• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B02B
管理番号 1095551
審判番号 不服2001-8031  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-12-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-05-15 
確定日 2004-04-12 
事件の表示 平成 4年特許願第147791号「籾摺選別機」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年12月21日出願公開、特開平 5-337383]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成4年6月9日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は、平成11年5月31日付け手続補正書および平成12年10月30日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりものもと認める。
「【請求項1】 籾摺部A、籾摺部Aでの摺落米を風選する摺落米風選部B、風選後の摺落米を籾・玄米に分離選別する混合米選別部Cを具備する籾摺選別機であって、上記籾摺部Aと風選部Bとを備える左半部と混合米選別部Cの穀粒排出側を手前に構成してなる右半部とに構成し、混合米選別部Cの揺動選別板16、16、…の排出側には玄米仕切板19及び籾仕切板20を設けて玄米,混合米及び籾に仕切る構成とし、このうち玄米は玄米受樋21を混合米は混合米受樋23を夫々経て流下案内される構成とし、下方のラセン軸31に互いに逆方向に設けたラセン翼30によって上記玄米は機外側面に設ける玄米揚穀機3に供給され、上記混合米は機枠の略中央にあって前後方向に沿う摺落米受樋9の摺落米移送ラセン13に供給されるよう構成してなる籾摺選別機。」

2.引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(実公昭39ー21565号公報)には、
「図示のごとく、上方に脱ぷ部Aと、その下方に風選部Bと揺動選穀部Cを配設して一体に構成せる自動籾摺揺動選穀機において、該揺動選穀部Cの後部に横設せる選穀粒移送樋4内に隔壁5を設けて樋4内を二分し、さらに隔壁5に挿通し該樋4と平行に支架回動し得るコンベア軸8を樋4内に位置せしめ、二分せられた樋4内の軸6にそれぞれ異なる方向に旋回せる螺旋13、14を固設して選穀粒を機体1の両側に分送させる選穀粒分送装置。」(実用新案登録請求の範囲)、
「2は風選部Bの下部後方にて機体1に横設せる混合粒移送樋3は混合粒移送樋2の前方に並設せる二番穀粒移送樋であってそれぞれコンベアを内装する。4は揺動選穀部Cの下方後方に横設せる選穀粒移送樋で、該樋4内のほぼ中央部には隔壁5を設けて樋内を二分し左方を混合粒移送側に他方を玄米の移送側とし、該隔壁5の中央にはコンベヤ軸6の挿通穴7を穿設してコンベヤ軸をこの穴7に挿通し、両端部を機体1の両側に支承させて選穀粒移送送樋4内にて回動自在とし、該軸6の両端には機体1の両側に装着せる揚穀機8、9を収蔵する翼車10、11を定着させ、かつ一端を延長して揚穀機9の外側において、コンベヤ軸6を伝動させる調車12を固定する次に隔壁5によつて二分せられた選穀粒移送樋4の左方即ち混合粒移送側には左方向に旋回せる螺旋13を、また右方の玄米移送側には混合粒移送側と異なる右旋回の螺旋14をそれぞれ該軸6に固設する。従って、脱ぷ部Aに供給される籾は脱ぷ・風選され玄米・籾の混合粒は風選部Bの下部後方に横設せる混合粒移送樋2内に落下し、二番穀粒は二番穀粒移送樋3に流入する。しかしてコンベヤによつて両樋2、3内の穀粒は機体1の側方に移送され混合粒は連通管15内を経て選穀粒移送樋4の混合粒移送側に落下し、二番穀粒は機外に取出される。一方揺動選穀部Cの摺米漏斗16により数段に配設せる選穀板17上に等配供給される混合粒は揺動選別作用によつて籾・玄米と籾・玄米の三種に分離され選穀板17の後端より落下することとなるこの際、籾は籾受樋18によつて籾揚穀機19に移送され、籾と玄米の混合粒は選穀粒移送樋4の混合粒移送側に、玄米は他方の玄米移送側にそれぞれ流入し、調車12の回動によつてコンベヤ軸6は回転し異なる方向に旋回せる螺旋13、14により該樋4の混合粒移送側に存在する混合粒は機体の左方に移送され連通管15を経て落下する混合粒と合流し揚穀機8によつて揺動選穀部Cに還元されると共に玄米移送側に流入する玄米は右方に移送され揚穀機9により機外に取出される。」(1頁左欄下から11行〜右欄29行)と記載されている。(なお、上記「脱ぷ部」の「ぷ」は、公報では漢字で記載されているが、ひらながに置き換えた。)
上記記載を総合すると、刊行物1には、「脱ぷ部A、脱ぷ部Aでの脱ぷした米を風選する風選部B、風選後の脱ぷした米を籾・玄米に分離選別する揺動選穀部Cを具備する自動籾摺揺動選穀機であって、揺動選穀部Cの選穀板17の排出側で玄米,玄米と籾の混合粒及び籾に仕切る構成とし、このうち玄米は選穀粒移送樋4の玄米移送側に、玄米と籾の混合粒は選穀粒移送樋4の混合粒移送側に流下案内される構成とし、揺動選穀部Cの下方のコンベヤ軸6により回転し異なる方向に旋回せる螺旋13、14により上記玄米は選穀粒移送樋4の右方に移送され機外側面に設ける玄米揚穀機9に供給され、上記混合粒は選穀粒移送樋4の左方に移送され選穀粒移送樋4の混合粒移送側に落下した脱ぷ米と合流されるよう構成してなる自動籾摺揺動選穀機。」が記載されているものと認められる。

3.対比・判断
本願発明と刊行物1に記載の発明を対比すると、刊行物1の「脱ぷ部A」、「脱ぷした米」、「風選部B」、「揺動選穀部C」、「選穀板17」、「玄米と籾の混合粒」、「コンベヤ軸6」、「螺旋13、14」は、本願発明の「籾摺部A」、「籾摺米」、「摺落米風選部B」、「混合米選別部C」、「揺動選別板16」、「混合米」、「ラセン軸31」、「ラセン翼30」に相当し、本願発明の「混合米は機枠の略中央にあって前後方向に沿う摺落米受樋9の摺落米移送ラセン13に供給されるよう構成し」とは、混合米を混合米選別部Cに還元する前に籾摺米と合流させるためのものであるから、両者は、「籾摺部、籾摺部での摺落米を風選する摺落米風選部、風選後の摺落米を籾・玄米に分離選別する混合米選別部を具備する籾摺選別機であって、混合米選別部の揺動選別板の排出側で玄米,混合米及び籾に仕切る構成とし、下方のラセン軸に互いに逆方向に設けたラセン翼によって上記玄米は機外側面に設ける玄米揚穀機3に供給され、上記混合米は摺落米と合流するよう構成してなる籾摺選別機。」である点で一致するが、下記の点で相違する。
(1)籾摺部、風選部及び混合米選別部の配置が、本願発明では、籾摺部と風選部とを備える左半部と混合米選別部の穀粒排出側を手前に構成してなる右半部とに構成しているのに対し、刊行物1に記載の発明では、上方に籾摺部、下方に風選部と混合米選別部を配置している点。
(2)揺動選別板の排出側の構成を、本願発明では、揺動選別板の排出側には玄米仕切板及び籾仕切板を設けて玄米,混合米及び籾に仕切る構成とし、このうち玄米は玄米受樋を混合米は混合米受樋を夫々経て流下案内される構成としているのに対し、刊行物1に記載の発明では、このような構成としていない点。
(3)摺落米と混合米とを合流する構成を、本願発明では、混合米は機枠の略中央にあって前後方向に沿う摺落米受樋の摺落米移送ラセンに供給されるよう構成しているのに対し、刊行物1に記載の発明では、選穀粒移送樋の混合粒移送側で合流するように構成している点。

上記相違点について検討する。
(1)については、籾摺選別機において、籾摺部と風選部とを備える左半部と混合米選別部の穀粒排出側を手前に構成してなる右半部とに構成することは、拒絶査定において、周知例として挙げられた、特開平3ー47541号公報、実願昭54ー182106号(実開昭56-98377号)のマイクロフィルム、本願明細書において引用している特公昭61ー11678号公報の図面に記載のように周知であるから、刊行物1に記載の発明においても、上記のような配列をすることは、当業者が容易になし得るものである。
(2)については、籾摺選別機において、揺動選別板の排出側には玄米仕切板及び籾仕切板を設けて玄米,混合米及び籾に仕切る構成とし、このうち玄米は玄米受樋を混合米は混合米受樋を夫々経て流下案内される構成とすることは、上記特開平3ー47541号公報、特公昭61ー11678号公報に記載のように周知であるから、刊行物1に記載の発明においても、揺動選別板の排出側の構成として上記周知の構成を用いることは当業者が容易になし得るものである。
(3)については、摺落米と混合米とを合流させる構成を、混合米を機枠の略中央にあって前後方向に沿う摺落米受樋の摺落米移送ラセンに供給するように構成することは、上記特公昭61ー11678号公報に記載のように周知であるから、刊行物1に記載の発明においても、混合米と籾摺米との合流に際し、上記周知の構成を用いることは当業者が容易になし得るものである。
そして、本願発明の効果も、刊行物1に記載の発明及び周知技術から容易に予測し得るものであって格別顕著なものとは認められない。

4.むすび
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-12-19 
結審通知日 2004-01-20 
審決日 2004-02-02 
出願番号 特願平4-147791
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔一ノ瀬 薫  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 鈴木 寛治
白樫 泰子
発明の名称 籾摺選別機  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ