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審決分類 |
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G01R 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G01R 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G01R 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01R 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G01R |
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管理番号 | 1095588 |
審判番号 | 不服2001-8171 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-06-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-05-17 |
確定日 | 2004-04-16 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第282065号「電子回路基板のテスト装置およびテスト装置用治具」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 6月 7日出願公開、特開平 8-146089]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成6年11月16日に特許出願されたものであり、平成13年4月10日付で拒絶査定(同月17日発送)がされ、これに対して同年5月17日に審判が請求されるとともに、同年6月18日付で手続補正がなされたものである。 第2.平成13年6月18日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成13年6月18日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲に請求項6、すなわち、 「テスト対象である回路基板を支持する支持部と、前記回路基板に接続されるための複数の端子と、前記端子から前記回路基板にテスト用の入力信号を入力し、前記回路基板からの出力信号を前記端子から受け取って検出するテスト回路と、前記回路基板と前記複数の端子とを電気的に接続するためのテスト治具とを有し、 該テスト治具は、前記回路基板と前記複数の端子とを電気的に接続するための複数のインタフェースピンと、前記回路基板よりも前記複数の端子側に配置され、該複数のインタフェースピンを支持する板状部材とを有し、 前記板状部材は、主平面の大きさが前記回路基板よりも大きく、前記回路基板の主平面と対向する第1領域と、前記第1領域を四方向から取り囲む第2領域とを有し、 前記複数のインタフェースピンは、前記第2の領域に配置され、該第2領域の前記複数のインタフェースピンは、前記第1領域の前記四方向の各縁に沿って列を成して並べられ、前記列は、前記四方向の各縁ごとに少なくとも2列形成されていることを特徴とするテスト治具。」 を追加する補正を含むものである。 (2)当審の判断 この補正は、本件補正前の請求項1ないし5に加えて、新たな請求項6を設けるものであるから請求項を増加する補正である。 そして、この増加した請求項は、引用形式で記載された請求項を独立形式の請求項に変更するのに伴いやむを得ず請求項数を増やし表現したものでも、上位の請求項の削除に伴いやむを得ず請求項数を増やし表現したものでもない。 したがって、この補正は、特許請求の範囲の減縮に該当せず、また、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明にもあたらない。 (3)むすび 以上の通り、本件補正は、特許法第17条の2第3項の各号のいずれの規定にも該当するものではなく、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 第3.本願発明について 1.本願請求項に係る発明 平成13年6月18日付の手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成11年6月30日提出、及び、平成12年8月28日提出の手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、平成12年8月28日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「テスト領域を有するプリント回路基板と該プリント回路基板の状態をテストする端子を含むテスタとの間に配置され、前記テスタの端子と前記プリント回路基板とを電気的に接続するインタフェースピンを有するテスト治具であって、 前記インタフェースピンは、テストをするために接続される状態において、前記プリント基板のテスト領域の外側の、該テスト領域の四方を囲む位置に、複数列存在し、かつ、前記複数列のインタフェースピンのそれぞれは、前記テスタに対向する側に、前記テスタの端子と結線するための信号線を接続する接続部を有することを特徴とするテスト治具。」 2.原査定の理由の要点 本願発明は、本願の出願日前に頒布された以下の刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 刊行物1 実願昭61-119235号(実開昭63-25381号) のマイクロフィルム 3.引用刊行物に記載された発明 刊行物1には以下の記載がある。 (1)「〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動試験機のテストヘッド等多端子の任意の配線が必要な接続器に関する。 自動試験機の対象である電子機器は、益々多様化、微細化している。これに伴い、プリント板の自動試験機のテストヘッドは、必要数量と、単価とも増大している。」(第2頁第4ないし10行) (2)「第2図は本考案の一実施例を説明する図である。なお、全図を通じて同一部分には同一符号を付している。 第2図において、A'は接続器で、これは試験機8のコネクタ端子9と、被接続対象物(被試験物)3の導体部4を接続するものである。1は従来と同じようにブロック2に植え込まれたプローブピンで、ブロック2の表側で被試験物3の導体部4と接続する。11はブロック6に植え込まれた本考案の接続端子で、プローブピン1の外周において試験機8の接続端子9と接続する。プローブピン1と接続端子11は配線7で接続される。」(第5頁第10行ないし第6頁第2行) (3)「本考案が特に効果を持つのは、自動試験装置のテストヘッドのように、試験対象物に合わせて数多い種類のテストヘッドが必要で、かつ端子数が数千〜数万といった多端子の場合である。」(第6頁第17行ないし20行) (4)図2からは、被試験物3の外側の、被試験物3の左右の位置にあるブロック6に対向してコネクタ端子9が植え込まれた試験機8が見て取れる。 ここで、図2には、試験機8のコネクタ端子9の各々の接続部から図面下方に延びる配線が描かれている。自動試験機は、試験信号の印加/検出により試験を行う機器であるから、この配線によって、コネクタ端子9の接続部と図面下方に対向する非図示の自動試験機の試験信号印加/検出端子とが結線されていることは、記載されているに等しい。 したがって、刊行物1には、以下の発明が記載されている(以下、「刊行物1に記載された発明」という。)。 「被試験物3と被試験物3の状態を試験する端子を含む自動試験機との間に配置され、前記自動試験機の端子と前記被試験物3とを電気的に接続するコネクタ端子9を有する試験機8であって、 前記コネクタ端子9は、テストをするために接続される状態において、前記被試験物3の外側の、該被試験物3の左右の位置に複数個存在し、かつ、前記複数のコネクタ端子9のそれぞれは、前記自動試験機に対向する側に、前記自動試験機の端子と結線するための配線を接続する接続部を有する試験機8」 4.対比 本願発明と刊行物1に記載された発明を対比すると以下のとおりである。 (ア)刊行物1に記載された発明の、被試験物3は、摘記事項(1)及び各図の形状を考慮すれば、明らかにテスト領域を有するプリント回路基板である。 (イ)摘記事項(3)の記載を考慮すれば、図2は概略図に過ぎず、実際には多数のコネクタ端子9が植え込まれていることが理解できる。 (ウ)刊行物1に記載された発明の「試験」、「自動試験機」、「コネクタ端子9」、「配線」及び「試験機8」は、それぞれ、「テスト」、「テスタ」、「インタフェースピン」、「信号線」及び「テスト治具」に相当する。 したがって、本願発明と刊行物1に記載された発明とは、「テスト領域を有するプリント回路基板と該プリント回路基板の状態をテストする端子を含むテスタとの間に配置され、前記テスタの端子と前記プリント回路基板とを電気的に接続するインタフェースピンを有するテスト治具であって、 前記インタフェースピンは、テストをするために接続される状態において、前記プリント基板のテスト領域の外側の、該テスト領域の少なくとも左右の位置に、複数存在し、かつ、前記複数のインタフェースピンのそれぞれは、前記テスタに対向する側に、前記テスタの端子と結線するための信号線を接続する接続部を有することを特徴とするテスト治具。」の点で一致し、他方、以下の点において相違する。 (相違点1) 本願発明のインタフェースピンは、「テスト領域の四方を囲む位置に、複数列存在」するのに対して、刊行物1に記載された発明のインタフェースピンはテスト領域を有するプリント回路基板の左右の位置に複数個存在するものの、テスト領域の四方を囲む位置に、複数列存在するか否かは明記されていない。 5.判断 回路基板を多数の端子に接続する技術において、端子を接続対象の四方を囲む位置に複数列配置することは、例えば、特開平1-165969号公報、特開平5-218150号公報、特開平2-17453号公報に記載されるように、周知といえる。 そして、刊行物1に記載された発明の端子数も多いことを考慮すれば、刊行物1に記載された発明において、左右の位置のみならず、テスト領域の四方を囲む位置に、複数列存在するようにインタフェースピンを配置することは、当業者における通常の創意工夫の範囲内の事項である。 また、本願発明の作用効果は、刊行物1に記載された発明及び周知技術から予測しうるものであって、格別のものと言うことは出来ない。 なお、請求人は審判請求書において、「本願の請求項1の発明は、以下のように表すことができる。 (a)テスト対象である回路基板と、該回路基板をテストするテスタの複数の端子とを電気的に接続するためのテスト治具であって、 (b)該テスト治具は、前記回路基板と前記複数の端子とを電気的に接続するための複数のインタフェースピンと、前記回路基板よりも前記複数の端子側に配置され、前記複数のインタフェースピンを支持する板状部材とを有し、 (c)前記板状部材は、主平面の大きさが前記回路基板よりも大きく、前記回路基板の主平面と対向する第1領域と、前記第1領域を四方向から取り囲む第2領域とを有し、 (d)前記複数のインタフェースピンは、前記第2の領域に配置され、 (e)前記第2領域の前記複数のインタフェースピンは、前記第1領域の縁に沿って、前記第1領域を少なくとも2重に取り囲むように配列されていることを特徴とするテスト治具。 本発明の目的は、高密度に回路が集積されたプリント回路基板をテストする際に用いるテスト治具であって、プローブや中継ピンを追加する作業の作業性がよく、低コストで短時間に作製することのできるテスト治具を提供することにある。・・・引例1と、本願の請求項1の構成とを比較すると、発明の対象が、回路基板をテストする際に用いられるテスト治具であるという点で両者は共通している。また、引例1の接続端子11が、本願の請求項1のインタフェースピンに相当し、引例1の接続端子11が板状部材6に支持されている点で、本願の請求項1と共通している。よって、本願の請求項1の構成要件(a)ー(e)のうち構成要件(a)、(b)が、引例1に記載されていると認める。 しかしながら、・・・本願の請求項1の構成要件(c)のように、板状部材が回路基板を四方向から取り囲む第2領域を有することや、同(d)のようにインタフェースピンを第2の領域に配置することや、同(e)のようにインタフェースピンが、回路基板と対向する第1の領域の縁に沿って少なくとも2重に配置されているという構成は、引例1には全く開示されていない。・・・引例1では、左右に分かれて縦並びの2本ずつの接続端子11しか開示されていない以上、テスト領域を囲む複数列を形成していると解釈するのには無理があると思われる。・・・本願の請求項1のテスト治具では、上述したように隣接する信号線の誘導雑音を減らすという効果が得られるが、引例1では、信号線の配置が不明であるので、このような効果は得られない。・・・よって、本願の請求項1の発明は、引例1に基づいて容易に発明できたものではなく、特許法第29条第2項には該当しない。」と主張している。 この主張について検討すると、以下のとおりである。 (ア)請求人は刊行物1記載の接続端子11を本願発明のインタフェースピンに対応付けて主張しているが、前述したように、刊行物1記載のコネクタ端子9は非図示の自動試験機に結線されていると解されるのであるから、刊行物1記載のコネクタ端子9を本願発明のインタフェースピンに対応するものと認定すべきものである。したがって、刊行物1には「四方を囲む位置に複数列」という点を除き、審判請求書において請求人が摘記した(a)(b)のみならず(c)(d)(e)の構成も記載されている。 また、仮に、請求人の主張通り刊行物1記載の接続端子11と本願発明のインターフェースピンとを対応付けて対比判断したとしても、以下のとおりである。 つまり、本願発明と刊行物1に記載された発明を対比すると、本願発明は、少なくとも2重に四方向から取り囲むように配列されたインタフェースピンおよびそれを支持する板状部材を有するのに対し、刊行物1に記載された発明はこの構成を有さない点で、両者は相違する。 しかしながら、回路基板を多数の端子に接続する技術において、少なくとも2重に四方向から取り囲むように配列されたインタフェースピンおよびそれを支持する板状部材の構成は、5.で例示した刊行物にも記載され、周知といえる。 そして、刊行物1に記載された発明の端子数も多いことを考慮すれば、刊行物1に記載された発明において、少なくとも2重に四方向から取り囲むように配列されたインタフェースピンおよびそれを支持する板状部材の構成を採ることは、当業者における通常の創意工夫の範囲内の事項である。 (イ)「引例1では、左右に分かれて縦並びの2本ずつの接続端子11しか開示されていない以上、テスト領域を囲む複数列を形成していると解釈するのには無理がある」という主張は、刊行物1の摘記事項(3)の記載や、プリント板試験装置における一般的な端子数(必要ならば、特開昭62-75358号公報、特開昭60-64271号公報、実願昭57-29648号(実開昭58-134776号)のマイクロフィルムを参照。)と相容れないものであり、採用できない。 (ウ)「本願の請求項1のテスト治具では、上述したように隣接する信号線の誘導雑音を減らすという効果が得られる」という主張は、請求項1において(補正前も後も)信号線(420)に関する記載が無く、採用できない。 (以上(ア)ないし(ウ)に概略記載したとおり、仮に平成13年6月18日付の手続補正を認めて補正後の請求項1に係る発明について検討したとしても、結論においては相違しない。) 6.結論 以上のとおり、本願発明は刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の他の請求項について審究するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-01-19 |
結審通知日 | 2004-01-27 |
審決日 | 2004-02-09 |
出願番号 | 特願平6-282065 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01R)
P 1 8・ 574- Z (G01R) P 1 8・ 573- Z (G01R) P 1 8・ 572- Z (G01R) P 1 8・ 571- Z (G01R) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中塚 直樹 |
特許庁審判長 |
西川 一 |
特許庁審判官 |
三輪 学 樋口 信宏 |
発明の名称 | 電子回路基板のテスト装置およびテスト装置用治具 |
代理人 | 三品 岩男 |