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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B02C
管理番号 1095596
審判番号 不服2001-12628  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-19 
確定日 2004-04-15 
事件の表示 平成10年特許願第308785号「自走式破砕機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 7月27日出願公開、特開平11-197534〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】本願発明
本願は、平成3年10月29日に出願した特願平3-347564号の一部を平成10年10月29日に新たな出願としたものであって、その請求項1、2に係る発明は、平成12年11月1日及び平成13年1月29日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 破砕原料を破砕する自走式破砕機において、フレームと、このフレームに設けた無限軌道形の走行手段と、前記フレームの長手方向のほぼ中心部に設けた破砕装置と、その内側端が前記走行手段の一方側近傍に、その外側端が前記走行手段の一方側より突出するように前記フレームの長手方向の一方側に設けたホッパと、前記走行手段の他方側より突出するように前記フレームの他方側に配置したエンジンと、前記ホッパの下方と前記破砕装置との間に設けた選別機能付きフィーダと、一方側が前記破砕装置の下方に、他方側が前記エンジン側に延在するように前記フレームに設けた第1のコンベヤと、一方側が前記走行手段の一方側上における前記フィーダ下方に、他方側がフレームの短手方向に延在するように前記フレームに設けた第2のコンベヤとを備えたことを特徴とする自走式破砕機。
【請求項2】 前記フィーダ下方と前記第2のコンベヤの一方側との間に、前記フィーダにより選別された所定粒度以下のものを前記第2のコンベヤに導くためのシュートを設けたことを特徴とする請求項1記載の自走式破砕機。」

【2】引用例の記載事項
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用した米国特許第3,203,632号明細書(以下、「引用例1」という。)、欧州特許出願公開第306730号明細書(以下、「引用例2」という。)には、次のような技術的事項が記載されている。
・引用例1;
引用例1の記載からみて、図1〜5の構成部品に付与された次の数字は、それぞれ、以下の事項を表すものである。
「10…移送可能な砕石プラント、11…主フレーム、12…車輪(及び車軸)、13…トラクタ、15…砕石機、20…原動機、23…昇コンベヤ、30…グリズリー又は振動篩、36…搬出用コンベヤ、49…貯蔵箱、50…エプロン状フィーダ」
そして、図1において、トラクタ13のある側を前方向とすると、図1〜5(特に、図1、図4)の記載等からみて、引用例1には、
「トラクタ13により運搬される破砕原料を破砕する移送可能な砕石プラント10において、
主フレーム11と、
この主フレーム11に設けた走行のための車輪12、12と、
前記主フレーム11の前後方向のほぼ中心部に設けた砕石機15と、
その内側端が後側の車輪12近傍に、その外側端が後側の車輪12より突出するように前記主フレーム11の前後方向の後側に設けた貯蔵箱49と、
前側の車輪12より後側で前記主フレーム11の前側に配置した原動機20と、
前記貯蔵箱49の下方に設けたエプロン状フィーダ50と、前記貯蔵箱49と砕石機15との間に設けたグリズリー又は振動篩30と、
一方側が前記砕石機15の下方に、他方側が前記原動機20側に延在するように前記主フレーム11に設けた昇コンベヤ23と、
一方側が前記グリズリー又は振動篩30の下方に、他方側が主フレーム11の幅方向に延在するように前記主フレーム11に設けた搬出用コンベヤ36と
を備えた移送可能な砕石プラント10」、
という発明が記載されているものと認められる。
・引用例2;
引用例2の記載からみて、図3の構成部品に付与された次の数字は、それぞれ、以下の事項を表すものである。
「103…無限軌道走行装置、104…車台、105…ホッパ、108…衝撃破砕機、113…ベルトコンベヤ、115…原動機ハウジング、131…中間篩装置」
また、第7欄第28〜35行には、「原動機ハウジング115は、………ディーゼル機関及びこのディーゼル機関により駆動されるポンプを保有し、そのポンプに全ての駆動源(無限軌道走行装置の駆動源及び流体装置のシリンダを含む)が接続されている」と記載されているから、引用例2の図3に示されるものが、「無限軌道形の走行手段を備えた自走式破砕機」であることが、看取できる。
それゆえ、図3に示される原動機ハウジング115のある側を「車台104の長手方向の他方側」及び「無限軌道走行装置103の他方側」、ホッパ105のある側を「車台104の長手方向の一方側」及び「無限軌道走行装置103の一方側」とすると、引用例2の図3には、
「車台104と、この車台に設けた無限軌道形の走行手段と、前記車台に設けた衝撃破砕機108と、その内側端が前記走行手段の一方側近傍に、その外側端が前記走行手段の一方側より突出するように前記車台の長手方向の一方側に設けたホッパ105と、前記走行手段の他方側より突出するように前記車台の他方側に配置したディーゼル機関(エンジン)とを備えた自走式破砕機」、
という発明が記載されているものと認められる。

【3】対比・判断
(対比)
そこで、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と上記引用例1記載の発明とを対比すると、
後者の「砕石プラント10」は、前者の「破砕機」に相当し、以下、それぞれ、「主フレーム11」は「フレーム」に、「砕石機15」は「破砕装置」に、「貯蔵箱49」は「ホッパ」に、「グリズリー又は振動篩30」は「選別機能付きフィーダ」に、「昇コンベヤ23」 は「第1のコンベヤ」に、「搬出用コンベヤ36」は「第2のコンベヤ」に、相当する。
また、後者の「主フレーム11の前後方向、幅方向」は、前者の「フレームの長手方向、短手方向」に、後者の「主フレーム11の前後方向の前側、後側」は、前者の「フレームの長手方向の他方側、一方側」に、それぞれ相当する。
そして、後者の「原動機20」は、破砕装置等の各機器を駆動する限りにおいて、前者の「エンジン」に相当し、前者の「選別機能付きフィーダ」は、ホッパと破砕装置との間に設けたものである点で、後者と一致する。
したがって、両者は、
「破砕原料を破砕する破砕機において、フレームと、前記フレームの長手方向のほぼ中心部に設けた破砕装置と、前記フレームの長手方向の一方側に設けたホッパと、前記フレームの他方側に配置したエンジンと、前記ホッパと前記破砕装置との間に設けた選別機能付きフィーダと、一方側が前記破砕装置の下方に、他方側が前記エンジン側に延在するように前記フレームに設けた第1のコンベヤと、一方側が前記フィーダ下方に、他方側がフレームの短手方向に延在するように前記フレームに設けた第2のコンベヤとを備えた破砕機」、
で一致し、以下の点(イ)〜(ホ)で相違する。
(相違点)
(イ)本願発明1は、フレームに無限軌道形の走行手段を設けた自走式破砕機であるのに対し、引用例1記載の発明は、トラクタ13により運搬される破砕機であり、フレーム11には走行のための車輪12、12が設けられているものである点。
(ロ)本願発明1のホッパは、その内側端が走行手段の一方側近傍に、その外側端が走行手段の一方側より突出するように設けられているのに対し、引用例1記載の発明は、その内側端が後側の車輪12近傍に、その外側端が後側の車輪12より突出するように設けられている点。
(ハ)本願発明1のエンジンは、走行手段の他方側より突出するように配置されるのに対し、引用例1記載の発明は、走行手段を備えていないために、そのように特定されていない点。
(ニ)本願発明1のフィーダは、ホッパの下方と前記破砕装置との間に設けた選別機能付きフィーダであるのに対し、引用例1記載の発明は、ホッパの下方にフィーダ50を設けると共に、ホッパと破砕装置との間に前記フィーダ50とは別に、選別機能付きフィーダ30を設けている点。
(ホ)本願発明1の第2のコンベヤの一方側は、走行手段の一方側上におけるフィーダ下方に設けられているのに対し、引用例1記載の発明は、単にフィーダ下方に設けられている点。
以下、前記各相違点(イ)〜(ホ)について検討する。
(相違点の検討)
・相違点(イ)について;
フレームに無限軌道形の走行手段を設けた自走式破砕機は、例えば、実願昭52-163001号(実開昭54-87483号)のマイクロフィルム、上記引用例2、等に記載されるように、本願出願前、当業者にとって周知の事項にすぎないので、引用例1記載の発明に当該周知事項を適用し、もって、引用例1記載の発明を、フレームに無限軌道形の走行手段を設けた自走式破砕機とすることは、当業者ならば容易になし得るものと認められる。
・相違点(ロ)について;
相違点(イ)で述べたように、引用例1記載の発明を、フレームに無限軌道形の走行手段を設けた自走式破砕機とすることは、当業者が容易になし得るものにすぎない。
そして、引用例1記載の発明のホッパは、その外側端がフレームの長手方向一方側端部より突出しているから、引用例1記載の発明に上記周知事項を適用すれば、引用例1記載の発明のホッパは、必然的に、相違点(ロ)における本願発明1のような構成になるものと認められる。
しかも、引用例2には、「その内側端が無限軌道形の走行手段の一方側近傍に、その外側端が無限軌道形の走行手段の一方側より突出するように設けたホッパ」が記載されているから、引用例1記載の発明に引用例2記載の発明を適用し、もって、引用例1記載の発明のホッパを、相違点(ロ)における本願発明1のような構成にすることは、当業者が容易になし得るものと認められる。。
したがって、相違点(ロ)は、当業者が容易になし得る程度のものにすぎない。
・相違点(ハ)について;
引用例2記載の発明の「車台104」は、本願発明1の「フレーム」に相当するから、引用例2には、自走式破砕機において、無限軌道形の走行手段の他方側より突出するようにフレームの他方側にエンジンを配置することが記載されているものと認められる。
そして、引用例1記載の発明に引用例2記載の発明を適用し、もって、フレームの他方側に配置したエンジンを、走行手段の他方側より突出させるように配置することは、引用例1、2記載の発明が同一の技術分野に属する発明であり、しかも、当該適用を妨げるような特段の事情が存在するものとも認められない以上、当業者が容易になし得る程度にすぎないものと認められる。
・相違点(ニ)について;
ホッパの下方と破砕装置との間に選別機能付きフィーダを設けることは、例えば、特開昭60-139347号公報、等に記載されるように、本願出願前、当業者にとって周知の事項にすぎない。
したがって、引用例1記載の発明に当該周知事項を適用し、もって、相違点(ニ)における本願発明1のような構成にすることは、当業者が容易になし得るものと認められる。
・相違点(ホ)について;
相違点(イ)で述べたように、引用例1記載の発明を、フレームに無限軌道形の走行手段を設けた自走式破砕機とすることは、当業者が容易になし得るものにすぎない。
そして、この時、引用例1記載の発明のフィーダは、必然的に、無限軌道形の走行手段の一方側に配置されることになるから、引用例1記載の発明の第2のコンベヤの一方側は、走行手段の一方側上におけるフィーダ下方に設けられることになるものと認められる。
したがって、相違点(ホ)は、当業者が容易になし得る程度のものにすぎない。
(効果について)
そして、本願発明1の構成によってもたらされる効果も、引用例1、2記載の発明及び上記2つの周知事項から当業者であれば当然予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

【4】むすび
以上のとおりであって、本願発明1は、引用例1及び2記載の発明及び上記2つの周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-10 
結審通知日 2004-02-17 
審決日 2004-03-01 
出願番号 特願平10-308785
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 黒石 孝志  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 清田 栄章
亀井 孝志
発明の名称 自走式破砕機  
代理人 春日 讓  
代理人 春日 讓  
代理人 益田 博文  
代理人 益田 博文  

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