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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B21D
管理番号 1095752
審判番号 不服2002-16369  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-08-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-28 
確定日 2004-04-23 
事件の表示 平成 5年特許願第 8205号「トランスファフィーダ」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 8月 9日出願公開、特開平 6-218458〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理由
第1 手続の経緯・本件発明
本件出願は、平成5年1月21日に特許出願がされたものであって、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、平成15年12月5日付手続補正書により補正がされた明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものであると認める。
「複数のスライド2毎にクラウン1cを分割して、これらクラウン1c内に上記スライド2を駆動するスライド駆動機構3を収容したモジュールタイプのトランスファプレスにおいて、
上記トランスファプレスのプレス本体1上部に、リフト駆動機構16と、上流側に位置するクラウン1cに内装されたカムにより駆動されるフィード駆動機構20を設け、
上記プレス本体1内にワーク搬送方向Aに並設されたリフトビーム8は、上記各スライド2の間に配置され、かつ下端を上記リフトビーム8に固定された複数のリフト杆14を介して上記リフト駆動機構16によって上方より吊り下げられ、
上記リフト駆動機構16は、上記プレス本体1上部に取付けたサーボモータ17と、このサーボモータ17で回転されるピニオン18と、このピニオン18と噛合しワーク搬送方向Aに移動自在に支承されたリフトラック12と、このリフトラック12と上記リフト杆14の双方に噛合したピニオン13を備え、そのサーボモータ17を駆動源として上記リフトビーム8をリフト方向へ駆動する構成とし、
上記リフトビーム8にクロスバー10の横架された複数のクロスバーキャリア9をワーク搬送方向Aへ移動自在に支承し、かつこれらクロスバーキャリア9を上記フィード駆動機構20によりフィードレバー26を介してフィード方向へ駆動してなるトランスファフィーダ。」

第2 引用例記載事項
1 当審における拒絶の理由に引用した本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願平2-22484号(実開平3-116228号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されていると認める。
(1) 明細書第5頁末行-第6頁第7行
「第1図および第2図に示されるトランスファプレスは、ベッド10を備え、このベッド10の左右(第2図では上下)両側に複数のアプライト12が立設されており、このアプライト12の上端にクラウン14が固定されている。このクラウン14の下方にはスライダ16が設けられ、このスライダ16の下部には上金型18が取付けられている。」
(2) 明細書第7頁第4行-第13頁第17行
「次に、このトランスファプレスのワーク搬送装置を説明する。
各下金型26の左右両側の直上方の位置には、ワーク20の送り方向に延びるリフトバー(リフト部材)28が配設されている。各リフトバー28の上面には、上下方向に延びる複数本の吊下げ部材29の下端が固定されており、これらの吊下げ部材29を介して各リフトバー28が後述のリフトバー支持機構(リフト部材支持機構)30により吊下げ状態で支持されている。
第3図および第4図に示されるように、各リフトバー28の下面には、このリフトバー28に沿って延びるフィードバー(送り部材)32が、上記リフトバー28に対してワーク20の送り方向にスライド可能に取付けられている。詳しくは、上記リフトバー28の下面に、ワーク20の送り方向に延びるガイドレール34が設けられるとともに、フィードバー32の上面に、上向きに開口するアリ溝状のスライド部材36が設けられ、このスライド部材36が上記ガイドレール34に嵌合されており、このスライド部材36がフィードバー32と一体にガイドレール34に沿ってスライド可能となっている。
両フィードバー32の間には、トランスファプレスの左右方向に延びる複数本(図では5本)のクロスバー(送り部材を構成)38が設けられている。これらのクロスバー38は、上記下金型26と同じピッチで設けられ、その両端が各フィードバー32の内側面に固定されている。各クロスバー38には、ワーク20が吸脱着可能な吸盤(ワーク保持部)39が配設されている。
次に、上記リフトバー支持機構30を第3図および第4図を併せて参照しながら説明する。なお、第3図はリフトバー支持機構30をトランスファプレスの内側から見た状態を示したものである。
各アプライト12の間には、ワーク20の送り方向に支持ばり40が設けられ、各支持ばり40の内側面に上記吊下げ部材29と同数の支持ハウジング42が固定されている。そして、各支持ハウジング42を上記吊下げ部材29が上下方向に貫通した状態で、この吊下げ部材29が軸受43を介して昇降可能に支持ハウジング42に支持されている。また、各吊下げ部材29の所定領域にはラック部291が設けられている。
一方、トランスファプレスの左右両側にはワーク20の送り方向に延びる水平ラック44が配され、両水平ラック44は各支持ハウジング42を水平方向に貫通している。
これに対し、各支持ハウジング42内には、水平でかつトランスファプレスの幅方向に延びる伝動軸46が設けられ、この伝動軸46の両端は、支持ハウジング40内に設けられた軸受47,48によって回転可能に支持されている。この伝動軸46には2つのピニオンギヤ50,52が固定されており、一方のピニオンギヤ50が上記ラック部291に、他方のピニオンギヤ52が上記水平ラック44に噛合されている。
従って、上記水平ラック44が水平方向に駆動されることにより、その駆動力がピニオンギヤ52、伝動軸46、およびピニオンギヤ50を順次介してラック部291に伝達され、これによって吊下げ部材29、リフトバー28、フィードバー32等が一体に昇降する。
次に、上記水平ラック44およびフィードバー32の駆動装置(送り駆動手段および昇降駆動手段を構成)60を第5図に基づいて説明する。
この駆動装置60は、ハウジング62を備え、このハウジング62は上記ベッド10よりもワーク搬送方向上流側の位置に設置されている。
このハウジング62内には、2つの揺動アーム64,65が略水平方向および略鉛直方向に各々配されている。両揺動アーム64,65は、各々回動軸67,68を中心に揺動可能にハウジング62に取付けられており、それぞれの中間部位にはカムフォロア70,71が設けられている。
揺動アーム64の回動端部には、リンク部材73を介して、上下方向に延びる鉛直ラック74の下端部が連結されており、この鉛直ラック74は、アプライト12に固定された保持部材76によって上下方向にスライド可能に取付けられている。
同じアプライト12には支持板78が固定され、この支持板78には、上記支持ハウジング42と同様に、2枚のピニオンギヤ50,52が固定された伝動軸が回転可能に取付けられている。そして、上記ピニオンギヤ50に鉛直ラック74が噛合され、ピニオンギヤ52に水平ラック44が噛合されており、上記揺動アーム64の揺動が鉛直ラック74の上下動に変換され、さらに、この鉛直ラック74の上下動が上記伝動軸を介して水平ラック44の水平動に変換されるようになっている。
これに対し、揺動アーム65の揺動端部(上端部)には、略水平方向に延びる伝動バー80の一端部が連結されており、この伝動バー80の他端部が上記フィードバー32の端部に連結されている。そして、上記揺動アーム65の揺動が伝動バー80を介してフィードバー32の水平動に変換されるようになっている。
一方、上記ハウジング62内には、駆動モータ82により回転駆動される水平方向の回転軸84が配設され、この回転軸84には、上記揺動アーム64のカムフォロア70に接触する昇降駆動カム86と、上記揺動アーム65のカムフォロア71に接触する送り駆動カム87とが固定されている。
また、各揺動アーム64,65には付勢シリンダ88,89が連結され、これにより、各カムフォロア70,71が各カム86,87に常時接触する方向に揺動アーム64,65が付勢されている。
上記昇降駆動カム86および送り駆動カム87の形状は、その回転により、クロスバー38および吸盤39が第1図の一点鎖線90に示されるような軌跡を描いて移動するように設定されている。
次に、その具体的な動作を説明する。
まず、昇降駆動カム86の回転に伴う動作を説明すると、上記回転に従って揺動アーム64が回動軸67を中心に揺動し、この揺動がリンク部材73を介して鉛直ラック74の上下動に変換され、この上下動が、ピニオンギヤ50,52が固定された伝動軸によって水平ラック44の水平動に変換される。さらに、この水平ラック44の水平動は、各支持ハウジング42に設けられた伝動軸46およびピニオンギヤ50,52を介して各吊下げ部材29の上下動に変換され、これによって、各吊下げ部材29、左右のリフトバー28、フィードバー32、およびクロスバー38が一体に昇降する。
一方、送り駆動カム87の回転については、上記回転に従って揺動アーム65が回動軸68を中心に揺動し、この揺動が伝動バー80を介してフィードバー32に伝達され、これによって、フィードバー32はリフトバー28に対して水平方向にスライド移動する。」
(3) 明細書第16頁第5-9行
「本考案では、送り駆動手段および昇降駆動手段の具体的な構造を問わず、上記駆動装置60のように単一の駆動源(駆動モータ82)で双方の駆動を行うものの他、送り駆動および昇降駆動を個別に行うものでもよい。」
(4) 第1図
複数のスライダ16が設けられていること。
上記記載事項より、引用例1には、次の「トランスファプレスのワーク搬送装置」が記載されていると認める。
複数のスライダ16を有するトランスファプレスにおいて、
上記トランスファプレスに、その上部にリフトバー支持機構30を設け、昇降駆動手段を設け、ワーク送り方向上流側に位置するハウジング62に内装された送り駆動カム87により駆動される送り駆動手段を設け、
上記トランスファプレス内にワーク送り方向に並設されたリフトバー28は、下端を上記リフトバー28に固定された複数の吊下げ部材29を介して上記リフトバー支持機構30によって上方より吊り下げられ、
上記リフトバー支持機構30及び昇降駆動手段は、駆動モータ82と、この駆動モータ82で昇降駆動カム86、揺動アーム64、鉛直ラック74等を介して回転されるピニオンギャと、このピニオンギャと噛合しワーク送り方向に移動自在に支承された水平ラック44と、この水平ラック44と上記吊下げ部材29とにそれぞれ噛合した伝動軸46に固定された二つのピニオンギャ50,52を備え、その駆動モータ82を駆動源として上記リフトバー28をリフト方向へ駆動する構成とし、
上記リフトバー28にクロスバー38の横架されたフィードバー32をワーク送り方向へ移動自在に支承し、かつこのフィードバー32を上記送り駆動手段により揺動アーム65を介してフィード方向へ駆動してなるトランスファプレスのワーク搬送装置。(以下「引用例1記載の発明」という。)
2 同じく引用した本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開昭60-6227号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されていると認める。
(1) 第1頁左下欄第5行-右下欄第4行
「フィードバー(2)と、フィードバー駆動装置(3)とを備えており、フィードバー駆動装置(3)が、クラウン(1A)に配置されかつプレス駆動源によって駆動される駆動機構(8)と、クラウン(1A)から下方にのびかつ駆動機構(8)により昇降運動させられる駆動軸(9)と、プレス本体(1)の後部に配置されかつ駆動軸(9)の昇降運動をフィードバー(2)の前後運動に変換する送り運動機構(10)と、・・・とを備えているトランスファプレス。」
(2) 第3頁左上欄第15行-右上欄第2行
「この明細書において、前後とはブランク搬送方向(第1図に矢印(A)で示す)を基準とし、ブランクが送られて進む側を前、これと反対側を後といい、左右とは前に向かっていう。」
(3) 第4頁左上欄第4-12行
「フィードバー駆動装置(3)はクラウン(1A)の前部主駆動機構(5)の前方に配置されたフィードバー用駆動機構(8)と、クラウン(1A)から下方にのびた複数の駆動軸(9)と・・・とを備えている。」
(4) 第4頁右上欄第9-末行
「フィードバー用駆動機構(8)は、第1図から第3図を参照して、送り、クランプおよび昇降運動用カム(13)(14)(15)ならびにカム従動レバー(16)(17)(18)を備えている。各カム(13)(14)(15)は外周面を案内面とする板カムで、主歯車(6)と平行に支持されたカム軸(19)に前方から上述の順に取付けられている。」
上記記載事項及び第1乃至3図より、引用例2には、トランスファプレスにおいて、プレス本体上部に、クラウン1Aの上流側に位置する内装されたカム13により駆動されるフィードバー用駆動機構8を設ける技術的事項が記載されていると認める。

第3 対比
本件発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「トランスファプレス」は、本件発明の「トランスファプレス」に相当すると共に「プレス本体」にも相当しており、同様に、「送り駆動手段」は「フィード駆動機構」に、「ワーク送り方向」は「ワーク搬送方向」に、「リフトバー」は「リフトビーム」に、「吊下げ部材」は「リフト杆」に、「水平ラック」は「リフトラック」に、「揺動アーム」は「フィードレバー」に、及び、「トランスファプレスのワーク搬送装置」は「トランスファフィーダ」にそれぞれ相当していることが明らかである。
また、引用例1記載の発明の駆動モータで昇降駆動カム、揺動アーム、鉛直ラック等を介して回転される「ピニオンギャ」は、本件発明のサーボモータで回転される「ピニオン」に相当し、引用例1記載の発明の「リフトバー支持機構」と「昇降駆動手段」とを合わせた構成、即ち、「リフトバー支持機構及び昇降駆動手段」は、本件発明の「リフト駆動機構」に相当していることが明らかである。
さらに、本件発明の「複数のスライド毎にクラウンを分割して、これらクラウン内に上記スライドを駆動するスライド駆動機構を収容したモジュールタイプのトランスファプレス」は、複数のスライドを有するトランスファプレスであることに限り、引用例1記載の発明と共通し、引用例1記載の発明の「駆動モータ」は、モータであることに限り、本件発明の「サーボモータ」と共通し、引用例1記載の発明の「リフトラックと上記リフト杆とにそれぞれ噛合する伝動軸に固定された二つのピニオンギャ50,52」は、リフトラックと上記リフト杆に噛合したピニオンであることに限り、本件発明の「リフトラックと上記リフト杆の双方に噛合したピニオン」と共通し、引用例1記載の発明の「フィードバー」は、クロスバー搬送手段であることに限り、本件発明の「複数のクロスバーキャリア」と共通している。
以上のとおりであるので、本件発明と引用例1記載の発明とは、次の一致点及び相違点を有している。
1 一致点
「複数のスライドを有するトランスファプレスにおいて、
上記トランスファプレスのプレス本体にリフト駆動機構と、フィード駆動機構を設け、
上記プレス本体内にワーク搬送方向に並設されたリフトビームは、下端を上記リフトビームに固定された複数のリフト杆を介して上記リフト駆動機構によって上方より吊り下げられ、
上記リフト駆動機構は、モータと、このモータで回転されるピニオンと、このピニオンと噛合しワーク搬送方向に移動自在に支承されたリフトラックと、このリフトラックと上記リフト杆に噛合したピニオンを備え、そのモータを駆動源として上記リフトビームをリフト方向へ駆動する構成とし、
上記リフトビームにクロスバーの横架されたクロスバー搬送手段をワーク搬送方向へ移動自在に支承し、かつこのクロスバー搬送手段を上記フィード駆動機構によりフィードレバーを介してフィード方向へ駆動してなるトランスファフィーダ。」
2 相違点
(1) 複数のスライドを有するトランスファプレスが、本件発明では、複数のスライド毎にクラウンを分割して、これらクラウン内に上記スライドを駆動するスライド駆動機構を収容したモジュールタイプのトランスファプレスであるのに対し、引用例1記載の発明では、そのようなものではない点(以下「相違点1」という。)。
(2) クロスバー搬送手段が、本件発明では、複数のクロスバーキャリアであるのに対し、引用例1記載の発明では、そのようなものではなく、フィードバーである点(以下「相違点2」という。)。
(3) 本件発明では、プレス本体上部に、上流側に位置するクラウンに内装されたカムにより駆動されるフィード駆動機構を設けているのに対し、引用例1記載の発明では、そのようなものではない点(以下「相違点3」という。)。
(4) 本件発明では、複数のリフト杆が各スライドの間に配置されているのに対し、引用例1記載の発明では、そのようなものではない点(以下「相違点4」という。)。
(5) 本件発明では、リフト駆動機構がプレス本体上部に設けられ、リフト駆動機構を構成するモータがサーボモータであり、リフトラックとリフト杆に噛合したピニオンがリフトラックとリフト杆の双方に噛合したものであるのに対し、引用例1記載の発明では、そのようなものではなく、リフト駆動機構を構成するモータがプレス本体上部に設けられているのか、サーボモータであるのかが明らかではなく、また、上記ピニオンがリフトラックとリフト杆にそれぞれ噛合した伝動軸に固定された二つのピニオン(ピニオンギャ50,52)である点(以下「相違点5」という。)。

第4 当審の判断
1 相違点1について
複数のスライドを有するトランスファプレスとして、複数のスライド毎にクラウンを分割して、これらクラウン内に上記スライドを駆動するスライド駆動機構を収容したモジュールタイプのトランスファプレスは、例示するまでもなく、本件出願前周知であるので、引用例1記載の発明において、その複数のスライドを有するトランスファプレスとして、上記周知なモジュールタイプのトランスファプレスを採用することに格別の困難性は見当たらない。
2 相違点2について
引用例1記載の発明のクロスバーの横架されたフィードバーは、リフトビームに沿って延びるているものであり、リフトビームに沿って複数個設けられているものではないが、クロスバーの横架された部材をワーク搬送方向に沿って複数個設けることは、例えば、実願平1-110832号(実開平3-51932号)のマイクロフィルム、実願平2-54400号(実開平4-17331号)のマイクロフィルム及び特開平4-220124号公報等に記載されているように本件出願前周知であるので、引用例1記載の発明において、クロスバーの横架されたフィードバーを複数個に分割して、本件発明のクロスバーの横架された複数のクロスバーキャリアとすることに格別の困難性は見当たらない。
3 相違点3について
上記第2の2のとおり、引用例2には、引用例1記載の発明と同一の技術分野に属するトランスファプレスにおいて、プレス本体上部に、クラウンの上流側に位置する内装されたカムにより駆動されるフィードバー用駆動機構を設ける技術的事項が記載されており、そして、このフィードバー用駆動機構が本件発明のフィード駆動機構に相当することが明らかであるので、引用例1記載の発明において、そのフィード駆動機構に上記技術的事項を採用して、プレス本体上部に、クラウンの上流側に位置する内装されたカムにより駆動されるフィード駆動機構を設けることとし、さらに、上記周知なモジュールタイプのトランスファプレスの採用に際し、上記カムを上流側に位置するクラウンに内装されたものとして、相違点3における本件発明の構成とすることに格別の困難性は見当たらない。
4 相違点4について
複数のリフト杆をどのように配置するかは、必要に応じて適宜決定する設計的事項であって、複数のリフト杆を各スライドの間に配置することに格別の困難性は見当たらない。
5 相違点5について
リフト駆動機構を構成するモータをプレス本体のどのような位置に設けるかは、必要に応じて適宜決定する設計的事項であるところ、引用例1には、上記第2の1の(3) のとおり、リフト駆動機構を構成するモータを他の駆動機構のモータと兼用するのではなく専用のモータとする旨示唆されており、そして、リフト駆動機構を構成するリフトラックがプレス本体上部に設けられているのであるから、そのリフトラック移動の駆動源であるモータをリフトラックに近い位置、即ち、プレス本体に設けることに、格別の困難性は見当たらず、また、モータをサーボモータとすることは、必要に応じて適宜なし得る設計的事項にすぎない。
また、引用例1記載の発明では、リフトラックとリフト杆にそれぞれ噛合した伝動軸に固定された二つのピニオン(ピニオンギャ50,52)を設けているが、二つのピニオンは、伝動軸を介して一体となって回転するものであるので、これら二つピニオンまとめて一つのピニオンとして、リフトラックとリフト杆の双方に噛合したものすることに、格別の困難性は見当たらない。
6 本件発明の効果について
本件発明の効果は、引用例1記載の発明、引用例2に記載の技術的事項及び上記各周知な事項から予測しうる程度のものであって、格別のものではない。

第5 むすび
したがって、本件発明は、本件出願前に日本国内において頒布された引用例1に記載の発明、引用例2に記載の技術的事項及び上記各周知な事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-24 
結審通知日 2004-02-25 
審決日 2004-03-09 
出願番号 特願平5-8205
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B21D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 豊英鈴木 敏史  
特許庁審判長 宮崎 侑久
特許庁審判官 三原 彰英
神崎 孝之
発明の名称 トランスファフィーダ  
代理人 浜本 忠  

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