• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G01T
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01T
管理番号 1095508
審判番号 不服2002-18827  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-09-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-26 
確定日 2004-04-08 
事件の表示 特願2000-392884「放射線検出器」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月21日出願公開、特開2001-255375〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年6月29日に出願した特願平7-163394号(以下、原出願という)の一部を平成12年12月25日に新たな特許出願としたものであって、平成14年8月20日付で拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月28日付けで手続補正がなされたものである。


2.平成14年10月28日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年10月28日付の手続補正を却下する。
[理由]
上記補正は、

「【特許請求の範囲】
【請求項1】 入射した放射線を光信号に変換する放射線/光変換手段と、
各々が複数の有効画素領域を有し、該有効画素領域に入射した前記光信号を光電変換する複数の検出器パネルとを具備し、
前記複数の検出器パネルは、全ての有効画素領域間の距離が一定となるように並設され、かつ前記複数の有効画素領域に接続される信号読み出しライン、駆動パルスラインが、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部近傍に配置されないようにすることを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】 X軸方向に沿って、前記有効画素領域の一辺の長さをAx、前記有効画素領域の一辺から隣りの有効画素領域の一辺までの長さをDxとするとき、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部の前記X軸方向のマージンを(Dx-Ax)/2とし、
Y軸方向に沿って、前記有効画素領域の一辺の長さをAy、前記有効画素領域の一辺から隣りの有効画素領域の一辺までの長さをDyとするとき、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部の前記Y軸方向のマージンを(Dy-Ay)/2とすることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。」

を、次のように補正するものである。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】 入射した放射線を光信号に変換する放射線/光変換手段と、
各々が複数の有効画素領域を有し、該有効画素領域に入射した前記光信号を光電変換する複数の検出器パネルとを具備し、
前記複数の検出器パネルは、全ての有効画素領域間の距離が一定となるように並設され、かつ前記複数の有効画素領域に接続される信号読み出しライン又は駆動パルスラインのいずれかに接続される外部コネクションを、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部とは異なる辺に配置することを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】 前記信号読み出しライン又は駆動パルスラインの引き回し範囲を、前記接合部に最も近い前記複数の有効画素領域のラインより該接合部に対して反対側とすることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】 X軸方向に沿って、前記有効画素領域の一辺の長さをAx、前記有効画素領域の一辺から隣りの有効画素領域の一辺までの長さをDxとするとき、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部の前記X軸方向のマージンを(Dx-Ax)/2とし、
Y軸方向に沿って、前記有効画素領域の一辺の長さをAy、前記有効画素領域の一辺から隣りの有効画素領域の一辺までの長さをDyとするとき、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部の前記Y軸方向のマージンを(Dy-Ay)/2とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出器。」

そこで、上記請求項1の補正について検討すると、補正後の請求項1は、補正前の請求項1の特定事項である「前記複数の有効画素領域に接続される信号読み出しライン、駆動パルスラインが、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部近傍に配置されないようにする」という構成を有しておらず、また、補正前の請求項2の特定事項である「X軸方向に沿って、前記有効画素領域の一辺の長さをAx、前記有効画素領域の一辺から隣りの有効画素領域の一辺までの長さをDxとするとき、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部の前記X軸方向のマージンを(Dx-Ax)/2とし、Y軸方向に沿って、前記有効画素領域の一辺の長さをAy、前記有効画素領域の一辺から隣りの有効画素領域の一辺までの長さをDyとするとき、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部の前記Y軸方向のマージンを(Dy-Ay)/2とする」という構成も有していない。

したがって、請求項1の補正は、補正前の請求項1の減縮を目的とする補正、あるいは、補正前の請求項2の減縮を目的とする補正のいずれにも該当しない。
さらに、該補正が誤記の訂正、明りようでない記載の釈明のいずれをも目的とするものでもないことも明らかである。
よって、上記補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


3.本願発明について
平成14年10月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許を受けようとする発明は、平成14年3月11日付け手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1には以下のとおり記載されている。

「 【請求項1】 入射した放射線を光信号に変換する放射線/光変換手段と、
各々が複数の有効画素領域を有し、該有効画素領域に入射した前記光信号を光電変換する複数の検出器パネルとを具備し、
前記複数の検出器パネルは、全ての有効画素領域間の距離が一定となるように並設され、かつ前記複数の有効画素領域に接続される信号読み出しライン、駆動パルスラインが、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部近傍に配置されないようにすることを特徴とする放射線検出器。」(以下、「本願発明」という。)


4.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の出願の日前である1993年(平成5年)3月4日に頒布された国際公開第93/04384号パンフレット(以下、「引用刊行物」という。)には、

「x-ray imaging systems(X線イメージングシステム)」に用いる「x-ray sensors(X線センサ)」の構成が、FIG.7と共に、
「As shown in Fig.7 , ・・・sensor arrays 404 mounted directly on the phosphor 402. Each sensor array 404 contains a plurality of pixels 400 interconnected by control and sense lines 430・・・ (図7に示されたように・・・センサアレイ404は蛍光体402に直接配置される。各センサアレイ404はコントロールライン、センスライン430によって結合された多数のピクセル400を含む・・・)」(第10頁第32行〜第38行)と、

また、その有効画素領域間の距離に関しては、
「The sensor arrays 404 are precision machined so that they may be butted together as close as possible forming a gap between neighborring pixels 400 on adjacent arrays no larger than 200 microns. The individual pixels 400 on the sensing arrays 404 are placed on 50 to 100 micron centers with a capacitor size on the order of 25 to 50 microns on a side or thereabout. (センサアレイ404は、隣接するピクセルの間隔が200ミクロンを越えないようにできるだけ近接して突き合わせできるよう、精密に作成される。センサアレイ404上の個々のピクセル400は、中心間隔50から100ミクロンに配置され、キャパシタサイズがおよそ1辺20から50ミクロンのオーダーとなっている。)」(第12頁第36行〜第13頁第4行)

と記載されている。
これらの記載からみて、引用刊行物には以下の発明が記載されているものと認められる。

「蛍光体402と、各々が複数のピクセル400を有する複数のセンサアレイ404とを具備するX線センサ」(以下、「引用刊行物に記載の発明」という。)


5.対比
本願発明と引用刊行物に記載の発明とを対比すると、引用刊行物に記載の発明における「蛍光体402」「各々が複数のピクセル400を有する複数のセンサアレイ404」「X線センサ」が、それぞれ本願発明の「入射した放射線を光信号に変換する放射線/光変換手段」「各々が複数の有効画素領域を有し、該有効画素領域に入射した前記光信号を光電変換する複数の検出器パネル」「放射線検出器」に相当する。したがって両者は

「入射した放射線を光信号に変換する放射線/光変換手段と、
各々が複数の有効画素領域を有し、該有効画素領域に入射した前記光信号を光電変換する複数の検出器パネルとを具備した放射線検出器」

である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:本願発明においては、「複数の検出器パネルは、全ての有効画素領域間の距離が一定となるように並設され」ているのに対し、上記4.に示したように、引用刊行物には隣接する検出器パネル(センサアレイ)の接合部において有効画素領域間の距離を200ミクロンより大きくしないとの記載が認められるものの、該接合部を含めた全ての有効画素領域間の距離が一定となるように並設させることは記載されていない点。

相違点2:本願発明においては、「複数の有効画素領域に接続される信号読み出しライン、駆動パルスラインが、前記複数の検出器パネルを互いに接合する接合部近傍に配置されないようにする」のに対し、引用刊行物にそのような記載はない点。


6.当審の判断
上記相違点について検討する。

相違点1
複数の検出器パネルを配置してイメージセンサを形成する場合、その有効画素領域間の距離を均等化することは、例えば実願平2-47802号(実開平4-8566号)のマイクロフィルムに「同一平面内に複数個の光センサアレイ5を並列に配置して長尺なリニアイメージセンサを形成する場合には、互いに隣接する各光センサアレイ5の各光入射端面2の配列ピッチpを均等化するために・・・基板1を形成する必要がある。」(第3頁下から第2行〜第4頁第8行)と、また特開昭61-49463号公報に「多数個の光電変換要素の両端に位置する光電変換要素の端縁から半導体基板の端縁までの距離が、光電変換要素の離間間隔の2分の1以下に選定された構成となっている。この構成の一次元イメージセンサを複数個隣接させて一次元配置した場合、前段側に配置した一次元イメージセンサの終端部に位置する光電変換要素と、後段側に配置した一次元イメージセンサの始端に位置する光電変換要素との離間間隔が、各一次元イメージセンサ内の光電変換要素間の離間間隔と等しいか、これより小さくなり、解像度に悪影響を及ぼすことのない一次元イメージセンサの一次元配列が可能になる。」(第2頁左上欄第9行〜同右上欄第1行)と記載されているように原出願の出願前にすでに周知であり、引用刊行物に記載の発明において「複数の検出器パネルは、全ての有効画素領域間の距離が一定となるように並設され」るようにすることに困難性は認められない。

相違点2
引用刊行物における上記「Each sensor array 404 contains a plurality of pixels 400 interconnected by control and sense lines 430(各センサアレイ404はコントロールライン、センスライン430によって結合された多数のピクセル400を含む・・・)」なる記載とFIG.1から、引用刊行物に記載の発明において「複数の有効画素領域に接続される信号読み出しライン、駆動パルスライン」が有効画素領域の周囲に配置されていることは明らかである。また、基板上に信号伝送用ラインを作成する際、ラインが配置される場所の周囲に、より広い余裕面積があるほど、ライン作成が容易となるであろうことも明らかである。有効画素領域間の距離が一定となるように検出器パネルを並設すれば、当然にパネル接合部近傍のライン配置可能な面積はその他の領域におけるものの半分以下となること、及び信号読み出しライン、駆動パルスラインをパネル接合部近傍領域に配置せねばならない特段の事情も見出し得ないことを考慮すると、そのような領域に信号読み出しラインや駆動パルスラインが配置されないようにすることは、実施の際に当業者が当然に考慮する設計的事項に過ぎない。


7.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は引用刊行物に記載された発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が特許を受けることができないものであるから、本願特許請求の範囲の請求項2に記載された発明について審究するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-09 
結審通知日 2004-02-10 
審決日 2004-02-23 
出願番号 特願2000-392884(P2000-392884)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G01T)
P 1 8・ 121- Z (G01T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 洋平山口 敦司  
特許庁審判長 西川 一
特許庁審判官 中塚 直樹
樋口 信宏
発明の名称 放射線検出器  
代理人 河野 哲  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 中村 誠  
代理人 坪井 淳  
代理人 村松 貞男  
代理人 河井 将次  
代理人 橋本 良郎  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ