのは密度0.926g/cm3以上の中密度または高密度ポリエチレンであるとしている点。
上記相違点のうち、相違点2について検討する。
刊行物1のポリエチレンは、低密度ポリエチレンでもよいというものの、本件発明で特定する密度より高密度のものが好ましいとされており、また、本件発明のエチレン-αオレフィン共重合体は、本件明細書によれば、ゴム成分であるのに対し、刊行物1では、結晶性のポリエチレンと認められ、その物性は大きく相違すると認められる。
また、本件発明では、上記構成を有することによって、タテ及びヨコの両方向の耐引裂性に優れるとするのに対し、刊行物1では、横方向引裂性を有するとしている点でも作用効果上大きく相違すると認められる。
刊行物2及び3は、本件発明と組成が相違し、また、刊行物1にはフィルムとすることの記載はなく、刊行物3は、伸縮テープである点でそれぞれ目的も大きく相違し、刊行物2及び3には、本件発明の作用効果である引裂性についての記載もなく、刊行物1〜3をどのように組み合わせても、本件発明を予測することは困難である。
そうであるならば、上記相違点1について、検討するまでもなく、本件発明は、刊行物1に記載された発明でもなく、刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
なお、特許異議申立人の主張する明細書の記載不備については、エチレン-αオレフィン共重合体ないしはプロピレン-αオレフィン共重合体の密度を特定する上記訂正により、解消されたものと認める。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件特許異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件特許を取り消すことができない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ポリオレフィン系基材フィルム、及び粘着フィルムまたはシート
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】ポリプロピレン60〜90重量%、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体から選択されるスチレン系エラストマー30〜5重量%、密度が0.85〜0.90g/cm3であるエチレン-αオレフィン共重合体もしくは密度が0.85〜0.90g/cm3であるプロピレン-αオレフィン共重合体30〜5重量%を含有してなるポリオレフィン系基材フィルムの片面に、粘着剤層を設けてなる粘着フィルムまたはシート。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリプロピレンを主成分に少なくとも二種のゴム成分を含有した少なくとも三成分のブレンド物からなる基材フィルムに関するものである。 その目的は、従来の基材フィルムの機械的物性を低下させることなく、タテおよびヨコの両方向の耐引裂性に優れたフィルムを提供するものであり、特に、表面保護フィルムの基材として好ましく、剥離作業性に優れた粘着フィルムまたはシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属板の加工時や運搬時の表面の傷を防止するために、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを基材フィルムとし、アクリル系、ゴム系などを主成分とする粘着剤層を有する表面保護フィルムが多用されている。
しかしながら、ポリ塩化ビニルを基材とする粘着フィルムは表面保護特性に優れているが、スクラップの焼却処理の際、塩化水素ガスを発生し、焼却炉を著しく損傷させるという欠点を有する。 またポリエチレンを基材とする粘着フィルムは、強度が小さいので被保護体の加工時に切れやすく、またフィルムに腰がないために手貼り作業で被保護体に貼り合わせる場合にしわが入ったり、ずれたりして貼り合わせ作業性が極めて悪いという問題がある。 また、ポリプロピレン基材の場合は、手貼り作業性は極めて良好であるが、剥離する際にポリプロピレンの高い結晶性により特定方向に裂け易いという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題点を解決する方法として、ポリプロピレンなどの強度の高いフィルムにゴムなどの樹脂を配合するなどして、フィルム自体を改善して耐引裂性を改善する方法が提案されている。
しかしながら、この方法では耐引裂性は改善できるが、フィルムの弾性率が低下するためフィルムの腰がなくなってしまう。 そのため、これらの特性のバランスをとるには、フィルムを厚くする手段を取らざるをえず、経済性に劣るという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、フィルムの複数の物性に注目して検討し、ポリプロピレンに若干量のスチレン系エラストマーとエチレン-αオレフィン共重合体もしくはプロピレン-αオレフィン共重合体を配合することにより、従来の基材フィルムの諸特性を低下させることなく、タテおよびヨコの両方向について耐引裂性を改善できることを知見し、本発明に至ったものである。
【0005】
即ち本発明は、ポリプロピレン60〜90重量%、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体およびスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体から選択されるスチレン系エラストマー30〜5重量%、密度が0.85〜0.90g/cm3であるエチレン-αオレフィン共重合体もしくは密度が0.85〜0.90g/cm3であるプロピレン-αオレフィン共重合体30〜5重量%を含有してなるポリオレフィン系基材フィルムを基材とする粘着フィルムもしくはシートを提供する。
【0006】
本発明において用いられるポリプロピレン、スチレン系エラストマー、エチレン-αオレフィン共重合体もしくはプロピレン-αオレフィン共重合体は、従来より知られているものを適宜用いることができる。
【0007】
上記樹脂のうち本発明において好適に用いられるものとして、ポリプロピレンとしては、MFR(JIS K7210 に基づくメルト・フロー・レート、以下同様)が2〜30(g/10min.230℃)で、密度が0.89〜0.90g/cm3のものが好ましい。
【0008】
また、スチレン系エラストマーとしては、スチレン部分が10〜50重量%で、MFRが1.0〜30(g/10min.230℃)で、密度が0.90〜0.96g/cm3のものが好ましい。 かかるスチレン系エラストマーの具体例としては、例えばスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0009】
また、エチレン-αオレフィン共重合体もしくはプロピレン-αオレフィン共重合体としては、MFRが0.4〜15(g/10min.230℃)で、密度が0.85〜0.90g/cm3のものが好ましい。
【0010】
本発明で用いる基材フィルムにおいて上記各成分の配合量は、ポリプロピレン60〜90重量%、好ましくは70〜85重量%、スチレン系エラストマー40〜2重量%、好ましくは30〜5重量%、エチレン-αオレフィン共重合体もしくはプロピレン-αオレフィン共重合体40〜2重量%、好ましくは30〜5重量%とすることが効果的である。 ここで、ポリプロピレンが60重量%未満の場合、基材フィルムの弾性率が低下すると共に強度不足となり、一方90重量%を越えると耐引裂性の効果が低い。 また、スチレン系エラストマー、及びエチレン-αオレフィン共重合体もしくはプロピレン-αオレフィン共重合体の両者のどちらか一方が欠けた場合、耐引裂性についてタテとヨコのバランスが崩れる、すなわちタテとヨコの引裂強度が大幅に異なり、タテ方向のみに裂けやすくなるため好ましくない。
【0011】
本発明で用いる基材フィルムにおいては、上記の各成分以外に必要に応じて、スリップ剤、帯電防止剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0012】
上記基材フィルムの製法は特に限定されないが、例えば各成分をドライブレンドした後、T型ダイスによる押出し成形機によってフィルム化することができる。 得られるフィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは20〜100μm、さらに好ましくは30〜70μmである。
【0013】
また本発明は、上記の基材フィルムの片面に、粘着剤層を設けてなる粘着フィルムまたはシートも提供する。 この粘着剤は特に限定されず、例えばアクリル系、ゴム系粘着剤が挙げられ、その厚さは通常1〜20μm程度が好ましい。
【0014】
本発明の粘着フィルムは、その用途に何ら限定されるものではないが、耐引裂性に極めて優れているため、特に表面保護用粘着フィルムとして好適に用いることができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例にてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
MFR9.0、密度0.90g/cm3のポリプロピレン(商品名:ノバテックPPFX3、日本ポリケム社製)80重量%、MFR12.0、密度0.89g/cm3のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)(商品名:タフテックH1052、旭化成社製)10重量%、およびMFR6.0、密度0.89g/cm3のプロピレン-αオレフィン共重合体(タフマーXR110T、三井化学社製)10重量%を、ドライブレンドしT型ダイス押出成形機(40mmΦ)にて樹脂温度220℃で押し出して、厚さ40μmのフィルムを成形した。
成形性は良好で、成形フィルムの外観も良好であった。 得られたフィルムの物性試験した結果を表1に示す。
【0016】
実施例2
MFR9.0、密度0.90g/cm3のポリプロピレン(商品名:ノバテックPPFX3、日本ポリケム社製)80重量%、MFR8.0、密度0.92g/cm3のスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)(クインタック3422、日本ゼオン社製)10重量%、およびMFR6.0、密度0.89g/cm3のプロピレン-αオレフィン共重合体(商品名:タフマーXR110T、三井化学社製)10重量%を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ40μmのフィルムを得た。
成形性は良好で、成形フィルムの外観も良好であった。 得られたフィルムの物性試験した結果を表1に示す。
【0017】
実施例3
MFR9.0、密度0.90g/cm3のポリプロピレン(商品名:ノバテックPPFX3、日本ポリケム社製)80重量%、MFR12.0、密度0.89g/cm3のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)(商品名:タフテックH1052、旭化成社製)10重量%、およびMFR6.7、密度0.89g/cm3のエチレン-αオレフィン共重合体(商品名:タフマーA-4090、三井化学社製)10重量%を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ40μmのフィルムを得た。
成形性は良好で、成形フィルムの外観も良好であった。 得られたフィルムの物性試験した結果を表1に示す。
【0018】
実施例4
MFR9.0、密度0.90g/cm3のポリプロピレン(商品名:ノバテックPPFX3、日本ポリケム社製)80重量%、MFR12.0、密度0.89g/cm3のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)(商品名:タフテックH1052、旭化成社製)15重量%、およびMFR6.0、密度0.89g/cm3のプロピレン-αオレフィン共重合体(商品名:タフマーXR 110T、三井化学社製)5重量%を用い、実施例1と同様の方法で、厚さ40μmのフィルムを得た。
成形性は良好で、成形フィルムの外観も良好であった。 得られたフィルムの物性試験した結果を表1に示す。
【0019】
比較例1〜4
実施例1〜4の配合量を表1に示す配合にて行う以外は、全て実施例1〜4と同様にしてフィルムを得た。 得られたフィルムの物性試験した結果を表1に併せて示す。
【0020】
なお、各物性試験は、以下の方法にて行った。
〔エレメンドルフ引裂強度〕
JIS P-8116に準ずる。
〔弾性率および破断強度〕
つかみ間距離 20mm
フィルム測定幅 5mm
引張速度 200mm/min
【0021】
〔剥離作業性〕
実施例1〜4で得た各基材フィルムの片面に、アクリル系粘着剤をトルエンに溶解し、固形分で糊厚5μmになるように塗布し、80℃で2分間乾燥することにより、本発明の表面保護フィルムを得た。
【0022】
得られた表面保護フィルムを、10cm×10cmのステンレス板に貼り合わせ、コーナー部よりそのフィルムを素早く剥がす際の耐引裂性から、剥離作業性を以下の基準にて判定した。
○ 良好
× 悪い
△ 方向性有り
【0023】
【表1】

【0024】
【発明の効果】
本発明で用いる基材フィルムは、従来の基材フィルムの機械的物性を低下させることなく、タテおよびヨコの耐引裂性に優れるという効果を有し、かかるフィルムは特に表面保護用粘着フィルムの基材として好適に用いることができる。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-12-26 
出願番号 特願平5-271837
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C08L)
P 1 651・ 121- YA (C08L)
P 1 651・ 531- YA (C08L)
P 1 651・ 534- YA (C08L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森川 聡  
特許庁審判長 井出 隆一
特許庁審判官 佐藤 健史
佐野 整博
登録日 2002-10-25 
登録番号 特許第3364293号(P3364293)
権利者 日東電工株式会社
発明の名称 ポリオレフィン系基材フィルム、及び粘着フィルムまたはシート  
代理人 栗原 弘幸  
代理人 栗原 弘幸  
代理人 田村 弥栄子  
代理人 幸 芳  
代理人 土井 京子  
代理人 幸 芳  
代理人 山本 健二  
代理人 田村 弥栄子  
代理人 谷口 操  
代理人 山本 健二  
代理人 高島 一  
代理人 高島 一  
代理人 谷口 操  
代理人 土井 京子  

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