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審決分類 審判 補正却下不服 判示事項別分類コード:13  G06F
管理番号 1095400
審判番号 補正2003-50031  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-31 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 2003-07-30 
確定日 2004-04-07 
事件の表示 平成5年特許願第300222号「ビル管理装置」において、平成15年5月23日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成5年11月30日(優先日、平成5年7月20日)の出願であって、平成15年5月23日付けで手続補正がなされたところ(以下「本件補正」という。)、原審において平成15年6月19日付けでこの補正について補正の却下の決定をしたものである。

2.原決定の理由
上記補正の却下の決定(以下「原決定」という。)の理由は次のとおりである。
「上記手続補正書により補正された請求項1における「前記設備コントローラは、少なくともアクセス対象名を含んだテキストファイル等によって構成されたメンテナンスデータを格納するファイル格納部を備え」なる構成、及び、「前記中央監視盤は、表示装置と、前記ファイル格納部から引き出され、前記インターフェースを介して転送されたメンテナンスデータを前記表示装置に表示させるメンテナンス用エディタとを備え」なる構成、ならびに、「前記中央監視盤では、メンテナンスデータがファイル転送モードにより転送された場合には、そのデータを識別するだけで前記表示装置に表示する」なる構成は、出願当初の明細書または図面に記載されておらず、かつ、明細書または図面の記載から自明な事項であるとも認められない。
また、あわせて補正された発明の詳細な説明の段落【0029】における、上記した各構成に対応する記載についても、同様である。
したがって、この補正は、明細書の要旨を変更するものであるから、特許法第53条第1項の規定により、上記結論の通り決定する。
(本願の出願当初明細書及び図面には、設備コントローラの有するファイル格納部において、「アクセス対象名を含んだテキストファイル」としてメンテナンスデータを格納すること、及び、転送されたメンテナンスデータ(アクセス対象名を含んだテキストファイル)自体を中央監視盤の表示装置に表示すること、ならびに、当該表示を(メンテナンス)データの識別を契機として行うことは記載されておらず、出願人が上記手続補正書と同日付けで提出した意見書における補正の根拠についての主張を参酌しても、上記した各事項が明細書または図面の記載から自明の事項であるとは認められない。)」

3.請求人の主張
これに対し、請求人は、審判請求書の請求の理由を補正する平成15年9月5日付け手続補正書の[(3)本願発明の説明と補正の説明]において、
「本願発明の特徴を明確にするため、本補正では、(A)「前記設備コントローラは、少なくともアクセス対象名を含んだテキストファイル等によって構成されたメンテナンスデータを格納するファイル格納部を備え」、(B)「前記中央監視盤は、表示装置と、前記ファイル格納部から引き出され、前記インターフェースを介して転送されたメンテナンスデータを前記表示装置に表示させるメンテナンス用エディタとを備え」、(C)「前記インタフェースに、メンテナンスデータを転送するためのトランスペアレントなファイル転送モードを設け」、(D)「前記中央監視盤では、メンテナンスデータがファイル転送モードにより転送された場合には、そのデータを識別するだけで前記表示装置に表示する」といった限定要素を付加しました。」(第2頁第6〜14行)
と主張した上で、[(5)補正の根拠及び要旨の変更でない旨の説明]において、次のように主張している。
「(限定要件(A)について)
「前記設備コントローラは、メンテナンスデータを格納するファイル格納部を備え、」は、段落番号【0073】の3,4行目に記載された「設備コントローラ13では、ファイルマネージャ16によりフォーマットが変換されかつファイル格納部17の所定の場所へ格納される。」、段落番号【0074】の1,2行目に記載された「設備機器の故障等のメンテナンスデータは、一旦ファイル格納部17に格納され、」、および図6とに基づきます。
また、「少なくともアクセス対象名を含んだ」は、段落番号【0041】の1〜3行目に記載された「請求項13に係わるビル管理装置は、情報のやり取りのための通信の情報形式として、「サービス名+アクセス対象名+属性種類+属性値」で構成することを特徴とする。」、および図2におけるメンテナンスデータの情報形式が「サービス値+アクセス対象名+属性種類名+属性値」であるとの記載に基づきます。具体的には、段落番号【0109】の3,4行目に「モニタ応答+室外機+No.3+運転状態+[SELECTOR]+運転」と例示されていますが、「室外機+No.3(No.3の室外機)」がアクセス対象名に該当します。
さらに、「テキストファイル等によって構成されたメンテナンスデータ」は、段落番号【0075】の7,8行目に記載された「一方ファイル転送に使用されるテキスト19は、同じくコマンドファイル識別部と転送されるべきファイル等によって構成されている。」、および図7における「テキスト」の記載に基づきます。
以上の補正の根拠より、限定要件(A)は、本願の出願当初明細書に十分開示されたものであると思料致します。
特に、「アクセス対象名を含んだテキストファイルとしてメンテナンスデータを格納すること」については、図2と図6とを見比べれば、図6のファイル格納部17から読み出されたメンテナンスデータが、図2の情報形式(サービス名+アクセス対象名+属性種類+属性値)を有していることは明らかです。
(限定要件(B)について)
「前記中央監視盤は、表示装置と、前記ファイル格納部から引き出され、前記インターフェースを介して転送されたメンテナンスデータを前記表示装置に表示させるメンテナンス用エディタとを備え、」は、段落番号【0074】の2〜5行目に記載された「ファイルマネージャ16によりファイル格納部から引き出されて、中央監視盤10に向け転送される。中央監視盤10にファイル転送されたメンテナンスデータは、設定、メンテナンス用エディタ15により中央監視盤10の表示装置に所定の形式で表示される。」に基づきます。
以上の補正の根拠より、限定要件(B)は、本願の出願当初明細書に十分開示されたものであると思料致します。特に、「メンテナンスデータ自体を中央監視盤の表示装置に表示すること」については、段落番号【0074】の記載「メンテナンスデータは、設定、メンテナンス用エディタ15により中央監視盤10の表示装置に所定の形式で表示される」より明らかです。
(限定要件(D)について)
「前記中央監視盤では、メンテナンスデータがファイル転送モードにより転送された場合には、そのデータを識別するだけで前記表示装置に表示する」は、段落番号【0067】の5〜8行目に記載された「対象機器から故障等に関する信号が前記ファイル転送モードにより伝達された場合には、その信号を識別して所定の表示を表示装置にする構成を中央監視盤10に設けておけばよい。」、および段落番号【0068】の1,2行目に記載された「対象機器からの信号の識別だけを出来るようにしておけば、各機器の詳細な仕様について中央監視盤10の側で知る必要はなくなる。」に基づきます。
以上の補正の根拠より、限定要件(D)は、本願の出願当初明細書に十分開示されたものであると思料致します。特に、「当該表示をメンテナンスデータの識別を契機として行うこと」については、段落番号【0067】の記載「その信号を識別して所定の表示を表示装置にする」と、段落番号【0068】の記載「対象機器からの信号の識別だけを出来るようにしておけば」とから明らかです。」(第2頁第24行〜第3頁第39行)

4.当審の判断
4-1.「アクセス対象名」と第2実施例について
願書に添付した明細書又は図面(以下「当初明細書」という。)には下記a〜eの事項が記載されている。
a.【図面の簡単な説明】の欄に、図2の説明として、「本発明に係るビル管理装置の第2実施例を示すブロック図及び機能説明図である。」と記載されている。
b.【発明の詳細な説明】の欄の段落【0091】以下に、上記第2実施例について説明されており、該説明中の段落【0091】に、「図2に、中央監視盤10と設備コントローラ13が情報交換のためのインタフェース論理モデルとして、操作、監視の対象となる空間モデル52と、設定、メンテナンスの対象となる機器モデル53を共有し、インタフェース12を介して情報交換を行うビル管理装置図を示す。」と記載されている。
c.同じく段落【0094】に、「図3には、図2における前記インタフェース論理モデルをオブジェクト図の形式で表現している。…図3に示すように、インタフェース論理モデルは、操作、監視用空間モデル55と設定、メンテナンス用機器モデル56の2つに分類できる。図3において、オブジェクト54に注目すると、各インタフェース論理モデルの内部は構成要素を区別するための「アクセス対象」、各アクセス対象が管理する「属性種類」、各アクセス対象の持つ機能を表す「サービス」で構成されている。」と記載されている。
d.同じく段落【0095】に、「前記「アクセス対象」には、…設定、メンテナンス用のインタフェース論理モデルとして空調器、室外機、室内機、リモコン等の構成要素がある。」と記載されている。
e.同じく段落【0108】に、「次に、メンテナンスの例を説明する。…メンテナンスの場合にも空間モデルではなく、機器モデルを使用することが望ましい。」と記載されている。
上記a〜eの記載のように、当初明細書の【発明の詳細な説明】は、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された請求人のいう限定要件(A)の構成「前記設備コントローラは、少なくともアクセス対象名を含んだテキストファイル等によって構成されたメンテナンスデータを格納するファイル格納部を備え」(以下「(A)の構成」という。)の「アクセス対象名」を、
本願発明の第2実施例の、中央監視盤10と設備コントローラ13が情報交換のためのインタフェース論理モデルとして、操作、監視の対象となる空間モデル52と、設定、メンテナンスの対象となる機器モデル53を共有し、インタフェース12を介して情報交換を行うビル管理装置における、メンテナンス用のインタフェース論理モデルである機器モデル53の内部を構成する構成要素の名前として説明している。
そして、(A)の構成の「少なくともアクセス対象名を含んだ」の根拠として請求人が引用した、当初明細書の段落【0041】の記載は、第2実施例に対応するものであり、図2の記載、段落【0190】の記載も、第2実施例を説明するものである。

4-2.第1実施例について
当初明細書には下記f〜kの事項も記載されている。
f.【図面の簡単な説明】の欄に、図1の説明として、「本発明に係るビル管理装置の第1実施例を示すブロック図及び機能説明図である。」と記載されている。
g.【発明の詳細な説明】の欄の段落【0051】以下に、上記第1実施例について説明されており、該説明中の段落【0052】に、「図1においては、ビル管理装置のうち空調機器に関する例が示される。中央監視盤10と空調機器11とがインタフェース12によって接続され、また空調機器11には、制御手段としての設備コントローラ13が設けられている。」と記載されている。
h.同じく段落【0055】に、「そして、インタフェース12はこの空間モデルの形式で情報を伝達する、従って、監視及び操作の際には、この空間モデルに中央監視盤10と設備コントローラ13のそれぞれがアクセスすることにより情報交換が行えることになる。」と記載されている。
i.同じく段落【0066】、【0067】に、「次に図1に示されるメンテナンスについて説明する。…インタフェース12にこれらの情報を転送するためのトランスペアレントのファイル転送モードを設けておけばよい。」と記載されている。
j.同じく段落【0072】に、「図6には設定及びメンテナンスに関する情報の伝達方法が示される。これらの情報は、上述したように、中央監視盤10と設備コントローラ13の間でやりとりが行われる。図1の説明でも述べたように、インタフェース12に設定データ及びメンテナンスデータを転送するためのトランスペアレントなファイル転送モードを設けてこれらのデータが転送される。」と記載されている。
k.同じく段落【0074】に、「中央監視盤10にファイル転送されたメンテナンスデータは、設定、メンテナンス用エディタ15により中央監視盤10の表示装置に所定の形式で表示される。尚、このファイル転送の場合は上述した空間モデルは使用されない。」と記載されている。
上記f〜kの記載のように、当初明細書の【発明の詳細な説明】は、
本願発明の第1実施例として、中央監視盤10と設備コントローラ13とがインタフェース12によって接続され、インターフェース12は、設備機器の監視及び操作の際には、空間モデルの形式で情報を伝達し、設備機器の設定及びメンテナンスの際には、トランスペアレントなファイル転送モードにより設定データ及びメンテナンスデータを転送するビル管理装置を説明している。
そして、(A)の構成の「前記設備コントローラは、メンテナンスデータを格納するファイル格納部を備え、」の根拠として請求人が引用した、当初明細書の段落【0073】の記載、段落【0074】の記載、図6の記載、さらには、「テキストファイル等によって構成されたメンテナンスデータ」の根拠として引用した、段落【0075】の記載、図7の記載も、第1実施例を説明するものである。
また、補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された請求人のいう限定要件(D)の構成「前記中央監視盤では、メンテナンスデータがファイル転送モードにより転送された場合には、そのデータを識別するだけで前記表示装置に表示する」(以下「(D)の構成」という。)の根拠として請求人が引用した、当初明細書の段落【0067】の記載、段落【0068】の記載も、第1実施例を説明するものである。

4-3.(A)の構成と(D)の構成とを有するビル管理装置について
(A)の構成に関して、当初明細書に、中央監視盤10と設備コントローラ13間でメンテナンスの際にやり取りされる情報が「アクセス対象名」を含んでいることが記載されているとしても、それは、上記4-1の項で述べたように、インターフェース論理モデルである機器モデルを用いて設定、メンテナンスのための情報交換を行う第2実施例についての記載であり、該機器モデルを用いない第1実施例には該当しないものである。
一方、(D)の構成に関して、当初明細書に、(D)の構成を有するビル管理装置が記載されているとしても、それは、上記4-2の項で述べたように、第1実施例についての記載であり、第2実施例においてメンテナンスデータがトランスペアレントなファイル転送モードにより転送されることは記載されていない。
このように、当初明細書に、インターフェース論理モデルである機器モデルを用いて設定、メンテナンスのための情報交換を行うビル管理装置において、メンテナンスデータがトランスペアレントなファイル転送モードにより転送されることは、記載されておらず、自明のことでもない。
したがって、本件補正により補正後の請求項1に記載された(A)の構成と(D)の構成とを有するビル管理装置は、当初明細書に記載されておらず、自明のことでもないので、本件補正は明細書の要旨を変更するものである。

4-4.(A)の構成について
(A)の構成の「アクセス対象名」に関して、当初明細書に、中央監視盤10と設備コントローラ13間でメンテナンスの際にやり取りされる情報が「アクセス対象名」を含んでいることが記載されているとしても、それは、上記4-1の項で述べたように、インターフェース論理モデルである機器モデルを用いて設定、メンテナンスのための情報交換を行う第2実施例についての記載であり、該機器モデルを用いない第1実施例には該当しないものである。
一方、(A)の構成の「メンテナンスデータを格納する格納部」に関して、当初明細書の段落【0074】に、「設備機器の故障等のメンテナンスデータは、一旦ファイル格納部17に格納され、」と記載されているが、それは、上記4-2の項で述べたように、機器モデルを用いない第1実施例についての記載であり、第2実施例において、メンテナンスのためのインターフェース論理モデルである機器モデルでの情報がファイル格納部に格納されていることは記載されていない。第2実施例において、ファイル格納部に格納されている情報は機器モデルでの情報ではなくファイル格納部から引き出された後にインターフェース論理モデルである機器モデルでの情報に変換されるとも考えられ、ファイル格納部に格納されている情報が「アクセス対象名」を含んでいることは不明である。
このように、当初明細書に、設備コントローラのファイル格納部が少なくともアクセス対象名を含んだテキストファイル等によって構成されたメンテナンスデータを格納することは、記載されておらず、自明のことでもない。
したがって、本件補正による補正後の請求項1に記載された(A)の構成は、当初明細書に記載されておらず、自明のことでもないので、この点からも、本件補正は明細書の要旨を変更するものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件補正を特許法第53条第1項の規定により却下する原決定は妥当なものであり、これを取り消す理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-01-23 
結審通知日 2004-02-03 
審決日 2004-02-16 
出願番号 特願平5-300222
審決分類 P 1 7・ 13- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠原 功一  
特許庁審判長 佐藤 伸夫
特許庁審判官 村上 友幸
山本 穂積
発明の名称 ビル管理装置  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 宮田 金雄  
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